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 2010年3月に初めての宝塚歌劇を鑑賞してからもう12年が経ち、数多くのTOPスターの誕生と卒業を見てきたわたしだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場では、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たま様)と、相手役であるTOP娘役の美園さくらさん(以下:さくらちゃん)の退団卒業公演『桜嵐記』が上演されており、わたしも昨日の日曜日、観に行くことが出来た。
 ところで、全くどうでもいいことなんだけど、去年から導入された「宝塚友の会会員カードで当日入場時に発行されるチケット」が、やっと全組分コンプリートしたので、スキャンして合成した画像を置いておこう。
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 なんでこれを貼っておこう、つうか、スキャンしておこう、と思ったかというと、実はさっき、今回の月組のチケをプログラムに挟んでしまっとこう、と思った時、あ、そういやこれで全組揃ったんじゃね? と思って過去のものを出してみたら……なんと、印字がもう薄れかけてるんだな……。おおう、まじかよ!? と思ったので、消えてしまう前にスキャンして残しておこう、と思った次第であります。一応、QRコードとわたしの氏名、席番はPhotoShopで消しました。しかし、わたしは友会での抽選に申し込んで普通に買っているだけなのですが、この1年弱はやけにチケット運が良くて、凄くイイ席ばっかりだったのが我ながら驚きです。雪組だけ2階席だけど。やけに上手率が高いのも不思議。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、現在東京都は緊急事態宣言中であり、いろいろと制限の多い中で開催されている宝塚歌劇は本当にすごいと思う。どうかこの大切な卒業公演が、最後まで中断などすることなく、完走してほしいと心から思う次第であります。
 で。今回の『桜嵐記』は、いわゆる南北朝の争いにおける南朝側の武将、楠木正行を主人公とした「ロマン・トラジック」だ。トラジック、すなわち悲劇、ですな。わたしは恥ずかしながら南北朝のごたごたについてほぼ知識はなかったけれど、かの楠木正成公の嫡男である正行が主人公ということで、もうその結末は悲劇的になることは分かりきっているわけで、これは泣けるな、きっと……とか思いながら日比谷に向かったのであった。

 はあ……カッコいいですなあ……。
 本作『桜嵐記』は、ズカ淑女たちに人気の上田久美子先生による作品で、わたしは実は上田先生の作品がやや苦手なんだけど、物語は、若干『阿弖流為』に似ていたような気もしますね。つまり、「終わらない戦いを終わらせようとする男」の生き方を描いているわけですが、観終わった今、わたしは今一つ、「なぜ正行は死を選んだのか」が理解できないでいる。これはわたしにはとても難しい問題だ。
 史実はこの際どうでもいいとして、本作で描かれている関係性をまとめると……
 ◆敵である北朝サイド
 そのボスである足利尊氏は、正行のことをあっぱれな男だと思っていて死なすには惜しい、オレんとこに来いよ、と誘うぐらいである。ただし、北朝サイド全体の意思としては公家衆を許すつもりはなく、尊氏の部下として登場する高 師直とその弟、師泰などはかなりヒャッハーなゲス野郎として描かれていて、とにかく南朝をぶっ潰せ、な状況。
 ◆主君たる南朝サイド
 そのボスである後村上天皇は、正直もう戦いはやめたい、けれど、父である亡き後醍醐天皇の遺言があって、戦いをやめることが出来ないでいる。仕えてくれている正行にもごめんな……という気持ちが大きい。軍事勢力的には北朝よりもかなり小さく、実際もうヤバい状況。
 とまあ、超ごく簡単に言うとこういう状況なので、正行の奮闘で一時的な戦闘に勝利しても、あまり意味がないし、もはや正行が「戦い続ける」=「自ら死を選ぶ」意味もほぼないと言っていいだろう。それなのに、正行は戦い続けることを選んだ。それは一体どういうことなのか??
 『阿弖流為』の場合は、阿弖流為自身が蝦夷の象徴であり、自分の死が朝廷を引かせる理由になることがよくわかっていた。でも今回の正行は、そこまでの存在ではない。自分が死んでも戦いは終わらない……はずだ。
 ならどうして? 単純に、南朝を裏切ることが出来ない忠義の人間だったから? それとも、自分の死で後村上天皇に「(軍事的に)万策尽きた」と思ってもらいたかったから?
 「家名のためでも、欲望のためでも、忠義のためでもなく、もっと大きなもの、<流れ>のために命を使う!」と正行は言った。この<流れ>っていったい何なのか??
 わたしは、よくわからないながらも、つまり正行は後々語られる「伝説」になる決意をしたんじゃないか、と思った。後に平和が訪れた時、その平和は、数多くの人々の命の上に立っていることを、後世に伝えたい、その伝説たる象徴として、自分の命を使おうと決意したのではなかろうか。そして、その伝説は、ヒロインである弁内侍や弟の正儀が語ってくれるのだから、もはや未練ナシ、な想いだったのではなかろうか。普通に思えば、弟に生きろと言ったんだから、自分だって生きててもイイじゃん、と思ってしまうよね。でも、それではダメで、最後まであらがった男がいた、その命の上に、平和があるんだぞ、ということを忘れないでほしかった……のではないかなあ、と思う次第であります。わたしとしては。
 まあ、どう考えても、これは後醍醐天皇(の怨念のようなもの)が一番タチが悪いというか、まさしく「呪い」だったな、としか思えないすね。
 いやあ、それにしても上田先生の物語は難しいわ。。。
 というわけで、各キャラとキャストを短くまとめて終わりにします。
 ◆楠木正行:楠木正成が嫡男であり、後村上天皇配下の武家の棟梁(?)。三兄弟の長男。Wikiに載ってる浮世絵も結構イケメン! 道中で助けた弁内侍にぞっこLOVEだけど、これから死ぬ自分が妻などもてない、とカッコ良く和歌を詠んで想いを伝えるヒーロー。演じたのはもちろん月組TOPスターたま様。本当にカッコ良かったですねえ! たま様は、本当にこういった「実直真面目ヒーロー」が似合いますなあ! つうか、たま様も本当に痩せたよなあ……TOP就任時から比べると頬がげっそりして、凄く細くなった印象す。2016年にTOP就任して約5年、本当に素晴らしいTOPスターだったとわたしはずっと忘れないと思います。何度もこのBlogで書いてますが、たま様は女子としてもとってもかわいい美人なので、退団後の活躍もとても楽しみっす。まずはこの『桜嵐記』が最後まで完走できるよう、心から祈ってます!
 ◆弁内侍(べんのないし):後醍醐天皇の蔵人日野俊基の娘。父の仇である高 師直がドスケベであることを利用して、ベッドでぶっ殺してやる!と思っていたところを正行に救われ、邪魔するな!とキレるも正行の実直ヒーロー像にぞっこんLOVEになるヒロイン。演じたのはもちろん月組TOP娘役のさくらちゃん。さくらちゃんも2018年からだからもう3年経ったのか……早いというかあっという間というか……本当にお疲れ様でした。今回は芝居はもちろん、歌が素晴らしかったですねえ! 本当にお見事でした。数学が得意なさくらちゃん、今後の活躍を楽しみにしてますよ!
 ◆楠木正時:三兄弟の次男。料理好きな明るい好青年。妻の百合とラブラブカップル。演じたのはちなつさんでお馴染み鳳月杏さん。わたし、たま様卒業の方を聞いたとき、真っ先にちなつさんは!? とドキドキしたんすけど、まだ残ってくれるので安心した覚えがあるっす。ちなつさんはかつての美弥さん的ポジなんすかね……でもまだまだ舞台上のちなつさんが観たいので、応援してますよ!
 ◆楠木正儀:三兄弟の三男。槍使いの武将。室町幕府時代まで生き残り、南北朝合一に尽力する。ラストでは兄からバトンを渡される的なシーンもあって、グッと来たっすねえ。。。演じたのは次期月組TOPスターが内定している95期の月城かなとさん(以下:れいこ)。ついにれいこがTOPスターになる日が近づいており、感無量ですね。。とにかくイケメン。美人。これでわたしが一番応援している星組の礼真琴さん、そして花組の柚香光さんにつづく95期3人目のTOPスターですな! くそう、この3人が集まるタカスペが観たいっすねえ! 来年こそ、タカスペ再開を願います!!
 ◆百合:正時の奥さん。演じたのは次期月組TOP娘役が内定している海乃美月さま!! わたしは何度も、さくらちゃんがTOP娘になった時に、うみちゃんの気持ちを想うとつらい……いつか報われてほしい……と書きましたが、その日がマジで来るなんて! 何度もこのBlogで書いている通り、全娘役の中でうみちゃんが一番好きなので、本当にうれしいっす!!!  
 ◆後村上天皇:本作ではかなり弱弱しい感じに描かれていましたが、演じたのは月組の御曹司、98期の暁千星くんであります。ありちゃんもなんかやせたよなあ。。。いつかありちゃんが2番手羽を背負うところを観たいすね!
 ◆足利尊氏:本作では、悪者というよりも強靭な意思のもとに行動する男、という印象でした。演じたのはありちゃんに続く月組のホープ、100期生の風間柚乃くん。ついに秋にはバウ主演も決まって、順調にステップを上がってますね! ホント、今回は月組の層の厚さを強く感じたっす。現在、一番戦力が充実しているのではないかしら。若手も育ち、ベテランも健在で、しかもそれが男役だけじゃなく娘役も層が厚いんだから、素晴らしいですよ。星組イチオシとしては、月組の充実がうらやましいと感じたっすね。。。
 ◆高 師直師泰:尊氏配下の武将兄弟。本作では師直がドスケベ欲まみれマン、弟の師泰がクールで計算高いマンとして描かれてました。そしてドスケベ師直を演じたのが、このあと専科に異動になる紫門ゆりあさん、弟の師泰を演じたのが、蓮つかさくん。実は最初、髭モジャな師直を演じているのは誰だろう? と分からなかったんすけど、紫門さんでした。師泰の方は、声ですぐ、れんこんくんだ!と分かったす。
 ◆楠木正成:回想のみ登場。演じたのは、やはりこのあと専科に異動になる95期の輝月ゆうまくん。芝居巧者としてお馴染みですが、今後は様々な組で観られるのは楽しみっすね。わたし的には、『雨に唄えば』のリナは最高だったと思うし、あと『BADDY』の銀塗り宇宙人が忘れられないすね。完璧に「むじんくん」でした笑
 とまあ、こんなところかしら。で、後半のショー『Dream Chaser!』は、やっぱり月組の層の厚さをすごく感じたっすね。
DreamChaser
 TOPスター、2番手スターだけじゃなく、次々と実力ある若手が登場するし、娘役の皆さんも実力ある方が多く、若手もベテランも粒ぞろいで、マジで月組がうらやましいというか素晴らしいと思います。しかしたま様のダンスを観るのも、わたしはこれが最後か……と思うと、やっぱり淋しいし、しんみりしちゃうっすね。。。でも、間違いなく月組は大丈夫ですよ。しつこいけど、本当に月組は戦力が整ってるなあ! と感じる公演でありました。

 とりあえず以上かな。そして最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「わたしにはあなたにやれる時がない」
 「だから今は生きたいのです! あなたもわたしも、死を思うて生きてまいりました。でも、二人が確かに生きていることだけ、今はあなたと知りたい……」
 今回はやっぱり、この二人のやり取りを選びました。ここはとても良かったすねえ……! 二人の表情がすごく胸に刺さったすよ。。。たま様は素晴らしいTOPスターとしてわたしの記憶に刻まれたし、さくらちゃんも見事なTOP娘役だったこと、ずっと忘れないでいようと思います。

 というわけで、結論。

 ついに月組TOPスター、珠城りょうさんの卒業の時が来てしまいました。。。その退団公演、『桜嵐記』は、その悲劇性の中にも、未来への希望も描かれているようにも思え、確実に次代へとつながる、卒業にふさわしい物語だったんじゃなかろうか、という気がしてきました。ホントにたま様にはぴったりの。実直ヒーローでありましたね。最高でした! そしていよいよ秋からは月城かなとさん&海乃美月ちゃんのTOPコンビとなるわけですが、とにかく月組は層が厚く、何ら心配もないっすね。星組推しとしては、月組が非常にうらやましいす。くそう、プレお披露目の博多座公演観に行きてえなあ!! 以上。

↓つうかこれは読まないといけないのではなかろうか……。

↓原典はちょっと無理だから、吉川版でいいかな

 やっと、やっとだよ。。。
 昨日の2020年10月4日の日曜日、わたくしはAM0600東京発のぞみ1号をぶっ飛ばし、兵庫県宝塚市に存在する宝塚歌劇団の本拠地「宝塚大劇場」へ行ってまいりました。はあ、それにしても長かったなあ……。ちょっと、自分用備忘録として、2月以降わたしが行けなかった公演をメモしておこう。
 ※ファンには常識ですが、以下でいう、大劇=宝塚市の「宝塚大劇場」のことであり、東宝=日比谷の「東京宝塚劇場」のことです。
 ◆2月9日:宙組公演『『El Japón-イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ!! 』@東宝を観劇。これが「コロナ前」最後の観劇となった。
 ◆3月1日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@大劇は公演中止。わたしがずっと応援してきた礼真琴さま(以下:こっちん)のTOPお披露目公演だったのに。。。この日をわたしはファンクラブに入って5年、ずっと待ち望んでいたのに。。。
 ◆3月20日:雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』@東宝は、ズカ師匠にチケットを譲ってもらったのに、公演中止。結局観られず。悲しい……
 ◆4月12日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も公演中止。チケット2枚アウト。
 ◆4月18日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇も勿論中止。チケット2枚アウト。
 ◆6月13日:星組公演『シラノ・ド・ベルジュラック』@ACTシアターも中止。
 ◆8月9日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇は、7/31に再開したのに、残念ながら感染者発生で中止。わたしなんぞよりも、演者の皆さんの無念を思うとホント泣ける……。
 ◆8月15日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も、同じく感染者発生で中止。これで、わが愛しのこっちんお披露目を生で応援することが出来ないことが確定。ぴえーーーん!
 とまあ、こんな感じに、7公演9枚のチケットがパーになったわけだが、すべて劇団はキッチリ払い戻してくれており、わたしには経済的損失が一切なかったのは、ホントに、さすが、だと心から思う。
 そして、もちろんわたしの心は、大変残念というか非常につらい思いが募ったわけだが、まあ、そんなものは演者や劇団関係者の皆さんの無念からすれば全く比較しようもなく、ファンとしてはもう、劇団にお金を遣って応援するしかない! とわたしは判断し、まず「TAKARAZUKA SKY STAGE」に加入することにしたし(※この顛末は「TAKARAZUKA SKY STAGE」加入への意外と険しかった道のりに関する記録を参照してください)、結局観ることが出来なかった星組公演『眩耀の谷』も、さっさとBlu-Rayを買ったし、ほかにも毎年4月に発売される「おとめ」やいろいろ、ほぼ払い戻されたチケット分は買い物したんじゃね? というぐらいの金額をネット通販にブチ込んでみたりしたわけです。
 そして、とうとう、その日が来たのです。わたしにとっての、8カ月ぶりの観劇の日が!! わたしはこのBlogで何度も書いている通り、チケットはほぼすべて「宝塚友の会」という劇団直営のファンクラブ的仕組みに加入して、購入している。なので、公演中止の際も、何の手続きもせず、自動的に払い戻してくれたのだが、今回も、もちろん「友会」にて、初めて大劇場でSS席が当たったので、昨日は超ウキウキで新幹線に乗車したのでありました。
 まあ、結論から言うとですね、最高of最高で、こんなに笑えて楽しいなんて! とびっくりするぐらいとても面白かったのであります。そしてついでに言うと、わたしは終演後、即帰ったので、家に着いたのは19時前でした。急げば15時ちょうどぐらいの新幹線には乗れるっすね。ホントは新装オープンした宝塚ホテルを見物しようかと思ったけど、ズカ淑女の皆様が大勢いらしたので、感染防止的観点から遠慮しときました。
 というわけで、わたしにとって8カ月ぶりの宝塚歌劇は、月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』であります! いやあ、ホント面白かったす!

 というわけで。本公演は、上記動画の通り、日本物のレビューと、ミュージカルお芝居の二本立てであります。そして珍しいことに(というかたまにあるけど)、レビューが先攻です。
 今回の公演は、今年の春、宝塚音楽学校を卒業して劇団へ入団した、106期生の初舞台公演でもあり、通常東京で観ているわたしは、ズカ歴11年半にして初めて、いわゆる「初舞台生の口上」を生で観ることが出来ました。いやあ、なんつうか、完全にお父さん目線というか、観ているわたしも緊張するっすね、初舞台生の口上は。そしてロビーにはこんな感じの全員の写真と、当日、口上を担当する二人にはお花がついてました。昨日の渚ゆりさんは、超かわいかったので、今後注目しようと思います。
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 この口上も、普通は冒頭(?)なんだと思うけれど、今回は最初のレビューのオープニングの後、という珍しい(??)構成になってました。たぶん、今回の和物レビューは、いわゆる「チョンパ」というもので、真っ暗に暗転している劇場に、「チョーーン!」と拍子木が鳴って、「パッ」と照明がつき、出演者全員が舞台に揃ってる、という場面から始まるので、そのため口上は後になったのかも……しれないす。【追記:今月スカイ・ステージで放送している「初舞台特集」で初めて知ったのですが、80年代とか90年代は口上もなかったり、途中だったり、最後だったり、いろいろ違ってたんすね。そして日本物の場合は今回同様、オープニング後ってのも普通にあったみたいですな。70~80期代の映像を観てさらに驚いたのは、関西テレビとかNHKとか制作の映像で、そりゃスカイ・ステージもなかったから当たり前だけど、普通にテレビ放送があったんですなあ。へえ~】
 いずれにせよ、6場45分はホントにあっという間でした。主題歌の「ウェルカム! ウェルカム!」が超耳に残るんすけど、本来本作は、東京五輪に合わせて世界の皆さんへ「ようこそ!」な和物だったわけで、坂東玉三郎氏監修、そして先日退団を発表された専科の松本悠里先生のファイナル舞踊ということもあって、非常に注目の作品なのだが、まあ、とにかく美しく、何度も書きますが、あっという間でありました。みなさん、やっぱり和服&青天も似合いますなあ! ラスト近くで松本先生が舞っている時の歌(=いわゆるカゲソロ。今回二人だったのでカゲ・デュエット)がすごく印象的だったので、誰だったんだろう? とプログラムでチェックしてみると、きよら羽龍ちゃんと咲彩いちごちゃんの104期生コンビでありました。大変良かったと存じます。(※でも! 実は現在の公演は感染対策上、演者を絞っており、わたしが観た回ではきよら羽龍ちゃんは『ピガール』には出演してませんでした。おっかしいな?? と思って後でプログラムを観て初めて出てないことを知ったす。超残念だよ……!)
 そしてあっという間の45分ののち、35分といつもよりチョイ長めの幕間を挟んで、ミュージカル『ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』が始まります。
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 大劇場の壁面にはズドーンと今回のポスターが。
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 そして幕間中の舞台には「Frénésie à Pigalle」。英語で言うと「Frenzy at  Pigalle」って感じか? 日本語ではまさしく「ピガール狂騒曲」ですな。
 そうなんです。わたし、全然キャラ相関図とか予習してなかったので、Shakespeareの『十二夜』原作というので、物語は原作通りイタリアが舞台なのかな? と思っていたけれど、なんと舞台はフランスはパリの「Moulin Rouge」であり、おまけにポスターイラストでお馴染みのLautrec氏も登場してくるのです。なので年代は1900年、20世紀前夜という時代設定となっていました。
 そして、時代や場所の改変は、別に全く問題ないとして、物語自体は、とても上手(?)に元の『十二夜』をアレンジしたものになっていて、そりゃもう大騒ぎの喜劇のテイストはバッチリでありました。ここまで笑えるとは思ってなかったすw
 Shakespeareではよくある「男装の麗人」だったり「劇中劇」だったりは、やっぱりビジュアルとして観ていて楽しいですな。そして勘違いから生じる大騒動ののち、ラストはハッピー&ピースフルなのもいいすねえ! つうかですね、わたしは常日頃から、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)は「女子として非常に綺麗で可愛い」と申しておりますが、たまきちくんの男装の女子ぶりは大変結構なお点前だったと存じます。そして舞台上での一人二役は、きっと着替えやメイクチェンジで、舞台裏はもう大変だったでしょう。実にお見事だったと賞賛いたしたく存じます!
 というわけで、以下、各キャラと演じたキャストごとのメモで終わりにします。
 ◆ジャック(=実は女性のジャンヌ):もちろん演じたのは上記の通り月組TOPスターたまきちくん。もう最初から、いつもとメイクが違っていて、女子っぽさが漏れ出ており、大変可愛かったと思うすね。とある理由から男装していて、ムーラン・ルージュで仕事がしたいと押しかけてくる行動派の女子。そしてその美貌から、女子にモテモテとなってしまい、わたしは女なのに!と困っちゃうわけですが、まあ、そりゃそうなりますわなw たまきちくんは、いつも書いている通りとにかく陽キャラで、どこか世間慣れしていない王子様的雰囲気が持ち味ですが、女子であっても王子様というキャラはもうピッタリでありました。最高です。
 ◆ヴィクトール:ジャンヌと幼少期に生き別れたベルギー貴族の青年。パリに来たついでにジャンヌを探すが、ムーラン・ルージュの騒動に巻き込まれて……。容姿はジャンヌと生き写し、ということで、たまきちくんがこちらも演じていますが、やっぱり男役スターとしては、ヴィクトールの方が演じやすかったかもしれないすね。出番は少ないですが、本来のたまきちくんの王子様感はヴィクトールの方が当然「いつもの」感じすね。
 ※追記:なんと昨日の10/4は、たまきちくんのお誕生日だったそうですね! ぬおお、超抜かってた! 誕生日ネタのアドリブにキャッキャできなかったわたしはファン失格だよ……。。。
 ◆ガブリエル:作家のウィリーの奥さんだが、実は作品を書いていたのは彼女で、「女性は作家になれない」的な世の中に頭にきており、ついでに夫のボンクラぶりにも激怒しており、離婚を決意。この設定が20世紀へ向けた世の中の変化、というスパイスになっている。大変な美人で、微妙に落ち目になりつつあるムーラン・ルージュの主から、そうだ、美人で作家のガブリエルを主役に演目を作れば、興行的に大成功できるんじゃね!? と出演のオファーを受ける。演じたのはもちろん月組TOP娘役の美園さくら(以下:さくら)ちゃん。なんつうか、さくらちゃんは今回のような、頭が良くて気が強い的な攻め系キャラはホント似合うね。わたし的には、怒っている表情の時のさくらちゃんは、非常に可愛いと思います。
 ◆シャルル:ムーラン・ルージュのオーナーで、若干落ち目な中、ガブリエルの舞台起用をひらめき、ちょうど押しかけ面接にやってきたジャックに、ガブリエルを口説いてきたら雇用してやろう、と持ち掛ける。ちょっと面白キャラかと思いきや舞台に対する情熱は真面目で、そんなシャルルに、ジャックことジャンヌは (――こ、この人って――トクン……) と胸ときめいちゃうわけです。ええですなあ! この、シャルルの舞台に対する思いは、まさしく今の舞台演劇の状況を反映しているものだったようにも思います。演じたのは正式な2番手スター月城かなと(以下:れいこ)さん。まあ、とにかくれいこは美形ですよ。そして2番手としての存在感がグッと増してますねえ! 歌もとても良かったし、次の月組TOPスターを期待したいですなあ。衣装や髭ダンディぶりも、すごいカッコ良かったす。
 ◆ウィリー:ガブリエルの夫。今回一番ダメな人。まあ、強いて言うと、当時の世の中の風潮としてはごく当たり前なんだろうとは思うが、ガブリエルを束縛し、女は黙ってな、的なお方。極悪人というより、ずるい人?で、ほんのり、面白おじさんでもある。演じたのは月組に帰ってきた鳳月杏(以下:ちなつ)さん。とにかくちなつさんは、その「眼」のクールさが独特で、前半の和物レビューでの「日本男児」メイクはとにかく美しかったですな。青天が超似合うすね。
 ◆ボリス:ガブリエルに付きまとうウィリーの弁護士で、今回はもう、美味しいところをかっさらっていくお笑い担当。もう最高でしたね。演じたのは風間柚乃(以下:おだちん)さん。おだちんはコメディが得意ですなあ! いやあ、ほんと笑わせてもらいましたよ。お見事だったす!
 ほか、役柄上はあまり大きい役割ではないんだけど、わたしが月組で一番大好きな海乃美月ちゃんはレビューでもお芝居でも常にかわいくて目立っていたし、月組の御曹司たる暁千星さんはさすがのダンサーぶりで、実に決まってましたな。それから、男役から娘役に転向して推されまくっている天紫珠李ちゃんも目立つ役柄だったし、あと、わたしのズカ友で一番の美人であるお方がイチオシの漣つかさくんは、ジャンヌを狙う悪者チームの一人でしたが、声で一発でわかったす。最後にもう一人、和物のメイクがすげえ似合うな、とわたしの目に留まったのは紫門ゆりやさんですな。お芝居の方ではセクシー組長こと光月るうさん率いるムーラン・ルージュの裏方チーム衣装担当としてイイ感じだったと思います。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「花は自分で咲くものよ。誰かに咲かせられるのではなく、自ら咲くわ!
 今回は、正確にセリフを覚えられなかったので、若干わたしのアレンジが入ってると思いますが、ガブリエルが宣言する「20世紀の女」の生き方的セリフがとても心に残ったす。こういうセリフを言うキャラクターが、さくらちゃんにはとても似合うっすね!

 というわけで、結論。

 8カ月ぶりに宝塚歌劇をようやく観ることが出来て、「やっぱ宝塚は最高だな!」とつくづく感じました。そして月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』も最高でありました。やっぱり、笑える喜劇ってわたしはとても好きっすね。これは東京に来たら、もう一度観に行きたいっすねえ! つうか、もう一度行きたいっす! なお、わたしが今回のチケットを買った時は、1つ飛ばしの席しか発売されておらず、でしたが、その後の規制緩和によって、昨日は最前列だけ空いてて、それ以外はフルスペックで満席に近かったです。ただ、どうもまだ全公演満席にはなってないようで、いまだチケット買えるみたいだから、まだまだ、世の中的にはおっかなびっくりなんすかね。。。新幹線も比較的空いてましたな。わたしは一人で行ったので、全く誰ともしゃべらず、常に消毒しつつな感じで、一応万全のつもりだけど、まあ、当面は東京でもきっちりしていようと思います。でも、劇場内は「おしゃべりNG」なわりに、結構、(もちろんマスク着用で)しゃべりまくってる地元のご婦人がいっぱいいました。きっとこの風景は、東京とは全然違うんだろうな、と感じたっす。ちなみにわたくし、来週は東宝で花組観てきます! 以上。

↓ まあ、知ってるといろいろもっと面白く感じると思います。もちろん、知らなくても大丈夫です。
十二夜 (岩波文庫)
シェイクスピア
岩波書店
1960-03-25

 わたしは「宝塚友の会」(以下:友会)に入会してもう5年ぐらい経っているのだが、よく、世間的に、「友会」に入ってもチケットが全然当たらない、という意見を聞くことがある。が、わたしに限って言うと、確かに確実に当選するとは言えないけれど、かなり高い頻度で当選しており、花組と雪組以外はほぼすべて、わたしは友会の抽選申込でチケットを得ている。花組と雪組は以前は買えたのに、マジでここ数回、全然当たらん!
 で、友会には「ステイタス制」ってのがあって、抽選に申し込んだり、実際にチケットを買ったりするとポイントがもらえ、その合計ポイントで「ステイタス」が決定するわけだが、高ければ高いほど抽選での当選確率が上がる、ということになっている。それがどのぐらい影響しているのかは全く不明で、そもそも本当なのかどうかすらわからないのだが、わたしとしてはそれを愚直に信じ、申込だけでもポイントゲットできるので、あまり乗り気ではない公演にもせっせと抽選申込をするのだが、先日、そのポイントゲットだけのために、まあ当たらないだろう、という日時で1枚だけ、東京ではなく本拠地である宝塚大劇場の公演を申し込んでおいたところ、見事当選、となってしまった。
 というわけで前置きが長くなったが、わたしは昨日の日曜日、約1年ぶりに、一人で、そして当然日帰りで、ムラ遠征してまいりました。ムラ遠征=我々関東在住のヅカファンが聖地たる「宝塚大劇場」へ観劇に行くこと、であります。
 ムラでは、先週ついに退団公演となったTOPスター明日海りお氏率いる花組公演が本拠地での千秋楽を終え、金曜日からは新たに月組の公演が始まっている。その月組公演『I AM FROM AUSTRIA』を観てきたのであります。

 というわけで、この公演は、「日本オーストリア友好150周年記念」と銘打たれているわけだが、原典はオーストリアで非常に人気の高い作品だそうだ。見終わった今、確かに内容的には、自らがオーストリア人であることに誇りを持とう、的な内容だったので、人気も出るわな、とは思う。一応言っておきますが、いわゆる愛国主義的な、政治的・社会的なメッセージ色はほぼないすよ。いや、あるんだろうけど、もっと純粋?というか単純?というか、明るく楽しいお話でした。
 で、物語はというと、故郷オーストリア・ウィーンを捨て(?)、アメリカに渡った女子がいて、ハリウッドで女優としての成功を手にするも、なんかどうも、いろいろと心の中はもやもやしていて、お忍びで故郷に帰ってくると。一方そのころ、その有名ハリウッド女優が宿泊予約したホテルでは、御曹司の青年が、社長である(?)母親とホテル経営をめぐってプチ対立していて、オレはもっと現代的なニーズをこのホテルに取り入れたいのに、母さんの考えは古すぎるんだよ!的な思いでいたと。そんな二人が出会って恋に落ち……てな感じである。ええ、サーセン、いつも通り超はしょりました。はしょりましたが、要するに、超ありがちなお話である、と言い切ってもよかろうと思う。
 なので、まあ基本的にはテンプレ進行でお約束通りの物語なんだけど……いやあ、実に面白かったすねえ! なんといっても、主役の二人、女優と御曹司を演じた月組TOPコンビが何ともいいじゃあないですか!! 脚本通りなのかアドリブなのかよくわかりませんが、随所にちりばめられたギャグに客席は大うけだし、歌も良かったすねえ! 
 というわけで、キャラ紹介と演じた方々を紹介していこう。
 ◆ジョージ:ホテルの御曹司。まあ実際、苦労知らずのゆとり青年といっていいだろう。しかしですよ、やっぱり月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)はいいすねえ! たまきち君は天性の育ちの良さというか、等身大のおぼっちゃま的キャラが一番似合いますな。まったくもって陽キャラだし、いつも思うけど、このお方はゴールデンレトリーバー的な大型犬のような、明るくて人懐っこいお方ですよ。今回も、非常にわんこっぽさが炸裂する前向き青年でしたね。実にお似合いでした。しかしまあ、わたしはお父さん世代なので、実際のところお母さんの言うことの方が正しいと思ったけどね。
 ところで彼は、ずっと悪役キャラから「このウィンナー野郎が!!」と侮蔑されてるわけですが、「ウィンナー」ってのはドイツ語の「Wiener」(ヴィーナー)の意味であって、つまり「ウィーンの」って意味なんですが、客席の皆さんはこの「ウィンナー野郎が!!」と呼ばれるといちいちウケてたので、意味が通じてなかったんじゃね? と若干心配です。「ウィーン野郎が!」が正しい意味ですよ。
 ◆エマ:ウィーンからアメリカに渡り、ハリウッドセレブとなって野望を遂げた女子。彼女は、実はオーストリア人でウィーン出身。しかし、いろいろと心のモヤモヤがあって、今回の帰郷は、何も言わずにおいてきちゃった母に会いたい的な気持ちもあった。
 演じたのは当然月組TOP娘役の美園さくらちゃん(以下:さくら)。今回のさくらは、とってもよかったですなあ。かわいいじゃん。特にラスト近くの「ケーキ屋さんの店員」風な衣装は抜群に可愛かったね! つうか、ほんとに細っそいなあ! そしてやっぱり99期首席は伊達じゃないですな。芝居もいいし、歌もいいよ、とても。ラストに本当の涙を流している姿には、なんかとてもグッと来たし、今回はさくらの歌は、地声で歌う部分が多くて、なんかかっこよくもあったと思うよ。ちょっと前から、このTOPコンビでUCCコーヒーのテレビCMが流れているのだが(本公演はUCCコーヒーがスポンサー)、なんか、たまきちくんに甘える、けど、ちょっと生意気な年下の彼女的ポジションがとても似合うっすね。この二人、実にお似合いじゃんか、と最近やっと理解できたっす。
 なお、役名のエマ、はハリウッドでの芸名で、本名はなんとか・ヴァルドフォーゲルというドイツ名でしたが、Wald=森、Vogel=鳥、という意味なので、「森の小鳥ちゃん」と言われたわけです。しかし、トルテを一口つまんで、「おいしい! でも、日本の宝塚ホテルのトルテの方がおいしかったわ!」的セリフは、ありゃアドリブじゃなくて脚本通りでしょうか。お客さん大ウケでした。
 ◆リチャード:エマのマネージャーで今回の悪い人。まあ、実際のところこの人は職務に忠実だっただけ、かもしれないけど、エマを利用して金儲けを企んだのがイカンかったすね。ずっとジョージを「ウインナー野郎が!」と呼ぶのはこの人です。
 演じたのは、ついに! いよいよ! 月組2番手に正式就任した月城かなとさん(以下:れいこ)。パレードの真っ赤なアレは、2番手羽でいいんですよね!? わたしとしては2番手羽を背負うれいこが見られたことが、今回最大の目玉だったようにすら感じたっす!! 胸アツですなあ!! 怪我も癒えたようで、本当に安心したし、2番手羽にはマジでグッと来たよ! よかったなあ!! うれしいっす!
 ◆ヴォルフガング:ジョージのお父さん。このお父さんがスーパーちゃらんぽらんな高田純次的テキトーおやじで笑えましたなあ! 一応、キメるところはキメてくれたし、ルックス的にも実にかっこよかったすね。演じたのは、花組から月組に戻ってきた鳳月杏さん(以下:ちなつ)。やっぱりカッコいいし上手いですなあ! 悪役を多く演じてこられたような印象がありますが、今回のような面白キャラもイケますねえ! 大変結構なお点前でしたよ。
 ◆ロミー:ジョージのお母さん。ホテル経営を取り仕切るお堅い方で、基本正論派。ジョージがふらふらしているのでまだ引退できません!!と思っている。本作では舞台がオーストリアだけに何度も『エリザベート』のキャラに言及されますが、彼女はゾフィー様と呼ばれることも。演じたのは、わたしが全娘役で一番大好きな海乃美月さん(以下:うみちゃん)。まあ何度もこのBlogで、うみちゃんがTOP娘になれなかったことを嘆いているわたしですが、そりゃあうみちゃん本人は、何リットルもの涙を流し、内心では悔しい思いをしているだろうけど、舞台上では全くそんなそぶりを1mmも見せることなく、楽しそうに、そして見事に演じてらっしゃいますので、わたしも、もういい加減にして、ちゃんとさくらを認め、月組全体を応援したいと今回強く感じたっすね。さくらはかわいかったし、うみちゃんもうみちゃんじゃないとできないお母さんでした。しかし、お堅いお母さんが一瞬はじけて、いきなりキラキラセクシー衣装で歌って踊るシーンには、完全に俺得で最高でした。うみちゃん、今後もイチオシで応援いたしたく存じます!
 ◆パブロ:ジョージが勝手にホテルに作ったフィットネスクラブのゲストに招いた、サッカーのアルゼンチン代表選手。パブロのオーストリア来訪は、実はリチャードの金儲け計画に組み込まれていた。けど、残念ながら物語的にはそれほどおいしくなく、あまり見せ場はない……のだが、演じた暁千星さん(以下:ありちゃん)は大変良かったですな。つうかやっぱり、ありちゃんって背が高いすね。そして身体能力抜群ですよ。今回は、サイドを刈り上げた新しい髪形も披露してくれたし、なんとロケットにも参加して、誰よりも足を高く上げてましたね。大変良かったと思います。
 ◆フェリックス:ホテルのフロント係でジョージと仲良しの青年。かなり性格はすっとぼけ君で、エマがお忍びでやってくるってのに、さっそくTwieetしてばらしてしまうダメ人間。エンディングはまさかのパブロとカップル誕生に驚いたっす。演じたのは、月組の若手路線街道まっしぐらの風間柚乃くん(以下:おだちん)。おだちんはコメディもイケる、貴重なキャラですね。いろいろ経験を積んで、きっと見事なTOPスターになるのは間違いないでしょうな。本作も、数年後に思い出される重要な作品になるかもしれないすね。
 ◆エルフィー:ホテルのベテランコンシェルジュのおばちゃん。今回一番アドリブ?なのか、客席の笑いをもって行った面白おばちゃん。演じたのは月組のセクシー組長でおなじみ光月るうさん。るうさんの女装は初めて見たような気もしますが、大変お達者で目立ちまくってましたね。ちなみに、やたらとアーノルド・シュワルツェネッガー氏のことを言ってましたが、つうか、シュワちゃんって古いよ……とか思ったけど、彼、シュワルツェネッガー氏も元々オーストリア人で、ハリウッドに渡って成功したお方です。シュワちゃんはドイツ語が母国語で、英語はアメリカに渡ってから身につけた人なので、やけにドイツなまりの聞き取りやすい英語をしゃべるお方なのです。
 ◆ゲルト:ホテルのフロント係の青年。真面目そうなメガネ男子。演じたのは連つかさくん(以下:れんこんくん)。今回はあまり出番がなくて、その代わりいろんなシーンに出てましたね。れんこんくんは、何気に演技派なので、どんな役でもきっちり本気で全力なのがとても好感が持てるっすね。声がいいんだよな。すごく通るというか、発声がきれいで大変良いと思います。
 ◆アンナ:ホテルのフロント係の女子。真面目なんだか、テキトーなのかよくわからないけど、フェリックスの恋のアプローチを受けたり断ったりする微妙女子。金か? 金が判断基準だったのかな? よくわからんす。演じたのは、わたしがこのところずっと応援してきたのに、本公演で退団することを発表した叶羽時ちゃん(以下:ときちゃん)。残念だなあ……ときちゃんも演技派で、すばらしいジェンヌなのだが……。まあ、まだまだ若いし、退団後の活躍を祈ってます。また会いに行くよ、必ず!
 とまあ、キャラ紹介は以上かな。今回は久々のムラ遠征だったので、いくつか写真をのっけとこう。まずはこちら↓
20191006-01
 大劇場ではこんな感じに、現在上演中作品&次回上演予定作品がズドーンと掲示されてました。わたしはいつも、AM6時東京発ののぞみ1号で遠征するので、大劇場に到着するのは9時過ぎぐらい。それだとまだ開いてないので、花の道の「ルマン」でお昼用のサンドウィッチを買います。そして9時半に劇場は開門となるのですが、その時間はまだほとんど人がおらず、こういう写真も撮り放題です。
 で、↓こちらが、開演前の舞台。
20191006-2
 こんな感じに、開演5分前からカウントダウンされてました。今回は、舞台装置に外箱公演でよく見かける縦長のLEDモニターや、プロジェクションマッピングを多用してました。そのため、セットの作りこみという意味では、意外と質素だったような気もします。

 というわけで、最後は毎回恒例のイケセリフで締めたいのだが、それは東京公演まで取っておきます。ので、さっさと結論。

 本拠地宝塚大劇場で始まった月組公演『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』を久しぶりに遠征してみてきたのだが、正直に告白すると、それほど期待してなかった……けれど、大変明るくハッピーなお話で、大変面白かったと思う。たまさくTOPコンビはとてもお似合いで、なんかいいすね! レトリーバーのような大型犬と、小柄で端正な柴犬がじゃれているような、ほっこりするコンビですな。そして、れいこの正式2番手がとてもうれしかったし、うみちゃんも元気いっぱいで、最高でした。ときちゃんの退団はさみしいけれど、どこかでまた会いたいですな。プリンシパルキャストに抜擢されることがあるかわからないけど、アンサンブルキャストでも、どこかに出演することになったら、必ず会いに行くよ。要するに、結論としては、遠征してよかったと思うっす! 面白かったわ。以上。

↓ 一瞬、これもネタになってました。ウィーンといえばザッハトルテ、ザッハトルテといえば、やっぱりデメル、ですな。超うまいっす。学生のころ、表参道のデメルに何度も行ったなあ。今でもあるんだろうか?

 というわけで、昨日は会社帰りに有楽町へ赴き、東京国際フォーラム・ホールCにて絶賛公演中の宝塚歌劇月組公演を観てきた。今年一発目の宝塚歌劇観劇は、いわゆる「外箱公演」というものである。
 ところで、「外箱公演(そとばこ)ってなんぞ?」と思われる淑女の皆さんもいらっしゃると思うので、軽く説明すると……まあ、宝塚歌劇の日本国内における知名度は相当なものだと思う、つうか、知らない人の方が少ないぐらいではないかと思うけれど、実際の公演についてはファンでないと知らないことの方が多いだろう。宝塚歌劇団は、自らの公演だけを行う「専用劇場」を宝塚市と東京の日比谷に持っていて、そこでほぼ一年中公演を開催しているわけだが、その「専用劇場」以外にも、別の会場でも宝塚歌劇団は精力的に公演を行っており、ホント、ほぼ毎日、日本のどこかで公演が行われているのであります。そういった、「専用劇場」以外の公演を「外箱公演」と呼ぶわけだ。全国の市民会館的なところを回る「全国ツアー」だったり、東京大阪のちょっと大きい劇場だったりとさまざまなのだが、ここ数年、年始には有楽町駅前の「東京国際フォーラム」での公演もレギュラー化している。
 この「外箱公演」にはひとつ、ファンにとっては重要なポイントがあって、大抵の場合、何とか組の全員、じゃないんだな。昨日わたしが観に行ったのは「月組」公演なのだが、月組のフルメンバーが参加しているわけではなく、多くの場合、外箱公演の際は、ひとつの組が2手に別れて、一方は東京、他方は大坂、とか、分かれて公演するのが通例になっている。大抵、TOPスター率いるチームと、若手主体チーム(あるいはベテランチーム)みたいに別れるのが通例であろう。
 また、ここ3年連続かな、年始の東京国際フォーラム公演では、前の年の暮れに新たに誕生したTOPスターコンビのお披露目公演的な場ともなっているのも、ちょっと押さえておきたいポイントだ。
 というわけで。現在東京国際フォーラムにおいて公演中なのがこちら、新たなる月組TOPスターコンビによる『ON THE TOWN』という作品であります。
onthetown
 どうですか。わたしは↑このプログラムを買って読んで、初めて知ったのだが、本作は映画のクラッシック作品で有名な『踊る大紐育』のことでありました。これって常識? おれが知らなかっただけ? 元々は1944年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、映画版の方が後、1949年公開なんすね。 
 で、内容としてはもう、歌って踊って大騒ぎ!なコメディーで、わたしも大変笑って楽しませていただいたのだが、なんつうか、もう、千鳥のノブ氏の声で読んでいただきたいのだが、とにかく登場キャラたちのクセがすごいんよ……! まあ、とにかくおっかしくて、笑わせていただきました。もう何度も、各キャラ(特に女子キャラ)たちのクセがスゴイんじゃあ! とツッコミを入れたくなるお話で、要するにですね、最高でありました!
 お話としては、舞台は1944年のNYC。ブルックリンの海軍ドックに入港した軍艦に乗船していた水兵たる主人公は、24時間の上陸許可を得て、いざマンハッタンへ。田舎者の主人公ご一向は大都会NYCに興奮し、おまけに主人公はミス地下鉄の女性にひとめぼれ。そんな彼を応援しようと2人の親友の水兵も街に繰り出し、それぞれ女子とねんごろになる、というお話である。サーセン、超はしょりました。
 この時代設定は要するに初演時と同じであり、日本人として思うのは、1944年(=昭和19年だぜ?)にこんなに明るく楽しいNYCを見せられたら、こりゃあもう、日本も勝てなかったわけだと思ざわるを得ないほど、1944年のNYCは生き生きしていて、まったく時代的な悲壮感など皆無、である。まあ、もちろん戦時中のことなので、ある意味での国威発揚的な、海軍万歳的な意図はあったのかもしれないけれど、少なくとも現代人のわたしの目にはそういった部分はほぼ感じられない、とにかく笑える楽しいお話であった。※追記:いやいや、戦時中である→若い男が周りにいない→女子の強力な肉食化、ってことなのかな? それはそれで納得っす。
 というわけで、以下、わたし的見どころと、むむむ……と思ってしまった点をあげつらってみよう。
 ◆月組新TOPスターお披露目!
 このBlogでも散々書いてきた通り、月組は去年の『エリザベート』をもって、長年TOP娘役を務めてきた愛希れいかさんが退団し、新たに美園さくらさんがTOP娘に就任した。そしてこれも何度も書いてきた通り、わたしとしては、月組でずっと応援してきた海乃美月さん(以下:うみちゃん)がTOP娘になれなかったことに対して、深い悲しみを抱いていたのである。なので、さくらちゃんには全く罪はないのに、若干、チッ……さくらめ……! とか思っていたのである。しかし! あー、くそ。やっぱりさくらは優等生、ダンスなんかとてもイイじゃないですか! おまけに、重要なポイントとして男役TOPスターとの相性というものがあるわけだけど……くそう、TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)とのコンビはかなりイイじゃないの!と思ってしまったわけです。世に「たまさく」と呼ばれるこのTOPコンビは、実に実に、大変悪くないすね。つうか、もともとたまきちくんは、ゴールデンレトリーバー的な優しく明るいワンコ系健康優良児キャラだとわたしは思っているけど、さくらもすごく健康的で、このコンビは相当アリっすね。 今回のさくらちゃんは、若干布の面積少ない系の衣装が多かったような気がするけど、ズバリ、足がいい! セクハラ視線で申し訳ないのだが、ダンスは大変結構なお点前であった。コメディ演技もなかなかのワザマエであったと思う。歌は……まあ、ええ、悪くない、すね。さくらちゃんは99期の首席ということで、やっぱり芸のレベルは高いすね。というわけで、今後はさくらちゃんもちゃんとわだかまりなく応援したい所存であります。が、うみちゃんの方が美人だし芝居もダンスも歌もうまいもんね!と心の中で思うわたしであった。
 ◆クセがスゴイんじゃ! の女子たち
 まず、わたしとして最初に称賛したいのは、自然史博物館で主人公の親友オジーが出会った人類学の学者女子、クレアを演じた蓮つかさくん(以下:れんこん)であろう。れんこんくんは普段男役で、身長も高いのだが、今回は女子の役で、しかもまあとにかくクセがスゴイ! 笑わせてくれましたなあ! おまけに、わたしは初めてれんこんくんが女子の役を演じるのを観たのだが、まず普通以上に可愛いじゃないの! そして歌も超がんばって普通に女子だ! ということにとても驚いたっすね。いや、女性なんだから当たり前なんだけど、これが当たり前じゃないわけですよ。それが宝塚ってモンなわけで、とにかくれんこんくんは、大変良かったと思います。学者なので真面目女子かと思いきや、なんかのスイッチが入ったのか(?笑)、ウブな水兵をガッツリ喰らいに行くその肉食性も大変イイと思います!
 そしてもう一人のクセがスゴイ、超肉食系女子タクシードライバー、ヒルディを演じた白雪ちさ花さんも強力でしたなあ……ちさ花さんは91期ともはやベテランで、今までそれほど目立った役は記憶にないけれど、実に楽しそうに演じられていたのが印象的でした。
 そして、わたしが何気に注目していたのが、このヒルディ―のルームメイトで引きこもり系地味系女子のルーシーを演じた叶羽時ちゃん(以下:とき)であります。ときちゃんというと、1回新公ヒロインを経験してるのかな。お顔に特徴があるのですぐわかるのだが、わたしとしては、前回の『エリザベート』で、シシィのお姉さんのヘレネを演じてたのがスゴイ印象深いんすよね。きっとヘレネは、猛烈に頑張っていたのに、ゾフィーには変な服とか髪型がアウトとかダメ出しをされ、挙句に皇帝フランツにはガン無視されるという、エリザベートきっての気の毒なキャラなわけだが、その時のときちゃんの表情というか芝居がわたしには非常に印象深かったのだが……今回は、まあクセがすごいんよ……! 余り出番もないし、セリフもほぼない役だったけど、それでも今回もとても印象に残ったす。いやあ、ときちゃんはなんか応援したくなるっすねえ! 最高でした。
 ◆若手スターは大ハッスルの巻
 今回、主人公を応援しようとハッスルする親友二人を演じた若手スターも大変良かったすね! まず、タクシードライバーのヒルディーに喰われちゃう真面目系男子、チップを演じたのが月組の御曹司こと暁千星くん(以下:ありちゃん)。ありちゃんは、まあ、今回の公演では2番手格なわけで、実に安定したパフォーマンスでした。やっぱりありちゃんはダンスの人なんでしょうか。いや、芝居の人かな? ともかく、のびのびとしたダンスはやっぱりお見事だし、真面目なんだけど、まわりのクセのすごい人々に感化されて後の、まあ、いっか、キャラへの変化も良かったと思います。
 そしてもう一人、学者のクレアに押されまくってLOVEっちゃうオジーを演じた風間柚乃くん(以下:おだちん)ももちろん良かったすね。若干お調子者的キャラはたいへんおだちんにお似合いでした。しかしやっぱりというか、おだちんは身長が若干低いんですな。クレアを演じたれんこんくんの方がデカくて、その凸凹カップル振りも大変楽しかったすね。
 ◆そして以下はネガティブ感想です。
 1)これは演出の問題……か?
 なんつうか、場面場面のつながりが妙に悪いように感じたし、場がフッと止まっちゃうような瞬間も何度かあったような気がします。なんなんだろうな……プログラムによると、版権の都合上、脚本は一切手を加えてはならん、という制約があったそうで、お話的に物語が進む場面に、キャラの脳内妄想でぱーーッと歌って踊り出すシーンが挿入される感じなんだけど、その脳内妄想シーンが浮いているというか……若干、わたしは戸惑ったす。まあ、舞台装置も最小限だったし、どうにもならんことなのかな……
 2)音響の問題なのか滑舌の問題なのか……?
 今回、わたしはたぶん、外箱公演で生オケだったのは初めてだったような気がする。そのおかげで、音楽の楽器の音はとても素晴らしかったと称賛したいのだが、残念ながら演者の台詞や歌詞は、聞き取りにくい部分があったように思う。これは……マイクのせいというより、滑舌、なのかな……分からんす。
 3)月組の「歌唱力」に関しては、課題なんすかねえ……。
 やっぱりですね、ミュージカルは歌が大変重要なわけですが……ズバリ言うと、今の月組は「歌ウマ」の組ではない、でしょうな……芝居に関してはピカイチだと思うし、ダンスもみな極めてレベルが高いと思うものの、やっぱりあとは歌が課題なんすかね……。そもそもたまきちくんの歌も、わたしは全く嫌いじゃないしアリだと思うけれど、歌ウマとは言えないですわな。そこをなんとか、さくらがより一層鍛えて支えてほしいところなんすかね……。さくらは歌ウマまで相当近づいていると思うので、もう鳥肌モンだぜ、レベルまで鍛え続けていただきたいですな。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「チーズケーキを食べに行こうぜ!」
 今回は、余りセリフを憶えてないんですが、おだちん扮するオジーが、れんこんくんをナンパしようと放ったこの台詞を選定しました。え!? なんでチーズケーキ!? と思わず吹いちゃったす。NYCの名物ってことなの? わかんねえけど、そのカッコつけ具合とセリフのギャップが最高でしたので、今回のイケ台詞に推したいと思います。

 というわけで、結論。
 2019年1発目のわたしの宝塚初めは、外箱公演『ON THE TOWN』でありました。月組選抜メンバーによる公演で新TOPコンビのお披露目となったわけだが、結論としては大変笑えて、明るく楽しいミュージカルで大満足であります。しつこいけどもう一度言わせてください。とにかく、クセがすごいんよ! 笑えたっすねえ、ホントに。まあ、昭和19年という時代にこんなに楽しい毎日を送っていたメリケン人どもには、勝てないっすな。歌って踊って大騒ぎ、とはこういう作品を言うんでしょうな。大変楽しめました。そして、新TOP娘の美園さくらさんを、今後は屈託なく応援できるような気がしました。たまさくコンビはアリ! すね。大変良いと思います。そして、何気に初めて見たれんこんくんの女子姿は、大変可愛かったです。これもアリ、と判定いたします。実にアリです! 以上。

↓ 実は観たことないのです。原典として、勉強しておくともっと楽しめたのかもな……。
踊る大紐育 [Blu-ray]
ジーン・ケリー
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-06-03








 というわけで――現在日比谷の東京宝塚劇場にて絶賛上演中の、月組公演『エリザベート』。わたしは既に9月にムラ観劇(=兵庫県宝塚市の「宝塚大劇場」で観劇すること)してきたわけだが、以前書いた通り、大変人気の高い演目であり、おまけに月組TOP娘役である愛希れいかさん(以下ちゃぴ)の退団公演というブーストもあって、とにかく、本当に、まったく、チケットが獲れない。特に東京はもう全くダメ、であったのだが、わたしのヅカ師匠の美しいお姉さまが行けなくなったということでチケットを都合してくださったため、なんとか観に行くことが出来た。
 わたしが観た2カ月前のムラ観劇では、2番手スター美弥るりかさん(以下みやちゃん)が体調不良により無念の休演となってしまって、ある意味超レアな配役での観劇は幸運だったかもしれないけれど、みやちゃんの無念を思うとまったく幸運とも思えず、東京までにみやちゃんが元気に復帰するとよいのだが……と心配していたわけだが、その心配は無事に解消され、東京公演ではみやちゃんが復帰し、物語の重要人物フランツ・ヨーゼフ1世を演じてくれている。
 というわけで、2回目の観劇となる今回、わたし的注目点として、以下について思ったことを書き連ねてみたい。もはや主役の二人については、今回は触れません。素晴らしかったのは言うまでもないので。
 1)みやちゃんのフランツはいかがであろうか……
 2)月城かなとさん(以下れいこ)の演じるルキーニはいかに。
 3)わたしが月組で一番好きな海乃美月ちゃん(以下うみちゃん)の美しさをずっと見守っていたい!
 4)ムラではノーチェックだった美園さくらさん(以下さくら)をちょっと気にして観よう。
 とまあ、要するにムラで観ることが出来なかった、本来キャストの演じぶり・歌いぶりと、大ファンのうみちゃん、それから全くムラではチェックしなかったさくらちゃんについてであります。

 はーー……しかし、ホントに『エリザベート』という作品は、歌が素晴らしいすねえ……オープニングからフィナーレまで、まったく飽きないし、数々の歌に聞き惚れますなあ……。
 というわけで、順番に思ったことを書き連ねてみよう。
 1)みやちゃんフランツは恐ろしく線が細くて、なんつうか、はかない……。
 まあ、みやフランツの美しさはやはり想像通り、とても際立っていたと思うけれど、やっぱり、演者が変わると印象も違うものですな。みやちゃんのフランツは、まず、なんといっても華奢で(ただし立ち姿はビシッと真っ直ぐで極めて美しい)、ホントにエリザベートが大好きな男だったように感じたすね。
 なので、超つれないエリザベートに心傷つくフランツぶりは、観てて悲しくなっちゃったす。わたしは男なので、どうしてもフランツが気の毒に思えてしまうんすよ……これは、わたしの後輩女子の意見とは全く正反対で、女子から見ると、1回浮気した時点でもう許せるわけがなく、ふざけんな、なんだそうだが、許してあげてほしいけどなあ……男としては……。ダメっすかねえ……。皇帝なんだから、側室を……持てないか、カトリックは無理か? ちょっと詳しくは分からんけれど、なんというか、みやちゃんフランツは、観ていてホントに、許してあげてくれよ……という気持ちになったす。それがいいことなのか悪いことなのか、わたしには判断できない、けど、これはこれでアリ、だとわたしは思う。歌も良かったすね。一部若干苦しげだったのかな……まあ、それはフランツの心が苦しかった故、とわたしは解釈したいと思います。結論としては、みやちゃんフランツは、超はかなく美しかった、すね。とりわけ、わたしがグッと来たのは、まあ夜のボートは当然として、「と~び~~らを~あけてく~れ~こころ~~やさ~しい~~~エリ~~ザベ~~~ト!」の最後通牒の時のみやちゃんに泣けましたなあ……この時は浮気もしてなかったのに……つらいす……。
 2)れいこルキーニはやっぱりカッコイイね!
 ま、これは想像通りのカッコ良さで、言うことなしであろうと思う。歌も、とても良かったと思うし、アドリブの余裕ぶりも、さすがに手慣れた感があって、大変結構なお点前であったと思います。はあ……年明けのみやちゃんとれいことうみちゃんのバウを観に行きてえ……絶対チケット獲れないよ……くそう……!
 3)本当にうみちゃんは美しいですなあ……オレ的ナンバーワンヅカ美人は揺るぎなし!
 今回はムラで買ったプログラムでバッチリ登場シーンを予習しといたので、きっちり双眼鏡でうみちゃんを追えました。冒頭の幽霊ヴィンディッシュ嬢がすごい見にくい位置で、前のご婦人の頭が超邪魔で、く、くそう、あと10cmズレてくれ!!とか思ったのはどうでもいいとして、とにかくうみちゃんの、スポットライトが当たっていない時も当然演じ続けるその姿勢に、やけにグッと来たすね。
 ちゃぴエリザが「エーヤン、ハンガリー!」の時に一番エリザに近い位置にうみちゃん演じるハンガリー貴族婦人がいたり、ウィーンの民衆の中にいても、当たり前かもしれないけど、一切手抜きナシの全力芝居でますますファンになりました。もちろん、渾身のヴィンディッシュ嬢は東京でも圧巻で、先日SKY STAGEの番組でこの時の芝居の解説をチラッとうみちゃんがしていたのを見たけれど、その説明通り、完璧だったとわたしは大絶賛したいと思います。
 うみちゃん曰く、ヴィンディッシュ嬢は、それまでは完璧に自分が皇后だと思い込んでいて、周りも、はいはい皇后さま、的に合わせてくれていたために、心が安定していた、けれど、本物の皇后がやってきて、周りのみんながヴィンディッシュ嬢を構うことなく、手にしていたボロボロの扇子を落としたとき、じゃああたしは誰? と真っ白になってしまったのだそうだ。そして、エリザベートと対面した時は、鏡として、演じるちゃぴの心をそのまま映す存在として放心しているんだけど、(エリザベートになり切っている)ちゃぴのハートがあまりにも圧倒的で、どうしてもあのシーンでは勝手に涙が出てしまう、てなことらしい。
 ここでのエリザベートの歌(日本語では「魂の自由」)は、ドイツ語では「Nichts, Nichits, Gar Nichts」という歌で、えーと、英語で言うと「Nothing Nothing Nothing at all」ってことかな。要するに私が得たものなんて、何も、まったく何もない、という歌なんだけど、ドイツ語で聞いても凄くわかりやすいと思うので、自分用メモとしてYou Tubeから貼っておこう。歌詞の内容は日本語版とかなり違うんすね。

 これをチェックしてみたのは、SKY STAGEで観た今回の月組『エリザベート』のメイキング的な番組で、演者の皆さんが「歌詞じゃなくて音自体」に感情を込めないといけない、と揃って同じようなこと仰っておられたからだ。我々日本人的には、どうしても歌詞の意味に感情を求めちゃうんだけど、それよりも音自体が重要なんだそうで、じゃ、他の言語で聞いたらどうなんだろう?と思ったからです。そしてオリジナルのドイツ語で聞いてみても、やっぱりグッときますね……このシーンは。本当にうみちゃんは最高です!
 4)さくらちゃん……キミ、意外とデカいね?
 というわけで、うみちゃんはTOP娘になることが叶わず、さくらちゃんが年末のタカスペからかな、月組TOP娘となるわけだが、わたしはうみちゃん派とは言え、さくらちゃんにはなんの罪もないし、さくらちゃんを嫌う理由は何一つないと思っている。
 歌もうまいし、99期首席、大妻出身の数学が得意な賢い娘さん、みたいな知識はあったけど、実はわたしがさくらちゃんを明確に認識したのは『雨に唄えば』でのヒロイン役しかなく、今回はキッチリとチェックさせてもらったのだが、第一印象としては、デカい、すね。さくらちゃんは。女官6人衆の後ろから2番目で、常に忙しく立ち回っている姿が印象的でした。あと、世界の美女の、なんかクレオパトラ的なエジプト娘がさくらちゃんだったけど、まあ、サーセン、オレ的にはスペイン代表フラメンコガールを演じた海ちゃんの方が圧倒的に美人で可愛かったす。なんというか、役柄的に仕方ないけれど、さくらちゃんはちょっと表情がカタイすね。まあ、勝手な想像をするに、きっと真面目で勉強のできる娘さんなんでしょうな。そのカタイ表情は、とても賢そうに見えるすね。今後の数々の演目で、さくらちゃんのいろいろな表情が観られることを期待します。男としては、こういうおカタイ真面目っ子が笑うと可愛いんだよな……ホント、頑張ってほしいすね。
 
 というわけで、もう書きたいことはなくなったので終わりにしたいけれど、やっぱりちゃぴは凄い娘役ですよ。本当に彼女の全力は観ていて心震えるし、退団後の東宝帝劇版シシィは間違いないでしょうな。そしてやけにダイナミックで活力あふれるたまトートも、やっぱりイイと思います。若干歌は苦戦してるのかな……という気もしなくもないけど、アリですよ、たまトートは。
 一応、千秋楽は近所のシネコンのライブビューイングで観られることになったので、ちゃぴの、ホントにホントの最後を目に焼き付けておこうと思います。ライヴューは視点が固定されちゃうから、うみちゃんの姿はあまり見られないかもしれないけど、渾身のヴィンディッシュ嬢は映画館の大画面で味わいたいすね!

 というわけで、結論。
 2回目となる2018年月組版『エリザベート』を日比谷の東京宝塚劇場で観てきたのだが、なんなんだろう、もう何度も観ている作品なのに、やっぱりイイすねえ……ホントに。やっぱり、楽曲の素晴らしさなんだろうな……そして演者によって雰囲気も変わるし、まったく飽きないすね。もう歌の歌詞まで憶えちゃってるわけで、ほぼ完ぺきにトレースできちゃうのは『エリザベート』ぐらいですよ。人気があるのもうなずけるす。今回の月組版も、とても楽しめました。来年あたり、東宝帝劇版またやってくれねーかなあ……。以上。

↓ ドイツ語版のCDが欲しいす……配信で買えってことかな……。日本語以外で聞いてみるのもおススメっすね。

 はあ……なんつうか、早くも今年の半分が終わり、すっかり夏ですなあ……わたしは暑いより寒い方が断然平気で、ズバリ言うと、夏は嫌いだ。直射日光がもうアカン。というわけですっかり梅雨明けしてしまった東京だが、現在、赤坂ACTシアターにおいて、わたしの愛する宝塚歌劇団の、月組選抜メンバーが『雨に唄えば』という作品を絶賛公演中である(※あと2日で終わっちゃうけど)。映画で有名なこの作品、舞台版では舞台上で本当に雨を降らせることでも有名だろうし、今回の宝塚版でも当然雨は降らせ、しかも相当などしゃぶりぐらいの勢いで雨を降らせると聞いて、わたしも劇場で観たかったのだが、いかんせん土日しか観に行けない身としては、こうしたいわゆる「外箱公演(注:宝塚歌劇団所有の専用大劇場以外の公演のこと)」は、行ける日程にも限りがあり、要するに、ええ、チケットが獲れなかったのであります。なので、今回は見送りかなあ、とか思っていたのだが、そうだよ、いまやほぼすべての公演を「ライブビューニング」なる手法で各地の映画館へ映像配信している宝塚歌劇団である。そうだ、ちょっくら家の近所の映画館のチケットを予約してみよう、というわけで、結構あっさりそのチケットは獲れたのでありました。おまけに、客入りとしては満席ではなく、若干の余裕がある販売状況であった。
 というわけで、昨日、わたしが近所のシネコンにて観てきたのが、月組公演『雨に唄えば』のライブビューイングである。結論から言うと、遠い日に観た映画版の内容を完璧に忘れているわたしとしては、こんなに笑えるコメディーだっけ!? とびっくりするぐらい、笑えて愛らしい、楽しいお話であった。コイツはホント、劇場で生で観たかったわ……! 大変面白かったす!

 お話としては、1927年だったかな、舞台はハリウッド、そしてサイレント映画のスターである男優ドン・ロックウッドと、女優リナ・ラモンドの二人は、大人気のカップルで、二人の主演作は大変人気があった。しかし、実のところドンはまったくリナが好きではなく、一方的にリナから婚約者ヅラされてやや迷惑に思っていた。そして、大問題として、リナは若干ぶっ飛んでる系の女子で、その喋り方はとんでもなく、声もまた甲高い、けど、サイレント映画なので問題ナシ、というギリな状況の中、いよいよハリウッドにもトーキー映画の幕開けとなり、しゃべれない、歌えないリナではトーキー映画はアカンだろうということで、ドンは、親友でミュージシャンのコズモが作る楽曲と、とあるきっかけで知り合い、そして恋に落ちたキャシーにリナの吹替えを演じさせることで、初のトーキー映画を成功させようとするが、吹替なんてとんでもないわ! というリナのプライドに邪魔されて……的なお話である。
 要するに、古き良きハリウッドらしい、ドタバタコメディーなわけだが、やっぱり見どころは各キャラクターを演じた皆さんの熱演であろうと思う。実に楽しく、素晴らしかったすね。
 ◆ドン:主人公のイケメン俳優。演じたのは勿論のこと、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)。わたしはたまきちくんはこういう優しい男系で等身大系で、スーツを着ている系の役がとても似合うと思っているので、今回のドンも、もう文句なしである。数多いタップダンスも良かったし、なんつうか、安定のたまきちくんでした。ホント、TOPとして歌も演技も安定してますな。そして雨のシーンは想像してた以上のどしゃ降りだったすね。これは生で観たかったわ……。たまきちくんは意外とコメディもイケるんですなあ。なんつうか、育ちの良さそうなイイ人を演じさせたら、現在のTOPスターの中ではピカイチだとわたしは思う。それだけに、次回作のトート様がどうなるか、すげえ楽しみですな!
 ◆リナ:ルックスは美しいけれど、しゃべりや声がトンデモ系の困ったちゃん系大女優。役回りとしては若干悪役になってしまうけれど、実際のところリナも一応は努力しているわけで、ちょっとかわいそうな女子でもあるように思えた。そして演じたのは、前作『BADDY』で銀色の肌の宇宙人を演じて笑わせてくれた輝月ゆうまくん(以下:まゆぽん)。『BADDY』を一緒に観に行った後輩女子は「むじんくん」と名付けていました。あの宇宙人はホント最高でしたな。そして今回は、普段の男役からもうって変わって女子役なわけで、しかもトンデモ女優ということで大変身なわけだが、まゆぽんは177cmとたまきちくんよりデカいので、なんかもうその圧がすごくて、役にぴったりだったような気がします。歌も見事でしたね。お話としては一番のキーキャラと言っても良いと思うけど、実に楽しそうに演じられているのが印象的でありました。95期ということで、わたしの一番好きな礼真琴ちゃんと同期なわけで、今後の活躍も期待したいと存じます。素晴らしかったよ!
 ◆コズモ:ドンの幼少期からの親友でミュージシャン。演じたのは月組2番手スター美弥るりかさん(以下:みやちゃん)。なんつうか、たまきちくんがTOPになってからのみやちゃんは、自分より5年若いTOPを支えるベテラン(たまきち:94期、みやちゃん:89期)として、ホントに味が出てきたように思いますね。コズモという役もぴったりだったと思うし、その美貌と歌、そしてダンスも非常に輝いてました。たまきちくんとしては、みやちゃんがそばにいてくれることはとても大きいだろうなあ、と感じます。そして星組イチオシのわたしとしては、元星組生だったみやちゃんが、短くてもいいからTOPになってほしいと強く望みます。TOPになれずに卒業してしまったらとても悲しいすね……みやちゃん……3公演ぐらいでも星組に戻ってTOPになってくれないかなあ……。
 ◆キャシー:ドンが知り合う演劇女子。そして美声の持ち主。舞台出身のため、映画なんてただの影よ! というご意見の持ち主のため、初対面時はドンのことは嫌いだった(?)だが、一方的に惚れちゃったドンの強力なアプローチで、だんだんとドンに魅かれていき恋に落ちる。演じたのは、過去新公ヒロインやバウヒロインを経験し着々とキャリアを積んでいる99期生、美園さくらちゃん(以下:さくら)。わたしは全然新人公演を観られないので、本公演でのさくらちゃんしか知らなかった、というより、ズバリ本公演での印象は全くないお方なのだが、なるほど、歌もダンスも、悪くないすね。さすがに99期生首席入団だけありますな。芝居に関しては、まあ、若干オドオドしている感じは受けたけれど、これはキャラクターに合わせたオドオドだったと思うことにしよう。その実力は確かなものとお見受けした。さっそく「おとめ」チェックしてみたところ、なんと、大妻出身かよ! そして特技は「数学」ときたもんだ。へええ~! わたしの姪っ子が通い、わたしの会社の近くでもあるので、大妻出身と聞くとなんか応援したくなるすね。そうか、月組のさくらちゃん、覚えておこう。顔に特徴があるから、今後すぐに見分けられると思うので、注目していきたい所存であります。
 ◆デクスター:映画監督。監督だけど、撮影所のお偉方とかドンよりも若干立場は下のようで、自分の意見を言うもあっさり場に流される、若干のボケ役。演じたのは、わたしのヅカ友の美人お姉さまがイチオシの漣つかさくん(以下:れんこん)。わたし、今回一番笑ったのはデクスターのボケかもしれない。おかしな男だったすね。れんこんくんは若干出番が少なかったけれど、きっちり印象にの起こる演技だったよ!
 今回の公演は、月組公演とは言え、現在月組は3班に別れているので、ちょっとキャストが分散していて、本作では、わたしの好きな月組ジェンヌが揃って欠席であった。月組TOP娘役のちゃぴこと愛希れいかさんは単独バウ公演中だし、美貌のれいここと月城かなとさんは単独主演作に出演中だし、わたしが月組で一番応援しているうみちゃんこと海乃美月さんも、れいこさん主演作でヒロイン中だし、というわけで、月組はやっぱり層が厚いなあ、と感じますな。つうか、ちゃぴ卒業後のTOP娘役は海ちゃんで決まりでいいんすよね……? さくらちゃんも有力候補なんすかねえ……。まあ、発表の時を待つことにしましょう。

 というわけで、さっさと結論。
 月組公演『雨に唄えば』を、ライブビューイングで観てきたわけだが、まあ、やっぱり生の舞台とは違いますな。その迫力はやっぱり比べ物にならないし、ホント、みんな大人しくシーンとして観ているので、拍手も出来ないし、なにより、視線が映像に固定されるので、自分の見たいジェンヌを追いかけられないし。でもまあ、それでも観られないよりはずっとマシなので、チケットが獲れなかったわたしとしては大変ありがたし、であった。そして作品そのものとしては、意外なほどのコメディーで大変楽しめた。面白かったす。そしてそれを支えるジェンヌの皆さんの確かなパフォーマンスも大変素晴らしかったと思う。たまきちくんとみやちゃんのタップダンスは見事だし、まゆぽんは笑わせてくれたし、さくらちゃんは可憐だったし。まあ、言うことナシ、大満足でありました。そしてサーセン! 今回はイケ台詞、メモするの忘れたので、かなりあいまいですが、1幕ラストの土砂降り直前の、「今日は雨ね」「フッ……僕のそばには(キミという)太陽がいつもあるさ……」的なセリフが一番カッコ良かったと存じます! いやあ、たまきちくんの等身大な男のスーツ姿は、ホントいいですな! 最高です。以上。

↓ 本当は予習していくべきだったのかなあ……。サボってサーセンした。
雨に唄えば (字幕版)
ジーン・ケリー
2013-11-26

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