というわけで、今日は宝塚歌劇を愛するわたしが最も応援している「星組」の公演を鑑賞するため、午前中から日比谷へ赴いた。日差しは暖かいけど、あの東京宝塚劇場前の細い道はビル風が強くて寒いですなあ……。わたしは35年ぐらい前の中学生・高校生の頃は、あの一体にあった日比谷映画や有楽座といった映画館へよくチャリンコをぶっ飛ばして通っていたので、その街並みの変化をずっと見てきたのだが、去年落成した日比谷Midtownの影響か、なんかすっかり様相が変わっちまったすね。
 そんなことはどうでもいいとして。
 現在東京宝塚劇場で上演されている演目は、後に東宝の専務か何かまで成り上がることになる劇作家、菊田一夫氏が1963年に書き上げた作品で、その後何度も再演されているという伝説的作品『霧深きエルベのほとり』である。初演はなんと56年前ってことか。そりゃあもう、いくらおっさんのわたしでも観ているはずもなく(つうか生まれてもいない)、最後に再演されたのが1983年だそうだから、えーと、36年前か。つまりわたしがチャリで日比谷に通っていた頃なんだな、と思ったので冒頭にどうでもいいことを書いてみた次第であります。
 あと1つどうでもいいことを書いておくと、宝塚歌劇団が5つの組で構成されていことは、何度もこのBlogで書いているけれど、公演の順番が、数年に一度、ちょっと変わることがあるのである。どういうことかというと、雪組→花組→月組→宙組→星組、の順番でローテ―ションしていた翌年に、その順番がちょっと変わることがたま~にあるのです。そしてまさしく我が星組は、去年、雪組と順番が入れ替わったんだな。その結果、去年、元の順番ならば、宝塚大劇場の年末ラストが星組公演で、年明け一発目が雪組、となるはずだったところ、雪組が先に年末に公演を行い、そして星組が今年1発目になったのだ。
 これは、去年の10月の台湾公演の影響だろうと思うが、何が言いたいかというと、そのために我が星組は、去年は大劇場公演が1本しかなかったのである。そしてつまり、東京宝塚劇場での星組公演は、去年の6月~7月以来と、結構久々なのであります。はー説明が難しい。
 というわけで、星組推しのわたしとしては、演目的にも伝説の作品だし、スケジュール的にも久しぶりだし、と大変楽しみにしていた公演なのであった。ということを言いたかっただけです。はい。おまけに、先日とうとうこの次で退団することを発表した星組TOPコンビ。さらに言えばこの公演で卒業してしまう方もいて、まあとにかく、いろんな意味で、わたしは今日を待ち望んでいたのでありました。
 
 というわけでーーー物語は上記映像の通りであります。
 ハンブルグを舞台に、船乗りカールと、とある金持ちの令嬢マルギットが出会って恋に落ちるけれど、身分違いがもたらす悲しい結末となる悲恋、であります。
 まあ、ズバリ言うとかなり昭和な雰囲気で、石原裕次郎的世界観と言えばいいのかな、相当時代がかっているのは間違いなかろう。しかし、だからと言ってつまらないわけではなく、実際わたしとしては大変楽しめる作品であった。とりわけ、男のわたしから見ると、主人公カールと、マルギットの婚約者で育ちが良く超イイ奴のフロリアンの二人の気持ちがとても良くわかってしまうのだ。どんな感じなのか、各キャラ紹介をしつつ演じたジェンヌについてもメモしてみよう。
 ◆カール:船乗り。学はないしギャンブルもたしなむ、チョイ悪系男子。港ごとに女がいる的な感じだけど、実はかなりイイ人。マルギットに刹那的に惚れてしまって結婚しよう! という勢いでラブラブになるものの、冷静になって、マルギットの実家の上流の生活や、マルギット自身のことを考えると、まあ、実際オレじゃマルギットを幸せには出来ねえ、と実感してしまう。その結果、カールがとった行動はーーー観てご確認ください。男としては大変共感できます。女性から見たら、うーん、どうだろう、アウト……かもしれないな。。。
 そして演じたのはもちろん星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)。とうとう退団の発表があって、大変淋しいですね……最強コメディエンヌの紅子先輩。今回は悪ぶっててイイ人、という得意のキャラだったように思います。主題歌が染みたっすね……「か~も~め~よ~伝えてよ~ わが心……今も君を愛す……」大変結構なお点前でした。
 ◆マルギット:上流階級のお嬢様。とある理由で父との確執があって家出。カールとの運命的な出会いに恋の炎が燃え上がっちゃう……わけだが、まあ、やっぱりマルギットは問題アリと言わざるを得ないだろうな……ちょっと世間知らず過ぎたんでしょうな……でもまあ、それはマルギットの罪ではなく、そう育てられてたんだからどうしようもなかったとも思う。願わくば、カールとの恋を教訓として、幸せになってほしいすね……。
 演じたのはこれまた当然、TOP娘役の綺咲愛里さん(以下:あーちゃん)。あーちゃんも紅子先輩と同時退団を発表されており、やっぱりとても淋しいす。あーちゃんに関しては、目の肥えた歴戦のヅカ淑女たちの評価がやけに厳しいような気がするけれど、わたしは何度も書いている通り、あーちゃんはとても可愛いし、間違いなくTOPのオーラを放つ素晴らしいジェンヌだと思う。地声が落ち着いた低い声だから、高い声が若干厳しいんすよね……でもわたしはあーちゃんの意外な低音ボイスが大好きなのでおとがめなしです。もうチョイ、あーちゃんを舞台で観ていたかったすなあ……。次の、最期の退団公演、楽しみにしてるよ!
 ◆フロリアン:マルギットとは子供のころからの幼馴染で婚約者。上流階級。しかし、その身分や財力(はあるのか?)をひけらかすようなところは皆無で、実にイイ人。フロリアンは、ある意味マルギットに振られてしまった残念な男なわけだが、それでも一切マルギットを責めるようなことはせず、ただただ、マルギットの幸せを願うナイスガイ。男のわたしから見ると、カッコ良すぎですよ! まあ、要するに超イイ人、なわけだけれど、残念ながら世の真理として、女子は「イイ人」には恋してくれないんすよ……イイ人と評されることの多いわたしもつらいすわ……。女性から見たら、やっぱりイイ人すぎて恋愛対象外なんすかねえ……。。。
 演じたのはわたしが最も応援している礼真琴さま(以下:こっちん)。今回はソロ曲も泣けたっすねえ! こっちんの歌は最強レベルに巧いわけで、今回は後半のショーでも堪能させていただきました。問題は、紅子先輩の次に、星組TOPスターにこっちんがなれるかどうか、なのだが……普通に考えればもう確定だろうけど、仮に別の組から誰かが突然やってきても、わたしは受け入れますよ。こっちんにはまだ熟成期間があってもいいと思う。順当にTOPスターになれたら、それはそれで大歓迎。TOPになった時点で完成されてなくていいんだしね。いずれにせよ、こっちんの「これから」が楽しみだし、応援したいと思います。
 ◆トビアス兄貴:カールの乗ってる船の船員たちの兄貴分。渋い。カッコイイ。物語的にはあまり出番ナシ。のちに、兄に会いにハンブルグに来ていたカールの妹と結ばれ、船員を引退、陸(おか)での生活を選ぶことに。演じたのは今回で退団してしまう「ひろきのお兄様」でお馴染みの七海ひろきさん。ラストの「じゃあ行くぜ……あばよ!!」には、なんかグッと来たっすね……。宙組から来てもう4年経つんだな……あっという間だなあ……。素顔のお兄様は、実にクールな眼差しの美女なので、退団後の活躍を楽しみにしております。また舞台で会いたいすね。
 ◆シュザンヌ:マルギットの妹で、実はフロリアンが大好き。家出した姉を心配しているが、それ以上にフロリアンのことが心配。そりゃそうだ。超けなげなお嬢さん。演じたのは有紗瞳さん(以下:くらっち)。わたしはこっちんがTOPに登極する時には、その隣にはくらっちがいてほしい……と強く願っていたのだが……はあ……どうやらその夢は叶いそうもなく……もちろんまだ分からないけれど、先日、花組からこっちんの嫁候補と思われる組替え人事が発令されており、どうやらくらっちはこっちんの嫁になれる見込みがかなり薄くなってしまった……。本当に厳しいなあ……。。。わたしが全娘役で一番応援している、月組のうみちゃん(海乃美月さん)のようになってしまう可能性大なわけで、実に悲しいすわ……。そんな……ホントマジかよ……である。うみちゃんもくらっちも、本当に華のある素晴らしいジェンヌなのにね……報われてほしいなあ……。。。

 とまあ、物語上のメインキャストは以上であります。
 ホント、楽しめたのは間違いないけれど、なんだかいろいろな意味でつらいお話でありました。なんつうか、恋の炎はあっという間に燃え上がるけれど、その勢いだけで結婚というわけにはいかないんでしょうな。ま、そりゃそうだとしか言いようがなく、二人の男の決断も、男としては実に理解しやすいお話であったと思う……けど、女性がこの物語をどう思うかは、正直良くわからんです。
 で。後半はショー『ESTRELLAS~星たち~』であります。元々スペイン語の「星」=「Estrella」に、複数形のsをつけたものだそうで、要するに星組のスターたち、てなことである。ところで、ちょっとした豆知識を紹介すると、宝塚歌劇団の5つの組には、それぞれ「テーマカラー」が設定されており、「花組=赤(ピンク)」「月組=黄」「雪組=緑」「星組=青」「宙組=紫」となっているのだが、今回のショー『ESTRELLAS~星たち~』は、基本「青」の舞台でありました。まあ、前回の『Killer Rouge』は全編「赤」だったんだけど、まああれは、TOPスター紅子先輩の「紅」だったということで、今回は星組の青、であります。
 まあ、星組のショーでは、わたしは当然こっちんをずっと双眼鏡で追うわけですが、やっぱりこっちんはダンスもキレてますなあ! 最高じゃないですかもう! なのでこっちんグレイトは当たり前として、やっぱりここ数回で思うのは、せおっちこと瀬央ゆりあさんの躍進でしょうな。今回も、ちゃんとソロパートがあって、歌がすげえ上達してるような気がしますね。しかし、まあこれもアレなんだけど……こっちんがもし順当にTOPになったら、2番手はせおっち、なのだろうか? いや、今の星組を観ているとそれ以外は考えられないんだけど……同期のTOP&2番手コンビって、あるんすかねえ? わたしのヅカ歴10年ではなかったような気がするけど、普通にあることなのだろうか? わたしは全然アリだと思うし、むしろこっちんとせおっちの絆を考えれば、むしろ大歓迎なんだけど……どうなるかよくわからんす。
 それから今回のショーでは、今回で退団するひろきのお兄様や華鳥礼良さんたちに、ちゃんと見せ場があってよかったすね。特に華鳥ちゃんはエトワールも任されて、とても光ってましたな。特徴のあるお顔の美人なので、路線には乗れなかったけど、わたしはいつも、あ、華鳥ちゃんだ! と見つめていたよ。淋しいね、もう会えないのは。。。退団後、幅広く活躍してくれることを願ってます。
 
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「一度散った木の葉を 再び元の枝につけて緑に輝くと 君は思うかい……」
 今回は、かなり序盤でフロリアンが言うこの台詞を選びます。ここは、シュザンヌとのやり取りなんですが、姉さんを連れ戻せばまたあなたを愛するようになるかもしれないわ、というセリフに対するフロリアンの回答、がこの台詞です。このシーンは全部カッコ良すぎたっすね……つうかフロリアンよ、君は物分かり良すぎですよ……でも、このセリフを言う気持ちも、男のわたしは痛いほど良くわかるんすよね……まったく、男はつらいよ……ですなあ……。

 というわけで、結論。
 7カ月ぶりか? ちょっとお久しぶりとなる星組大劇場公演『霧深きエルベのほとり』がやっと東京に来てくれたので、今日は楽しみにしていたわけだが、この作品は、お話の内容的にも、そして現在の星組の状況的にも、なんだかとても悲しくて、淋しい気持ちになってしまったわたしである。なかなかつらいお話だったとわたしは思うのだが、果たして、現代の女性が観てどう思うのか、結構興味があるっすね。まあ、一度散った木の葉は、もう緑に輝くことはないんすよ……このセリフはとても気に入ったので、今後日常で使わせていただこうと思います。そして、退団者の皆さんのことは、今後も応援したいし、いよいよ次の大劇場公演で退団となる星組TOPコンビにも、最期まで拍手をもって応援したいと存じます。でも、ホント問題はこっちんの「これから」なんだよな……まずは5月、主演を務める全国ツアー公演があるので、こっちんの雄姿を楽しみたいと存じます。結論としては、こっちんこと礼真琴さんは最高です。以上。

↓ あ、すげえ、今ってAmazon Primeでスカイステージの番組観られるんだ!? へえ~知らんかったわ。