というわけで、月曜日は毎週恒例の週末興行収入データです。
 この週末は、いよいよ『007』が本公開となって、ま、当然の1位でありました。今週はわたしは映画館の前を通りがかっただけで何も観ていないので、どんな塩梅だったか分からないけれど、劇場前はそれほど混んではいなかったような気がしますが、興行としてはどうだったのでしょうか。

 というわけで、興行通信社の大本営発表です。
 1位:『007 スペクター』は、 金曜日を含めた3日間の興行で4.7億だったそうです。で、先週の先行上映の3日間分が3.8億だったそうなので、合計で8.55億ってとこですか。さすがのスタートです。前作『Skyfall』は、公開土日の2日間で4.5億スタートだったので、どうなんだろう、今回の3日間合計と同じくらいという事は、今回の方がちょっと落ちると見るべきか、それとも、前作の2週目が2.7億弱と落ちたことを思えば今回の方がずっといいと解釈すべきか、条件が違うので、微妙に比較できないけれど、まあ、とりあえず30億ぐらいは行きそうな勢い、としておきます。ちなみに、前作『Skyfall』は最終27.5億でした。もっと数字が伸びることを祈りますが、果たして2週間後の『STAR WARS』までにどのくらい貯金できるかでしょうかね。あんまり関係ないか。
 2位: 『杉原千畝』が公開初週末1.45億。数字的にはちょっと弱いか。ご存知「日本のシンドラー」と言われる杉原千畝さんの生涯を描く実話ベースの物語。わたしは唐沢さんを「眼力王」と呼んでその芝居ぶりを常に賞賛しているのだが、予告からしてもう目が血走ってるのがすごいw

 3位:『I LOVE スヌーピー The Peanuts Movie』の公開初週末1.53億と金額順では2位。まあ、ちびっ子客メインなので単価が安いはずなのだが、3Dだからかな? 逆に言うと、『杉原千畝』はシニアばっかりで単価が安かったという事かも。
 4位:『海難1890』の公開初週末は1.50億。初登場。数字的にはもうチョイほしかったところか。この作品、予告を観るとちょっと面白そうだ。原作となる小説などはないようだから、実話ベースとはいえオリジナル脚本だろう(たぶん)。1985年のイラン・イラク戦争時にトルコ政府が日本人救出のために救援機を飛ばしてくれた事件と、1890年の和歌山県串本で起きたトルコの軍艦遭難救助事件を描いているらしい。これは応援のためにも観たいな……。
 5位:『映画 ハイ・スピード Free! Starting Days』が公開初週末0.95億。人気を博した京都アニメーション謹製TVアニメ『Free』の前日譚的な話。興味なし。まあ最終5億はきついか?
 6位:『リトルプリンス 星の王子さまと私』は累計数字4.2億ほど。善戦と言っていいのでしょうな。
 7位:『ガールズ&パンツァー劇場版』。興味なし。累計で4.3億ほど。十分、立派です。
 8位:『レインツリーの国』は累計で3.7億と、『県庁』よりやや下のペース。うーん、もうチョイほしい。クリスマスにカップルで観ていただきたいものだ。
 9位:『グラスホッパー』は累計9.1億。あとチョイで『ゴールデンスランバー』を抜けるのに!
 10位:『劇場版MOZU』は累計11.4億。やっぱり秋以降の東宝作品は15億が壁ですのう……もうチョイ行けるはずなのだが……。なお、『俺物語!!』はまだ累計8億台と10億届かず。非常に厳しい状況。
 (※12/09追記:6位以下の数字を更新しました)

  とまあ、数字的には『007』の圧勝となった12月の1週目である。今年は、結局年間チャンピオンは『ジュラシック・ワールド』になるのかな? 以前も書いたことがありますが、基本的に毎年1月の最終火曜日に映連が発表する年間ランキングは、前年の12月公開から今年の11月公開まで、で集計するので、去年の12月に大ヒットした『ベイマックス』や『妖怪ウォッチ』も、2015年の映連ランキングに出てきます。
 なのでたぶん、2015年の映画興行ランキングを並べてみると、こんな感じだと思う。
 まず1位だが、『ベイマックス』よりも『ジュラシック・ワールド』の方が最終的に伸びたのではなかろうか? いや、どうでしょう、サーセン、最終の細かい数字が手元にないや……。ま、1位2位はこの両作品で、ともに90億を超えているはずだと思う。
 この2TOPの後に、『妖怪ウォッチ』が3位、80億弱? ぐらいで続き、その下は、4月の『シンデレラ』と7月の『バケモノの子』が60億弱ぐらいで並んで4位5位に来て、たぶん6位7位に共に夏公開だった『ミニオンズ』と『ミッション:インポッシブル』が50億台で並ぶ感じでしょうな。その下、8位9位10位は、木村拓哉さんの『HERO』、『名探偵コナン/業火の向日葵』、『インサイド・ヘッド』あたりが40億台で続くのだと思う。ちょっと最終確定数値は手元にないので微妙だけど、ひょっとしたら10位は『ドラえもん/のび太の宇宙英雄記』かも。
 こうしてみると、意外と2015年は洋画が頑張った年と言えるかもしれない。 う、いや、それはどうかな、過去のデータは映連のWebサイトで閲覧可能なので、興味のある方はそちらをどうぞ。わたしも手元にまとめているのだが、うーん、まあ、去年(の『アナ』抜きの数字)よりはまし、だけど、とりわけいい年、ではないかな。常々疑問に思っているのだが、映画興行市場は、明確な右肩下がりでもなく、かといって、成長市場では決してないのだが、だいたい毎年同じような数字になるのは、一体なぜなのだろう。謎だ。
 その点、出版市場はもう20年以上右肩下がりが続く厳しい市場動向なので、映画の方がちょっとだけマシ、と言っていいかもしれない。まあ、映画の場合、一発ドでかいホームランが出ると、その一発だけで大きく市場の数字に影響する性格があって、例えば去年の『アナ』のような場外ホームランが出ると、数字は全体として伸びたりするので、ちょっと出版市場とは性格が微妙に違う。かつては出版市場も、『ハリーポッター』の新刊が出た年はちょろっと書籍の数字が伸びたりしていたけれど、それでも雑誌の凋落はカバーできなかったしね……。
 はあ、やれやれ。とにかくですね、何度もわたしは書いていますが、皆さん、映画を映画館に観に行きましょう。そして本を本屋さんで買いましょうよ。ね。じゃないと、本当に、産業として衰退してしまうので。大げさじゃなく、本当になくなってしまうよ。皆さんがお金を出さないと。

 というわけで、結論。
 『007』はやはり強かった。この後、いよいよ2週間後には『STAR WARS』がやって来る。邦画では今年も『妖怪ウォッチ』が、またドでかい数字をかっ飛ばすかもしれない。わたしとしては、数字があまり行きそうもない『CREED』を応援したいが、もしスタローン隊長がアカデミー助演男優賞を獲ったら、オレ本当にうれしいな。それと、今回、Disney傘下となった『STAR WARS』が、如何にしてちびっ子客を取り込もうとするか、そのプロモーションにも注目です。いずれにせよ、市場が活況を呈して盛り上がるのは大変喜ばしいことでありますね。以上。

↓ 皆さん、予習はばっちりですか? 『STAR WARS』はもう当然として、あえてこちらの予習を強くお勧めします。わたしは全作大好き。
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2015-10-07