もう単行本で100巻を超えている漫画は、日本に何作品ぐらいあるのだろう?
 ジャンプの『こち亀』、あるいは『ゴルゴ13』。他にどんなのがあるのか、どうやって調べたらいいかもちょっとすぐには思いつかないな……。 あれっ!? すげえ、さすがインターネッツという銀河には何でも情報が転がってるものだなあ。今、Google検索で、「漫画 100巻」というワードで検索してみたら、ごくあっさり、「100巻以上刊行している漫画作品」というWikipediaの記事を見つけた。この情報が正しいのかどうか、確かめるすべはないけれど、これよると、どうやら13作品あるみたいですな。そのうち現在も連載している作品が7作品だそうです。詳しくは、リンク先を見てみてください。 
  というわけで、今週わたしが買った漫画は、週刊少年マガジンに連載中の森川ジョージ先生による『はじめの一歩』第114巻であります。いや、実は114巻と一緒に、前巻の113巻も買いました。もうわたしはマガジンを毎週買っていないので、単行本が出たのをすっかり忘れておりました。森川先生、ほんとダメなファンですみません。


 Wikiによれば、この『はじめの一歩』という漫画は、単行本刊巻数ランク5位、みたいですな。 連載開始が1989年、すなわち平成2年であり、もう27年が経とうとしているわけだが、わたしは非常に『一歩』が好きで、地道にずっと買ってたらこんな巻数になっちゃった、みたいな感じなので、あまりそんなに昔のことのようには思えないっつーか、ま、要するにわたしもすっかり歳を取ったおっさんになっちまったな、というわけである。
 しかも、これは『一歩』を知っている人ならほぼ常識だと思うが、なんと、作中の時間はまだ20世紀、199X年である。これは当たり前と言えば当たり前で、一試合が始まって終わるまでに単行本1冊で収まらないことも普通にあり、スポーツ系の漫画ではよくあることだと思う。熱心なファンの方は、連載開始からの時間軸をまとめている人もいると思うが、面倒だからわたしはもうあきらめてるというか、やってません。そして、今さらこの漫画のこれまでの流れをまとめるつもりもないです。つか、そりゃもう、無理ッショ。

 さて。 この漫画の物語を、講談社の公式サイトの説明からパクって引用&少し付け足しすると、こんなお話である。
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 いじめられっ子だった幕之内一歩はひょんなことからプロボクサーの鷹村さんに出会い、ボクシングに熱中していく。一歩は『強いってどういうことだろう?』という素朴な疑問を抱えながら、持ち前の頑張りで過酷な練習に耐え抜き、強くなっていく。数多の強敵との死闘を勝ち抜き、国内屈指のハードパンチを持つ日本王者となった一歩。その次なる目標は遥かなる世界王者への道! 限りなく熱く純粋な一歩のさらなる挑戦が始まった!!
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 とにかく、今のところ、一歩はもうプロとして25試合経験してるのかな? 13戦目の千堂くんとの戦いで全日本フェザー級王者となって、それまでは1敗だけだったのに、前回の試合、109巻(だったかな?)でとうとう2回目の敗北を喫してしまったわけで、世界戦への挑戦権獲得ならずとなり、現在は復帰戦へのトレーニング中である。ええと、何が言いたいかというと、今回わたしが買った第113巻と114巻では、主人公はリングを見ているだけで、戦っているのは別の人、ってことです。

 まず、113巻では、主人公・幕之内一歩にボクシングの道を教えた鷹村さんの、世界ミドル級タイトルマッチが決着する。すでにJミドルで世界王者になり、さらにミドル級でも世界を獲って2階級制覇している鷹村さんの、WBC・WBA統一戦が描かれていたのだが、112巻ラストで超ピンチで、113巻前半でもこりゃあマズイ、という戦いだったが、最終的には勝利、と相成った。
 そして続く114巻では、鷹村さんの試合後、千堂くんが一つの決断を下し、宮田くんにも決断を迫ると。そして鴨川ジムのみんなも、青木さん、木村さんも次の試合が決まり、気合が高まる中、一歩はやっと前回の敗戦以降イマイチやる気がなかったのが、デンプシーの縦回転に目覚めつつあって、やる気をかなり取り戻す、てなところまでであった。ま、こう書いても、『一歩』を読んだことのない人にはさっぱり分からんと思うけど、分かる人にはわかるだろうからいいの。
 問題は、『一歩』を知っている人でも、もう最近は全然読んでないんだよなー、という人が、わたしの周りにも結構多いことだ。

 それは、二つの要因があって、一つは大変に長い物語であり、自然に脱落してしまった人たち。これはもう、単行本114巻までせっせと買っているわたしの方が珍しかもしれないというレベルの、長大な物語であるわけで、ここまで長いと、どんな作品だって、脱落者は出る。確実に。ま、これは正直どうしようもない。
 しかし、もう一つの要因は深刻である。「最近面白くないんだよなー」「やっぱり一歩はVS千堂戦が頂点でその後はなあ」「オレは宮田くんの試合が流れたところからもう読んでません」みたいに、結構多くの人が途中で「自主退場」してしまっているのだ。要するに物語的な要因である。
 まあ、実際のところこの二つが合わさって、途中で読まなくなる人々がわたしの周りには多いのだが、正直に言うと、わたしもここ数年、惰性で買っていると言えなくもない。わたしが一番、「ええ~……」としょんぼりしてしまうのは、主人公・一歩くんのあまりにグズグズした性格と、各キャラのファイトシーンにおける超人ぶりだ。
 後者については漫画だからまあいいか、実際盛り上がるし、と、納得できれば全然気にならないし、かつてはまったく気にしていなかったが、例えば今回の鷹村さんの世界戦も、超名作と誰もが認める(と思う)、VSブライアン・ホーク戦やVSデビット・イーグル戦とはかなり変わってしまった。今回の相手のリチャード・バイソンは久しぶりにまともに強い・カッコイイ敵キャラだっただけに、最終的な大逆転は、ちょっと正直引っ張りすぎたような気がする。足を怪我するエピソードはいらなかったような気がするし、左フックをまともに喰らってしまう謎も、正直解答は出ていないと思う(今まで、鷹村さんは目に異常があるんじゃないか、というほのめかしが何度もあったが未だ答えは出てない、よね?)。まあ、鷹村さんがカッコ良かったから、わたし的には満足、ではあるけれど。
 なので、わたしとしては、一歩のグズグズぶりが非常に問題だと思う。おそらく、もう10年以上、この漫画のファンは、一歩に対して、次のようなことを思っているんじゃないかと思う。
 ■さっさと宮田くんとケリをつけろ。
 ■さっさと世界戦(勿論相手はリカルド・マルチネス)をやれ。
 ■さっさとクミちゃんとヤれ。
 しかし、一歩は、というか、森川先生は、そこまで描いてくれない。何らかのことが起きて、どれも実現しない。もちろん、幕之内一歩というキャラクターはこういう奴なんです、と言われてしまうとそれまでだが、こういった、読者的なイライラは、もう10年以上溜まっているんじゃなかろうか。

 こういう状況でも、わたしはせっせと単行本を買うことをやめていないわけだが、今回も前巻を買うのを忘れていたように、そんなわたしですら、ややモチベーションが下がり気味なのだ。『はじめの一歩』という作品が、もはやこういった状況にあることを、編集部が気づいていないわけがないと思うのだが、まあ、森川先生に物申せる編集者はもういないんだろうな。実に残念というか、なんだかなあ、という気がしてならない。
 ただ、散々文句めいたことを書いてしまったけれど、確実に言えることは、森川先生の漫画力は、日本最強レベルを現在も維持しているのは間違いないという事だ。絵のクオリティも本当に素晴らしいし、コマ割りというコミック演出テクニックも、日本最高レベルだと思う。漫画としてこれほどレベルの高い作品は、たぶん他に類を見ないとわたしは思っている。また、その最高のクオリティで「週刊連載」してると言う点では、他の追随を許さない日本最強の漫画家の一人だと思う。超人、と言ってもいいのではなかろうか。なので、ずっと応援したいと思ってます。

 というわけで、結論。
 『はじめの一歩』というボクシング漫画の単行本114巻を買った私だが、一体何巻まで続くんだろう……わたしとしては、長いのは別に全然構わないので、やっぱり、もうちょっとメインストーリーの進展があってほしいな、と思うばかりだ。まあ、ひょっとしたら、「げえええ―――ッ!! 80巻のあの話は130巻のための伏線だったのか―――ッ!?」と驚きの展開も当然あり得るので、やっぱりまだまだ、買い続けようと思います。以上。

↓ 漫画力で言えば、この方も日本最強だと思うけど、この人は描いてくれないからなあ……早く続きが出ないかなあ……。