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 日本では255億を稼ぎ、全世界では12.7億ドル(=109円計算で1,388億円!)も稼いだ『FROZEN』。物語はもちろんのこと、その主題歌「Let It Go」もこの大ヒットに大きく貢献し、今ではBroadwayミュージカルとしても上演している(※日本の劇団四季版は2020年9月開幕!)スーパー優良コンテンツである。お、四季のPVがあるから貼っておこう。

 ところで、わたしが『FROZEN』の予告、というより「Let It Go」のプロモビデオを初めてWebで観たのは、おそらく2013年の秋口で、かのBroadwayの歌姫でお馴染みIdina Menzel嬢の迫力ある&エモーショナルな歌唱に、こいつはすごい、これは期待できる! と日本公開を待ち望んでいたのだが、日本では2014年3月まで公開を待たねばならず、まあ、それでも楽しみだなあ、と思っていたのが2013年の12月ごろの話である。もちろん、Webで観た「Let It Go」からは、これは面白そう!という期待は高かったけれど、まさか日本で250億を超えるウルトラスーパー大ヒットになるとは、その時点では全く予想していなかった。
 しかし。わたしは今でもはっきり覚えているが、2013年の12月、日本ではDOLBY-ATMOS採用の劇場がオープンし始め、わたしは映画オタクとして、超傑作『GRAVITY』をATMOSを導入したばかりのTOHOシネマズ船橋ららぽーとに観に行ったのだが……そこで初めて、劇場の大スクリーン&ATMOSのド迫力音響という環境で、「Let It Go」を観た(聴いた)のであった。
 あの時、わたしは、まだ全然物語もわからないのに、「Let It Go」だけで感動しちゃったのである。こ、これはすごい! これは大変なことになるぞ!? という予感を感じ、わたしは当時いろいろな人にWebで「Let It Go」を観てみろ、とお勧めしまくっていた。そして少し時間が経ってから、日本語版キャストとして松たか子様Verの「Let It Go」が公開されるに至り、これはもう、絶対に間違いなく100億超えるね、と確信したのであった。歌手でもあり、ミュージカルもこなすバリバリ歌える松たか子様を起用するとは、さすがディズニー! わかってらっしゃる! そしてさらに、ミュージカルでバリバリ鍛えた神田沙也加ちゃんも起用するとは! と、公開までの期待は高まる一方であったのである。
 なので普段、映画は「字幕一択」なわたしでも、これは日本語版も字幕版も両方観なくてはなるまいと考え、ムビチケカードも2枚買って公開日に備えたのである。
 そしていよいよ公開となった初日。わたしはまずは字幕版を観たのだが、歌はもちろん素晴らしいとして、さらに物語にも深く驚いたのであった。そう、DISNEYが、あのDISNEYが、「王子様」と決別?したのだ。それまでのDISNEYプリンセスの「真実の愛」はたいてい「王子様」に向けられていたはずだが、本作ではその対象は「家族」だったのである。本作では、完全に王子様はどうでもいい存在で、男女の愛より家族の愛が優先されたのだ。
 これは、相当大きな方針の転換であり、時代の要請なのかもしれないが、わたしは当時、ああ、こうくるんだ、と、とても驚き、やっぱりDISNEYすげえ! と思ったのであった。実際、この『FROZEN』後のDISNEYアニメは、基本的に女の子を主人公としつつも、男女の愛はかなりどうでもよくなって、それよりも自立した女性像だったり、家族や仲間を優先するようになったとわたしは感じている。その歴史的(?)転換点となったのが『FROZEN』だと思っている。
 というわけで、以上は前振りである。
 今般、いよいよ全世界待望の『FROZEN II』が公開になったので、わたしもさっそく観てきた……のだが、うーん、どうしよう、結論から言うと、十分面白かったです。それは間違いない。間違いないのだが……なんつうか、フツー、というか、それほど、前作のように「すげえ!」と興奮するまでもないというか、ええ、そう、まさしく「フツーに面白かった」というレベルにとどまるような気がしますね。もちろんそれでもすごいことなんですが。なので実は今回はあまり書くことがなくて、無用な前振りを書きました。ちなみに観たのは、まずは「字幕版」であります。

 というわけで、今回のお話は、そもそもエルサはどうして魔法が使えるんだ? という謎?に迫るお話であった。しかし、わたしとしては別にエルサが魔法を使えることに対して、「どうして?」と思うことはほぼなく、「そういうもんだ」で納得できていたため、正直そのストーリーラインはどうなんだろう、面白くなるんだろうか? と考えていた。むしろわたしとしては逆で、姉が魔法を使えるのに、なんで妹のアナは使えないんだろう? という方が謎に思っていたし、わたしは、ひょっとしてアナとエルサは実の姉妹じゃあないのかしら!? とか、余計なことも考えていた。
 のだが、観終わった今となっては、二人はちゃんと実の姉妹であったことは分かったし、そしてエルザが魔法を使える理由も、うっすらと分かったような気がする。要するにエルサは、いわゆる「Chosen One」、選ばれし者、に近いのだろうと思う。そんな「選ばれし姉」が自らの使命のようなものを全うするため頑張り、一方「選ばれてない妹」は、姉のために超頑張る、というお話だったとまとめていいような気がする。
 しかしなあ……その使命、があんまりおもしろくないというか、エモーショナルじゃないというか……グッと来ないんすよね……。おじいちゃんがやらかした?ことの後始末というか、それならなんで今、急に呼ぶ歌声が聞こえてきたのかとか、いろいろ謎めいたツッコミどころはあるんだよなあ……観ながらわたしは、エルサのことがちょっと気の毒になってきたっすね。「選ばれし者」というよりむしろ、「呪われし者」のように思えてきちゃったす。
 でも、まあ、いろいろと突っ込むのは野暮なんすかね。わたしは意外とラストには感じるものがあって、なんとなくわたしの大好きな『もののけ姫』を思い出したっすね。想い合っている二人だけど、一緒には住めない。でも、会いたいときには、いつでも会いに行くよ、ヤックルに乗って! みたいな。ようやくエルサはいろいろな使命、呪いから解き放たれて、アナよりも断然エルサ派のわたしとしては、あのエンディングは美しかったと思います。これはやっぱり、日本語版でももう一度観たいすね。
 というわけで、もう書きたいことがなくなりました。
 そういやわたしが入場するとき、「字幕って何ですか!? え、文字を読むんですか!? 日本語じゃないんですか!? 子供が見られないじゃないですか!」というどうしようもないクレームをつけている家族には失笑せざるを得なかったけど、なんというか、世の中いろんな人がいますなあ。字幕版は結構すいてましたが、日本語版は満席だったので、あの家族がどうしたのか、知る由もないす。

 というわけで、もう書いておくことがないので結論。
 
 前作の大ヒットから6年。全世界待望の『FROZEN II』が公開になったので、さっそく観に行ってきたのだが、まあ、結論としては十分面白かった。歌もやっぱり素晴らしいすね。でも、超素晴らしいと絶賛するほどではなく、フツーに面白かったす、が素直な感想である。でもまあ、すでに日本国内でも公開3日間ですでに19億ものウルトラ大ヒットとなっており、また100億は余裕でクリアするんでしょうな。つうか、クリストフのPVみたいな80年代めいた歌唱シーンはいらなかったんじゃね? ま、クリストフのプロポーズ大作戦も無事に実ったし、めでたしめでたしでよろしいのではないでしょうか。わたしとしては、オラフが「これまでのいきさつ」を説明するシーンが一番笑えたっすね。アレは素晴らしかった。そしてエンディングでは今回のお話を同じようにまとめていて、全くオラフは何気に大活躍ですな。あれっ!? やっぱりわたし、かなり楽しんだみたいっす。まあ、前作が好きなら当然オススメ、であります。しかしまあ、劇団四季のミュージカル版は絶対チケット獲れないでしょうなあ……観に行きたいけどなあ……。以上。

↓ やっぱり松たか子様は素晴らしいすね! 日本語版も観よう!

 もう5年ぐらい前に、浅利慶太氏が「日生劇場は若き頃のわたしと石原慎太郎が作ったんだよ」とお話するのを直接、目の前で聞いて、え、マジすか、すげえっす、と思ったことがある。あとでWikiで調べたら、まさしくそんなことが書いてあって、浅利先生は本当にすげえお方なんだなあと思ったわけだが、恥ずかしながらわたしは日生劇場へ足を運んだことがなかった。
 しかし1カ月ぐらい前に、わたしのヅカ友の美しいお姉さまから、「今度の、みりおんが出る『ヴァイオリン』は観に行くのかしら?」と聞かれ、いや、実はスルーなんす、と答えたところ、「あら、チケットが1枚余って相手を探してるの、あなたいかが?」とお誘いを受け、ならばそれがし、喜んでお供つかまります! というわけで、今日は初めての日生劇場へ、『屋根の上のヴァイオリン弾き』を観てきた。なんと今年は初演から50周年だそうです。すげえなあ!
Violin
 全く物語を予習せずに観に行ったわたしだが、結論から言うと大変面白く、主役の市村正親氏の見事な芸達者振りから、意外なほど笑えて、実に満足な作品であったのである。いやあ、全く想像していなかった物語であった。
 ところで。
 まず最初に、わたしのヅカ友の美人お姉さまが言ったセリフの解説からしておこう。お姉さまの言う「みりおん」とは、普通の人にはなんのこっちゃ、であろう。しかし、ヅカファンなら即座に理解できる単語で、つまり、今年の春に宝塚歌劇団を退団した元・宙組のTOP娘役、実咲凛音さんのことである。みさきりおん、と読むわけで、そこから「みりおん」という愛称で呼ばれていた彼女だが、わたしの主観では、近年のTOP娘役の中ではナンバーワンクラスの美人であり、歌もうまい大変素晴らしいTOP娘役であったと思う。そのみりおんの、退団後初ミュージカル出演というわけで、積極的にチケットを獲ることはしなかったけっれど、行けるならぜひ、わたしも観てみたいと思ったわけである。
 で。
 物語をざっと説明すると、正確な時と場所の説明はなかったような気がするが、パンフレットによれば、20世紀初頭のウクライナである。その村で牛乳屋さんを営むテヴィエというおじさんが主人公で、若干おっかないけど優しい奥さんゴールデとの間に5人の娘に恵まれ、貧しくつましいながらも、ユダヤ教の教えを守って幸せに暮らしていた。その村では、「しきたり」が支配しており、結婚は仲人的なおばちゃんの紹介で親が決めるものであったが、まず長女のツァイテルは村の仕立て屋さんの青年と恋に落ちていて、かなり年の離れた肉屋と結婚させられそうになるけれどそれを蹴って、無事に仕立て屋さんと結婚、独立する。次に、次女のホーデルは、もともとインテリ好きで、村にやってきたキエフの大学を卒業した青年と恋に落ちる。そしてその青年が、キエフに戻って革命運動で逮捕され、シベリアに流刑になってしまうと、その彼を追ってシベリアに旅立つのであった。そしてさらに、三女のチャバは、よりによってロシア人(=キリスト教徒)の青年と恋に落ち、駆け落ちしてしまう。
 とまあ、そんなわけで、しょんぼりなテヴィエだったが、やがて村にはユダヤ迫害の波が迫り、最終的にはユダヤ人追放令まで発せられ、残った妻と4女5女を伴い、新天地アメリカに住む親せきを頼って、旅立つのであった……とまあ、そんなお話である。
 なので、暗いと言えば暗い。実に。だが、とにかくお父さんテヴィエを演じた市村氏の演技が素晴らしく、随所に織り交ぜられたギャグが大変笑わせてくれるもので、なんか、暗さを感じさせない不思議な作品であった。まあ、ラストでアメリカに旅立ったのは、歴史的に見れば大正解だったと言えるだろう。そのまま残っていたら、大変なことになったのは間違いないだろうし、下手すれば死んでいる可能性も高かったはずだ。なので、意外とわたしはハッピーエンドだったような気もしている。
 おまけに、何というかわたしには、主人公のお父さんテヴィエの元を一人また一人と娘が旅立っていくシーンにはいちいちぐっと来てしまったし、なんかもう、「北の国から」の黒板五郎に見えて仕方なかったすね。それでも、黒板五郎と違ってテヴィエには奥さんもいるし、4女も5女も一緒にアメリカに行ったわけで、それはそれで、非常に?希望に満ちたエンディングだったように思う。
 ただ、ミュージカルとしては、もうチョイ歌があっても良かったような気もする。もっと歌ってほしかったかな……とりわけ、1幕ラストや、2幕のエンディングで、心に刺さるようなぐっとくる歌が欲しかった。ともに、結構唐突というか、え、ここで終わりなんだ?という幕切れであったのがちょっと驚いた。
 そして、『屋根の上のヴァイオリン弾き』というタイトルだが、実はわたしは、主人公がそのヴァイオリン弾きなのかな? と盛大に勘違いしていた。しかし上記の通り主人公は牛乳屋さんで、これはいったいどういう事だろうと思っていたのだが、どうやら、冒頭のお父さんのナレーション? で説明される通り、屋根の上という実に危なっかしい場所で、落っこちて首を折らないよう気を付けながら、愉快にヴァイオリンをかき鳴らそうとしている、そんな暮らしをしている人々だ、という事らしい。そしてなんでそんな危なっかしいところにいるのか。それは故郷だから。そしてどうやってバランスをとっているのか、それはユダヤの「しきたり」がバランサーとなっている、とまあそういうことだそうだ。これは、この文字面だけではちょっと理解できないかもしれないけれど、本作を鑑賞すれば、なるほど、と理解できるものであろうと思う。
 というわけで、各キャラと演じた役者を紹介しておこう。
 ◆お父さん・テヴィエ:演じたのはもう散々申し上げている通り市村正親氏。

 わたしは今日初めて生で市村氏の演技を見た。とにかくうまい。芝居も歌も完璧ですな。現在68歳だそうだが、全く見えないすね。そしてお父さんデヴィエのキャラが大変イイ! 愚痴ばっかりだけどそれがいちいち笑えるし、娘を思っての父親としての態度は結構グッとくるものがあった。とりわけ次女との別れのシーンは良かったですなあ! さらに強引にキリスト教徒と結婚してしまった三女との別れも「達者でな! ……と伝えてくれ……」と肩を落とす姿は、もう黒板五郎そのものでありました。泣かせるシーンでしたよ。とにかく、本作はもう、市村氏の魅力爆発の、市村劇場だったすね。最高です。ツァイテルの結婚を奥さんに認めさせるために、夢におばあちゃんがでた、というあのシーンはもうホント爆笑でした。
 ◆お母さん・ゴールデ:演じたのは、わが星組の大先輩、鳳蘭さん。御年71歳。

 いやあ、歌も芝居もさすがのクオリティですなあ。実際素晴らしかったと思う。お母さんゴールデのキャラも、結構コミカルで、明るく、物語の暗さの中ではとても光っていたように思う。基本的にお父さんを尻に敷く肝っ玉系おっかさんだが、お父さんを愛していると言う場面は大変良かったすね。実にお見事でした。
 ◆長女・ツァイテル:長女らしいしっかり者を演じたのは元宙組TOP娘役のみりおんこと実咲凛音さん。

 やっぱりみりおんは本当に美人ですな。そして、手先までのピシッと揃ったダンスの所作は、宝塚の厳しい教えを受けてきただけあって、抜群の美しさであったと思う。そして、意外と背が高いすね。163cmかな、そしてとにかく華奢ですよ。抱きしめたら折れちゃうんじゃね? というぐらいのウエストの細さですな。歌もさすがです。ちょっと格が違う感もありましたね。大変良かったと思います。
 ◆次女・ホーデル:演じたのは神田沙也加ちゃん。

 やっぱり歌の存在感は抜群です。非常にうまい。そして可愛い! みりおんと並ぶと、まあかなりのちびっ子ですよ。あの体で、あんな圧倒的な歌唱力というのは本当にグッときますな。あ、もう31歳なんだ。つーことは……たぶんみりおんが推定29~30歳ぐらいなはずだから、年上? かもしれないな。沙也加ちゃんも大変華奢で、実に可愛らしいお方でした。そして生で聞く歌声は抜群に良かったと存じます。「アナ」そのものでしたね。演技の方も、お父さんとの別れの駅のシーンは素晴らしかったすねえ!
 ◆三女・チャバ:演じたのは唯月ふうかちゃん。

 元々9代目のピーターパンを演じた方で、すでにもう数々のミュージカルに出演されている実力派ですな。わたしが観たのは『デスノート The Musical』のミサミサぐらいか。この方は沙也加ちゃんよりさらにちびっ子で、まあかわいいお方でした。もちろん歌も文句なし。チャバも、お父さんとの別れのシーンは大変グッときました。大変良かったと思います。
 というわけで、三人娘が歌う動画が公式であったので貼っておこう。本番での、三人のスカーフを巻いた衣装がとてもかわいいのだが、この動画は普通の衣装です。

 どうすか、なんて可愛い娘たちなんでしょう。この三人の素晴らしいパフォーマンスと、市村氏、鳳さんの生の歌と芝居を観る機会を与えてくださって、本当に今日はありがとうございました>美人Mお姉さま。実際最高でした! そして初めての日生劇王は大変興味深かった。天井に敷き詰められているのはアコヤ貝だそうですな。とても独特な内装で、壁の作りなんかも面白くて、そんなところも楽しめた観劇でありました。

 というわけで、結論。
 積極的に行くつもりはなかった、日生劇場での『屋根の上のヴァイオリン弾き』を、お誘いを受けて今日観に行ってきたわたしであるが、物語は全然想像していなかった展開で、おまけにこんなに笑えてグッとくるものだとは思ってもいなかったので、正直驚きである。そして結論はもう、ブラボーであります。特に、やっぱり市村正親氏の芸達者ぶりはすごいすね。細かいところでいちいち笑わせてくれるし、歌唱力も圧倒的存在感だ。お母さんの鳳蘭さん、そして三人の娘たちもとても魅力的で、わたしとしては大満足である。やっぱり、50年も公演が続くだけありますな。こういう名作と呼ばれる作品には、それだけの理由があるわけで、わたしも今後もっともっとちゃんと劇場へ足を運んで、生の舞台を楽しみたいと存じます。みりおんこと実咲凛音さん、そしてさーやでおなじみ神田沙也加ちゃん、ともに抜群の歌唱力で最高でした。以上。

↓ これはちょっと原作にも興味がわいてきますな。読んでみようかしら。でも、きっと暗~いお話だろうな……どうなんだろうか。つうか、今や岩波文庫も電子書籍って出てるんですね。知らんかったわ。
牛乳屋テヴィエ (岩波文庫)
ショレム・アレイヘム
岩波書店
2015-06-18






 何度もこのBlogで書いている通り、わたしは40代のれっきとしたおっさんである。しかし、もう20年近く前になるのかな、仕事上での必要性があって、今現在いわゆる「ライトノベル」と呼ばれる小説作品にかかわり、せっせと読み続けたこともあって、今でも全く普通に「ライトノベル」を読んでいるわたしである。まあ、最近の作品はめったに面白い作品に出会わないけれど、おっさんのわたしが読んで面白いという作品がゼロではないわけで、中でも、『ソードアート・オンライン』という作品は最初に発売になった2009年からずっと新刊が出るたびに読み続けているシリーズのひとつだ。おそらくこのシリーズは現在のライトノベル界の頂点に位置するもので、世間的にも非常にに広く知られているだろうと思う。先日、わたしが最新(19)巻を電車の中で読んでいたら、隣の推定50代~60代ぐらいのおとっつあんが、同じ『ソードアート』の(13)巻を読んでいるのに気が付いて、すげえびっくりした。ま、それだけもう、かなり幅広い読者を獲得している作品である。
 というわけで、今日は劇場作品として公開となった『ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』を観に行ってきた。実は今日わたしが一番観たかった映画『CELL』が午後から1回しか上映がないので(昨日の金曜日公開なのにもう1日1回上映!泣ける!)、ま、午前中はこれでも観るか、という気になったのだが、場内は当然10代と思われるKIDSばかりで、想像していたキモオタ的年齢不詳の方々はそんなにはいなかったすね。かなりの混雑ぶりで、ざっとチェックした感触では、週明け月曜日の興行ランキングで3位以内は固いと見た。※2017/2/20追記:週末ランキング堂々1位獲得!良かったすね!
 さてと。以下、物語の筋を書き連ねるつもりはないけれど、色々な意味でネタバレに触れる可能性が高いので、読む場合は自己責任でお願いします。
 
 ――とりあえず、わたしは上記予告を全く見ずに観に行ったのだが、仮に予告を観ていても、えーと、どういう話? と全く見当がつかなかっただろう。わたしがうすらぼんやり知っていたのは、今回はフルダイブVRが舞台ではなく、ARゲームがメインとなる、そんなことだけだ。
 なので、わたしが観る前に、えーと、どんな話だろう? とぼんやり思っていたのは、次の点である。
 1)AR……つまり拡張「現実」。てことは……?
 『ソードアート・オンライン』と言えば、完全没入型のVRゲームと現実のリンクが一番のキモであり、物語の舞台はほとんどがゲーム内、すなわち「VR=仮想現実」内で展開する。VRだからこそ、主人公のキリトくんは無敵で最強の男なわけで、現実世界ではただの高校生、たぶんわたしが一発殴れば鼻血を出してぶっ倒れるであろう生身の人間である。そんなキリトくんが、ARゲームでどう活躍するんだろう? というのがまず一番大きな疑問だ。ARゲームと言えば、最近では(と言ってもすっかり下火になってる気もするが)かのポケモンGO!を思い起こすと思うが、あれは、スマホの画面上で現実の風景にポケモンが登場して、とっ捕まえるゲームであり、プレイする人間は全くそのまま普通に現実世界にいる。えーと……てことは、どんなゲームなんじゃろか? 『ソードアート・オンライン』で出てくるフルダイブVRゲームというのは、ある意味映画『AVATAR』の状況に似ていて、プレイヤーはどこかで寝てる(睡眠しているという意味じゃなくて、横になって寝っ転がってるという意味)わけで、自分の体は別にある。しかし、ARだとそうはいかんだろう、だから自分自身の体を使うゲームなんだろうな、と理屈ではわかるのだが、観る前はイマイチピンと来ていなかった。
 2)タイトル―オーディナル・スケール―はどういう意味なんだ?
 わたしの英語力では、オーディナル、と聞いて、すぐにはぱっと思い浮かばなかった。最初、audinalというつづりかな、つまり音響が関係しているのか? とか、まるで見当違いの想像をしていたが、調べればすぐにわかる通り、Ordinalが正しく、これはつまり「順序」とか「序数」を表す言葉だ。FirstとかSecond、Third、の、あの序数ね。で、Scaleはスケール、目盛りとか階級とかのことだろうから、つまり直訳すれば「順序の目盛り」的な意味であろう。しかし意味やなんとなくのイメージはつかめても、やっぱりピンとこない。しかし、著者の川原礫先生は、自ら用いる英語表現に明確な意味を持たせる作家なので、間違いなく観れば意味が分かるんだろうな、と思って今日、劇場へ参上した次第である。
 で、結論から言うと、上記2点のわたし的ポイントは、観ればちゃんと分かる内容になっていた。まず、ARについては、わたしの予想通り、自分の体を使って、(あくまでARとして)街中に現れるモンスターを戦って倒すもので、剣や銃器を使う、AR版モンスターハンター的ゲームであった。これは、従来の『ソードアート・オンライン』とは完全に方向性が違い、実に興味深かった。そして、わたしの心配した通り、キリトくんは普通の高校生なので、当然苦戦する。剣技(=ソードアート=Sword Art)が使えなきゃ、まあ普通の剣道経験ありの子供だからしょうがないわな、そりゃ。なので、この点をどう克服するんだろうと思っていたのだが、基本的にはBATMAN的にもう一度剣道の特訓をする的シーンが10秒ぐらいあったので、えーと、つまりちゃんと体を鍛え直した、ってこと、か、と納得することにした。ラストバトルでは、ARからVRへ切り替えていつもの無敵剣士に戻るので、その流れはちょっと驚いたけど、アリとしたい。ただし、今回のライバルキャラが、ARだというのに超絶な身体能力を発揮してくるのは、これはどういうことだろう?と感じたが、どうやら黒幕から得た謎技術によってスーパー身体能力を発揮していたらしい。ええと、そういうことでいいのかな?
 そしてタイトルの意味も、その黒幕の話す内容から大体理解することができた。そもそも、いわゆるMMOゲームというのは、Massively Multiplayer Onlinegameのことで、日本語訳すれば大規模複数参加オンラインゲーム、のことである。まあ『ソードアート・オンライン』という小説においてはそれをVR空間で行うためVRMMOと呼ばれているわけだが、普通、MMOの場合は、プレイヤーの「レベル」が重要であって、レベルアップするにしたがって強くなるわけだ。そして同レベルのプレイヤーも数多く存在している。しかし、今回のARゲームでは、明確に設定される「ランキング」が重要らしく、ランキングを上げること、がゲームの目的らしい。ランキングが上がると、現実社会でいろいろな特典があったりするようで(たとえば飲食店のクーポンになったりとか)、そのランキング=序列、を測るものという意味だったみたい。これはわたしも結構ふわっとした理解なので、あまり自信はないです。まあ、何人が参加しているものなのか数字は説明があったような気がするけど忘れました。その割には、4桁~5桁ぐらいのランキングしか登場してなかったような気もする。てことは10万もいないのかな? よく分からんす。
 しかし、改めて考えてみると、このゲームをプレイするための「オーグマー」なるガジェットは、要するに同じ川原先生による別の作品『アクセル・ワールド』における「ニューロリンカー」のプロトタイプ的なものなわけだが……これ、外せばいいだけ、だよね……? おまけに、非装着者から見たら、相当、あいつらなにやってんだ?感があるよな……。作中ではもうほとんどすべての人々が装着しているような描写だったけれど、実際、こういうガジェットは、流行りものが大好きな、そして人と同じことをしたがる日本ではあっという間に広まるかもしれないすね。作品世界は2026年、9年後を舞台としているのだが、意外と今ある技術の延長線上で実現できるかもとは思った。ま、わたしはきっと買わないだろうけど。なんか、勝手にお勧めのケーキまで出される「便利な」世の中は、わたしが望む未来じゃあないだろうな、とわたしは強く思ったりもした。

 ところで。わたしは実のところ、本作を積極的に観に行くつもりは当初なかったのだが、とあるキャスティングを聞いて、これは要チェックだぜ、と思って今日の初日の第1回に観に行ったわけで、それは、日本が誇る二人(ホントは三人)のミュージカルスターが声優として出演することを知ったからである。わたしはミュージカルが大好きなので、神田沙也加ちゃんとプリンス井上芳雄氏の二人が出演すると聞いては、もう観に行くことは確実なのだ。
 で、実際その声優ぶりに関して言うと、まず、神田沙也加ちゃんは完璧だったと言ってもいいのではなかろうか。彼女が演じたのは、今回の物語オリジナルの、ARとして登場する歌姫役と、そのモデルとなった黒幕の娘役だが、まあとにかくうまい。歌も、どうやら5曲ぐらい歌ってくれる。わたしは、戦闘時に流れる彼女の曲をもっと前面に出してほしいのに!と思ったぐらいだ。もともと沙也加ちゃんは、オタクカルチャーにも理解がある人だし、ミュージカルで鍛えた歌声は、既に『アナ雪』でもお馴染みだけれど、今回も素晴らしかったと思う。彼女主演のミュージカルが今度あるのだが、やっぱりチケット獲るべきだったかもな……もう東京公演は売り切れなんだよな……わたしは1回だけ沙也加ちゃんをミュージカルで生で観たことがあるけれど、やっぱり可愛いしイイすね。大変お見事でありました。
 そしてプリンス芳雄氏だが、ズバリ、初めての声優挑戦であることを割り引いても、やっぱりまだ若干違和感あり、かも。彼が演じたのは今回の物語の、キリトくんと対決するクール(?)なライバルなのだが、チョッと背景的にも小者だったかなあ……。ただし、普段のミュージカルのように、決めるところはバシッと決めてカッコよく、この人、本気で声優の経験を積んだら相当凄いんじゃないかというポテンシャルは感じますな。そもそも芳雄氏は歌も芝居も抜群に凄い男なので、ぜひまた、声優にも挑戦してほしいと思う。つーかですね、芳雄氏を起用して歌わせないとは……その点だけ、ミュージカルファンとしては物足りなかったす。歌ってほしかった……!
 で、最後。上の方に(ホントは三人)と書いたのは、黒幕的存在を、日本ミュージカル界の大御所鹿賀丈史氏が演じているからである。ま、演じぶりは……ちょっとアレですかねえ……でも、本作は、エンドクレジットが全部終わったとに、30秒ぐらい(?)のおまけ映像がついているのだが、そこでの鹿賀氏の演じぶりは結構カッコ良かったと思います。でも、まあ、鹿賀氏を起用する意味はあんまりなかったんじゃないすかね。

 というわけで、全く取り留めないけど結論。
 『劇場版 ソードアート・オンライン―オーディナル・スケール―』は、シリーズを読んできたファンには大変楽しめると思う。まあ、全くモテない人間としては、相変わらずのキリトくんとアスナさんのアツアツぶりに、ぐぬぬ……と憤死寸前になることは間違いなかろうと思います。ま、わたしはシノン派なので、別にいいっすけど。今回、シノンはちょっとだけ活躍してくれますよ。そして、わたしがとても期待した神田沙也加ちゃんの声優ぶりは最高でした。でも歌が! わたしとしては歌をもっとちゃんと聞きたかった!!! そして、当然今後、「アリシゼーション編」のアニメ化を期待していいんすよね? あの、エンディング後のおまけ映像はそう受け取っていいんすよね!? 楽しみにしてますぜ! 以上。

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