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 いよいよ20th Century FOXがDISNEYに買収されることが本決まりとなり、かくして今後はFOXが映画化する権利を保有していたMARVEL COMIC作品も、DISNEYが展開するMCU、マーベル・シネマティック・ユニバースに参加する障壁がなくなったわけで、わたしとしては大歓喜となったわけだが、残念ながらFOX買収以前から企画開発が進行していたFOX版『X-MEN』は数作品残っていて、どうやら1本は企画がポシャった?ようだが(※『THE NEW MUTANTS』のことだけど、ホントに来年公開されるんだろうか??)、残念ながらもう1本は企画が生き残り、FOX JAPANの宣伝惹句によると「(FOXによる)最後のX-MEN」と銘打たれた映画が公開されることとなった。 
 そのタイトルは、『X-MEN DARK PHOENIX』。ま、そのタイトルを聞けば、X-MENファンならもう、すぐにピンとくる物語であるし、実のところこの物語は2006年に公開されたX-MEN:The Last Stand』(邦題=ファイナル・デシジョン)でも扱われた原作モチーフで、X-MENの中でも相当強いキャラの一人であるJean Greyが、ダークサイドに堕ちる話である。物語としてはもう、それ以上の説明は不要だろう。
 だが問題は、わたしがこのBlogで何度も批判しているように、もうFOX版X-MENは完全に破たんしているというか、おかしなことになってしまっていて、超問題作X-MEN:Days of Future Past』(邦題=X-MEN:フューチャー&パスト)で過去が書き換えられてしまい、おまけに前作X-MEN:APOCALYPSE』で決定的に、もう惰性で作っているとしか思えないような、浅~~い映画となり果ててしまったのである。なので、わたしは何度も、FOXはもうX-MEN映画を作ることを放棄して、DISNEYに権利を返してくれないかなあ、と書いてきたのだが……一方ではなんと、完全にパラレルワールド的にこれまでの歴史を無視したLOGANという映画で、超見事にWolvarineの最期を描き、完璧なる「X-MEN最終作」というべきウルトラ大傑作を世に送り出したのである。
 いやあ、アレはホントびっくりしたなあ……本当に『LOGAN』は素晴らしい映画だった(※『DEADPOOL』はわたしとしてはどうでもいいというか、まあ、面白かったけどちょっと別腹ってことで今回は触れません)。『LOGAN』がわたしにとって「FOX最後のX-MEN」であることはもう揺るがないし、そもそも「X-MEN」の物語は今後確実にDISNEYによって描かれることになるので、全くもって今回の『DARK PHOENIX』が「最後」では決してない。ちゃんと「FOX最後の」って言ってほしいもんだ。FOXのそういう点がいちいちわたしをイラつかせる理由でもある。
 そんなことはさておき。
 というわけで、FOX版「最後のX-MEN」と銘打たれた本作を、わたしは正直全く期待していなかった。なにしろわたしにとってはもう、『LOGAN』こそがFOX版「最後のX-MEN」なので、はっきり言って、今さらだし、内容的にも、今さら、であるのだから。そして実際に観てきた今思うことは、ホント今さらだったな、で終了である。じゃあなんで観に行ったかって? そりゃあアレですよ、惰性ってやつです。

 なんつうか……FOX作品の予告はいつもどうしようもないけれど、今回は非常にイイ感じだと思った……のだが、残念ながら本編は、いつものFOXクオリティで、はっきり言って相当問題アリだと思った。ただし、一方的にダメと切り捨てるのももったいないぐらい、超素晴らしく、良かった点もあるので、その点にもちゃんと触れようと思う。
 【ダメポイント:決定的にキャラ付けがマズイ】
 まずもって、この映画を観た人の中で、ある意味主人公のJeanや、Professor Xに共感できる人がいただろうか? そう、全く、1mmも共感できないキャラとして描かれちゃっているのは、もう根本的にマズい点だったと思う。
 まず、Jeanに関しては、幼少期からその能力の暴走が起きていて、ついうっかり、母をぶっ殺してしまい、それがトラウマとなっているのは、まあ分からんでもない。だけど、その忌まわしき記憶を封じたProfessor Xの処置を、責められるだろうか?? 「わたしをだましていたのね!!」と激怒して、怒り狂い、あまつさえMystiqueことレイブンをぶっ殺してしまうとは!! おまけに恩のあるレイブンをぶっ殺しても反省なしでバックレてどっか行っちゃうって、もう絶対ナシだよ、脚本的に。仮にこの点を100万歩譲ってアリだとしても、その後、彼女が嘆くのは、私はなんてことを……やっちまった……という後悔ではない。ただひたすら、自らの不幸についてのみ、ああなんて私はかわいそうなのかしら、という自己憐憫のみだ。なんなんだこのガキは!? とわたしはもう席を立ちたくなったぐらいである。
 というわけで、本作は強大な力を持つ子供を、大人たちがオロオロしながらなだめるお話であると言わざるを得ない。この映画には、「ガタガタ言ってんじゃねえぞこのクソガキが!」と、ぶん殴ってくれる大人がいないのだ。実はその「叱ってくれる大人」こそが、旧シリーズでのWolvarineの役割で、Wolvarineがジョーカー的に機能して事態を解決してくれていたからこそ、物語として成立していたのだが……残念ながらこの映画には登場しない。この映画では、新キャラの謎の勢力が、Jeanに取り込まれた謎のウルトラパワーを奪取しようとして、Jeanに耳障りのイイことを吹き込んで取り込もうとするのだが、残念ながらこの謎キャラ勢力が完全に滑ってしまったのも脚本的にいただけないポイントだろう。
 以下、キャラと演じた役者をメモしながら、各キャラの行動をチェックしておこう。
 ◆Professor Xことチャールズ・エグゼビア:わたしの眼には、チャールズの行動はなんら問題はなかったように思える。異端であるミュータントと人間の共存のためには、チャールズのような行動が必要だったと思うし。でもまあ、ちょっと調子に乗っちゃったということなのかな……。今回、さまざまなキャラから、「お前が悪い!!」と責めまくられるチャールズだが、じゃあどうしたら良かったんだよ!? とチャールズが思うのも無理ないと思う。演じたのはヤングProfessorでお馴染みのJames McAvoy氏40歳。
ホントお気の毒な役どころでした。
 ◆Mystiqueことレイブン:チャールズが若干調子に乗って、テレビに出てちやほやされたり、そのために仲間を危険にさらしたことを激怒している。しかし、チャールズの描く、人類との共生、ある意味でのミュータントの生存戦略もまた意味があることなので、いったんは怒りを鎮めるが……チャールズがかつてJeanの記憶を封印したことに激怒。そして、Jeanちゃん、かわいそうだったね、よしよし、大丈夫よ……と宥めようとして、あっさりJeanに殺されるというヒドイ目に遭うことに。確かに、脚本的にレイブン殉職はナシではないだろうけど……はっきり言って犬死だったのではと思えてならないすね。演じたのは当然、オスカ―女優Jennifer Lawrenceちゃん28歳。まさかこんな形で退場とは……彼女もまた大変お気の毒でした……。つうか、そもそも、この物語は『Days of Future Past』のエンディングを無視してるよね。そういう点が本当にガッカリというか、腹立たしいす。
 ◆Magnitoことエリック・レーンシャー:歴史が塗り替わったのちのこの世界では、US政府に居留地?的な安住の地を与えられていたようで、そこに、はぐれミュータントたちとともに住んでいたのだが、愛するレイブンの殉職を聞いて大激怒。あのガキはぶっ殺す!と立ち上がる! 本来ならエリックがWolvarine的な「叱ってくれる大人」の役割を演じてほしかったのだが……残念ながら本作ではJeanが強すぎて、ほとんどやられキャラとなり下がり、あまり活躍できずだったのが超残念。演じたのはMichael Fassbemder氏42歳。実にカッコ良く渋かったすねえ! ちなみに、Magnitoの息子であるQuicksilver君は、今回前半でJeanにやられて負傷、ほぼ出番ナシ、であった。
 ◆Beastことハンク・マッコイ:いつもチャールズの行き過ぎた?行動を押さえつつ、いろいろ無茶ぶりをかまされて、大忙しとなるハンクだが、今回はレイブンが大好き(だけどレイブンからはつれなくされる)キャラとして、レイブン殉職に大激怒。チャールズに反旗を翻し、恋のライバルであるエリックとともにJean討伐隊に加わることに。演じたのはNicholas Hoult君29歳。彼もホントお気の毒でした。
 ◆Cyclopsことスコット・サマーズ:兄貴のHavocことアレックスは前作『Apocalypse』で殉職してしまったので、今回は淋しく単独出演。Jeanと愛し合っていて、今回暴走するJeanを必死で止めようとするのだが……残念ながら全く聞く耳を持ってもらえず。それでもJeanを守るために、仲間であるはずのハンクたち討伐隊と戦うことに……演じたのはTye Sheridan君22歳。彼の行動は実に分かりやすく、理解できます。でも、やっぱり
ホントお気の毒でした。
 ◆Jean Grey:残念ながら本作では、どう見ても単なる問題児であり、困ったガキなのだが……恩師の言うことも聞かず、恋人の言うことも聞かず、ただただ暴走に身を任せる困ったちゃんにしか見えなかった。わたしが本作で最も驚いたのは、本作の決着が、Jeanの超上から目線からの、「わかった、許してあげるわ……」で収束するという結末である。あれって、アリなんすか? ま、その結果、お星さまとなったJeanだけど、それで贖罪がなされたと言ってもちょっと認めたくないですな……。演じたのはSophie Turnerちゃん23歳。わたしの趣味ではないので以下省略。
 ◆謎の女ことヴーク:本作での説明によると、Jeanの身に宿ったのは惑星を滅ぼすほどの謎のエネルギー(生命体?)で、ヴークたちはそれを追って地球にやってきたらしいのだが……その設定に問題はないと思うし、破たんもないのだが……ラスボスとしての存在感が希薄で、前作のApocalypse同様に、よくわからんキャラになってしまったのが超残念です。なんか、本当はスクラル人(=CAPTAIN MARVELに出てきた変身が得意な宇宙人)の設定にしたかったらしいけど、NG喰らっちゃったらしいですな。演じたのはJessica Chastainさん42歳。いつの間にか年取ったなあ? もっと若いと思ってた。Jessicaさんはとってもお綺麗でした。
 とまあ、以上がメインキャラで、残念ながらそのキャラ付けが、わたしにはかなり問題アリだったと思う。そして、一方では素晴らしいと賞賛したいポイントも当然ありました。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(1):役者たちの演技は完璧!】
 上記の通り、ざんざんキャラに対してダメ出しをしたけれど、演じた役者たちの演技ぶりは極めて上質で素晴らしかったと思う。とりわけX-MENのみんなは、全員が深く「苦悩」しているわけです。その悩める姿は(悩める理由はともかくとしても)実にそれぞれ素晴らしかったと絶賛したい。とりわけ、わたし的には今回やられキャラになってしまったMagnitoことエリックを演じたFassbender氏、それから目をバイザーで隠されているにもかかわらず、つらい苦悩を上手に表現していたTye Shelidan君の二人がとても良かったすね。もちろんほかのメンバーもとても素晴らしい演技でした。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(2):音楽がイイ!】
 今回は冒頭からずっと、何やら不穏な空気が感じられる音楽がとても効いているようにわたしは感じたのだが……誰が担当したんだろうとずっと謎に思っていて、エンドクレジットでその謎が解けた時、わたしは本作で一番、おお、そうだったんだ、とスッキリしたっすね。そうです。今回の音楽を担当したのは、なんとHans Zimmer氏だったのです! X-MENシリーズ初参加じゃないかなあ? 耳に残る明確なメロディはないんだけど、とにかく物語にマッチする不穏な曲、というか音、はとても巧みだったと思うすね。わたしとしては、この映画のMVPにしてもいいと思います。
 あとは、演出に関しても、シリーズに脚本やプロデュースで参加してきたSimon Kinberg氏が、初監督とは思えないいい仕事をしていたとは思います。画的にとても良かったすね。しかし、なんでUS映画の葬式シーンはいつもどしゃ降りなんですか? まあキャラの心の中はどしゃ降りな心情なんだろうけど、不自然なんすよね……。

 というわけで、もう書きたいことがなくなったので結論。

 FOX JAPANによる「最後のX-MEN」というキャッチで公開された『X-MEN DARK PHOENIX』を観てきたのだが、まず第一に、間違いなく「X-MEN」というIPは今後もDISNEYによって映画になるはずなので、「最後の」では決してない、というのが一つ。そしてようやくFOXの手を離れ、MCUへの参加ハードルが消滅し、本作をもってFOX版X-MENが最後になるのはファンとしては大変うれしい限りだ。しかし、内容的には……正直問題アリだと思った。なにしろ……Jeanにまったく共感できないし、大人たちの対処も、マズかったでしょうな……。。。こういう時は、本当ならWolvarineの一喝が必要だったのだが、それができる大人がおらず、なんだかみんながみんな、気の毒に思えた。ただし、そのキャラたちの苦悩は実に見事な演技で支えられており、クオリティはとても高かったと思う。今回は音楽もとても良かったです。ま、とにかく今後のMCUには期待しかありませんな! 楽しみだなあ! そしてFOX版が終わったのは何よりめでたいす。以上。

↓ オレ的FOX版最高傑作は『LOGAN』ですが、こちらも実に素晴らしい出来栄えでした。この映画は最高です。

 何度かこのBlogで書いている通り、わたしは20th Centuyr FOX(以下FOXと略)が嫌いだ。まあ、理由はいろいろあるのだが、そんなことはどうでもいいとして、わたしとしては一日も早くDISNEYに買収されてほしいと思っている。理由はただ一つ。わたしの大好きな『X-MEN』に関する映像化の権利がDISNEYへ渡ることを願うからだ。ま、ついでに言うと、『FANTASTIC 4』も一緒にDISNEYに行くことになるので、それもまた喜ばしいとわたしは思っている。
 要するに、現在FOXが権利を握っているMARVEL COMICS作品を、さっさとDISNEYへ集約していただき、真のAVENGERSを描いてほしいというのがわたしの願いなわけだが、去年の12月に、DISNEYによるFOX買収のニュースが報じられた時は、わたしとしてはもう、いいぞ! もっとやれ! と熱くなったものの、その後の進展はあまり聞こえてこず、どうも独禁法違反かも、とか、映画業界からの反対とか、いろいろな横やりが入ったり、さらには、それではウチも! とつい先日COMCASTが買収に名乗りを上げたりと、なんだかNASDAQ上場しているFOXの親会社「21st FOX」の株価が上昇するばかりで、スッキリ進んでいない状況のようだ。まあ、こういうところも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもある。
 さて、以上は全くどうでもいい前振りである。
 わたしは昨日の夜、そのFOX配給の『X-MEN』キャラ単独作品、『DEADPOOL2』を観てきたのだが、さすがに前作が大ヒットしただけあって、今回は何気にFOX版『X-MEN』ムービー的な香りが強めに漂う作品として仕上げられていたことに若干驚いたのである。前作は低予算でいろいろと都合がつかず、その不都合さえネタにしていたDEADPOOL氏だが、今回はもう、かなり、なんというか「公式」感があふれ、結構グレードアップしていたように感じた。そしてなによりも、DEADPOOL氏がとてもイイ奴になっていて、なんだか随分キャラ変したようにも思えたのである。だからといって、つまらなくなったかと言うと、もちろんそんなことはなく、わたしとしては大変楽しめる作品であった。わたしとしては、前作より今回の『2』の方が好きかも。とはいえ、別に感動なんかしないし、特に後に何か残るとか、そういうことはまるでナイっすけどね。超最高とも思わないし。ま、ゲラゲラ笑えるのは間違いないす。あと、本編上映前に1分ぐらいの短い注意?のようなものがついていて、そこで、DEADPOOL氏が、観たらバンバン感想をこのハッシュダグ付けてTweetしてくれ、だけどネタバレはダメだぞ! というメッセージだったのだが、サーセン、たぶん以下、ネタバレも含まれると思いますので、まだ観ていない人は今すぐ退場してください。
 どうでもいいけど、英語でネタバレって「SPOILER」っていうんすね。Spoilする奴ってことなんだなあ。知らなかったす。ネタバレはたぶんしますが、スポイルするつもりは全くないので許してDEADPOOL氏!

 というわけで、この日本語版予告の字幕のセンスなんかも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもあるのだが、それはさておき。今回はケーブルも登場し、相当派手なアクションとなっているのはもうこの予告通りである。そして、物語としては意外なほどまっとうで、きっちりしていて、実際とても面白かったと思う。
 簡単にまとめると、とある理由でまっとうに生きることにしたDEADPOOL氏が、これまたとある理由からとある少年を殺しに未来からやってきたケーブルと戦い、その少年を守ろうとするも、今度はケーブル側の理由を知って、殺して解決するのは良くない、とケーブルを説得し、両者の円満解決を図ろうと奮闘するお話である。
 サーセン、「とある」が多すぎてこれじゃ意味通じないか……でもまあ、ネタバレするとDEADPOOL氏が殺しに来るかもしれないのでこの辺にしておきますし、観た人ならば、これで通じるでしょう。きっと。つまりですね、ズバリ言うとまさしく『ターミネーター』なわけです。どっちかつうと『ターミネーター2』の方が近いかも。なので、DEADPOOL氏が「カイル・リース」と呼ぶギャグネタが1回だけあったような気がするけど、肝心のケーブルに対して「お前はターミネーターか!」的なシーンはなかったのが意外であった。これは……「ターミネーター」という言葉自体が商標化されているためではないかと邪推しましたが、真相は分からんです。それともFOXのドル箱であるCameron監督に対する配慮かな? いや、それはないか。
 ともあれ、今回も相当な数の映画ネタがちりばめられていて、かなり笑える作品であるのだが、意外なことに、わたしの2列前に座っていたでっかい外人客×5名の団体は全く静かに鑑賞してたのが謎である。この人たち、きっとすげえ大爆笑で楽しく鑑賞するんだろうなと思ったのに、超意外なほどおとなしく観ていたのが印象的。なお、わたし的に一番笑えたのは……なんだったかなあ……映画オタとして大抵のネタは拾えたつもりなんだけど……もはや覚えてないなあ……あ、どんな場面だったか定かではないけど、「ただの人間だから。ホークアイみたいなもんだよ。だから弱いの!」的なセリフがあって、そこは堪えられず声を出して笑ったすね。
 そしてもちろん、終了後のおまけ映像(終了直前というべきかも)で、ケーブルの持っていた時空移動装置をGETしたDEADPOOL氏が、今までの黒歴史を修正しまくるシーンも大笑いしたすね。黒歴史……それすなわち、過去の『X-Men Origins: Wolverine』で一度登場している自分を殺したり、『GREEN LANTERN』の脚本を手にして「大役来たぜ!」と喜ぶ自分を殺しに行ったり、まあ、今回のDEADPOOL氏によって歴史は書き換えられたようですなw
 あと、今回FOX版『X-MEN』ムービーの成分多めというのは、観ていただければ誰でも感じると思う。まさか「車いす」「セレブロ」まで登場させるとは! 前作大ヒットのご褒美なんすかね。そして、一瞬だけ、FOX版『X-MEN』ムービー本編のキャラが数人出てくるんだけど、わたしは油断していて、あ!? 今、ビーストとクイックシルバーいた!! けど、あと3人ぐらいいたのに誰だったか判別がつかなかった!! のがとても残念す。ウカツ!!
 というわけで、ネタバレを気にするともう何も書けないので、キャラ紹介をしてさっさとまとめに入ろうと思います。
 ◆DEADPOOL/ウェイド:今回は、まあ相当ヒドイこともするけど、その行動の動機はいたって真面目。超イイ奴、と言ってもいいと思う。まあ、そう改心?したのにはきちんと理由があるのだが、それは書かないでおきます。演じたのはもちろん前作同様Ryan Reynolds氏。この人はカナダ人であるのがポイント?ですよ! 
 ◆ヴァネッサ:ウェイドの愛する彼女。今回彼女にとんでもないことが……しかもほぼ冒頭で。演じたのは、これまた前作同様Morena Baccarinさん。大変可愛いと思います。つうかわたしが大好きだった財務部のMさんにすげえ似てる。
 ◆ヴィ―ゼル:DEADPOOLの友達の傭兵酒場経営者。コイツも基本テキトー人間。演じたのは前作同様T.J.Miller氏。つうか、この人この前逮捕されたんじゃなかったかな? なんか酔っ払って、鉄道の駅で爆弾騒ぎを起こしたとかなんとか。大丈夫なのかこの人。わたし的にこの人は、『CLOVER FIELD』でカメラを回し続け、最後はカイジューにガブリとやられるあの冴えないブサメンとしてお馴染み。いつの間にイケメン枠に入ったんだコイツ……。
 ◆COLOSSUS:前作でもお馴染み、体も硬いけど頭もカタブツな真面目X-MEN代表。ちゃらんぽらんなDEADPOOL氏を友達として、お前もX-MENに入れと勧誘しているが、とうとうDEADPOOL氏本人から入団を希望する日がくるとは! そして基本的にこのキャラはCGキャラですが、どうやらモーキャップで演じた役者と、顔と声を担当している役者は別人なんすね。知らんかったす。ラスト、なんとあのJUGGERNAUTと大バトル! そしてパンフによるとJUGGERNAUTもフルCGだそうです。全然気が付かなかった……
 ◆NEGASONIC TEENAGE WARHEAD:前作でもお馴染みクールなパンクガールX-MEN。今回はあまり出番なし。それより彼女にはカノジョが出来ていて、そのカノジョである「ユキオ」というキャラを演じたのが忽那汐里さん25歳。オーストラリア育ちだけあって英語は全く問題ナシ。あまり出番はないけど、結構いい味出してました。DEADPOOL氏と妙に(一方的に?)仲良し。もちろんX-MENメンバーのミュータント、だけど、どうやら原作にはいない映画オリジナルキャラだそうです。
 ◆CABLE:未来からやってきて、とある歴史を改変しようとするターミネーター的戦士。演じたのはTHANOS様でお馴染み、Josh Brolin氏。ハリウッドコワモテオヤジ選手権が開催されたら間違いなく上位ランカーになるであろうおっさんだが、実は意外と若くてわたしよりちょっと上だけという事実にショックです。絶対50代半ばか? と思ってたのに……。今回、THANOSネタは当然ブッ込まれてます。
 ◆DOMINO:今回、DEADPOOL氏が援軍募集!として求人を出して、それに応募してきた連中と「X-FORCE」を結成するのだが、その中の一人で、ミュータントとしての能力は「運命操作(?)」。つまり、「ラッキーマン」的な彼女は、超ヤバイ状態でも無傷!みたいな超ラッキーに恵まれるという体質のお方。演じたのはZazie Beetzさんというお方で、今年の初めに観た『GEOSTORM』に出てたらしいす。サーセン、まったく覚えてませんでした……。
 とまあこんな感じで、他のキャラはもういいかな……なお、わたしは見ていて全然気が付かなかったですが、『X-FOCE』の中で、かなり有名な俳優がいたようです。エンドクレジットを眺めていて、えっ、マジかよ!? と驚いたっす。誰だか知りたい人は、ぜひ、劇場へお出かけください。
 最後に、監督について書いておこう。おそらく、本作を観てわたしが、ずいぶん前作からグレードアップしたなあ? と感じた最大の要因は、監督がDavid Leitch氏に代わったことなのではないかという気がした。『JOHN WICK』や『ATOMIC BLONDE』で魅せてくれた通り、この監督の作品はやっぱりアクションのキレがとても素晴らしいと思う。そして音楽の付け方もやっぱカッコイイすね。オープニングのタイトルバック(と言えばいいのか?)の007パクリ映像も、大変結構なお手前だったと思います。

 というわけで、もう書いておきたいことがないので結論。
 前作から2年、全世界待望? の『DEADPOOL2』が日本公開となったので、わたしもさっそく会社帰りに観てきたのだが、なんというか、とてもまともというか、ギャグばっかりで中身ナシ、では決してなく、ストーリーがちゃんとしっかりしていて、そう、「フツーに面白かった」す。普段のわたしなら、ここまでギャグ満載だと、くどいなあ、とか感じてしまうのに、本作はそんなことも特に感じず、実際とても楽しめた。それはおそらく、脚本やキャラクターがキッチリとしているためではないかと思う。そして、前作で一部感じられたチープさや、低予算感なんかは、もうほぼないすね。これはもう、立派なメジャー大作ですよ。実際のところプロダクション・バジェットは前作が58M$で今回は110M$と倍近くなってるわけだし、なにより、監督のDavid Leitch氏の手腕のような気もしますね。いやあ、面白かった。ただ、まだ現状ではUS国内興収は前作に劣るのかな……ま、まだUSでも2W目だし、これからなんすかね。『3』があることを祈ってます。つうか、さっさとDISNEY傘下にならないかなあ……。以上。

↓ まあ、やっぱりこの二つ観といた方がいいと思うけどな……わたしは2作とも、嫌いじゃないす。

グリーン・ランタン (字幕版)
ライアン・レイノルズ
2013-11-26

 去年の夏、日本で公開されてまったく売れなかった映画『X-MEN:APOCALYPSE』。その映画を観て書いた本Blogの記事でも記した通り、わたしは20th Century FOXによる映画「X-MEN」シリーズは、さっさと終了させて、MARVEL=DISNEY帝国によるMCUに「X-MEN」キャラたちも参加してほしいと今でも心から祈っている。とにかく、全体としてきちんとシリーズ構成が設計されておらず、場当たり的である。もちろんわたしは映画「X-MEN」シリーズに関しては、2000から始まった最初の3部作は大好きだし、ウルヴァリンのスピンオフ2本もいいし、それから、第1世代ミュータントの悲劇を描いた『X-MEN:First Class』は最高に面白かったと思っている。だが、その次の『X-MEN:Days of Furute Past』でとんでもない展開となり、そのトンデモ設定を引き継がざるを得なかった去年の『X-MEN:APOCALYPSE』でもはや手の施しようがなくなってしまった。故に、もう終わらせてほしい、とわたしは思ったのである。
 折しも、去年は「X-MEN」世界における異端児『DEAD POOL』単独スピンオフがUS国内ではシリーズ初の「R指定」ながらも、本編の倍以上を稼ぐ超える驚異の大ヒットとなってしまい、本末転倒というか、もはやどうにもならない状況となり果てていたわけで、わたしはもう、本当にFOXによる映画「X-MEN」シリーズに絶望していた。
 そんな状況下で、またもやFOXは、一番の人気キャラであるウルヴァリン単独作品『LOGAN』を世に送り出した。しかも本作もUS国内では「R指定」である。わたしは、はっきり言ってまったく期待していなかったし、どうせ『DEAD POOL』の大ヒットに乗じて、首が飛んだり手がちぎれたり、血まみれ映画になり果てたんでしょ、という完全なる予断を抱いて、わたしは昨日、劇場へ向かったのである。そして、本Blogにおいてこき下ろしてやる!とさえ思っていたのが本音だ。
 しかし―――結論から言うと、本作は紛れもなく超名作であり、これはすげえ、こいつは最高の「X-MEN」の真のファイナルじゃねえか!!! と絶賛するに至ったのである。FOXよ、頼むから調子に乗ってこの先また「X-MEN」作品を作ろうと思うなよ。本作で完結させるのが、最高なんだから! さっさと、もう莫大な金額を提示してもいいから、今すぐMARVEL=DISNEY帝国に権利を売り戻してくれ。頼むよ!
 以下、ネタバレがあると思いますので気にする人は読まないでください。

 まあ、あいかわらずFOXの予告は肝心の物語がさっぱり伝わらない内容だが、その世界観は伝わると思う。最初に言ってしまうけれど、本作は、これまでの「X-MEN」映画の歴史をまたもや完全に無視しているといっていいだろう。あれはどうなった、あのエンディングと繋がらねえじゃん。そんな世界観であるので、はっきり言ってわたしは序盤は結構いらいらしながら観ていた。まーたFOXの野郎、めちゃめちゃにしやがって……と、実際腹立たしくさえ思っていた。おまけに、そもそも不老不死であるウルヴァリンが、何故年老いているのか。そして、なぜ他のミュータントたちがみな死に絶えてしまったのか。この最大のポイントも、まったく説明はない。そういう意味では全く不親切というか、ぶった切りである。一応、これまでの映画シリーズは時系列で示すと次のようになると思う。ちょっと簡単にパワポで図を作ってみた。記憶だけで書いたので年号は自信なし。
X-MEN
 まあ、要するに超問題作『FURUTE PAST』で歴史が大きく改変されてしまったわけだが、実際、原作のコミックでもそういうことは実のところ頻繁に起こっているので、ここでけしからんとわたしが非難しても、実はほぼ意味はない。なので受け入れるしかないわけだが、本作『LOGAN』は、これまでのシリーズのどの流れなのか、明確にはわからない。完全に独立した別の歴史かもしれないし、一方ではちょろちょろと、「それっぽい」ことを示唆する小道具とかが映されるため(例えば『SAMURAI」の刀とか)、どういうことなんだよ、とこれまた観ていてイライラする。
 しかし――である。X-23として原作でおなじみのローラが出てきて、ローラと、もう完全におじちゃんで耄碌してしまったプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアとの逃避行が始まると、そこからはどんどん面白くなってくるのである。もう完全に、戦いに疲れた男と無垢な少女とのロードムービーであり、実に心にしみるのである。とにかく渋く、カッコよく、泣かせるのだ。
 展開としては、人為的に「製造」されたミュータントの少女を、コミック「X-MEN」で描かれているミュータントの住まうコロニー「エデン」に連れて行ってくれ、と製造していた会社の女性に頼まれたウルヴァリンが、その会社からの追手の追撃をかわしながら、「エデン」を目指すというものなのだが、わたしは心底驚いたことに、本作『LOGAN』の世界には、「X-MEN」のコミックが存在するのである。こ、これはまさか「第4の壁」を突破(=自分がコミック世界の人間であることを自覚している状態。DEADPOOLがその例)しているのか!? とわたしは興奮したが、劇中でのウルヴァリンの話によると、「そんな漫画は、事実に基づいてはいるけれど、面白おかしく誇張したインチキだ。エデンなんてものはありはしない」だそうで、どうやらこの世界ではX-MENたちの活躍は知られていて、それが漫画化されているだけらしい。なるほど。しかし、コミックを信じるローラは、エデンの存在を信じ、そこに向かうことだけを希望としている。ウルヴァリンとしては、何にもありゃしねえよ、そこに行っても失望するだけだぜ……と思いながら、ボロボロな体でエデンを目指すわけだ。
 その道中では、当然激しいバトルが繰り返される。あろうことか、X-24として、ウルヴァリンそのものといえるクローン・ミュータントまで出てきて(=だからHugh Jackman氏は一人二役)オールドマン・ウルヴァリンはもう満身創痍だ。そもそも、たまに勘違いしている人と出会うけれど、ウルヴァリンの爪は、あれは人為的に後付けされたただの武器で、ミュータントとしての重要な力はどんな傷もたちどころに治っちゃう「ヒーリング・ファクター」の方だ。それがあるからこそ、強い戦士だったわけで、本作では「ヒーリング・ファクター」能力が弱まっている。いくら爪があっても、例えるならただの中年オヤジが刀を振り回したって怖くないでしょ? そういう状態なので、あのウルヴァリンが、もうボッコボコである。そんなピンチを救うのが、まだ10歳程度の少女だ。その少女は、研究所の連中からは「特許物」と呼ばれ、製品の一つに過ぎない。しかも、ウルヴァリンのDNAから製造されており、いわば娘である。そういう意味では、明確に父と娘の心の旅路を描く作品となっているわけだ。まあ、鉄板ですわな、そういう展開は。はっきり言って、ラスト、少女がウルヴァリンを「パパ」と呼び、そして墓標の十字架を、一度抜いて、斜めに、「X」の形に直して据えるシーンはホントにもう、ジーンと感動したね。いや、マジで最高でした。これ以上ない、映画「X-MEN」の完結だと思う。
 というわけで、物語的には、これまでの映画「X-MEN」シリーズが大好きな私としては、結構突っ込みどころというか良く分からない点もあるものの、中盤からはもう大興奮&大感動してしまったわけで、それは確実に、役者陣の素晴らしい演技に支えられていると断言してもいいだろうと思う。
 まず、主人公ローガンことウルヴァリンを演じたのが、当然のことながらHugh Jackman氏。本作限りでウルヴァリン役からの引退を表明しているHugh氏だが、その言葉が守られることを切に願う。もうこれ以上の感動的なラストはないでしょ。それにしても、本当に疲れ、くたくたになったウルヴァリンをよくぞ演じ切ってくれました。完璧だったと思います。来年2月のアカデミー賞にノミネートされてもまったくおかしくないと思うな。とにかくカッコよく、最高です。
 次は、これまた疲れ切っていて、もう完全に要介護状態ですらある老いたプロフェッサーXを演じたのが、これも当然、Patric Stewart氏だ。本作では、能力の暴走を恐れながらも、ウルヴァリンのメンターとしての最後の教えを施すおじいちゃんとして、実に渋い演技ぶりだった。本作では、プロフェッサーXは「世界で最も危険な脳」の持ち主として、その能力の暴走はもはや災害みたいな認識がされている。そのために抹殺対象になっているわけだが、その設定はわからんでもないけど、一体全体、どうしてこうなった……他の仲間はどうしちゃったんだろうな……まあ、そちらの説明をし始めちゃうと、軸がぶれちゃうのかな……本作はあくまで、ローガンとローラのお話だからな……。
 で。X-23こと、ウルヴァリンのDNAから製造されたローラを演じたのが、Dafne Keenちゃん12歳。素晴らしい! 実に素晴らしい演技で、おっさん客はもう号泣必至であろうと思う。いや、わたしは泣いてないすけど。本作ではほぼ笑顔はなく、常に深刻な顔をしているし、本当にもうクライマックス直前までセリフすらないのだが、しぐさや表情は結構可愛らしく、実に守ってあげたくなる少女でしたな。凶暴だけど。その見事な演技については、わたしとしては、天才少女現る!と絶賛したいと思う。成長が楽しみなちびっこですよ。どうか美しい女優に育っておくれ……。

 はーーー。なんかもう書くことなくなっちゃったな……まあ、わたしはこの映画を絶賛したいわけだが、一つ注文を付けるとすると、本作は2029年と明確に年代が示されるが、ウルヴァリンが乗っている車だけは、若干の未来調で2024年モデルとか言っていたけど、ほかの車が、まったく今の2017年の車なんだよな……わたしは車好きなので、その点はちょっと甘いというかイマイチだったすね。ま、まったくどうでもいいことですが。未来感で言うと、ローラを追う勢力の男のメカニカルアーム(義手)とかは、ほんの些細な小道具だけど実にクオリティの高いCGで、大変良かったと思います。
 しかし、やっぱり年老いて、死が自らに迫ってくると、一番に考えることは自らの遺すもの、端的に言えば子供のことなんだろうな。死に瀕すれば、今までのオレの人生って何だったんだ、オレは一体何のために生きて来たんだ、と思うのは、ミュータントでも変わらないわけで、自分の生きてきた証、ってやつなんでしょうな。ほんと、心にしみる作品でした。ラストが最高です。

 というわけで、結論。
 映画『LOGAN』は、その背景はあまり語られず、これまでのシリーズとの関連性もかなりあいまいで、またしてもFOXがひどい「X-MEN」を作りやがった……と思ったら、中盤以降はもう最高で、感動すらある超名作であった。ほんと、マジでもうこの作品を完結作として、FOXは二度と「X-MEN」映画を作らないでほしい。そして、いつかMCUに「X-MEN」が参戦する日が来ることを、わたしとしては切に望みたいと思う。しかしHugh氏は本当にお疲れさまでした。あなたの演じたウルヴァリンは最高でした。以上。

↓ 一応、複数作品のエッセンスを取り込みつつ、メインのビジュアルイメージはコイツだそうです。マーク・ミラー氏の作品は、もはやコミックではなくグラフィック・ノベルですな。激シブすね。

 MARVELヒーロー映画は、現在DISNEY=MARVEL STUDIO謹製の、「MCU」と呼ばれる一連のシリーズと、主に20th Century FOX配給の「それ以外」に分類されるが、SPIDER-MANがSONY PicturesからめでたくMCUに組み込まれた現在、その、「それ以外」で最も重要なキャラクターが、「X-MEN」 である。
 「MCU」ことMarvel Cinematic Universに関しては以前、詳しく書いたのでもう説明しないが、 FOX配給によるX-MENの映画の歴史はもうかなり長く、1作目が公開されたのが2000年のことなので、もう16年前ということになる。公開された順番に、各作品をまとめるとこういう感じである。
 ◆2000年公開:『X-MEN』。まさかのWolvarineを主役に据え、WolvarineがProfessor Xと出会ってX-MENに加入するまでの話。なんでわたしが「まさかの」と言うのか、理由は後で。US興収157M$と大ヒット。
 ◆2003年:『X2:X-MEN United』。 純粋な続編。X-MENと宿敵ストライカーの戦いを描く。US興収214M$とこれまた大ヒット。Cyclopsの愛車の青いマツダRX-8がカッコイイ!! (けどWolvarineに勝手に使われて大破しちゃうんじゃなかったっけ? 忘れた)。おまけにラストではCyclopsが大変なことに……。
  ◆2006年:『X-MEN:The Last Stand』(邦題=ファイナル・デシジョン)。ミュータントを人間化するCUREという薬をめぐる戦い。ラストはダークサイドに堕ちたJean GreyとWolvarineの悲しいバトル勃発。実は評価がいまいち低い、のだが、US興収234M$と一番ヒットした作品。わたしは嫌いじゃない。なお、『X1』『X2』を撮ったBryan Singer監督は、この時、この作品を撮ることを蹴って『SUPERMAN RETURNS』を監督したことでも有名。
  ◆2009年:『X-MEN Origins:Wolvarline』(邦題=ウルヴァリン:X-MEN ZERO)。初のWolvarine単独主役のスピンオフ。評価は一番低い、かな。US興収も179M$と大ヒットと言っていいけれど、シリーズの中では低め。Wolvarineの悲しい過去と、彼のアダマンチウムの爪の由来もきちんと描かれていて、わたしは結構好き。悪くないと思うんだが……。そういえばこの作品で、少年時代のCyclopsと出会ってるはずなんだけどな……。
  ◆2011年:『X-MEN:First Class』(邦題=X-MEN:ファースト・ジェネレーション)。わたし的にシリーズ最高傑作。素晴らしかった。1960年代の、「第一世代」ミュータントの戦いを描く。若き日のProfessor XとMagnetoの悲しい決別が実にグッとくる。ここで、後のProfessor Xがなぜ車いすなのかも描かれる。評価はかなり高かったものの、US興収はシリーズ最下位?の146M$だった。冒頭のシーンが『X1』のあるシーンを完全再現していて超大興奮した。悪役として出てくる、わたしの大好きなKevin Bacon氏が超素晴らしい!!! また、わたしがJennifer Lawrence嬢をはじめて認識したのがこの映画。
 ◆2013年;『The Wolvarine』(邦題=ウルヴァリン:SAMURAI)。日本ロケバリバリの異色作。Wolvarine単独主演スピンオフ第2弾。あ、US興収最下位はこっちだ。132M$だったそうです。評価は悪くないけど良くもない微妙作。わたしとしても、ちょっと微妙。
 ◆2014年:『X-MEN:Days of Future Past』(邦題=X-MEN:フューチャー&パスト)。超・問題作。わたしは、正直今イチだと思っている。『First Class』の若き日の第1世代と、『X1』~『X3』の現代キャスト夢の競演!! ということでわたしも超・期待したが、かなり穴があるというか物語的に問題があって、なんと歴史が塗り替えられてしまい、『X1』~『X3』は「なかった過去」にされてしまった。わたしはもう、マジかよ……と、ただボーゼン。ただしUS興収は233M$と大ヒット、Rotten Tomatoesの評価もシリーズ最高スコア

 とまあ、以上がこれまでの『X-MEN』映画の歴史である。なんでこんなに冒頭に無駄なことを書いたかって? そりゃあ、今日、シリーズ最新作、『X-MEN:APOCALYPSE』を観てきたからである。そして、ズバリ、あまり書くことがないからである。

 相変わらず、20th Century FOXは予告が……なんというか、ズバリ、上記予告は時系列がめちゃくちゃである。まあ別にいいのかな……。おまけに、ちょっと、びっくりしたというか呆れたことに、入場時に、『First Class』を無料で視聴できるデジタルクーポンを配布していた。はああ? 『First Class』観ないで、本作を観る奴いるのか? いや、いるんだろうけど、いまさら無駄ッショ? なんでこれを、『DEAD POOL』上映時にやらなかったのか、全く理解できない。本作『APOCALYPSE』を観てもらいたい人にこそ、タダでいいから予習として『First Class』を観ておくとより一層面白いですよ、と配布すべきで、その対象者として最もふさわしいのは、まさしく『DEAD POOL』でせっかく開拓した若者客だろうに。もうチケットを買って、これから『APOCALYPSE』を観ようとする人に今更配ってどうすんだ? どういう意味なのか、ホントわたしにはさっぱり不明である。何なんだ一体……。
 ま、そんなことはどうでもいいや。本作の話に移ろう。
 本作は、前作『Days of Future Past』の続編である。前作のラストのおまけ映像で描かれた、古代エジプトに君臨していた謎のミュータントが、1983年に蘇ってさあ大変!! というお話である。以上。これ以上もう書くことがない。

 ちなみに、これは本筋に関係ないのでズバリ書くが、今回も、エンドクレジット後に、おまけ映像がある。が、もう、本当にもう……ぽかーんとしてしまうおまけ映像なので、これはもう、観なくていいんじゃないかな。今回も144分と長い映画なので、トイレが我慢できない人は、さっさと退場していいと思う。「MCU」のおまけ映像は、明確に次作へ繋がる、いわば最速「予告編」として重要なわけだが、今回は、上に貼り付けた予告動画で誰もが想像できる通り、ちらっと出てくるWolvarineの血液が、謎の男たち(原作的には、おお、あいつか!? 的なつながりがある)に持ち運ばれた……的なおまけ映像があるだけである。まあ要するに、その血液から、後にDeadpoolが生み出されたり、いろいろ利用されるわけだが、なんでも、Wolvarine単独スピンオフ第3弾にして最終作が企画開発中だそうで、そこにつながるのかどうか……若干怪しいと思う。
 実は、わたしが一番言いたいことは、この点にある。
 MCUのおまけ映像が、どうしていつも、わくわくさせる素晴らしいおまけになっているかという点が極めて重要で、それは、明確に、「複数作品で大きな視点からきちんとシリーズが考えられていて、各作品に役割が与えられ、事前にきっちりと設計されている」からであり、それ故に、次はアレか!? と観客をわくわくさせてくれるのだ。だが、このFOXによるX-MENシリーズには、残念ながらそれがない。もっと言うと、WarnerによるDCヒーロー映画にも、それがない。ないというか、あるんだけど成功していない。この違いは、おそらくは、MARVEL STUDIOが、自分自身がIPホルダーであり、「全てをわかっている」いわば原作者であるのに対し、FOXやWarnerは、そうではない、という点に由来するものなんだろうとわたしは考えている。
 だから、本作に関して言うと、わたしは十分面白かったし、結構興奮したのは間違いない。決して嫌いじゃあない、のだが、この物語を描いてしまったら。この後どうすんの? というのがさっぱり見えない物語なのだ。Professor XとMagnetoがまた仲直りして、え、じゃあもう、敵対しないの? というのは、ちょっと受け入れられないような気がするし、MagnetoとMystiqueは別の道を歩むのかよ? というのも、それはないッショ、と言いたくなる。その点では、『First Class』のエンディングは本当に完璧だったのになあ……。
 というわけで、わたしとしては、出てくるミュータントたちはとてもよかったし、『First Class』に出てきたHavok(Cyclopsの兄貴)のまさかの復活にはとても興奮したのは間違いない。けど、はっきり言ってCGによるディザスター・ムービー的な都市崩壊の図はもう見飽きているし、そもそも、今回のApocalypseは、強いんだか弱いんだか、かなり微妙な敵になってしまったのは、極めて残念だ。これは、脚本に問題アリ、なのではなかろうか。そしてそれは、長期的な視点の欠如、が最大の欠陥であろうと思う。だってもう、この先のX-MENを描けないもんね。そもそも、前作『Days of Future Past』のラストは、本作『APOCALYPSE』事件の後だし、描いても、まーたこの展開かよ、になっちゃうし。なので、わたしとしては大変残念に思う。そして、さっさとFOXは、X-MENの権利をMARVEL STUDIOに返還した方がいいと思う。もう、FOXでは無理ですよ、きっと。ついでに、Fantastic 4の権利も一緒に返還してください。それがファンが一番喜ぶことだと思うな。

 というわけで、結論。
 超・期待して観に行った『X-MEN:APOCALYPSE』だが、登場キャラクターたちは素晴らしくて大変良かったけれど、長期的視点に立つと、極めて問題アリな物語であろうと思う。それはすでに前作『Days of Future Past』で露呈していた問題だが、本作でもう、取り返しがつかなくなってしまったようにわたしには思える。なので、さっさとMCUに参加してほしいな、というのが、クソオタクとしての意見である。なお、冒頭で、『X1』の主人公が「まさかのWolvarine」と書いたのは、わたしはX-MENのリーダーはCyclopsだと思っていたためで、それは何故かというと、わたしがX-MENを知ったのは、カプコンの格闘ゲームが最初だからです。意味わからない? ああ、分からないなら、それでいいです。どうでもいいことなので。以上。

↓ タダで視聴できるといわれても……おれ、Blu-ray持ってるんですけど……。FOXのマーケティングチームの意図がホントわからねえ……。もちろん、映画として『First Class』は超最高に面白いです。
X-MEN:ファースト・ジェネレーション [Blu-ray]
ジェームズ・マカヴォイ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2014-05-16

 

 というわけで、US国内で大ヒット中の『DEAD POOL』をやっと観てきた。
 日本でも、公開土日は結構稼ぎ、恐らくは15億は越える、そして20億もあり得なくない、というような数字で開幕したわけだが、わたしは平日の夜の渋谷TOHOシネマズでいつもの通りボッチ鑑賞としゃれ込んでみたところ、さすがに渋谷だけあって、歳若い男女カップルで意外と賑わっていたのを目撃したのである。
 しかし、である。残念ながら劇場でゲラゲラ笑っているのはわたしだけ、渋谷の若者どもは実におとなしくスクリーンを見つめるという奇妙な状況でもあった。まあ、そりゃそうだろう、と思う。何しろこの映画、恐ろしく玄人向けであり、少なくとも映画道の有段者クラスでないとまったく笑いどころが分からない、極めて難しい映画だな、とわたしは思ったからだ。これは……映画道三段ぐらいの黒帯じゃないと、まあ、まったく面白くないでしょうな。というのがわたしの結論である。ちなみにわたしも、結構な頻度で繰り出されるギャグにかなり笑わせてもらったが、まあ、正直、全然人におススメしたくなるような作品ではなかったというのが正直な感想だ。というわけで、以下、ネタバレ全開です。

 まず、DEADPOOLがしゃべりまくる細かいネタは、映画道黒帯でないと意味が分からないだろうし、それを公式サイトで「トリビア」としてまとめているのは、まあ、実際のところ、無駄な努力だろう。誰も事前に読みはしないし、映画を観ている最中に理解しないと面白くもなんともないので、ド素人のゆとりKIDSには通じるはずもない。そもそも、「解説」される時点でギャグとしてはもう寒いだろうし。それよりも、最低限、以下の2つのポイントを知らないと、ダメだと思う。おそらく、渋谷に集う平成ゆとりKIDSたちは、劇場でのリアクションから察するに、まったく知らないのだろう。つまりは、残念ながら20th Century FOXは、日本におけるプロモーションの方向性を完全に誤っているんだろうな、と思った。

 1)そもそも、DEAD POOLって何者?
 原作的な詳しい設定は、Wikiでも読むか、パンフレットを買って読んでいただくとして(パンフレットはかなり詳しい解説があるので、大変読み応えアリ)、ま、要するに「X-MEN」に出てくる、(人工的に作られた)ミュータントだということである。この点で、早くも日本の平成KIDSたちには、頭の中に「?」が浮かぶことだろう。すなわち、「X-MENって?」「ミュータントって?」という根本的な「?」だ。コレが分かってないと話にならないと思う。が、めんどくさいのでもうここではそれらについて説明しません。
 そして恐らく、20th Century FOXも、日本でそれら(US国内ではまったく説明を要しないで当たり前に知っていること)を説明することは完全にあきらめたのだと思う。故に、妙なDEADPOOLの言動だけ告知し、一人称を「俺ちゃん」と訳すことで平成KIDSどもに向けたある意味でのローカライズを意図したと思うのだが、それではダメだ。まったく本質からズレていると言わざるを得ない。
 おそらく、この映画を楽しんでもらうには、別に原作を読んでもらわなくてもいいので、少なくとも映画の「X-MEN」シリーズの何本かを観ておくべきであろうと思う。なので、わたしが20th Century FOXの関係者なら、おそらく過去の映画を期間限定でもいいから、いろいろなWebサイトで無料配信して、まずはタダでも観て知ってもらうことを優先したと思う。そしてもっと「X-MEN」について認知を広め深める方向のプロモーションを企画しただろう。もうとっくに投資回収されている映画だし、夏には本編の『X-MEN:Apocalypse』の公開が迫っているのだから。きちんと、まずは基盤となる「X-MEN」を知らしめるべきだったとわたしは思う。
 思うに、今回の作品を楽しむには、映画版の「X-MEN」シリーズは全部観なくていけれど、最低限『X-MEN』『X-MEN2』『X-MEN Origins:Wolvarine』ぐらいは観ておいたほうがいいんじゃないかな。「1」を観れば、だいたい「X-MEN」が何なのかぼんやり分かるだろうし、『Wolvarine』には、まったく違う性格のDEADPOOL(となる前のWeapon-X)も出てるし。しかも演じたのは今回DEADPOOLを演じたRyan Reynolds氏本人だし。これらを観ていれば、今回の背景も少し理解が深まるのは間違いなかろう。今回出てくる全身金属のミュータントであるコロッサスは「X-MEN」の映画で言うと『3』と『Days of Future Past』にも出てくるしね。あ、『2』にも出てたっけ。
 しかし、DEADPOOLに関していえば、今回の映画での性格が、原作的には一番近いと言っていいと思う。何しろ、彼に備わった能力で、他にない唯一の力(?)と言えるものが、「第4の壁の突破」能力だからだ。普通の人には、なんのこっちゃ? だよね。そう、彼は、自分がコミック世界のキャラであることを認識していて、(作品世界と現実世界の壁を突破して)頻繁に読者に向けて語りかけるのだ。これがまあ、今回の映画でも炸裂していて、頻繁にカメラに向かって(=観客に向かって)ペラペラしゃべりまくるわけである。なお、彼のあだ名である「Merc with a mouth」とは、「おしゃべりな傭兵」のことで、Merc=Mercenary=傭兵である。コミックのタイトルでもあります。
デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)
ヴィクター・ギシュラー
小学館集英社プロダクション
2013-09-28

 とにかくおしゃべり野郎なのは、今回の映画の通りで、まあ、無理やりミュータントにされちゃったかわいそうな、そしてイカレた男なんだけれど、れっきとしたMARVELキャラなので、Avengersにも参加したことがあるし、なにかとSPIDER-MANとも絡んでくるおかしな野郎である。ちなみに、今回の映画でもさんざん銃で撃たれても治っちゃったり、腕が生えてきたりするけれど、これは、原作的な設定では、Wolvarineの能力(=治癒能力=ヒーリング・ファクター)を注射されているから。今回、ラストで恋人の前でマスクを取ったらその下にHugh Jackman氏の写真を顔に貼り付けていたというシーンがあるけど、あそこは爆笑していいシーンです。えっ!? ここまで書いても何故笑えるか分からない!? もう……あなた……なんでこの映画を観に行こうと思ったの……? その方がオレにはわからんわ!! わたしはもちろん吹きました、が、館内シーン、でした。
 というわけで、それなりの知識がどうしても必要な映画であることは間違いないと思います。
 
 2)そもそも、演じたRyan Reynolds氏って誰?
 この点については、まあ、あまり重要ではないとは思うけれど、上で書いた通り、【既に別の映画で1回DEAD POOLを演じていること(ただし性格は全然違う)】と、【DCヒーローのGreenLantarnを演じた】ということだけ知っていればいいかなと思う。これは、映画道・黒帯でなくとも既に知っている人も多い事実であろう。ごく初歩的な常識と言ってもいい。もっとも、この常識を知っていても、それほどDEADPOOLが面白くなるわけではないので、自分で書いておいてアレですが、実際どうでもいいかもしれない。今回、緑のコスチュームは勘弁、と言っているのは、もちろんGreen Lantarnのことだ。しかし、このギャグにはわたしはちょっとイラッとした。お前、自分の出た映画批判するぐらいならなんで出たんだよ、嫌なら断れよ!! と思ってしまったわけで、わたし的には映画『Green Lantarn』はそれほど酷評されるいわれはないと思っている。あの映画、相当真面目に作られていると思うのだが……。問題は、そもそもの原作がイマイチなだけで、映画としては十分アリだと思う。なお、ギャグネタがらみの『Blade3』に出演してたことはもうどうでもいいや。
 しかし……そもそもこの人、イケメン……なんですかね? わたしにはちょっと分からんというか……なんか、若干特徴がありますよね。何なんだろう……若干寄り目なのかな? 正直、わたしの審美眼からすれば、この人はどっちかっつーとイケてないと思うのだが、おそらく、わたしがこの人の芝居で一番印象的だったのは、Sandra Bullockさんと出演した『The Proposal』じゃなかろうか。日本での公開タイトルは『あなたは私の婿になる』という作品で、どうやら世間的評価は低い作品のようだが、わたしは、まあロマンチックコメディとして結構面白かったと思っている。

 というわけで、以上のことを知らない平成KIDSどもが観て楽しめたのかどうかはわたしには良く分からない。なので、そういう背景をまったく考慮せずにこの映画はどうだったのか、と考えると、はっきり言えばごく普通のB級アクション以上のものではないと言えるだろうと思う。物語を要約するとこうなる。
 街の傭兵として生きる男が、ある日とある女性と恋に落ちる。が、これまたある日、自分が重篤なガンにかかっていることも判明する。すると、ある男が、ガンを治せる方法がありますよ、と近づく。胡散臭い野郎で得体が知れないけど、まあ、それじゃお願いしますわ、とその男の元へ行く。すると、謎の注射をされる。そして、注射した謎物質を活性化させるためには、肉体的な苦痛を与えないとダメ、とあと出しじゃんけんで言われ、拷問される。で、散々拷問を受け、どういうわけかあらゆる傷も治っちゃう無敵BODYを手に入れる。が、その代償として、全身ケロイドめいたagryな姿に。どういうこっちゃ、あの野郎、ゆるさねえ、オレの顔と体を綺麗に戻しやがれ!! と復讐する。
 とまあ、こんなお話である。ね、普通ッショ。つか、B級臭がぷんぷん漂ってますな。それでも、やっぱり面白くて笑えるのは、どう考えても、主人公DEADPOOLがX-MENキャラで有名だからという理由以外ないと思うのだが、それを知らない人が観て面白いのか、わたしにはさっぱり分からんのである。会話としての面白さは、連射されるギャグの元ネタが分からないとダメだろうし、物語的な面白さはそもそもの背景を知らないとわからんだろうし……しかし映像はとても良かったし、その点では、低予算映画と言ってもやはり非常にクオリティは高くて、見ごたえは十分である。本作は、どうやら予算規模は5800万$(=約62億円)だそうで、今やMARVELヒーロー映画は1.5億$~2億$が当たり前なので、邦画の予算からすれば62億円は巨額で邦画なら10本は撮れてしまうけれど、ハリウッド的には、普通かやや安いぐらいの予算規模といえるだろう。
 また、ストーリー展開も、大乱闘のワンシーンから、なんでこんなことになった? と時が巻き戻る形式で、実際良くあるパターンではあるが、これはいわゆるハードボイルド小説なんかでよく使われる手で、主人公の一人称によるぼやきも含め、意外とDEADPOOLというキャラクターにマッチしていて、小気味良い演出であったと思う。まあ、その辺も、平成ゆとりKIDSどもにはまったく通じないと思いますが。

 というわけで、もう飽きてきたのでぶった切りで結論。
 映画『DEADPOOL』という作品は、はっきり言って玄人向けである。映画道・三段以上の黒帯所持者向けであり、白帯の初心者には太刀打ちできないと思う。なので、まずはきちんと勉強してから観てもらいたい作品だな、と思うのである。ちなみに、なんですが、わたしが一番笑ってしまったのは、「ワムじゃねえよ、ワァムッ!だよ!! もう、わかってねぇなー」という台詞でした。まったくその通りだと思います。以上。

 ※2016/06/20追記:3週目までで興行収入的には15億を超えているようなので、さんざんわたしは日本の若者にはどうなんだろう、と書いてきたけれど、全然平気のようで、きっちり売れている模様。そういうもんなんだなあ……わかってねえのはわたしでした。


↓ そもそも、映画道・黒帯の有段者にとって、DEAD POOLと聞いたら先にこっちが思い浮かぶはずです。こちらは、わたしとしてはシリーズで一番……イマイチかなあ……。わたしは字幕絶対主義者ですが、イーストウッドの古い作品は、やっぱり「不機嫌なルパン」こと山田康雄さんに限りますね。
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