はーーー暑い……そして湿気が不快だ……やっぱり寒い方がわたしは耐えられるのは間違いなかろう。夏はなんというか……酸素が足りないというか……すべての体機能が低下しているような気がする……。
というわけで、昨日に引き続き、Isaac Asimov先生の『FOUNDATION』シリーズ最初の三部作、の3作目『SECOND FOUNDATION』について今日は書こうと思う。
まずは、昨日も書いたおさらいをコピペしておくか。手抜きサーセン。
今から数万年後の遠い未来、「帝国」が1万2千年の長きにわたって広大な銀河を統治していた。が、その長大な歴史は停滞をもたらし、崩壊が迫っていることを一人の男が警告を発する。その男の名は【ハリ・セルダン】。そしてセルダンは、人類の英知たる知識を保管・管理するために、【銀河百科事典第1財団】=【第1ファウンデーション】を、帝国の首都星【トランター】から遠く離れた辺境の星【ターミナス】に築き上げることに成功する(※第1巻時点ではほぼ謎に包まれているが、「セルダンは、銀河の反対側に第2ファウンデーションを設置した」ことも知られている)。その目的は、何もしないと、帝国滅亡後、人類は3万年にわたって無政府状態の闇に陥ることになるが、その3万年の闇を、1千年に縮めるために、ファウンデーションを設立したわけである。セルダンの主張はセルダンが編み出した【心理歴史学】という、統計科学を用いた複雑な方程式によって数学的に導かれたもので、第1巻は、そこから300年にぐらいの間に起きた、3回の重大な【セルダン危機】=ファウンデーションに降りかかる重大なピンチ、を描いたものである。
そして続く第2巻では、冒頭に銀河帝国の滅亡に繋がる事件と最後の皇帝について描かれ、その後、【セルダン・プラン】の唯一の弱点である「イレギュラー」、【ザ・ミュール】と呼ばれるミュータントの出現により、セルダンの予言は初めて外れ、とうとうファウンデーションはミュールに占領・征服されてしまう。そしてミュールに唯一対抗することができる可能性として、第2ファウンデーションの謎を解くために人々は行動するが、その謎が解かれる寸前で、大事件が起きて―――というエンディングであった。
で。本書、第3作目にあたる『SECOND FOUNDATION』は、冒頭のプロローグにおいて、Asimov先生直々に、次のように物語が紹介されている。
「こうして謎の第2ファウンデーションが、みんなの探し求めるゴールとして残った。ミュールは銀河系征服を完遂するために、それを発見しなければならなかった。第1ファウンデーションの生き残りの忠誠心のある者たちは、まさに正反対の理由でそれを発見しなければならなかった。だが、いったいどこにあるのか? それは誰も知らなかった。というわけで、これは第2ファウンデーション探索の物語である」
<第1部:ミュールによる探索>
この第1部で描かれるのは、そのタイトル通りミュールによる【第2ファウンデーション】探索の物語である。第2巻のラストから5年後、第2巻で出てきた【ハン・プリッチャー】がミュールによって探索の命を与えられ、新キャラの【ベイル・チャニス】を引き連れて旅立つのだが、その宇宙船には追跡機が付けられており、ブリッチャーは疑心暗鬼の中で混乱する中、ついにミュールと第2ファウンデーションは対面する―――! という展開になる。そして第2ファウンデーションが告げた、ミュールに対する宣言とは! というのがお話の筋で、構成として特徴的なのは、短い章が次々連なる中で、第2ファウンデーションでの【第1発言者】たちの会議の模様?が交互に挿入されている点である。ラストでこのミュール側の話と第2ファウンデーション側の話が交わる形になっていて、ラストは、えええ―――!! という驚きの展開でした。
主な登場人物と地名をまとめておこう。
【カルガン】:ミュールの本拠星
【タセンダ】:チャニスが怪しい、と目を付けた星系
【ロッセム】:タゼンダに属する冬の惑星。1年のうち9カ月雪が降っており、かつては監獄星でもあった。
【ミュール】:ミュータントであり、人間の感情をコントロールすることができる特殊な能力を持っている。そのため、ミュールによる征服は、一切戦闘が起きない。ミュールに反抗する心(だけ)を消されてしまうため、本人的には何も変わっていないように思えるけれど、ミュールに反抗できない状態になる。現在ミュールは、銀河系の1/10を支配して【世界連邦】を築き、その【第1市民】と名乗っている。痩せこけていて手足は棒のようで、5フィート8インチ(=172.7cm)、120ポンド(54.43㎏)に満たず、鼻が3インチ突き出ているそうで、まあ、異形、と描写されている。つーかですね、身長と体重はわたしとほぼ同じなんですけど! ちょっと笑えました。
【ハン・プリッチャー】:第2巻にも出てきた、元ファウンデーション国防軍の諜報部員。現在は、ミュールに【転向】させられ、ミュールの第一の側近的な存在に。役職的には将軍に任ぜられている。真面目だけど、結構気の毒な人。ミュールの敵だったころのことを明確に覚えている。
【ベイル・チャニス】:カルガン出身。ハンサムで頭が良い、28歳の若い男。【非転向者】であるが、ミュールの統治に不満はない模様。ミュールは、チャニスのコントロールされていない生の野心を第2ファウンデーション探索に必要なものと見込んで(※ミュールは、何者かが転向者に対して精神コントロールをしようとしていることを知っており、プリッチャーを100%信頼できずにいたため、非転向者が必要だった、ということらしい)、プリッチャーに同行させる。しかし、ミュールがチャニスを起用した真意は別のところにあり、さらにチャニスにも秘密があり、そして事態はミュールやチャニスの意図さえも超えて―――というラストの展開は大興奮でありました。
【第1発言者】:謎の第2ファウンデーションの幹部的存在(?)。行政評議会の構成員。彼らの会議は、独特のもので、談話(声)をもって行うのではないらしい。Asimov先生の地の文の解説によると「ここに集合している人々の精神は、おたがいの働きを完全に理解する」そうで、説明不能だそうです。
【ナロビ】:ロッセムの農夫。その上に【長老】がいて、さらにその上に【タゼンダ】から派遣されたロッサムを治める【総督】がいる。彼らはみなほぼチョイ役。
<第2部:ファウンデーションによる探索>
この第2部は、第1部から1世代分時間が経過している。すでに、第1部ラストでミュールは第2ファウンデーションに完全敗北し、ミュールの創り上げた世界連邦もほぼ崩壊している。そんな世界で、【トラン・ダレル】博士を中心とするファウンデーションの小グループは、「電子脳写」という技術で人の精神や感情がどうも「何者」かに操られている、人工的な精神状態にある、ということを発見し、これは【第2ファウンデーション】によるコントロールなのではないか、という結論に至る。そしてその謎を解くために、かつてミュールが本拠地としていた【カルガン】でミュールの記録を調査するために、仲間の一人をカルガンへ送り込む。しかしその船には、ダレル博士の一人娘、アーカディアもこっそり乗船していた――――という展開で、さらにカルガンを現在治める【ステッティン】という男や、ちょっとした戦争まで勃発し、果たしてダレル博士は第2ファウンデーションの謎を解けるのか、そしてアーカディアは無事に父の元へ帰れるのか、という活劇タッチで物語は描かれる。なお、ラストでとうとう、第2ファウンデーションの謎は完全に明らかになります。ちょっと意外な、そうきたか、というものでわたしは大変楽しめました。
主な人物は以下の通り。
【トラン・ダレル】:42歳。第2巻第2部の主人公、ベイタの息子。科学者。妻は死別。ターミナス在住。結果的に第2ファウンデーションのすべてを解き明かすことに成功する。
【アーカディア・ダレル】:14歳。ベイタの孫娘。家にこっそり盗聴器を仕掛けて、父たちの計画を盗み聞きし、第2ファウンデーション捜索のためにカルガンへ向かう宇宙船に密航。結果的にはすごい大発見をして大活躍する。主人公の一人と言って過言ではない。
【ポリ】:ダレル家に仕える家政婦のおばちゃん。
【ベレアス・アンソーア】:若き科学者。トランのかつての共同研究者の最後の弟子として、トランのグループに参加してくるが、その正体は―――!! というラストがかなり驚きの展開。
【ホマー・マン】:トランのグループのメンバー。図書館司書のおじいちゃん。すごい気弱でどもり癖もあるのに、ミュール研究の第一人者だったため、カルガン調査にはあなたが適任だ、と任命され、しぶしぶ1人で行くことに。そしてアーカディアが密航していることに気づいて大混乱するも、現地では意外と活躍する。
【ジョウル・ターパー】:トランのグループのメンバー。報道記者。ほぼ役割ナシ。
【エヴェレット・セミック】:トランのグループのメンバー。物理学教授。ほぼ役割ナシ。
【第1発言者】:第1部に出てきた第1発言者の後継者で、同一人物ではない。この第2部も、第2ファウンデーション側の会話が交互に現れる構成になっている。
【若者】:第1発言者の会話相手。評議会入りを控えた有能な若者らしい(?)。わたしはコイツこそが実はアンソーアなのかと思っていたのだが、どうも違うみたい。
【ステッティン】:ミュール亡き後のカルガンを治める君主。ただしまだ在位5カ月の新米。完全にセルダン・プランは崩壊したと思っていて、第2ファウンデーションのことも信じていないのか、どうでもいいと思っているのか、良くわからないけど自分がミュールに代わって銀河を征服する、とかアホな野望を抱いている。ほぼ何も活躍せず、無駄にファウンデーションに戦争を吹っ掛け、あっさり敗退。
【カリア】:ステッティンの正妻。カルガンにやってきたアーカディアを保護する。しかしその正体は―――! という意外な展開になるけれど、実際物語上の役割はそれほど大きくない。アーカディアに余裕で見抜かれるし。
【プリーム・パルヴァー】:荒廃したトランターで農業を営む男。たまたま仕事でカルガンに来ていたが、アーカディアのカルガン脱出を手伝い、トランターの自宅へ彼女をかくまう。しかし、本作の一番最後の文章で、彼こそが実は―――!! という超驚きの正体暴露があって、売っそ、マジかよ!! とわたしは非常にびっくりした。
はーーー。なんかまとまらない。要するにこの第3巻は、まず前半でミュールのその後が描かれ、後半ではとうとう第2ファウンデーションの謎が解かれ、というわけで、大変スッキリする完結編、と言っていいと思う。ただ、ホントに読みづらい、という印象は最後まで薄れなかったのが我ながら良くわからない。これは……翻訳の日本語文章の問題ではないと思うのだが……やっぱり、時間軸が長くて場面転換も多くて、キャラクターも多い、ってことなんだろうか。しかし、ふと思ったけれど、やっぱり『スター・ウォーズ』の元祖、みたいなことを言われるだけあって、確かに展開やキャラ造形は『スター・ウォーズ』を思わせる要素はいっぱいあるような気がしますな。基本的には、一人の主人公が、難問に対して頭脳で勝負する展開が多く、ほとんどの場合、主人公自身は戦わない。あくまで背景として戦争があるため、戦闘描写はほぼないという点も非常に独特ですな。大変面白かったです。
わたしが非常に痛感したのは、
1)超人、という個人に頼る体制はやっぱり永続しえない
2)超人のスーパーパワーより組織の方が強い。
ということです。そして第2ファウンデーションはなんというか、「ブギーポップ」シリーズでお馴染みの「統和機構」みたいすね。
ちょっと関係ないけれど、わたしはいつも思うのだが、たとえば北の三代目将軍様は、ある日突然イイ奴になるかもしれないし、あるいはあの世に消え去るかもしれず、そうなったらあの国はガラッと変わり得る、けど、彼を支援してきた強大なGNP2位のあの国は、完全に組織として強固で、はっきり言えば誰がTOPになっても大きく変わることはなく、常に同じなんだろうな、ということも、なんとなく本作を読んで思い出しました。
というわけで、もういい加減にして結論。
時間がかかってしまったが、やっとSFの名作と呼ばれる『FOUDATION』三部作をずべて読み終わった。非常に長大な物語で、その規模は第1巻の冒頭から第3巻のエンディングまでは400年ぐらい経ってるのかな? 非常に読みごたえのある作品でありました。様々なSF宇宙モノの元祖、みたいなことを言われる古典作品だが、これはやっぱり読んどいてよかったわ。というのがわたしの最終結論です。以上。
↓ 次は、とうとうコイツを読みます! ずっと日本語訳を待ち望んでいたぜ! 昨日やっと電子書籍で買いました。昨日はコインバックフェアがあったので。
というわけで、昨日に引き続き、Isaac Asimov先生の『FOUNDATION』シリーズ最初の三部作、の3作目『SECOND FOUNDATION』について今日は書こうと思う。
まずは、昨日も書いたおさらいをコピペしておくか。手抜きサーセン。
今から数万年後の遠い未来、「帝国」が1万2千年の長きにわたって広大な銀河を統治していた。が、その長大な歴史は停滞をもたらし、崩壊が迫っていることを一人の男が警告を発する。その男の名は【ハリ・セルダン】。そしてセルダンは、人類の英知たる知識を保管・管理するために、【銀河百科事典第1財団】=【第1ファウンデーション】を、帝国の首都星【トランター】から遠く離れた辺境の星【ターミナス】に築き上げることに成功する(※第1巻時点ではほぼ謎に包まれているが、「セルダンは、銀河の反対側に第2ファウンデーションを設置した」ことも知られている)。その目的は、何もしないと、帝国滅亡後、人類は3万年にわたって無政府状態の闇に陥ることになるが、その3万年の闇を、1千年に縮めるために、ファウンデーションを設立したわけである。セルダンの主張はセルダンが編み出した【心理歴史学】という、統計科学を用いた複雑な方程式によって数学的に導かれたもので、第1巻は、そこから300年にぐらいの間に起きた、3回の重大な【セルダン危機】=ファウンデーションに降りかかる重大なピンチ、を描いたものである。
そして続く第2巻では、冒頭に銀河帝国の滅亡に繋がる事件と最後の皇帝について描かれ、その後、【セルダン・プラン】の唯一の弱点である「イレギュラー」、【ザ・ミュール】と呼ばれるミュータントの出現により、セルダンの予言は初めて外れ、とうとうファウンデーションはミュールに占領・征服されてしまう。そしてミュールに唯一対抗することができる可能性として、第2ファウンデーションの謎を解くために人々は行動するが、その謎が解かれる寸前で、大事件が起きて―――というエンディングであった。
で。本書、第3作目にあたる『SECOND FOUNDATION』は、冒頭のプロローグにおいて、Asimov先生直々に、次のように物語が紹介されている。
「こうして謎の第2ファウンデーションが、みんなの探し求めるゴールとして残った。ミュールは銀河系征服を完遂するために、それを発見しなければならなかった。第1ファウンデーションの生き残りの忠誠心のある者たちは、まさに正反対の理由でそれを発見しなければならなかった。だが、いったいどこにあるのか? それは誰も知らなかった。というわけで、これは第2ファウンデーション探索の物語である」
<第1部:ミュールによる探索>
この第1部で描かれるのは、そのタイトル通りミュールによる【第2ファウンデーション】探索の物語である。第2巻のラストから5年後、第2巻で出てきた【ハン・プリッチャー】がミュールによって探索の命を与えられ、新キャラの【ベイル・チャニス】を引き連れて旅立つのだが、その宇宙船には追跡機が付けられており、ブリッチャーは疑心暗鬼の中で混乱する中、ついにミュールと第2ファウンデーションは対面する―――! という展開になる。そして第2ファウンデーションが告げた、ミュールに対する宣言とは! というのがお話の筋で、構成として特徴的なのは、短い章が次々連なる中で、第2ファウンデーションでの【第1発言者】たちの会議の模様?が交互に挿入されている点である。ラストでこのミュール側の話と第2ファウンデーション側の話が交わる形になっていて、ラストは、えええ―――!! という驚きの展開でした。
主な登場人物と地名をまとめておこう。
【カルガン】:ミュールの本拠星
【タセンダ】:チャニスが怪しい、と目を付けた星系
【ロッセム】:タゼンダに属する冬の惑星。1年のうち9カ月雪が降っており、かつては監獄星でもあった。
【ミュール】:ミュータントであり、人間の感情をコントロールすることができる特殊な能力を持っている。そのため、ミュールによる征服は、一切戦闘が起きない。ミュールに反抗する心(だけ)を消されてしまうため、本人的には何も変わっていないように思えるけれど、ミュールに反抗できない状態になる。現在ミュールは、銀河系の1/10を支配して【世界連邦】を築き、その【第1市民】と名乗っている。痩せこけていて手足は棒のようで、5フィート8インチ(=172.7cm)、120ポンド(54.43㎏)に満たず、鼻が3インチ突き出ているそうで、まあ、異形、と描写されている。つーかですね、身長と体重はわたしとほぼ同じなんですけど! ちょっと笑えました。
【ハン・プリッチャー】:第2巻にも出てきた、元ファウンデーション国防軍の諜報部員。現在は、ミュールに【転向】させられ、ミュールの第一の側近的な存在に。役職的には将軍に任ぜられている。真面目だけど、結構気の毒な人。ミュールの敵だったころのことを明確に覚えている。
【ベイル・チャニス】:カルガン出身。ハンサムで頭が良い、28歳の若い男。【非転向者】であるが、ミュールの統治に不満はない模様。ミュールは、チャニスのコントロールされていない生の野心を第2ファウンデーション探索に必要なものと見込んで(※ミュールは、何者かが転向者に対して精神コントロールをしようとしていることを知っており、プリッチャーを100%信頼できずにいたため、非転向者が必要だった、ということらしい)、プリッチャーに同行させる。しかし、ミュールがチャニスを起用した真意は別のところにあり、さらにチャニスにも秘密があり、そして事態はミュールやチャニスの意図さえも超えて―――というラストの展開は大興奮でありました。
【第1発言者】:謎の第2ファウンデーションの幹部的存在(?)。行政評議会の構成員。彼らの会議は、独特のもので、談話(声)をもって行うのではないらしい。Asimov先生の地の文の解説によると「ここに集合している人々の精神は、おたがいの働きを完全に理解する」そうで、説明不能だそうです。
【ナロビ】:ロッセムの農夫。その上に【長老】がいて、さらにその上に【タゼンダ】から派遣されたロッサムを治める【総督】がいる。彼らはみなほぼチョイ役。
<第2部:ファウンデーションによる探索>
この第2部は、第1部から1世代分時間が経過している。すでに、第1部ラストでミュールは第2ファウンデーションに完全敗北し、ミュールの創り上げた世界連邦もほぼ崩壊している。そんな世界で、【トラン・ダレル】博士を中心とするファウンデーションの小グループは、「電子脳写」という技術で人の精神や感情がどうも「何者」かに操られている、人工的な精神状態にある、ということを発見し、これは【第2ファウンデーション】によるコントロールなのではないか、という結論に至る。そしてその謎を解くために、かつてミュールが本拠地としていた【カルガン】でミュールの記録を調査するために、仲間の一人をカルガンへ送り込む。しかしその船には、ダレル博士の一人娘、アーカディアもこっそり乗船していた――――という展開で、さらにカルガンを現在治める【ステッティン】という男や、ちょっとした戦争まで勃発し、果たしてダレル博士は第2ファウンデーションの謎を解けるのか、そしてアーカディアは無事に父の元へ帰れるのか、という活劇タッチで物語は描かれる。なお、ラストでとうとう、第2ファウンデーションの謎は完全に明らかになります。ちょっと意外な、そうきたか、というものでわたしは大変楽しめました。
主な人物は以下の通り。
【トラン・ダレル】:42歳。第2巻第2部の主人公、ベイタの息子。科学者。妻は死別。ターミナス在住。結果的に第2ファウンデーションのすべてを解き明かすことに成功する。
【アーカディア・ダレル】:14歳。ベイタの孫娘。家にこっそり盗聴器を仕掛けて、父たちの計画を盗み聞きし、第2ファウンデーション捜索のためにカルガンへ向かう宇宙船に密航。結果的にはすごい大発見をして大活躍する。主人公の一人と言って過言ではない。
【ポリ】:ダレル家に仕える家政婦のおばちゃん。
【ベレアス・アンソーア】:若き科学者。トランのかつての共同研究者の最後の弟子として、トランのグループに参加してくるが、その正体は―――!! というラストがかなり驚きの展開。
【ホマー・マン】:トランのグループのメンバー。図書館司書のおじいちゃん。すごい気弱でどもり癖もあるのに、ミュール研究の第一人者だったため、カルガン調査にはあなたが適任だ、と任命され、しぶしぶ1人で行くことに。そしてアーカディアが密航していることに気づいて大混乱するも、現地では意外と活躍する。
【ジョウル・ターパー】:トランのグループのメンバー。報道記者。ほぼ役割ナシ。
【エヴェレット・セミック】:トランのグループのメンバー。物理学教授。ほぼ役割ナシ。
【第1発言者】:第1部に出てきた第1発言者の後継者で、同一人物ではない。この第2部も、第2ファウンデーション側の会話が交互に現れる構成になっている。
【若者】:第1発言者の会話相手。評議会入りを控えた有能な若者らしい(?)。わたしはコイツこそが実はアンソーアなのかと思っていたのだが、どうも違うみたい。
【ステッティン】:ミュール亡き後のカルガンを治める君主。ただしまだ在位5カ月の新米。完全にセルダン・プランは崩壊したと思っていて、第2ファウンデーションのことも信じていないのか、どうでもいいと思っているのか、良くわからないけど自分がミュールに代わって銀河を征服する、とかアホな野望を抱いている。ほぼ何も活躍せず、無駄にファウンデーションに戦争を吹っ掛け、あっさり敗退。
【カリア】:ステッティンの正妻。カルガンにやってきたアーカディアを保護する。しかしその正体は―――! という意外な展開になるけれど、実際物語上の役割はそれほど大きくない。アーカディアに余裕で見抜かれるし。
【プリーム・パルヴァー】:荒廃したトランターで農業を営む男。たまたま仕事でカルガンに来ていたが、アーカディアのカルガン脱出を手伝い、トランターの自宅へ彼女をかくまう。しかし、本作の一番最後の文章で、彼こそが実は―――!! という超驚きの正体暴露があって、売っそ、マジかよ!! とわたしは非常にびっくりした。
はーーー。なんかまとまらない。要するにこの第3巻は、まず前半でミュールのその後が描かれ、後半ではとうとう第2ファウンデーションの謎が解かれ、というわけで、大変スッキリする完結編、と言っていいと思う。ただ、ホントに読みづらい、という印象は最後まで薄れなかったのが我ながら良くわからない。これは……翻訳の日本語文章の問題ではないと思うのだが……やっぱり、時間軸が長くて場面転換も多くて、キャラクターも多い、ってことなんだろうか。しかし、ふと思ったけれど、やっぱり『スター・ウォーズ』の元祖、みたいなことを言われるだけあって、確かに展開やキャラ造形は『スター・ウォーズ』を思わせる要素はいっぱいあるような気がしますな。基本的には、一人の主人公が、難問に対して頭脳で勝負する展開が多く、ほとんどの場合、主人公自身は戦わない。あくまで背景として戦争があるため、戦闘描写はほぼないという点も非常に独特ですな。大変面白かったです。
わたしが非常に痛感したのは、
1)超人、という個人に頼る体制はやっぱり永続しえない
2)超人のスーパーパワーより組織の方が強い。
ということです。そして第2ファウンデーションはなんというか、「ブギーポップ」シリーズでお馴染みの「統和機構」みたいすね。
ちょっと関係ないけれど、わたしはいつも思うのだが、たとえば北の三代目将軍様は、ある日突然イイ奴になるかもしれないし、あるいはあの世に消え去るかもしれず、そうなったらあの国はガラッと変わり得る、けど、彼を支援してきた強大なGNP2位のあの国は、完全に組織として強固で、はっきり言えば誰がTOPになっても大きく変わることはなく、常に同じなんだろうな、ということも、なんとなく本作を読んで思い出しました。
というわけで、もういい加減にして結論。
時間がかかってしまったが、やっとSFの名作と呼ばれる『FOUDATION』三部作をずべて読み終わった。非常に長大な物語で、その規模は第1巻の冒頭から第3巻のエンディングまでは400年ぐらい経ってるのかな? 非常に読みごたえのある作品でありました。様々なSF宇宙モノの元祖、みたいなことを言われる古典作品だが、これはやっぱり読んどいてよかったわ。というのがわたしの最終結論です。以上。
↓ 次は、とうとうコイツを読みます! ずっと日本語訳を待ち望んでいたぜ! 昨日やっと電子書籍で買いました。昨日はコインバックフェアがあったので。