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 最近全然映画に行けていない。その理由はズバリ、母の介護のせいだ。2019年初頭に脳出血で救急搬送され、その後懸命のリハビリで2020年は平穏に過ごせたものの、2021年初めから再び入院、2021年末にやっと退院して、2022年11月現在までの11カ月、わたしはほぼ動けなくなってベッド生活となってしまった母を自宅で介護している。その結果、全く時間がままならず、何だか観に行く計画を立てている段階で、もういいや、と思えてしまうからである。そして時間が見事にはまって観に行くことが出来ても、鑑賞中になんか電話がかかって来るんじゃないか、とか、妙に気疲れしてしまって、楽しめないためだ。まあ、宝塚歌劇はその辺りは別格ですよ。劇場に入ったら何もかも忘れて楽しむことが出来るので。
 なので、数年前まで年間40本ぐらい劇場へ映画を観に行っていたわたしも、このところ年間12本とかそんな感じに減ってしまった。そして、映画を観ても、感想をこのBlogを書く気力もほとんどなくなってしまった。そう、実はこのBlogに感想を書いていない、けど観た映画は結構あるのです。
 けれど、一応、MCU、すなわちMARVEL CINEMATIC UNIVERSの作品だけは、こうして感想を綴ろうと思っている。
 というわけで、今日は昼前に仕事を切り上げ、ケアマネさんからまた電話かかってきたりしねえかなあ、とか不安な気持ちのまま、会社からほど近い日比谷TOHOにて、『BLACK PANTHER WAKANDA FOREVER』IMAX3D版を観てきた。
 わたしがこのBlogを書き始めたのが2015年の9月ぐらいで、それ以降のMCU作品は全部感想を書いてきているわけだが、確か一番最初に感想を書いたMCU作品は『ANT-MAN』だったと思う。そして当然、前作である『BLACK PANTHER』に関しても公開当時に感想を書いた。その時、わたしがBLACK PANTHERというヒーローについて感じたのは、ズバリ言うと失望だ。さらに、続く『INFINITY WAR』でも、やっぱりわたしのBLACK PANTHERというヒーローに関するガッカリ感は払しょくできなかったのである。初登場した『CIVIL WAR』では最高にカッコ良かったのにね……。
 しかし、世間的には、『BLACK PANTHER』という作品は単独ヒーロー作品では断トツの興行成績を誇り、評価も極めて高い。恐らくその背景には、US国内にこびりつく人種問題があるのだろうと思うが、正直わたしにはそんなことは全く評価に影響を与えるものでない。
 説明すると、わたしは、以下の2点について、なーんだ、コイツ、ダメじゃん、とか思ってしまったのである。すなわち……
 1)正々堂々としたタイマン勝負で負けて、王座を奪われた。そして妹や母に助けられて、謎薬物(=ハートのオーブ)摂取と妹謹製(だっけ?)の新スーツ着用でやっと王座を取り返す。もうこの時点で、わたしは超ガッカリ。弱い。弱すぎるよ……あの時、もう一度鍛え直して、再び正々堂々の勝負をして勝つという展開なら文句なかったけれど、アレじゃあダメだろ……。なお、わたしとしては、王座を奪われたとき、親衛隊長が「わたしはあなた個人に仕えているのでななく、王に、国に仕えているのだッッ!」的に毅然とした態度だったのは実に見事だったと今でも思う。間違いなくそうあるべきで、とてもカッコ良かった。
 2)戦略がなく、いつも出たとこ勝負の成り行き任せに見える行動は、わたしには王の器にあらず、と思えた。わたしが一番ひどいと思ったのは、INFINITY WARの際のワカンダ大バトルのところで、あの時の勝利条件は、もう明確に、VISIONさんを守ること、ただそれだけに尽きるはずなのに、肝心のVISIONさんは戦闘力の乏しい妹に任せ、自分は全く戦況に影響しないザコ敵相手に暴れても、まったく、無意味だったと思う。まあ、強いて言えばあの場面で一番悪いのはCAPで、強いコマである自分たちがザコ敵を相手にする意味はゼロだったね。
 とまあ、こんな理由で、わたしはBLACK PANTHERというヒーローについては全然評価していない。そんなわたしが今日観に行った『BLACK PANTHER  WAKANDA FOREVER』という作品だが……結論から言うと、わたしにとってはやっぱり、良かった部分も当然あるけれど、ちょっとなあ……と結論付けざるを得ないと思う。
 もちろん、これまでBLACK PANTHERというヒーローを演じてきた、Chadwick Boseman氏が若くして亡くなったことに関しては、とても悲しいし残念だし、心からの冥福を祈りたいと思う。そして、本作においてBoseman氏への追悼を随所にうかがえる点は素晴らしいと思う。本作が、見事に哀悼の意をささげている作品である点は間違いない。だけど……物語的には若干問題アリ、だとわたしには思えてしまったのも事実だ。
 まずはちょっと予告を貼っておこう。つうか、まだ本作を観ていない方は、以下、ネタバレに考慮するつもりはほぼないので、この辺で退場してください。さようなら。まずは観に行ってください。話はそれからだ。

 さてと。物語としては、王を喪ったワカンダという国に、海から新たな脅威が迫る! というお話だ。その基本プロットに関しては、全く文句のつけようもなく、わたしはかなり楽しみにしていたのは間違いない。
 けれど……わたしが観ていて、これってどうなの……と感じたのは、やっぱり以下の二つに尽きるように思う。
 ◆母である女王ラモンダの行動について
 まず、BLACK PANTHERというヒーローが初登場した『CIVIL WAR』においては夫を亡くし、そして本作では息子を亡くした、実に気の毒な女王ラモンダについてだ。
 そりゃあ当然悲しいことだし、おまけに世界各国はうっとおしくヴィヴラニウムをよこせとか言ってくるし、さらに、娘を拉致されてしまっては、そりゃあもう、イライラと悲しみで正常な判断ができない状態だったのかもしれない。
 けれど、だ。やはり、女王としては失格だったとしか言いようがないと思う。
 というのも、今回の海底王国との戦いは、明確に、女王が先に引き金を引いたとしか思えないからだ。女王として、自ら治める国よりも、母として、娘を優先させてしまった結果、戦争が起こったわけで、明らかに問題があると思う。もちろん人間として同情の余地があるにしても、だ。
 さらにわたしが、えっ!?と驚いたのは、親衛隊長オコエに対する対応だ。女王は、息子が王座を奪われたときにオコエが新王キルモンガーに従ったことがいまだに引っかかってたらしく、「アレは許した、けど、娘を守れなかったことは許せない!!」と激怒して、オコエをクビにしてしまうのだ。
 うそでしょ!? とわたしは椅子から転げ落ちそうになるぐらいびっくりしたよ。オコエは、女王個人の私兵じゃあない。女王という存在を守るものだと思う。もちろん、現在の王族である娘を奪われたことの責任はとる必要があるのは当然だ。だからそれでクビ、ならば、まだかろうじて理解できなくもない。でも、ここであの時味方しなかったことを、「アレは許す」とか言う必要ないでしょ。オコエは、ワカンダという国家の王に従う親衛隊長だぜ? あの時、オコエは親衛隊長の義務として新たな王に仕えたわけで、当時王座から転落していた一族に非難されるいわれはないし、許される筋合いの話でもないと思う。完全に当てつけ、あるいは報復人事なのでは? それに、海底王国に対抗する戦力の貴重なコマの一つであるオコエを解任して、自ら戦力低下を招くのはどうなの?
 わたしはワカンダという国家の政治形態がよく分からないのだが、確かに、各部族の長達からなる議会的なものがあるみたいだけど……わたしはこの、女王がオコエに対して激怒するシーンを見て、なーんだ、ワカンダって、要するに完全なる独裁国家で、法が機能する近代国家ではないんだな、と思えてしまった。まあ、前作でも、タイマン勝負で負けても「泣きの一回」を強引にやらせてるわけで、わたしは本作を観ながら、やっぱ世襲ってのはろくなことがねえなあ、とか思ってしまった。やはり、強力な能力を持つ個人に依存する組織(あるいは国家)というものは、もろすぎるね。
 それがとても残念に思った点の一つだ。WAKANDAでは死は終わりじゃないって教えはどこ行っちゃったんだよ……。ティ・チャラだって、父を殺したジモを最終的には法の裁きに委ねることで怒りを納めたじゃない。あのCIVIL WARでのティ・チャラは本当にカッコ良かった。女王には、常に冷静でいてほしかったなあ。。。
 ◆天才科学者であり妹であるシュリの行動について
 シュリは、その天才的な科学知識と能力によって、ある意味伝統を軽視している。死が終わりじゃない、というワカンダの教えも受け入れられず、ずっと兄の死を受け入れられないでいる。あまつさえ、世界を焼き払ってしまいたいと思うほど、悲しみに暮れている。極めて不安定で危険な思いだけれど、それはある意味ごく普通の感情で、我々にも理解できるものだろう。そういう意味で、ワカンダという特殊過ぎる環境からはずれた、普通の考え方をする人だ。実際その能力は普通じゃないけど。
 そして海底王国に拉致されてからも、海底王国を理解しようと努め、和睦の道を探ろうとする姿勢も、まさしく次期国王の器をもつ人間だと、わたしは評価したいと思う。わたしは、シュリとネイモアが海底王国を巡るシーンを見て、まさかこの二人が恋に落ちる展開なのか!? とドキドキしたぐらいだよ。
 しかし……母=女王を殺されてからの展開は、ちょっとマズいよね……我を忘れて復讐に乗り出すのは、人間として理解できても、次期女王という役職としては、容認できないよな……やっぱり。
 明らかに海底王国は、「やったらやるからな?」と警告していたのに、先に引き金を引いたのは、明確にワカンダ側だ。シュリは父、兄、そして母を立て続けになくして、もうそれこそ世界を焼き払いたいぐらいの気持ちになってしまったのだろうと思う。でも、やはり当初の流れのまま、戦いを抑える方向で頑張ってほしかった。
 わたしはこの展開を観ていて、現在現実世界の東ヨーロッパで起きている戦争を思い起こした。もちろん、悪いのは大国側だろう。しかし、確実に大国側は、開戦前に「やったらやるからな」という警告をさんざん送っていたはずだ。そして小国側の大統領は、確実に、開戦したら自国民がどれだけ死ぬか、シミュレーションしたはずだ。してなかったらびっくりなほど無能だよね。そして、そのシミュレーションではじき出された「失われる自国民の命」よりも、自国の意地なのか利益なのか知らないけれど、命よりそっちが大事、という判断があったからこそ、大国の警告を無視して、戦争状態に突入してしまったわけで、その時点で小国側の大統領も、大国の大統領と同罪であり、非難されるべきだとわたしは思っている。きれいごとかもしれないけど。
 シュリもまた、そういう意味では、やっぱり褒められたものではないと思う。まあ、シュリは海底王国と開戦したら自国民がどれだけ死ぬかなんて考えてない衝動的な行動だったんだろうけど、だとしたらもっと罪深い。王としては。
 もちろん、やられっぱなしで我慢しろと言ってるわけではなく、シュリにはまず先に、心を尽くした解決への努力が、母を殺される前に必要だったのではなかろうか。本作では、どう考えても海底王国はむしろ被害者で、シュリも最初は同情的で解決策を模索したのに……最終的にはいつもの大バトルになってしまったのは、とても残念だ。
 とはいえ、最終的には、歯を食いしばりながら怒りを制御して、きちんと落としどころをネイモアに示し、戦いを終わらせた姿勢は極めて高く評価できる。でも、そこに至る最終バトルは……映画的に必要な見せ場かもしれないけれど、もうチョイ、タイマン勝負とかやりようはあったのではなかろうか。お互いに人命もたくさん奪われ(?)、和解の代償として高くつきすぎたね。。。
 ところで、シュリが次期BLACK PANTHERになることを決意して、謎の合成麻薬で視た世界に、キルモンガーが登場してきたのはいったい何故なんだろうか? 先祖に会うはずなのに、出てきたのはキルモンガー(=現状では父の弟の子供=いとこ)。本作で最大のサプライズだったと思う。
 わたしは、ははあ、ラモンダ女王がシュリに言おうとしたことはこれか!? と思った。というのも、女王がシュリに何か話をしようとしたところでネイモアが現れ、話が途切れてしまうシーンがあるのだが、あそこで、女王が言おうとしたのは「実はお前は私の実の娘じゃないのよ」的な秘密の暴露だったのではないか? と思ったのだ。そして実はキルモンガーこそがシュリの実の兄だったのでは? と思った。
 けど、これはたぶん間違ってる。というのも、ミッドクレジットシーンで、実は兄には息子が生まれていた、ということが明らかにされるわけで、このこと(=シュリには実は甥っ子が誕生していた)を女王はシュリに言おうとした、のが正解なんだろう。
 だけど、だとしたら何故キルモンガーが出てきたのか……ここは明確な理由が欲しかったと思う。示されていたといても、わたしは全く分からなかったです。

 とまあ、以上が本作に関するわたしの感想だが、もちろん、良かった点もある。
 ◆ネイモアについて
 ちょっとその誕生のオリジンストーリーはいろいろツッコミどころも多いし、妙に現代社会を糾弾するような社会的政治的メッセージが鼻につくのはアレなんだけれど、王としての振る舞いはキッチリしていて好感が持てました。しかも、自らを「ミュータントだ」と言うのは驚きだったすね。X-MENへの布石なんでしょう。今後ネイモアがどのようにMCUに絡んでくるのか分からないけど、楽しみなキャラクターですね。つうか、足の羽根、あれって、足に生えてる体の器官なんすね。わたしは予告を観た段階では、なんらかの超技術によるデバイス的なナニカかと思ってた。でもあの超高機動は、生物的器官にはちょっと無理じゃね……。
 ◆リリ・ウィリアムズ=アイアン・ハートについて
 本作で初めて登場した彼女も、いいキャラクターだったと思う。ちょっとその能力がぶっちぎりで凄すぎて、チート級なのはアレだけど、MITの学生ということで、当然SPIDYとのからみが今後期待されるキャラですな。ピーター君はあの後、どうなっちゃうんだろうなあ……ピーター君とリリが今後出会わない理由はもはやないっすね。まずはネッド君とMJのお二人さんが、先に出会ってよろしくしといてくれよ!
 ◆ヴァルについて
 まさかあのヴァルが、CIA長官であり、ロスの元妻だったとは驚いたですねえ! 初登場シーンで、あれっ!? この人って……とずっと思ってたけど、ヴァルと呼ばれて初めて、あっ!? あのヴァル? と認識したわたしはファン失格です。相当ビックリでした。つうか、CIA長官という職位は、普通は政治任用で、現場の作戦行動能力より政治的忠誠心で登用されるんだけど……。ともあれ、ロス君はワカンダに亡命するのかなあ……。今後公開されるサンダーボルツにどんな影響があるのか、見ものっすね。

 というわけで、言いたいことがなくなったので結論。

 MCUのPHASE-04最終作となる『BLACK PANTHER WAKANDA FOREVER』をさっそく観てまいりました。そもそもわたしはBLACK PANTHERというヒーローを全然評価していなかったけれど、それとは関係なしに、BLACK PANTHERというヒーローを演じてきたChadwick Boseman氏が亡くなったことはとても悲しく残念に思っており、果たしてティ・チャラ=Boseman氏亡き後のワカンダはどうなっちゃうのか、という点が最大の関心事でありました。そして本作で描かれたのは、なんだか個人的復讐が前面に出てしまっていて、わたしとしてはかなり問題アリだと思う。これがアメリカ的正義だというなら、人種問題よりもよっぽど深刻な問題ではなかろうか。やはり、主人公には、正しくあってほしいし、あやまちは素直に認めて、正しい方向を向いてほしいと思う。その点では、ティ・チャラは、作中でも言われた通り、「高潔な男」であり、立派だったと認めたい。CIVIL WARの時は、ね。そして次代を担うシュリも、どうか高潔な兄に恥じない人間に成長してほしいと心から願う。いずれにせよ、次が楽しみになる、という点では、やはりMCUはおもしれえな、と最終的には思いました。以上。

↓ ヴァルが何者かを知りたければ、今すぐDisney+に入会するしかないです。『FALCON AND THE WINTER SOLDIER』のパンフが劇場で売ってたのは、そういうことだったんすね……。

 このBlogでずっと書いているように、わたしはMCU、すなわちMarvel Cinematic Universの一連の作品が好きで、ずっと観続けているわけですが、現在進行中のPHASE-4に関しては、正直、なんかなあ……という気持ちでおりました。
 というのも、PHASE-3までは、インフィニティ・ストーンをめぐる物語ということで、その軸がしっかりと設定されていて、ブレがなかったわけですが、どうもPHASE-4に入ってからは、その軸が見当たらず、場当たり的な印象を受けるから、であります。一言で言えば、(現状では)つながりが見えない、ということです。
 とはいえ、恐らくは今後の進行によって、そういうことだったのか!! と我が頭脳の愚かさに気づかされることになる可能性は高く、まあ、とりあえずおとなしく見続けるしかあるまい、と思っています。
 ところで、実はわたしとしては、PHASE-3までの作品の中でも、やけに世間的に評価の高い作品が、わたしにとってはかなりイマイチに思える現象があって、例えば『BLACK PANTHER』などは、主人公が意外と弱いしカッコ悪くて、好きになれないと思えたりすることもあります。
 さらに言うと、『THOR:RAGNAROK』という作品は、せっかくわたしが大好きなCate Blanchett様を凶悪なVillainに起用しているのに、クソつまらんギャグや妙なキャラ変で、すっかり台無しにされてしまった、と思っていました。
 それゆえ、今般公開されたMCU第29作品目であり最新作である『THOR : LOVE & THUNDER』に関しても、どうせまたくだらねえギャグ映画になっちまったんだろ、つうか何百年(1500歳ぐらいだっけ?)も生きてる神様的な男が、今さら自分探しって、極めて幼稚というか、アホかっつうの! とか思ってましたし、『END GAME』でデブって引きこもった雷神THOR様には心の底から失望しておりましたので、新作公開にも全く期待しておりませんでした。
 だけど……のっけから結論を言うと、超最高!! だったすね!!
 いやあ、もう、素晴らしい物語でありました!
 というわけで、以下ネタバレに考慮せずに書くので、まだ観ていない方はここらで退場してください。さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか。
 DISNEYによる公式予告は、数カ月後に削除されるので、別にUPされている予告を貼っておきます。
 この予告を観た時も、「またクソつまらんギャグが滑りまくってんな」としか思ってなかったわたしでありますが、公開された本編は――確かにどうでもいい寒いギャグは多かったけれど、ほぼ本筋には関係ないどうでもいい要素だったのでスルーします――実に深い、しかも泣かせるお話でありました。
 もう物語の要約はしませんが、本作の最大のポイントは、いわゆる「神の沈黙」という大問題であるとわたしには思えました。
 簡単に言うと、神様を信仰して、祈り、供物をささげ、神への深い信心を抱いていようと、神様は答えてくれない。なんでなんだ! どうして助けてくれないんだ! ってやつです。
 この映画の凄いところは、その信仰の対象たる神様たちを実体として登場させ、さらにその神様たちを「ああん? 人間のことなんざ知らねーよ!」という恐ろしく怠惰で無情な存在として描いたことにあるのではないでしょうか。これは凄いよ。マジビビったわ。。。
 本作でのVillanとなるゴアという男は、神様に一生懸命仕え、祈りをささげ尽くしたというのに、無情にも彼の住む惑星は滅び、愛する娘も死に至りました。そんな絶望にある彼が出会った神様は、彼をせせら笑うだけで無関心。そりゃ誰だって怒るよね。神と名乗るモノは全員ぶっ殺す! もう完全にNINJA-SLAYERですよこれは。神を殺せる「ネクロソード」に魅入られた彼が、神様殺しを誓うという展開は、実に自然だし、そもそもネクロソードに操られたとも思えない。ネクロソードを単に武器としか思ってないわけですが、一つ言うなら、そのネクロソードはだれが何の目的で作ったのか、は明かされず、その点は若干モヤモヤします。
 ともあれ、「神殺し」を誓った男にとっては、神様の端くれ(と言っておこう)であるTHOR様も、一応その標的になりますので、ここでバトルが生まれるわけです。
 で。
 もう一つ、本作でのポイントは、THOR様の永遠の恋人、ジェーンの身に振りかかる災難が描かれたことです。確か『RAGNAROK』でチラッと地球にやってきた時、THOR様はジェーンとは別れたとか言ってましたが、そのジェーンがステージ4のガンに侵されていたのでした。本作では、別れる前の二人のイチャイチャ振りも回想として描かれますが、まあそれはどうでもいいとして、どうやらTHOR様は、ムジョルニアに、ジェーンを守ってやってくれよな、とか言い聞かせていたらしい。そしてジェーンも、ムジョルニアには健康と力をもたらす的なことが書いてある文書を読んで、ノルウェーだかどこかに建国された「ニュー・アスガルド」に保管してある、『RAGNAROK』でぶっ壊されたムジョルニアのもとを訪れ、その力によって「マイティ・ソー」に変身する力を得ることになります。
 つまり、ゴアはネクロソードによって神を殺す力を得、ジェーンはムジョルニアによって超人パワーを得たわけです。
 しかし、それには代償が求められました。ネクロソードは、どうやら優しいお父さんだったゴアの精神をどす黒く塗り替えてしまったし、ムジョルニアは、ジェーンの肉体からガンに対抗する体力を奪いました。なので、ジェーンはムジョルニアを手放すとぼろぼろに衰弱した体になってしまう、というこれまた非常に非情な二者択一です。
 ただ、前述の通りわたしにはゴアがネクロソードに操られているとは見えませんでした。ゴアはゴアの意志によって神殺しを誓ったのだと思う。そしてジェーンも、ジェーンの意志によってムジョルニアの力を受け入れ、マイティ・ソーとして戦うことを選ぶわけです。たとえ自分の肉体が滅ぼうとも、愛するTHORを守るために、わたしはムジョルニアを手にするッ! この二人の「人間」による決断が見事だとわたしは思うのです。
 神様なんて、無責任で怠惰で信仰に値しない、けれど、その神様に対抗できる力があるなら、どんな代償を払ってもその力を利用する。そしてその選択は、あくまでも神様なんて関係なく、人間自身の意志によって! という点が、わたしはとても感動したっすね。地獄のような毎日を送るわたしには、深く共感できるお話でした。そうです。つまりわたしには、ゴアは全く悪い奴には思えなかったわけです。むしろ、そんな神様なんてふんぞり返ってる連中は全員ぶっ殺せ! と応援すらしたくなりました。
 というわけで、わたしにとって本作は、神殺しの力を得た男の復讐と、神に匹敵する力を得た女性の愛の物語、という評価になりますので、主人公たるTHOR様は、相変わらずガキくさい分別のない筋肉男としか思えず、とんだお坊ちゃまだなあ、という評価は覆らなかったす。
 そしてもう一つ、本作ではすごい描写がありました。な、なんと! 神話で最高神と呼ばれるゼウス様が登場するのです! しかも、どうしようもないたるんだ腹のバカオヤジとして! おまけに言うと演じたのはレオニダス様でお馴染みRussell Crowe氏ですよ! あの描写は、ギャグなんだろうけど、まあ笑えなかったすね。逆にわたしもゴア並みに怒りが増すばかりで、もしわたしも神殺しの力を得たなら、即ぶっ殺すだろうというようなバカ殿ぶりで嫌になったす。
 つうかですね、MCU的には、すごい謎が深まるばかりなんですよ。そもそも地球上に伝わる神話の類は、ETERNALSの一人、スプライトが創造したお話なんじゃなかったっけ……。実在したんだ……しかもなんか、アリシェム・ザ・ジャッジらしきセレスティアルズの連中もいたし、なんなのこれ……と困惑せざるを得ないす。しかもエンドクレジット途中のおまけシーンでは、本作では散々痛い目に遭ったゼウスが、息子のヘラクレスに、THORをぶっ殺せ、と、この恨みはらさでおくべきか、メラメラメラ……的に怒ってるし、もうわけわからんす。
 こういう、もはや人間が頑張って何とかできるレベルを超えている要素をまき散らしているのが、わたしがPHASE-4に感じるモヤモヤというか、なんだかなあ、的感想をもたらす原因なんだけど、どう収拾をつけるのか、全く想像がつかないですな。つうかもう収拾つかないのではなかろうか。。。
 とまあ、こんな感じがわたしの感想であります。
 もう役者陣はレギュラー陣が多いので、今回の新キャラたるゴアを演じたChristian Bale氏のことだけ書いておきます。もう一言で言えば、最高、一人だけ演技のレベルが違うと言えそうなぐらい見事だったですな。Bale氏の「えっ……!? 何言ってるんですか?」的な唖然とする表情がすごくイイですね。そこからの、「ふざけんな!!!」という怒りへのギャップが凄いと思います。ラストで愛する娘をTHORに託す、優しいお父さんに戻れてよかったね。実に見事なパフォーマンスだったと賞賛したいと思います。
 あと、GUARDIANSの面々も、ほんのチラッとしか出演しなかったのも良かったですな。ガッツリ物語に絡む必要はなく、あの程度のチラッと出演で十分だったと思います。それから、今回もアスガルド演劇団の面々を演じたMatt Damon氏やSam Neill氏たちが出てきて、この人たち、サノス襲撃で死ななかったんだ、となんかテキトーな設定に笑いました。『END GAME』でも思ったけど、意外と生き残り多いっすね。そしてエンドクレジット後のおまけ映像では、死後の世界のヴァルハラでの描写で、あのヘイムダルも登場してきたので、まさかと思うけど今後死んだキャラたちも登場する可能性あるのかな? と、ジャンプ漫画のようなテキトー設定は笑っていいのか楽しみにすべきなのか、もうよく分からないっす笑
 なんつうか、MCUはやっぱりトニーのようなTECHヒーローがいないと、人類の手で何とかするという部分が薄れてしまって、面白みが半減してしまうような気がしてならないすね。その点では、おれたちのANT-MANの次回作に超期待したいすな!
 というわけで、もうとても人類が対抗できそうにない世界に広がりつつあるPHASE-4に関して、ちょっとまとめておこうかな。
【劇場公開作品】
 ◆BLACK WIDOW:まあ実際のところ、面白かったけど過去の話なのでもうどうでもいい。この作品で語られた妹エレーナが今後どう活躍するか、だけ。
 ◆SHANG-CHI:謎テクノロジーの「テン・リングス」というアイテムが、だれが何のために作ったのか、という謎が残る。現状では、謎の信号を発しており、キャロル(CAP MARVEL)すら知らない未知のパワーを持っているらしい。主人公自身はその謎アイテムを使っているだけなので、別にどうでもいいというか、魅力は感じない。妹の方のその後が気になる。
 ◆ETERNALS:地球上にいろんなものを残したままで、MCUヒーローたちがそれを(今のところ誰も)調査したりしてないのが気になる。肝心のETERNALSの連中は宇宙に旅立った連中と、アリシェムという宇宙の創造主(?)の一派に連行された連中に分断されていて、どうなったのかよく分からん。そして、ヒロインであるセルシの恋人が後にBLACK KNIGHTになりそうで、さらにBLADEともつながりそうな気配。
 ◆SPIDER-MAN : NO WAY HOME:最高に面白かった。盲目の弁護士でお馴染みDAREDEVILの登場はビビったすね。そしてなにより、ピーター君のその後がとても気になります。
 ◆DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS(MoMと略します):超微妙作。とりあえず悪の大魔王に堕ちてしまったワンダ討伐は、ある意味ワンダの自殺で完了した。一方ドクター本人は、第3の目が開眼し、ダーク・ディメンジョン?に行っちゃった。
【Disney+作品】
WANDA VISION:とりあえずウエストビュー事件は解決した。そして反省したはずのワンダはMoMで悪の大魔王となり昇天(?)。ただし、黒幕たるアガサがどうなったのかはよく分からんし、この作品で、キャロルの親友マリアが死亡していることが判明、さらに娘のモニカが謎パワーを得てスーパーヒーロー化したのは要チェック。
THE FALCON&THE WINTER SOLDIER:CAPに託された盾の重圧に悩みまくったファルコンことサムがやっと2代目CAPに就任。そして相棒のバッキーは最初から最後までイイ奴で、カッコ良かったし、洗脳された暗殺者時代の罪を償おうと頑張ったのが感動的でした。この作品では、元S.H.I.E.L.D.のシャロンがどういうわけか悪い奴になっており、今後の動向が心配です。さらに、エレーナをスカウトしたヴァルがまた暗躍しているようで、その動向も謎。
LOKI:END GAMEの時間泥棒中の2012年NYCからちゃっかり抜け出したLOKIのその後が語られたが、「神聖時間軸」の番人(=在り続けるもの=カーンの変異体?)をロキの変異体であるシルヴィがぶっ殺したことでカオスな状態に。このカオスがMCU世界にどう影響しているのか、正直よくわからん状態に。
What IF...?:初のアニメ作品。もしもの世界を描いた作品で、まあどうでもいいかな。
HAWKEYE:普通の人であるホークアイが、ローニン時代の落とし前をつける話で、まあ正直どうでもいい。ホークアイの後継者になりそうなケイトや、エレーナも登場。そしてDEADEVILのVillainであるKINGPINは登場するし、ECHOも登場するしで、ちょっと広げ過ぎなのが気になる。
MOON KIGHT:エジプトの神様総出演でもう大混乱。めずらしくロンドン在住ヒーローなので、ETERNALSのセルシの恋人、のちのBLACK KNIGHTと出会えるかもね。
MS. MARVEL:今週最終回。こちらもいろいろつながりがありそう。テン・リングスとは明確につながってるみたい。まあ、ヒロインには特にコメントはないです。来年公開予定?の『THE MARVELS』に登場することは確定してるみたいですな。

 というわけで、超脱線したのでさっさと結論!

 MCU第29作目である『THOR : LOVE & THUNDER』をさっそく観てまいりました。正直、全く期待してなかったし、アホさくいギャグはバカバカしいというか、全く興味はなかったけれど……描かれた物語は実に感動的で、Villainであるゴアというキャラクターは素晴らしかったし、永遠の恋人ジェーンの感動的な選択にはグッとくるものがありました。まあ、神様的な存在は、実際のことろ人間に興味なんて持っておらず、享楽的な毎日を過ごしているんだということを、そのものズバリな映像で観せられると、ホント、怒りを感じますね。ふざけんなと言いたいし、神に立ち向かったゴアは、とても人間らしい素晴らしいキャラクターだったと思う。わたしの座右の銘は、ラオウ様の「ならば神とも戦うまで」というセリフなんすけど、まさに神と戦ったゴアは、ラオウ様的カッコ良さがありました。えっ!? THOR様はどうだったかって? ええと、あんたさ、1500歳だか何だか知らんけど、いつまでもガキくさいこと言ってないで、ちゃんと大人になりなさいよ。本作ラストでは、ちょびっとは成長したみたいなので、まあ、相当今更だけど、今後とも地球をよろしくお願いします! 以上。

↓ わたしにとって今のところのMCU最高傑作は、やっぱり『CIVIL WAR』っすね。

 なんつうか、観終わった瞬間、ああ、こりゃあ前作のScott Derrickson監督は手ぇ引くわ、とわたしは思った。それほど、前作とはもう全然変わっちゃったな、という作品になり果てており、わたしとしてはかなり残念に思っている。
 なんのことかって? わたしの大好きなMarvel Cinematic Univers最新作、『DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS』の、偽らざる感想である。この映画は、わたしとしてはMCUの中でも相当下位に位置するイマイチ作品だったと言わざるを得ないのが1回観て感じた結論だ。
 まずは予告を貼っておこう。Disneyの公式予告はすぐ削除されちゃうので、公式じゃないところにUPされたものを貼っときます。

 本作の予告は、公開が近づくにつれ、だんだん情報量が増えて行ったわけで、わたしも新しい予告を観るたびに興奮は高まっていたのは間違いない。うおお、マジ早く観てーぜ! と、本当に超楽しみに昨日はIMAX Leser 3D版を観に、劇場に向かったわけだが……。。
 本作の感想を、どうまとめたものかと思案したのだが、やはりもう、ポイントごとに箇条書きで書き連ねてゆくしかないと思うので、さっそく初めてみようと思います。
 もちろん、ネタバレには配慮せずに、思ったことを書いてゆくので、また見ていない方はこの辺で退場してください。検索してこんなBlogを読んでいる暇があったら劇場へ今すぐ行くべきです。さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか。行きます。

 ◆テレビシリーズの視聴が必須な物語
 わたしとしては、MCUというシリーズは、その名の通り「Cinematic」である点が大いに魅力であり、あくまで「映画館の大画面・大音量で観るべき」作品だと思っていたけれど……『END GAME』以降、Disneyは、自らの配信サービス「Disney+」において、『WandaVision』『The Falcon and the Winter Soldier』『LOKI』『What IF...?』といったミニシリーズの展開を始めたのは周知の事実であろう。
 これらのDisney+で展開する物語があくまで補完的な物語であるなら、それはそれでファンサービス的な意味で存在意義はあると思うし、実際、その制作予算規模はまさしく「Cinematic」であるので、文句を言うつもりはないけれど、わたしとしては、当面はDisney+に加入する必要はないだろう、と思っていたのに、本作は完全に「それらを観ていないとついていけません」という物語になってしまったのは、率直に言って残念だと思う。
 そう、本作を観る際には、もう完全に『WandaVision』を観ていることが前提となっているのだ。
 しかし、わたしがある意味憤っている(?)のは、実はそのことではない。わたしも、予告を観た時に、ああ、こりゃあ、Disney+に加入して予習しとかねえとアカンな、と思って、ちゃんと予習はバッチリな状態で劇場に向かったのに……本作は、『WandaVision』をある意味無意味にしちゃっている点が、実に腹立たしいのだ。
 その『WandaVision』は、短くまとめると、Visionを喪い、精神に異常をきたしたワンダが謎の「カオス・マジック」を「無意識」に発動して街を丸ごと、そこに住む人たちを巻き添えにして、閉鎖空間に閉じ込め、夢想していた理想の結婚生活を送る、が、ラストで自分が間違ってた、と改心して街と囚われていた人々を開放してめでたしめでたしとなるという、はっきり言って夢オチに近いような、なんとも微妙な物語だったわけだけど、本作では、なんと、その「夢想の結婚生活で出来た想像上の双子の子供をどうしても取り戻す」という夢想の夢想に囚われて、恐怖の大魔王に転生してしまったというお話なのである。もちろん、『WandaVision』の真のエンディングは、子供を忘れられないワンダがスカーレットウィッチの姿で「ダークホールド」を読み解いているシーンで終わったわけだけど、それでも、あれっ!? 反省したんじゃねえの? うそでしょ!? そんなバカな! とわたしは開始20分で思ったし、ワンダがカマータージの魔術訓練生たちを無慈悲にぶっ殺しまくるところで、もう完全に心が冷えました。あのワンダが、とんでもねえキャラに成り下がってしまったことに、心から残念に思う。わたしはてっきり、ワンダを操る真の悪党(例えばマルチバースの扉をどうしても開きたい征服者カーンの手先とか)が存在していて、最終的にはワンダとドクターがそいつを倒す、という物語を期待したのに、全くそんなことはなく、最初から最後まで、ワンダ一人が今回のVillainでした。ホント残念。
 なので、主人公であるはずのドクターは、巻き込まれて事態の収拾に必死で動く、という、スパイディ騒動と同じ構造で、気の毒な大人として描かれているのだ。ついでに言うと、Disneyが公式サイトにUPしているあらすじも、とんでもない嘘で、この点も実に問題があると思う。あくまで、核心を避けて、観客の興味を引くような、「ミスリード」ならもちろんアリだし、問題ないけれど、今回は完全なる嘘なので、そりゃあもう、ナシ、インチキとの誹りを免れようがない、ヒドイあらすじだと言わざるを得ないだろう。
 Disneyが公式で曰く、「最も危険とされる禁断の呪文によって“マルチバース”と呼ばれる謎に満ちた狂気の扉が開かれた」とあるが、実際、ドクターはそんな魔法は使わないし、「何もかもが変わりつつある世界を元に戻すため」に戦う物語でもない。さらに「もはや彼ら(=ドクター&ワンダ)の力だけではどうすることもできない恐るべき脅威」でもないし、「驚くべきことに、その宇宙最大の脅威はドクター・ストレンジと全く同じ姿」もしていない。
 もう観てきた人なら、なんだこのインチキ文章は!? と誰しも思うのではなかろうか。ひどいよなあ。。。本当に。
 ◆新キャラ「アメリカ・チャベス」
 まず、「マルチバース」の扉を開くのは、ドクターの呪文ではなく、新キャラであるアメリカ・チャベスの能力であり、そしてその能力を得るために、狂った(=Madnessな)ワンダが彼女を追い掛け回す、というのが本作の本筋だ。
 ワンダは「妄想の妄想」である我が子が元気にしている「別の宇宙」へ行くために、その扉を開く力がどうしても欲しい、そのためなら人殺しも全くいとわない、という完全にイカレた女になってしまったのが本当に残念でならない。
 そして一方のアメリカ・チャベスはというと、子供時代に、蜂に刺されてうっかりきゃーー!と「感情を爆発」させてしまった時に、マルチバースの扉を開いてしまい、母を失ったそうで、もう何じゃそりゃとツッコミたくなるような過去を持っている少女だ。
 まあ、そのうっかりな過去はどうでもいいし、「身の危険が迫ると別の宇宙に通じる扉を開いて逃げ込む」という設定は、それはそれで受け入れてもいいと思う。そして以来、彼女は72の宇宙を渡り歩いているそうで、とある宇宙でワンダの放った化け物に追われ、その宇宙に存在するドクターに助けられてあと一歩というところで追いつかれ、我々の住む宇宙に逃げ込んできて、我々が知るドクターに助けられた、というオープニングは、非常に見ごたえもあったし、極めて映像も素晴らしかったと賞賛したいと思う。
 なので、アメリカ・チャベスに関しては何の問題もないし、わたしとしては全然アリだ。
 けどなあ……。恐るべき脅威、宇宙最大の脅威は「スカーレット・ウィッチ」になり果てたワンダだし、何もかも変わりつつある世界を元に戻すための戦いは、どうやら次回以降(?)のようだし、とにかくもう、なんというか……ガッカリとしか言いようがありません。
 ◆まったく無意味に登場し、しかも弱すぎて泣けた「イルミナティ」
 本作では、予告の段階から、とあるキャラの登場がほのめかされていて、マジかよ!?と我々を歓喜させていた。それは、あの! 『X-MEN』のプロフェッサーXでお馴染みの、チャールズ・エクゼビアの登場だ。そしてモルドのセリフで「イルミナティ」が現れること、さらに『What IF...』で活躍したキャプテン・カーターの登場もほぼ確定していて、一体全体、どのように物語にかかわるのだろう? と我々を興奮させていたわけだが……登場した「イルミナティ」は、さらに驚くべきことに「ファンタスティック4」のリーダー、ゴム人間でお馴染みのリード博士、さらに「インヒューマンズ」の「しゃべるとヤバい」ことでお馴染みのブラックボルトまで登場するというファン感涙の驚きをもたらせてくれたのに……その弱さはもう、悲観の涙にくれるしかないほどのゴミキャラで、登場した意味は完全にゼロ、ならば出て来ないでほしかったとさえ思う程、ひどい扱いであった。ブラックボルトの死に方、ありゃもう笑うしかないよ……。
 強いて言えば、それほどスカーレット・ウィッチに変貌したワンダが、バランスブレイカーなレベルで強すぎたわけだが、その時点でやっぱり間違っていると思うし、脚本的に0点だと言わざるを得ないと思う。ひどいよね、実際。何のために出てきたのか。。。こういう点が、MCUにかかわってきた前作のDerrickson監督が、手を引いて降板した原因ではなかろうか。。。
 ◆Sam Raimi監督を起用した意味
 なので、本作の脚本は、ある意味これまでMCUとは無関係、だけど、マーベルコミックを知っていて、腕の立つベテラン監督に任せるしかなかったのだろうと思う。その意味で、Sam Raimi監督はきっちり仕事をしたと評価すべきだろう。とりわけ、誰しも感じたと思うけれど、悪の大魔王になり果てたワンダ、に操られた、別の宇宙で平和に暮らしていたワンダ、が血まみれで足を引きずりながら(=もうその様は痛ましくてかわいそうで悲しい!)ドクターたちを追いかけるシーンは、もうRaimi監督の真骨頂であるホラー映画そのままだし、どうでもいいけどRaimi監督の盟友Bruce Campbelll氏もちゃっかり登場するなど、映画としての演出や映像としてのクオリティは極めてハイクオリティで、その点は素晴らしいと思う。けれど……こんな物語(=脚本)を許容したのは、完全にMCUを統括するKevin Feige氏の責任だろう。
 ◆MCUとしての整合性
 そしてKevin Feige氏の責任という点では、例えば『LOKI』において、「Madness」という言葉は重要な意味があったのに、本作ではほぼその意味が踏襲されていないし、これだけの事態がワンダに起こるのであれば、当然『WandaVision』で登場して、ラストでどっかに飛んで行ってしまった通称ホワイト・ヴィジョン、元のVisionの記憶をすべて引き継いだはずの(?)The Visionが介入してこないものおかしいし(そもそもワンダは想像上の息子たちよりも最愛のVisionについて何も思わないのも、わたしとしては悲しい)、ついでに言えばNYCであれだけの騒動が起こったのなら、新キャップことサムの登場もあり得たはずで(スパイディが出て来ないのも変だけど、版権上無理なのは理解できる)、MCUの最大の魅力である「共通した世界観」が機能していない点が、非常に問題だと思う。どうも,MCUのPhase4は、かつてのような緻密に計算された大きな観点がみられず、劣化しつつあるように思えてならない。
 マルチバースという言葉も、結局は「なんでもアリ」のための方便に過ぎず、どうもわたしには、『END GAME』や『LOKI』で言及された「時間の分岐」と、今回の「マルチバース」なるものが同じことを意味しているのか、全く分からなくなってしまった。さらに言うと、いまだに『Shang-Chi』や『ETERNALS』も今後どのように絡んでくるか見えないところがあって、かつてのように「インフィニティ・ストーン」という共通アイテムによって、大きな一本の軸となっていたものが、Phase4においては現状見当たらないのは実に残念だ。
 まあ、おそらくは、数年後に「そういうことだったのか!」と我々を驚かせてくれることになる……のだろうと、今は期待するしかないけれど……なんというか、もう宇宙を創った神様は出てくるわ、死後の世界だとか、神話の世界だとか、別の宇宙(マルチバーズ)だとか、もはや我々「人類が頑張って何とかする」領域を超えてしまっているのは明らかで、そんな物語が面白くなるのかどうか、かなり不安な状態だ。
 そう言えば昨日完結した『MOON KNIGHT』も、もはや完全なるファンタジーで、歯切れも悪く、どう理解したらいいか分からん物語で幕切れだったのも、なんか……不安を増幅させているように思う。はっきり言って、Disney+で配信されているシリーズは(What IF以外)どれも2時間半でまとめれば面白い映画になり得る物語、なのに、TVで全6~9回と長く、どうでもいいような部分もあって、正直ノれないっすな。。。
 ◆理解されないドクターが不憫……。
 わたしは常々、優れた人がわざわざ優れていない人のレベルに降りて、へりくだる必要はないと思っている。なので、ドクターに関して公式で「上から目線」とか表現されるのが好きではない。だって、実際に明らかに「上」な凄い人なんだから、そりゃ当たり前じゃん、と思うからだ。
 もちろん、ドクターは、凄い優れた人間であるにもかかわらず、ちゃんと善良でイイ人なわけで、トニーと同様に、いくら優れていても間違いは犯すし、自分が間違ってたと思えばきちんと改心して、より善い人間であろうと努力しているわけです。わたしとしては、そんなドクターを分かってやってくれよ、と思うのだが……本作では冒頭でいきなり、かつての恋人、ドクター・クリスティーン・パーマーが「別の男と結婚する」その結婚式に参列するシーンから始まる。これはツラいよなあ。。。わたしは男なので、ドクターのつらさ、ドクターが感じる淋しさは心に刺さるし、かと言ってクリスティーンを責めるつもりはないけれど、せめて、全世界でクリスティーンだけは、ドクターのことを理解してくれている人であってほしかったと思った。この点は女性目線だと違うのかもな……。
 ちなみに、本編終了後のおまけ映像に、いきなりCharlize Theron様! が登場したのはビビったすねえ! わたしは詳しくないけど、あのキャラはダークディメンジョンの支配者ドルマムゥ(=ドクター1作目に出てきたアイツ)の妹の娘、つまり姪っ子のクレアというキャラらしいすね。そしてクレアはドクターの弟子であり恋人、になるらしいので、もうクリスティーンはMCUに出て来ないのかもしれないすね。。。はあ、ホント、あんなに頑張ったドクターが不憫でならないす。。。
 
 とまあ、こんな感じ……だろうか。
 そういえば、ワンダや後にドクターも使えるようになる「ドリーム・ウォーク」なる呪文は、別の宇宙の自分を操るというものだったけど、わたしとしてはジョジョ第7部『Steel Ball Run』でお馴染みの「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」=D4Cに似てると思ったすね。別次元の自分を連れてくるアレです。まさしくワンダの行為は「いともたやすく行われるえげつない行為」でしたな。

 というわけで、結論。
 超期待したMCU最新作『DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS』をさっそく観てきたのだが……昨日の夜、ざっと調べたところでは、大絶賛しているレビューが多いみたいなので、ちょっとわたしにはその心理が理解しがたいのだが、わたしはワンダが狂った理由である、愛するものを喪った痛みに共感することは全くできない。そのような痛みは、わたしもとっくに経験済みであり、それを克服できない人間はいないと思うし、克服できるのが人間だと思うからだ。スパイディのピーター・パーカー君はキッチリそれを克服して前に進み、「大人」になったわけで、ワンダの精神的な幼さ、あるいは、究極のわがまま? は、到底人類が許せるものではないし、もう明確に、人類の敵であると断罪せざるを得ず、これまで描かれてきたワンダというキャラを崩壊させるものだと思う。こんな形でワンダがMCUから退場するなんて……人間であることを自らの意志でやめてしまったワンダ。その点が、極めて残念だ。
 そして事態を収拾させるために頑張ったドクターは本当に素晴らしいし、スパイディ騒動だって全くドクターの責任ではなく、むしろ冷静に対処しようとしたのを邪魔されたわけで、ホント、ドクターを理解してくれない世の中はひどいと思う。
 つうか、なんだかPhase 4に入って、MCUはどんどん変な方向に行っているような気がしてならないですな。。。まあ、数年後、あっさりと、「やっぱりMCUは最高だぜ!」と感想を述べている自分がいそうな気がするし、そう思わせてほしいものです。次は『THOR:Love and Thunder』ですな。まあ、正直あまり期待してませんが。。。そして『LOKI』のシーズン2が超楽しみっすね! 
 そして、わたしが今回、劇場に行って、それもIMAX-3Dで観て良かった! と思った最大の事件は……『AVATAR』新作の3D映像を観ることが出来たことっすね! 超キレイ!! そして超3D! コイツはマジで超期待できそうっすよ!! 以上。

↓ もはやどうしても、Disney+加入は待ったナシです。


 いやあ、最高だったすねえ!
 何のことかって? そりゃもちろん、さっそく観てきた『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』のことであります! MCU第27作目となる本作は、順番としてはPHASE-4の4番目の映画となるわけですが、PAHSE-4は、過去の話(=BLACKWIDOW)や完全新規作品(=SHANG CHI、ETERNALS)だったわけで、言ってみれはようやく正統なる続編、お話の続き、が本作『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』で語られるわけです。
 まあ、今や動画配信プラットフォーム「Disney+」において、既に「その後」を描く続編作品がいくつか公開されているので、それをカウントするかどうかで変わるけれど、わたしとしてはあくまで、「ONLY IN THEATRES」にこだわりたいというか、とりあえずDisney+は今回は無視します。次のDOCTOR STRAGNEの新作は、Disney+の方を観てないとダメなのはもう確定してしまったので、公開までには見ておきますが。
 さてと。『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』を観てきた感想としては、もう「最高!」の一言に尽きるわけですが、まずはざっとおさらいをして、その後で、何故そんなに興奮して最高だと思うかについて記述してみようと思います。
 ところで、日本において2000年代までは、いわゆる「アメコミ作品」は、たった一つ(?)のキャラクターを除いては、全く売れないのが常識でありました。2008年に始まったMCU第1作目の『IRONMAN』も、全然ヒットしなかったわけで、当時わたしはトニー・スタークのカッコ良さに大興奮して、周りにその面白さを触れ回っていたのが懐かしいほどであります。
 で、その、「唯一、アメコミで大ヒットしたキャラクター」が、まさしくSPIDER-MANなのです。2002年に公開されたSam Raimi監督による『SPIDER-MAN』は、日本でも75億円稼ぐウルトラヒットとなったわけで、その後のシリーズも大ヒット、どうして、なんでスパイディだけが日本でヒットしたのか、についてわたしもかなりいろいろ研究したものです。
 わたしの結論はもう明らかで、スパイディがMARVELヒーローの(映画化されたキャラの)中で、唯一の特徴を備えているからだ、と結論付けました。そう。スパイディが、IRONMANたちと決定的に違うのは、「ガキ」であること、なのです。
 日本で映画が大ヒットするには、10代20代のキッズどもを動員出来ないと話にならんわけですが、そういったガキどもにはトニーのカッコ良さは通じないんだな。例えて言うなら、仮面ライダーがおっさんでは、喜ぶのはお母さんたちだけなんですよ。
 スパイディは、子供であるがゆえに、進路や恋愛に悩み、その一方で、身に着けた「大いなる力」に戸惑いながら、「大いなる責任」を果たそうと奮闘する。その姿に、日本のキッズどもも共感できた、というのがわたしの持論であります。要するに、日本の漫画カルチャーにも共通する物語なわけです。そこがほかのアメコミヒーローと決定的に違っていたからこそ、大ヒットしたのだとわたしは考えています。
 で。
 MCUにおけるスパイディは、これまでのSPIDER-MAN作品と結構違う点がありました。それは、主人公ピーター・パーカー君が、やけにリア充で、あまり悩まない点です。優しいおばさんがいて、恋人や親友がいて、さらに道を拓いてくれた尊敬する「大人の男」もいた。そんなピーター君は、『END GAME』で尊敬するトニーを喪い、失意にかられ、うっかり別の大人にすがろうとする、けど、そいつはクソ野郎だった、てのが前作『FAR FROM HOME』でありました。さらにそのクソ野郎は、あろうことかSPIDER-MAN=ピーター・パーカーであることを全世界に公表してしまい、その正体がばれて、な、なんだってーーー!? という事態に陥って前作は終わりました。
 我々としては、ついにその正体が全世界にばれてしまったピーター君の運命に、どうなっちゃうんだろう?? とドキドキしながら、前作の公開から2年、超期待しながら「その続き」を待っていたわけです。
 というわけで、以下はもうネタバレに考慮せずに書くと思いますので、まだ観ていない方は、今すぐ!! 劇場へ行って『NO WAY HOME』を観てきてください。警告しますが、確実に!何も予備知識なしで観た方が楽しめると思います。つうかさ、こんなBlogを読んでいる暇があるなら、今すぐ座席を予約すべきですよ!! まだ観ていない方々はここで退場してください。観に行けない理由を考えるより、観に行く予定を立ててください。今すぐ! それでは、まだ観に行っていない方は、この辺でさようなら! 

 はい。それではよろしいでしょうか?
 まずは予告をおさらいしましょう。上記は2番目に公開された予告ですが、ここで描かれているように、本作は、まさしく前作ラストから直接つながっており、全世界にその正体がばれてしまったピーター君が、ともに戦ったことのあるDOCTOR STRAGNEのもとを訪れ、人々の記憶を魔術で消してほしい、とお願いするところから物語が始まります。なんつうか、助けてドラえもーん!みたいなのび太君的行動ですが、何度も言っている通りピーター君は子供なので、許してあげましょう。そしてその魔術をうっかりミスってしまい(?)、「次元の扉が開かれる!」的な予告を観て、わたしはもちろん大興奮しました。なんで日本だけ公開が遅えんだよ!! と当然思ったし、かつてのわたしなら、100%間違いなく、12月中に台湾に観に行っていたことでしょう。今のわたしはもはや旅行で家を空けることが出来ないので、断腸の思いで諦めましたが、SONYに対する怒りと憎しみは忘れないと思います。それほど、1日も早く観たい! と思っていたのは、恐らく日本中のファンの皆さんも同じだと思います。
 まあともかく、以上がこれまでの流れです。
 そして、今回、公開前からこの予告によって、ついに「MULTIVERSE」の概念が(映画版の)MCU世界に導入されることが明らかになり、我々の興奮はもう最高潮に達していたわけでありました。
 この、MULTIVERSEという概念は、日本語に訳すと「多元宇宙論」というもので、ざっくり一言で言うならば、いわゆる「並行(平行)世界」、要するに別の次元で同じ世界が違った展開で流れているというもので、MCUにおいては時間軸が分かれた別の「あり得た」世界、てな解釈で十分だと思います。この概念は、もう既にDisney+においては「LOKI」などで描かれていて、お馴染みなわけですが、正直、わたしはこの概念を映画版MCUに導入するのは嫌だなあ、と思っていました。
 というのも、いろいろなことが「なかったこと」にされてしまうわけで、そんなのは非常に無責任というか、つらいというか、とにかく「なんでもアリ」になってしまうのは非常に抵抗がありました。
 なので、わたしとしては密かに、これはマズいんじゃねえかなあ……いまさらドック・オクやグリーン・ゴブリン、エレクトロを再登場させて何の意味があるんだよ……とか危惧していたのです。
 が、しかし、です。
 わたしのそんな愚かな予断を吹き飛ばす、見事な、そして完璧な脚本だったと見終わった今では思います。もうこの脚本には心からの称賛をささげたいっすね。
 というわけで、以下、わたしが凄え!と大興奮したことや、うっかり涙してしまったポイントなどをあげつらっていこうと思います。物語の流れの順番ではなく、思いついた順に書きます。
 ◆過去の『SPIDER-MAN』シリーズのVillainたちについて
 まず、過去のシリーズを、2002年から始まるSam Raimi監督による3部作を「無印」、続く2012年と2014年に公開された2作を「アメイジング」、そして現在のHOMEシリーズを「MCU」と略しますが、本作MCU第3弾である『NO WAY HOME』には、無印1からグリーン・ゴブリン、無印2からはドック・オク、無印3からはサンドマン、そしてアメイジング1からリザード、アメイジング2からはエレクトロ、という5人のVillianが登場しました。これらはもう予告で登場していたので、登場そのこと自体には驚かなかったですが、一体どうして登場するのか、は謎でした。
 その答えは、もう見事だったとしか言いようがないすね。
 要するに、DOCTOR STRAGNEの魔術は、MCUのピーターがスパイディであることを人々の記憶から消し去ろうとしたけど、ピーターが何度も、MJは除外して! あ、そういやネッドも除外で! あーごめんなさい、メイおばさんも除外だ、とあれこれ注文を付けているうちに集中が途切れてしまい、逆に「ピーターがスパイディであることを知っている人物」を「別の世界から召喚してしまった」ためでした。
 そして、さらに見事なのは、DOCTORはその責任を感じてさっさと5人をもとの世界に帰すよう奮闘する一方で、MCUのピーター君は、5人を「(怪物になる前の)元の人間に戻してから帰す」ことにこだわった点です。そう、全てのシリーズを観ている我々は、5人のVillianが、「元々は善良な人々」だったことを知っているわけで、さらに言うと彼らは皆、スパイディと戦って死ぬ運命にあることを知っています。その運命を、どうにかできないか、と抗おうとすることで、DOCTORとも意見がぶつかってしまうし、Villianたちとも衝突してしまうわけで、ここにピーター君の、大人とは違う、子供らしい正義感をとても感じることが出来るわけです。この点をしっかり描き、過去作のVillianたちには舞台装置の一部に徹してもらって、あくまで本作が「MCUのピーター君の成長譚」であることに徹底したのが素晴らしかったとわたしは思いました。
 わたしはもう初老のおっさんなので、当然DOCTORの意見に賛成だし、ピーター君の行動には、めんどくせえガキだなあ、とか思ってしまうけれど、やっぱり、「無理!」と決めてかかってはイカンですな。あがくこと。それがやっぱり重要だと、わたしは観ながらつくづく思ったすね。
 というわけで、ピーター君は大奮闘するわけですが、残念ながらグリーンゴブリンには裏切られてしまうわけで、そこも本当に悲しく切なかったすねえ……。。。
 ◆NO WAY HOMEというタイトルの意味
 MCUにおいては、過去作で描かれ続けた「スパイディ誕生秘話」は描かれていません。そして「ベンおじさん」も登場しません。MCUにおいては、やけに若くてグラマラスでイケてるメイおばさんが出てくるのみです。まあその代り、トニーやDOCTORやほかのヒーローたちという「大人たち」がピーター君の周りにいたわけです。さらに言うと、冒頭でも記した通り、MCUのピーター君には、愛し合うMJがいて、いつでもどんな時でも味方になってくれるネッドという親友もいて、かなりのリア充として描かれます。
 わたしは、ラストで、そういった周りの温かい人々こそが彼にとっての「HOME」だったと判明するシーンに胸打たれたっすね……! まさしく本作は、ピーター君が「HOME」を失い、「帰る家がない」天涯孤独な状態になってしまう、ある意味悲しいお話でもありました。
 しかし、ピーター君は、その孤独を受け入れ、それでも前に進む決断をするわけですが、その時の表情はもう、切なく、そして頼もしく、まさしく少年が大人になった瞬間の完璧な演技だったと、わたしとしては演じたTom Holland君の芝居を絶賛したいっすね! まさしく本作はピーターの成長譚であり、これこそがSPIDER-MANという作品の魅力だとわたしは思います。
 そしてこのピーター君の決断には、メイおばさんの悲しい運命についても触れざるを得ないでしょう。過去作でのキーワード、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフを、あろうことか、メイおばさんが今回発するわけですが、この台詞は、常に「死に瀕した遺言」としてピーターに伝えられるわけで、メイおばさんは亡くなってしまいました。MCUでのメイおばさんは、いつも元気で明るい女性で、よくわからんけどボランティア的な活動をしている女性でしたが、「困って助けを求めている人を放っておくことはできない」というメイおばさんの遺志が、ピーターをしてVillanたちを助けるという行動をとらせたわけで、遺言というものは、悪く言えば託された人間を縛り、文字通りの「呪縛」となってしまうことだってあります。
 だけど、それでも、ピーターはVillainたちを助け、そして、全てを失い、帰る家を失ってでも、大げさに言えば世界を救う決心をしました。これはメイおばさんの遺言に縛られたとみるよりも、わたしは「少年から大人へ成長した証」と解釈したいと思います。そして、わたしには、この決断には当然、尊敬するトニー、世界を、銀河を救うために命をなげうったトニー・スタークという偉大な男の影響もあったと思っています。
 そもそも、冒頭でDOCTORに、助けて~!とすがったことだって、予告では情けないのび太君のようでしたが、実は自分のためというよりも、MJやネッドが、自分のせいで大学に落ちたこと、がきっかけだったし、MCU版のスパイディも、リア充であったとしても、最初からやっぱり困っている人を放っておけない、くじけた人にセカンドチャンスを与えるような、「親愛なる隣人」であるというSPIDER-MANの資格は十分にあったということなんでしょうな。
 ピーター君よ、初老のおっさんのわたしから言わせてもらうとな、人間ってのは地獄をみないと成長しないんだよ。君は今回地獄を味わったと思う。だけど、間違いなく君は、今後もっともっと強くなれるよ。だからこれからの君がとても楽しみだよ! 応援してるぜ!
 ◆歴代スパイディそろい踏みに大興奮!
 公開前から、もう散々、歴代スパイディは登場するのか否か!? について多くの人がいろんな自説を語っていたわけですが、わたしとしては、そんな議論は全く無意味だと思ってましたし(公開されて観に行けばわかることなので)、実際に出ることはないんじゃないかなあ、と、根拠なく思ってました。
 また、実のところ、わたしはアメイジング版が全く好きではなく、むしろとんでもない色ボケで、男の約束を守れない、そして愛する彼女を守れなかったダメ野郎だと嫌っていたので、出てほしくないぐらい思ってました。
 しかし! 実際に登場した時の衝撃は凄かったですねえ! マジかよ!? と思わず声が出ちゃったすね。実を言えば、わたしはネッドが魔術を使ってポータルを作ったことにそもそも驚いていたのですが(だって! DOCTORが修業時代にあんなに苦労してもなかなかできなかったのに、ネッドがあっさりやりおったので!)、現れたアメイジングのスパイディがマスクを脱いだ時はマジでびっくりしました。理屈としては、Villainたち同様に「ピーター・パーカー=SPIDER-MANであることを知っている人間」としてMCU世界に召喚されちゃったらしいけど、そりゃまあ本人なんだから、正体も何もないっすよね。ここも非常にうまい脚本だったと思います。
 そして、わたしが本作で泣いてしまったシーンが、アメイジングがMCU世界のMJをキャッチして、命を救い、自分の世界ではできなかったことがついにできたことに、涙を流しているシーンですよ。君は自分の世界では愛するグエンを救えなかったもんな……彼もセカンドチャンスを見事にモノにして、自らの運命を乗り越えたあのシーンは、鳥肌ものに感動?しましたね! わたしもなんだか嬉しさと感動で、涙を抑えられなかったよ。そしてさらに無印スパイディも、ずいぶんと年を経たようで、いろいろな苦労をしてきたんだろうな、という絶妙な老け方は素晴らしかった。わたしはまたCG補正して2002年公開当時の顔に補正しちゃうのかと思ったけれど、それをせず、「その後」の無印スパイディを登場させてくれたのは凄い英断だったと思う。そして無印からアメイジングへ、「君はアメイジング(すばらしい)よ!」というセリフも、グッと来たっすねえ!
 また、彼ら、無印、アメイジングも、あくまでMCUのピーター君を助ける助っ人としての分をわきまえていて、物語の軸を「MCUピーターの成長譚」としてブレさせなかったのもお見事でした。変に活躍しすぎなくて、同じピーター・パーカーとして、あり得た3人の力を合わせてファイナルバトルに臨み、それぞれの見せ場を作りつつ、きちんと中心の軸をブレさせないというのは、もはや芸術的に見事な脚本だったと思います。マジで素晴らしかったですな!!
 ◆物語には全く関係ないけど、ついにあのヒーローがMCU参戦!!
 物語の初めの方で、ピーターたちの弁護士として「盲目」の白い杖を突いた男が登場した時点で、わたしは早くも大興奮いたしました。もう誰もがご存知だと思いますが、まさしく彼こそ、盲目のクライムファイターでお馴染み、DEADEVILですよ! わたしはNetflix版のDEADEVILを観ていないので、知らない役者でしたが、マジで興奮したっすねえ!! DEADEVILはNYで活躍するヒーローで、原作でもスパイディと仲がいいので、ついにMCUに登場したDEADEVILの今後には超期待が高まりますな!
 ついでに言うと、ポストクレジットシーンではVENOMとその宿主エディが登場しましたが、はっきり言って現在の映画シリーズのVENOMは、ノリが好きではないし、そもそもエディがどうしようもなくだめんず過ぎて全く好きになれないので、まあ、こっちはどうでもいいっす笑

 とまあ、こんな感じでしょうか。少し冷静になると、最後の魔法の理屈が、わたしは実はよく分かっていないのですが、まあ、今後のMCU作品で描かれるというか、解説されることを待つことにします。スパイダーマンの存在は認知されてるけど、ピーター君という存在の記憶だけ、世界から消えたってことなの? それって……ううむ、なんかよくわからんですが、まあ、大体言いたいことは書いたような気がするし、もう長すぎるのでこの辺にしておきます。

 というわけで、結論。

 MUCのPHASE-4が開幕し、その4番目の作品として登場した『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』は、正当な続編という意味ではPHASE-4初の作品であり、公開前からもう観たくて見たくてたまらない毎日でありました。日本だけ公開が遅いというSONYへの怒りと憎しみは、観終わった今となってはもうどうでもよくなりました。間違いなく傑作、最高の作品だったと結論付けて良いと思います。わたし的には、MCUの中では断トツに『CIVIL WAR』が好きなんですが、肩を並べる傑作が誕生したと思います。最高です。もうそれしか言葉はありません。そして、今後のMCU作品も本当に楽しみですね! わたしとしては、ピーター君のその後に早く会いたいと思います。え? ああ、まあ、SHANG-CHIやETERNALSは、まあ、ええと、はい、続きが公開されたら勿論観にに行くけど、それよりDOCTORやANT-MANの続きの方が早く観たいっすね! いやー、NO WAY HOME,素晴らしかった! お見事でした!!

↓ ほしい……カッコ良すぎる……わたくし、現在髭を伸ばしておりまして、髪も短くしてトニー風にスタイリングしてもらった結果、白髪と顔立ち(?)で、完全にドクターなんすけど……どうしたらいいんでしょうか……。

 MCU、すなわちMARVEL CINEMATIC UNIVERSは、今年に入って3本目の映画が公開され、完全にペースを取り戻したと言っていいだろう。その、PHASE-4の3本目の映画が、わたしが今日IMAXレーザー版で観てきた『ETERNALS』だ。
 もちろん、原作コミックのある作品だが、何度もこのBlogで言っている通り、もはやコミックとは別物ととらえた方がいいと思うし、映画そのものだけを観て面白いと思えないとダメなわけで、実際わたしは原作の「エターナルズ」を全く知らないで観に行ったのだが、結論を最初に言ってしまうと、まあまあ面白かった、というのが正直な感想だろう。
 まあまあ、ってのがどういうことか、自分で理解するために、以下、観て思ったことを書き連ねていこうと思う。もちろんいつも通り、以下ネタバレに一切考慮しないで書くつもりなので、まずは今すぐ劇場へ行って、観てきてからにしてください。なので、まだ観てない方はここらで退場してください、さようなら。

 はい。それではよろしいでしょうか。
 わたしは2008年公開のMCU第1作目である『IRONMAN』からすべて劇場で観ているし、当時は日本での公開がUS公開から数カ月遅れだったので、そんなの我慢できるか! と、USと同時公開している台湾へ、2012年の『Avengers』を観に行ったりしたほどなので(※ちなみにIRONMAN2は香港で観たし、CAP:The Firstも台湾で、そしてDOCTOR STRANGEもまた台湾IMAXへ観に行った)、大好きなのはもう間違いないのだが、今回の『ETERNALS』を観て、わたしはやっぱり、『IRONMAN』が、トニー・スタークというキャラクターが、大好きだったんだな、と何だかしみじみと感じてしまったのである。それはどういうことかというと……端的に言えば、一人の人間の努力と成長の姿がわたしを一番ひきつけるんだな、と若干当たり前のことを感じたのだ。
 そう。今回の『ETERNALS』は、その名の通り永遠に生きる「人間でないナニカ」が主人公であり、ほぼ努力なしに最初からウルトラ能力を持っていて、ほぼ神様的存在であり、人間を愛してくれてはいるものの、かなり無責任というか……まるで人間が可愛い猫を愛でているような、そんな「上位」の存在なのだ。
 すごい象徴的なのが、10人いるエターナルズのうちの一人は、どうやら人類に様々な科学技術を伝授してくれた存在らしいのだが、そいつは、1945年8月の広島にいて、核攻撃されて焼け野原になった広島で、「オレのせいだ、オレがとんでもない発明を導いてしまったんだ」と絶望に暮れるシーンがある。さらに、また別のエターナルズの一人は、人間の精神を操ることのできる能力を持っていて、人間が争いを起こし、殺し合いをするのを前にして、自分の力を使えば殺し合いを止めさせることが出来るのに、それを「禁じられている」ため、絶望して仲間の元から去る、というシーンもある。
 なんということか、彼らエターナルズもまた、さらに「最上位」の「セレスティアルズ」なる存在によって「人間に干渉してはならん」という禁忌に縛られているのだ。
 言ってみれば、彼らエターナルズは絶対神セレスティアルズを信仰する宗教団体のようなもので、そういった禁忌に縛られているために、上位存在たる彼らエターナルズたちにも悩みがあって、ドラマがあるからこそ、本作は作られているわけだけど、なんか響かないんだよな……わたしの心には。
 ちょっと関係ないけれど、わたしはSUPERMANより圧倒的にBAT-MANの方が好きで、それはまさしく、BAT-MANが人間そのものであり、SUPERMANが宇宙人だから、なんだけど、それに近いものがあるというか、7000年人類を見守ってきて、なんでいまさらそんな悩んでんだコイツら? 人間がいかに殺し合いをしてきたかなんて、1000年も見守りゃ気が付くだろ? なんで今なんだよ? ってのがどうもピンとこないのだ。6000年遅いよ!
 わたしはやっぱり、トンカチで鉄をブッたたいて、汗だくでアーマーを作るトニーに魅かれるし、自分がやってきたことが間違ってた、と反省し、より良くあろうと努力するトニーの、人間の姿の方にずっと魅力を感じるのです。
 だから、そんな「エターナルズ」たちに指令を与える、宇宙を作った(?)らしい謎の「セレスティアルズ」なる存在なんて許せないっつうか、生理的に受け付けないというか……なんつうか、そういう存在を持ち出されると、どうしても萎えるよ、やっぱり。
 だって、人間が何をやっても無理だし無駄じゃん、もう。
 だから、あんなに頑張って、命をなげうったトニーの行為も、なんか汚されてるように感じちゃったんだよな……。全部セレスティアルズの実験だったって? ふざけんな!!! だよね。まあ、もちろん本作の「エターナルズ」の面々も、人間が大好きになっちゃっているので、人類を守るためにセレスティアルズに反旗を翻してくれるわけだけど、行動するのが6000年は遅いよな……。
 とまあ、こういうわけで、もちろん場面場面はとても興奮したし面白かったけれど、「物語のそもそも」の部分が、壮大すぎて? どうもピンと来なかったのではなかろうか。なので、結論として「まあまあ面白かった」としか思えなかったのではなかろうか、と思う。
 というわけで、以下、エターナルズの10人と演じた役者をメモして行こう。
 ◆エイジャック:エターナルズ10人の司令官的存在で、「プライム・エターナル」。トランスフォーマー的に言うと、オプティマス・プライム、ですな。特殊能力は「なんでも直しちゃう」ヒーリングパワー(?)。この人だけが唯一、セレスティアルズの一人である「アリシェム・ザ・ジャッジ」と交信できる。アリシェムが何故エターナルズの10人を地球に送ったのか、その目的を知って、人間を守るためにアリシェムを裏切ろうとするが……なんかすごい分かりづらかったすね。
 要するに、どうやら宇宙で「恒星」を作ることが出来るのはセレスティアルズだけで、超太古の昔にその「種」みたいなのが地球に植え付けられていて、その成長エネルギーになるのは知的進化した生命のパワーなんだけど、一方でセレスティアルズが創ったデヴィアンツという「失敗作」の種族もまたそのパワーを食って生きていて、そのデヴィアンツを退治するためにエターナルズの10人が派遣されたと。
 で、7000年かけてその「種」は順調に育って、もうチョイで新たなセレスティアルズが生まれ、その影響で地球はぶっ壊れる、というところで、サノス事件があって人類が半減してしまい、エサである生命エネルギー供給も半減したため、種の成長が止まる、けど、トニーをはじめとするみんなの頑張りで、人類は元に戻った結果、種の成長も再びまた始まっちゃって、「あと7日」で生まれる寸前となった、てなことらしい。
 ややっこしいけど、一言申し上げるならば……あのさあ、7日前に気が付いて裏切ろうとしたって遅いよ、どう考えても。それまで何してたのよ? としかわたしには思えなかったよ。。。セレスティアルズ側の理論としては、地球の人類にはスマンけど、(地球をエサに新たなセレスティアルが誕生して、そいつが新しい)恒星を作ればその重力で惑星が生まれ、再び知的生命体が誕生するから、そっちの方が宇宙においては重要なんだよ、ごめんな! てな感じで、地球の役割は終わったんだ、お疲れ! 的な無機質なノリなのが恐ろしいですな。ここに、地球人類を愛しちゃったエイジャックたちの、「地球を取るか、全宇宙を取るか」的トロッコ問題が発生して悩むわけだけど……なんか……うーん……とにかく、行動が遅すぎだよな……。
 演じたのは、『Desuperado』でお馴染みのメキシカン、Salma Hayekさん55歳。はっきり言って出番は少ないです。そしてリーダーらしい決断はほぼなく、数百年前のチーム解散決議も、ドルイグの涙の訴えに、じゃ、そうしようと乗っただけで、彼女からの提案ではなく、要するにあまり見せ場はなかったっすね。とにかく決断が遅いリーダーはリーダーの資格はありません。
 ◆イカリス:10人の中で唯一空を飛べる戦士系最強のエターナルズ。しかしコイツの能力も、目からビームを出すだけで、その威力も一撃必殺なものではなく、結構中途半端に感じました。マーベルヒーローの最大の問題は、「これを出せば勝てる!」という「必殺技」がないんだよね。。。そこが日本の特撮ヒーローとの違いで、結局は殴り合いの大ゲンカになっちゃうのが、なんかアレなんだよな。。。ドラゴンボール的というか。。。痛くもないし骨も折れないのに、体力を削る以外、どかーん、ばきーん、の殴り合いに意味があるんだろうか。
 で、コイツはアリシェムの指令を忠実に守る不器用系男子で、その忠誠心から、アリシェムを裏切ろうとするエイジャックを間接的に殺すという暴挙を犯し、さらに邪魔しようとする愛するセルシを含めた仲間たちをもぶっ殺そうとする。ちなみに、その名から我々が連想する「イカロスの翼」のギリシャ神話(蝋で作った翼で飛び、太陽の熱で翼が解けて墜落死するというアレ)は、彼、イカリスをモチーフに、エターナルズの一人であるスプライトが創ったお話だそうです。そこは笑っちゃった。ラストも、太陽に特攻して自殺? というのも彼らしい最期だったすね。いや、死んだか分からんけど。アレは、愛するセルシに対する彼なりの謝罪っつうか、ケジメをつけたってことなんすか? そして本作の一つの軸である彼とセルシの恋愛話も、エターナルズたちは子供が作れるのだろうか?? 作れるとしたらどんな子が生まれるのか? 作れないとしたらなんでSEXするのか? など、謎な部分がなんかピンとこないというか、よくわからんす。
 演じたのは、わたしは一切見ていない『Game of Thrones』でお馴染みらしいRichard Madden氏35歳。まあまあイケメンですね。空を飛ぶ浮遊感は映像的に素晴らしく、コスチュームも大変カッコ良かったと思います。あ、今Wikliを観て思い出した! この人、『1917』で主人公スコの親友トムが会いに行きたかった兄貴を演じた人だ!
 ◆セルシ:手に触れたものを別の物質に変換できる能力を持つエターナルズ。人類が大好き。イカリスと恋人関係にあったが、現代ではロンドンの博物館に勤務していて、スプライトと共に暮らしている。そして現在、普通の人間の男と恋愛中。恋愛体質なんですか? エイジャック亡きあと、アリシェムと交信できる謎の球体を引き継ぎ、自分たちが地球に派遣された目的を知って、エイジャックの遺志をも引き継ぎ、新たなセレスティアルが地球で誕生(して地球が崩壊)するのを阻止しようとする。
 しかし、その最後の究極奥義「ユニマインド」がイマイチよく分からんというか。。。要するにほかのエターナルズのみんなのパワーを一つにまとめてパワーアップするという奥義らしいけれど、あの場面ではもう10人そろってないわけで、それでも発動できたのは何故なのか、ちょっと分からんです。それよりも、その「ユニマインド」発動のキーアイテムが「腕輪」ってのが興奮したっすねえ! テンリングス! あの場には8個?か7個?しかなかったけど、10個じゃなくていいのかも、よく分からんすね。つうか、テンリングスはやっぱりエターナルズが作ったモノなんだろうか? 謎が深まるっすねえ! ちなみに、ラストではアリシェムに「それほど人類は救うべき存在なのか、お前らの記憶を見て判断するわ」とさらわれて行っちゃった。。。どうなるんでしょうな。。。アリシェムが意外と話の分かる奴であることを祈りたいすね。人類としては。
 で、演じたのは、『CAPTAIN MARVEL』でスターフォースの青いスナイパー、ミン・エルヴァを演じたGemma Chanさん38歳ですよ! なんか、すっごく可愛いっすね! 日本人ぽいっ可愛さがあるお方でしたなあ! 特に口元のほくろが妙にエロくて、最高でした。
 ◆スプライト:子供型エターナルズで、その能力は幻影を作ること。姿を消したりもできるし、その幻影で太古の昔から人類にいろいろな「お話」を聞かせてきたお方。イカリスが大好きな少女で、何気にセルシに嫉妬している面もあって、すごく切なかったですなあ……。なので、イカリスが仲間の元を離れた時もついていく健気なところもあって、一番人間っぽくて、共感できたキャラでした。ラストは、パワーアップしたセルシの物質変換能力によって普通の人間となり(??)、7000年間望んでいた「歳を取ること」を選ぶ。ちょっと泣けたすね。彼女の選択は。演じたのはLia McHughちゃん16歳。彼女のインスタをみると、とっても女の子らしいかわいい子ですな。
 ◆キンゴ:陽気なエターナルズで、戦士系。手からエネルギー弾を打ち出す能力で、どうやら「幽遊白書」の「霊丸」をオマージュしたらしいですよ。ついでにかめはめ波も撃てます笑。現代ではボリウッドスターとして人気者。ずっと年を取らないので、一人でひいひいじいさんからずっと続いてる家系の末裔なんだとテキトーな嘘でごまかしてるそうです。最終決戦前に、地球が滅ぶなら愛する人々と一緒に過ごすと言って離脱しちゃったけど、ラストでは「人間になった(?)」スプライトを引き取るなど、とてもイイ奴でした。彼もアリシェムに連れて行かれちゃった。。。どうなるんだろうか。演じたのはパキスタン系メリケン人のKumail Nanjiani氏43歳。はっきり言って全くイケメンじゃないけど、非常にいい演技だったし、キャラとしてもとても良かったと思います。
 ◆セナ:戦士系エターナルズの美女。能力は無(?)から武器を生成するもので、剣と盾を使う。我々の知る神話のアテナは、彼女をベースにスプライトが作ったモノらしいです。なので、アテナと呼ぶと、Aは取れ!とお怒りになるシーンも。ただ、彼女は「記憶の蓄積」がもたらす「マド・ウィリィ(だっけ?)」という病気にかかっていて、ある種の記憶障害というか、痴ほう症めいた状態で、あたり構わず攻撃するという危険な状態。なんかこの点も切なかったすね。。。演じたのは大女優Angelina Jolieさま46歳。すごい難しいキャラでしたが、貫禄の演じぶりはさすがすね。
 ◆ギルガメシュ:戦士系エターナルズのパワーファイター。能力は、よくわからんけど拳にエネルギーをためて、とにかくぶん殴る!というワンパンマン。でも! 彼はセナを守る&介護するためにずっとそばについていてあげるという優しい奴で、看護地獄にあるわたしとしてはとても共感できるキャラでした。ホントイイ奴。だけど残念ながらセナを守るために第2の殉職者に……。悲しい……。愛するものを守るのは当然のこと、と本作でわたしが一番かっこいいと思ったセリフを言うのも彼です。演じたのは韓国系メリケン人のMa Dong-seok氏50歳。ぽっちゃり系と思いきや、どうやらボディビルダーとしてムッキムキらしいすね。
 ◆ドルイグ:ひ弱系エターナルズで、その能力は精神操作。若干斜に構えたひねくれもの、かと思いきや、実はとっても優しいイイ奴で、そして優しいがゆえに、エターナルズとしての使命に耐えられず、チーム解散のきっかけを作ってしまう。でも、戦争をやめさせることが出来るのに、それをしちゃあいけないなんて、意味ないじゃんか! という彼の涙ながらの訴えは胸に響いたっすねえ! 演じたBarry Keoghan君は素晴らしい演技だったと思います。彼の今後に期待したいすなあ!
 ◆マッカリ:その能力は「超スピード」というエターナルズ。どうやら元々は戦士系というよりも偵察係みたいですな。聴覚障害なんだけど、その設定って必要だったのかよくわかりません。どうやらドルイグは彼女のことが大好きで、美しきマッカリ姫(My Beautiful Makkari)、とか呼んでいて、マッカリもまんざらでもない様子なのがほほえましかったすね。で、彼女は、どういう理由かよくわからんけど、劇中の説明によれば「引きこもり体質」なため、7000年前に彼らが地球にやってきた時の宇宙船「ドーモ」にずっと籠ってたらしい。ちなみに、初めて地球に来た時は、メソポタミアに着艦したんだけど、それすなわち現代のイラク、ですな。なお、ラストでは、マッカリ、ドルイグ、セナの3人はドーモに乗って宇宙に帰っちゃいました。演じたのはLauren Ridloffさん43歳で、あまり出番はないんだけど、意外とかわいいお人でした。
 ◆ファストゥス:最終バトルのキーアイテムである腕輪も彼が作る。メカ担当の技術屋系エターナルズ。広島で嘆くのが彼です。でもさあ、広島で嘆く前に、6924年間もあったんだから、同じようなことがあったでしょうに……気づくの遅すぎだよ、この人も。おまけにその絶望も、あっさり愛する同性パートナーを見つけて克服しちゃうのも、軽いっつうか……所詮その程度の絶望かよ、とか嫌味も言いたくなりますなあ、日本人としては。
 本作は、とにかくキャラクター(を演じる役者)たちの人種だったり、障害だったり、性的嗜好だったりと、いわゆる「多様性」に考慮したキャスティングや設定があるわけだけど、それが説得力のあるものだったかどうか、正直微妙な気もする。若干とってつけた感じもするけど……ま、どうでもいいか、そんなことは。少なくとも観ていて鼻につくようなところはないと思う、けど、必要だったかどうかはよくわからんです。演じたのはBrian Tyree Henry氏39歳。あれっ、意外と若いなこの人。ちなみに彼もラストでアリシェムに連れていかれちゃいました。
 ◆ディン・ウィットマン:普通の人間。セルシの現在の恋人。演じたのはKit Harington氏34歳。ラストで、セルシが連れ去られる直前に、「実はオレにも複雑な家庭環境があってさ……」と告白しようとした内容は、ポストクレジットシーンでも明らかな通り、彼はマーベルヒーローの一人、BLACKKNIGHTとなる人ですな。あのポストクレジットシーンで、「エボニーブレイド」という呪われた(?)剣を手にしようとしたときに声をかけたのは、どうやらハーフヴァンパイアでお馴染みのBLADEを演じることが決定しているMahershala Ali氏らしいですね。わたし的にはそっちの方が楽しみっす。
 ◆スターフォックス/エロス:一応原作では有名な、サノスの弟。ポストクレジットシーンで颯爽と登場。コスチュームが若干ダサいけどカッコ良かったすね。ま、今後どういった活躍をするのか楽しみにしようと思います。演じたのは、ワン・ダイレクションのメンバーでお馴染みHarry Styles君27歳。彼自身にはほぼ興味ないので以下省略。

 で、監督および脚本は、今年のアカデミー監督賞を受賞したChloé Zhao女史ですが、実はわたしはまだ『Nomadland』を観てないし、過去作も1作も観ていないので、どこかどうChloé節が効いているのかよく分からんです。映像的には、美しかったですね。ほかに書くことがないです。

 というわけで、どうでもいいことばかりなのでさっさと結論。

 2021年に入り、MCUはPhase-4への展開が始まり、すでに3本の映画が公開されるに至り、もう次々とシリーズは撮影が始まっており公開も続々と続くことになります。その3本目たる『ETERNALS』を、IMAXレーザーで観てきました。場面場面や、映像そのものはとてもハイクオリティで、もう大満足……ではあるものの、今回は「人間ではない」上位存在たちの苦悩を描く物語で、若干ピンと来ない部分はありました。とくに、7000年の歴史を経ての「今」、という部分が、なんで「今」なんだ? という点はサノス戦争による影響だということは理解できたけれど、それじゃあ「今まで」お前ら何してたんだよ? というのは理解に苦しむというか、いざ地球壊滅7日前になってオロオロするのは、やっぱり変だと思うし、愚かしいとさえ思う。神様レベルなのにね。また、人間がどうやったって克服できないレベルの話だと、どうしても共感できないし、ましてやこれまでのトニーたちの汗と涙と努力を意味がなかったかのように言われるのも、複雑な思いであります。上手く言えないけれど、エターナルズのみんなは、もちろん人間の努力に共感してくれたから、助けてくれたわけだけど、うーーん……締め切り寸前にバタバタするのは、デキる連中とは思えないすね……もっと早くから、疑問を持ち、探求し、解決策を練っていてほしかったです。そういう意味では、彼らはセレスティアルズ教に洗脳されていた、悲しき信者たちだったとも言えるのかもしれないですな。まあ、今後のMCUで彼らが再びどんな活躍をしてくれるのか、楽しみに待ちたいと思います。そして、セルシがやけに可愛くてとても気に入りました。以上。

↓ ミン・エルヴァとしての活躍も、もう一度観ようかしら。


 MARVEL CINEMATIC UNIVERS、略してMCUがいよいよ本格的に映画館に帰ってきた! のは大変喜ばしいですね。すっかり映画館に行く回数が減ってしまったわたしだが、MCUとなればもう当然、劇場へ行くことにためらいはないけれど、いかんせん、いろいろな事情があって、いつもなら公開すぐに観に行くのに、やっと昨日の土曜日、観てまいりました。
 その作品は、MCU第25作目の『SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS』であります。まあ、実際のところ、わたしは原作コミックのSHANG-CHIを全然知らないのだが、いよいよMCUに登場する完全新規キャラということで、大変楽しみにしておりました。ただ、配信サービス「Disney+」に加入していないわたしは、そっちで展開されている物語が関与していたら困るな、と思っていたけれど、とりあえず『SHANG-CHI』は「+」で配信された3作品を見ていなくても大丈夫だった、と思います。
 で、結論としては、面白かった!!! のは間違いなく、大変楽しめたのだが、なんか大絶賛している人には大変アレだけど、超面白かった!というつもりは全くない。まあ、フツーに面白かったレベルだったと思います。つうか、いろいろな点で予想外なことが多く、もう完全ファンタジー映画でしたな。というわけで、以下、ネタバレに考慮せずに書くと思うので、まだ観ていない人は下記の予告を見て、今すぐ劇場へ行ってきてください。話はそれからだ。

 はい。それではよろしいでしょうか。

 わたしは予告を見て、うわあ、カッコ良くねえ、と初めて見るシャン・チーなるキャラクターのブサメンぶりに若干の失望を抱いていた。
 そもそも、ハリウッドに吹き荒れるポリコレ的多様性とやらには全く興味がなく、アジア人やら黒人やらが主人公になってもどうでもいいと思っているが、それを(結果的に)ウリにする行為こそ逆差別じゃねえかという気もする。が、本作は、そもそも原作において主人公がアジアンヒーローなので、アジア人キャストが主役を張るのは当たり前……だけど、ちょっとブサメンすぎじゃね? とか思っていたのだ。もうチョイカッコイイ奴がいたんじゃね? みたいな。
 しかし、シャン・チーのお父さんを演じるのは、アジアが誇るイケメンおじさんの梁 朝偉(Tony Leung)氏だし、記念すべきMCU第1作目『IRONMAN』から暗躍してきた謎組織「テン・リングス」がついに動き出す的な内容には大興奮していたので、とにかく早く観たいと待ち望んでいたわけです。
 で、物語を簡単にまとめると、1000年前、謎の「テン・リングス」なる10個の腕輪(原作では指輪)を手に入れた男がいた。その男は「テン・リングス」のウルトラ超絶パワーを使い、武装集団を結成して権力や富を得て、ついでに謎パワーによって不老不死となり、現代にいたるまで歴史の裏側で暗躍していたと。
 しかし、1995年(意外と最近でちょっと笑った)中国のどこかにある、謎の魔法の国に単騎で侵攻しようとするも、門番的美女に完敗、その後その美女のもとに足しげく通っているうちにFall in Love each other となり、「テン・リングス」を封印し、結婚、男児と女児に恵まれ、悪事からも足を洗って幸せな結婚生活を送っていたが……ちょっと留守にした隙に、かつてボコッた小悪党が自宅を急襲し、妻を殺される。
 その怒りに、封印を解き、再び「テン・リングス」を装着した男は組織を再生し、息子にも武芸をたたき込み、ついに妻を殺した男を発見、すっかり武芸者・暗殺者として成長した息子に、母を殺した野郎をぶっ殺して来い! と送り出すも、息子は暗殺ミッションを捨ててアメリカに隠棲してしまう。ついでに娘もいつの間にか失踪。
 それから10年が経ち――男の耳元に、愛する妻の声が……! 妻は生きている、そして故郷の謎の魔法の国に捕らわれている。ならば俺が救おう、愛のために!! そして、今まで大目に見ていた息子と娘を呼び戻し、「家族を取り戻すのだ!!」と決意をもって立ち上がる!!!
 てな感じのお話である。
 そうです。わたしには本作は、完全にお父さんの物語であり、息子のシャン・チーはおまけに過ぎなかったように思えてならないのだ。
 わたしには、お父さんたるウェンウーは全く悪い奴には思えなかった。むしろ、北斗の拳的に言えば「鬼のフドウ」的な男にしか思えなかったすね。それゆえ、シャン・チーが10年間だらだら暮らしていたことが不愉快だし、シャン・チーに「テン・リングス」を受け継ぐ資格はあったのか、若干疑問である。
 そして、本作で一番の謎だと思うのが、「結局テン・リングスはだれが何のために作ったモノなのか?」について、ほぼ語られなかったのがちょっと残念だ。この点については、ポストクレジットシーンで、ちょっと触れられるが、まあ、今後明らかになるのでしょう。まさか『ETERNALS』が作ったモノとか? この「テン・リングス」の由来についてはホントにわくわくが止まらんすね。
 というわけで、各キャラと演じた役者についてまとめよう。
 ◆ウェンウー:推定1000歳以上の犯罪組織「テン・リングス」の首領。悪い人ではあるけれど、前述の通り「愛」を知り、一度は足を洗い、「年齢を重ねて老いる」選択をした愛の男。が、愛する妻が殺されたことへの復讐のために再びテン・リングスを身につけたわけで、その経緯はわたしとしてはもう十分共感に値する男だと思う。要するに彼もAVENGER(=復讐者)だよね。10年間息子と娘を放置していた理由はよくわからないけれど、居場所はしっかり把握していて、それでもなお、好きにさせていたわけで、それもまた、子供に対する「愛」だったとわたしには思える。物語的に妻の声が(謎魔物たちの罠とはいえ)「どうして今、急に」聞こえてきたのか、説明してほしかった。アレかな、ひょっとしたらインフィニティストーンをめぐるTHANOS戦争の影響かもしれないすね。『ETERNALS』も、予告を見る限りでは、THANOS戦争の影響で引き起こされる事件みたいだし。
 演じたのは、これまた前述のようにアジアが誇るイケオジの梁 朝偉(Tony Leung)氏。もうパーフェクト! な演技。そして技のキレも抜群! カッコイイ!!! 誰が何といおうと、わたしにとって本作の主人公は、まぎれもなく彼、ウェンウーですよ。しかしどうでもいいけど、中国にとって1000年前なんて、つい最近のことで、北宋時代かな? 日本人的にも平安時代でしょ? そんなに太古の昔じゃないのに、メリケン人にとっては「魔法の国」があったような太古に感じるんだろうな。その辺の感覚の違いが、描写として若干微妙だった気もします。
 ◆シャン・チー:ウェンウーの息子。90年代後半生まれとすると現在20代後半ぐらいか。16歳ぐらい?で暗殺者から足を洗ってメリケン国に隠棲し、フツーーのメリケン人としてフツーーに生きる、ホテルの駐車場係の青年。コイツがなぜ、母の仇を殺さなかったかについては、直接的な描写がなく、正直説明不足だと思う。要するに優しかった母は復讐なんて望んでいない、と思ったからやめたんだと思うけど、仇を前にあと一歩で殺せる、けど、やめる、的なシーンが欲しかったすね。つうかお前、10年間メリケン人として遊んで暮らした野郎に、妹が激怒してるのは当たり前だと思うよ。嘘つきやがって。ひどい奴だと思う。
 演じたのは中国系カナダ人のShim Liu君32歳。ま、カッコ良くはないですな。体のキレも、80年代に青春を送ったわたしとしては、ジャッキーやリー・リン・チェン(=Jet Lie)、リュー・チァフィーをリアルタイムで観ていたので、フツーというかこのぐらい当たり前レベルだったと思う。まあ、今後は地球を守るヒーローの一人として、頑張っていただきたいですな。
 ◆シャーリン:ウェンウーの娘でありシャン・チーの妹。ウェンウーは、息子シャン・チーに対しては武芸をたたき込むが、娘のシャーリンには手ほどきしなかった。それもまたわたしには「愛」ゆえのことだと思えたが、淋しかった妹は自ら周りの武芸訓練を見よう見まねで特訓して、一流の武芸者に成長。16歳ぐらい?の時に故郷のテン・リングス本拠地を脱走し、マカオに天空武闘場のようなバトルアリーナ「ゴールデン・ダガー」を設立、そのオーナーとなる。大変カッコ良く、そして強い美女。メリケン国で10年間ぼんやり遊んで暮らした兄シャン・チーとは大違いだよ。兄は、3日で戻るとか言って妹を置き去りにして脱走したのに、健気に兄を待ち続けた可哀想な妹。本作の事件終結後は父の跡を継ぎ、テン・リングス女ボスに就任。今後、悪事を働くのかよく分からんけど、ボスの椅子にドカッと座って見せた「ニヤリ」は最高だったすね。
 演じたのはMeng'er Zhang嬢34歳(1987年生まれらしい)。若干クセのある美女ですな。メリケン人がイメージするクールアジアンビューティーのお約束である、パッツン系おかっぱスタイルなので、髪型が変わるともっとかわいいと思う。兄と再会してブッ飛ばしてやったシーンは最高でした。今後のMCUにも出演してほしいすね。
 ◆イン・リー:謎の魔法の国(村)ター・ロンの門番的守護者であり、ウェンウーの妻であり、シャン・チーとシャーリンの母。故人。そもそも「ター・ロン」なる村が謎過ぎるので、もう完全ファンタジーなのだが、龍とか九尾の狐とか麒麟や鳳凰とかの「神話の生き物」が普通に暮らし、「魔界(?)」に通じる扉を守護する人々が住んでいる。かつて、『DOCTOR STRANGE』において、ウォンは「the Avengers protect the world from physical dangers, we sorcerers safeguard it against more mystical threats.」と言っていたけど、この魔界の扉?はmystical threatsなんじゃないのかな?? この辺の関連は今後描かれるかもしれないですな。ともあれ、このド真面目な門番の娘が惚れちゃったんだから、やっぱりウェンウーは悪い奴じゃないと思うすね。ウェンウーとの戦いは、さながらラオウ様の剛の拳VSトキの柔の拳のようで、とてもカッコ良かったす。
 演じたのは中国系メリケン人美女の陳 法拉(FaLa Chen)さん39歳。若い! IMDbによるとアトランタ育ちでジュリアード出身らしいすね。確かな演技だったと思います。
 ◆イン・ナン:イン・リーの姉で、つまりシャン・チーとシャーリンの伯母さんにあたる人。現在もター・ロンに住み、やってきた兄妹に柔の拳の手ほどきをする。演じたのはMichell Yeohさん59歳。マレーシア人だったかな。もう様々な作品でお馴染みの名優ですな。
 ◆ケイティ:シャン・チーの高校時代の同級生でギャグ担当……なんだけどわたしには全然笑えなかったす。真面目人間のわたしとしては、人の車を勝手にかっ飛ばすような人間は好きになれません。母からは、せっかくバークレーを卒業したのに駐車係なんて……と嘆かれている。そりゃそうだ。日本的に言えば慶応を出てコンビニバイトしてるようなもんだろうし。このキャラもきっと今後のMCUに出演してくるのだろうと思うけど、まあ、どうでもいいです。演じたのは、わたし的には『OSEAN'S8」で見かけたAwkwafina嬢33歳。血筋はアジア系だけど生まれも育ちも生粋のメリケン人。声がやけにガラガラなのが特徴。以上。特にこれ以上書くことないす。
 ◆トレヴァー:『IRONMAN3』に出てきた偽マンダリン。その正体は『IRONMAN3』のヴィランであるキリアンに雇われたイギリス人俳優で、組織テン・リングスを勝手に騙ったことで本物のテン・リングスであるウェンウーに拉致監禁(?)されている。チョイ出演かと思ったら意外と出番が多くて驚いた。演じたのは勿論、Sir Ben Kingsleyが続投。楽しげに演じてましたねw

 とまあ、こんなところかな。
 MCUお約束のポストクレジットシーンについては、インターネッツなる銀河で多くの人が語ってるだろうから割愛します。キャプテン・マーベルことキャロルと、ハルクことバナー博士が出てくるけど、うーーーん……キャロルにもわからない謎信号を発している「テン・リングス」。いったい誰に向けて発している信号なのか……今後の展開が楽しみですなあ! つうか、ウォンは世俗慣れしすぎです!w もう、ちゃんとして!w

 というわけで、結論。

 ついに公開されたMCU第25作目の『SHANG-CHI AND THE LEGEND OF THE TEN RINGS』を、公開から1週経ってやっと観ることが出来ました。端的に言えば、もちろん面白かった!! です。が、わたしにとって本作は、明確に父であるウェンウーの物語であり、そのラオウ様的な生きざまには猛烈にしびれました。演じたTony Leung氏の演技もパーフェクトだったと賞賛したいと思う。けどなあ……息子のシャン・チーがなあ……コイツ、テン・リングスを継承する覚悟はあるんだろうか? と疑問にしか思えず、その行く末が若干心配ではある。しかしまあ、若者の成長こそドラマであり、今後の活躍を期待したいすね。コイツの葛藤が、なんか薄っぺらに感じてしまったのは残念。ただ、妹はイイっすね! 遊び惚けていた兄貴に代わって、妹にテン・リングスを装着してほしいぐらいですよ。そしてその「テン・リングス」の由来も、今後に大きくかかわる予感があって、本作でまったく描かれなかったのは不満だけど、今後に期待したいと存じます。以上。

↓ ヒーロースーツは母からの贈り物という設定でしたが、あまりカッコ良くない。。。妹のスーツはとても良かったすね。


 映画が大好きで年間およそ40本ぐらい、せっせと劇場に通っていたわたしだが、去年から世界を覆うCOVID-19感染蔓延によって、劇場へ足を運ぶ回数がめっきり減ってしまった。まあ、理由はCOVID-19だけではないけれど、いずれにせよ公開される作品が減ってしまって、観たい!と思える映画も減ってしまった結果なのだが……先週末、久しぶりに劇場で見て来た映画は、今年やっと2本目であった。
 その映画はわたしの大好物であるMCU最新作『BLACK WIDOW』であります。
 本作も、Disney+という配信プラットフォームでも観ることは可能だが、わたし、家で配信で観ることはほぼ出来ないんすよね……。理由は簡単。ほぼ確実に、途中で寝てしまうからであります。無理だよ、家で観るなんて。ついでに言うと家では仕事も出来ねえな、わたしは。
 というわけで、本来は去年公開されるはずだった『BLACK WIDOW』をやっと観てきたわけだが、まあ、大人の事情なんだろうけど、わたしが通うシネコン、TOHOシネマズでは一切上映がないため、家から車で20分ほどのユナイテッドシネマズにて、IMAX版を見ることとした。IMAXにこだわる必要はねえかな、と思ってたけど、都合のいい時間にあう上映がIMAXしかなかったから選択しただけっす。

 というわけで。『BLACK WIDOW』であります。
 ただ。まあ正直に言えば、わたしとしては超観たい!という程テンションは上がっていなかったというのが本音だ。なにしろ、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフというキャラクターは、もう既に殉職してしまっているのだから、わたしには、今ふたたびナターシャの過去(?)を観たいとは思えなかったのだ。
 わたしは未だに、世界が絶賛している『END GAME』をそれほど高く評価していない。とりわけやっぱり、ナターシャ殉職のくだりにはいろいろ思ってしまうわけで、ソウルストーン獲得条件の設定と、なんでナターシャが犠牲にならないといけないんだ!? と不満に思っている。
 今回の『BLACK WIDOW』の物語は、ナターシャ殉職の背景として、「家族」への想いがあることを描いている一面があったわけだが、それでもやっぱり、わたしは未だに『END GAME』を全面的に受け入れられないでいるのだ……。だって、ラストの大決戦で女子チーム勢揃いの時にナターシャがいないなんて悲しすぎるよ。。。
 さて。今回の『BLACK WIDOW』は、時系列としては『CIVIL WAR』直後から始まる。『CIVIL WAR』のラストで、アベンジャーズ基地から去った(?)ナターシャは、お尋ね者としてロス長官たちから追われる身だ。しかしそんな追跡は余裕でかわし、ノルウェーに身をひそめることになる。しかし、調達屋の兄ちゃんが持ってきた、「ブタペスト」の隠れ家に置いておいた荷物の中に、かつて分かれた「妹」の存在を匂わすものが入っており、さらにそれと一緒に入っていたブツを狙う謎の暗殺者がナターシャの前に現れ大バトルが発生、難を逃れたナターシャはブタペストへ……てな感じで始まる。
 もう、この物語の流れや、映像的なアクションの迫力は、まぎれもないMCUで当然わたしも大歓喜、やっとMCUが映画館に戻ってきた! と嬉しく思ったわけで、その後の「家族」の物語も楽しめたし、実際、この映画に対して何ら文句はなく、大喝采を送りたいわけだが……。。。
 やっぱり、最終的なナターシャの運命をすでに知っている身としては、どうしても悲しいっつうか、もうちょっと『END GAME』はどうにかならんかったのかなあ。。。と妄想してしまうのであります。まあ、同じ運命をたどったガモーラに関しては、あきらめもつくんですよ。アレは、サノスがガモーラのことを娘としてちゃんと愛していた、という意味でアリだと思うんす。だけどなあ……うーん……ナターシャのことはホント未だに受け入れられないすね。。。もっと上手く描けたのではなかろうか……。
 ま、いまさら『END GAME』に文句を言ってもしょうがないのでこれ以上は言うまい。問題は、本作で描かれた、ナターシャの「2つの家族」への想いが、わたしの腑に落ちたかどうかになるわけだけど……まあ、正直微妙、だと思う。
 そりゃあ、美しいし、称賛したいですよ。でも、家族が喪われることがもたらす、「残された家族の想い」を考えるとなあ……。はっきり言って、下手をすると「復讐」だったり、「かたき討ち」だったりといった、憎しみの念を「残して」しまうわけで、今回のポストクレジットシーンでも、残された妹はその負の感情を今後(一時的にせよ)利用されてしまいそうで、それはやっぱり良くないとわたしは思うのだが……。ま、きっとその復讐心は利用されただけと気づいてホークアイと和解?するんだろうけどね。
 あと、どうしても、今回のように「過去」を描くと、じゃあサノス大戦の時、妹たちはどうしてたんだ? とか、気になる点も出てきてしまい、物語の後のせサクサク感も感じてしまうわけで、完璧につじつまが合ってる、とは思えないような点もあった気がする。そんなのは些細だからどうでもいいのかな。。。
 あー、もう、やっぱり細かいことはもうどうでもいいか。間違いなく言えることは、本作『BLACK WIDOW』はまぎれもないMCU作品であり、確実に劇場の大スクリーンで観るべき作品であり、わたしのように『END GAME』にいろいろ物申したい人間でも、MCUが大好きなら絶対に観ないといけない作品であった、ということでありましょう。
 というわけで、各キャラと演じた役者をメモして終わりにします。
 ◆ナターシャ・ロマノフ=ブラック・ウィドウ
 演じたのはもちろんScarlett Johanssonさん36歳。美しく、そしてかわいいすよね。今回のナターシャは、既に壊滅させたはずの「レッド・ルーム」がいまだ健在だという情報を妹から得て、ならば今度こそ、レッド・ルームをぶっ潰す!という行動に出るわけだが……今思うと、ほんとにS.H.I.E.L.Dって組織はどうしようもなくダメな組織だったとしか思えないすね。ま、そのダメさ加減が明らかになるのが『WINTER SOLDIER』で、そこから数年経ってるはずだけど、ある意味、S.H.I.E.L.Dの後始末的な仕事に孤軍奮闘するナターシャってのも実に気の毒です。使えないホークアイよりも、疑似妹/父/母たちがいて良かったね。とある理由で、自ら鼻をへし折って、その後「ミシッ」と自分で直すシーンがわたし的にはかなり気に入ったす。
 ◆エレーナ・ベロワ
 ナターシャと1995年の幼少期に疑似姉妹を演じさせられていた女子。「ウィドウ」としての訓練は、幼少期のナターシャと別れた後に本格的に受け、21年後の現在はレッド・ルーム配下のウィドウの一人として悪いことをさせられていた。が、同僚の助けで洗脳(?)が解け、正気に戻り、かつての姉たるナターシャにコンタクトを取る。戦闘力はナターシャ同等。自分たちをウィドウに仕立て上げた黒幕に、反逆ののろしを上げる! 演じたのは、Florence Pugh嬢25歳イギリス人。まあ、ええ、趣味じゃないのでスルーしたいところだけど、演技やアクションは大変良かったと思います。しかし、どうも謎なんだけど、ウィドウ時代の21年間は、洗脳(?)されてたわけで、それにしちゃあその間活躍してたナターシャについて詳しいし、言葉使いも現代っぽくて、なんかちぐはぐ?な感じもしたっす。あれって……単に自由意志だけ奪われてただけで、思考力とか経験?は普通に21年分積み重ねてきた、ってことなのかな? よくわからんす。ナターシャが『END GAME』で着用しているベストは、実はエレーナからもらったものだったという由来は、そうだったんだね、と大変納得のいくものでした。
 ◆アレクセイ・ショスタコフ=レッド・ガーディアン
 偽装家族の父。その正体はロシア(ソビエト)版キャップ。いわゆる「超人血清(?)」ロシア版を接種済みのため、異常なパワーを誇るエージェント。だけど、ナターシャと別れてからはすっかりデブなおっさんとして収監されていた。エレーナと合流したナターシャが「一番事情を知ってる野郎」として最初に救出。あの監獄アクションも、なんつうかほぼ意味はないけど見ごたえバッチリなすごい映像満載でした。つうかですね、このキャラは、活動時代的にはCAPじゃなくて「初代ANT-MAN」たるピム博士と一番戦った人なんじゃね? いや、そうでもないか……1995年時点で40歳程度だとして、バリバリ活躍してたのがは1970年代後半か……ピム博士は60年代に活躍してたはずだから、微妙にピム博士よりあとか……な? それともCAP同様、年を取らないだけで、おじいちゃんレベルの年齢だったのかな? そういや、1995年って、キャプテン・マーベル覚醒の年だよな。そういった、レッド・ガーディアン活躍の話や他のMCU作品とのエピソードが全くなくて残念す。演じたのはDavid Harbour氏46歳。46歳!? み、みえねえ!もっと年上かと思ってたわ。。。2代目HELLBOYを演じた人っすね。
 ◆メリーナ・ヴォストコフ
 偽装家族の母。その正体はレッド・ルームの科学者兼ウィドウの一人、でもあって、一応戦闘力高し(?)。そもそもの洗脳(※正確には洗脳ではないと言ってた)技術の開発者で、実際悪い人のはずだけど、どうやらオハイオでの偽装家族生活で家族愛に目覚めたらしく、やってきた元・娘たち&元・亭主のレッド・ルームぶっ潰せ作戦に参戦。彼女がレッド・ルームを裏切るのは恐らくは家族愛のようなものなのだが……なんつうか……若干底が浅いような……。でも、非常にエモーショナルでもあって、悪くないと思うす。どうか数多くのウィドウたちを、今後救ってやってください。演じたのはオスカー・ウィナーであり、Daniel Craig氏の奥さんとしてもおなじみのRachel Weiszさん51歳イギリス人。ま、貫禄たっぷりっすね。余裕の演技ぶりだし、なかなかコスチュームも似合ってたよ!
 ◆リック
 ナターシャがいろいろ頼る(?)、武器調達屋の兄ちゃん。このキャラはMCU初登場? だよね? わたしとしては今回一番気に入ったキャラです。出番は少ないけど、凄い印象に残ったすね。演じたのはO-T Fagbenle氏という方で、わたしは全然知らない方でした。主にTVで活躍されてる方みたいすね。なんというか、調達屋という仕事を表すような、軽妙な性格付けがすごく絶妙で、とても良かったす。きっと彼も、ナターシャ殉職を悲しんでいることでしょうな……。今後のMCUにも、ぜひ登場していただきたいすね。
 ◆タスクマスター=アントニア・ドレイコフ
 今回のメインヴィランであるこのキャラは、その技術的な理屈はよくわからんけど、誰かの戦闘データを入力すると、その戦闘スタイルを完全コピーできるという、ある意味最強に近い敵、でありました。かなり設定は元のコミックから外れているらしいですが、この映画に登場したタスクマスターは、その体の切れが素晴らしく、実にカッコ良かったすね。ターミネータのように一直線に襲ってくる演出もイイっすな。しかし、今後彼女はタスクマスターとして戦えるんだろうか?? 戦闘データ入力とかどうすんの? あのヘルメットをかぶってないとダメなのかな?? よくわからんけど、とにかくビジュアル的にカッコいい!ので、今後も活躍してほしいすね。なんつうか、MCUのキャラコスチュームって、デザインはもちろんだけど、カラー、色づかいが抜群にカッコいいと思うっす。演じたのは、ロシア系美女でお馴染みOlga Kurylenkoさん41歳。本来は超美人ですが、今回はやけどの跡が生々しい、悲しい女性役でありました。
 ◆ドレイコフ
 今回の一番悪い奴。何がしたかったのかよくわからん。。。アベンジャーズに悟られない程度の世界征服って、ちょっと意味が分からないというか……実に小者でガッカリす。演じたのはRay Winstone氏64歳。意外といろいろな映画で出会ってるみたいだけど、顔を見てすぐわからなかったす。

 とまあ、こんなところかな。というわけで、さっさと結論。

 公開が伸びの伸びてしまったMCU第24作目、『BLACK WIDOW』をとうとう映画館の大スクリーンで観ることが出来る時がやってまいりました。わたしとしては、正直今になってナターシャの過去を観るのは若干つらい想いがしてならないのだが、一方では観ない理由も一切なく、久しぶりにIMAXスクリーンで観てまいりました。結論としては、もちろん面白かったのは間違いないです。が、やっぱり、観終わった後に、いろいろ悲しくなるっすね……。まあ、おそらく今後は「妹」のイリーナが2代目BLACK WIDOWとして活躍してくれるのでしょう。どうやらまずは、姉の殉職の原因となった(と誤解させられている)ホークアイをぶっ殺しに行くようですが、ホークアイが好きではないわたしとしてはやっちまえ! だけど、最終的にはその誤解も解けるのでしょう。あのポストクレジットのナターシャのお墓は悲しいすね。。。ナターシャ・ロマノフというキャラクターは、MCU第3作目の『IRONMAN2』(2010年公開)から活躍してきてくれたわけですが、今ここに、その物語は完結したわけで、演じつづけたScarlett Johansson嬢には心から、お疲れ様でした! と申し上げたいすね。大変カッコ良く、美しくかわいいキャラでした。あざました!! 以上。

↓ 2010年当時、MCUは全く話題になっておらず、2008年のIRONMANから大興奮していたわたしは、IRONMAN2は日本より数カ月先に公開されてた香港に観に行ったす。もう11年前か。。。
ironman2

 いやあ~……最高だったすね! コイツは面白かった! 今年はあまり映画を観に行けていないけれど、まあ、ダントツの完成度とダントツの面白さで、今のところ暫定ナンバーワンですなあ!
 何のことかって? そんなのコイツに決まってるでしょうが!!

 というわけで、US本国よりも数日早い昨日から日本公開となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』 であります。いやー、本当に素晴らしかった! とにかく内容盛りだくさんで、これはMCU=マーベル・シネマティック・ユニバースにとって極めて重要な作品であったと言えると思う。
ポイントとなるのは……
 ◆そもそもの本筋である物語が最高に面白い
 ◆本筋に影響を及ぼしている、MCUの世界観設定が超秀逸に決まっている。
 ◆コミック原作への深いロイヤリティ(忠誠心)が観ていて感動的
 という点にあるような気がしますね。これは本当にお見事としか言いようがないすわ。まずはざっくりと、これまでのまとめと本作の物語をまとめてみよう。間違いなく言えることは、MCUのこれまでの歴史を知らないと、本作を味わうことはできないことでしょうな。まあ、そんなのは当たり前の大前提ですよ。
 で、MCUにおける『SPIDER-MAN』単独の物語は、本作で2作目であるものの、実のところ主人公スパイディ=ピーター・パーカー君がMCUに登場するのは、これでもう5本目だ。
 <初登場>:MCU最高傑作とわたしが認定している『CAP:CIVIL WAR』に緊急参戦。CAPと分かり合えない深い溝ができてしまったトニーが、なにやらNYCで悪者退治にいそしんでいる「蜘蛛男」のうわさを頼りに、ごくあっさり正体を見破り、ある日突然、ピーター君の前に現れスカウト。この時トニーは、あくまで助っ人として助力を要請するが、世界的な大富豪&天才と知られているトニーのスカウトに大興奮したピーター君はそれなりに活躍するも、それほどは深く描かれず、顔見世に終わる。
 <単独主演>:初の単独作『HOME COMING』にて、『CIVIL WAR』のその後が描かれる。トニー謹製のSPIDERスーツをもらって大はしゃぎのピーター君は、CIVIL WARののち、僕もアベンジャーズの一員になって大活躍したい、とずっとトニーからの連絡を待つ日々だったが、トニーからは連絡なし。つれない対応にしょんぼりしているが、NYCに現れた悪党ヴァルチャー(及びその手下)との戦闘で、若干ミスってしまってトニーに怒られ、スーツも取り上げられてしまってさらにしょんぼりは深まる。が、最終的にはヴァルチャー退治に成功し、トニーもピーター君の活躍を認め、ラストは記者会見で、新たなるヒーローの誕生だ、と派手に紹介しようとしたところでピーター君はそれを断り、「NYCの親愛なる隣人」でいることを選択する。この作品の一番素晴らしいところはこのピーター君の選択で、原作コミックのCIVIL WARでは記者会見でマスクを脱いで、自分がSPIDER-MANであることを明かすのだが、見事にその流れを断る点にあろうと思う。女の子にモテたい、自分がSPIDER-MANであることを明かせばモテる、という前振りが何度もあるのに、それをきっちり断って、モテることより自分のできることを頑張る、というピーター少年の決断は実にカッコ良かったすな。そしてこの作品では、若干暗くてブラックなことばかりつぶやいている謎のプチストーカー少女こそ、SPIDY世界のヒロイン「MJ」だった! というラストも実にお見事でした。
<3作目&4作目>:『INFINITY WAR』勃発。NYCのマンハッタンにやってきた宇宙船を、スパイダー・センス(=何気に重要な能力で、今回のFAR FROM HOMEではカギとなる危機察知能力)でいち早く感知したピーター君は、スクールバスから現場に急行、戦闘中のトニーを助け、拉致されたDr.Strangeを追って宇宙船にしがみつくが、成層圏を突破する辺りで意識朦朧となり、上空から落下するもトニー謹製の「アイアン・スパイダー」スーツを装着、トニーには家に帰れと言われてたのに宇宙船に潜入、結果、THANOSの手下一人をぶっ飛ばすことに貢献し、トニーにはアベンジャーズの一員として認められる。そしてTHANOSとの戦いに挑むも、THANOSの「選択」で消滅することに。しかしご存知『END GAME』で普通に復活しました。ただしその代償は―――トニーの命だったわけです。
 <5作目となる本作『FAR FROM HOME』>:INFINITY WAR~END GAME事件から8カ月後の世界。物語としては、もう予告で描かれている通り、高校生としての夏休み、サイエンスクラブの合宿旅行(?)で訪れたヨーロッパを舞台に、ピーター君としては大好きなMJに告白したい、けれど謎の怪物が世界各国に現れていて、トニー・スターク=IRONMANというスーパーヒーローを失った世界はSPIDER-MANの力を必要としていた……。
 というお話なわけだが、スーパーヒーローとしての活動は、ピーターが「NYCの親愛なる隣人」であろうとする気持ちと、さらに高校生として恋と青春をエンジョイしたいという気持ちともバッティングしてしまうわけで、ピーター君は大いに悩むわけです。おまけに、ピーターが尊敬してやまないトニーからの遺品(=トニー愛用のサングラスで、ARシステムが実装され、地球防衛装置(と言えばいいのかな?)にダイレクトにリンクした強力な一品)も、ホントに僕が持ってていいんだろうか、なんて悩みもあって、もう大変なわけです。
 しかし、後半、自分の行動が間違っていたことに気づいてからは、前を向いて自らの失敗を取り返すべく、超がんばるわけですが、それがまたなかなかけ健気なんすよ! ピーターはトニーを失っても、きっちり自分で成長を果たしたわけで、そんな、「少年の成長物語」が面白くないわけない! のです。本当に良く練られた脚本で、実にお見事でありましたなあ! マジ最高でした。
 というわけで、以下、キャラごとに演じた役者と共に思ったことをメモしておこう。
 ◆ピーター・パーカー=SPIDER-MAN:演じたのはもちろんTom Holland君23歳。演技的にも完璧に近く、悩める姿、しょんぼりな顔やはじける笑顔など、高校生そのものな感じでとにかく最高だったすね。そもそも、SPIDER-MANは、マーベルコミックの中では(一部のX-MENキャラを除いで)最年少の少年ヒーローで、これまでの映画シリーズのような、恋愛中心のキャラではなく、原作に最も忠実な描かれ方なのではないかと思う。しかし、本作のエンドクレジット後のおまけ映像では、ついに自分がSPIDER-MANであることを明かされてしまって、今後どうなるのか、超楽しみっすね! そして、とうとうMCU版にもデイリー・ピューグル編集長(どうやら時代を反映して新聞社ではなくネットニュース配信社?)も参戦、おまけに演じた役者がSam Raimi監督版3部作で同じ役を演じたJ.K.Simmons氏だったことに、もうわたしは大興奮したっすわ! あれはもう、ファンは全員、な、なんだってーーー!? なおまけ映像でしたな。最高でした。
 ◆ハッピー・ホーガン:悩めるピーター君の前に現れる大人その1。演じたのはもちろんJohn Favreau監督52歳。お馴染みトニーの運転手兼ボディガード(?)のハッピーは、今回は美人過ぎるおばさんでお馴染みのメイおばさんのケツを追っかけつつ、後半、ピーターが決断してからはいろいろとサポートしてくれた強い味方。だけど、ちょっとあんた、弱すぎだし、メイおばさんを見る目が完全にエロオヤジなんですけど大丈夫ですか!? トニーが生きてたら、なんと言われるか……まあ、今後もピーター君をサポートしてあげてくださいね。
 ◆ニック・フューリー:悩めるピーター君の前に現れる大人その2。Samuel L. Jackson叔父貴しか演じられるわけがありません。基本的にこの人は偉そう&口だけ人間に近く、ピーター君の力にはほとんどなってない。さらに、この人はTHANOSの選抜で消滅した側なので、5年のブランクがあるのでイマイチ本調子じゃないみたい……と思わせといて、なんなんすかあのおまけ映像は!? 要するに、今回出てきたニック・フューリーは全部スクラル人のタロスが変身してたってことなんすか!? マジかよ!! この設定って必要だったかなあ!? まあ、どうやら本物のニック・フューリーは銀河のどこかでお仕事中みたいすね。ま、今後のMCUがどうなるかさっぱり謎ですが、その「今後」のための伏線なんでしょうな。うおお、すげえ楽しみであります!
 ◆クエンティン・ベック=ミステリオ:悩めるピーター君の前に現れる大人その3。演じたのはわたしが結構好きな役者の一人であるJake Gyllenhaal氏38歳。やっぱカッコイイすねえ、この人。そして、SPIDER-MANにちょっと詳しければ、ミステリオのことも知ってるはずで、わたしはもうずっと、予告でやけにイイ人っぽく描かれる「ミステリオがイイ奴のわけがないんだけど……どんな話になるんだ?」とドキドキしていたわけで、本性が現れた時は「やっぱり……!」ではあった。しかし、脚本的に、コイツが悪党だってことは一切匂わせず、実にお見事な大どんでん返しであったとわたしは大絶賛したい! 素晴らしかったね。ここでこう来るんだ!? と誰もがびっくりな展開は完璧に決まったすね。こういう点も、原作へのロイヤリティの高さがにじみ出てますよ。しかも、原作ファンには、アース616とかアース833とか、「それっぽい」ミスリードを誘うようなセリフも、実に原作へのリスペクトが感じられる素晴らしい脚本でした。そしてJake氏の演技も良かったすねえ! わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。
 ◆ネッド:MCU版ではおなじみの、ピーターの親友のデブオタ君。いやあ、今回の「ネッド、大人への階段を上るの巻」も実に素晴らしかったすねえ! ネッドに春が来るとはなあ! しかも、ネッドの素晴らしいところは、彼女ができても、彼女に付きっきりになることなく、キッチリとピーターの相棒=椅子の男として活躍してくれるんだから、ホントにコイツはイイ奴ですよ! 演じたのはもちろんこれまでネッドを演じ続けてくれているJacob Batalon君23歳。なるほど、Tom Holland君と同い年なんすね。君たちコンビはこれからもずっと頑張ってほしいすね!
 ◆MJことミシェル:前作『HOME COMING』では、むしろ彼女がピーター君大好きで、若干ストーカーめいた挙動不審な女の子だったし、おまけにピーター君も別の女の子に夢中だったのだが、今回はもう、ピーター君の方からMJ大好きに。まあ、おっさんからすれば、二人がもうお互い大好きなのは見え見えなので、YOU、さっさと告っちゃえよ! なわけですが……なかなか甘酸っぱくて良かったすね。つうか、演じたZendayaちゃんはミュージシャンとして大人気なわけだけど、この子はなんとなく日本人的顔立ちだし、観ていると話が進むにつれてどんどんかわいく見えてきますな。エンディングではSPIDER-MANに抱かれてマンハッタンの空をスィングしまくる映像も流れて、なんか微笑ましかったすな。青春しやがって! ところで、ピーター君もネッドもMJも、揃って5年間消えていた側なわけですが、本作では、トニーの逆パッチンによって、消えた人がどう復活したかもちょろっと描かれてました。わたしはその映像を見て椅子から転げ落ちそうなぐらいびっくりしたんだけど……どうやら、「消えた場所で(?)、突然、パッと復活した」らしい。うっそだろ!? そんな復活だったのかよ!? とわたしとしては超驚いたす。だって、飛行機に乗ってた人とかもいたはずで、そういう「消滅した時の場所がアレだった人」たちってどうなったんでしょうなあ?? 謎っす。
 いっけねえ! もうクソ長いからこの辺にしとこう。

 というわけで、もうぶった切りで結論!
 超楽しみにしていたMCU最新作にしてPHASE-4の最終作となった『SPIDER-MAN:FAR FROM HOME』を観てきたのだが、一言で言えば最高でした。控えめに言っても、最高だと思います。真面目な少年が、悩みや悲しみを乗り越えて成長するという物語は、もう鉄板でしょうな。実に面白かったすね。悔しいぐらいに。MCUとしても極めて重要な作品であったと思う。しかしなあ、ホントにパラレル・ワールドの「マルチ・ヴァース」の設定を使わなかったのは大正解だと思いますね。アレはもう、収拾がつかなくなるし、これまで、を無視しちゃう禁じ手だと思うな。まあ、それを使って台無しになったのがFOX版『X-MEN』なわけで、MCUがその道にまっしぐらにならず、ホント良かったと思います。つうかですね、ニック・フューリーは一体何をしてるのでしょうか? そして正体がバレたピーター君の今後の運命やいかに!? というわけで、今後もますます楽しみなMCUは、本当に最高だと思います。完璧だったっすね、マジで。以上。

↓ まずはコイツを読もう! 話はそれからだ!
スパイダーマン (1) (MF文庫)
池上 遼一
メディアファクトリー
2002-05

 いよいよ20th Century FOXがDISNEYに買収されることが本決まりとなり、かくして今後はFOXが映画化する権利を保有していたMARVEL COMIC作品も、DISNEYが展開するMCU、マーベル・シネマティック・ユニバースに参加する障壁がなくなったわけで、わたしとしては大歓喜となったわけだが、残念ながらFOX買収以前から企画開発が進行していたFOX版『X-MEN』は数作品残っていて、どうやら1本は企画がポシャった?ようだが(※『THE NEW MUTANTS』のことだけど、ホントに来年公開されるんだろうか??)、残念ながらもう1本は企画が生き残り、FOX JAPANの宣伝惹句によると「(FOXによる)最後のX-MEN」と銘打たれた映画が公開されることとなった。 
 そのタイトルは、『X-MEN DARK PHOENIX』。ま、そのタイトルを聞けば、X-MENファンならもう、すぐにピンとくる物語であるし、実のところこの物語は2006年に公開されたX-MEN:The Last Stand』(邦題=ファイナル・デシジョン)でも扱われた原作モチーフで、X-MENの中でも相当強いキャラの一人であるJean Greyが、ダークサイドに堕ちる話である。物語としてはもう、それ以上の説明は不要だろう。
 だが問題は、わたしがこのBlogで何度も批判しているように、もうFOX版X-MENは完全に破たんしているというか、おかしなことになってしまっていて、超問題作X-MEN:Days of Future Past』(邦題=X-MEN:フューチャー&パスト)で過去が書き換えられてしまい、おまけに前作X-MEN:APOCALYPSE』で決定的に、もう惰性で作っているとしか思えないような、浅~~い映画となり果ててしまったのである。なので、わたしは何度も、FOXはもうX-MEN映画を作ることを放棄して、DISNEYに権利を返してくれないかなあ、と書いてきたのだが……一方ではなんと、完全にパラレルワールド的にこれまでの歴史を無視したLOGANという映画で、超見事にWolvarineの最期を描き、完璧なる「X-MEN最終作」というべきウルトラ大傑作を世に送り出したのである。
 いやあ、アレはホントびっくりしたなあ……本当に『LOGAN』は素晴らしい映画だった(※『DEADPOOL』はわたしとしてはどうでもいいというか、まあ、面白かったけどちょっと別腹ってことで今回は触れません)。『LOGAN』がわたしにとって「FOX最後のX-MEN」であることはもう揺るがないし、そもそも「X-MEN」の物語は今後確実にDISNEYによって描かれることになるので、全くもって今回の『DARK PHOENIX』が「最後」では決してない。ちゃんと「FOX最後の」って言ってほしいもんだ。FOXのそういう点がいちいちわたしをイラつかせる理由でもある。
 そんなことはさておき。
 というわけで、FOX版「最後のX-MEN」と銘打たれた本作を、わたしは正直全く期待していなかった。なにしろわたしにとってはもう、『LOGAN』こそがFOX版「最後のX-MEN」なので、はっきり言って、今さらだし、内容的にも、今さら、であるのだから。そして実際に観てきた今思うことは、ホント今さらだったな、で終了である。じゃあなんで観に行ったかって? そりゃあアレですよ、惰性ってやつです。

 なんつうか……FOX作品の予告はいつもどうしようもないけれど、今回は非常にイイ感じだと思った……のだが、残念ながら本編は、いつものFOXクオリティで、はっきり言って相当問題アリだと思った。ただし、一方的にダメと切り捨てるのももったいないぐらい、超素晴らしく、良かった点もあるので、その点にもちゃんと触れようと思う。
 【ダメポイント:決定的にキャラ付けがマズイ】
 まずもって、この映画を観た人の中で、ある意味主人公のJeanや、Professor Xに共感できる人がいただろうか? そう、全く、1mmも共感できないキャラとして描かれちゃっているのは、もう根本的にマズい点だったと思う。
 まず、Jeanに関しては、幼少期からその能力の暴走が起きていて、ついうっかり、母をぶっ殺してしまい、それがトラウマとなっているのは、まあ分からんでもない。だけど、その忌まわしき記憶を封じたProfessor Xの処置を、責められるだろうか?? 「わたしをだましていたのね!!」と激怒して、怒り狂い、あまつさえMystiqueことレイブンをぶっ殺してしまうとは!! おまけに恩のあるレイブンをぶっ殺しても反省なしでバックレてどっか行っちゃうって、もう絶対ナシだよ、脚本的に。仮にこの点を100万歩譲ってアリだとしても、その後、彼女が嘆くのは、私はなんてことを……やっちまった……という後悔ではない。ただひたすら、自らの不幸についてのみ、ああなんて私はかわいそうなのかしら、という自己憐憫のみだ。なんなんだこのガキは!? とわたしはもう席を立ちたくなったぐらいである。
 というわけで、本作は強大な力を持つ子供を、大人たちがオロオロしながらなだめるお話であると言わざるを得ない。この映画には、「ガタガタ言ってんじゃねえぞこのクソガキが!」と、ぶん殴ってくれる大人がいないのだ。実はその「叱ってくれる大人」こそが、旧シリーズでのWolvarineの役割で、Wolvarineがジョーカー的に機能して事態を解決してくれていたからこそ、物語として成立していたのだが……残念ながらこの映画には登場しない。この映画では、新キャラの謎の勢力が、Jeanに取り込まれた謎のウルトラパワーを奪取しようとして、Jeanに耳障りのイイことを吹き込んで取り込もうとするのだが、残念ながらこの謎キャラ勢力が完全に滑ってしまったのも脚本的にいただけないポイントだろう。
 以下、キャラと演じた役者をメモしながら、各キャラの行動をチェックしておこう。
 ◆Professor Xことチャールズ・エグゼビア:わたしの眼には、チャールズの行動はなんら問題はなかったように思える。異端であるミュータントと人間の共存のためには、チャールズのような行動が必要だったと思うし。でもまあ、ちょっと調子に乗っちゃったということなのかな……。今回、さまざまなキャラから、「お前が悪い!!」と責めまくられるチャールズだが、じゃあどうしたら良かったんだよ!? とチャールズが思うのも無理ないと思う。演じたのはヤングProfessorでお馴染みのJames McAvoy氏40歳。
ホントお気の毒な役どころでした。
 ◆Mystiqueことレイブン:チャールズが若干調子に乗って、テレビに出てちやほやされたり、そのために仲間を危険にさらしたことを激怒している。しかし、チャールズの描く、人類との共生、ある意味でのミュータントの生存戦略もまた意味があることなので、いったんは怒りを鎮めるが……チャールズがかつてJeanの記憶を封印したことに激怒。そして、Jeanちゃん、かわいそうだったね、よしよし、大丈夫よ……と宥めようとして、あっさりJeanに殺されるというヒドイ目に遭うことに。確かに、脚本的にレイブン殉職はナシではないだろうけど……はっきり言って犬死だったのではと思えてならないすね。演じたのは当然、オスカ―女優Jennifer Lawrenceちゃん28歳。まさかこんな形で退場とは……彼女もまた大変お気の毒でした……。つうか、そもそも、この物語は『Days of Future Past』のエンディングを無視してるよね。そういう点が本当にガッカリというか、腹立たしいす。
 ◆Magnitoことエリック・レーンシャー:歴史が塗り替わったのちのこの世界では、US政府に居留地?的な安住の地を与えられていたようで、そこに、はぐれミュータントたちとともに住んでいたのだが、愛するレイブンの殉職を聞いて大激怒。あのガキはぶっ殺す!と立ち上がる! 本来ならエリックがWolvarine的な「叱ってくれる大人」の役割を演じてほしかったのだが……残念ながら本作ではJeanが強すぎて、ほとんどやられキャラとなり下がり、あまり活躍できずだったのが超残念。演じたのはMichael Fassbemder氏42歳。実にカッコ良く渋かったすねえ! ちなみに、Magnitoの息子であるQuicksilver君は、今回前半でJeanにやられて負傷、ほぼ出番ナシ、であった。
 ◆Beastことハンク・マッコイ:いつもチャールズの行き過ぎた?行動を押さえつつ、いろいろ無茶ぶりをかまされて、大忙しとなるハンクだが、今回はレイブンが大好き(だけどレイブンからはつれなくされる)キャラとして、レイブン殉職に大激怒。チャールズに反旗を翻し、恋のライバルであるエリックとともにJean討伐隊に加わることに。演じたのはNicholas Hoult君29歳。彼もホントお気の毒でした。
 ◆Cyclopsことスコット・サマーズ:兄貴のHavocことアレックスは前作『Apocalypse』で殉職してしまったので、今回は淋しく単独出演。Jeanと愛し合っていて、今回暴走するJeanを必死で止めようとするのだが……残念ながら全く聞く耳を持ってもらえず。それでもJeanを守るために、仲間であるはずのハンクたち討伐隊と戦うことに……演じたのはTye Sheridan君22歳。彼の行動は実に分かりやすく、理解できます。でも、やっぱり
ホントお気の毒でした。
 ◆Jean Grey:残念ながら本作では、どう見ても単なる問題児であり、困ったガキなのだが……恩師の言うことも聞かず、恋人の言うことも聞かず、ただただ暴走に身を任せる困ったちゃんにしか見えなかった。わたしが本作で最も驚いたのは、本作の決着が、Jeanの超上から目線からの、「わかった、許してあげるわ……」で収束するという結末である。あれって、アリなんすか? ま、その結果、お星さまとなったJeanだけど、それで贖罪がなされたと言ってもちょっと認めたくないですな……。演じたのはSophie Turnerちゃん23歳。わたしの趣味ではないので以下省略。
 ◆謎の女ことヴーク:本作での説明によると、Jeanの身に宿ったのは惑星を滅ぼすほどの謎のエネルギー(生命体?)で、ヴークたちはそれを追って地球にやってきたらしいのだが……その設定に問題はないと思うし、破たんもないのだが……ラスボスとしての存在感が希薄で、前作のApocalypse同様に、よくわからんキャラになってしまったのが超残念です。なんか、本当はスクラル人(=CAPTAIN MARVELに出てきた変身が得意な宇宙人)の設定にしたかったらしいけど、NG喰らっちゃったらしいですな。演じたのはJessica Chastainさん42歳。いつの間にか年取ったなあ? もっと若いと思ってた。Jessicaさんはとってもお綺麗でした。
 とまあ、以上がメインキャラで、残念ながらそのキャラ付けが、わたしにはかなり問題アリだったと思う。そして、一方では素晴らしいと賞賛したいポイントも当然ありました。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(1):役者たちの演技は完璧!】
 上記の通り、ざんざんキャラに対してダメ出しをしたけれど、演じた役者たちの演技ぶりは極めて上質で素晴らしかったと思う。とりわけX-MENのみんなは、全員が深く「苦悩」しているわけです。その悩める姿は(悩める理由はともかくとしても)実にそれぞれ素晴らしかったと絶賛したい。とりわけ、わたし的には今回やられキャラになってしまったMagnitoことエリックを演じたFassbender氏、それから目をバイザーで隠されているにもかかわらず、つらい苦悩を上手に表現していたTye Shelidan君の二人がとても良かったすね。もちろんほかのメンバーもとても素晴らしい演技でした。
 【素晴らしい!! と思ったポイント(2):音楽がイイ!】
 今回は冒頭からずっと、何やら不穏な空気が感じられる音楽がとても効いているようにわたしは感じたのだが……誰が担当したんだろうとずっと謎に思っていて、エンドクレジットでその謎が解けた時、わたしは本作で一番、おお、そうだったんだ、とスッキリしたっすね。そうです。今回の音楽を担当したのは、なんとHans Zimmer氏だったのです! X-MENシリーズ初参加じゃないかなあ? 耳に残る明確なメロディはないんだけど、とにかく物語にマッチする不穏な曲、というか音、はとても巧みだったと思うすね。わたしとしては、この映画のMVPにしてもいいと思います。
 あとは、演出に関しても、シリーズに脚本やプロデュースで参加してきたSimon Kinberg氏が、初監督とは思えないいい仕事をしていたとは思います。画的にとても良かったすね。しかし、なんでUS映画の葬式シーンはいつもどしゃ降りなんですか? まあキャラの心の中はどしゃ降りな心情なんだろうけど、不自然なんすよね……。

 というわけで、もう書きたいことがなくなったので結論。

 FOX JAPANによる「最後のX-MEN」というキャッチで公開された『X-MEN DARK PHOENIX』を観てきたのだが、まず第一に、間違いなく「X-MEN」というIPは今後もDISNEYによって映画になるはずなので、「最後の」では決してない、というのが一つ。そしてようやくFOXの手を離れ、MCUへの参加ハードルが消滅し、本作をもってFOX版X-MENが最後になるのはファンとしては大変うれしい限りだ。しかし、内容的には……正直問題アリだと思った。なにしろ……Jeanにまったく共感できないし、大人たちの対処も、マズかったでしょうな……。。。こういう時は、本当ならWolvarineの一喝が必要だったのだが、それができる大人がおらず、なんだかみんながみんな、気の毒に思えた。ただし、そのキャラたちの苦悩は実に見事な演技で支えられており、クオリティはとても高かったと思う。今回は音楽もとても良かったです。ま、とにかく今後のMCUには期待しかありませんな! 楽しみだなあ! そしてFOX版が終わったのは何よりめでたいす。以上。

↓ オレ的FOX版最高傑作は『LOGAN』ですが、こちらも実に素晴らしい出来栄えでした。この映画は最高です。

 【注意:ネタバレが含まれていますので、まずは映画館で観てきてからにしてください。しかもネガティブ感想も含まれていますので、観て、すっげえ面白かったと思う方は読まないでください。その興奮を台無しにするのは本意ではありませんので】

 しかし……ホントに1年なんてあっという間ですなあ……。
 というわけで、前作『INFINITY WAR』から1年。いよいよ待望の「後編」たる『ENDGAME』が公開になった。普段のわたしなら、間違いなく初日の昨日、金曜に、日比谷IMAXあたりに観に行ったはずだが、残念ながら今は時間の自由がなかなかつかない身であるため、土曜の8時半からの地元シネコンでの上映を観てきた。
 そもそもわたしは、1年前の『INFINITY WAR』に関して、それほど面白かったとは思えないでいた。それはもう1年前このBlogに記した通りだが、まあ、なんつうか、あくまで「前編」であって、この先どーすんの?という困惑しか残らず、すげえ、こう来たか! と膝を叩くような、予測を上回るような感動がほぼなかったからである。ただし物語は実に真っ当で、こう来てこうなる、という流れは、その真っ当さゆえに、そりゃそうなるわな、としかわたしには思えなかったのだ。
 なので、後編たる『ENDGAME』では一体全体、物語はどのような結末をたどるのだろうか、という興味はあったものの、もう100%完璧に、THANOSは敗北し、アベンジャーズ大勝利になることは誰でも予想がつくわけで、問題はその結末に至る過程にあり、わたしとしては、見どころは以下にあると思っていた。
 1)果たしてトニーはどうやって地球に帰ってくるのか? そしてCAPとの和解は?
 2)ついに現れたCAPTAIN MARVELことキャロル・ダンヴァースの活躍や如何に?
 3)消え去った人々が復活するのは間違いないとして、それは感動的なものかどうか。
 これらは、今までのMCUの流れや予告編を見ていれば、誰だって気になるだろう。そもそも、夏公開の『SPIDER-MAN:Far from Home』の予告も既に公開されているわけで、ま、間違いなく消えた人たちは復活するんだろうと誰だって思うはずだ。
 ただ、MCUの予告編というものは、まるで本編に使われていない、インチキダミーシーンが含まれることがあるので、たとえ予告でNYCを飛ぶIRONMANが登場しても、トニーが地球に帰ってくるかどうかすら怪しいとは思っていた。そして、わたしが最も強く、どう描かれるかを期待したのは、
 4)果たしてTHANOSはいかにして敗北するか。
 5)そしてその代償としてどんな犠牲が払われるか
 にあったのである。なにしろ、前編『INFINITY WAR』では、THANOSがある意味主人公であり、THANOSはキッチリと自分の「信念」を持って――それが全くもって中2病めいた共感できないものとはいえ――行動したのだから、その「信念」が「間違っている」ことが示されないといけないとわたしは思っていたのだ。そう、THANOSは、その最期に「オレが間違っていた。オレの負けだ」と認めて敗北する必要がある、とわたしは考えていたのである。それがないと面白くないっつーか……。そしてその時、アベンジャーズ側も大きな犠牲を払うはず、というのは、日本人として漫画を読みまくっている人間なら、誰だって考えることだろう。ではまずは、最終予告を貼りつけておこう。

 というわけで、結論を言おう。
 『ENDGAME』を観終わった今、わたしはかなり期待を下回るものであったと感じている。もちろん、ポイントポイントでは、おお、キターーッ!と興奮した場面もある。けれど、全体的に観て、まずもって長すぎだし、失望した点の方が多かった印象である。監督やプロデューサーは、上映時間3時間を、凝縮された95分に感じることでしょう的なことを言っていたような気がするけれど、いやいや、すっげえ長く感じたのはわたしだけではないだろう。ちなみにいうと、MCUお約束のおまけシーンは今回はないので、終わったらもう、スタッフに興味のない方はさっさと席を立っても大丈夫だったと思う。
 というわけで、いろいろ思ったことをまとめてみよう。

 【ガッカリポイント(1):開始10分でトニー地球に帰還の巻】
 わたし的見どころの一つにも挙げた、トニーの地球帰還だが、もう、開始10分で片づけられてしまった。ただしその方法は、ちょっと興奮できるもので、まあ、予想通りと言えばそれまでだけど、キャロルが助けてくれた、が答えである。正直、ええっ!? なーんだ? そうっすか……とがっかりしたのは間違いないのだが、時間的に『INFINITY WAR』から21日、3週間経っていたようで、このシーンでの、げっそりやつれたトニーはそれなりに衝撃ではあった。あのトニーの消耗ぶりに免じて、この展開はアリ、としたいと思う。
 【ガッカリポイント(2):キャロルの活躍は、正直少ない】
 わたしとしては、キャロルが戦いのカギになることを期待していたわけだけど、確かに、ラストでは颯爽と現れてカッコイイものの……それ以外はほぼ出番ナシ。おまけに、わたしがとても好きな、キャロルの「マスク・オン」も全くナシ。さらに、なんと映画『CAPTAIN MARVEL』のおまけシーンで描かれた、ニック・フューリーのポケベルが機能停止して、振り向くとそこに……のシーンは全面カット、本編にナシ、であった。これらは、もう本当にガッカリしたよ。ただ、トニーを地球に連れてきて、怒り心頭のキャロルを筆頭にTHANOS討伐へ向かうのは良かったし、まさか開始30分でTHANOS死亡まで行っちゃうのは、予想外過ぎて、な、なんだってーっ!? と大興奮したっすね。でもなあ……それからいきなり「5年後」に飛ぶのはどうなんだろうな……。
 【大興奮ポイント(1):おれたちのANT-MANが物語のカギに!!】
 わたしはANT-MANが大好きなので、果たしてTHANOSの選別が行われたときに「量子世界」にいたANT-MANは、どうやって通常世界に戻ってくるのだろう? ということがとても気になっていた。答えは、5年間放置されてボロボロになったあのライトバンの機械の上をネズミがちょろちょろして、偶然機械を作動させて(?)「スポーーーン!」と量子世界から放り出されて戻る、であった。だっせえ!! とわたしは思わず笑っちゃったのだが、ANT-MANらしくてあれはあれでアリ、である。蟻だけにとか言わないすよ。そしてその「時間を超越した量子世界」=「タイムトラベル」が物語の最大のカギであったのは、はっきり言って予想通り過ぎてガッカリだが、ANT-MANが重要な役割を果たしてくれたことに免じて、許してもいいと思った。
 だが、従来のタイムトラベル物は、「過去に戻ってやり直す」というものが一般的だが、本作はそこが違う。本作で語られたところによると、一度起こったことはチャラに出来ないそうで、あくまで、THANOSによって消滅させられてしまったインフィニティストーンを過去に戻って再びそろえ、THANOSによる「選抜」後の5年間のことはそのままに、消えてしまった人だけ戻す、という方法を採るのだが、この点が物語上一番重要で、独特なポイントだろう。この設定は大変良かったと思うけど……なんか、描かれたのは結局『Back to the Future Part2』だったね。結局のことろ。
 【大興奮ポイント(2):さすがはトニー! 地球最高の天才!】
 わたしはトニーが一番好きで、まあ、おそらくトニーは殉職する=人類の未来のために犠牲になるのだろうことは覚悟していた。けど、なんつうかもう、今回のトニーは最初から最後までカッコ良かったすねえ!! 冒頭のガリガリに衰弱したトニー、そして予想通り子供が生まれてパパになったトニー、SPIDYとの再会に抱擁して喜ぶトニー、そして! 最後の最後に宇宙を救うために犠牲となったトニー!! なんかCAPとの和解は全く感動的じゃなく、うやむやっぽかったのは極めて残念だけど(アレは絶対もっと感動的にできたはず! だけど、あの盾のさりげない渡し方は、まさしくトニーっぽいさりげなさがあってアリと言えばアリ)、もうすべて許しますよ、トニーに関しては。本当にカッコ良かったすね。今回おまけ映像はないから、さっさと席を立っていいと書いたけれど、一番最後に劇場に響く、鉄板をトンカチで叩くあの音……。あれはきっと、ガレージエンジニアたるトニーへのレクイエムであり、また同時に、娘にその精神が確実に受け継がれたことを表す、泣かせる演出だったすね。。。トニー・スタークという男は最高の男でした。本当にお疲れ様でした……。
 【ガッカリポイント(3):THOR様、アンタ、なにやってんの!!】
 恐らくわたしが一番失望したのは、5年間だらしない生活をした結果、腹が付き出したただのデブになり下がったTHOR様の姿だろう。ありゃないよ。断じてナシ。意味なくないすか? なんのためにTHOR様をあんなザマにしたのか、いまだにわたしには理解不能だ。全く無意味だったね。おまけになんなのあのラストは。まさかのガーディアンズ入りも、全く不要だったと思います。つうか、まったくどうでもいいVALKYRIEが生きてたってのは不自然過ぎのような……お前どこで何やってたんだよ。お前の乗ってた船、大爆破されたのに……。アスガルド民は全滅してて良かったのにな。。。
 【大興奮ポイント(4):ムジョルニア時限復活! そしてCAPの手に!!】
 わたしはズバリCAPは大嫌いなのだが、ファイナルバトルはもう、血圧上がったすねえ!! あのバトルはまたしても乱戦で、わたしは観ていて、あーあ、またこれか……とか思ってたんだけど、CAPがムジョルニアを手にしたシーンにはもう大興奮ですよ。アレは非常にカッコ良かった。『Ultron』では持ち上げることができなかったCAP。やっとお前もムジョルニアに認められるほどになったな……わたしもトニーのように、お前のこと許してやるよ……とか思いましたね。一番ラストの、CAPの決断も、極めて美しかったですな。時を超えたペギーとの約束を果たすことができて、ホント良かったね。マジ許すわ。今までのことはすべて……CAPも本当にお疲れ様でした……!
 【大興奮ポイント(5):ペッパー、通称レスキュー・スーツで大バトル参戦!】
 まあ、既にレスキュー・スーツを着用している写真が公開されていたので、驚きはなかったけれど、ファイナルバトルにペッパーまでも参戦してきたのは興奮したっす。そしてペッパー、キャロル、ホープ(=WASP)、ワンダたち女性ヒーローたち大集合の図は大変絵になってましたな。でも、そこにナターシャがいないなんて……
 【ガッカリポイント(4):ナターシャ殉職! もうチョイやり方はなかったのか……?】
 今回は物語上、あくまでTHANOSの選択によって消えてしまった人々だけが復活する、というものなので、それ以前に死んでしまった人たちの復活はないのだが、ナターシャをガモーラと同じように、そう、全く同じように! 死なせる必要はあったんだろうか……。アレは脚本的に0点と言いたいところだ。ナターシャも本当にお疲れ様でした。いままで、ちょっとした潤滑油というか、間に立ってくれてたのにね……。ホント残念だよ……。
 【ガッカリポイント(5):前作で変身できなかった意味ゼロ。常態化に価値ナシ】
 前作では、HULKに変身できず、タダの足手まといキャラに転落したバナー博士。わたしとしては今回、どういういきさつで再びHULKになれるのか、その変身にとても期待したのだが……期待したわたしがアホだった。どうやら前作で変身できなかった意味はほぼゼロ。なんと5年間で、HULK化が常態になってしまい、おまけに言うことなすこと中途半端で、全くもって映す価値ナシのバナー博士だったと思う。お前の愛するナターシャとは大違いだよ。お前、男としてホントダメな野郎だな、としかわたしには思えませんでした。お前こそ、ナターシャと一緒にソウルストーンを取りに行くべきだったのにね……。
 【ガッカリポイント(6):HAWKEYE=RONINの下手くそすぎる日本語の件】
 わたしは弱いくせに生意気なHAWKEYEが嫌いなのだが、冒頭の、THANOSの選択が行われたときHAWKEYEは何をしていたのか、のシーンは、物語の不穏な空気が良く出ていて、シーンとしてはとても良かったすね。しかし、妻子を失くして必殺仕事人になるより、まずはアベンジャーズ基地と連絡取るだろ……常識的に考えて。そして話題の真田広之氏とのチャンバラは、シーンとしてはカッコ良かったけど、大体お前、いつ刀剣使いになったんだ……そしてお前、日本語しゃべる意味あったのか? 真田氏の英語は超キレイなんだから、お前のへったくそな日本語は不要だったんじゃないかなあ……日本人としては、何を言ってるかよくわからず、興ざめだったすね。でも、一方の真田氏の日本語演技は完璧で、アレはもう、最高に興奮したっすわ。
 【大興奮ポイント(5):まさしく「大同窓会!」あのキャラたちも続々登場!!】
 というわけで今回は、「過去に戻ってインフィニティ・ストーンを集める」というミッションが長々と描写されるわけだが、まあとにかく、あのキャラもこのキャラも、とこれまでのシリーズの主要キャラが総出演してくれたのは最高でした。わたしとしては、2012年のNYCにいた、エイシェントワン様のお姿を見られたこと(しかも彼女だけはガッツリ物語に絡んでいてチョイ顔出しレベルじゃない!)、『CAP:WS』での悪党、S.H.I.L.Dのピアース理事も勿論本物のRobert Redford氏自ら登場してくれたこと、そして、別れたTHOR様の恋人ジェーン(アレは……若干本物のNatalie Potman嬢だったかアヤシイ)も登場してくれて、最高に興奮したっすわ。まさしく「同窓会」でしたな。最高でした。
 【ガッカリポイント(7):復活者の全く感動的でない復活について】
 見どころの一つとしてわたしが注目していた、選択によって消滅したみんながいかに復活するか、については……まあ、SPIDYことピーター・パーカー少年の話によると、目覚めたら5年経ってた、ということだそうで、復活シーンは描写されず、であった。実際、そのシーンはいらなかったと思うのでいいんだけど、なんなの、空間さえも超越して復活しちゃうんだというのは、都合が良すぎてガッカリしたっすね。それともアレか、タイタンで復活したんだけど、すぐさまドクターが地球に運んでくれたってことなのかな。よくわからなかったけど、そういうことと思うことにしよう。ドクターはほとんど出番ないけれど、今回もカッコ良かったすね。ドクターが前作で視た「1400万分の1の可能性」はそういうことだったんですな……。ドクターの前作での決断が、今回エイシェントワン様がタイムストーンを貸してくれることに繋がっているわけで、まさしくすべてお見通しだったわけですよ。さすがっすね! ところで、ANT-MANことスコットの娘は、消滅を逃れていたようで、5年歳をとっててすっかりカワイイティーンエイジャーに成長していたけど、ピーターの親友ネッドは普通にそのままだったのは、アレって、同級生もみんな消滅していて復活したってことなの? 
 【最大のガッカリポイント(8):改心しない悪役に価値はない! THANOSモブ化現象】
 結局THANOSは改心もしないし敗北を認めることもなく、ある意味、オレの野望は達成された、オレを殺してももはや手遅れ。地獄で笑って待ってるぞ、はっはっは的に、THOR様による斬首の刑に服してしまったわけで、はっきり言えば、冒頭30分でTHANOSの役割が終了してしまったのは、やっぱり脚本的にいただけないように思う。そして後半に登場する5年前のTHANOSは、ちょっと性格が違い過ぎるというか、完全に小悪党というか……モブ化してしまったのはとてもがっかりだ。ついでに言うと5年前の、ガーディアンズ入りする前のガモーラも、ちょっとキャラ違いすぎなんだよな……まあ仕方ないけどさ……。やっぱり、5年前のTHANOSは、ガモーラの命を代償としてソウルストーンを得ることになることを知ったのだから、何らかの改心めいた行動があっても良かったと思うし、やっぱりですね、「自分が間違っていた」ことを自覚して退場してほしかったと強く思う。後悔はしなくていいんだよ。わが生涯に一片の悔いなし、でいいんだよ。だけど、「敗北を認める」必要は絶対にあるんすよ!! この点に関しては、やっぱり日本の漫画の方がわたしは好きっすね。

 はあはあ……とまあ書いておきたいことは以上かな……もっと細かいこともあるんすけどね……ジャーヴィスってのが、実はパパ・スタークの秘書?の人の名前だったとか。でもあそこは是非とも、Paul Vetaney氏に演じてほしかったすねえ! 別人だったのが超残念す。
 まあ、なんだかんだ言いながら、わたしとしてはトニーの決断に敬意を表して、がっかりしたことはいっぱいあって、期待を上回ることはなかったけれど、すべて受け入れようと思います。大同窓会であり、見事な大団円だったのは間違いないすね。本当に11年間、お疲れ様でした!!!

 というわけで、結論。
 とうとう公開された『AVENGERS:ENDGAME』だが、正直なところ、わたしの期待を上回ることはなく、実際ガッカリではある。THANOSには、敗北を認めてほしかった……。。。けれど、MCUの先頭を走り続けてきたトニー・スタークというキャラクターに限ると、すべてやり尽くしてくれたと思うし、見事に地球を、そして銀河全体を救ってくれたわけで、実に実にカッコ良く、見事であったと思う。そしてわたしは大嫌いだったCAPも見事な引退劇となり、もうすべて許してもいい、という気持ちになりました。ラストカットがCAPとペギーのダンスシーンなのは、オイィ! ラストはトニーの娘を映して未来を予感させるシーンを持って来いよ! とか思ったけれど、まあ、美しかったので許してやります。まあ、夏の『Far from Home』が楽しみですな! 今後もMCUを楽しみたいと思います。つうかですね、こんなBlogを読んでる暇があるなら、今すぐ劇場へGO!でお願いします!! 以上。

↓ やっぱり、わたしとしてはMCU最高傑作はこれっすね。痺れたっす。



 いよいよ4月26日の公開まで1カ月チョイと迫ってきた『AVENGERS:END GAME』。
 もちろんわたしもとても楽しみにしているわけだが、まあ普通に考えて、『END GAME』の結末は誰だって想像している通り、実は愛の戦士だったTHANOSが敗北、アベンジャーズ大勝利で終わるんだろうと思っている。問題はいかなる犠牲が払われるか、にあるとわたしは考えているが、よもやわたしが最も好きなトニー・スターク=IRONMAN殉職もあり得るのかなあ、とか、まあ、妄想は尽きない状態である。今のところは。おととい公開された最終予告も、なんだかいろいろな「?」があって、きっとこの予告は本編にない、いろんなミスリードな細工をしてんだろうな……とかわたしは思っている。
 しかし、MCUにおいては、『END GAME』を観る前に、絶対に観ておかなくてはならない映画がある。それが昨日から公開になった『CAPTAIN MARVEL』だ。わたしも夕方早めに会社を出て、日比谷TOHOにてIMAX3D版をさっそく観てきた。
 結論から言うと、いろいろ突っ込みたくなる点はあるものの、大変良くできたお話で十分面白かったと思う。わたしは原作コミックの「キャプテン・マーベル」は全く読んでいないので、原作との違いとかそういった点は全く分からない。また、本作は、コミック原作や今までのMCU作品を知らなくとも、ある程度は本作単独で観ても十分面白い映画になっているとは思う。しかし、まあやっぱり、MCUは全て観ていないと、その面白さは堪能できないと思います。この映画はやっぱりコミックとは別物で、あくまでMCUを構成する一つのピースであるということは間違いなさそうだ。
 というわけで、以下、ネタバレ満載となる可能性が高いので、まだ観ていない人はここらで退場してください。こんなBlogをチェックしている暇があったら、今すぐ劇場へGO!でお願いします。

 というわけで、上記予告を観ても、一体どんなお話なのか、正直全く分からないだろう。わたしも全然分からず、まあきっと、明らかに地球人っぽい女性がいかにして「キャプテン・マーベル」となったか、てなお話だろうぐらいしか考えられなかった。
 わたしがこの予告を観て思ったポイントは、1)なんで舞台は1995年と中途半端な「過去」なのか? 2)なんで彼女は「過去」の記憶を喪失しているのか? の2つだ。そしてこの謎は、劇中では、なるほど、そういうことか、と見事に回答が与えられていて、わたしはそこに、「これは面白い」と感じるに至ったのである。というわけで、以下解説? というか思ったことをメモしてみよう。
 1)なんで舞台は1995年なのか?
 ズバリ言うと、これはもう、MCUを観てきた人でないと理解できないと思う。はっきり言って、本作は、単独作品であったなら1995年を舞台とする必要は皆無と言っていいはずだ。2019年の現代であろうと、例えば1960年代であろうと、別に何の問題もなかったはずだ。
 だが、MCUのワンピースであることを前提とすると、本作は1995年である必要があるのだ。そのカギを握っているのが、MCUのキーキャラクター、ニック・フューリーである。
 ニック・フューリーは、明らかに2008年のIRONMAN誕生以前から、地球圏外からの外敵の襲来を知っていた。そしてそういった外敵に備えて、せっせと武器を作り、「特殊な能力を持つ超人」を集めてチームを作る計画(=アベンジャーズ計画)を練っていた。さらに言えば、『INFINITY WAR』において「もしもの事態が起きた時に呼ぶ、最強の助っ人=キャプテン・マーベル」がいることが明確に示されていた。
 これらのことから、ニック・フューリーは、少なくとも2008年よりも前に、キャプテン・マーベルと知り合っていた必要がある。かといって前すぎると、ニック・フューリーも行動力のない子供になってしまう。近すぎては計画を練る時間も取れない。そこで、「ちょうどいいぐらいの過去」として、90年代に本作の舞台は設定されたのだろうと思う。全てはMCUというプロジェクトのためであると言って差し支えないだろう。ついでに、あの「ポケベル」に関しても、そもそも我々が知っているポケベルというものは、受信オンリーの一方通行デバイスだったわけだが、本作のアレは発信も可能な双方向だ。これは……一瞬日本でも発信可能なものがあったような気がするけど……いずれにせよ日本では1995年ぐらいからPHSが登場してポケベルは衰退していくので、まあ、やっぱり時代設定として1995年というのは、まさしく「ちょうどいいぐらいの過去」だったのではなかろうか。
 なお、1995年と言えば、はっきり言っておっさんのわたしには「ついこの前」に感じられるのだが、あの年、世界を変えたと言ってもいいぐらいの大きな発明があった。それは、「Windows95」の発売だ。この発明によって、インターネッツの世界が我々に開かれたと言っても言い過ぎではなかろう。わたしが初めてインターネッツを体験したのはWindows3.1の時代だが、まあとにかくプロバイダも少なく、モデムの設定も厄介で苦労したものだが、Windows95の登場で劇的にインターネッツは進歩し、わたしも自分のPCを初めて買ったのは1996年の初めであったことを覚えている。本作でも、まだ原始的なWebサイトや、ダイヤルアップが切れちゃうとか、当時を知っている我々おっさんには、超あるあるなエピソードが盛り込まれていて、大変愉快だったすね。もちろん、当時のファッションや街の様子や音楽など、そういう点では今現在40代後半以上の人間が、本作を一番楽しめるかもしれないす。
 2)なんで記憶を失っているのか?
 この点が本作で一番のポイントであろう。なので以下はホントにネタバレなんですが……。本作は冒頭、キャプテン・マーベルが「クリー人」であり、「ヴァース」と呼ばれていて、クリー帝国?の母星ハラで暮らしている様子が描写される。そして彼女はヨン・ロッグという「スター・フォース」司令官のもとで戦闘訓練を受けているのだが、なにやら6年前、クリーに来る前のことは忘れているらしい。そしてクリーにおいてはSupreme Intelligenceと呼ばれる超AIが全てを統治しているらしいことが描かれ、そのAIと対話する時には、AIは、対話者が最も尊敬する人物のヴィジョンとして現れるのだが、彼女の場合は、全く記憶にない女性の像となって、AIは彼女に指令やアドバイスを送っている。そしてその謎の女性はヴァースの夢にも現れていて、一体誰なんだ、そして私は……と記憶をめぐるサスペンスが本作のベースとなっている。そしてスター・フォースの一員として、クリーと現在戦争状態にあるスクラル人との戦闘に参加するヴァースだったが、どうやらスクラル人たちもヴァースの記憶を狙っていて……てな展開である。
 ここでポイントとなるのは、クリー人ってなんだ? ということと、スクラル人が欲する「ライトスピード・エンジン」なるものだ。
 まず、クリー人、と聞いてMCUを観てきたわたしが真っ先に思い出すのが『GUARDIANS OF THE GALAXY』だ。あの物語の中での悪役がまさしくクリー人で、なんと、そのものズバリ、『GUARDIANS』の悪役であったロナン・ジ・アキューサーは出てくるし、その部下であるコラスはなんどヴァースの同僚のスター・フォースの副官としてMCUに再登場である。なのでわたしは、あれっ!? クリー人って悪い奴らじゃないの? とか思いながら観ていたのだが、ヴァースはスクラル人との戦闘の後、大破した宇宙船から投げ出され―――地球に墜落、そこから舞台は1995年の地球となるわけだが、結論から言うとわたしの「あれっ!?」は、最終的に「ああ、やっぱりね」という結末に至るわけで、この点でも、MCUを観ていない人には全然通じなかっただろうと思う。
 そしてスクラル人たちが欲している「ライトスピード・エンジン」なる謎テクノロジーだが、思うに、「エンジン」というものは、その機械的な構造はもちろん重要としても、それよりもっと「何をエネルギー源とするか」のほうが重要だろうと思う。わたしも観ていて、ライトスピード……まあきっと光速航行を可能にするテクノロジーなんだろうけど(ついでに言えば、光速航行と来れば当然、相対性理論でいうウラシマ効果、すなわち「時間」が大きな問題となるわけで、わたしは、こりゃあ『END GAME』はやっぱりタイムトラベルが描かれるのか? とか、もう妄想が先走るわけです)、それを可能にするエネルギーって何なんだろうな、とぼんやり考えていた。そしてわたしが「そうきたか!」と恐れ入ったのがまさにそこにあって、なんと、その謎エネルギー源こそが「四次元キューブ」で、まさしくインフィニティ・ストーンの一つである「スペース・ストーン」だったのである。こう繋げたか! とわたしはとても興奮したっすね! つまり本作も、実は「インフィニティ・ストーン」をめぐる戦いだったのだ。
 ただ、わたしは即座に記憶をさかのぼってみたのだが、なんかどうもしっくりこなかったようにも感じたのは事実である。わたしが知っているMCUの歴史によると……
 ◆1940年代:第2次大戦のさなか、秘密結社(?)ハイドラによって、ヨーロッパに秘匿されていた「四次元キューブ」が奪取され(誰が隠していたのか不明)、その謎パワーで謎兵器が量産される。それに対抗すべく、US-ARMYによる「SUPER-SOLDIER」計画が進行、謎血清が開発され、その被験者第一号にスティーブ・ロジャースが選ばれ、かくしてスティーブは「CAPTAIN AMERICA」となってハイドラと戦い、「四次元キューブ」を奪還するも北極の氷に消える。その後、トニー・スタークの父、ハワードが「四次元キューブ」を北極海だかどっかの海底で発見する。そして後にハワードはS.H.I.L.D.設立に尽力する。
 (◆1960年代:冷戦期、S.H.I.L.D.はあくまでUS国益のための組織として活動していた。そしてこの頃、ハワードと同じくS.H.I.L.D.の科学者だったハンク・ピム博士は初代ANT-MANとして活躍)
 (◆1988年:ピーター・クィル少年が宇宙人に誘拐される)
 (◆1991年:ウィンターソルジャーによるハワード暗殺事件勃発)
 (◆2008年:トニー、IRONMANとしてヒーロー活動開始)
 (◆2008年:SUPER-SOLDIER計画を現代によみがえらせようとした実験中にブルース・バナー博士はガンマ線の大量照射を浴びてしまい、HULK誕生)
 (◆2011年:THOR、初めて地球にやってくる)
 (◆2011年:北極で氷漬けになっていたスティーブ=CAPが発見され、蘇生)
 ◆2012年:地球にLOKIが襲来、「四次元キューブ」を奪って大暴れ。ニック・フューリーによって招集された超人たちがAVENGERSを結成し、「四次元キューブ」奪還に成功。その後、「四次元キューブ」はTHOR様がアスガルドに持ち帰り、「オーディンの武器庫」に保管した。
 ◆2017年:アスガルド崩壊の「RAGNAROK事件」勃発。崩壊のさなか、ロキが再び「四次元キューブ」をちゃっかり横領。
 ◆2018年:サノスによる「INFINITY WAR」勃発。LOKIは謎の兄弟愛を発揮してTHOR様を助けるために、「四次元キューブ」をTHANOSに差し出す。以降、「四次元キューブ」はその中に秘めていた「スペース・ストーン」として(スペースは宇宙じゃなくて空間の意味で、物理的空間を制御しどこにでも行ける能力を持っていた)、THANOSの左手に装着されたガントレットに固定されている。
 とまあ、()内は「四次元キューブ」に関係ないことだけど、まあ、だいたいこんな歴史だったはずで、わたしは「四次元キューブ」は、第2次大戦後はずっとS.H.I.L.D.が保管していたのかと思っていた。なので、若干しっくりこなかったのだが、まあ、S.H.I.L.D.は実はハイドラの支配も受けていたわけだし、まさか1980年代から1995年にかけてこんなことが起きていたとは、というのは、興奮に値する物語だったわけですよ。まさしく「そう来たか!」である。この点も、MCUを観てきていないと分からない、けど極めて重要なポイントだったとわたしは感じた。
 というわけで、以下に各キャラと演じた役者をメモして終わりにしちゃいます。
 ◆キャロル・ダンヴァース=ヴァース=キャプテン・マーベル:元々幼少期から、女にゃ無理だ、なんてことを言われ続けてきて、その度に「何クソ!」といろんな無茶をしてきたけれど、鼻血を出してブッ倒れても、何度でも立ち上がる、その「不屈の闘志」がこの人の最大の武器なんでしょうな。その、何度も繰り返し描かれる「立ち上がる」姿がとてもカッコイイ。成人後はUS-AIR FORCE所属の軍人だったが、とある実験に参加したことで運命が変わってしまう。何故クリー人たちに「ヴァース」と呼ばれていたか、そしてなぜ、ニック・フューリーは計画を「アヴェンジャーズ計画」と名付けたか、その理由も脚本的に大変お見事だったすね。つうかですね、この人、もはや無敵なんですけど! この強さはMCU的にはもうTHOR様レベルです。人間じゃなくなっちゃったすね。
 演じたのは栄光のオスカー女優Brie Larsonさん29歳。意外と若いですな。しかし今回、コスチュームに身を包んだ姿は大変カッコ良かった。相当がっちりした体はとても鍛えられていて、美しかったすね。そして、あの宇宙空間用?のマスク・オン!の姿も実に最高でした。あのモヒカン的なマスク着用、からのマスク・オフで髪がはらり、となる姿もとても印象的っすね。『END GAME』での活躍も楽しみであります! もちろん今回のおまけ映像(1)では、ニック・フューリーの遺したあのポケベルの呼びかけに応じて、24年ぶりに地球に帰ってきたキャロルがCAPたちの前に現れるシーンを観ることができます。来たァ!とうれしくなったすね。最高でした。
 あとそうだ、ひとつ、おおっ!? と思ったことがあった。キャロルの少女時代がチラホラと描かれるわけですが、その子供キャロルを演じたのが、わたしが2年前大感動した『gifted』で天才児を見事に演じたMckenna Graceちゃんですよ! ちょっとだけ大人になりつつあって、しかも可愛く成長していてうれしいっす!
 ◆ニック・フューリー:ご存知S.H.I.L.D.の元長官。そして本作の時代ではまだ若手工作員。左目も健在。だけど、左目が潰れてしまう理由が、これはもう笑うべき、だよね? そんな理由だったとは、と笑えるものでした。演じたのは当然Samuel L. Jackson御大70歳なわけですが、本作では全編デジタル若返り処理がされていて、実際凄い技術だと思います。ただ、やっぱり、髪からおでこ、目元、鼻筋は、よーーく見つめると作り物感はあったと思う。つうか、おれも1995年当時と今とでは相当老けてんだろうな……と全くどうでもいいことを感じてしょんぼりっす。ついこの前なんだけどなあ……。。。
 ◆ヨン・ロッグ:クリー人にして「スター・フォース」の指揮官。ヴァースの先生的な存在だが、まあ、観ていればこの人が本当にイイ奴かは、うっすらわかると思います。ただ、残念ながらこのキャラはまるで弱かったす。演じたのはJude Law氏で、やっぱりイケメンですなあ、この人は。コスチューム姿も実にカッコイイすね。
 ◆ロナン・ジ・アキューサー&コラス:『GUARDIANS』での悪役コンビ。『GUARDIANS』では、クリー人テロリスト?みたいな感じだったけれど、本作の時代では、ロナンはクリー軍の攻撃隊長的な役割(?)で、あのお馴染みの宇宙船での爆撃が主任務。そしてコラスは「スター・フォース」の副官として、強いて言うなら正義の味方側、に所属。そもそもわたしは「クリー帝国」というんだから、皇帝がいるんだろうと勝手に思っていたけれど、まさか超AIが支配していたとは驚きです。つうか、AIなんぞが人間を支配しているのか、と思った時点で、クリー帝国にはうさん臭さしか感じなかったすね。それぞれ『GUARDIANS』で演じたLee Pace氏、Djimon Hounsou氏が再登板でありました。
 ◆ウェンディ・ローソン博士=マー・ヴェル:キャロルのUS-AIR FORCE時代の上官で科学者。その発明は、銀河から狙われることになるわけだが、問題は、本当に狙っていたのは誰か、そして、博士は何のためにその発明を成したのか、という理由がポイントとなる。まあこれも、観ていれば途中で気付けると思う。ほぼ冒頭から、キャロルの夢などでちらほら出てくるけれど、わたしは一目で、おおっと、これはAnnete Beningさんじゃないか、久しぶりだなあ! とか思いました。わたしが劇場のスクリーンでAnnetteさんを観るのは、たぶん『AMERICAN BEAUTY』以来じゃなかろうか。18年ぶり?っすね。
 ◆フィル・コールソン:ご存知S.H.I.L.D.諜報員。2012年の『AVENGERS』で殉職(したはずだけどTVでは生きてる設定)したコールソンも、この1995年当時は新人。ワンシーンだけ、後の登用に繋がる判断を見せる。当然、Clark Greggさんがデジタル若返り処理で演じてます。
 ◆タロス:今回の悪役か? と思わせて実は……なスクラル人。変身能力アリ。演じたのは、映画オタにはいろいろな作品で悪いヤツを演じていることでお馴染みのBen Mendelsohn氏49歳。意外と若いんだよな……この人。今回は、S.H.I.L.D.のフューリーの上司ケラーも演じています(正確に言うとケラーに変身したタロス)。
 ◆マリア・ランボー:キャロルの元相棒的女性パイロット。コールサインは「フォトン」。コミック原作的には彼女や彼女の娘には大きな役割があるらしいけど、本作ではとりわけ大きな役割ナシ。ただ、初見の宇宙船(に改造された輸送機)を操縦しちゃうなど、勇気と度胸は一流ですね。演じたのはLashana Lynchさんという全然知らないお方でした。
 ◆グース:基地で飼われていた猫ちゃん。茶トラのカワイイ猫。おそらくは、相当なシーンがフルCGまたはマペットだと思う。まあ、グース、そして戦闘機とくれば当然映画オタとして『TOP GUN』を思い出すわけですが、まさかあのカワイイ猫が……という、この映画一番の驚きと笑いをもたらしてくれたキャラでありましょう。実際コワイっす。つうか、四次元キューブを君は……というおまけ映像(2)は必見でありますね。しかし、猫と暮らしている人なら分かると思うけど、なんで猫って、いきなり、そして結構な頻度で「吐く」んすかね……。うちの猫様も突然吐くからビビるっすわ。しかし、グースちゃんは2019年現在はもう生きていないのでしょうか……『END GAME』にぜひ登場してもらいたいっす!
 とまあ、こんなところかな。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 MCU最新作にして『END GAME』に直接関係のある重要作品、『CAPTAIN MARVEL』がやっと日本でも公開されたので、その初日にIMAX3D版を観てきたのだが、一言でいうなら、かなり面白かった。そして詳しく言うと、実にMCUな物語で、確かに本作単独で観ても十分面白いだろうけれど、やっぱり、MCU全作をきちんと押さえている方が、より一層面白いと思います。そして、やっぱりCAPTAIN MARVELのスーツもカッコイイですなあ! わたしとしては、マスク・オンの時のモヒカン姿も最高にカッコいいと思うし、マスク・オフの時、髪がはらりと落ちるのも実に良かった。演じたBrieさんもキッチリ体を鍛えていて、実によくお似合いだったすな。つうかですね、何より強いっすよ。宇宙空間でも単独行動できるし、ほぼ無敵な姿は、アフリカのどっかの王国で、世襲で王座を手に入れた弱っちいアイツとは大違いですな。しかしこれで、『END GAME』を見るための準備はすべて完了したわけで、あと1カ月チョイ、心から楽しみにいたしたいと思います! そして、グースよ、まだ生きていてくれ! 消息が超気になるっす! 以上。

↓ くそう、これ、ちょっとほしいかも……。

 まったく根拠はないのだが、恐らく、40代以上の男で「果たしてオレの髪はいつまで元気でいてくれるのだろうか……」という思いにふけったことのない方は、ごく少数派であろうと思う。まあたいていの男が、40も後半となると自らの親父やじいさんを思い浮かべ、オレもヤベえかもな……という悲しみと不安と恐怖に打ち震えるモノだと思うが、わたしの場合、どうもここ2年ぐらいで、本当に、もうこれは自らを偽って気が付かないフリはもはやできない、というか、むしろ自らネタにして周りに「もうオレ、マジで髪が薄くなりつつあるんだけど、人生終了っつうか、心の底から絶望だよ……」というトークをかます必要が生じてきたのである。もはや笑うしかないこの事態に、わたしの心はズタズタに傷ついているのであった……。
 そして4日前、ここ10年ぐらいわたしの髪を切ってくれているイケメンのヘアスタイリストさんに、もうオレダメっすわ……つうか、どうしたもんすかねえ……と悩みを打ち明けてみたところ、まあ、営業トークとして、いやいや、まだ全然いけるっすよ!と言ってもらったものの、今後の「オレの髪をどうしたらいいか問題」に関する基本方針を打合せることにした。その結果、
 1)いきなりだとアレなので、だんだん短くしていく
 2)短い髪がお馴染みになった6~9か月後ぐらいに、第1形態としてまず、Tom Hardy氏 またはDaniel Craig氏を目指す
 3)そして薄くなる進行に合わせて、第2形態としてKEN WATANABE氏的なスタイルを着地点とする
 4)いよいよKENさんヘアーもキツくなったら、第3形態はもうJason Statham氏を目指して無精ひげも同時装着するしかなかろう
 5)そしてそれも叶わなくなった時の最終形態は、もはやBruce Willis氏しかねえ!
 とまあ、こういう結論に至った。わたしもイケメンスタイリストさんも映画が大好きなので、以上の方針に決定した結果、今、わたしは今までよりチョイ短めの髪になっております。まあ問題は、わたしの髪の薄くなる進行度と、髪型の変化がシンクロするかだが、わたしの場合、どうも額が広くなるよりもてっぺん、つむじ付近の薄さがヤバイ状態であり、残念ながらザビエル化する可能性の方が高そうで、ホント、日々絶望に打ちひしがれている……。ああ、理科1の先生を「ザビたん」とか言って笑ってた中学生当時のオレよ、お前は自分を笑ってたんだぞ……。
 はあ……ホント長生きしていいことあるのかなあ……何もないような気がするなあ……。
 ―――というのは、まったく関係ない前振りである。
 今日、わたしはTom Hardy氏主演の『VENOM』を観てきたのだが、普通に面白かったのは良かったとして、やっぱりTom Hardy氏はかっこいいなあ、と思ったのが一つ、そして、ある意味予想通り、まったくもって『SPIDER-MAN』とは関係ない物語になっていて、ちょっとその点だけ残念だったかも、という感想を持ち得た。
 えーと、髪の話は、単にTom Hardy氏繋がりなだけっす。サーセン! そして以下はネタバレ全開になる可能性が高いので、また観ていない方はここらで退場してください。

 というわけで、『VENOM』である。このキャラクターは、別にMARVELコミックに詳しくなくとも、Sam Raimi監督&Tobey Maguire氏版の『SPIDER-MAN3』にも登場したので、映画好きならもうお馴染みだろう。あの、宇宙から飛来した謎の液体生命体で、SPIDER-MANに寄生して「BLACK SPIDY」になるアイツ、別名「シンビオート」である。まあ、原作的にはいろいろあるのだが、その辺は割愛します。いろいろありすぎるので。
 そしてこれももはやお馴染みな通り、今、破竹の勢いを誇るMARVELコミックも、1990年代にはホントにガタガタで経営破たんし、2009年にDISNEY傘下となることで企業再生を果たしたわけで、その20世紀末から21世紀初頭の黒歴史時代は、当然「売れるモノは売れ!」ということをせざるを得なかった。その結果として、有力IP(の映画化権などの二次利用権)はバンバン売られており、『SPIDER-MAN』はSONYに、『X-MEN』や『FANTASTIC4』などはFOXに売られてしまったわけである。
 ズバリ言うと、現在大人気でわたしも大好きなMARVEL CINEMATIC UNIVERS(MCU)は、売れ残って人気のなかったIRONMANからスタートするしかなかったのだと思う。まあ、正確に言えば、MCUが始まったのはDISNEYに買収される前で、MCUというプロジェクトの成功でMARVELは企業価値を高めることに成功し、DISNEYに、買ってもいいな、と思わせたわけで、MCUというプロジェクトがMARVELを救ったと言えるのではなかろうか。
 というわけで、MCUには『SPIDER-MAN』や『X-MEN』のキャラクターを登場させることはできないわけだったのだが、去年、世紀の大英断といわれるSONYの決断によって、SPIDER-MANがとうとうMCUに登場することとなった。その活躍ぶりは『INFINITY WAR』でもいかんなく発揮されていて、もはやSPIDY抜きのMCUは考えられないほどなのだが……果たして本作『VENOM』に、MCUへのつながりは描かれるのだろうか、という点がわたし的には実は一番楽しみであった。誰だって、SPIDY抜きのVENOMの物語って、面白くなるのかなあ? と普通に思うよね。
 しかし、冒頭、物語の舞台となるのがSan Fanciscoであることが明示された時点で、わたしはもう、MCU的つながり=SPIDYの登場は諦めた。なにしろSPIDER-MANはNYCに住んでいる高校生なのだから、こりゃもう、登場する見込みはなかろうと冒頭で分かった。ただし、わが友Mくんは、きっとラストのおまけ画像で、エンパイアステートビルのてっぺんにチラっと出て来るんじゃないすか? とか言ってたため、確かにあり得るかも……と最後のおまけ映像も期待したのだが、おまけ映像でもMCUつながりはナシ、であった。ただしその代わりに、おまけ映像においては、VENOMとセットで語られることも多い(?)有名キャラ、CARNAGEのまさかの登場で、これはこれで相当興奮したっすね。しかもCARNAGE(に寄生されるキャサディ)を演じたのは、なんとWoody Harrelson氏ですよ! これはシリーズ化する気満々なんでしょうな、きっと。なお、おまけ映像は一番最後にもありますが、これは劇場でお楽しみください。
 ああ、いかん、全く余談ばっかりになってしまった。
 だって……ええ、実のところ、本編の物語についてはあまり語ることがないんすよね……物語的には、ジャーナリストの主人公エディが、シンビオートに寄生されてVENOMとなり、シンビオートを地球に持ち込もうとした悪い人をぶっ飛ばすだけのお話で、正直、観ていて、なんでエディとVENOMがあんなに仲良く手を組むのかさっぱりわからないし、VENOMが地球を気に入っちゃった理由もよくわからない。一応物語では、エディもVENOMも「人生の負け犬」同士であり、そこが気に入った、みたいな説明はあったけど……ま、なんだそりゃ、ですわな。なので、別に感動するとか、そう来たか!的な気持ちよさは全くなかったと思う。原作ファンとしては「We are VENOM!」のセリフだけで大興奮できたかもしれないすね。
 とはいえ、それでも、普通に面白い映画であるのは間違いないと思う。それは、結局のところVENOMがイイ奴で、ほぼ正義の味方として大活躍し、悪者をぶっ飛ばすという爽快感がきちんとあって、スッキリ感という意味でのカタルシスはきちんと観客に提供されるからだと思う。そういう点では、本作はきちんと起承転結がつくられていて、クオリティは保証されていると思う。映像的な見ごたえもあるし、まあ、何にも知識なく、いきなりこの映画を観ても十分に楽しめると思います。そういえば、この派手な映像と妙な正義感は、映画としての『DEADPOOL』にとても近いようにも感じたっすな。
 というわけで、4人だけ、メインキャラと演じたキャストを紹介してさっさと終わりにしよう。
 ◆エディ・ブロック:ジャーナリストというかTV局お抱えYouTuberのような男。ただし、自分の彼女のPCを勝手にいじって得た情報で突撃取材を敢行するなど、頭は相当悪く、はっきり言って全くコイツには共感できなかった。当然そんな男なので、仕事を失い、彼女にもあっさり振られ「負け犬」に。コイツ、VENOMに寄生されなかったら人生終了だったよ、きっと。そんな、ある意味だめんずなエディを演じたのがTom Hardy氏41歳。意外と若いな。元部下のA嬢が大ファンで、唇がセクシーなのがお気に入りらしいけど、まあ、確かにカッコいいのは間違いないす。この人はいつも、なんだかモゴモゴしゃべるイメージがあるけど、本作ではやけに滑舌良かったすね。わたしも髪型をTom氏に寄せていく予定だけど、まあ、ブサメンのわたしが似合うかどうかはまだ分からんす、こりゃアカン、と思ったら早めにKENさんヘアーに移行しようと存じます。
 ◆アン:エディの元彼女。エディの暴挙によって一緒に職を失うことになり、エディにブチギレて三下り半を突きつける。そしてさっさと外科医の彼氏と同棲を始める切り替えの早いお方。ま、女性はそういうもんですよ。これはエディが全面的に悪いのでどうにもならんすな。むしろエディは未練たらたらで彼女の家の前でうろうろするという、軽いストーカーと化し、彼女にはごくあっさり、復縁はあり得ないとつめたーーく言われちゃう下りは、もう笑うしかなかったす。そしてそんな彼女、アンを演じたのは、なんとMichelle Williamsさんであった。わたしはMichelleさんが本作に出ていることを全然予習してなかったのでびっくりした。現在38歳か……このお方は、なんか妙に童顔に見えますね。本作ではなぜかタータンチェック(?)のミニスカ着用で、なんちゃって女子高生風な衣装は監督の趣味なのか、原作通りなのか、わたしにはわからんす。大変よくお似合いだったので、わたしとしてはアリ、です。
 ◆カールトン・ドレイク:ライフ財団のTOP。天才。がんの治療薬を16歳(だっけ?)で発明し、巨万の富を得る。そしてその金で現在宇宙開発にご執心。というのも、彼の考えでは、もう地球の資源は枯渇しており、人類は宇宙進出しないとダメ、と思い込んでいて、宇宙移民の際に、宇宙生物と融合するのが解決法だ、とか考えているため、自らシンビオートと同化、RIOTとしてVENOMと戦うことに。もうちょっとその天才頭脳を別の方向に向けてればよかったのにね。ちなみにRIOTは、VENOMの上官でシンビオートの中でも強くて偉いらしい。わたしは知らんキャラでした(わたしは最初、CARNAGEキター!とか思ったけど盛大な勘違いでした)。で、演じたのは、『ROGUE ONE』のボーディーでお馴染みRiz Ahmed君35歳ですよ! あの、元帝国軍のパイロットでお父さんのメッセージをソウ・ゲレラに運んできた彼ですな。あの時は汚いカッコで無精ひげだったけど、今回はきれいなスーツ&すっきりさっぱりな顔でした。結構イケメンじゃないすか。
 ◆スカース博士:ライフ財団で働く医師(?)。医学発展のために働いていたと思ってたのに、裏では人体実験をしていたことにショックを受けて、シンビオートの情報をエディに漏らす人。そして気の毒な最期に……。そしてこの博士を演じたのはJenny Slateさんという女性で、この方は去年観てやけに感動した『gifted』の、担任の先生を演じた方ですな。どっかで見た顔だと思ったけど、パンフを読むまで思い出せなかった……。本作ではイケてないダサめがねでしたが、本来はかなりの美人です。

 とまあ、こんなところかな。なんかまるで関係ない話ばかりでサーセンした!

 というわけで、さっさと結論。
 MARVELコミックの人気者、SPIDER-MANのキャラクターでお馴染みの『VENOM』単独の映画がソニーによって製作され、公開されたのでさっそく観てきた。VENOMを描くのにSPIDYが出なくて大丈夫なんだろうか、と思って観に行ったのだが、まあ、普通に面白かったと言っていいだろう。主人公エディには全く共感できなかったけれど、派手なアクション、ちょっと親しみ?を感じさせる面白キャラ、という点では、なんとなく映画的には『DEADPOOL』に似ているような気がしました。そしてTom Hardy氏はやっぱりカッコイイすね。それなりに全世界的にはヒット中なので、続編が作られたらまた観に行くと思います。その時は、SPIDYが出てきてほしいのだが……どうでしょう、難しいかな……まあ、わたしとしては、さっさとX-MANがAvengersに参加してくれた方がうれしいす。全然まとまらないけど、無理やりですが、以上。

↓ MCUじゃないけど、やっぱりSam Raimi監督版の爽快感はイイすねえ!

 おととい、わたしの身の回りのとある若造が(といっても35歳かな? アイツは)、わたしの会社の執務室でこんなことをわたしに質問した。
 「オレ、やっとマーベルシネマティックユニバースを観る決意したんすけど、どれを観なくていいですか?」
 彼がわたしにそう質問したのは、わたしが周りではMCUが大好きなおっさんとして有名であり、わたしの会社の執務室には仕事にほぼ関係なくMCUのBlu-rayが(既に発売されているものは)全て、ズラリとディスプレイされているためであり、彼もわたしのBlu-rayコレクションを眺めながらそう質問したわけなのだが、わたしはその質問に対して、ここ数年で一番の(かどうかはわからんがとにかく激しい)怒りを感じた。
 第1に、「観なくていい作品」なんてなく、全部観ないとダメだと思うからであり、第2に、その「サボる気満々」の根性が心底気に入らなかったからだ。パワハラであろうとわたしは今後の彼の評価を下げるしかあるまいと思っている。楽をしようとするその根性は、思えば彼の仕事ぶりにも如実に反映されているような気もするし。本当に彼には失望だ。【※初出時から表現を改めました。ちょっと怒りに任せてひどいこと書きすぎたので】
 というわけで。
 昨日からいよいよ公開となった『ANT-MAN AND THE WASP』。
 MCU10周年、記念すべき第20作目に、MCUヒーローの中でも2番目に大好きなANT-MANをもってくるなんて(※1番はやっぱIRONMANかな)、わたしとしてはとてもうれしいのであります。もう昨日は月末で忙しかったけれど、「今日はANT-MANを観るんだ!」というワクワク感で、早朝から超仕事がはかどり、山積みの仕事を片っ端から片づけて、「それじゃ、オレ、ANT-MAN観てくるから、じゃっ!」とシュタッと手をあげて皆に宣言して、16時には颯爽と会社を出たわたしである。
 そしてーーー結論から言うと、『ANT-MAN AND THE WASP』は期待通り、超最高に面白かった。そしてやっぱり思うのは、このわたしが感じる面白さは、MCU全作を観ているからであって、MCU前作の『INFINITY WAR』までの流れを正確に理解しているから、感じられるものではないかと思う。いやあ、本当に楽しくて面白かったすねえ! わたし的には『INFINITY WAR』よりもずっと面白かったすな。ANT-MANはマジ最高だぜ!
 というわけで、以下、思いっきりネタバレに触れると思うので、まだ観ていない人はここらで退場してください。つうか、こんな文章を読んでいる暇があるなら、今すぐ劇場へ行くべきです。あと、わたしはかなり偏見に満ちているので、もうこのBlogではお馴染みな通り、MCUヒーローの中でも完全にトニー派であり、CAPやBPは嫌いなので、CAP派の方は、読まない方がいいと思います。

 というわけで。もう予告が公開されたときからわたしを超ドキドキワクワクさせてくれた『ANT-MAN AND THE WASP』。MCUにおいて、これまでの流れとして前作『INFINITY WAR』では一切登場してこなかったANT-MANが、なんで登場しなかったのか、が語られる本作は、『INFINITY WAR』が超シリアスで、結末的にもこの先どうなるの!? と思わせる超ヤバいエンディングであったのに反して、とても明るく(?)楽しい映画に仕上がっている。
 もう最初に言っておくけれど、『INFINITY WAR』の影響は、本作ではMCU恒例のおまけ映像で明らかになる。その影響は極めて深刻で、えええ!? こ、この先どうなる!? という超ドキドキさせる最高のおまけ映像なので、その点では本作はれっきとしたMCU作品であり、あのおまけ映像は、『INFINITY WAR』を観ていないと全く理解できないだろう。そういう意味でも、MCUには「観なくていい作品」は1本もないと断言できる。当たり前ッショ。ちなみにおまけ映像は一番最後にももうひとつあって、これはギャグ映像なので正直どうでもいいけれど、その後、いっちばん最後に出るメッセージは、ちょっと意味深で、「?」の意味を来年4月公開の通称『AVENGERS4』までドキドキしながら待ちたいと思う。
 で。物語はというと、本作『ANT-MAN AND THE WASP』は、100%確実に、前作『ANT-MAN』及びMCU全作を観ていないと意味不明だ。前作で描かれたことで、本作を観る上でポイントとなるのは「量子世界」についてである。
 1)量子(Quantum)世界
 ごく簡単に言えば、小さくなれる技術の「先」にある、超超超超極小の世界、という理解で十分だろう。本来の物理学的な意味は、はっきり言って全然別なもので、詳しくはWikiでも読んでおいてほしいのだが、本作では「極小のその先」とふんわりした理解で十分だ。ただ、実のところあまりにふわっとしていて、真面目に考えると相当訳が分からないのは事実で、強いて言うと本作では唯一、ちょっとアレかなあ、という弱点であるのも確かだろう。でもいいんだよ、そんなことは。だってこれ、漫画だぜ!? ここを否定してはどうにもならんす。
 2)ジャネット・ヴァン・ダイン博士
 前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ヒロイン・ホープのお母さん。彼女は20世紀にピム博士(=初代ANT-MAN)とともに、THE WASPとして活躍していたが、冷戦期にソヴィエトの発射した核ミサイル(?)を止めるために、量子世界へ足を踏み入れて行方不明になった、という設定である。前作ラストで、2代目ANT-MANであるスコットが量子世界から無事に生還したことで、ジャネットもまた量子世界で生きているのではという希望が灯り、本作ではジャネット博士の救出ミッションが物語の本筋となる。
 3)そもそもANT-MANと「縮小化」の技術って?
 一応説明しておくと、初代ANT-MANであるハンク・ピム博士の発明した「ピム粒子」で物体を縮小できる謎技術で、小さくなるのと反対に巨大化も可能な、「IRONMANスーツよりもすごい技術」を搭載したスーツで戦うヒーロー、それがANT-MANである。ピム博士は元々S.H.I.E.L.Dの男であり、IRONMANのトニー・スタークの父や、CAPの永遠の恋人ペギーとも一緒に働いていたが、「ピム粒子」の秘密がS.H.I.E.L.Dにわたる危険を避けるために、大喧嘩してS.H.I.E.L.Dを退職。S.H.I.E.L.Dには実はヒドラの影響があったのだから、このピム博士の判断は実は大正解であったことは言うまでもないでしょう。なお、ここで言うのもアレですが、原作コミックとMCUは結構いろいろと設定が違うので、別物であると思うべきでしょうな。ちなみに原作においてピム博士はAVENGERS創設メンバーの一人で重要人物でもある。
 とまあ、こういういろいろな背景があるわけで、MCUを観てきていない人にはもうほぼ意味不明であろうと思う。だから言ったでしょ? しつこいけどもう一度言いますよ? MCUは全部観てないと意味ないんだってば!
 で、わたしがなぜ、こんなにも興奮し、ANT-MANが好きかというと、ANT-MANの闘い方が、「頭脳バトル」型だからなんだと思う。MCUヒーローは、わたしとしては頭のイイ人チームと脳筋パワーチームに分けられると思うのだが、CAPやTHORやBPが、力押しで何も考えない(のは言い過ぎか)のに反して、IRONMANやDr.やANT-MANは、明確に頭のイイ人チームで、その考え方や戦い方が、非常にカッコいいのです。とりわけ、その「小さくなれる」という能力をフルに活用したANT-MANの闘いは実にトリッキーで、ビジュアル的にも非常に見ごたえがあるのだ。まあ、ピム博士は天才科学者だし(ただしすぐキレるのはマズいすね笑)、ホープも完璧女子だし、一応スコットだって、実は電子工学の修士号を持つインテリだし、なんつうか、やっぱり物語の主人公が頭がイイと、言動に筋が通っているし、きっちり「自分にできること」を見極め、それを最大限に生かそうと行動するわけで、実に気持ちいいすよね。逆に頭が悪いと、観ていてイライラしてしまうし。BPやHAWKEYEのように、頭も悪いしたいして強くない奴が偉そうにしてると、腹立たしく感じてしまうけれど。
 そういう理由から、わたしはANT-MANが大好きなのだが、『CIVIL WAR』でCAPの味方をした時はマジかよ、何やってんだよ、と思ったものだ。しかし本作で語られたように、まだ2代目スコットは事態をよく理解しておらず、あの有名人CAPに声をかけられたことに興奮して、思わず手助けしてしまったのだという。そして逮捕・勾留され、結局FBIに24時間3年間(?)GPS監視され自宅軟禁となってしまったわけで、スコットは、自分がアホだった、とちゃんと反省しているのだ。まあ、そのために『INFINITY WAR』に登場しなかったという明確な理由も判明したし、ちゃんとピム博士やホープは、黙ってCAP軍に参戦したことを怒っているし、わたしとしてはもう、『CIVIL WAR』の件はおとがめなしである。
 というわけで、以下、各キャラと演じた役者をまとめておこう。
 ◆スコット・ラング:2代目ANT-MAN。もう何度も書いている通り、元々インテリだったが、義憤に駆られてブラック企業の悪事を暴露するために泥棒となって、あえなく逮捕、前科者に。その結果仕事を失い、妻にも去られてしょんぼりしているところを、初代ANT-MANのピム博士のスカウトで2代目ANT-MANを襲名、そして『CIVIL WAR』でうっかりCAP軍として戦ってしまったためにまたも逮捕拘留の憂き目に。本作では、自宅から外に出るとたちまちFBIがやってくるという制約下で、忙しく立ち回る庶民派(?)ヒーロー。冒頭の娘キャシーと遊んでいるシーンは大変良かったすね。キャシーがまあとんでもなく可愛いんすよ……。刑務所仲間の三人が基本ボケ役で、スコットはツッコミ役といっていいのかな。彼らの笑える楽しいやり取りは本作でも健在。今回は、スーツの調子が悪くて、巨大化から戻れなかったり、中途半端に(小学生並み)小さくなったりと、全くもってANT-MANはつらいよ的苦労が大変笑えます。演じたのはもちろんPaul Rudd氏49歳。おっと、ほぼ同級生じゃん! わたしもANT-MANスーツが欲しい! 日本にはこういうおっさんがヒーローになる物語が絶対必要ですよ。
 ◆ホープ・ヴァン・ダイン:ピム博士の娘で、今回いよいよ、満を持してTHE WASPとして大活躍! そのWASPスーツのデザインが本当にカッコ良くて最高でした。スーツの配色や女性らしいラインなど、デザインとして完璧に美しかったすな。MUC初のタイトルロール女性ヒーローとして、今後の活躍も超期待したいけど、あの衝撃のおまけ映像が……どうなるのだろうか、ホントに。演じたのは前作同様Evangeline Lillyさん39歳。前作では、ショートボブで、いかにもなクール美女でしたが、今回は髪がちょっと伸びで、なによりWASPスーツ着用&ヘルメットオフ、の状態で、ひっつめ髪のポニーテールが最強に似合ってましたね。一瞬おっかない顔だけど、やっぱりとても美人ですよ。完璧女子ホープはこのお方じゃないとダメです。
 ◆ハンク・ピム博士:初代ANT-MAN。まあ、ちょっとすぐブチギレるのはマズいとしても、MCU世界ではトニーに並ぶ天才科学者でホープのお父さん。演じたのはもちろんMichael Douglas氏73歳。今回も、前作同様若き頃のピム博士のシーンが結構あって、その驚きのCG?マジックによる若きDouglas氏は、まさしく『BLACK RAIN』や『Basic Instinct』時代の顔で、技術の進歩にはマジ驚愕です。しかし、ホープとすっかり仲良しに戻って、おまけにジャネット救出できて良かったね!
 ◆ジャネット・ヴァン・ダイン:前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ホープの母であり、初代THE WASPの元祖完璧女子。演じたのは若き頃、おっそろしく可愛かったMichelle Peifferさん60歳。Tim Burton版CATWOMANことセリーナ・カイルとしてもお馴染み。今回MichelleさんもCGによる若き頃のお顔でも登場。しかしやっぱり60歳でもお美しいですなあ……MCUへようこそ! 大歓迎であります、が、あのエンディングは……ヤバいすねえ! 早く『AVENGERS4』が観たいすな!
 ◆ビル・フォスター博士:S.H.I.E.L.D時代のピム博士の同僚で科学者なんだけど、ピム博士がカッとなってS.H.I.E.L.D退職後、研究を続けてた人で、「ピム粒子」のことも知っている人物。今回30年ぶりにピム博士と再会。原作コミック的には、GIANT-MAN、ゴリアテとなる人ですな。なので、本作でも過去に巨大化したことがあるようで、スコットと巨大化した時の話で盛り上がるシーンも。正直、今回出てくるのはいいとしても、役割的に若干微妙だったかも……という気はする。でも、ひょっとしたらこの人がおまけ映像ののちの世界でカギになるかもな、と今のところは思っておきます。演じたのは、『THE MATRIX』でのモーフィアスでお馴染みLaurence Fishburne氏57歳。わたし的には、とにかくこの人のすきっ歯が毎回気になってしょうがないす。いつもやけに渋くて存在感抜群ですな。
 ◆エイヴァ:今回のVillain(悪役)であるGHOSTとなる、大変気の毒な女子。彼女は、もともと科学者の父の実験ミス(?)で、体を構成する元素が不安定になってしまい、その結果、存在しているようなしてないような、なんでもすり抜けてしまう体質に。いわば『WATCHMEN』のドクター・マンハッタン的な。しかしさらに気の毒なことに、その特異体質を父の勤務していたS.H.I.E.L.Dに目を付けられ、暗殺者として青春を送ってきた。しかしその体にももはや限界の時が来ていて、実にかわいそうな女子であった。そして『CAP:WS』でS.H.I.E.L.Dが崩壊して以降は、父の同僚だったフォスター博士が、「ワイが治しちゃるけん、安心せえ」という言葉の元、フォスター博士とともに、ピム博士の研究ラボを奪おうと画策する。しかしあのラボが縮小してキャリーバックのように持ち運べちゃうってのも最高ですね。この気の毒なエイヴァ=GHOSTを演じたのは、Hanna John-Kamen嬢28歳。『READY PLAYER-1』に出てたらしいけど、ゴメン、覚えてない……忘れたっす。しかし、まあ、さんざん本作を絶賛しておいてアレですが、やっぱりこのGHOSTに関しては、若干イマイチだったかもしれないすね……なんか、もうちょっと物語上での行動に、やりようがあっただろうに……という気がしてならないす。
 ◆ルイス&デイブ&カートの三人組:スコットの泥棒仲間の三馬鹿トリオ。こいつらホント楽しい、ゆかいな仲間ですなあ。しかし彼らは何気に細かいところでいろいろと活躍してくれていて、このANT-MANファミリーには絶対欠かせない、愛すべきバカモンどもですよ。わたしは前作でもあった、ルイスが今までのいきさつを一人で語りまくって、画面ではその時の本人の口とルイスのトークが正確に一致しているあのシーン(意味わかりますよね)が大好きなんすけど、今回も大変良かったですなあ! アレは技術的にもかなり高度で、映画的見ごたえの一つだと思います。演じたのは、リーダー的存在のルイスだけ紹介すると、陽気なメキシカン(両親がメキシコ移民で本人は正当なアメリカ国民)でお馴染みMichael Peña氏42歳ですな。もう今や大人気でそこら中に出てますね。彼は何気に演技派でもあります。彼はTHANOSの選択を生き残れたのでしょうか……。
 ◆キャシー:スコットの愛娘。パパ大好きなかわいい娘っ子ですよ。今回、やたらと、わたしもパパの相棒になりたい、まあ、パパの相棒はホープだけど、わたしだって……! 的なやり取りがあるのは、原作コミック的にはキャシーは後にANT-GIRLとしてYoung Avengersの一員になるから、でしょうな。演じたのは2008年生まれ、現在10歳のAbby Ryder Fortsonちゃん。美人に育つのだぞ……! ところで、メリケン人どもの娘に対する感覚はホント謎だけど、スコットはキャシーのことを「ピーナッツ」と愛を込めて呼び、ジャネット博士はホープのことを「ジェリービーン」と呼びます。ピーナッツ……まあ、食べちゃいたいぐらいに可愛いオレのチビ助、ってことなんでしょうな。ピーナッツ……まあ、可愛いからアリです。

 はーーー。長くなったし、もう書いておきたいことがない……かな。

 というわけで、結論
 MCU第20作目となる記念の作品、『ANT-MAN AND THE WASP』は、わたしの期待通り最強に面白く、陽気で楽しい作品であった。今年観た映画の中で、暫定3位ぐらいすね。実に最高でありました。MCU作品は、それぞれのヒーロー映画でどうもメインテーマが頭に残らないんだけど、このANT-MANは明確に曲が頭に残るのもすごくいいと思う。ああ、音楽を担当しているChristophe Beck氏は、かの『アナ雪』の音楽も担当してるんすね、なーるほど、さもありなんですな。まあ、わたし的に本作最大の見どころは、何といってもTHE WASPのカッコ良さでしょう。美しくカッコ良く若干セクシーで、とにかくデザインが秀逸! 最高でした。そしてこの後、MCUは来年早々の『CAPTAIN MARVEL』を経て、GW辺り公開の『AVENGERS4』へとなだれ込むわけですが、本当に楽しみですなあ!! どうなるんすかねえ……まあ、CAPTAIN MARVELがカギになるんだろうな……それは間違いないだろうけど、わたしとしては、いけいけ僕らのANT-MAN!で活躍を期待したいと思います。そして、くそう、おれもANT-MANスーツが欲しい! 切実に! 以上。

↓ 予習しといた方がイイすかねえ……全然こちらは知識なしっす。つうか、さっさと『AVENGERS4』のタイトルを発表してほしいすね。散々引っ張っておいて、なーんだ、になる可能性もあると思うな……。

【注意!書き終わった今、やっぱり注意喚起を冒頭につけることにします。以下はまだ『INFINITY WAR』を観ていない方は読まないでください!! ネタバレなしには感想は書けないす。決定的なネタバレも含まれていると思いますが、観ていない人には全く通じない内容になっているし、わたしは根っからのトニー派なので、CAP派の方は不愉快な記述もあると思います。つうかですね、こんなBlogを読むよりも、今すぐ劇場へGO!でお願いします】

 というわけで、さっそく会社帰りに観てきた『AVENGERS | INFINITY WAR』。
 当然、わたしはもう、相当ワクワクして日比谷TOHOへ赴き、IMAX 3D版で鑑賞してきたのだが……本作は、監督がネタバレ禁止を訴えているので、何を「書いていい」のか、困っている。
 しかし、はっきり言って、わたしの個人的な意見としてはネタバレされてても別に困らない内容だったと思うし、ほぼ物語の流れは、誰だって想像するようなもので、そこにはとりわけ驚きはなかったように感じられた。最後に公開された予告はこんな感じであった。

 メインプロットは、THANOSが6つのインフィニティ・ストーンを欲しており、それぞれをひとつづつGetしていく過程で、激しい戦闘となる、というものであることは、もう誰しもが想像する通りである。故に、わたしとしては本作の見どころは以下に整理できると考えていた。
 ◆どんな順番で「石」が揃っていくのか?
 ◆全部揃うのか、阻止できるのか?
 ◆いまだ存在が謎の6つ目の「石」ソウル・ストーンはどこに?
 ◆そもそもTHANOSは何故「石」を揃えて銀河の生命体を半減させたいのか?
 ◆トニーとCAPはどう和解?するのか、しないのか。

 結論から言うと、「石」は6つ、すべて揃う。そしてラストは大変な事態となる。その点では確かに、衝撃的な結末ではあった。しかしそこには、「すっきりした」というようなカタルシスはないし、感動的でもない。あるのはただ一つ、えっ!? これから先、どうすれば? という「困惑」だ。
 正直に言うと、キャラクター1人1人がどうなる、とかそういうのは、はっきり言ってどうでもいいことで、肝心の物語としては、まあ、そうなるよな、という予想を超えるものは全くなかったと思う。もちろんのことながら、わたしが事前に想像していたことが結構多くハズレていて、そういう点では予想通りでは全然ないんだけど……なんというか、そこには「な、なんだってーー!?」と驚き、感動するような点はほぼなかったと思う。この映画について一言で言うならば、ああ、やっぱりこの映画は「前編」だったのね、という、かなりわたしとしてはガッカリなものであった。これなら、『CIVIL WAR』の方が断然面白かったと思うな……。
 おそらく、わたしがそう感じた最大のポイントは、本作『INFINITY WAR』は、明らかにTHANOSが主役であり、THANOSの心情に寄り過ぎてしまっている点にあるのではないかと思う。しかも、比較的丁寧に描かれているTHANOSのある意味中2病的心情には、ほぼ共感できないのだ。ラストシーンのTHANOSの「やり切った感」あふれるおじいちゃん的表情に、何を思えばいいのだろう? 
 結果として、各ヒーローたちは完全に盛り立て役というか引き立て役になってしまっていて、トニーとCAPの関係は何一つ進展しないし、そもそもTHANOSがもう圧倒的に強すぎて、全く歯が立たない。もうTHANOS無双もここに極まれり、である。これじゃあ、ハラハラドキドキもしないよな……そりゃ勝てないよ、という想像のままに終わってしまい、まあ、そうなるよな、というエンディングには、なんつうか、非常に残念に感じた。こういう無敵な存在に勝つために必要なものは「知恵と経験」であり、たしかにトニーのチームはあと一歩まで行くのだが……ワカンダのバカモンどもには深く失望ですよ……。
 結局のところ、前述のように、やっぱりこの映画はあくまで「前編」であり、真の物語は「後半」で結末を迎えるのだろう。なので、現時点でこの映画単体では、正直、評価のしようがない。これがわたしの現時点での結論である。
 とはいえ、ポイントポイントは大変興奮したし楽しめたのは間違いない。以下、わたしが「うおお!」と大興奮した点と、「なんだよこれ……」と心底ガッカリした点、それから、いまだ、「どうだろうなあ……」と何とも言えない微妙な点の3つに分けて、メモしていこう。物語の順番を無視して、大きくわたしの心に残った順で書きます。

 【大興奮した素晴らしいポイント】
 ◆THOR様大復活! 「THANOSを連れて来い!」と大激怒!
 THOR様は神様であり、実際、おそらくはMCUの中で最強と言っていいようなヒーローである。しかし前作『THOR:RAGNAROK』でまさかのコメディアン転向となり、おまけに大切なムジョルニアも喪失してしまっていたので、わたしは大変心配していた……のだが、今回はコメディアン成分を若干残しながらも、ムジョルニアに代わる必殺武器(くそう!名前忘れた!)を手にきっちり大復活を果たす。わたしが本作で一番「キターーー!!!」と大興奮したのが「Bring me THANOーーーーS!」サノスを連れて来い!!と啖呵を切るあの登場シーンである。でも、これはあとで「ガッカリポイント」のところで書くけれど、ワカンダ勢の闘いはどうしようもなくひどくて、あの登場シーンだけっすね、興奮したのは……。
 ◆LOKIよ、お前ってやつは……(涙)
 LOKIも、今までさんざん悪さを働いてきただめんず愚弟であるけれど、やっぱり彼も『RAGNAROK』でコメディアンに転向し、大嫌いだったはずのTHORお兄ちゃんと謎の兄弟愛を発揮させて、この先コイツはどうなるんだと心配だった。おまけに本作の予告では、スペース・ストーン(青)をTHANOSに差し出す的シーンもあって、まーたコイツ裏切るのか?とか思わせていたLOKI。しかし、なんてこった、LOKIの改心は本物だったんすねえ……疑ってごめんよ……本作で最初の殉職シーンには相当ショックで興奮しました。つうか、この冒頭のシーンだけでも、もうTHANOSが強すぎて、こりゃあ勝ち目がないと絶望するしかないす。
 ◆トニー meets ドクター meets ガーディアンズ!
 THANOSをあと一歩、まで追い詰めたトニー&スパイディ&ドクター&ガーディアンズ混成軍。この戦いは観ていて一番燃えましたなあ! キッチリと作戦を立て、見事なコンビネーション攻撃を次々炸裂させる流れはホントに素晴らしかった! そしてその作戦が失敗する理由も実にエモーショナルで、グッと来たすねえ。本作では、意外なほどカップルが誕生していて、トニーとペッパーはとうとう結婚していたし、スター・ロードとガモーラも完全にお互い「愛してるわ」と宣言するし、ついでになんと! VISIONさんとワンダはもう2年間一緒にイチャイチャして隠棲していたという設定になっていた。で、ガモーラへの愛が作戦を壊してしまうわけで、あそこはもう、ああなるしかなかったと思える見事な展開だったと思う。
 ◆ドクター、決断す! タイム・ストーンはTHANOSの手に!
 ドクターは冷静沈着で、アガモットの眼(タイム・ストーン)を守ることがすべてであり、いざとなれば君たちを見捨てるッ! とトニーとピーター(スパイディ)に告げるわけだが、最終的にはトニーを守るために、タイム・ストーンを引き渡す決断を下す。あの決断にわたしは結構、マジか! と相当驚いた。DOCTORは、アガモットの眼を使って、未来透視をするシーンがあって、DOCTOR曰く、1400万もの可能性の未来を観てみたが、勝てる未来は1つだった、らしい。わたしはこの0.00000714%に過ぎない「たった一つの可能性」が大きなポイントで、それを知るDOCTORこそ勝利のカギになるのでは、と思っているけれど、タイム・ストーンを手放すことは、その「可能性」の必要条件だったのだと信じたいと思う。つまり今回の敗北は「後編」への勝利のためのステップだったのだと思うことにしたい。
 ◆ガーディアンズは元気いっぱい! そして一番?泣かせてくれた!
 なんつうか、わたしは今でも『RAGNAROK』の急激なキャラ変による押しつけがましい?笑いのシーンはあまり好きではないのだが、やはりガーディアンズのみんなは最初からコメディチームなので、違和感なく素直に笑えますな。わたしは何気にボケ担当のドラックスが大好きなのだが、「消える技を身に着けたぜ! セイッッッッ! …………消えてない? おかしいな……」のシーンは最高でしたな。あと、スター・ロードのぽっちゃり疑惑いじりも最高だったし(かつてChris Platt氏はぽっちゃりだった)、THANOSのあごへのツッコミも最高だったすね(「●玉袋のシワみてえな顎しやがって!」) 。ほかのキャラもギャグはいっぱいあったけど、そっちはもう正直どうでもいいす。そして、ガモーラとスター・ロードの愛の行方も、かなりグッと来てよかったすね。最高でした。
 ◆今回のおまけ映像は一番最後に1つだけ。そしてとうとう来るーーー!!
 最近のMCUは、おまけ映像が2回、というのがデフォルトとなりつつあったが、今回は一番最後に1回だけ、です。登場するのはニック・フューリー&忠実な部下エージェント・マリア・ヒル。まあ、内容的には、とうとうあのお方が!!というつながりが示され、どうやらあのお方が「後編」に登場することは100%確実なようですね。あのお方が誰かは、ご自分の眼でお確かめください! わたしはやっぱりちょっと興奮しました。
 
 【心底失望したガッカリポイント】
 ◆CAPよ、もうあんたはCAPと名乗る資格なし!
 もうわたしは、ワカンダチームの闘いには心底ガッカリだ。その筆頭であるCAPとBP(ブラックパンサー)とバナー博士の3人には失望を通り越して怒りすら感じている。まあ、わたしは元々完全にトニー派なので、いまだに『CIVIL WAR』でのCAPは許せていないし、BPも大して強くもないし頭も良くないことには失望していたのだが……あのワカンダでの大決戦は実際どうしようもなくヒドかったと思う。
 無数の敵に囲まれ、THANOS直属の強い奴が3人いる状況で、なんで、なぜ、どうして、CAPとBPまで一兵卒として突撃しなきゃならんのだ! お前ら二人は大将だろうが! あの戦闘の勝利条件は、VISIONさんを守り切ることにあるわけで、敵戦力の要点は3人のTHANOS直属なんだから、ちゃんと作戦を立てて戦えばいいのに、なんなの、あの突撃は。お前ひとりが雑魚を何匹も倒したって、ほぼ意味ないよね。そもそもCAPの最大の持ち味は「統率力」にあるはずなのに、もう0点だよ、お前。あまりにバカバカくて、観てられない思いだったす。もう、CAPと名乗る資格なしだと思う。
 さらに言うと、バナー博士、あんた何やってんすか!? もう足手まといもいいとこだよ。バナー博士がHULK化できないのは、今後の伏線として認めるにやぶさかではないけれど、あんた、HULKになれないなら、あんたが一番貢献できるのはその頭脳でしょ!? なにその役割をぽっと出のシュリに奪われてるんすか! アホか! この点も脚本的に0点と愛をもって断罪したい。
 そしてBP陛下、あんたもホント弱いすねえ……つうか、なんでワカンダご自慢のシールドを開けたのか、その点はわたしの理解力ではよくわからなかった。アレって……なんででしたっけ? 覚えてないす、もはや。まさかと思うけど、いわゆる「細道に誘い込んで大勢の敵を1対1の闘いに持ち込む」という常道の作戦だったのか? だとしたら、戦力差があり過ぎて全く効果なかったね。もうチョイ、ちゃんと作戦立てなよ……あんたはいつも行き当たりばったりだからダメなんだよ……。ほんと、目先しか見えていないあんたには王の器はないと思うよ。失望しかないす。
 要するに、トニー・チームが、きちんと各キャラの持ち味を発揮して連合チームとして戦ったのに対し、ワカンダのバカモンどもの、とにかく目の前の敵をぶっ飛ばせという特攻作戦には深く失望です。せっかくTHOR様がウルトラカッコよく救援に駆け付けたのに、もはや混戦が激しく指揮系統も崩壊していたため、焼け石に水であった。なにやってんだか……。
 ◆今回登場しないあの二人の、「登場しない理由」がダサすぎてガッカリ。
 今回の『INFINITY WAR』のプロモーションでは、ポスターなどにも一切登場しない二人がいることはもう、ご存知の通りだが……BLACK WIDOWだったかの口から語られたその理由が、信じがたいほどダサすぎて、超ガッカリだ。二人とも、「司法取引」をして自宅軟禁中?なんですってよ。アホか! いや、わたしの愛するANT-MANはイイんです、それでも。なにしろスコットはある意味事情をよく分からないまま、手伝っただけなので。でも、HAWKEYEは絶対許せない!! お前、お前がワンダを連れ出した張本人のくせに、お前だけ司法取引って何事だこの野郎! とわたしはもう、怒りが有頂天である。ああ? 家族がいるからだと? ふっざけんな! お前、CAPのピンチには馳せ参じるんじゃなかったのかよ! ま、お前がいたところで、どうせ何の役にも立たなかっただろうけど、ホント、トニー派のわたしとしては、HAWKEYEことクリント・バートンの偉そうな態度が嫌いである。ま、お前もTHANOSの「選択」で消滅したことを祈ります。はあはあ……思い出し怒りが止まらんすわ……。
 ◆結局トニーとCAPは顔を合わせず和解ナシ。
 冒頭、THANOSの野望を知ったトニーは、ギャグキャラ化した使えないバナー博士から、CAPに電話しなよ、と勧められ、どうしようかな……と悩むシーンがある。結局トニーは電話できず、その後バナー博士が、CAPからトニーに送り付けられてきた携帯を使って連絡を取り、VISIONさんとワンダのピンチに駆けつけるわけだが、本作ではトニーとCAPの対面はナシ、であった。トニーは、またしても地球がボロボロになるのを避けるためにも、宇宙での戦いに挑んだわけで、本作終了時点では、トニーはタイタン(THANOSの故郷)にとどまっている。ま、そんな点もCAPとは大違いの行動とトニー派のわたしは高く評価したいところだが……来年公開の「後編」で二人は対面することがあるのだろうか……わたしとしては、MCUにおいて『CIVIL WAR』は最大の事件なわけで、いまだ未解決という認識なので、この二人の確執という重要ポイントには、何らかの結末がどうしても必要だと思うし、本作でその和解?へのフラグがまるで立たなかった点も、正直ガッカリであった。

 【び、微妙……で何とも言えないポイント】
 ◆THANOS……あんたは……愛の戦士だったのか……?
 THANOSの目的は、一言でいえば増えすぎた生命体のバランスを整えるため、銀河の生命体を半減させる、という中2病めいたものであった。まあ、要するにシャア的な、人類半減計画だったわけで、そのためには非情に、あえて愛を捨て去ろう!というラオウ様めいた決意だったわけだが、なんつうか……陳腐というか……日本人的にはもう、様々なコミックやラノベでお馴染みのもので、基本的にそういう狂信は、愛をもって倒される運命にあるわけだ。なので、きっと来年公開される「後編」、通称『AVENGERS4』ではそうなるものと思われるが、なんか、微妙すぎでわたしは何とも言えないす。6つ目の「石」の獲得条件が「愛」という展開はとても良かったし、まさかのTHANOSの涙も、良かったとは思う。
 けど、うーーーん……ラストシーンのTHANOSのアップ、あの表情は……び……微妙……す。
 ふ―やれやれ、終わった……な……みたいな、一仕事終えたおっさんフェイスには、正直唖然というか、困惑せざるを得ないように思った。悪には悪の理論があり、悪の行動にはきちんと目的がある、と示したのは大いにアリだろう。しかし……THANOSの目的は微妙過ぎて……現時点では何とも言えないすね……。
 正直、THANOSは冷徹かつ合理的な判断で生命体半減計画を実行するけれど、「愛」を知らぬゆえに、6個目の「石」をどうしても入手できない、しかし、ガモーラを犠牲にしようとしたところで一筋の涙が流れ、「こ……これが……愛なのか?」と理解し、「ガモーラ、愛しい娘よ……だが……だが謝罪はせぬ! お前の命で「石」をもらうぞ! これがわが生涯最後の涙となろう!」という展開で最後の「石」をGetして今回はここまで、が良かったのにな……。
 いっけねえ、『北斗の拳』が好きすぎるわたしの妄想でした。
 
 というわけで、もうしつこいので現時点での結論。
 待ちに待った『AVENGERS | INFINITY WAR』をさっそくIMAX3D版で観てきたのだが、まず言いたいことは、本作はあくまで「前編」であり、物語の結末に至っていないので判断しようがない、といのが一つ。そしてTHANOSが強すぎて全く歯が立たず、THANOS無双であったため、肝心のヒーローたちが引き立て役としてボロボロ、あまつさえエンディングではとうとう「石」をそろえたTHANOSの「選抜」が実行され、数多くのヒーローが消えてしまう展開には、驚きというよりも、ま、そうなるわな、という納得しかなく、で、どうすんの?という困惑が一番大きくわたしの心に残る結果となった。もう、CAPやBPの指揮官=大将としての無能ぶりはどうでもいいす。おそらく「後編」に登場することが確定となったあのお方が、どんな指揮を執ってくれるのか、楽しみに待ちたい。要するにですね、早く来年公開の「後編」が観たい!! が結論です。以上。

↓ あのお方の活躍は予習した方がいいのだろうか……実はわたしはよく知らず、原作未読です。


【追記:というわけで観てきました『INFINITY WAR』(以下『IW』と略)。観てきた今、以下を読むと、結構予想がハズレまくってるので、なんか大変恥ずかしいのですが、消すのもダサいので、わたしのバカさ加減を忘れないためにもそのままにしておきます。あと、一部明らかに間違ってた点は修正を入れました】

 わたしはMarvel Cinematic Univers、略してMCUが大好きであります。もう何度もこのBlogにおいていろいろ書いているけれど、今週金曜日にとうとう公開される『AVENGERS:INFINITY WAR』を観るにあたって、主なキャラクターの「INFINITY WAR」開戦前夜の状況をまとめておこうとふと思い立ったので、以下、またクソ長い文章を書こうと存じます。くれぐれも言っておきますが、『INFINITY WAR』は,MCU第19作目であり、当然ながらそれまでの18作品を観ていないと絶対ダメです。

 本記事は、ちょうど2年ぐらい前にこのBlogで書いた記事「Marvel Cinematic Universeの基礎知識を軽くまとめておこう。」を読んでいることを前提としています。あの記事を書いた時から、どんな感じに物語は進んだのか、についての記事なので、完全に一見さんお断りな、分かり切った人物や言葉、映画タイトルにいちいち説明はしません。それと、もちろんネタバレも含んでいるだろうし、そもそもわたしは圧倒的にトニー派で、トニー派としての独断と偏見と主観に満ちていますので、CAP派の方は読まない方がいいと思います。
 さてと。最新の状況は、たぶん5つのグループにわけて説明した方がいいと思うので、各チームごとにまとめてみようと思います。あと、記憶に従って書くので間違いがあったらちょこちょこ手直しします。
--------【アイアンマンチーム】--------
 ◆トニー・スターク(IRON MAN):チャラい男のようでいて、いつもちゃんと考え、自らの過ちもきちんと認め、キッチリ謝罪ができる大人の男。『CIVIL WAR』でCAPと大喧嘩したものの、CAPからは「ピンチの時はいつでも駆けつけるからね!」なんて手紙とともに、携帯電話が送られてきているが、まだそれを使う状況にはなっていない。トニーは『CIVIL WAR』事件でのCAPたちの主張を認めるにやぶさかではなく、きっちり謝罪もしたのだが、両親を殺したバッキーをかばったことがいまだ許せていないため、たぶん今でもCAPに対してはモヤモヤしているはず。そりゃそうだ。最新状況は、『Homecoming』で描かれた通り。最初の『AVENGERS』事件で崩壊したNYを復興させるため、良かれと思ってガレキ処理を引き受けたのだが、そのことでヴァルチャーという悪人を生み出してしまい、おまけに、自らがダメ出しした少年ピーター・パーカーが頑張ってそのケジメ付けたこともあって、ピーターを正式にAVENGERSに入れてあげよう、そして最新型の「アイアン・スパイダー・スーツ」をプレゼントしよう、と思ったらあっさり振られ、若干アレな気分に。いずれにせよ、自分がNYのど真ん中に住んでいると、戦いが発生した時の余波でまた街がボロボロになるので、北部へと引っ越しをした。なお、愛するペッパーとは、『ULTRON』事件のあたりでは別居中だったが(※IRON3で引退するって言ったのに引退しなかったため?)、現在は復縁して仲良く暮らしている模様。きっと大変忙しい毎日を送っているのでしょう。
 ◆ピーター・パーカー(SPIDER-MAN):『CIVIL WAR』でトニーにスカウトされて緊急参戦し、その後ヴァルチャー事件で大活躍した高校生。トニーを尊敬している?とは思うけれど、ヴァルチャー事件で骨身にしみて、正体を明かしてモテようとか、AVENGERSの一員になって活躍しようとか、浮ついた気持ちを持たず、「親愛なる隣人」としてNYを守ろうと決断した、大変デキた少年。頭も良い。SPIDER-WEB(あの糸)はピーター自家製作。『Homecoming』のラストシーンの通り、世話になっている美人過ぎる叔母に正体はバレちゃった、はず。あのシーンは最高でした。トニー謹製のノーマルSPIDERスーツは現在も保有。友人ネッドもピーター=SPIDER-MANであることを知っている。
 ◆VISIONさん:元トニーの電脳執事JERVIS。『ULTRON』事件の際に、VISIONとなって実体化した超常的存在。その時キーとなったのが、ロキの杖についていた「インフィニティ・ストーン」の一つ「マインド・ストーン(黄色)」で、今回はそれを求めてTHANOSがやって来るので、VISIONさんは超ピンチに陥るはず。ムジョルニアをひょいと持ち上げられるほと、正しく高潔な存在。体は透過できるし、額からビームはぶっ放すし、基本的に超強い。なお、現在は何をしているか不明だが、『Homecoming』によれば、トニーの引っ越し先のアベンジャーズ基地にはちゃんと部屋があるらしいので、ワンダを想って静かにしてるのではないかしら。どうでもいいことですが、VISIONさんを演じている役者Paul Bettany氏と、ピーターの着用するSPIDER-MANスーツに搭載されたAIカレンの声を演じているJennifer Connellyさんは現実世界では夫婦です。
 ◆ナターシャ・ロマノフ(Black Widow):彼女は、元ロシアの養成したスパイだったことを『Winter Soldier』事件の終結時にカミングアウトして、きちんとけじめをつけたこともあり、同じくロシアに洗脳・育成されたバッキーを放っておくことは出来ず、きちんとバッキーを法機関に引き渡すべきとするトニー側に立って『CIVIL WAR』を戦ったが、やっぱり色々とモヤモヤしていて、結局トニーと喧嘩して、たぶん出ていっちゃったはず。何をしているかは不明だが、まあ、きっと愛するバナー博士を探したりしてるんでしょうな。バナー博士がまさか銀河の果てにいるとも知らず……。CAPに合流した可能性も十分あり得る。
 ◆ローディー(WAR MACHINE):『CIVIL WAR』事件で、逃げるCAPたちを乗せたクインジェットを狙撃しようとしたVISIONさんのビームを喰らってしまい(FALCONが避けたせい!)、高高度から墜落し、脊椎損傷の大けがを負う。長年の友人トニー謹製のメカギプスでリハビリ訓練中。
--------【キャップチーム】--------
 基本的には『CIVIL WAR』でCAPの味方をした連中は皆、海中刑務所に投獄されたが、CAPにより強奪・脱獄しているはずで、『CIVIL WAR』おまけ映像でCAPとバッキーはワカンダへ行ったことは描かれているが、その他の連中がどうなったか定かではない。CAPを含め、CAP派の連中はどうやら犯罪者(War Criminal)として指名手配されている模様。
 ◆スティーブ・ロジャーズ(CAPTAIN AMERICA):トニーはきっちり謝罪したのに、コイツ自身はトニーの怒りに対して拳で応えたという点でわたしはいまだにCAPは許せないす。CAPの理論は、バッキーは友達なんだ! というだけで、「オレも友達だったよな?」というトニーの言葉には何も答えられないひどい男、というのがわたしの評価。あんな手紙と携帯だけで許されると思うなよ! ワカンダに潜伏中か、NOMADとして世界のどこかで悪と戦っているのかも。現在どうやら髪も伸びてオールバック&髭もじゃになり、さわやかイケメンの面影なし。
 ◆サム・ウィルソン(FALCON):CAPに従う腰巾着ヒーロー。ビジュアルはかっこいいけれど、普通の人だし武装も普通の銃器なので、あまり強くない。元軍人。ウィングパックは合衆国資産のはずで(その後トニーが防弾処理とかドローンをつけたりとか改良したのかも)、勝手に使用中。まあ、コイツはCAPと一緒にいるでしょうな、きっと。ちなみに、そもそも『CIVIL WAR』においてバッキーを捕縛したCAPが、「トニーに連絡を……(If we can call Tony...)」と言ったのに、「いや、信じてくれないでしょ(No, he won't believe us)」と反対したのがファルコンなので、大喧嘩の原因を作ったともいえる。ただし、一応彼は、ローディー大ケガの責任を感じていて、トニーに情報をもたらしたので、その点は許してもいい。
 ◆ジェームズ・ブキャナン・”バッキー”・バーンズ(WINTER SOLDIER):CAPの幼馴染の親友。実のところ彼は被害者で、トニーの両親を殺したことに対しても、深く、申し訳ない気持ちを抱いているはず。なので彼は許せます。大いに反省中の彼は、自ら、オレはまた洗脳暗示で悪いことをしてしまうかもしれないから、と言って、ワカンダで冷凍睡眠に入ったことが『CIVIL WAR』で描かれたが、『BLACK PANTHER』のおまけ映像でどうやら冷凍から目覚め、ワカンダの天才科学者シュリ(BPの妹)によって洗脳も解けた、ように見えた。トニーの怒り爆発で破壊された左腕のメカアームは、現在シュリが製作中かも?
 ◆クリント・バートン(HAWKEYE):弓の達人だけれど、普通の人なので全然強くない。そのくせに、超偉そうな野郎。コイツはずっと刑務所入りでいいと思う。けど、まあ、普通に考えて一緒に脱獄したのでしょう。そもそも、精神的に弱っているワンダを『CIVIL WAR』に導いた点で、わたしとしては決して許せない。ただし、今回の『INFINITY WAR』においては事前の予告やポスターなどに一切登場しておらず、その動静は全く不明。もう出てこなくていいから、わたしとしては、反省してずっと刑務所に入ったままであることを望みます。
 ◆スコット・ラング(ANT-MAN):わたしとしては大好きなキャラなのだが、ファルコンと知り合いだったこと、そして先代ANT-MANのピム博士が、スターク父と仲が悪かったこと、などの背景があるため、(運悪く)CAP陣営に参加し、その結果として逮捕・勾留の憂き目に。事情がまだよくわかっていないような感じではあるが、まあ、彼もいっしょに脱獄したと思いたい。が、彼もまた『INFINITY WAR』の事前プロモに一切登場しておらず、現在どうしているか不明な状態。たぶん、彼の場合は、愛する娘が第一なので、指名手配犯として娘に会いに行くわけにもいかず、潜伏中なのではないでしょうか。早くピム博士と合流しててほしいすね。次回作『ANT-MAN AND THE WASP』は日本では8月31日公開だそうです。超楽しみ!
 【追記:HAWKEYEとANT--MANがINFINITY WARに出てこない理由は『IW』内で語られましたが、大変詰まらない理由でガックリ】
 ◆ワンダ・マキシモフ(SCARLETT WITCH):元々『X-MEN』のキャラだが、MCUにおいては『ULTRON』事件で初登場した人造超能力者(?)のこと。ガンダム的に言うと強化人間だが、何気に最強レベルの能力者。VISIONさんとイイ感じだと思うのだが、監禁生活に嫌気がさし、HAWKEYEの手引きで脱走、CAPチームとして『CIVIL WAR』を戦うが、結局逮捕・勾留の憂き目に。だからあれだけVISIONさんが言ったのに……。脱走してるとは思うけど、どこで何をしているか不明。まあ、ワカンダで暮らしていると思いたい。早くVISIONさんのもとに帰っておいで! そしてVISIONさんをTHANOSの魔手から守るんだ!
--------【銀河はぐれ旅チームA】--------
 ◆ソー(THOR):アスガルドの王子様。『CIVIL WAR』事件の際は地球を不在にしていた。『RAGNAROK』事件によって故郷アスガルドは崩壊。地球を目指して航行中の宇宙難民団リーダーに。すっかりお気楽なツッコミ系ギャグキャラに変化中。実力的には神様なので超強い。が、『RAGNAROK』事件で大切なムジョルニアを破壊され、真の力に目覚めたはいいけれど、その実力がどうなったか未知数。これまでは、ムジョルニアの力で空を飛んだりしていたのだが、果たして再びTHOR様は地球でも飛べるのでしょうか? 地球の恋人ジェーンとは別れたそうです。そして『RAGNAROK』事件の際、父を探してやってきた地球で、DOCTOR STRANGEと出会うも、舐められっぱなしでいいとこナシ。しかし、『RAGNAROK』のおまけ映像では、地球へ向かうTHOR様たちの乗る宇宙船に、謎の巨大宇宙船が迫り……な終わりであったので、その謎の船が何者かは『INFINITY WAR』で明かされるはず。
 ◆ブルース・バナー博士(HULK):どういう理屈か不明だが、『ULTRON』事件の際に、一人でクインジェットをかっぱらって逃亡した結果、行き着いた先は何故か銀河の辺境の星サカールで、そこで仲間のTHOR様と出会い、『RAGNAROK』事件終結を手伝う。現在はTHOR様たちとともに地球目指して航行中。博士も軽~いキャラに変化中。悩める人だったのにね……。
 ◆ロキ(LOKI):宇宙一のデキない弟としてお馴染みのLOKI様は、『RAGNAROK』事件ですっかりTHORお兄ちゃんと仲良しに。一緒に地球へ向かって航行中。「地球はわたしを受け入れてくれるだろうか……」と不安なLOKIに、THOR様は「まあ、最後には何とかなるさ!おれは地球で人気者だし!」と極めてお気楽。この謎の兄弟愛はいいけれど、DOCTORが黙っているとは思えないのだが……彼もまた地球に来た時にDOCTORと出会っており、DOCTORに散々もてあそばれる羽目に。魔法の腕前ではDOCTORの方が上っぽい。そして重要なのは、『RAGNAROK』事件でアスガルド崩壊の直前、父オーディンの武器庫に保管してあった「インフィニティ・ストーン」の一つ「スペース・ストーン(コズミック・キューブ=青)」をかっぱらって隠している模様。予告ではなにやらTHANOSに「ストーン」を差し出しているのか? 謎のシーンがあるので、その動向は要チェックだ! まーた裏切る気なのか、作戦なのか、その行動の真意がついに今週明かされる! 裏切るに1000点。
【追記:謝らせてほしい。LOKIよ、ほんとゴメンよ……お前はイイ奴だったね……】
--------【銀河はぐれ旅チームB】--------
 ガーディアンズ関連の皆さんも、「エゴ」事件終結後の現在、銀河はぐれ旅中か。とりわけ目的地はないと思うが、銀河の辺境でお仕事中だと思う。
 ◆ピーター・クィル(STAR LORD):地球人。1988年に地球から銀河の果てに誘拐されたちょっとかわいそうな男。とうとう彼も『INFINITY WAR』で地球に里帰りか!? と思うとわくわくしますね。一応常識人だとは思うが、父親が「エゴ」という宇宙生命体で、普通の人が触ると即死する「インフィニティ・ストーン」の一つである「パワーストーン(オーブ=紫)」も平気で触れた過去アリ。ゆかいな仲間たちと気ままな宇宙暮らしのはずだが……。最初にTHOR様と出会うのがガーディアンチームのようですな。チームの中では基本ツッコミ役。
 ◆ロケット(ROCKET):見かけは可愛いアライグマ、だけど凶暴な男。何気に一番活躍するメカニックとしても凄腕。グルートを溺愛している。基本ツッコミ役。
 ◆ガモーラ(GAMORA):元THANOSの娘。戦闘能力抜群の暗殺者。ピーターと現在ちょっとイイ仲。凶暴な妹、ネビュラとも和解の方向に。
 ◆ドラックス(DRAX THE DESTROYER):かつてロナンに妻子を殺された戦士。現在はチームのお父さん的存在で、何気にイイことを言う人。エゴの従者であったマンティスとちょっとイイ仲なのか? 基本ボケ役。
 ◆グルート(GROOT):木。基本ボケ役。『GOTG1』で仲間を守るため捨て身の行動に出て枝1本になっちゃったのち、『Vol.2』では可愛いベビー姿に成長。みんなのアイドル。しかし、『Vol.2』のおまけ映像ではさらに成長し、絶賛思春期で、現在反抗期まっただ中。部屋を散らかしっぱなし&ゲームに夢中でクソ生意気な中学生ぐらいな感じです。笑える。
--------【チーム無所属】--------
 ◆スティーヴン・ストレンジ(DOCTOR STRANGE):元々は傲慢で自信家の外科医だったが、現在は超偉そうな態度の最高魔術師(ソーサラー・スープリーム)。NYCのロウアーマンハッタン、BleeckerStの177番地在住。わたし、偶然NYCのBleekerSt.は歩いてぶらぶらしたことがあるので、大体の雰囲気は知ってますが、そうだなあ、昔の代官山の同潤会アパート的なおしゃれSHOPの多いとこすね。いや、もっと小汚いか。『CIVIL WAR』時点ではまだ魔術師になっていないはず(DOCTORが事故を起こす直前に受けていた電話で、ローディーが脊椎損傷で運び込まれたことを聞いている)。なのでヒーロー歴は浅いはずだが態度は超偉そう。そして実力も高そう。何より彼の能力は魔術であり、物理的な武力とは一味違うし、DOCTORは「別次元」の存在から地球を守っている団体の一員で、『RAGNAROK』で地球にやってきたTHOR様に対して、「地球に害する存在を監視している」と言っていた(ので、LOKIをさっさと地球から追い払いたかった)。頭は勿論いいし、自分よりすごい人には意外と素直。トニーとうまくやって行けるか心配だけど、まあ、大人なので大丈夫、と思いたい(原作上では結構仲間だったり対立したりするし、CIVIL WARの原作では中立派に)。一応魔術師団体の長的存在なので(たぶん)、同門の味方はそれなりにいる。
 ◆ティ・チャラ(BLACK PANTHER):『CIVIL WAR』事件で父を殺害され、怒りまくってCAPチームに戦いを挑むも、事件の真相を知って怒りを鎮め、逃亡犯となったCAPチームを自国ワカンダに迎え入れ匿う。理知的で強い男……と思っていたのだが、『BLACK PANTHER』で描かれたキルモンガ―事件で意外と単なるおぼっちゃまでそれほど強くないことが判明し、わたし的にはかなりガッカリ。トニーとどちらが金持ちか知らないが、アフリカに広大な土地と資源を持っている王様のため、どうやら『INFINITY WAR』では主戦場となる模様。分からないけど。妹のシュリが何気に重要人物で、最新BPスーツなどもシュリ謹製のアイテムで、トニーと科学者同士仲良くしてほしいのだが……。王様だけに、親衛隊的軍隊も保有。

 はーーー長くなった。まあ、こんな感じだと思います。
 そして、『INFINITY WAR』を観る際に一番(?)の鍵となるであろう「インフィニティ・ストーン」について短くまとめておきます。今回の敵THANOSは、6つあるとされている「インフィニティ・ストーン」が欲しいのです。
 ◆青:スペース・ストーン。別名コズミックキューブ。前述の通り、本来アスガルドで保管されていたはずだが、アスガルド崩壊の際にLOKIがパクって持ち出した模様。
 ◆赤:リアリティ・ストーン。別名エーテル。『THOR:DW』でジェーンに憑りついたアレ。その後、銀河の収集者コレクターに預けられたはずだが、『ガーディアンズ1』でコレクターの家が派手に破壊されたので、どうなったか不明。コレクターがちゃんと保管していると思いたい。
 ◆黄:マインド・ストーン。元はLOKIの杖についていたが(アレって、THANOSから借りたんだっけ?)、現在はVISIONさんの額で輝いている。VISIONさんヤバし。
 ◆紫:パワー・ストーン。別名オーブ。『ガーディアンズ1』の事件後、現在はノバ帝国ザンダー帝国に保管されているはず。たぶん。
 ◆緑:タイム・ストーン。別名アガモットの眼。代々?ソーサラースープリームが保有。現在はカトマンズのカマー・タージに保管してあると思うが、DOCTORが勝手に使っている状態。
 ◆橙:ソウル・ストーン。現状MCUにはまだ現れていない謎の石。Web上ではいろんな説が流れているが、まあ、実際わたしも全く想像はつかないです。たぶん、『AVENGERS』の3作目4作目はそもそも前編・後編で構想されていた作品なので、元々前編だった『INFINITY WAR』では、出てこず、後編にあたるタイトル未定の『AVENGERS4』で出てくるんじゃないかしら。根拠はありませんが。『INFINITY WAR』ののち、『ANT-MAN AND THE WASP』が今年公開され、来年早々?だっけ? 『CAPTAIN MARVEL』が公開されて、その後で『AVENGERS4』の公開となるので、ひょっとしたら新ヒーロー『CAPTAIN MARVEL』がカギになるかもしれないすな。わからんけど。
 はーーしかし楽しみですなあ! 早く金曜にならねえかなあ! あと3日後か、ヤバイすねえ、超楽しみっす。

 というわけで、結論。
 早く『INFINITY WAR』が観たいす! 以上。

↓ わたし的MCU最高傑作は『CIVIL WAR』ですが、内容的にコイツの完成度はさらに上かも。わたしの生涯ベストに間違いなく入れるべき作品す。所属としては、一応DCコミック原作す。
ウォッチメン (字幕版)
ローラ・メンネル
2013-11-26


 というわけで、昨日は午前中にわたしの大好きなStephen King大先生原作の『IT』を観て、午後は立て続けに、これまたわたしの大好きなMARVEL CINEMATIC UNIVERS最新作『THOR:RAGNAROK』を観てきた。のっけから結論を言うと、ちょっと悪ふざけしすぎじゃね? という今までとはまるで違うギャグ映画となり果てており、わたしとしては、ナシ、と否定はしたくないものの……ちょっとやりすぎじゃね? と言わざるを得ない微妙作であった。おまけに、予告編から想像していた物語とは全然違うお話であり、正直、わたしはかなり肩透かしを食らったような気がしている。ただし、それはわたしが予告を観て勝手に盛り上がっていただけの話であり、ギャグもやりすぎとは言え、いちいち、くすっと笑えてしまうわけで、なんだかんだ文句を言いつつ、やっぱり面白れえなあ、というのが結論なのかもしれない。それでは、以下、思ったことを書き連ねていこうと思う。なお、もちろんのことながら、いつも通りネタバレ全開になる予定なので、まだ見ていない人は読まないでください。

 つーかですね、これは観た方なら誰もが思う事だと思うのだが……上記予告はすっげえカッコイイというか、わくわくする最高の出来じゃあないですか? でもですね、なんと、上記予告は予告専用の映像ともいうべきもので、本編での使用シーンと相当違う! ことにわたしは結構驚いた。端的に言うと、THOR様の大切なムジョルニア(=トンカチ)が砕かれてしまうでしょ? 個々のシーンは確かに本編にもある、けれど、背景が全然違う! のにわたしはとても驚いた。『SPIDER-MAN:Home Coming』の時も、予告だけで本編に存在しないシーンがあったし、最近はネタバレ防止にそんなことまでするんすかねえ……ま、いいや。
 で。今回のお話だが、予告を観て、わたしのようにMCUが大好きな人間ならば、確実に次の4つのことがらについて、いったいどういう事なんだろう? と思い、その点に注目して本作を観たはずだ。
 ◆その1) HULKは一体、どうして、どうやって惑星サカールに来たのか?
 この点については、まずは復習が必要だろう。MCUにおいて、HULKの一番最後の描写は、『Ultron』のラスト近くで、S.H.I.L.D.のクィンジェットをかっぱらって一人どこかへ身を隠してしまったシーンである。大好きなBLACK WIDOWの言葉も無視してどこかへ消えたHULK。そのHULKがいきなり宇宙の果て?の惑星にいるのはなぜなんだ? と誰しも思うはずである。わたしはまた、なんらかのMCU的な重大事件が起こって宇宙に飛ばされた、その背景にはサノスの影が……とかいう展開なのかと勝手に想像していた。が、結論をズバリ言うと、「特に説明はナシ」であった。うっそお!? それでいいのか? とびっくりしたのは言うまでもない。これは原作的にそうなってるのかどうか、わたしは知らないので何とも言えないのだが……あまりにテキトーな感じがして、今までの、「綿密に計算されたMCU」の世界観にそぐわないというか……なんだかとてもがっかりした。おまけにHULK状態で2年間いたらしく、HULK状態で普通にしゃべってるし! そんな……悩めるバナー博士像はどこ行っちゃったんだよ……。
 ◆その2)ムジョルニア破壊!? ムジョルニアはどうやって復活するのか?
 わたしは予告で描かれたムジョルニア破壊シーンに超興奮し、こいつはスゲエ展開だ! と超ワクワクしていた。そして、ひょっとしたら、いまだ登場していない最後の「インフィニティ―・ストーン」がムジョルニア復活のカギなんじゃね? とか勝手に想像して興奮していたのである。このことについても、もう結論を言おう、「ムジョルニアは復活しない」が本作の回答であった。えええ!? いいの!? ムジョルニアなしでTHOR様は今後戦えるの? 空飛べなくなっちゃうじゃん!? とわたしはこれまた激しくびっくりである。これでいいのかなあ……うーん……。
 ◆その3)そもそもTHOR様の現在の任務は……?
 MCU世界では、『Ultron』事件の後に、地球においては『CIVIL WAR』が勃発してトニーとCAPが大喧嘩していたわけだが、そもそも、THOR様は、『Ultron』事件の後は、インフィニティストーンの謎を追ってアスガルドへ帰って行ったために、地球におらず、『CIVIL WAR』にも参戦しなかったわけで、わたしとしては、本作では確実に、最後のインフィニティ・ストーンに関連する事件が描かれるのであろうと勝手に想像していた。しかし、である。冒頭でごくあっさり、「分かんねーから探すのやめた」的な一言で終了である。そんなバカな!? わたしはこの冒頭のTHOR様のセリフでイスから転げ落ちそうになるぐらいびっくりした。えええ? うっそお!? ほっといていいんすかTHOR様!? あなた、『Ultron』事件のときに観た幻影に従って、トニーに味方してVISONさん誕生を手伝ったんだし、その幻影で描かれた未来が気になって仕方ないから、インフィニティ・ストーンの謎を追う旅に出たんでしょ? いいのかなあ……これで。
 ◆その4)RAGNAROKとは? ま、まさか……?
 たぶん、世間一般的に言う「ラグナロク」とは、北欧神話で言うところの終末の日であり、Wagnerのニーベルングの指輪の最終章「神々の黄昏(Götterdämmerung)」のことを指すものだ。THOR様自身が北欧神話的世界観なわけで、ラグナロクという言葉は、アスガルド最大の危機を連想させるものとして、非常にそれっぽくもある。しかし一方で、MARVELコミックに通じている人ならば、ラグナロクと聞けば、原作の「CIVIL WAR」に出てきたTHOR様のクローンであるRAGNAROKというキャラを思い出す人も多いはずだ。おまけに予告の終わり近くには、何やら雷光をまとった、いつもと様子の違うTHOR様がカッコよく登場するシーンもあって、ま、まさかこれって、あのクローン・ソーが登場するのか!? と興奮したはずである。しかし―――結論を言おう。確かに、アスガルド最後の日ではあったので、タイトルとしてRAGNAROKは非常にピッタリではあったが……クローン・ソーは登場しない。その点では、正直肩透かしというか、なーんだ、であった。そして予告に出ていた「雷光をまとうTHOR様」は、ムジョルニアを失って覚醒した新たなTHOR様のお姿であったのである(しかもここも、予告の映像と本編は重大な違いがある)。しかしそれでも、「ムジョルニアを失ったからって何だ、お前はなに? トンカチの神様なのか? 違うだろ、お前は」「そうだ、オレは……雷神だ!」と、オーディンの幻影との会話で真の力に覚醒する流れはとてもカッコ良かったので、これはこれでアリだと認めたい。本作では、惑星サカールでの奴隷戦士の時には、さんざん「神様じゃなくて、お前、雷様だろ?」「雷様じゃねえ、雷神だ!」「はいはい、頑張ってね、雷様」みたいなやり取りが何度もあったので、強いTHOR様大復活はとても興奮出来て満足です。
 とまあ、わたしとしては驚き4連発で、ズバリ言うと「オレが観たかったTHOR3はコレジャナイ!」と思わざるを得なかった。
 しかし、である。ちょっと悔しいことに、単体として本作を観ると、やっぱりギャグには笑えちゃえるんだな……そういう点では大変デキのいいコメディであったのは間違いないと言える。まさかLOKI様まであんなコメディキャラになり果てるとは……哀しいやら笑えるやらで、わたしとしては大変微妙な気持ちである。
 はあはあ……だいたい言いたいことはもう書いたかな……では、ちょっと気を取り直して、本作の物語を軽くまとめてみよう。
 本作は、冒頭は鎖でがんじがらめに拘束されたTHOR様の愚痴から始まる。こういう、主人公の愚痴というのは、ハードボイルド小説の定番だが、THOR様は、インフィニティ・ストーンの謎を追って旅していたものの、その謎は解明できずにいた。そんな時、かつて父オーディンが封印(?)したスルトという火の王(?)が復活しかけているところに出会い、その討伐に出かけ、まあズバリ言うと楽勝で再封印成功、アスガルドに帰還するーーーが、帰還したアスガルドでは、何と愚弟LOKIがオーディンに成りすましており(※THOR:DWのエンディングでLOKIがオーディンに成りすましていることは描かれていた)、ふざけた芝居を上演して民衆と楽しんでいた。そのバカバカしさにカチンときたTHOR様は再び愚弟LOKIをとっつかまえ、つーかお前、父ちゃんをどうしたんだよ!? と尋問すると、なんと父オーディンは地球に追放されていたことが判明。すぐさまLOKIを伴って、LOKIがオーディンを置き去りにしたNYCへ再降臨する。しかし、その場所は既に建物が取り壊され、オーディンの行方は不明。まじかよ……と困っていると、なんとLOKIの足元に、オレンジ色の魔法陣グルグルが発生、なんだこりゃあ!? と戸惑うTHOR様の前に現れたのは、なんとなんと、Dr.Strangeであった。Dr.は、地球に害なす存在の監視をしていて、LOKIはそのブラックリストに入っていたのである。事情を説明するTHOR様に、Dr.は、オーディンが見つかったらすぐ帰るんだな、じゃあ、その場所を教えてやろう、今、ノルウェーにいるから、と魔法陣グルグルでTHOR様とLOKIをあっさりノルウェーに送り込む。そして再会する3人。しかし事態は急展開で、なんとオーディンの寿命は尽き欠けており、故郷は場所じゃない、人じゃよ……そしてマズイことに、わしが死ぬと、かつて封印したわしの第1子、つまりお前たちのお姉さん、凶暴なヘラが復活しちゃうのじゃよ……と言い残してオーディンは存在が消滅してしまう。おいィ! 無責任すぎじゃないすか! オーディン様! というわけで、オーディンの姿が消えるとすぐに、ヘラ様が降臨。バトルが始まる! のだが、ヘラ様は超強い! ムジョルニア破壊もこのシークエンスで、つまり地球での戦闘で起こったことです。予告と全然背景が違って驚いた。で、こりゃマズイ、とあせった愚弟LOKIは、戦闘のさなか、アスガルドへの帰還を要請、THOR様、LOKI、ヘラ様の3人はアスガルド召還の光に包まれ、アスガルドへ引っ張られるのだが、その中でも戦闘は続いており、LOKIが光の道の外に吹っ飛ばされ、そしてついにTHOR様も同様に吹っ飛ばされ、ヘラ様だけがアスガルド帰還を果たしてしまう。ヘラ様は、アスガルドにいるとますます無敵パワーを発揮できる体質で、なんとTHORの盟友であるウォリアーズ・スリーもごくあっさり殺され、アスガルドに君臨するのであった。一方、どこかへ吹っ飛ばされたTHOR様とLOKIは……てな展開であります。はーー、全然軽くまとめられなかったわ。
 というわけで、THOR様は惑星サカールへ吹っ飛ばされ、現地にいたアスガルト人のヴァリュキュリーに捕縛され、奴隷戦士としてサカールを治めるグランドマスターに売り飛ばされる。そして自由を得るには、闘技場で行われる試合に勝たなくてはならない。しかもどうやら現チャンピオンはおっそろしく強いらしい。上等だ、戦ってやるぜ! と気合十分なTHOR様の前に現れた、現チャンピオンこそ、盟友HULKであった―――てなお話です。
 まあ、とにかく以上のような、かなりとんでもないお話で、面白いけれどとにかくギャグがしつこく、どうも狙いすぎというか、全くこれまでとは作風の違う異色作であった。なんか……いろいろ今までのことを無理矢理無視しているようで、わたしとしてはどうにもコレジャナイ感をぬぐい切れなかったすね。以下、キャラ紹介を軽くやってみます。
 ◆THOR:アスガルドの王子様。試合直前に自慢の長髪を宇宙バリカンでバッサリ刈られてしまう。ちなみにその散髪屋さんを演じたのがStan Lee大先生御年94歳。楽しそうなのが印象的。今回のTHOR様はとにかくコメディキャラで、ツッコミ担当。演じたChris Hemsworth氏も大いにコメディセンスのあるお方なので、実際とても笑えるんだけど……まあ、いいんすかねえ、あれで。しかし後半の、真の力に目覚める雷光バリバリのTHOR様はカッコ良かった! しかし、ムジョルニアを失ってしまったTHOR様は、次の『Avengers:Infinity War』では大苦戦しちゃうだろうな……完全に故郷を失った宇宙難民になってしまい、地球はアスガルド人を受け入れることができるのでしょうか……。なお、地球の恋人ジェーンとは、どうやら完全に別れたようで、それもモブキャラのセリフでごくあっさり流されました。THOR様曰く「振られたんじゃねえ、お互いに振ったんだ」だそうです。いっそ、「彼女(を演じてるNatalie Potman)とはスケジュールが合わないんだよ!」と現実の理由を言ってくれた方が笑えたのに。
 ◆LOKI:宇宙一のデキない弟。今回はやけにTHOR様と仲良し。そしてボケ担当として笑わせてくれる。あんたも大丈夫なのかね……あんたを地球でブラックリストに入れてるのは何もDr.だけじゃないと思うのだが……ラスト、「地球はわたしを受け入れてくれるだろうか……」「俺に任せとけ!」という謎の兄弟愛は美しいけれど、そんなに甘くないぞ! 演じたTom Hiddleston氏もなんだか楽しげに演じられていたのが印象的。
 ◆Dr.Strange:今回チョイ役として出演。しかし相当成長している様子で、ソーサラー・スープリームとしての腕は格段に上がっている様子でした。どうも魔法の腕は既にLOKIをしのぐほど、の模様。Benedict Cumberbatch氏による偉そうなキャラは健在。
 ◆Odin:オーディン様はどういう理屈かよくわからなかったけど本作で寿命が尽きてしまった。しかし……第1子ヘラ様のことを丸投げで消えてしまうなんて……ちょっと神様としてどうかと思う。演じたSir Anthony Hopkins氏は今回コメディっぽさは一切なく、静かに消えていきましたな。もうチョイ、ちゃんと引継ぎした方がいいと思うの……。
 ◆HULK:結局なぜサカールにいたのか、わたしには良くわからんです。そしてHULK状態でもしゃべれるというか一定の理性を保っていられるのにも驚き。バナー博士状態に戻ってからは、クイン・ジェットに残されていたトニーの服をいやいや着るなど、この方もコメディ成分がかなり増量されていました。わたし的に一番笑えてしまったのは、トニーのパンツ(ズボン)がピタピタ過ぎて、常に股間のポジションを気にしてモジモジしている下ネタ系ギャグで、バナー博士のイメージ崩壊でありました。それにしてもバナー博士、あなた、結局『Ultron』事件の後で何がしたかったんすか? 単に隠棲したかっただけなの? ガキか!
 ◆HELA:オーディン様の第1子であり、THOR様の超凶暴なお姉さまだという事は全然知らなかった。とにかく演じたCate Blanshett様がおっそろしく美しい! まさしく女神! そして、髪をかき上げるしぐさが超セクシー! 長い黒髪をかき上げると、あのトゲトゲヘルメットに変化するシーンにわたしは大興奮。実際最高でした。本作1本で退場させてしまうのはもったいない……けど、再登場は無理かな……どうでしょうか。Cate様は本当に楽しそうに演じてましたなあ。
 ◆VALKYRIE:はっきり言って強いんだか弱いんだかよくわからない女戦士。元々オーディン様直属の女戦士部隊の総称で、かつてヘラ様に完敗して一人生き残ったのが彼女。彼女自身の個人名があるのか良くわからなかった。強そうにも見えないし、一応活躍はするけど、わたしとしてはほぼ空気。演じたのはTessa Topson嬢で、かなりイメージは違うけれど、『CREED』においてアポロJrことアドニス君の彼女を演じた方ですな。
 ◆HEIMDALL:アスガルドの門番でおなじみのヘイムダル。そもそもこの人はなんで職場放棄していたのか良くわからない。LOKIがODINに成りすましていた時に解任されたのかな? でもこの人スーパー千里眼の持ち主なので、なりすましを見抜いていただろうに……逃げるならあの刀を持って逃げていれば……この人が門番をきっちり務めていれば、ヘラ様のアスガルド帰還を防げたような気がしてならない。演じたIdris Elba氏は全く笑いを取りにいかない真面目演技でした。
 ◆GRAND MASTER:惑星サカールの統治者。原作的には無類のゲーム好きで、『GUARDIANS』に出てきたコレクターの兄弟。演じたのはベテランJeff Goldblum氏。この方は元々いつも笑わせるちょっとしたギャグ担当なので、ある意味いつも通りの芝居ぶりでしたな。

 というわけで。この『THOR:RAGNAROK』という作品はかなりいつもと違う作風で、MCU的にも位置づけが微妙な作品だったわけだが、恒例のおまけ映像で描かれたのは、おそらくはMCU的には次の『Infinity War』へつながるであろうワンシーンであった。アスガルド人を連れて難民として地球へ向かう宇宙船。THOR様とLOKIの、地球に行けば何とかなるさ的会話は、突然宇宙船を覆う影で遮られる。映像が引きになると、THOR様たちの宇宙船の上に、巨大な宇宙船が……というおまけ映像であった。わたしにはこの、謎の巨大宇宙船が何者か良くわからなかったが、おそらくは『GURDIANS』関連の宇宙海賊の船かなにかだろう。こうしてTHOR様はガーディアンズのみんなと出会い、『Infinity War』につながっていくんでしょうな、きっと。また、おまけ映像は最後の最後にももう一つあって、そこでは散々な目に遭ったGRAND MASTERのその後が描かれるのだが、ま、これは全く重要ではないと思うので、流していいです。
 それより気になるのは、アスガルドが滅亡してしまった結果、「オーディンの武器庫」に保管してあった「コズミック・キューブ」は一体どうなってしまったんだろうか? という点であろう。劇中では、どうもLOKIがまた悪さを企んで、こっそり持っているようにも思えたが……どうなんでしょうなあ? 確実に『Infinity War』ではキーアイテムの一つになるはずなので、行方が大変気にかかるところであろう。
 MCUの次回作は、来年GW公開の『Infinity War』の前に、日本では来年3月に公開の『BLACK PANTHER』を挟むことになっている。『BLACK PANTHER』と言えば、『CIVIL WAR』の結果、現在国際指名手配犯になっているはずのCAPたちをこっそり匿ってはずで、今のところの予告などではCAPたちが登場するとは一切描かれていないが、本当にCAPたちは出てこないのかな……時系列的に『CIVIL WAR』より前の出来事を描くならそれでもいいけど、そうでないなら、不自然だよなあ……。でもまあ、とにかく我々としてはドキドキワクワクしながら待つのが正しいのでしょうな。わたしも非常に待ち遠しく思います!

 というわけで、もはや収拾がつかないのでぶった切りで結論。
 超期待したMCU最新作『THOR:RAGNAROK』をさっそく観てきたわけだが、実のところMCU的にはかなり微妙な立ち位置の作品で、内容的には非常にコメディ色の強い異色作、であった。ほぼ日本とUS本国とは同時公開にしてくれたのはとてもうれしく、US本国ではどうやら上々の滑り出しのようだ。まあ、US本国ではこういう笑える映画は人気が出るでしょうな。わたしの前の列に座っていた白人のおっさんはもうずっと一人で爆笑していたし。わたしも、つい笑ってしまったのも事実だ。でもなあ……これで良かったのかなあ……ムジョルニアはどうするのだろうか……いくら真の力に目覚めたと言っても、ムジョルニアなしでTHOR様が戦い抜けるとは思えないし……あああ……くそう、早く『Infinity War』が観たいですなあ! その思いが強まった作品でありました。あ、その前に『BLACK PANTHER]』ですな。そちらも超楽しみです! 以上。

↓ 実は『BLACkPANTHER』は原作を読んでません。ので、かなりにわか知識です。

 いやー、最高でした。今年2017年暫定ナンバーワンです。
 今日からいよいよ公開となった、MCU最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』を観てきたわたしが、真っ先に思った感想である。もはやMCUってなんぞ? という方はいないと思うので、説明しない。.現在MCUはPhase-3と呼ばれる第3段階に入っている。去年2016年にわたしが劇場で観た映画ナンバーワン作品である『CIVIL WAR:CAPTAIN AMERICA』から始まったこのPhase-3は、その次に公開された『DOCTOR STRANGE』、そして先般公開された『GUARDIANS OF GALAXY VOL.2』』を経て、本作が第4作目となる。先に言っておくと、次は11月3日公開の『THOR: RAGNAROK』、そして来年2月ごろUS公開予定の『BLACK PANTHER』、そして来年GWに公開予定の『AVENGERS:INFINITY WAR』に至る道がすでに公表されている。どの作品も、とにかくわたしは楽しみであり、今からもうわくわくしているわけで、まずは今日公開の『スパイディ』の素晴らしい出来の良さに、わたしはもう、MCUの成功は疑う余地はあるまい、とその確信を深めたわけである。

 (※追記:ちなみに上記予告にある、IRONMANとスパイディが揃って飛んでいる印象的なシーンは本編になかったす。カットされたのか?と思いきや、予告専用の映像なんですって。へえ~)
 えーと、何から書こうかな……今回わたしが一番これはすごい、と思ったのは、やはり脚本だ。つまりそもそものお話が実に興味深くて面白いのだ。そして我々観客をえっ!と思われせるような見事な展開で、はっきり言って上映時間2時間13分は若干長いけれど、むしろわたしは2時間半ぐらいあったのかな、と思うぐらい内容が分厚くて、逆にちょっとびっくりしたぐらいだ。たとえば、『CIVIL WAR』は2時間27分の上映時間をまったく感じさせない素晴らしい脚本だったが、本作のように、実際より長く感じるというのは、わたしとしてはかなり珍しいことだと思う。そういう映画はえてして退屈を感じてしまったがゆえに長く感じるものだと思うが、どういうわけかそんなことはなく、最後まで本当に楽しめる作品であった。
 とにかくわたしは今、興奮しているので、思いついた順に、脚本の素晴らしさやキャストについて箇条書きで書きなぐって行こうと思う。もちろん、ネタバレ満載なので、まだ観ていない人は今すぐ読むのをやめた方がいいと思います。
 ◆完全にMCU作品である。それすなわち、この作品単品ではダメ!
 まあ、この作品だけを観ても十分楽しめるとは思うが、実際それじゃあ全然ダメ、なのは、MCUを愛する人なら同意してもらえると思う。完全に『CIVIL WAR』の続編であり、これまでのMCUの流れを知らないと本作をきちんと楽しめないと思う。
 ◆SPIDER-MANことピーター・パーカーはなぜ戦うのか?
 前知識としてのポイントは2つあって、まず一つは、『CIVIL WAR』からMCUに登場したスパイディの、戦う動機についてだ。このことを知らないで本作を観ると、かなりピーターのゆとりKIDSぶりにイラつく可能性もあると思う。確かにSam Raimi監督版とはかなり性格も違うし、非リア充だけど何とも明るく元気な少年として描かれていて、本作のピーターは、そもそもの原作の性格に最も近いと言われている。わたしもその意見に賛成だ。そう、SPIDER-MANは、そもそもはガキなのである。だからゆとりでいいのだが、本作ではピーターの戦う動機がほぼ触れられていない。おまけに言うと、過去のスパイディ映画で描かれたような、蜘蛛に噛まれて、スーパーパワーを得たという誕生秘話も完全にカットされており、本作でちょろっと、主人公ピーターが親友のデブオタに「いやー、蜘蛛に噛まれてこうなったんだよ」の一言で終了である。
 しかし、なぜスパイディは戦うのか、そしてなぜ、IRONMANことトニー・スタークは、ピーターを仲間にしようと思ったか。それは前作『CIVIL WAR』で明確にされている。ピーターは、『CIVIL WAR』の最中に突然家にやってきたトニーに言う。「自分に力があるのに、何もしないでいて、それで良くないことが起きたら、なんか自分のせいじゃないかって気がしちゃうんだ」。トニーはそう語るピーターの、少年としての真っ直ぐな正義感に感心し、このガキなら、ともに戦える、と考えるわけである。本作では、ピータを仲間に入れることをみんなに反対された、とトニーは言っていたが、いわば、IRONMANとして活動を始めた初期のころの自分を見る思いだったのではないかとわたしは感じている。これは、名作といわれるSam Raimi監督の『SPIDER-MAN』第1作で語られた「大いなる力には大いなる責任がある」というベンおじさんの名言と同じ考え方だろう。ピーターは、突然身に着けてしまったスーパーパワーを持て余している、けれど、なんとかそれを世の中の役に立てたい、とうずうずしているのだ。そして憧れのトニーに、認めてもらいたくてたまらないのである。
 わたしが本作でこの描き方は素晴らしい!と絶賛したいのは、Sam Raimi版のピーターが、非常に根暗で非モテ人種で、超リア充の親友に対して嫉妬すら抱える少年であり、ある意味一番の動機として大好きなMJへの恋愛感情が物語の軸にあったのに対し、本作ではそういった恋愛感情は脇に置かれ、あくまでメインは「世の中の役に立ちたい」という、子供らしい真面目さ、に置かれている点だ。
 デブオタの親友も、スーツに組み込まれたAIも、さあピーター、今こそ憧れの女の子に自分がSPIDER-MANであることを打ち明けるんだ! と何度か背中を押すのに、それは違うだろ、と思いとどまる。そしてなんと、ラストでトニーが用意してくれた記者会見の場を、自らの意思できっちり断るのだ! 原作の『CIVIL WAR』では、トニーとともに会見に臨み、衆人環視の中でマスクを脱ぎ、自分がSPIDER-MANであることを全世界に公表するのだが(→身元を明かした結果、メイおばさんが巻き込まれてヤバいことになり、後にピーターはトニー派を離脱し、CAP派に転向する)、まさに本作はその逆になっている。本作のピーターは、オレがSPIDER-MANだ!と世界に宣言したい、とは考えないのである。MCUの記念すべき第1作である、2008年の『IRONMAN』のラストシーンを思い出してほしい。「わたしがIRONMANだ!」と宣言したあのトニーの姿を! トニーとは正反対の決断をしたピーター。わたしはこの展開に結構感動すらしてしまったほどだ。これらのことは、やっぱりこれまでのMCUを観ていないと、ちゃんと理解できないんじゃないかな、という気がするのである。
 ◆トニー・スタークのこれまでの行動
 もう一つ、前知識として知っておかないと、本作を楽しめない重要なポイントは、トニー・スタークの心中である。トニーは、イケメン&スーパーリッチ&天才科学者、という地球上で最強のリア充野郎である。しかし、その心中は実はかなり真面目な男で、自分の作った武器が横流しされてテロに使われていることを知り、おまけに自分も殺されそうになった経験から猛反省し、まずは武器商売をやめ、それまで製造してきた武器を根絶するために、IRONMANスーツを着用して戦いを始めた男だ。そしてAvengersとして宇宙人との戦いを経験し、撃退したはいいけれどNYCは壊滅。そしてさらなる脅威に対抗しようとして、うっかりULTRONを作ってしまい、撃破したはいいけれど、またしても街はボロボロ、遺族になじられてもうしょんぼりな状態であった。そこで『CIVIL WAR』事件が起き、国連管理下に置かれることもやむなし、と思い至るが、CAPとの大げんかの末、確かに、CAPの言う通り、国連管理下でも対応できないこともあるかもしれない、けど、母親を殺されたことは話が別だ!と大激怒、CAPとは分かり合えず決別してしまう。
 わたしは完全にトニー派なので、CAPの考えは傲慢かつわがままで実にけしからんと今でも思っているし、CAPの腰ぎんちゃくに過ぎないファルコンやホークアイがトニーを生意気に批判するシーンには心底頭に来たが(ウィンターソルジャーことバッキーは一番ちゃんと反省してるので許すけど、ホークアイはワンダを巻き込んだ張本人で許せない!)、重要なのはトニーが常に自分をも疑って、客観的かつ理論的に、きちんと考えて行動する男であり、自らの行動の過ちをきちんと認められる大人の男だという点だ。
 本作は、そんなトニーの性格を知らないと、まったく話が通じない可能性があるとわたしは思う。それは、トニーのこれまでの行動が、今回の悪党であるヴァルチャーを生んでしまったからだ。そう、またしても、トニーが良かれと思ってとった行動が裏目に出てしまったのである。
 ◆ヴァルチャー誕生の説得力が素晴らしい!
 トニーが、2012年に地球にやってきた宇宙人を命がけで撃退した顛末は、『AVENGERS』第1作で描かれた通りであるが、その戦いでNYCがボロボロになったのは、MCUを見続けている我々にはもうお馴染みであろう。しかし我々日本人は、数々の災害や戦争に遭っても、時間をかけて街を再建してきたわけで、NYCもきっと立ち直れる、と直感的に理解できると思うが、問題は、あの巨大な宇宙船(宇宙生物?)とか、兵士の残骸とか、あれはいったいどうするんだ? という点についてはちょっと想像ができないでいた。が、本作では、その点がきっちり描かれている。
 まあ、普通に考えて、瓦礫と化した建物と同様に、バラして運んで、と地道に片づけていくしかないわけだが、相当な物量であることは想像に難くない。そして、そのがれき撤去だけで相当な雇用が生まれ、不謹慎な言い方かもしれないが、経済が回るのは確かなことだろう。本作の悪役であるヴァルチャーは、元々そのがれき撤去業を地元で営む真面目な家族思いの社長さんだ。えらいことになったNYCで、従業員を増やし、トラックも新たに買って、NYC復興のために頑張ろうぜ!とみんなにはっぱをかけていた矢先に、トニーが政府と合弁で設立した「ダメージコントロール局」が活動を開始し、がれき撤去の「仕事」が一切奪われてしまう展開になる。トニーは、間違いなく金のためではなく、単純に宇宙人たちのテクノロジーが散らばっているがれきを危険だと思って、そうしたわけだが(おまけに、もう街に迷惑はかけられん、とマンハッタンに建つあのAvengersビルも手放し、北部の田舎に引っ越す決断もする)、要するにまた、トニーの善意が裏目に出てしまったわけだ。「畜生、あいつ、自分で壊しといて自分で稼ぐのかよ、オイシイわけだぜ!」というような「仕事」を奪われたヴァルチャーのセリフに、わたしは実に見事な脚本だと思った。確かにその通りではある。
 こういった点が、トニーの弱点で、いかに天才で大富豪とはいえ、結局一個人の力というものが、現場の末端まで行き届かないのは残念ながら事実であろう(それが分かっているからこそ、トニーはCAPの主張する個の力に頼る考えに同意できない)。しかし一方で、組織の端末の人間は、「上に命じられたこと」しかやらないお役所仕事のボンクラばかりであり、作業現場に乗り込んできた偉そうなボンクラも、「文句があるなら責任者に言え」としか言わないお役所対応である(そしてだからこそ、CAPは組織を信頼できないというジレンマが発生する)。バルチャーは「そりゃねえよ!その責任者って誰だよちくしょう!」と悲痛な叫びをあげても答える人間はいない。結果、ヴァルチャーはトニーに対し、この恨み晴らさでおくべきか! とメラメラと怒りの炎を燃やすことになる。何という皮肉! そして何という見事な説得力! 素晴らしいとわたしは大絶賛したい。トニー派のわたしとしては、ここで、なんとかトニー本人にヴァルチャーの声が届いたなら、絶対にトニーは、じゃあ、ダメージコントロール局の仕事の外注先に御社も入れましょう、と判断したはずだと思う。結局、「誰かがやらなくてはならないこと」であるのは間違いないのだから。トニーはそのように民間に金が回ることをむしろ歓迎したはずだと思う。そういった、ヴァルチャーがなんとかトニー本人に会って話をしようとした、けどダメだった、という流れがきちんと描かれていたらもっともっと良かったのに、という気もしなくないが、まあ、そこまですると、ちょっと重すぎるというか、この作品が『IRONMAN4』になっちゃうか。この映画の主人公はあくまでスパイディだしな……。でも、そういったシーンがあっても良かったと思う。
 結局ヴァルチャーは、がれきの中の宇宙人技術をこっそりと持ち出し、せっせと武器開発にいそしみ、悪党になってしまったわけで、実にリアルで、ありうる展開だとわたしは大絶賛したい。
 ◆脚本的にお見事!と思わず観ていて「えっ!? あっ!!!」と驚いた点
 今回、わたしは観ていて、上記以外にもいくつか、主にキャラクターの正体(?)が判明するシーンで思わず声が出ちゃうぐらいびっくりした点があったので、4つほど紹介しておこう。これは本当に完全ネタバレなので、未見の方は絶対に読まない方がいいと思う。知ってたら、わたしのように「えっ!?」と驚けないよ。そしてそれは超もったいないと思います。
 1)お父さんは実は……
 劇中では、ピーターはとある女子にぞっこんで、いいなあ、あの子可愛いなあ、おっと、ずっと見てたらオレ変態だよ、あっぶねえ!とか実に男子高校生らしい日常を送っているのだが、なんとその女子のお父さんこそ……であった。これは本当に見事でしたねえ! わたしは全然予想しておらず、超びっくりでした。どうだろう、何か伏線はあったかなあ? 何もなくかなり突然だったような気がするけど、単にわたしが見逃してバカだっただけかもしれないが、とにかく実に効果的なタイミングで効果的なつながりであったと思う。ホントにお見事!とわたしは大絶賛したい。これほど、あっ! と思ったのは、かの名作『The Silence of the Lambs』(邦題:羊たちの沈黙)のクライマックスで、FBIチームが犯人の家に乗り込む、とそこはもぬけの殻、実は主人公クラリスが訪れた家の方こそ、犯人の家だった!のあの演出以来かもしれない。いや、それは褒めすぎかな。まあ、それぐらいわたしはお見事だと思いました。
 2)えっ!君がまさか……!
 今回、ピーターの身近に、何かと変なことばかり言うちょっと変わり者でひねくれもの的な、とある女子がいる。どうも、ピーターをいつも見ていて、実は君はピーターが好きなんでしょ? とわたしは思いながら見ていたのだが、なんとラスト近くで、彼女のとあるニックネームが明らかになるのだが……そのニックネームは、Sam Raimi版を観ている人なら絶対に知っている彼女の名前でした。これは驚いたすねえ! まあ、コアな原作ファンなら最初からわかってたのかな? そういうことだったのね!? とわたしは驚き、ニヤニヤするしかなかったす。ホントお見事!とわたしは大絶賛したい。
 3)トニーよ、いつの間に!?
 トニーは、『IRONMAN3』事件でIRONMAN引退宣言をしたわけですが、まあ、全然引退していないわけで、その結果、愛するペッパーと喧嘩・別居状態にある、のは、『Ultron』事件や『CIVIL WAR』でも描かれた通り、MCUファンにはお馴染みであろう。しかし! 朗報です! ペッパー is Back!ですよ!! ほんのちょいしか出てきませんが、どこで出てくるかは観てのお楽しみってことでお願いします。いやあ、トニー、良かったね! なかなか粋な脚本的はからいだとわたしはうれしく思いました。
 4)ピーターーーー!!! うしろうしろ!!
 もう完全に志村けん的コメディのお約束展開ですが、一番ラストのシーンは、家に帰ってきたピーターが、一度は取り上げられてしまったスパイダー・スーツが紙袋に入れられてベッドに置いてあるのを発見し、え、いいの?やった―――!と大喜びで再びスーツを身にまとうシーンであった。けど、ピーター、お前、ちゃんとドア閉めとかないと……つか、うしろうしろ―――www という笑わせてくれるもので、実にハッピーなエンディングだったと思う。これはお見事でしたねえ! ホントに素晴らしい脚本でありましたよ。このエンディングはぜひ劇場でお楽しみくださいw わたしとしては、まったく何の変哲もない紙袋に無造作に入れられていて、トニーから直筆で「君のものだ This suite belongs to you」的なメッセージが紙袋に直接書いてあるのが実にトニーっぽくて粋でカッコイイと思いました。
 ◆トニー謹製「新スパイダー・スーツ」に秘められた、オタク向けニヤニヤポイント。
 1)超多機能!であるのと同時に……
 今回のトニー謹製「新スパイダー・スーツ」は、『CIVIL WAR』でプレゼントしたものなのだが、実はまだ「トレーニング・モード」というEASY設定にプログラムされて機能が制限されており、おまけにGPSでスーツがどこにあるか、トニーに監視されている設定になっていた。実は原作の『CIVIL WAR』では、その監視されていることが重要なポイントで、そのことでピーターはトニーへの信頼を失うきっかけにもなってしまうわけで、本作では、デブオタの親友とスーツをいじっていて、その位置探知機能を切断し、さらにモード設定も勝手にプログラムをハックして、ロックを解除しフル機能実行可能なモードに変更してしまうシーンがある。この変化はとても観ていて面白く、また、原作オタクもニヤリとするシーンであろう。ちなみに、ラストの記者会見に臨むピーターのために、トニーはさらに新型スーツをプレゼントしようとするのだが、それがまさしく原作の『CIVIL WAR』で出てくる通称「アイアン・スパイダーマン・スーツ」のデザインで、ここも原作オタクのニヤリポイントであろうと思います。
 2)そしてスーツのプログラムAIがしゃべるように変化するのだが……
 ピーターがスーツのモードを勝手に改変し、その結果スーツがIRONMANスーツの現在のフライディのように、女性の声でしゃべるようになり、ピーターは、スーツレディ、カレン、と名付けて仲良くおしゃべりをするようになるのだが、わたしは観ながら、果たして、このスパイダー・スーツ=カレンの声は誰だろう? とちょっと気になっていた。ので、エンドクレジットを観て、わたしのようなオタクファンは、あっ! と驚き、そういうことね……とニヤリ、としたはずだ。なんと、カレンの声を担当したのはJennifer Connellyさんですよ! なぜ彼女が担当してることでニヤリとできるかというと、彼女の現実世界での旦那は、Paul Bettany氏なんだな。えっ!わからない!? うっそお! 彼は現在のVISIONさん、先代IRONMANスーツの忠実な電脳執事、ジャーヴィスの声の人ですよ。夫婦そろってトニーに仕えてたのね、というわけです、はい。

 あーーーもうすげえ長くなってしまったので、今回わたしが特に気に入った3人のキャストと監督について書いて終わりにしよう。
 ◆Tom Holland君 as 3代目ピーター・パーカーは最高だった!
 いやあ、やっぱりTom君はいいですねえ! 彼は元々、2008年に『BILLY ELIOT』のBroadway版で主人公Billy演じた男なわけで、2週間前に日本版『BILLY』を観たばかりのわたしとしては、なんかBillyが後にこんなに立派に育って活躍している姿を観るとホントうれしいすね。本人も言っている通り、『BILLY』で相当鍛えられたんだろうな。なかなかの肉体美も披露してくれるし、とにかく、元気なピーターはわたしとしては歴代最高だと思う。ちなみに、一緒に観に行った元部下のA嬢は、やっぱり初代のToby Maguire氏の方が良かったと評していた。友達もいないしイケてないし、というしょんぼり野郎がヒーローになる、という展開の方がよかったそうで、まあ、女子目線からすると今回のピーターはちょっと軽いというかチャラすぎ、と感じるのかもしれない。その辺は、いろいろな意見があってしかるべきだろうと思うが、わたしとしては最高に良かったと思う。
 ◆デブオタだっていいんだよ。だってにんげんだもの!
 今回、やけに光るのが、ピーターの親友のデブオタ君ことネッドを演じたJacob Batalon君だろう。いいすねえ、彼は! ネッドなしにピーターの活躍はあり得なかったし、ネッドがいなければピーターの高校生活もまるで暗いものになってしまったかもしれないわけで、何気に重要な役をきわめてさりげなく、巧みに演じてくれました。彼の存在が本作を明るくしてくれているといっても過言じゃあないでしょうな。もう大活躍で、今後のシリーズにもぜひ、登場してもらいたいと思います。
 ◆蝙蝠男~鳥男~そして禿鷹男への進化を遂げたMichael Keaton氏が素晴らしい
 いやあ、やっぱり本作での悪役、ヴァルチャー(禿鷹)を演じたMichael Keaton氏は良かったすねえ! まあ、キャラについてはもう前述の通りなのだが、その正体を明かしてからのピーターに対する態度がやけに恐ろしくて素晴らしかった。さすがは元BATMANであり、BIRDMANとしてオスカー候補になっただけはある、貫禄と威圧感たっぷりのおっかない大人を熱演されていました。なお、今回のおまけ映像は、刑務所に入れられた彼が、とある男に脅されるシーンで、その脅す男が次回の悪役なのだろうと思われます。サソリのタトゥーの男で、原作に詳しくないわたしは何者か実は良く分からなかったです。まあ、MCU的に今後のAvengersにつながるような大物悪役、ではないと思います。たぶん。
 ◆監督はあの『COP CAR』のJohn Watts氏!
 去年わたしはWOWOWで『COP CAR』を観て、その抜群の演出センスに相当驚いたのだが、今回も様々な驚きをわたしにもたらしてくれた演出テクは、とても上質だったと思う。脚本にもクレジットされているWatts監督なので、まだ監督作品3作目というキャリアとしては全然浅い男だけれど、今後が大変楽しみな才能だと思います。

 というわけで、まだまだ言いたいことはあるけど、もう長すぎなので結論。
 やっぱり、MCUは最高である! その最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』は期待を裏切らない最高の出来であり、わたしとしては大満足であった。しかし、わたしのこの興奮と満足感は、あくまでMCUを全て観てきており、MCU全体を愛しているが故、であるわけで、本作も、単独ではなく、MCUの一部として観るのがやっぱり正しいように思う。よって、言いたいことはただ一つ。MCU全作を観てくれ! そしてこの『SPIDER-MAN:Home Coming』を楽しんでほしい。ホント最高でした。以上。

↓ 次はコイツですよ! 準備はいいですか!? 一応、劇場でもこの予告編が流れてました。Kate Blanchett様が超COOLで最高です!

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