2010年に初めて宝塚歌劇を体験してからすっかりハマり、10年が過ぎた。前回も書いたが、わたしはチケットをほぼ「宝塚友の会(=略して友会)先行抽選」で買っているわけだが、ここ数年、とにかくチケット難が続いており、とりわけ雪組は当たる方が珍しく、花組もここ数回獲れないでいる。
 そういう獲れなかったときは、わたしをズカ道に導いてくれた美しき師匠に相談すると、チケットを融通してくれることが多いのだが、前回の花組公演『カサノバ』は結局観ることが叶わず、見逃してしまったのであった。
 そんな中、ついに、現在の宝塚歌劇団TOPスターの中で(たぶん)最も人気の高い、花組TOPの明日海りおさん(以下:みりお)が退団を発表され、チケット争奪戦は激戦の様相を呈し、わたしも全敗、こりゃみりお氏のラストは見送れないかもな……と嘆いていたのである。みりお氏は2010年にわたしのズカ体験2回目であった月組公演で極めて強いオーラを放っていて、確実にこの人は将来TOPスターに上り詰めるであろうとずっと見つめてきた、思い入れのあるお方だ。そんなみりお氏のラストが見られないのは、痛恨極まりないわけで、わたしとしては本当にもう困っていたのである。
 が。
 1カ月ぐらい前、チケットぴあから何やらメールがポロリンと来たのである。そもそもぴあもe+も、まったくどうでもいいダイレクトメールが1日に10通近く送られてくるので、どうせそんなもんだろうと開くこともせずに削除……しようとしたところで、「抽選結果のお知らせ」という文字が目に入った。
 わたしはもういろんなチケットの抽選に申し込んでいるので、申し込んでいたことすら忘れていたのだが、なんじゃろか、どうせ「チケットはご用意できませんでした」のお知らせだろ!? と開いてみたところ、なんとなんと、花組公演が当選していたのである! わたし、ぴあで初めてズカチケットが当選したっす。奇跡はあるんですなあ!
 なので、うおっと、マジかよ、やったぜ! と小躍りし、セブンイレブンでの発券は翌日からとあるので、その翌日さっそく発券に行って観たところ……な、なんと! 奇跡はもう一つありました。
 なんと! なんとですよ!? 席が……!!! 奇跡の最前列!!!だったのです!!!!
 いやあ、マジでびっくりしたっすねえ! マジかよ!? とレジで声が出ちゃったす。ぴあで当選することだけでも信じられないのに、ましてや最前列だなんて、こんなことって、あるんですなあ!
 というわけで、その奇跡×2のチケットを握り締めて、昨日は日比谷に推参した次第であります。
saizenretsu
 ヅカファンなら、この写真でもうお判りでしょう。上手側のサイド席でありました。いやあ、その迫力は失神モノだったすねえ……ヤバかったす。まあ、おっさん客のソロ観劇で、なんだコイツ的に観られたかもしれませんが、いいんだよそんなこたぁ! そして思うに、わたしが友会で比較的よく当選するのは、ソロ観劇、すなわち1枚で申し込みをする点も、抽選には有利なんじゃねえかという気がしますね。

 というわけで、現在日比谷の東京宝塚劇場で絶賛公演中なのは花組であります。そしてTOPスター明日海りおさんの退団公演である『A Fairy Tale -青い薔薇の精-/シャルム!』という2本立てであります。
 まずはお芝居の『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』ですが、お話は19世紀のイギリス、とある貴族のお庭には精霊が住んでいて、その精霊たちは子供には見えるし交流もできる、けど、精霊界のルールとして、自分たちと交流した記憶を人間から奪う「忘却の粉」を振りかけないといけないらしい。しかし、薔薇の精であるエリュは、美しい心を持つシャーロットという少女にぞっこんLOVEってしまい(?)、忘却の粉をかけることを拒み、ルールを破ってしまう。その結果、そのお庭は荒廃し、エリュも「悲しみの色」である青に染まってしまう。それから数十年が過ぎ、あの美しかったお庭には植物が根付くことがなく、調査にやってきた植物学者の青年ハーヴィーはエリュと出会い、エリュからシャーロットの現在の居場所を探す依頼を受けるのだった……てなお話である。サーセン、いつも通りテキトーに端折りました。
 まあ、なんつうか、みりお氏はいわゆる「フェアリー系」であり、フェアリーを演じるのにはもうこれ以上ないキャスティングなわけですが、お話的には意外と現実的というか世俗の美しくない事情も絡んで、人とならざる存在のみりお氏と、人間としてしがらみ?のようなものにとらわれるハーヴィーを演じた花組2番手スター柚香光さん(以下:ゆずかれー)の対比が際立つお話でした。そしてヒロインであるシャーロットの出番が若干少ないのが少し残念だったかもっすね。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌを軽くメモしておこう。
 ◆エリュ:演じたのは当然みりお氏。これでみりお氏ともお別れかと思うと、ホントに淋しいすね。。。最前列で観るみりお氏は、本当に美しかったよ。約5年半の長期間、TOPスターとして本当に見事な舞台を見せてくれて、心からありがとうと申し上げたいすね。そして本当にお疲れ様でした。千穐楽まで、思いっきり駆け抜けてください。そして退団後は、美しい女優として活躍することを楽しみにしてますよ。わたし的には、みりお氏は、演技が一番の長所だと思うので、舞台で再び会いたいですな。
 ◆ハーヴィー:演じたのは次期TOPスターが決まっている、ゆずかれー君。そのビジュアルは最強レベルですが、歌がなあ……今回は比較的大丈夫だったと上から目線で申し上げたいけれど、ホント、今後の活躍を期待してますよ。わたし的にはゆずかれーくんも演技が一番の長所だと思ってます。しかしゆずかれー君は、わたしの贔屓である礼真琴さん(以下:こっちん)と同期なわけで、最年少TOPになるわけだが、その重圧は計り知れないものがあると想像するけど、負けずに頑張ってほしいすね。なんか、数年後、トート閣下を演じそうな気がするっすね。新公でもやってるし。まあ、ビジュアル的にはトート様が似合うでしょうなあ。
 ◆シャーロット:演じたのはこれがTOP娘役お披露目となる華優希さん(以下:はなちゃん)。ラストの老け役も見事でしたね。普段のはなちゃんは、わたし的にはかなり素朴系・ふんわり系のかわいい娘なわけですが、これからはTOP娘として、強い女性の役なんかも演じて行かなきゃイカンわけで、そんなはなちゃんを観るのを楽しみにしたいっすね。
 ◆ウィールドン夫人:シャーロットの母で庭園を愛していた美しい夫人。演じたのは城妃美伶さん(以下:しろきみちゃん)。しろきみちゃんも今回で卒業かあ……残念だなあ……元々わたしが一番応援している星組生だったしろきみちゃん。5回も新公ヒロインを務めてもTOPになれないんだもんなあ……やっぱり、97期というのは娘役にとって、タイミングが悪すぎたんだろうなあ……。。。きれいで歌もうまくて、こっちんの嫁にはいいんじゃないかと思ってたのだが……。こっちんロミオとしろきみちゃんジュリエットの新公はわたしは観たことがないので、いつか観てみたいす。まあ、一般人からするととんでもない美人なので、退団後の活躍を楽しみにしてますよ。どこかでまた会いに行くよ!
 ◆ニック:ウィールドン夫人に何となく恋心っぽいものを抱きつつ、夫人の愛した庭園を美しく管理する心優しい庭師の青年。演じたのは水美舞斗さん(以下:マイティー)。マイティーらしい、優しい役だったすね。ここ2年ぐらいでグイグイ存在感が増してきて、同期のゆずかれー君を支える重要な人材ですよ。星組の瀬央ゆりあさん(せおっち)もそうですが、番手的には2番手にはなれないのかなあ……同期ワンツーがあってもいいじゃん……
 で。後半はショー「シャルム!」であります。
Charme
 なんつうか、全くどうでもいいんだけど、映画オタクのわたしには、タイトルが『シャザム!』に似ているし、おまけに主題歌のメロディーも、なんかヒーローものの主題歌のようで、「シャルム!」と若干呪文めいた部分も、ちょっと変わったショーだったような気がします。
 公式Webサイトによると、「シャルム」とはフランス語で「魅力、色香、魔法、呪文」などを表す言葉だそうで、要するに英語のcharmのことらしいが、まさしく呪文でした。ほんのうっすらと、物語的な部分があるのはどのショーでもそうだけど、今回はなんつうか……うーん……なんといえばいいんだろう? あの魔法ステッキを持った魔法少女は何だったんだ!? いや、まあ、可愛かったからいいんだけど、ちょっと表現しにくいっす。
 まあ、いずれにせよ、最前列で観るショーの迫力はマジでヤバいすね。失神するかと思うぐらいのキラキラの大洪水で、溺れそうになったすわ。残念ながら、みりお氏の客席降りでは、握手できなかったす。超近くまで来てくれたんだけど……直前でふいっと帰っちゃったのが残念でした。そして、ゆずかーれくんの背中を、そっと押すみりお氏はなんか泣けたっすね。
 今回のショーでは、94期の羽立光来さん(芝居の方でシャーロットと結婚するいやーな奴を演じたお方)がわたしの真ん前に何度か来て、完璧にわたしに向けて目を合わせて微笑んでくださいました。わたしも、マジかよ、うおお! と満面の笑みで返したんですが、キモイおっさんでサーセンした! その愛称の通り、超ビック、身長178cmだって。おれより5cm以上デカいじゃん!

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「眼には見えなくとも、わたしは、この庭で、ここに咲く花たちを見守り続けている。いつまでも……」
 今回は悩んだけど、まあ卒業に寄せたみりお氏の心情を現したこの台詞にしておきます。はあ、ほんとにみりお氏の退団の日が来てしまうんすねえ……TOPになることは、まさしく終わりの始まりなわけで、わが愛しのこっちんも、数年後には確実に卒業の日が来るんですなあ……おれ、泣かないでいられる自信ないっす……それを考えると、もう今から淋しいんすけど、どうしたらいいんでしょうか……。。。

 というわけで、結論。
 ついに来てしまったみりお氏の卒業公演。わたしは全くチケットが獲れず、これはマジで観られないかも……と半ばあきらめていたところでのぴあ当選、しかも最前列!という奇跡に恵まれたわけだが、とにかく最前列で観るショーのヤバさは、恐らく生涯忘れないだろうと思えるほどでした。そしてみりお氏のラストも、やっぱり忘れ得ないものとなるような気がします。まあ、内容的には若干不思議な感じだったけれど、その美しさはもう、みりお氏の宝塚人生ここに極まれりというものだったと結論付けていいのではなかろうか。しかし退団後の活躍も楽しみすねえ。みりお氏はやっぱり舞台が似合うと思うすね。映像系もイケると思うけど、やっぱり、舞台で輝くみりお氏にまた会いに行きたいですな。そして同じく卒業するしろきみちゃん……きっと卒業後も、様々な舞台で輝いてくれるでしょう。これからも、応援いたしたく存じます。残された花組の皆さん、ゆずかれーを先頭に、これからも走り抜けていただきたいと存じます。わたしは星組推しなので、まずはこっちんを一番応援しますけどね。以上。

↓ 観に行けなかったので、Blu-rayを買おうかと存じます。よく考えると、観に行くチケット代と値段あまり変わらんしね。ズカBlu-rayは結構あっさり品切れになるから、買える時に買わんと!!

花組宝塚大劇場公演 祝祭喜歌劇『CASANOVA』 [Blu-ray]
明日海りお
宝塚クリエイティブアーツ
2019-04-26