昨日、ずっと待っていた(2)巻が、ようやく発売になったコミックを読んで、はー面白かったわ……と満足したわたしだが、基本的にこのBlogでは、一度取り上げたコミック作品は、次の新刊が出ても記事を書かないでいる。のだが、あれっ? ちょっと待てよ? と調べてみたところ、(1)巻を読んだときの記事を書いていないことに気が付いた。
 というわけで、今日は(1)巻(2)巻をまとめてレビューを書こうと思った次第である。実に面白く、絵もいいし、漫画力が大変高い作品である。タイトルを『空挺ドラゴンズ』といい、「龍」の棲む世界で「龍捕り(おろちとり)」を生業とする飛行船乗りたちのお話だ。非常にファンタジックでありながら、細かい設定がきっちりと決まっているようで、世界観が極めてしっかり、ある意味リアルに存在している。そのため、キャラクターたちも、とても溌剌としていて、まさしくその世界に生きており、どことなくジブリ的な空気感がとても様になっているというか、ともかく実にイイ!のである。
 本作は講談社のgoodアフタヌーン誌に連載中だそうで、公式Webサイトで第1話が読めるので、まずはそちらを読んでもらった方が早いな。上のリンクをクリックして読んでみてください。


 さてと。基本的な世界観は前述の通りだが、第1話を読んでいただいたならもう感じてもらえたと思う。そう、この世界で描かれる「龍」及び「捕龍船」は、要するに我々の世界で言うと、鯨や捕鯨船に近いイメージだ。空を飛ぶ「龍」を、「捕龍船」で追い、銛を打ち込み捕らえた龍を解体し、その肉や油を売って生活するわけである。そんな「龍捕り」の面々を描いた物語は、龍の食べ方の料理描写もやけに細かく、ある意味『ダンジョン飯』めいた風味あるし、あるいは空中海賊(空賊?)も出てきたりして、そんな面はとても「ラピュタ」っぽくもある。不思議な漫画だ。(1)巻では基本的にずっと空が舞台であり、昨日発売になった(2)巻では、立ち寄った港町が舞台となる陸(おか)の物語になっているので、この期に(1)巻(2)巻をまとめ買いして是非読んでいただきたいと思う。
 そして登場キャラクターも、まだまだその出自というか、なぜ「龍捕り」となったか、というような過去の話は一切出てこないけれど、それぞれが非常にキャラが立っていて、とても生き生きしている。というわけで、お約束のキャラ紹介をやっておこう。
 ◆ミカ:捕龍船「クィン・ザザ」号のエース龍捕り(おろちとり)ともいうべき、主人公的キャラ。ロン毛無精ひげ。勇敢というより無謀。とにかく、捕らえた龍を「美味しくいただくこと」が最大のモチベーション、のように現状では描かれている。(2)巻では「千剖士」という古くから龍を解体・加工して暮らしてきた一族の人々が出てくるが、その一族の出ではないけれど、その一族と仲がいいことが判明。捕らえる時の勇猛さだけでなく、解体の腕も確か。彼の過去にどんなことがあったのかは、今後語られていくんすかねえ。
 ◆タキタ:見習い龍捕りの女子。明るく元気な娘さん。クルーのみんなからも可愛がられている(?)雑用係。経緯は分からないが支度金として船に借金がある模様。
 ◆ジロー:まだ若い龍捕りの青年(少年?)。背も低い。目がいいので見張り台に立つことも。父が龍捕りだったらしく、父に習った天測も正確。生真面目。何かと突っかかるが、やっぱり彼もクルーのみんなに可愛がられていると思う。つーかですね、クルーのおっさんたちも、いろいろあるけどみんな善人ばかりなんすよね。それがこの作品を大変心地よくしていると思うな。(2)巻では町に住むカーチャという少女と仲良くなるエピソードも大変良い。
 ◆ヴァニー(ヴァナベル):捕龍の腕は船内一の腕利き美女。クールビューティー。曰く、地上に居場所がなかったから、空の飛び方を覚えただけ、だそうです。彼女を「ヴァナベル」と呼ぶのはミカだけで、何らかの二人だけの過去があるのかもしれないすな。超・酒豪で、一切酔わない模様。カッコイイ女性。クールであっても、船内で浮いているとかそういうことはなく、男女問わずみんなから尊敬されているような感じ。
 ◆ギブス:龍捕りのリーダー。のっぽの髭もじゃのおじさん。
 ◆クロッコ:船長代理。そういや船長がいないな。クィン・ザザ号を愛してるっぽい。
 ◆リー:管理長?的な、船内の金庫番。
 ◆カペラ:操舵手の眼鏡女子。背が高い
 ◆ヨシさん:料理長(?)
 ◆ニコ:龍捕りの男の一人。背が高く頭に黒バンダナ(ニット帽?)着用で目が隠れている顎鬚の人。次元大介っぽい風貌。
 ◆オーケン:龍捕りの男の一人。黒髪おかっぱみたいな髪型の糸目の人。
 ◆フェイ:龍捕りの男の一人。金髪。若干チャラい系?
 ◆ソラヤ:龍捕りの男の一人。黒髪。カイさん的な皮肉屋めいた、喧嘩騒ぎにも参加しない系
 ◆ダグ:機関長?のおじちゃん。
 ◆メイン:機関士の女子。黒髪黒目。
 ◆ウラ爺:「千剖士」の長。ミカとは馴染みの仲。盲目。
 ◆ナナミ:「千剖士」の一族の女性。黒髪ロング&三つ編み&太眉。
 えーと、他にもまだクルーはいるようだが(1)巻(2)巻で名前が出てきたのは以上かな。まあとにかく、非常に独特な、物語的にも、絵柄的にも味のある、大変面白い漫画であるとわたしとしては万人にお勧めであります。あ、あと、出てくる「龍」のデザインが、毎回それぞれ独特で、それもひとつの見どころというか、これまでの「龍」の常識とは違う非常にオリジナリティがあって、わたしとしては大変素晴らしいと思った。
 なお、著者である桑原太矩先生については、あまり情報がないのだが……どうやらアフタヌーンで『とっかぶ 特別課外授業』という作品を連載していたようで、こちらはまた全然まったくの現代物で、まるで雰囲気は違うんですな。ちょっと気になるので、次のフェアのときにでも買ってみようかしら。おっと、以下↓これは(1)巻が出た時の桑原先生のTweetだが、やっぱりすぐ重版されたりと結構売れてるんですかね。もっともっと売れてほしいですな!

 というわけで、結論。
 去年、ふとしたきっかけで買って読み、大変気に入っていた漫画『空挺ドラゴンズ』の(2)巻が昨日発売になり、すぐさま買って読んだところ(電子書籍なので、昨日、新刊出ましたよーと勝手にお知らせが来たので、朝のコーヒーを飲みながらすぐさま買った。なんて便利な世の中!)、今回も大変満足の内容で、面白かった。今のところ、キャラクター達の背景はほぼ描かれていないが、そういうのはとりあえず現状ではナシでも十分楽しめると思うし、あまりそういった面にこだわらなくてもいいかなというような気がする。とにかく世界観がしっかりしているし、キャラクターも大変好ましい。今、わたしが非常に続刊を望む漫画の一つであることは間違いなかろう。大変気に入っておりますので、ぜひ! 以上。

↓ 桑原先生のデビュー作はこれか。要チェックかもな……。