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 2010年3月に初めての宝塚歌劇を鑑賞してからもう12年が経ち、数多くのTOPスターの誕生と卒業を見てきたわたしだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場では、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たま様)と、相手役であるTOP娘役の美園さくらさん(以下:さくらちゃん)の退団卒業公演『桜嵐記』が上演されており、わたしも昨日の日曜日、観に行くことが出来た。
 ところで、全くどうでもいいことなんだけど、去年から導入された「宝塚友の会会員カードで当日入場時に発行されるチケット」が、やっと全組分コンプリートしたので、スキャンして合成した画像を置いておこう。
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 なんでこれを貼っておこう、つうか、スキャンしておこう、と思ったかというと、実はさっき、今回の月組のチケをプログラムに挟んでしまっとこう、と思った時、あ、そういやこれで全組揃ったんじゃね? と思って過去のものを出してみたら……なんと、印字がもう薄れかけてるんだな……。おおう、まじかよ!? と思ったので、消えてしまう前にスキャンして残しておこう、と思った次第であります。一応、QRコードとわたしの氏名、席番はPhotoShopで消しました。しかし、わたしは友会での抽選に申し込んで普通に買っているだけなのですが、この1年弱はやけにチケット運が良くて、凄くイイ席ばっかりだったのが我ながら驚きです。雪組だけ2階席だけど。やけに上手率が高いのも不思議。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、現在東京都は緊急事態宣言中であり、いろいろと制限の多い中で開催されている宝塚歌劇は本当にすごいと思う。どうかこの大切な卒業公演が、最後まで中断などすることなく、完走してほしいと心から思う次第であります。
 で。今回の『桜嵐記』は、いわゆる南北朝の争いにおける南朝側の武将、楠木正行を主人公とした「ロマン・トラジック」だ。トラジック、すなわち悲劇、ですな。わたしは恥ずかしながら南北朝のごたごたについてほぼ知識はなかったけれど、かの楠木正成公の嫡男である正行が主人公ということで、もうその結末は悲劇的になることは分かりきっているわけで、これは泣けるな、きっと……とか思いながら日比谷に向かったのであった。

 はあ……カッコいいですなあ……。
 本作『桜嵐記』は、ズカ淑女たちに人気の上田久美子先生による作品で、わたしは実は上田先生の作品がやや苦手なんだけど、物語は、若干『阿弖流為』に似ていたような気もしますね。つまり、「終わらない戦いを終わらせようとする男」の生き方を描いているわけですが、観終わった今、わたしは今一つ、「なぜ正行は死を選んだのか」が理解できないでいる。これはわたしにはとても難しい問題だ。
 史実はこの際どうでもいいとして、本作で描かれている関係性をまとめると……
 ◆敵である北朝サイド
 そのボスである足利尊氏は、正行のことをあっぱれな男だと思っていて死なすには惜しい、オレんとこに来いよ、と誘うぐらいである。ただし、北朝サイド全体の意思としては公家衆を許すつもりはなく、尊氏の部下として登場する高 師直とその弟、師泰などはかなりヒャッハーなゲス野郎として描かれていて、とにかく南朝をぶっ潰せ、な状況。
 ◆主君たる南朝サイド
 そのボスである後村上天皇は、正直もう戦いはやめたい、けれど、父である亡き後醍醐天皇の遺言があって、戦いをやめることが出来ないでいる。仕えてくれている正行にもごめんな……という気持ちが大きい。軍事勢力的には北朝よりもかなり小さく、実際もうヤバい状況。
 とまあ、超ごく簡単に言うとこういう状況なので、正行の奮闘で一時的な戦闘に勝利しても、あまり意味がないし、もはや正行が「戦い続ける」=「自ら死を選ぶ」意味もほぼないと言っていいだろう。それなのに、正行は戦い続けることを選んだ。それは一体どういうことなのか??
 『阿弖流為』の場合は、阿弖流為自身が蝦夷の象徴であり、自分の死が朝廷を引かせる理由になることがよくわかっていた。でも今回の正行は、そこまでの存在ではない。自分が死んでも戦いは終わらない……はずだ。
 ならどうして? 単純に、南朝を裏切ることが出来ない忠義の人間だったから? それとも、自分の死で後村上天皇に「(軍事的に)万策尽きた」と思ってもらいたかったから?
 「家名のためでも、欲望のためでも、忠義のためでもなく、もっと大きなもの、<流れ>のために命を使う!」と正行は言った。この<流れ>っていったい何なのか??
 わたしは、よくわからないながらも、つまり正行は後々語られる「伝説」になる決意をしたんじゃないか、と思った。後に平和が訪れた時、その平和は、数多くの人々の命の上に立っていることを、後世に伝えたい、その伝説たる象徴として、自分の命を使おうと決意したのではなかろうか。そして、その伝説は、ヒロインである弁内侍や弟の正儀が語ってくれるのだから、もはや未練ナシ、な想いだったのではなかろうか。普通に思えば、弟に生きろと言ったんだから、自分だって生きててもイイじゃん、と思ってしまうよね。でも、それではダメで、最後まであらがった男がいた、その命の上に、平和があるんだぞ、ということを忘れないでほしかった……のではないかなあ、と思う次第であります。わたしとしては。
 まあ、どう考えても、これは後醍醐天皇(の怨念のようなもの)が一番タチが悪いというか、まさしく「呪い」だったな、としか思えないすね。
 いやあ、それにしても上田先生の物語は難しいわ。。。
 というわけで、各キャラとキャストを短くまとめて終わりにします。
 ◆楠木正行:楠木正成が嫡男であり、後村上天皇配下の武家の棟梁(?)。三兄弟の長男。Wikiに載ってる浮世絵も結構イケメン! 道中で助けた弁内侍にぞっこLOVEだけど、これから死ぬ自分が妻などもてない、とカッコ良く和歌を詠んで想いを伝えるヒーロー。演じたのはもちろん月組TOPスターたま様。本当にカッコ良かったですねえ! たま様は、本当にこういった「実直真面目ヒーロー」が似合いますなあ! つうか、たま様も本当に痩せたよなあ……TOP就任時から比べると頬がげっそりして、凄く細くなった印象す。2016年にTOP就任して約5年、本当に素晴らしいTOPスターだったとわたしはずっと忘れないと思います。何度もこのBlogで書いてますが、たま様は女子としてもとってもかわいい美人なので、退団後の活躍もとても楽しみっす。まずはこの『桜嵐記』が最後まで完走できるよう、心から祈ってます!
 ◆弁内侍(べんのないし):後醍醐天皇の蔵人日野俊基の娘。父の仇である高 師直がドスケベであることを利用して、ベッドでぶっ殺してやる!と思っていたところを正行に救われ、邪魔するな!とキレるも正行の実直ヒーロー像にぞっこんLOVEになるヒロイン。演じたのはもちろん月組TOP娘役のさくらちゃん。さくらちゃんも2018年からだからもう3年経ったのか……早いというかあっという間というか……本当にお疲れ様でした。今回は芝居はもちろん、歌が素晴らしかったですねえ! 本当にお見事でした。数学が得意なさくらちゃん、今後の活躍を楽しみにしてますよ!
 ◆楠木正時:三兄弟の次男。料理好きな明るい好青年。妻の百合とラブラブカップル。演じたのはちなつさんでお馴染み鳳月杏さん。わたし、たま様卒業の方を聞いたとき、真っ先にちなつさんは!? とドキドキしたんすけど、まだ残ってくれるので安心した覚えがあるっす。ちなつさんはかつての美弥さん的ポジなんすかね……でもまだまだ舞台上のちなつさんが観たいので、応援してますよ!
 ◆楠木正儀:三兄弟の三男。槍使いの武将。室町幕府時代まで生き残り、南北朝合一に尽力する。ラストでは兄からバトンを渡される的なシーンもあって、グッと来たっすねえ。。。演じたのは次期月組TOPスターが内定している95期の月城かなとさん(以下:れいこ)。ついにれいこがTOPスターになる日が近づいており、感無量ですね。。とにかくイケメン。美人。これでわたしが一番応援している星組の礼真琴さん、そして花組の柚香光さんにつづく95期3人目のTOPスターですな! くそう、この3人が集まるタカスペが観たいっすねえ! 来年こそ、タカスペ再開を願います!!
 ◆百合:正時の奥さん。演じたのは次期月組TOP娘役が内定している海乃美月さま!! わたしは何度も、さくらちゃんがTOP娘になった時に、うみちゃんの気持ちを想うとつらい……いつか報われてほしい……と書きましたが、その日がマジで来るなんて! 何度もこのBlogで書いている通り、全娘役の中でうみちゃんが一番好きなので、本当にうれしいっす!!!  
 ◆後村上天皇:本作ではかなり弱弱しい感じに描かれていましたが、演じたのは月組の御曹司、98期の暁千星くんであります。ありちゃんもなんかやせたよなあ。。。いつかありちゃんが2番手羽を背負うところを観たいすね!
 ◆足利尊氏:本作では、悪者というよりも強靭な意思のもとに行動する男、という印象でした。演じたのはありちゃんに続く月組のホープ、100期生の風間柚乃くん。ついに秋にはバウ主演も決まって、順調にステップを上がってますね! ホント、今回は月組の層の厚さを強く感じたっす。現在、一番戦力が充実しているのではないかしら。若手も育ち、ベテランも健在で、しかもそれが男役だけじゃなく娘役も層が厚いんだから、素晴らしいですよ。星組イチオシとしては、月組の充実がうらやましいと感じたっすね。。。
 ◆高 師直師泰:尊氏配下の武将兄弟。本作では師直がドスケベ欲まみれマン、弟の師泰がクールで計算高いマンとして描かれてました。そしてドスケベ師直を演じたのが、このあと専科に異動になる紫門ゆりあさん、弟の師泰を演じたのが、蓮つかさくん。実は最初、髭モジャな師直を演じているのは誰だろう? と分からなかったんすけど、紫門さんでした。師泰の方は、声ですぐ、れんこんくんだ!と分かったす。
 ◆楠木正成:回想のみ登場。演じたのは、やはりこのあと専科に異動になる95期の輝月ゆうまくん。芝居巧者としてお馴染みですが、今後は様々な組で観られるのは楽しみっすね。わたし的には、『雨に唄えば』のリナは最高だったと思うし、あと『BADDY』の銀塗り宇宙人が忘れられないすね。完璧に「むじんくん」でした笑
 とまあ、こんなところかしら。で、後半のショー『Dream Chaser!』は、やっぱり月組の層の厚さをすごく感じたっすね。
DreamChaser
 TOPスター、2番手スターだけじゃなく、次々と実力ある若手が登場するし、娘役の皆さんも実力ある方が多く、若手もベテランも粒ぞろいで、マジで月組がうらやましいというか素晴らしいと思います。しかしたま様のダンスを観るのも、わたしはこれが最後か……と思うと、やっぱり淋しいし、しんみりしちゃうっすね。。。でも、間違いなく月組は大丈夫ですよ。しつこいけど、本当に月組は戦力が整ってるなあ! と感じる公演でありました。

 とりあえず以上かな。そして最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「わたしにはあなたにやれる時がない」
 「だから今は生きたいのです! あなたもわたしも、死を思うて生きてまいりました。でも、二人が確かに生きていることだけ、今はあなたと知りたい……」
 今回はやっぱり、この二人のやり取りを選びました。ここはとても良かったすねえ……! 二人の表情がすごく胸に刺さったすよ。。。たま様は素晴らしいTOPスターとしてわたしの記憶に刻まれたし、さくらちゃんも見事なTOP娘役だったこと、ずっと忘れないでいようと思います。

 というわけで、結論。

 ついに月組TOPスター、珠城りょうさんの卒業の時が来てしまいました。。。その退団公演、『桜嵐記』は、その悲劇性の中にも、未来への希望も描かれているようにも思え、確実に次代へとつながる、卒業にふさわしい物語だったんじゃなかろうか、という気がしてきました。ホントにたま様にはぴったりの。実直ヒーローでありましたね。最高でした! そしていよいよ秋からは月城かなとさん&海乃美月ちゃんのTOPコンビとなるわけですが、とにかく月組は層が厚く、何ら心配もないっすね。星組推しとしては、月組が非常にうらやましいす。くそう、プレお披露目の博多座公演観に行きてえなあ!! 以上。

↓つうかこれは読まないといけないのではなかろうか……。

↓原典はちょっと無理だから、吉川版でいいかな

 やっと、やっとだよ。。。
 昨日の2020年10月4日の日曜日、わたくしはAM0600東京発のぞみ1号をぶっ飛ばし、兵庫県宝塚市に存在する宝塚歌劇団の本拠地「宝塚大劇場」へ行ってまいりました。はあ、それにしても長かったなあ……。ちょっと、自分用備忘録として、2月以降わたしが行けなかった公演をメモしておこう。
 ※ファンには常識ですが、以下でいう、大劇=宝塚市の「宝塚大劇場」のことであり、東宝=日比谷の「東京宝塚劇場」のことです。
 ◆2月9日:宙組公演『『El Japón-イスパニアのサムライ-/アクアヴィーテ!! 』@東宝を観劇。これが「コロナ前」最後の観劇となった。
 ◆3月1日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@大劇は公演中止。わたしがずっと応援してきた礼真琴さま(以下:こっちん)のTOPお披露目公演だったのに。。。この日をわたしはファンクラブに入って5年、ずっと待ち望んでいたのに。。。
 ◆3月20日:雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』@東宝は、ズカ師匠にチケットを譲ってもらったのに、公演中止。結局観られず。悲しい……
 ◆4月12日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も公演中止。チケット2枚アウト。
 ◆4月18日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇も勿論中止。チケット2枚アウト。
 ◆6月13日:星組公演『シラノ・ド・ベルジュラック』@ACTシアターも中止。
 ◆8月9日:花組公演『はいからさんが通る』@大劇は、7/31に再開したのに、残念ながら感染者発生で中止。わたしなんぞよりも、演者の皆さんの無念を思うとホント泣ける……。
 ◆8月15日:星組公演『眩耀の谷/Ray』@東宝も、同じく感染者発生で中止。これで、わが愛しのこっちんお披露目を生で応援することが出来ないことが確定。ぴえーーーん!
 とまあ、こんな感じに、7公演9枚のチケットがパーになったわけだが、すべて劇団はキッチリ払い戻してくれており、わたしには経済的損失が一切なかったのは、ホントに、さすが、だと心から思う。
 そして、もちろんわたしの心は、大変残念というか非常につらい思いが募ったわけだが、まあ、そんなものは演者や劇団関係者の皆さんの無念からすれば全く比較しようもなく、ファンとしてはもう、劇団にお金を遣って応援するしかない! とわたしは判断し、まず「TAKARAZUKA SKY STAGE」に加入することにしたし(※この顛末は「TAKARAZUKA SKY STAGE」加入への意外と険しかった道のりに関する記録を参照してください)、結局観ることが出来なかった星組公演『眩耀の谷』も、さっさとBlu-Rayを買ったし、ほかにも毎年4月に発売される「おとめ」やいろいろ、ほぼ払い戻されたチケット分は買い物したんじゃね? というぐらいの金額をネット通販にブチ込んでみたりしたわけです。
 そして、とうとう、その日が来たのです。わたしにとっての、8カ月ぶりの観劇の日が!! わたしはこのBlogで何度も書いている通り、チケットはほぼすべて「宝塚友の会」という劇団直営のファンクラブ的仕組みに加入して、購入している。なので、公演中止の際も、何の手続きもせず、自動的に払い戻してくれたのだが、今回も、もちろん「友会」にて、初めて大劇場でSS席が当たったので、昨日は超ウキウキで新幹線に乗車したのでありました。
 まあ、結論から言うとですね、最高of最高で、こんなに笑えて楽しいなんて! とびっくりするぐらいとても面白かったのであります。そしてついでに言うと、わたしは終演後、即帰ったので、家に着いたのは19時前でした。急げば15時ちょうどぐらいの新幹線には乗れるっすね。ホントは新装オープンした宝塚ホテルを見物しようかと思ったけど、ズカ淑女の皆様が大勢いらしたので、感染防止的観点から遠慮しときました。
 というわけで、わたしにとって8カ月ぶりの宝塚歌劇は、月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』であります! いやあ、ホント面白かったす!

 というわけで。本公演は、上記動画の通り、日本物のレビューと、ミュージカルお芝居の二本立てであります。そして珍しいことに(というかたまにあるけど)、レビューが先攻です。
 今回の公演は、今年の春、宝塚音楽学校を卒業して劇団へ入団した、106期生の初舞台公演でもあり、通常東京で観ているわたしは、ズカ歴11年半にして初めて、いわゆる「初舞台生の口上」を生で観ることが出来ました。いやあ、なんつうか、完全にお父さん目線というか、観ているわたしも緊張するっすね、初舞台生の口上は。そしてロビーにはこんな感じの全員の写真と、当日、口上を担当する二人にはお花がついてました。昨日の渚ゆりさんは、超かわいかったので、今後注目しようと思います。
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 この口上も、普通は冒頭(?)なんだと思うけれど、今回は最初のレビューのオープニングの後、という珍しい(??)構成になってました。たぶん、今回の和物レビューは、いわゆる「チョンパ」というもので、真っ暗に暗転している劇場に、「チョーーン!」と拍子木が鳴って、「パッ」と照明がつき、出演者全員が舞台に揃ってる、という場面から始まるので、そのため口上は後になったのかも……しれないす。【追記:今月スカイ・ステージで放送している「初舞台特集」で初めて知ったのですが、80年代とか90年代は口上もなかったり、途中だったり、最後だったり、いろいろ違ってたんすね。そして日本物の場合は今回同様、オープニング後ってのも普通にあったみたいですな。70~80期代の映像を観てさらに驚いたのは、関西テレビとかNHKとか制作の映像で、そりゃスカイ・ステージもなかったから当たり前だけど、普通にテレビ放送があったんですなあ。へえ~】
 いずれにせよ、6場45分はホントにあっという間でした。主題歌の「ウェルカム! ウェルカム!」が超耳に残るんすけど、本来本作は、東京五輪に合わせて世界の皆さんへ「ようこそ!」な和物だったわけで、坂東玉三郎氏監修、そして先日退団を発表された専科の松本悠里先生のファイナル舞踊ということもあって、非常に注目の作品なのだが、まあ、とにかく美しく、何度も書きますが、あっという間でありました。みなさん、やっぱり和服&青天も似合いますなあ! ラスト近くで松本先生が舞っている時の歌(=いわゆるカゲソロ。今回二人だったのでカゲ・デュエット)がすごく印象的だったので、誰だったんだろう? とプログラムでチェックしてみると、きよら羽龍ちゃんと咲彩いちごちゃんの104期生コンビでありました。大変良かったと存じます。(※でも! 実は現在の公演は感染対策上、演者を絞っており、わたしが観た回ではきよら羽龍ちゃんは『ピガール』には出演してませんでした。おっかしいな?? と思って後でプログラムを観て初めて出てないことを知ったす。超残念だよ……!)
 そしてあっという間の45分ののち、35分といつもよりチョイ長めの幕間を挟んで、ミュージカル『ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』が始まります。
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 大劇場の壁面にはズドーンと今回のポスターが。
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 そして幕間中の舞台には「Frénésie à Pigalle」。英語で言うと「Frenzy at  Pigalle」って感じか? 日本語ではまさしく「ピガール狂騒曲」ですな。
 そうなんです。わたし、全然キャラ相関図とか予習してなかったので、Shakespeareの『十二夜』原作というので、物語は原作通りイタリアが舞台なのかな? と思っていたけれど、なんと舞台はフランスはパリの「Moulin Rouge」であり、おまけにポスターイラストでお馴染みのLautrec氏も登場してくるのです。なので年代は1900年、20世紀前夜という時代設定となっていました。
 そして、時代や場所の改変は、別に全く問題ないとして、物語自体は、とても上手(?)に元の『十二夜』をアレンジしたものになっていて、そりゃもう大騒ぎの喜劇のテイストはバッチリでありました。ここまで笑えるとは思ってなかったすw
 Shakespeareではよくある「男装の麗人」だったり「劇中劇」だったりは、やっぱりビジュアルとして観ていて楽しいですな。そして勘違いから生じる大騒動ののち、ラストはハッピー&ピースフルなのもいいすねえ! つうかですね、わたしは常日頃から、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)は「女子として非常に綺麗で可愛い」と申しておりますが、たまきちくんの男装の女子ぶりは大変結構なお点前だったと存じます。そして舞台上での一人二役は、きっと着替えやメイクチェンジで、舞台裏はもう大変だったでしょう。実にお見事だったと賞賛いたしたく存じます!
 というわけで、以下、各キャラと演じたキャストごとのメモで終わりにします。
 ◆ジャック(=実は女性のジャンヌ):もちろん演じたのは上記の通り月組TOPスターたまきちくん。もう最初から、いつもとメイクが違っていて、女子っぽさが漏れ出ており、大変可愛かったと思うすね。とある理由から男装していて、ムーラン・ルージュで仕事がしたいと押しかけてくる行動派の女子。そしてその美貌から、女子にモテモテとなってしまい、わたしは女なのに!と困っちゃうわけですが、まあ、そりゃそうなりますわなw たまきちくんは、いつも書いている通りとにかく陽キャラで、どこか世間慣れしていない王子様的雰囲気が持ち味ですが、女子であっても王子様というキャラはもうピッタリでありました。最高です。
 ◆ヴィクトール:ジャンヌと幼少期に生き別れたベルギー貴族の青年。パリに来たついでにジャンヌを探すが、ムーラン・ルージュの騒動に巻き込まれて……。容姿はジャンヌと生き写し、ということで、たまきちくんがこちらも演じていますが、やっぱり男役スターとしては、ヴィクトールの方が演じやすかったかもしれないすね。出番は少ないですが、本来のたまきちくんの王子様感はヴィクトールの方が当然「いつもの」感じすね。
 ※追記:なんと昨日の10/4は、たまきちくんのお誕生日だったそうですね! ぬおお、超抜かってた! 誕生日ネタのアドリブにキャッキャできなかったわたしはファン失格だよ……。。。
 ◆ガブリエル:作家のウィリーの奥さんだが、実は作品を書いていたのは彼女で、「女性は作家になれない」的な世の中に頭にきており、ついでに夫のボンクラぶりにも激怒しており、離婚を決意。この設定が20世紀へ向けた世の中の変化、というスパイスになっている。大変な美人で、微妙に落ち目になりつつあるムーラン・ルージュの主から、そうだ、美人で作家のガブリエルを主役に演目を作れば、興行的に大成功できるんじゃね!? と出演のオファーを受ける。演じたのはもちろん月組TOP娘役の美園さくら(以下:さくら)ちゃん。なんつうか、さくらちゃんは今回のような、頭が良くて気が強い的な攻め系キャラはホント似合うね。わたし的には、怒っている表情の時のさくらちゃんは、非常に可愛いと思います。
 ◆シャルル:ムーラン・ルージュのオーナーで、若干落ち目な中、ガブリエルの舞台起用をひらめき、ちょうど押しかけ面接にやってきたジャックに、ガブリエルを口説いてきたら雇用してやろう、と持ち掛ける。ちょっと面白キャラかと思いきや舞台に対する情熱は真面目で、そんなシャルルに、ジャックことジャンヌは (――こ、この人って――トクン……) と胸ときめいちゃうわけです。ええですなあ! この、シャルルの舞台に対する思いは、まさしく今の舞台演劇の状況を反映しているものだったようにも思います。演じたのは正式な2番手スター月城かなと(以下:れいこ)さん。まあ、とにかくれいこは美形ですよ。そして2番手としての存在感がグッと増してますねえ! 歌もとても良かったし、次の月組TOPスターを期待したいですなあ。衣装や髭ダンディぶりも、すごいカッコ良かったす。
 ◆ウィリー:ガブリエルの夫。今回一番ダメな人。まあ、強いて言うと、当時の世の中の風潮としてはごく当たり前なんだろうとは思うが、ガブリエルを束縛し、女は黙ってな、的なお方。極悪人というより、ずるい人?で、ほんのり、面白おじさんでもある。演じたのは月組に帰ってきた鳳月杏(以下:ちなつ)さん。とにかくちなつさんは、その「眼」のクールさが独特で、前半の和物レビューでの「日本男児」メイクはとにかく美しかったですな。青天が超似合うすね。
 ◆ボリス:ガブリエルに付きまとうウィリーの弁護士で、今回はもう、美味しいところをかっさらっていくお笑い担当。もう最高でしたね。演じたのは風間柚乃(以下:おだちん)さん。おだちんはコメディが得意ですなあ! いやあ、ほんと笑わせてもらいましたよ。お見事だったす!
 ほか、役柄上はあまり大きい役割ではないんだけど、わたしが月組で一番大好きな海乃美月ちゃんはレビューでもお芝居でも常にかわいくて目立っていたし、月組の御曹司たる暁千星さんはさすがのダンサーぶりで、実に決まってましたな。それから、男役から娘役に転向して推されまくっている天紫珠李ちゃんも目立つ役柄だったし、あと、わたしのズカ友で一番の美人であるお方がイチオシの漣つかさくんは、ジャンヌを狙う悪者チームの一人でしたが、声で一発でわかったす。最後にもう一人、和物のメイクがすげえ似合うな、とわたしの目に留まったのは紫門ゆりやさんですな。お芝居の方ではセクシー組長こと光月るうさん率いるムーラン・ルージュの裏方チーム衣装担当としてイイ感じだったと思います。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「花は自分で咲くものよ。誰かに咲かせられるのではなく、自ら咲くわ!
 今回は、正確にセリフを覚えられなかったので、若干わたしのアレンジが入ってると思いますが、ガブリエルが宣言する「20世紀の女」の生き方的セリフがとても心に残ったす。こういうセリフを言うキャラクターが、さくらちゃんにはとても似合うっすね!

 というわけで、結論。

 8カ月ぶりに宝塚歌劇をようやく観ることが出来て、「やっぱ宝塚は最高だな!」とつくづく感じました。そして月組公演『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜』も最高でありました。やっぱり、笑える喜劇ってわたしはとても好きっすね。これは東京に来たら、もう一度観に行きたいっすねえ! つうか、もう一度行きたいっす! なお、わたしが今回のチケットを買った時は、1つ飛ばしの席しか発売されておらず、でしたが、その後の規制緩和によって、昨日は最前列だけ空いてて、それ以外はフルスペックで満席に近かったです。ただ、どうもまだ全公演満席にはなってないようで、いまだチケット買えるみたいだから、まだまだ、世の中的にはおっかなびっくりなんすかね。。。新幹線も比較的空いてましたな。わたしは一人で行ったので、全く誰ともしゃべらず、常に消毒しつつな感じで、一応万全のつもりだけど、まあ、当面は東京でもきっちりしていようと思います。でも、劇場内は「おしゃべりNG」なわりに、結構、(もちろんマスク着用で)しゃべりまくってる地元のご婦人がいっぱいいました。きっとこの風景は、東京とは全然違うんだろうな、と感じたっす。ちなみにわたくし、来週は東宝で花組観てきます! 以上。

↓ まあ、知ってるといろいろもっと面白く感じると思います。もちろん、知らなくても大丈夫です。
十二夜 (岩波文庫)
シェイクスピア
岩波書店
1960-03-25

 わたしは「宝塚友の会」(以下:友会)に入会してもう5年ぐらい経っているのだが、よく、世間的に、「友会」に入ってもチケットが全然当たらない、という意見を聞くことがある。が、わたしに限って言うと、確かに確実に当選するとは言えないけれど、かなり高い頻度で当選しており、花組と雪組以外はほぼすべて、わたしは友会の抽選申込でチケットを得ている。花組と雪組は以前は買えたのに、マジでここ数回、全然当たらん!
 で、友会には「ステイタス制」ってのがあって、抽選に申し込んだり、実際にチケットを買ったりするとポイントがもらえ、その合計ポイントで「ステイタス」が決定するわけだが、高ければ高いほど抽選での当選確率が上がる、ということになっている。それがどのぐらい影響しているのかは全く不明で、そもそも本当なのかどうかすらわからないのだが、わたしとしてはそれを愚直に信じ、申込だけでもポイントゲットできるので、あまり乗り気ではない公演にもせっせと抽選申込をするのだが、先日、そのポイントゲットだけのために、まあ当たらないだろう、という日時で1枚だけ、東京ではなく本拠地である宝塚大劇場の公演を申し込んでおいたところ、見事当選、となってしまった。
 というわけで前置きが長くなったが、わたしは昨日の日曜日、約1年ぶりに、一人で、そして当然日帰りで、ムラ遠征してまいりました。ムラ遠征=我々関東在住のヅカファンが聖地たる「宝塚大劇場」へ観劇に行くこと、であります。
 ムラでは、先週ついに退団公演となったTOPスター明日海りお氏率いる花組公演が本拠地での千秋楽を終え、金曜日からは新たに月組の公演が始まっている。その月組公演『I AM FROM AUSTRIA』を観てきたのであります。

 というわけで、この公演は、「日本オーストリア友好150周年記念」と銘打たれているわけだが、原典はオーストリアで非常に人気の高い作品だそうだ。見終わった今、確かに内容的には、自らがオーストリア人であることに誇りを持とう、的な内容だったので、人気も出るわな、とは思う。一応言っておきますが、いわゆる愛国主義的な、政治的・社会的なメッセージ色はほぼないすよ。いや、あるんだろうけど、もっと純粋?というか単純?というか、明るく楽しいお話でした。
 で、物語はというと、故郷オーストリア・ウィーンを捨て(?)、アメリカに渡った女子がいて、ハリウッドで女優としての成功を手にするも、なんかどうも、いろいろと心の中はもやもやしていて、お忍びで故郷に帰ってくると。一方そのころ、その有名ハリウッド女優が宿泊予約したホテルでは、御曹司の青年が、社長である(?)母親とホテル経営をめぐってプチ対立していて、オレはもっと現代的なニーズをこのホテルに取り入れたいのに、母さんの考えは古すぎるんだよ!的な思いでいたと。そんな二人が出会って恋に落ち……てな感じである。ええ、サーセン、いつも通り超はしょりました。はしょりましたが、要するに、超ありがちなお話である、と言い切ってもよかろうと思う。
 なので、まあ基本的にはテンプレ進行でお約束通りの物語なんだけど……いやあ、実に面白かったすねえ! なんといっても、主役の二人、女優と御曹司を演じた月組TOPコンビが何ともいいじゃあないですか!! 脚本通りなのかアドリブなのかよくわかりませんが、随所にちりばめられたギャグに客席は大うけだし、歌も良かったすねえ! 
 というわけで、キャラ紹介と演じた方々を紹介していこう。
 ◆ジョージ:ホテルの御曹司。まあ実際、苦労知らずのゆとり青年といっていいだろう。しかしですよ、やっぱり月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)はいいすねえ! たまきち君は天性の育ちの良さというか、等身大のおぼっちゃま的キャラが一番似合いますな。まったくもって陽キャラだし、いつも思うけど、このお方はゴールデンレトリーバー的な大型犬のような、明るくて人懐っこいお方ですよ。今回も、非常にわんこっぽさが炸裂する前向き青年でしたね。実にお似合いでした。しかしまあ、わたしはお父さん世代なので、実際のところお母さんの言うことの方が正しいと思ったけどね。
 ところで彼は、ずっと悪役キャラから「このウィンナー野郎が!!」と侮蔑されてるわけですが、「ウィンナー」ってのはドイツ語の「Wiener」(ヴィーナー)の意味であって、つまり「ウィーンの」って意味なんですが、客席の皆さんはこの「ウィンナー野郎が!!」と呼ばれるといちいちウケてたので、意味が通じてなかったんじゃね? と若干心配です。「ウィーン野郎が!」が正しい意味ですよ。
 ◆エマ:ウィーンからアメリカに渡り、ハリウッドセレブとなって野望を遂げた女子。彼女は、実はオーストリア人でウィーン出身。しかし、いろいろと心のモヤモヤがあって、今回の帰郷は、何も言わずにおいてきちゃった母に会いたい的な気持ちもあった。
 演じたのは当然月組TOP娘役の美園さくらちゃん(以下:さくら)。今回のさくらは、とってもよかったですなあ。かわいいじゃん。特にラスト近くの「ケーキ屋さんの店員」風な衣装は抜群に可愛かったね! つうか、ほんとに細っそいなあ! そしてやっぱり99期首席は伊達じゃないですな。芝居もいいし、歌もいいよ、とても。ラストに本当の涙を流している姿には、なんかとてもグッと来たし、今回はさくらの歌は、地声で歌う部分が多くて、なんかかっこよくもあったと思うよ。ちょっと前から、このTOPコンビでUCCコーヒーのテレビCMが流れているのだが(本公演はUCCコーヒーがスポンサー)、なんか、たまきちくんに甘える、けど、ちょっと生意気な年下の彼女的ポジションがとても似合うっすね。この二人、実にお似合いじゃんか、と最近やっと理解できたっす。
 なお、役名のエマ、はハリウッドでの芸名で、本名はなんとか・ヴァルドフォーゲルというドイツ名でしたが、Wald=森、Vogel=鳥、という意味なので、「森の小鳥ちゃん」と言われたわけです。しかし、トルテを一口つまんで、「おいしい! でも、日本の宝塚ホテルのトルテの方がおいしかったわ!」的セリフは、ありゃアドリブじゃなくて脚本通りでしょうか。お客さん大ウケでした。
 ◆リチャード:エマのマネージャーで今回の悪い人。まあ、実際のところこの人は職務に忠実だっただけ、かもしれないけど、エマを利用して金儲けを企んだのがイカンかったすね。ずっとジョージを「ウインナー野郎が!」と呼ぶのはこの人です。
 演じたのは、ついに! いよいよ! 月組2番手に正式就任した月城かなとさん(以下:れいこ)。パレードの真っ赤なアレは、2番手羽でいいんですよね!? わたしとしては2番手羽を背負うれいこが見られたことが、今回最大の目玉だったようにすら感じたっす!! 胸アツですなあ!! 怪我も癒えたようで、本当に安心したし、2番手羽にはマジでグッと来たよ! よかったなあ!! うれしいっす!
 ◆ヴォルフガング:ジョージのお父さん。このお父さんがスーパーちゃらんぽらんな高田純次的テキトーおやじで笑えましたなあ! 一応、キメるところはキメてくれたし、ルックス的にも実にかっこよかったすね。演じたのは、花組から月組に戻ってきた鳳月杏さん(以下:ちなつ)。やっぱりカッコいいし上手いですなあ! 悪役を多く演じてこられたような印象がありますが、今回のような面白キャラもイケますねえ! 大変結構なお点前でしたよ。
 ◆ロミー:ジョージのお母さん。ホテル経営を取り仕切るお堅い方で、基本正論派。ジョージがふらふらしているのでまだ引退できません!!と思っている。本作では舞台がオーストリアだけに何度も『エリザベート』のキャラに言及されますが、彼女はゾフィー様と呼ばれることも。演じたのは、わたしが全娘役で一番大好きな海乃美月さん(以下:うみちゃん)。まあ何度もこのBlogで、うみちゃんがTOP娘になれなかったことを嘆いているわたしですが、そりゃあうみちゃん本人は、何リットルもの涙を流し、内心では悔しい思いをしているだろうけど、舞台上では全くそんなそぶりを1mmも見せることなく、楽しそうに、そして見事に演じてらっしゃいますので、わたしも、もういい加減にして、ちゃんとさくらを認め、月組全体を応援したいと今回強く感じたっすね。さくらはかわいかったし、うみちゃんもうみちゃんじゃないとできないお母さんでした。しかし、お堅いお母さんが一瞬はじけて、いきなりキラキラセクシー衣装で歌って踊るシーンには、完全に俺得で最高でした。うみちゃん、今後もイチオシで応援いたしたく存じます!
 ◆パブロ:ジョージが勝手にホテルに作ったフィットネスクラブのゲストに招いた、サッカーのアルゼンチン代表選手。パブロのオーストリア来訪は、実はリチャードの金儲け計画に組み込まれていた。けど、残念ながら物語的にはそれほどおいしくなく、あまり見せ場はない……のだが、演じた暁千星さん(以下:ありちゃん)は大変良かったですな。つうかやっぱり、ありちゃんって背が高いすね。そして身体能力抜群ですよ。今回は、サイドを刈り上げた新しい髪形も披露してくれたし、なんとロケットにも参加して、誰よりも足を高く上げてましたね。大変良かったと思います。
 ◆フェリックス:ホテルのフロント係でジョージと仲良しの青年。かなり性格はすっとぼけ君で、エマがお忍びでやってくるってのに、さっそくTwieetしてばらしてしまうダメ人間。エンディングはまさかのパブロとカップル誕生に驚いたっす。演じたのは、月組の若手路線街道まっしぐらの風間柚乃くん(以下:おだちん)。おだちんはコメディもイケる、貴重なキャラですね。いろいろ経験を積んで、きっと見事なTOPスターになるのは間違いないでしょうな。本作も、数年後に思い出される重要な作品になるかもしれないすね。
 ◆エルフィー:ホテルのベテランコンシェルジュのおばちゃん。今回一番アドリブ?なのか、客席の笑いをもって行った面白おばちゃん。演じたのは月組のセクシー組長でおなじみ光月るうさん。るうさんの女装は初めて見たような気もしますが、大変お達者で目立ちまくってましたね。ちなみに、やたらとアーノルド・シュワルツェネッガー氏のことを言ってましたが、つうか、シュワちゃんって古いよ……とか思ったけど、彼、シュワルツェネッガー氏も元々オーストリア人で、ハリウッドに渡って成功したお方です。シュワちゃんはドイツ語が母国語で、英語はアメリカに渡ってから身につけた人なので、やけにドイツなまりの聞き取りやすい英語をしゃべるお方なのです。
 ◆ゲルト:ホテルのフロント係の青年。真面目そうなメガネ男子。演じたのは連つかさくん(以下:れんこんくん)。今回はあまり出番がなくて、その代わりいろんなシーンに出てましたね。れんこんくんは、何気に演技派なので、どんな役でもきっちり本気で全力なのがとても好感が持てるっすね。声がいいんだよな。すごく通るというか、発声がきれいで大変良いと思います。
 ◆アンナ:ホテルのフロント係の女子。真面目なんだか、テキトーなのかよくわからないけど、フェリックスの恋のアプローチを受けたり断ったりする微妙女子。金か? 金が判断基準だったのかな? よくわからんす。演じたのは、わたしがこのところずっと応援してきたのに、本公演で退団することを発表した叶羽時ちゃん(以下:ときちゃん)。残念だなあ……ときちゃんも演技派で、すばらしいジェンヌなのだが……。まあ、まだまだ若いし、退団後の活躍を祈ってます。また会いに行くよ、必ず!
 とまあ、キャラ紹介は以上かな。今回は久々のムラ遠征だったので、いくつか写真をのっけとこう。まずはこちら↓
20191006-01
 大劇場ではこんな感じに、現在上演中作品&次回上演予定作品がズドーンと掲示されてました。わたしはいつも、AM6時東京発ののぞみ1号で遠征するので、大劇場に到着するのは9時過ぎぐらい。それだとまだ開いてないので、花の道の「ルマン」でお昼用のサンドウィッチを買います。そして9時半に劇場は開門となるのですが、その時間はまだほとんど人がおらず、こういう写真も撮り放題です。
 で、↓こちらが、開演前の舞台。
20191006-2
 こんな感じに、開演5分前からカウントダウンされてました。今回は、舞台装置に外箱公演でよく見かける縦長のLEDモニターや、プロジェクションマッピングを多用してました。そのため、セットの作りこみという意味では、意外と質素だったような気もします。

 というわけで、最後は毎回恒例のイケセリフで締めたいのだが、それは東京公演まで取っておきます。ので、さっさと結論。

 本拠地宝塚大劇場で始まった月組公演『I AM FROM AUSTRIA―故郷は甘き調べ―』を久しぶりに遠征してみてきたのだが、正直に告白すると、それほど期待してなかった……けれど、大変明るくハッピーなお話で、大変面白かったと思う。たまさくTOPコンビはとてもお似合いで、なんかいいすね! レトリーバーのような大型犬と、小柄で端正な柴犬がじゃれているような、ほっこりするコンビですな。そして、れいこの正式2番手がとてもうれしかったし、うみちゃんも元気いっぱいで、最高でした。ときちゃんの退団はさみしいけれど、どこかでまた会いたいですな。プリンシパルキャストに抜擢されることがあるかわからないけど、アンサンブルキャストでも、どこかに出演することになったら、必ず会いに行くよ。要するに、結論としては、遠征してよかったと思うっす! 面白かったわ。以上。

↓ 一瞬、これもネタになってました。ウィーンといえばザッハトルテ、ザッハトルテといえば、やっぱりデメル、ですな。超うまいっす。学生のころ、表参道のデメルに何度も行ったなあ。今でもあるんだろうか?

 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を生で体験して以来、すっかりハマってしまい、以降、ほぼすべての公演を観に行っているわけだが、当然のことながら、チケットの確保はホントにここ数年、極めて厳しく、先日のGWの連休中に東京での大千穐楽を迎えた花組公演は、とうとうチケットが獲れずに観ることが叶わなかった。たぶん、大劇場公演を観に行けなかったのは、2年ぶりぐらいである。まあ、現在はほぼすべての公演の千穐楽は、映画館での中継、いわゆるライブビューイングが実施されるのだが、その日も都合が悪くてダメ、であった。折しもその花組公演は、TOP娘役の仙名彩世さんの退団公演であり、あの超絶な美声をもう一度、生で味わいたかったのだが……残念である。
 で。GW後半から日比谷の東京宝塚劇場で始まったのが、わたしが昨日観てきた月組公演『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-/クルンテープ 天使の都』だ。
 わたしは星組イチオシであるけれど、その次に好きなのが月組、なので楽しみにしてはいたのだが……2つ、いや3つの点において、わたしは今回の月組公演には特別な想いがあって、昨日は定時に仕事を切り上げ、日比谷に赴いたのである。
【オレ的ポイントその1】宮本武蔵って……あの長大な物語を90分でまとめられんのかな??
【オレ的ポイントその2】稀代の美貌のジェンヌ、美弥るりか様よ永遠なれ!
【オレ的ポイントその3】わたしが娘役で一番好きな海乃美月ちゃんが怪我だと!?
 というわけで、以下、この3つの点を中心に思ったことをまとめてみたいと思う。
 まずは映像を貼っとくか。すげえなあ、宝塚って。観てよ、この映像!

 というわけで、まずは【ポイントその1】の、物語についてだ。
 わたしは井上雄彦先生の『バガボンド』はもう何度も読み返しているし(※まだ未完)、吉川英治先生の『宮本武蔵』も2回は読んでいるので、たぶんフツーの人より「宮本武蔵」については詳しいつもりでいる。ついでに言うと、もう10年以上前、京都の東寺(の塔頭)で特別公開された、武蔵の描いた絵をわざわざ観に行ったほど、宮本武蔵には結構な思い入れがある男だ。なので、キャストの発表があった時は、おお、れんこんくん(蓮つかささん)が植田良平役か! おっと、おだちん(風間柚乃さん)が辻風黄平かよ、しかも梅軒までやるんだ!? とか、もうほぼすべてのキャラクターを知っているので、いちいち興奮したのだが、一方では、ちょ、ちょっとまって、これって、すっげえキャラ多すぎっつうか、全部やろうとしてんの!? というような、90分の舞台が一体どんな構成で描かれるのか、全く想像できないでいた。唯一言えることがあるとしたら、これらのキャラを全部登場させるとするなら、これは相当なダイジェストっつうか、超はしょられるんじゃね? という不安めいた予感であった。
 そして結論から言うと、わたしの不安は的中してしまっていたと言わざるを得ないだろう。相当な駆け足で、事前の知識がないと分からないような点が多かったような気がしている。とりわけわたしが残念に思ったのは、武蔵の悩みがあまりきちんと描かれていないことだ。それは、故郷の宮本村で捕まった時と、吉岡との決闘の後、この2つの場面は、武蔵の人格形成には大きく変化が起こるポイントのはずなのだが、なんか、かなりするっと進んでしまったような気がした。なんつうかな、物語の進行はあきらかに吉川版に添ってはいる、けど、キャラ造形はどちらかというと『バガボンド』寄り、みたいな感じのハイブリッドであったが、実のところ吉川英治先生の『武蔵』と井上雄彦先生の『バガボンド』は各キャラの性格が相当違うというか全く別物なんだけど、妙に混ざった作品だったように思う。そしてそれが成功していたかというと……正直微妙だった、としかわたしには感じられなかった。まあ、90分にまとめるのは無理がありすぎたように思う。武蔵知識のない人が観て、無二斉(=武蔵の父)のこととか、石舟斎の「芍薬」こととか、武蔵がなぜ下総に行ったかとか、理解できたんだろうか?? また、何度か言及される武蔵の放つ「不細工な殺気」に関しても、これは吉川英治版というよりバガボンドでカギとなるポイントだけど、舞台からはあまり感じられなかったのも残念に思う。まあ、斬り合いってのは殺し合いなわけで、本来血まみれなわけだけど、それを舞台で出来る訳もなく、仕方ないのはやまやまなのだが……迫力を感じられなかったのは残念に思う。
 【ポイントその2】の美弥るりか様(以下:みやちゃん)に関しては、そのビジュアルはもう本当に美しく、美麗なる佐々木小次郎を演じてくれたことには大満足ではある。しかし、何度かこのBlogでも書いた通り、みやちゃんは本作をもって退団してしまうわけで、確かに題材としては武蔵と小次郎というのはすげえアリかも、と思っていたけれど……本来の吉川版では結構ヤな奴だし出番も少ないし(※バガボンドでは小次郎はもう一人の主人公として長い個別の物語がある)、90分では語りつくせなかったのは極めて残念だ。
 しかし、物語的にはもう仕方ないとはいえ、みやちゃんの美しさは単純なビジュアルだけではなく、その身のこなし、所作にもいちいち現れていたし、ショーの方ではもう、そのカッコ良さは言うまでもなく最高で、本当に退団されてしまうのがとても悲しく、残念に思う。ホント、TOPスターの座についてほしかった……みやちゃんの美しさは、永遠ですよ……。これで見納めかと思うとホント淋しいす……。。。
 【ポイントその3】の、海乃美月ちゃん(以下:うみちゃん)に関しても、このBlogで何度も書いてきた。いまだにわたしはうみちゃんがTOP娘になれないなんて辛すぎて悲しいわけだが、さらに追い打ちをかけるかのように、なんと怪我でショーの方は休演するというニュースが発表されて、本当に心配していた。せめて東京までには治ってその美しき舞を披露してほしい、と願っていたが、どこをどんな怪我してしまったのか知らないけれど、東京にも間に合わず、であった。
 ただし、『武蔵』には、ちょっとだけ重要なキャラとしてきちんと登場してくれたし、ソロ曲もあって美声を聞かせてくれたし、それだけでもわたしとしては嬉しく、満足であります。どうか怪我を癒して、次はショーでもその美しきお姿を観たいものですなあ……うみちゃんは本当に綺麗で芝居も歌も文句なく実力十分なのだから、TOPではないとしても、別格として今後もどんどん活躍してほしいと心から願いつつ、ずっと応援いたしたく存じます。

 あとは、各キャラについて思ったことをもう箇条書きで書きなぐろう。
 ◆珠城りょう様(以下:たまきちくん) is 宮本武蔵:まあ、上にも書いたけど迫力というか殺気はあまり感じられず。つうか、たまきちくんは、女子として美人なので、そのビジュアルはとても極上なんだけど……殺陣の迫力がもうチョイほしかったかも。
 ◆月城かなとさん(以下:れいこ) is 本位田又八:又八は完全にバガボンド寄りのキャラ造形でしたな。そしてれいこの美しさはもう、とびきりですよ! 無事2番手となってくれないかなあ……そして、わたしがファンクラブに入るほど一番愛しているこっちん(礼真琴さん)と、花組のゆずかれーとともに、95期TOPを実現しておくれ!
 ◆暁千星さん(以下:ありちゃん) is 吉岡清十郎:ありちゃんの清十郎は、どちらかというと吉川版に準拠してたのかな。死なないし(バガボンドでは武蔵との壮絶な戦いで死亡)。そして、今回のショー『クルンテープ』で魅せた、超セクシーな女装(※女性に女装というのも変だけどそうとしか言えない)は、男から見ると極めて上モノだったすね。ありちゃんって、やっぱり女子として可愛いんだな、と改めて思ったす。足が超長い!!
 ◆蓮つかささん(以下:れんこんくん) is 植田良平:わたしのヅカ友で一番美人のお姉さまがれんこんくん贔屓なので、月組観劇の際はわたしもれんこんチェックをするのだが、植田良平としての出番は少なかったけど、何気にいろんなシーンで出てたすね。わたしは今回、友会の抽選でフツーにチケットが獲れたんだけど、友会で初めて8列目と近かったのだが、上手側のはじっこの方で、ラスト近くの巌流島の決闘で、武蔵を乗せた船が上手から現れた時、船頭を演じてるのがれんこんくんだとすぐわかったす。位置的にすぐ近くだったので。
 ◆美園さくらさん(以下:さくら) is お通:今回は本編でもショーでも、さくらの歌が結構多めで目立ってたし頑張ってましたな。うみちゃんのことがあるので、どうしてもさくらには何の罪もないのに、なんか、ぐぬぬ、とか思ってしまうけど、さくらは本当に優等生ですよ。ショーではダンスもかなり良かったすね。ホント、さくらにも頑張ってほしいす。
 ◆叶羽 時さん(以下:ときちゃん) is 朱実:朱実は、バガボンドでは序盤のキーキャラというか目立つ役なのだが、やっぱりときちゃんは演技の人なんすかねえ、とっても良かったと思う。一度新公ヒロインを経験するも、まあ路線からは外れちゃったかもしれないけど、わたしは『エリザベート』きってのかわいそうなキャラ、姉のヘレネを見事に演じた時から、ときちゃんは気になって仕方ない存在す。すごい特徴のあるお顔なので一発で分かるのもイイすね。ショーでは、銀橋の上手側にいることがおおくて、わたしの真ん前に何度も来てくれたし、客席降りの時も近かったのでずっと見つめてました。「おとめ」によると特技は「1cm四方の折り紙で鶴を折ること」だそうです。なんだそれw! 今後も応援いたしたく存じます!

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「早くわたしの頂へ上って来い! 天下無双はこの世に一人でよい……」
 今回は、みやちゃん小次郎が、たまきち武蔵へかけるこのセリフを選びました。まあ現実世界ではたまきちくんがTOPスターという頂に登ったわけですが、みやちゃんがたまきちくんへと贈る言葉ととらえると、やっぱりグッときますなあ……はあ、ほんと、みやちゃんが2番手卒業してしまうなんて……淋しいす……。

 というわけで、結論。
 残念なことに花組公演を観ることが叶わず、2カ月ぶりとなった東京宝塚劇場での月組公演観劇であったのだが、やっぱり宮本武蔵のお話を90分で描くのは相当難しいわけで、心配していた通り、かなりの駆け足展開であったと言わざるを得ないだろう。たまたまわたしは宮本武蔵の物語をよく知っていたので、理解は出来たものの、やっぱりどうしても物足りなく感じてしまったのも事実である。特に、やっぱり「殺し合い」なわけで、重要な要素である「殺気」というものが、舞台では表現しきれていなかったように思う。まあ、仕方ないとは思うけど……。しかしそれにしても、美弥るりかという稀代のスターのことは、ずっと心に残ると思いますね。本当に美しく、お見事でした。そしてわたしが大好きな海乃美月さんも、これからも「別格」として、舞台を華やかに彩ってほしいすね。みやちゃんとうみちゃん、みやちゃんは退団してしまうけれど、今後もずっと応援したいですな。そしてわたしとしては、今後の月組観劇の際は、うみちゃんを最優先にしつつ、叶羽時さんもまた、追いかけたいすね。ときちゃんは芝居が大変良いと思います。そしてあとは、れいこが順当に2番手となって、95期TOPが実現する日を楽しみにしたいですな。そして、こっちん! TOP決定おめでとう!! お披露目はもう、ムラ遠征確定っす!! 以上。

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 というわけで、昨日は会社帰りに有楽町へ赴き、東京国際フォーラム・ホールCにて絶賛公演中の宝塚歌劇月組公演を観てきた。今年一発目の宝塚歌劇観劇は、いわゆる「外箱公演」というものである。
 ところで、「外箱公演(そとばこ)ってなんぞ?」と思われる淑女の皆さんもいらっしゃると思うので、軽く説明すると……まあ、宝塚歌劇の日本国内における知名度は相当なものだと思う、つうか、知らない人の方が少ないぐらいではないかと思うけれど、実際の公演についてはファンでないと知らないことの方が多いだろう。宝塚歌劇団は、自らの公演だけを行う「専用劇場」を宝塚市と東京の日比谷に持っていて、そこでほぼ一年中公演を開催しているわけだが、その「専用劇場」以外にも、別の会場でも宝塚歌劇団は精力的に公演を行っており、ホント、ほぼ毎日、日本のどこかで公演が行われているのであります。そういった、「専用劇場」以外の公演を「外箱公演」と呼ぶわけだ。全国の市民会館的なところを回る「全国ツアー」だったり、東京大阪のちょっと大きい劇場だったりとさまざまなのだが、ここ数年、年始には有楽町駅前の「東京国際フォーラム」での公演もレギュラー化している。
 この「外箱公演」にはひとつ、ファンにとっては重要なポイントがあって、大抵の場合、何とか組の全員、じゃないんだな。昨日わたしが観に行ったのは「月組」公演なのだが、月組のフルメンバーが参加しているわけではなく、多くの場合、外箱公演の際は、ひとつの組が2手に別れて、一方は東京、他方は大坂、とか、分かれて公演するのが通例になっている。大抵、TOPスター率いるチームと、若手主体チーム(あるいはベテランチーム)みたいに別れるのが通例であろう。
 また、ここ3年連続かな、年始の東京国際フォーラム公演では、前の年の暮れに新たに誕生したTOPスターコンビのお披露目公演的な場ともなっているのも、ちょっと押さえておきたいポイントだ。
 というわけで。現在東京国際フォーラムにおいて公演中なのがこちら、新たなる月組TOPスターコンビによる『ON THE TOWN』という作品であります。
onthetown
 どうですか。わたしは↑このプログラムを買って読んで、初めて知ったのだが、本作は映画のクラッシック作品で有名な『踊る大紐育』のことでありました。これって常識? おれが知らなかっただけ? 元々は1944年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、映画版の方が後、1949年公開なんすね。 
 で、内容としてはもう、歌って踊って大騒ぎ!なコメディーで、わたしも大変笑って楽しませていただいたのだが、なんつうか、もう、千鳥のノブ氏の声で読んでいただきたいのだが、とにかく登場キャラたちのクセがすごいんよ……! まあ、とにかくおっかしくて、笑わせていただきました。もう何度も、各キャラ(特に女子キャラ)たちのクセがスゴイんじゃあ! とツッコミを入れたくなるお話で、要するにですね、最高でありました!
 お話としては、舞台は1944年のNYC。ブルックリンの海軍ドックに入港した軍艦に乗船していた水兵たる主人公は、24時間の上陸許可を得て、いざマンハッタンへ。田舎者の主人公ご一向は大都会NYCに興奮し、おまけに主人公はミス地下鉄の女性にひとめぼれ。そんな彼を応援しようと2人の親友の水兵も街に繰り出し、それぞれ女子とねんごろになる、というお話である。サーセン、超はしょりました。
 この時代設定は要するに初演時と同じであり、日本人として思うのは、1944年(=昭和19年だぜ?)にこんなに明るく楽しいNYCを見せられたら、こりゃあもう、日本も勝てなかったわけだと思ざわるを得ないほど、1944年のNYCは生き生きしていて、まったく時代的な悲壮感など皆無、である。まあ、もちろん戦時中のことなので、ある意味での国威発揚的な、海軍万歳的な意図はあったのかもしれないけれど、少なくとも現代人のわたしの目にはそういった部分はほぼ感じられない、とにかく笑える楽しいお話であった。※追記:いやいや、戦時中である→若い男が周りにいない→女子の強力な肉食化、ってことなのかな? それはそれで納得っす。
 というわけで、以下、わたし的見どころと、むむむ……と思ってしまった点をあげつらってみよう。
 ◆月組新TOPスターお披露目!
 このBlogでも散々書いてきた通り、月組は去年の『エリザベート』をもって、長年TOP娘役を務めてきた愛希れいかさんが退団し、新たに美園さくらさんがTOP娘に就任した。そしてこれも何度も書いてきた通り、わたしとしては、月組でずっと応援してきた海乃美月さん(以下:うみちゃん)がTOP娘になれなかったことに対して、深い悲しみを抱いていたのである。なので、さくらちゃんには全く罪はないのに、若干、チッ……さくらめ……! とか思っていたのである。しかし! あー、くそ。やっぱりさくらは優等生、ダンスなんかとてもイイじゃないですか! おまけに、重要なポイントとして男役TOPスターとの相性というものがあるわけだけど……くそう、TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)とのコンビはかなりイイじゃないの!と思ってしまったわけです。世に「たまさく」と呼ばれるこのTOPコンビは、実に実に、大変悪くないすね。つうか、もともとたまきちくんは、ゴールデンレトリーバー的な優しく明るいワンコ系健康優良児キャラだとわたしは思っているけど、さくらもすごく健康的で、このコンビは相当アリっすね。 今回のさくらちゃんは、若干布の面積少ない系の衣装が多かったような気がするけど、ズバリ、足がいい! セクハラ視線で申し訳ないのだが、ダンスは大変結構なお点前であった。コメディ演技もなかなかのワザマエであったと思う。歌は……まあ、ええ、悪くない、すね。さくらちゃんは99期の首席ということで、やっぱり芸のレベルは高いすね。というわけで、今後はさくらちゃんもちゃんとわだかまりなく応援したい所存であります。が、うみちゃんの方が美人だし芝居もダンスも歌もうまいもんね!と心の中で思うわたしであった。
 ◆クセがスゴイんじゃ! の女子たち
 まず、わたしとして最初に称賛したいのは、自然史博物館で主人公の親友オジーが出会った人類学の学者女子、クレアを演じた蓮つかさくん(以下:れんこん)であろう。れんこんくんは普段男役で、身長も高いのだが、今回は女子の役で、しかもまあとにかくクセがスゴイ! 笑わせてくれましたなあ! おまけに、わたしは初めてれんこんくんが女子の役を演じるのを観たのだが、まず普通以上に可愛いじゃないの! そして歌も超がんばって普通に女子だ! ということにとても驚いたっすね。いや、女性なんだから当たり前なんだけど、これが当たり前じゃないわけですよ。それが宝塚ってモンなわけで、とにかくれんこんくんは、大変良かったと思います。学者なので真面目女子かと思いきや、なんかのスイッチが入ったのか(?笑)、ウブな水兵をガッツリ喰らいに行くその肉食性も大変イイと思います!
 そしてもう一人のクセがスゴイ、超肉食系女子タクシードライバー、ヒルディを演じた白雪ちさ花さんも強力でしたなあ……ちさ花さんは91期ともはやベテランで、今までそれほど目立った役は記憶にないけれど、実に楽しそうに演じられていたのが印象的でした。
 そして、わたしが何気に注目していたのが、このヒルディ―のルームメイトで引きこもり系地味系女子のルーシーを演じた叶羽時ちゃん(以下:とき)であります。ときちゃんというと、1回新公ヒロインを経験してるのかな。お顔に特徴があるのですぐわかるのだが、わたしとしては、前回の『エリザベート』で、シシィのお姉さんのヘレネを演じてたのがスゴイ印象深いんすよね。きっとヘレネは、猛烈に頑張っていたのに、ゾフィーには変な服とか髪型がアウトとかダメ出しをされ、挙句に皇帝フランツにはガン無視されるという、エリザベートきっての気の毒なキャラなわけだが、その時のときちゃんの表情というか芝居がわたしには非常に印象深かったのだが……今回は、まあクセがすごいんよ……! 余り出番もないし、セリフもほぼない役だったけど、それでも今回もとても印象に残ったす。いやあ、ときちゃんはなんか応援したくなるっすねえ! 最高でした。
 ◆若手スターは大ハッスルの巻
 今回、主人公を応援しようとハッスルする親友二人を演じた若手スターも大変良かったすね! まず、タクシードライバーのヒルディーに喰われちゃう真面目系男子、チップを演じたのが月組の御曹司こと暁千星くん(以下:ありちゃん)。ありちゃんは、まあ、今回の公演では2番手格なわけで、実に安定したパフォーマンスでした。やっぱりありちゃんはダンスの人なんでしょうか。いや、芝居の人かな? ともかく、のびのびとしたダンスはやっぱりお見事だし、真面目なんだけど、まわりのクセのすごい人々に感化されて後の、まあ、いっか、キャラへの変化も良かったと思います。
 そしてもう一人、学者のクレアに押されまくってLOVEっちゃうオジーを演じた風間柚乃くん(以下:おだちん)ももちろん良かったすね。若干お調子者的キャラはたいへんおだちんにお似合いでした。しかしやっぱりというか、おだちんは身長が若干低いんですな。クレアを演じたれんこんくんの方がデカくて、その凸凹カップル振りも大変楽しかったすね。
 ◆そして以下はネガティブ感想です。
 1)これは演出の問題……か?
 なんつうか、場面場面のつながりが妙に悪いように感じたし、場がフッと止まっちゃうような瞬間も何度かあったような気がします。なんなんだろうな……プログラムによると、版権の都合上、脚本は一切手を加えてはならん、という制約があったそうで、お話的に物語が進む場面に、キャラの脳内妄想でぱーーッと歌って踊り出すシーンが挿入される感じなんだけど、その脳内妄想シーンが浮いているというか……若干、わたしは戸惑ったす。まあ、舞台装置も最小限だったし、どうにもならんことなのかな……
 2)音響の問題なのか滑舌の問題なのか……?
 今回、わたしはたぶん、外箱公演で生オケだったのは初めてだったような気がする。そのおかげで、音楽の楽器の音はとても素晴らしかったと称賛したいのだが、残念ながら演者の台詞や歌詞は、聞き取りにくい部分があったように思う。これは……マイクのせいというより、滑舌、なのかな……分からんす。
 3)月組の「歌唱力」に関しては、課題なんすかねえ……。
 やっぱりですね、ミュージカルは歌が大変重要なわけですが……ズバリ言うと、今の月組は「歌ウマ」の組ではない、でしょうな……芝居に関してはピカイチだと思うし、ダンスもみな極めてレベルが高いと思うものの、やっぱりあとは歌が課題なんすかね……。そもそもたまきちくんの歌も、わたしは全く嫌いじゃないしアリだと思うけれど、歌ウマとは言えないですわな。そこをなんとか、さくらがより一層鍛えて支えてほしいところなんすかね……。さくらは歌ウマまで相当近づいていると思うので、もう鳥肌モンだぜ、レベルまで鍛え続けていただきたいですな。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「チーズケーキを食べに行こうぜ!」
 今回は、余りセリフを憶えてないんですが、おだちん扮するオジーが、れんこんくんをナンパしようと放ったこの台詞を選定しました。え!? なんでチーズケーキ!? と思わず吹いちゃったす。NYCの名物ってことなの? わかんねえけど、そのカッコつけ具合とセリフのギャップが最高でしたので、今回のイケ台詞に推したいと思います。

 というわけで、結論。
 2019年1発目のわたしの宝塚初めは、外箱公演『ON THE TOWN』でありました。月組選抜メンバーによる公演で新TOPコンビのお披露目となったわけだが、結論としては大変笑えて、明るく楽しいミュージカルで大満足であります。しつこいけどもう一度言わせてください。とにかく、クセがすごいんよ! 笑えたっすねえ、ホントに。まあ、昭和19年という時代にこんなに楽しい毎日を送っていたメリケン人どもには、勝てないっすな。歌って踊って大騒ぎ、とはこういう作品を言うんでしょうな。大変楽しめました。そして、新TOP娘の美園さくらさんを、今後は屈託なく応援できるような気がしました。たまさくコンビはアリ! すね。大変良いと思います。そして、何気に初めて見たれんこんくんの女子姿は、大変可愛かったです。これもアリ、と判定いたします。実にアリです! 以上。

↓ 実は観たことないのです。原典として、勉強しておくともっと楽しめたのかもな……。
踊る大紐育 [Blu-ray]
ジーン・ケリー
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-06-03








 以前も書いた通り、わたしが愛する宝塚歌劇団は、花・月・雪・星・宙の5組がそれぞれ公演を行っているわけだが、年に1回、毎年年末に各組TOPスターが梅田芸術劇場メインホールに集合して、合同の公演を行う機会がある。この公演は現在では『タカラヅカスペシャル』と呼ばれていて、昼と夜の2回公演を2日間、合計4回の舞台が繰り広げられるのである。
 ただし、そのタイミングで東京公演を行っている組は参加できないので、その東京公演組以外の4組+専科のスターたちから構成されているのである。ちなみに今年は宙組が東京公演中につき欠席、ということになっている。
 で。毎年、この『タカラヅカスペシャル』にはテーマがあるのだが、今年はどんなテーマかというと、公式Webサイトの文章を無断でパクッて説明すると――
「年に一度、専科、花、月、雪、星組で活躍中のスター達が集う夢の競演を、梅田芸術劇場より華やかに開催いたします。今年は、平成も最終年を迎えるにあたり、宝塚においても多くの変化のあった平成の30年間をフィーチャーしつつ、2018年の公演を振り返るコーナー等も含めた、バラエティ豊かな構成でお送りいたします。」
 ということだそうだ。えーと、ま、ズバリ言ってよくわからんと思うので、簡単まとめると、この平成最後の『タカスペ』は、この30年の歴史を振り返ります、てなことだと思う。実際、最初の方で説明があったのだが、今年はいろいろなメモリアルが重なったのだそうだ。
 ◆10年:現在の形で『タカラヅカスペシャル』となって10年目、だそうです。それ以前は「TCAスペシャル」という公演名で、場所も梅田じゃなかったりしたそうだが、その時代はわたしはよく知らないす。ちなみにTCA=タカラヅカ・クリエィティブ・アーツの略で、宝塚の映像音楽ソフトの管理販売をしてる子会社のことですな。
 ◆20年:今年は「宙組」が誕生して20年目なのです。それはつまり有楽町に暫定的に設置されたTAKARAZUKA1000days劇場から現在の日比谷の東京宝塚劇場のリニューアルが完成して、東京公演を通年公演を開始して20年、なんだそうだ。つうか、その宙組がタカスペ欠席ってどうなのよ……。
 ◆30年:あ、やべえ、なんだったか忘れた。なんか30年もあったはずだけど、サーセン、なんだっけ? 単に平成30年、ってことだっけ?
 ◆40年:宝塚大劇場の横にある、「宝塚バウホール」が出来て今年で40年なんですって。全然知らなかったわ。
 というわけで、以前は基本的に、「今年を振り返る」的な構成で、各組のその年の公演をパロディ化したドタバタ寸劇なんかもあったのだが、ここ数年は寸劇ナシの、歌を中心としたコンサートに近い構成になっていて、今年もそういう歌中心の真面目な?ショーであった。一応、今年のポスター画像を貼っておこう。
Screenshot
 で。
 この『タカスペ』で、おそらくファンが一番うれしいことは、普段観ることができない、組が違うスター同士が一緒に歌うシーンを観られることに尽きると思う。例えば月組のTOPスターと花組のTOP娘のデュエットとか、組が違う同期スターたちが共演するとかですな。なので、『タカスペ』をたしなむには、舞台に登場するスターの知識とか(誰だ?とか言っていてはダメなのです)、歌う歌の知識(この歌なんだっけ? とかも基本アウト)も持ち合わせていないとダメで、高度な宝塚知識が必要になる。つまり、ズカ道黒帯でないと、「おおっ、キター!」とか、いちいちキャッキャできないのである。わたしは2010年にヅカ道に入門して早9年。期で言うと96期生と同期。まだまだ精進が必要だが、一応、自称黒帯である。
 というわけで、わたしが今年の『タカスペ2018』で、一番「おおっ!」と燃えた(萌えた)のは、やっぱりですね、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)と、花組TOP娘役の仙名彩世さん(以下:ゆきちゃん)のデュエットであろうと思う。
 なぜグッと来たかというと、まず第一に二人は同期であり、そしてゆきちゃんは来年退団することが決まっているからであり、さらに言うと、二人の歩んでみた道が結構対照的だからだ。そんな二人が、最期のタカスペでデュエットを歌う。ここにグッとくるわけですよ。
 わたしは星組を一番応援しており、星組の2番手スター礼真琴さん(以下:こっちん)が一番好きで応援しているのだが、そんなわたしなのに、月組のたまきちくんが現役TOPスターの中では一番好きである。たまきちくんは94期生、こっちんが95期生なので、1期上、である。1期上、ということは、宝塚においては、同じ時期に音楽学校に在籍したということであり、つながりが大きい間柄だ。そしてゆきちゃんも94期生であり、おまけにゆきちゃんは94期生首席卒業である。こっちんも95期生首席なのだが、こっちんたち95期生からすると、1期上の首席、という存在はもう超憧れの先輩という感じだろうと思う。
 しかし、ゆきちゃんは首席とはいえ、実は華々しい経歴を誇っているわけではない。極めて高い技量を持った娘役であるのは間違いなく、とりわけその美声はわたしはとても好きだが、TOP娘に登極するまでは決して順調な道のりではなかった。新人公演ヒロインも経験できなかったゆきちゃん。そして一方では、同期たまきちくんは早くから抜擢が続き、入団9年目で月組TOPスターに登極。この9年目というのは、異例の速さだ。こんな、若干対照的な同期のTOPスター二人が、組の違いを超えて、退団前の最後のタカスペでデュエットする。そこに、とてもグッとくるというわけであります。さらに言えば、男役と娘役は、TOPになる時期が違っていて、男役が10年目とか遅いのに反して、娘役は普通は5年目とか、もっと早いわけですよ。なので、同期の男役と娘役が、同じ時にTOPでいる、という状況も、普通は結構まれなわけです。なので、たまきちくんとゆきちゃんの同期デュエットは、そういう意味でも、同じ時にTOPでいられた奇跡に乾杯! なわけですよ! いやあ、ほんとに、この1曲のためだけでも、ライビューに行って良かったと思ったす。
 まあ、わたしとしてはその他にもいろいろ見どころはあって、2時間はあっという間に終わってしまったような気がする。わたしが思ったことは、もう箇条書きでメモって終わりにしよう。
 ◆理事の歌声は……若干厳しいというか……むむむ……。。。
 ◆こっちんはさすがにカッコいい! その歌のパワーはやっぱり際立ってますなあ。
 ◆最強歌ウマTOPコンビ、望海風斗さん&真彩希帆ちゃんはさすがの歌力すねえ。
 ◆誰が何言おうと、わたしは星組推しとしてあーちゃんを応援します。かわゆい。
 ◆ゆずかれーは、確かにそのビジュアルは超強力だけど、歌は……むむむ……。
 ◆たまきちくんは最年少TOPだけあって、いじられますねw しかしこの人、ホントに女子としてかわいいと思うな。そしてわたしの大好きな歌、「蒼穹の彼方」は大変結構なお点前でした。ちえちゃんの熱唱を思い出すっすね。
 ◆せおっちはなんかホントに、この1年で成長しましたなあ。特に歌が。
 ◆こっちんと同期のせおっち(星)・れいこ(月)・あーさ(雪)・マイティー(花)といった各組3番手付近の活躍は大変喜ばしいすねえ。
 ◆わたしが娘役で一番応援している海乃美月ちゃんがちらちらと出演するとわたしのテンションは上がるわけですが、くっそう、ライビューだと見切れてる場面が多すぎて、ぐぬぬ……!
 以上であります!

 というわけで、結論。
 年に1回、年末恒例の『タカラヅカスペシャル』。わたしは今までWOWOWで放送されたものしか観たことがなかったけど、初めて、ライブで観てみた。ライブと言っても、劇場で生で観るわけではなく、映画館で上映されるいわゆる「ライブビューイング」だったわけだが、アレっすね、やっぱり画質も若干粗くて、静止してるといいんだけど、動いているともう顔が分からなくなるレベルで、なんつうか、もっと画質の向上をお願いしたいですな。そして今年の『タカスペ』は2時間であっさりおわってしまい。なんかあっという間だったすね。でもまあ、わたしとしてはそれなりに見どころもあって、大変楽しめましたとさ。以上。

↓ おお、今は配信もされてるんですな。2014年は宝塚100周年ということで、この年は東京公演組だった月組も中継でちゃんと参加して、結構楽しかったすね。しかしあれからもう4年経ったのか……はええなあ……。。。

 というわけで――現在日比谷の東京宝塚劇場にて絶賛上演中の、月組公演『エリザベート』。わたしは既に9月にムラ観劇(=兵庫県宝塚市の「宝塚大劇場」で観劇すること)してきたわけだが、以前書いた通り、大変人気の高い演目であり、おまけに月組TOP娘役である愛希れいかさん(以下ちゃぴ)の退団公演というブーストもあって、とにかく、本当に、まったく、チケットが獲れない。特に東京はもう全くダメ、であったのだが、わたしのヅカ師匠の美しいお姉さまが行けなくなったということでチケットを都合してくださったため、なんとか観に行くことが出来た。
 わたしが観た2カ月前のムラ観劇では、2番手スター美弥るりかさん(以下みやちゃん)が体調不良により無念の休演となってしまって、ある意味超レアな配役での観劇は幸運だったかもしれないけれど、みやちゃんの無念を思うとまったく幸運とも思えず、東京までにみやちゃんが元気に復帰するとよいのだが……と心配していたわけだが、その心配は無事に解消され、東京公演ではみやちゃんが復帰し、物語の重要人物フランツ・ヨーゼフ1世を演じてくれている。
 というわけで、2回目の観劇となる今回、わたし的注目点として、以下について思ったことを書き連ねてみたい。もはや主役の二人については、今回は触れません。素晴らしかったのは言うまでもないので。
 1)みやちゃんのフランツはいかがであろうか……
 2)月城かなとさん(以下れいこ)の演じるルキーニはいかに。
 3)わたしが月組で一番好きな海乃美月ちゃん(以下うみちゃん)の美しさをずっと見守っていたい!
 4)ムラではノーチェックだった美園さくらさん(以下さくら)をちょっと気にして観よう。
 とまあ、要するにムラで観ることが出来なかった、本来キャストの演じぶり・歌いぶりと、大ファンのうみちゃん、それから全くムラではチェックしなかったさくらちゃんについてであります。

 はーー……しかし、ホントに『エリザベート』という作品は、歌が素晴らしいすねえ……オープニングからフィナーレまで、まったく飽きないし、数々の歌に聞き惚れますなあ……。
 というわけで、順番に思ったことを書き連ねてみよう。
 1)みやちゃんフランツは恐ろしく線が細くて、なんつうか、はかない……。
 まあ、みやフランツの美しさはやはり想像通り、とても際立っていたと思うけれど、やっぱり、演者が変わると印象も違うものですな。みやちゃんのフランツは、まず、なんといっても華奢で(ただし立ち姿はビシッと真っ直ぐで極めて美しい)、ホントにエリザベートが大好きな男だったように感じたすね。
 なので、超つれないエリザベートに心傷つくフランツぶりは、観てて悲しくなっちゃったす。わたしは男なので、どうしてもフランツが気の毒に思えてしまうんすよ……これは、わたしの後輩女子の意見とは全く正反対で、女子から見ると、1回浮気した時点でもう許せるわけがなく、ふざけんな、なんだそうだが、許してあげてほしいけどなあ……男としては……。ダメっすかねえ……。皇帝なんだから、側室を……持てないか、カトリックは無理か? ちょっと詳しくは分からんけれど、なんというか、みやちゃんフランツは、観ていてホントに、許してあげてくれよ……という気持ちになったす。それがいいことなのか悪いことなのか、わたしには判断できない、けど、これはこれでアリ、だとわたしは思う。歌も良かったすね。一部若干苦しげだったのかな……まあ、それはフランツの心が苦しかった故、とわたしは解釈したいと思います。結論としては、みやちゃんフランツは、超はかなく美しかった、すね。とりわけ、わたしがグッと来たのは、まあ夜のボートは当然として、「と~び~~らを~あけてく~れ~こころ~~やさ~しい~~~エリ~~ザベ~~~ト!」の最後通牒の時のみやちゃんに泣けましたなあ……この時は浮気もしてなかったのに……つらいす……。
 2)れいこルキーニはやっぱりカッコイイね!
 ま、これは想像通りのカッコ良さで、言うことなしであろうと思う。歌も、とても良かったと思うし、アドリブの余裕ぶりも、さすがに手慣れた感があって、大変結構なお点前であったと思います。はあ……年明けのみやちゃんとれいことうみちゃんのバウを観に行きてえ……絶対チケット獲れないよ……くそう……!
 3)本当にうみちゃんは美しいですなあ……オレ的ナンバーワンヅカ美人は揺るぎなし!
 今回はムラで買ったプログラムでバッチリ登場シーンを予習しといたので、きっちり双眼鏡でうみちゃんを追えました。冒頭の幽霊ヴィンディッシュ嬢がすごい見にくい位置で、前のご婦人の頭が超邪魔で、く、くそう、あと10cmズレてくれ!!とか思ったのはどうでもいいとして、とにかくうみちゃんの、スポットライトが当たっていない時も当然演じ続けるその姿勢に、やけにグッと来たすね。
 ちゃぴエリザが「エーヤン、ハンガリー!」の時に一番エリザに近い位置にうみちゃん演じるハンガリー貴族婦人がいたり、ウィーンの民衆の中にいても、当たり前かもしれないけど、一切手抜きナシの全力芝居でますますファンになりました。もちろん、渾身のヴィンディッシュ嬢は東京でも圧巻で、先日SKY STAGEの番組でこの時の芝居の解説をチラッとうみちゃんがしていたのを見たけれど、その説明通り、完璧だったとわたしは大絶賛したいと思います。
 うみちゃん曰く、ヴィンディッシュ嬢は、それまでは完璧に自分が皇后だと思い込んでいて、周りも、はいはい皇后さま、的に合わせてくれていたために、心が安定していた、けれど、本物の皇后がやってきて、周りのみんながヴィンディッシュ嬢を構うことなく、手にしていたボロボロの扇子を落としたとき、じゃああたしは誰? と真っ白になってしまったのだそうだ。そして、エリザベートと対面した時は、鏡として、演じるちゃぴの心をそのまま映す存在として放心しているんだけど、(エリザベートになり切っている)ちゃぴのハートがあまりにも圧倒的で、どうしてもあのシーンでは勝手に涙が出てしまう、てなことらしい。
 ここでのエリザベートの歌(日本語では「魂の自由」)は、ドイツ語では「Nichts, Nichits, Gar Nichts」という歌で、えーと、英語で言うと「Nothing Nothing Nothing at all」ってことかな。要するに私が得たものなんて、何も、まったく何もない、という歌なんだけど、ドイツ語で聞いても凄くわかりやすいと思うので、自分用メモとしてYou Tubeから貼っておこう。歌詞の内容は日本語版とかなり違うんすね。

 これをチェックしてみたのは、SKY STAGEで観た今回の月組『エリザベート』のメイキング的な番組で、演者の皆さんが「歌詞じゃなくて音自体」に感情を込めないといけない、と揃って同じようなこと仰っておられたからだ。我々日本人的には、どうしても歌詞の意味に感情を求めちゃうんだけど、それよりも音自体が重要なんだそうで、じゃ、他の言語で聞いたらどうなんだろう?と思ったからです。そしてオリジナルのドイツ語で聞いてみても、やっぱりグッときますね……このシーンは。本当にうみちゃんは最高です!
 4)さくらちゃん……キミ、意外とデカいね?
 というわけで、うみちゃんはTOP娘になることが叶わず、さくらちゃんが年末のタカスペからかな、月組TOP娘となるわけだが、わたしはうみちゃん派とは言え、さくらちゃんにはなんの罪もないし、さくらちゃんを嫌う理由は何一つないと思っている。
 歌もうまいし、99期首席、大妻出身の数学が得意な賢い娘さん、みたいな知識はあったけど、実はわたしがさくらちゃんを明確に認識したのは『雨に唄えば』でのヒロイン役しかなく、今回はキッチリとチェックさせてもらったのだが、第一印象としては、デカい、すね。さくらちゃんは。女官6人衆の後ろから2番目で、常に忙しく立ち回っている姿が印象的でした。あと、世界の美女の、なんかクレオパトラ的なエジプト娘がさくらちゃんだったけど、まあ、サーセン、オレ的にはスペイン代表フラメンコガールを演じた海ちゃんの方が圧倒的に美人で可愛かったす。なんというか、役柄的に仕方ないけれど、さくらちゃんはちょっと表情がカタイすね。まあ、勝手な想像をするに、きっと真面目で勉強のできる娘さんなんでしょうな。そのカタイ表情は、とても賢そうに見えるすね。今後の数々の演目で、さくらちゃんのいろいろな表情が観られることを期待します。男としては、こういうおカタイ真面目っ子が笑うと可愛いんだよな……ホント、頑張ってほしいすね。
 
 というわけで、もう書きたいことはなくなったので終わりにしたいけれど、やっぱりちゃぴは凄い娘役ですよ。本当に彼女の全力は観ていて心震えるし、退団後の東宝帝劇版シシィは間違いないでしょうな。そしてやけにダイナミックで活力あふれるたまトートも、やっぱりイイと思います。若干歌は苦戦してるのかな……という気もしなくもないけど、アリですよ、たまトートは。
 一応、千秋楽は近所のシネコンのライブビューイングで観られることになったので、ちゃぴの、ホントにホントの最後を目に焼き付けておこうと思います。ライヴューは視点が固定されちゃうから、うみちゃんの姿はあまり見られないかもしれないけど、渾身のヴィンディッシュ嬢は映画館の大画面で味わいたいすね!

 というわけで、結論。
 2回目となる2018年月組版『エリザベート』を日比谷の東京宝塚劇場で観てきたのだが、なんなんだろう、もう何度も観ている作品なのに、やっぱりイイすねえ……ホントに。やっぱり、楽曲の素晴らしさなんだろうな……そして演者によって雰囲気も変わるし、まったく飽きないすね。もう歌の歌詞まで憶えちゃってるわけで、ほぼ完ぺきにトレースできちゃうのは『エリザベート』ぐらいですよ。人気があるのもうなずけるす。今回の月組版も、とても楽しめました。来年あたり、東宝帝劇版またやってくれねーかなあ……。以上。

↓ ドイツ語版のCDが欲しいす……配信で買えってことかな……。日本語以外で聞いてみるのもおススメっすね。

 宝塚歌劇団の公式Webサイトの言葉をそのまま引用すると――
 「1996年の初演以来、独創的なストーリーと、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーで多くの人々を魅了してきた『エリザベート』。上演回数は1000回を超え、観客動員数240万人を記録するなど、名実ともに宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルとなりました」とのことで、ヅカ歴8年目となったわたしも、すでにこの『エリザベート』という作品は、2014年の花組Ver.と2016年の宙組Ver.の2公演を観に行っている。また、この作品は東宝・帝劇ミュージカルとして男性キャストも交えた「普通の」ミュージカルVer.もたびたび上演されており、わたしも2015年のVer.を帝劇で観ている。
 わたしが言いたいことは2つあって、一つは、つまり『エリザベート』という作品はとても人気が高いということ。そしてその結果、おっそろしくチケットを入手するのが難しいのである。そしてもう一つは、これまで何度も上演されているものの、基本的な歌やセリフはずっと変わっておらず、演じるキャストによってかなり印象が違ったり、歌い方がさまざまで、何度観ても飽きないし、毎回、新しい発見のようなものがあって、過去の上演と比較するのもまた楽しい。それが、『エリザベート』という作品である。
 というわけで、今年もまた『エリザベート』が宝塚歌劇団によって上演されることとなったわけだが……今回は、現在の月組で6年の長きにわたってTOP娘役に君臨してきた愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)の退団公演でもあって、まあとにかくチケットが取れない。わたしは東京は全滅で、結局わたしをヅカ道へ導いてくれた師匠に11月のチケットを1枚譲ってもらったので、とりあえずは何とかなったのだが、わたしとしては、ちゃぴの最後の雄姿を目に焼き付けるべく、宝塚大劇場、すなわち兵庫県宝塚市に存在する本家総本山へも観に行きたいとの希望を持ち、こちらは自力で何とか1枚、購入することができ、昨日は朝から新幹線のぞみ号をぶっ飛ばして、一路大劇場へ遠征してきたのである。日帰りで。
 もはやムラ遠征(=東京に住まう我々が宝塚市の大劇場に遠征すること。由来は実は知らないんだけど、ファンは大劇場のことを「ムラ」と呼ぶのです)は、既にヅカ道黒帯を取得しているわたしからすると、もはや普通のことである。そして、もはや観光するような気もなく、日帰りでさっさと帰るのも、ある意味もう全然普通のことだ。しかし昨日はちょっとキツかった……なぜなら、わたしは昨日、大劇場で『エリザベート』を観た後、続けてバウホールにて絶賛上演中の『CHALLENGER:ザッツ北翔テイメント』も観てきたからだ。この、「北翔テイメント」に関しては明日別記事にするので、ここでは書きません。一言でいうと最高すぎて、内容が濃すぎて、はっきり言って『エリザベート』の印象は吹っ飛んじゃうぐらい最高だったんすけどね。
 ともあれ、『エリザベート』である。

 わたしが思うに、『エリザベート』の魅力はその歌である。実は、物語的にはかなり、ううーむ?という部分があって、いろいろと、ええと……? とキャラの心情が謎な部分が多いのだ。ツッコミ甲斐があるというか、とにかく、実はストーリー的に、なんか変、だとわたしは思っている。ただ、そういった部分も、もはや気にならないほど圧倒的に歌が素晴らしくて、なんだかよくわからないうちに、胸にグッと来て感動してしまうのである。
 そして、今回の月組公演にあたってのわたし的見どころは、以下に総括できるとわたしは思っていた。
 1)ちゃぴのラストを飾るシシィの完成度や如何?
 2)たまトートはどうなのよ?
 3)みやフランツは渋いんでしょうなあ、きっと?
 4)れいこルキーニは、そりゃあきっとカッコいいでしょうねえ……。
 5)新世代ヒーローおだちんルドルフはどうだろうか?
 6)愛するうみちゃんの、渾身のヴィンディッシュ嬢はきっと素晴らしいに違いない!
 どうですか。上記6点について、何の解説もなく意味が分かるようなら、ヅカ道初心者レベルはクリアしていると思うけれど、ズバリ言って、普通の人には全く意味不明だろう。というわけで、以下、解説しながら、感想を連ねてみたい……のだが、なんと、超残念というか、超心配でならないのだが……おとといから月組2番手スター美弥るりかさん(以下:みやちゃん)が体調不良のため休演となり、急遽、役の変更がなされることとなったのである。みやちゃん……どうか東京公演までに戻ってきておくれ……心配だよ……とても……。
eliza2018
 ◆ちゃぴシシィはパーフェクト。ちゃぴ渾身の退団公演は伊達じゃない!
 そもそも、宝塚歌劇の演目は、どうしても男役TOPスターが主役なのだが、本作『エリザベート』に限っては、そのタイトル通り、明確に主役は娘役TOPが演じるエリザベート(=幼名というか愛称「シシィ」)であるとわたしは考えている。幼いシシィがハプルブルグ家に嫁ぎ、超おっかないお姑さんとの嫁姑バトルを勝ち抜き、皇后としてその地位を勝ち取っていくものの、マザコン浮気野郎の旦那との確執などから愛する息子を失い、心さすらう人生の、その最期までが描かれる、明らかにエリザベートという女性を中心に据えた物語だ。
 男のわたしの視点では、シシィの行動は結構理解しがたく、とりわけ息子ルドルフを助けなかった理由がさっぱりわからんのだが、まあ、そういった謎はこの際どうでもいい。芝居としての見どころは、やっぱり、冒頭の天真爛漫だったシシィが、いかにして皇后として堂々とした姿となるか、ある意味計略家として生きていこうと決意し、そしてその後、絶望に身をやつしながらいかにして晩年を過ごすか、という激動ともいえる心と体の変化にあるとわたしは思う。そして、そういったその時々の心情は、ミュージカルなんだから当然、「歌」で語られることになるわけで、極めて高いレベルの「演技」と「歌唱力」が必要となる役柄であろう。
 結論から言うと、わたしは、今回シシィを演じたちゃぴこと愛希れいかさんは、わたしが今まで見た3人のシシィの中で、完全に1歩も2歩も上を行く完璧なシシィだったと絶賛したい。本当に素晴らしかった。わたしは、ちゃぴの魅力はなんといってもダンサーとしての魅力が一番だと思っているけれど、芝居力もダンス同様に素晴らしく、また歌も当然極めて高いレベルにある。じゃなきゃ6年もTOP娘の看板を背負えないよね。いやあ、本当に素晴らしかった。11月にまた東京で会えることを楽しみにしているよ。きっと、さらにまた高みに登っていることでしょうな。退団後の活躍も楽しみですなあ。きっとちゃぴなら、退団後も素晴らしいキャリアを築いてくれることでしょう。東宝版のシシィもぜひ演じてほしいですな。ちゃぴ、君は本当に凄いよ。最高です。
 ◆たまトートは、想像以上に素晴らしくて、同時に今までとは違うトートだった!
 トートとは、ドイツ語のDer Tod=英語のThe Death、すなわち「死」であり、要するに冥界の王なわけで、ズバリ言えば人間ではない。こういう、「死」の擬人化は、例えばミュージカル『ロミオとジュリエット』なんかにも出てくるように、まあ、西欧作品にはよくあることなのだが、本作『エリザベート』では、その「死」が、人間であるエリザベートにぞっこんLOVEっちゃうことに最大のポイントがあって、しかもそのトート様が、やけに純情チェリーボーイなのが笑っちゃうというか、ドラマチックなのである。
 で、一方、今回トート様を演じる月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきちくん)は、わたしの印象は上品で育ちのいいおぼっちゃま、であり、等身大スターであり、なんつうか、健康優良児、なんすよね。たとえて言うならゴールデンレトリーバーのような、完全なる「陽キャラ」なのがたまきちくんの魅力だとわたしは思っているのだが、その健康優良児たまきちくんが、宝塚の演目きっての「陰キャラ」であるトート様をどう演じるのだろうか、というのがわたし的見どころであったのだ。
 まず、ビジュアルだが、やっぱりたまきちくんのデカい体はとても堂々としているし、話題の「金髪」トート像も、わたし的には全く問題ナシであったと思う。むしろかなりイイじゃん! と称賛したいぐらいだ。一方で歌は、今まで聞いたことがないような感じで、若干の、んん? というポイントもあったのは事実だけど、それはまあ、ちゃんと演出の小池先生がチェックしていることだろうから、わたしが口をはさむことでもないだろう。アリ、だと思う。そして、わたしが一番グッと来たのは、その表情であったように思う。なんつうか、妙に生命力あふれていて、感情が分かりやすいのだ。そう、「死」なのに、妙に人間臭いんすよ! これはたまきちくんの持ち味である「陽キャラ」がにじみ出しているんだとわたしは理解した。なるほど、こういうトートもアリなんですなあ、と新発見したような気分になって、わたしは非常に面白いと感じましたね。その結果、「最終審理」でトート様がフランツに感じる嫉妬のようなものが妙に生々しかったし、お話も分かりやすくなったように思う。わたし、今回の、妙に人間臭くダイレクトに嫉妬するたまトート様のお姿を観て、ああ、そういうことだったんだな、と妙に腑に落ちたすね。なので、たまトートは断然アリ!です。最高でした。
 ◆みやフランツ無念の休演。そして急遽代役に立ったれいこフランツは……
 現在の月組では、若きTOPスターを支える2番手スター、みやちゃんこと美弥るりかさんの存在意義は極めて大きくて、TOPのたまきちくんもみやちゃんへ絶大な信頼感を寄せているし(※みやちゃんはたまきちくんより5学年も上の先輩)、二人の関係性は現在の月組になくてはならない要素だと思っているのだが、無念の休演となってしまったことがとても残念だ。もちろん、みやちゃん本人が一番残念に思っているだろうし、もう、身を引き裂かれんばかりにつらい思いをしていることと思う。どうかきっちり体調を整えて、また舞台に復帰してほしいと思う。東京で待ってるよ。おれはみやちゃん、あなたのフランツが観たいんすよ!
 で。今回、おそらくはほぼ稽古も積んでいないであろう、月城かなとさん(以下:れいこ)が急遽、重要な役であるフランツを演じてくれることとなり、まあ、ヅカファンとしては、れいこフランツを観られたのは、ある意味においては大変幸運だったとは言えるかもしれない。たしかに、れいこフランツは、まずのそのビジュアルからしておっそろしく美しいし、歌も超がんばっていたのは間違いないのだから。
 しかし、れいこさんの頑張りは称賛して余りある素晴らしいものであったけれど、いかんせん、準備の時間がなさ過ぎたのではなかろうか。もちろん、その時間がない中でのれいこフランツは、もう大絶賛したいのは間違いない。でもわたしはやっぱり、れいこルキーニが観たかった。それに、比較するのは失礼であるのは承知しているけど……この後に観た『北翔テイメント』でのみっちゃんフランツがやっぱり凄すぎて……やっぱりフランツはこうでなきゃ、とか思っちゃったんすよね……みっちゃんはマジ最高すわ……。
 ともあれ、11月の東京でのみやちゃん復帰を心から祈っております。どうか、くれぐれも焦らず、お大事になさってくださいませ。東京で待ってるからね!
 ◆れいこルキーニは観られず、急遽おだちんルキーニ登板!
 というわけで、当初予定されていたれいこさんのルキーニは観ることができなかった。ルキーニという役は、『エリザベート』という作品でも、極めて目立つし狂言回しとしても大変重要な役柄で、そのノリノリで観客をあおるようなキャラクターは、作品の中で一番おいしい役と言ってもいいぐらいの大切な役である。わたしとしては、2014年の望海風斗さん(以下:だいもん)が演じたルキーニが歴代最高だと思っているが(帝劇で観た山崎育三郎氏Verよりも凄かったと思う。だいもんルキーニはもう完全に男でした)、それを今回、月組随一の美形、れいこさんでやるなんて超楽しみだぜ! と期待していたのである。
 しかし今回の代役によって、新人公演でルキーニを演じている風間柚乃さん(以下:おだちん)が、本公演でもルキーニを演じることとなったのだが……ズバリ言うと、新公レベルでは全く素晴らしかったと思うけれど、やっぱり本公演としては、まだまだ、鍛錬と熟成が必要なんだろうな、と思うに至った。おだちんが、スーパー超がんばってるのは間違いない。けれど、やっぱり余裕がないのだと思う。ルキーニという役は、もう観客をあおって空気を変えていくことが求められるし、なんつうかな、ヘっ……チョロいぜ!的な、飄々とした?余裕が絶対的に必要なんすよね……まだ4年目かな、おだちんにはまだ、無理ですよ。これはいい悪いの問題ではなく、無理なものは無理なんだから。しかしそれでも、そんな状況でも頑張り抜いたおだちんは、もちろん賞賛に値するし、今後の活躍が本当に楽しみなお方だということはよくわかりました。アレっすね、意外と背が低いように感じたっすね。わたし、おだちんはもっとデカイかと思ってた。
 ま、いずれにせよ、東京ではれいこルキーニが観られることを強く願ってますし、おだちんルドルフの回は観られないけど、おだちんの今後にも注目していきたいと存じます。
 ◆というわけでおだちんルドルフは観られず、ありちゃんでした。
 わたしが『エリザベート』という作品で一番好きなのが、皇太子ルドルフとトート様の「闇が広がる」という歌で、そういう意味でもルドルフ皇太子の、悲しく切ない歌声は見どころの一つだと思っている。わたしとしては帝劇で観た古川雄大氏のルドルフが過去観た中では一番好きなのだが、今回は本来はおだちんルドルフの回だったけれど、代役によって暁千星さん(以下:ありちゃん)のルドルフを観ることとなった。もともと今回の公演では、ルドルフ役はありちゃんとおだちんのWキャストだったので、本来通りのありちゃんルドルフだったと言えるのだが、まあ、ありちゃんは月組のスーパー御曹司でもうこれまでも抜擢が続いているし、新人公演ではトート様を演じる次世代スターなわけなので、その実力は全く問題ナシ、である。なので、ええと……サーセン、特に書くことないです。
 ◆うみちゃん渾身の涙に、わたしのハートは持っていかれました……
 うみちゃん、とは、わたしがずっと応援してきた月組が誇る美貌の娘役、海乃美月さんのことである。わたしとしては、ちゃぴ去りし後のTOP娘はうみちゃんで決まり、とか思っていたのに、残念ながらそうはいかず、後輩にその座を譲ることとなってしまった。わたしはいまだにその決定を残念に思っているし、おそらくは、うみちゃんの本人の心中たるや、凄まじい葛藤があるのではないかと想像する。普通に考えて、ずっと頑張ってきて、部長に昇進する直前で後輩に抜かれたら、もう心折れて退職したっておかしくないぐらいだと思うし、サラリーマンのような平凡な道ではなく、厳しい芸の世界のことなんだから、そりゃあもう、うみちゃんが流した涙は1リットルじゃあすまないと思う。
 でも! わたしが今回いっちばん感動したのは、うみちゃんの作品に対する姿勢だ。わたしは今回、うみちゃんが舞台に出てくると、ほぼずっと双眼鏡でその姿を追っていたのだが、名もなき群衆の一人として、スポットライトの当たらない舞台の端の一人であっても、全力でうみちゃんは芝居をしていたし、2幕で、ソロ歌のあるヴィンディッシュ嬢という精神を病んだ女性を演じている時も、最高に素晴らしく、最高に美しかった! とりわけ、ちゃぴエリザベートに抱かれながら、ほほを一筋の涙が伝うシーンは、もうその涙のタイミングも完璧だったし、その時の正気を失くした女性の表情も、今回のベストアクトだったとわたしは大絶賛したいと思う。最高だったね! 双眼鏡で、うみちゃんの左目から本物の涙が一筋流れるのを見て、マジで鳥肌立ったよ。うみちゃん、どうかこれからも、がんばってください。わたしもずっと応援するよ。そして、いつかTOPに就けることを、わたしは全然諦めてないし疑ってもいないぜ! 絶対、報われる日が来る! と信じてます……!

 はーーー……こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「死は逃げ場所ではない!」
 今回は、宝塚版『エリザベート』ではもはやお約束のトート様のこのセリフを選びます。今まで、わたしはこのセリフを聞くと、おいおい、さんざんエリザベートの死を願ってたんじゃなかったのかよ、とかツッコミたくなっていたのだが、今回の、妙に人間臭いたまトートのこのセリフは、すごい気持ちが伝わりました。死にたいってお前、それじゃダメなんだよ、おれのことを愛してくれなくちゃ!! という感情が、今回のたまトートで初めてわたしに伝わったすね。ホント、トート様……あなた純情ボーイですよ……。たまトート、相当キてます! イイ!

 というわけで、結論。
 今回は結論を箇条書きにしておこうと思います。
 ◆ちゃぴシシィ:最高。オレ的歴代最高シシィ。東京大千秋楽まで駆け抜けておくれ!
 ◆たまトート:イイ! やけに人間臭いトート様、はじめていろいろ理解できた。
 ◆みやフランツ:本当に観られなくて残念。東京で待ってるからね!
 ◆れいこフランツ:急な登板を考えるとお見事でした。美しさは歴代ナンバーワンかも。
 ◆れいこルキーニ:観たかった……! 東京で待ってます。
 ◆おだルキーニ:余裕はどうしても経験から生まれるので、あと4~5年後に期待します。
 ◆ありルドルフ:超安定・超安心のルドルフでした。
 ◆うみヴィンディッシュ嬢:最高! うみちゃん! あなた最高です!!
 とまあこんな感じです。しかし、やっぱりムラはいいですなあ……テンション上がるっすよね……東京宝塚劇場よりデカイし。東京ももうチョイキャパがあれば、チケットも少しは取れやすく……ならねえか。ホント、もうチョイチケットが買いやすくなるといいのだが……つうかですね、ムラの変身スタジオ、男はお断り!なのは悲しいす。オレ……アンドレ衣装着てみたいんすよ……メイクはいらないので。以上。

↓ おお、今はPrime Videoでも配信しているんですなあ。みりおトートはそのビジュアルは最強レベルだし、だいもんルキーニはもう完璧に男、そしてみっちゃんフランツはわたしとしては歴代最強(特に歌)だと思います。

 はあ……なんつうか、早くも今年の半分が終わり、すっかり夏ですなあ……わたしは暑いより寒い方が断然平気で、ズバリ言うと、夏は嫌いだ。直射日光がもうアカン。というわけですっかり梅雨明けしてしまった東京だが、現在、赤坂ACTシアターにおいて、わたしの愛する宝塚歌劇団の、月組選抜メンバーが『雨に唄えば』という作品を絶賛公演中である(※あと2日で終わっちゃうけど)。映画で有名なこの作品、舞台版では舞台上で本当に雨を降らせることでも有名だろうし、今回の宝塚版でも当然雨は降らせ、しかも相当などしゃぶりぐらいの勢いで雨を降らせると聞いて、わたしも劇場で観たかったのだが、いかんせん土日しか観に行けない身としては、こうしたいわゆる「外箱公演(注:宝塚歌劇団所有の専用大劇場以外の公演のこと)」は、行ける日程にも限りがあり、要するに、ええ、チケットが獲れなかったのであります。なので、今回は見送りかなあ、とか思っていたのだが、そうだよ、いまやほぼすべての公演を「ライブビューニング」なる手法で各地の映画館へ映像配信している宝塚歌劇団である。そうだ、ちょっくら家の近所の映画館のチケットを予約してみよう、というわけで、結構あっさりそのチケットは獲れたのでありました。おまけに、客入りとしては満席ではなく、若干の余裕がある販売状況であった。
 というわけで、昨日、わたしが近所のシネコンにて観てきたのが、月組公演『雨に唄えば』のライブビューイングである。結論から言うと、遠い日に観た映画版の内容を完璧に忘れているわたしとしては、こんなに笑えるコメディーだっけ!? とびっくりするぐらい、笑えて愛らしい、楽しいお話であった。コイツはホント、劇場で生で観たかったわ……! 大変面白かったす!

 お話としては、1927年だったかな、舞台はハリウッド、そしてサイレント映画のスターである男優ドン・ロックウッドと、女優リナ・ラモンドの二人は、大人気のカップルで、二人の主演作は大変人気があった。しかし、実のところドンはまったくリナが好きではなく、一方的にリナから婚約者ヅラされてやや迷惑に思っていた。そして、大問題として、リナは若干ぶっ飛んでる系の女子で、その喋り方はとんでもなく、声もまた甲高い、けど、サイレント映画なので問題ナシ、というギリな状況の中、いよいよハリウッドにもトーキー映画の幕開けとなり、しゃべれない、歌えないリナではトーキー映画はアカンだろうということで、ドンは、親友でミュージシャンのコズモが作る楽曲と、とあるきっかけで知り合い、そして恋に落ちたキャシーにリナの吹替えを演じさせることで、初のトーキー映画を成功させようとするが、吹替なんてとんでもないわ! というリナのプライドに邪魔されて……的なお話である。
 要するに、古き良きハリウッドらしい、ドタバタコメディーなわけだが、やっぱり見どころは各キャラクターを演じた皆さんの熱演であろうと思う。実に楽しく、素晴らしかったすね。
 ◆ドン:主人公のイケメン俳優。演じたのは勿論のこと、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)。わたしはたまきちくんはこういう優しい男系で等身大系で、スーツを着ている系の役がとても似合うと思っているので、今回のドンも、もう文句なしである。数多いタップダンスも良かったし、なんつうか、安定のたまきちくんでした。ホント、TOPとして歌も演技も安定してますな。そして雨のシーンは想像してた以上のどしゃ降りだったすね。これは生で観たかったわ……。たまきちくんは意外とコメディもイケるんですなあ。なんつうか、育ちの良さそうなイイ人を演じさせたら、現在のTOPスターの中ではピカイチだとわたしは思う。それだけに、次回作のトート様がどうなるか、すげえ楽しみですな!
 ◆リナ:ルックスは美しいけれど、しゃべりや声がトンデモ系の困ったちゃん系大女優。役回りとしては若干悪役になってしまうけれど、実際のところリナも一応は努力しているわけで、ちょっとかわいそうな女子でもあるように思えた。そして演じたのは、前作『BADDY』で銀色の肌の宇宙人を演じて笑わせてくれた輝月ゆうまくん(以下:まゆぽん)。『BADDY』を一緒に観に行った後輩女子は「むじんくん」と名付けていました。あの宇宙人はホント最高でしたな。そして今回は、普段の男役からもうって変わって女子役なわけで、しかもトンデモ女優ということで大変身なわけだが、まゆぽんは177cmとたまきちくんよりデカいので、なんかもうその圧がすごくて、役にぴったりだったような気がします。歌も見事でしたね。お話としては一番のキーキャラと言っても良いと思うけど、実に楽しそうに演じられているのが印象的でありました。95期ということで、わたしの一番好きな礼真琴ちゃんと同期なわけで、今後の活躍も期待したいと存じます。素晴らしかったよ!
 ◆コズモ:ドンの幼少期からの親友でミュージシャン。演じたのは月組2番手スター美弥るりかさん(以下:みやちゃん)。なんつうか、たまきちくんがTOPになってからのみやちゃんは、自分より5年若いTOPを支えるベテラン(たまきち:94期、みやちゃん:89期)として、ホントに味が出てきたように思いますね。コズモという役もぴったりだったと思うし、その美貌と歌、そしてダンスも非常に輝いてました。たまきちくんとしては、みやちゃんがそばにいてくれることはとても大きいだろうなあ、と感じます。そして星組イチオシのわたしとしては、元星組生だったみやちゃんが、短くてもいいからTOPになってほしいと強く望みます。TOPになれずに卒業してしまったらとても悲しいすね……みやちゃん……3公演ぐらいでも星組に戻ってTOPになってくれないかなあ……。
 ◆キャシー:ドンが知り合う演劇女子。そして美声の持ち主。舞台出身のため、映画なんてただの影よ! というご意見の持ち主のため、初対面時はドンのことは嫌いだった(?)だが、一方的に惚れちゃったドンの強力なアプローチで、だんだんとドンに魅かれていき恋に落ちる。演じたのは、過去新公ヒロインやバウヒロインを経験し着々とキャリアを積んでいる99期生、美園さくらちゃん(以下:さくら)。わたしは全然新人公演を観られないので、本公演でのさくらちゃんしか知らなかった、というより、ズバリ本公演での印象は全くないお方なのだが、なるほど、歌もダンスも、悪くないすね。さすがに99期生首席入団だけありますな。芝居に関しては、まあ、若干オドオドしている感じは受けたけれど、これはキャラクターに合わせたオドオドだったと思うことにしよう。その実力は確かなものとお見受けした。さっそく「おとめ」チェックしてみたところ、なんと、大妻出身かよ! そして特技は「数学」ときたもんだ。へええ~! わたしの姪っ子が通い、わたしの会社の近くでもあるので、大妻出身と聞くとなんか応援したくなるすね。そうか、月組のさくらちゃん、覚えておこう。顔に特徴があるから、今後すぐに見分けられると思うので、注目していきたい所存であります。
 ◆デクスター:映画監督。監督だけど、撮影所のお偉方とかドンよりも若干立場は下のようで、自分の意見を言うもあっさり場に流される、若干のボケ役。演じたのは、わたしのヅカ友の美人お姉さまがイチオシの漣つかさくん(以下:れんこん)。わたし、今回一番笑ったのはデクスターのボケかもしれない。おかしな男だったすね。れんこんくんは若干出番が少なかったけれど、きっちり印象にの起こる演技だったよ!
 今回の公演は、月組公演とは言え、現在月組は3班に別れているので、ちょっとキャストが分散していて、本作では、わたしの好きな月組ジェンヌが揃って欠席であった。月組TOP娘役のちゃぴこと愛希れいかさんは単独バウ公演中だし、美貌のれいここと月城かなとさんは単独主演作に出演中だし、わたしが月組で一番応援しているうみちゃんこと海乃美月さんも、れいこさん主演作でヒロイン中だし、というわけで、月組はやっぱり層が厚いなあ、と感じますな。つうか、ちゃぴ卒業後のTOP娘役は海ちゃんで決まりでいいんすよね……? さくらちゃんも有力候補なんすかねえ……。まあ、発表の時を待つことにしましょう。

 というわけで、さっさと結論。
 月組公演『雨に唄えば』を、ライブビューイングで観てきたわけだが、まあ、やっぱり生の舞台とは違いますな。その迫力はやっぱり比べ物にならないし、ホント、みんな大人しくシーンとして観ているので、拍手も出来ないし、なにより、視線が映像に固定されるので、自分の見たいジェンヌを追いかけられないし。でもまあ、それでも観られないよりはずっとマシなので、チケットが獲れなかったわたしとしては大変ありがたし、であった。そして作品そのものとしては、意外なほどのコメディーで大変楽しめた。面白かったす。そしてそれを支えるジェンヌの皆さんの確かなパフォーマンスも大変素晴らしかったと思う。たまきちくんとみやちゃんのタップダンスは見事だし、まゆぽんは笑わせてくれたし、さくらちゃんは可憐だったし。まあ、言うことナシ、大満足でありました。そしてサーセン! 今回はイケ台詞、メモするの忘れたので、かなりあいまいですが、1幕ラストの土砂降り直前の、「今日は雨ね」「フッ……僕のそばには(キミという)太陽がいつもあるさ……」的なセリフが一番カッコ良かったと存じます! いやあ、たまきちくんの等身大な男のスーツ姿は、ホントいいですな! 最高です。以上。

↓ 本当は予習していくべきだったのかなあ……。サボってサーセンした。
雨に唄えば (字幕版)
ジーン・ケリー
2013-11-26

 宝塚歌劇、と聞くと、おそらくフツーの人は、ベルばら的な華やかな衣装と絢爛なステージを思い浮かべることと思う。しかし、宝塚歌劇の演目には、当然「和モノ」と呼ばれる純日本な時代劇作品も数多いのだが、実は、全く現代日本を舞台とした作品すらあることは、あまり知られていないのではなかろうか。まあ、そう思うわたしも、別に根拠があるわけではなく、単に宝塚歌劇を観るようになる前は勝手にそう思い込んでいただけなので、実際はよくわからない。
 今日、わたしが東京宝塚劇場で観てきた作品、『カンパニー』は、フツーの現代日本のサラリーマンが主人公という点でも珍しいと思うし、さらにショー(?)『BADDY』は、そのビジュアルからしてかなり異色作で、わたしは観る前から相当期待して今日は日比谷へ推参した次第である。
 結論から言うと、もう最高過ぎて、これは久しぶりにBlu-rayを買うしかねえじゃねえか! と大興奮であったのである。いやー、それにしても月組はイイすねえ! わたしがイチオシで応援しているのは星組なのだが、今の月組は非常に充実してますなあ! ホント最高でした。コイツはもう、Blu-ray購入決定す。

 というわけで、上記動画はご覧いただけましたか? 6分もある長い動画だけど、この映像を観たら超そそられることは確定的に明らかだろう。特に、後半の『BADDY』のビジュアルが超ヤバイす。わたしはこれを観て、もう完全に松方弘樹じゃねえか! と笑っていいのかよくわからないけど、大興奮しました。
 さてと。まずはミュージカル・プレイ『カンパニー』である。この作品は、伊吹有喜先生による小説が原作なのだが、わたしは原作を読んでいないので、内容的に同じなのかどうか知らないし、小説が面白いのかも存じ上げない。だが、間違いなく宝塚版『カンパニー』は超面白かった。
 物語は、とある製薬会社の総務部総務課長、青柳という男が主人公だ。彼は妻を2年前に亡くし、いまだ妻を忘れられず(そりゃそうだ)、しょんぼりな毎日を送っているが、それでも仕事には一生懸命で、イイ奴としておなじみらしい。そんな彼が務める製薬会社は、M&Aにより会社が合併、社名も変わってリストラやら早期退職やらの合理化が進むのだが、青柳はとある事件(?)で、自分の周りにはイエスマンしか重用しない専務に盾突いてしまったことで、会社が支援するバレエ団への出向を命じられてしまう。折しもそのバレエ団は、プリマである社長の娘の引退公演のために世界的に有名バレエダンサーを招聘して「白鳥の湖」を上演するところで、文化事業としてもその公演を成功させることを会社から求められる。そんな中、全くのド素人である青柳は、一癖も二癖もあるダンサーたちに対して、持ち前の誠実さで困難に立ち向かい、成功を目指すのだが―――てなお話である。
 わたしは経営企画としての経験が長いし、出向も経験があるので、こういった会社の合併や合理化は超身近な話だし、いきなり全く未知の世界へ出向として放り込まれる状況も、よーく知っている。ついでに言うと、イエスマンしか周りに置かない無能なくせに役職の高い人間が多いことも嫌になるほど見てきている。まあ、わたしの場合は親会社への出向を命じられ、そのまま親会社に転籍になったので、はたから見ると栄転だったのだが、誰にも理解されないつらさも数多く経験したわけで、今回の物語の主人公、青柳くんには実に共感できた。
 ずーっと同じ部署で同じ仕事しかしてないボンクラには全く理解できないだろうけど、前の部署でエースとして活躍していた自分が、新しい部署ではまったくの一兵卒となってやり直しになるので、部署異動や出向というのはかなりのエネルギーと、自分で言うのもアレだが、かなりの努力が必要になることを実際の経験としてよく知っている。そんなわたしであるので、今回の主人公、青柳くんには、その真面目さにはとても好感が持てたし、がんばれ!と応援したくなった。
 おまけに、青柳くんを演じた月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)がとてもイイわけですよ。たまきちくんは、ほかの組のTOPスターと若干雰囲気が違っていて、なんとも育ちのいい、品のある王子様キャラだとわたしはいつも思っているのだが、もうひとつ、わたしが思うたまきちくんの特徴?は、等身大、なんすよね。うまく説明できないけれど、この世のものとは思えない的な美しさだとか、夢の世界の住人的な雰囲気よりも、本当にいそうな「等身大スター」といえばいいのかな……そんな点が、男のわたしから見ると、とても共感しやすいんすよね。これは女性にはわからないかもしれない……どうだろうな……。いずれにしても、本作『カンパニー』は、今の月組、今のたまきちくん以外の他の組のTOPスターには絶対できなかった物語ではなかろうか。わたし的には、今回の『カンパニー』は相当な傑作であったと思う。ヤバいすね……星組イチオシのわたしなのに、これを今の星組で上演できただろうか、と考えると、月組の充実がとてもうらやましく、ぐぬぬ、と少し悔しい気持ちになったほどであった。この、「等身大」のたまきちくんが秋にどんなトート閣下を演じるのか、もう今から超楽しみっすわ。
 そして後半はショー・テント『BADDY』だ。ショーといっても今回はセリフも明確なストーリーもあるお芝居といえる不思議な作品で、これがまた途方もなく楽しく、超盛り上がる面白い作品であった。
 物語をざっと説明すると、遠い?未来、地球上からはすべての犯罪は消え(そしてなぜか地球上は完全禁煙)、ピースフルプラネットとして繁栄していたが、月に追放されていた悪党BADDYが、地球では禁じられているたばこを咥えて舞い降りてきてさあ大変! 地球の正義を守るGOODYが出動、BADDY逮捕に向けて大捕物が始まった! てなお話です。もうこれだけで、ええーーっ!? な、なんじゃそりゃあ! と笑えてしまいますな!
 そして当然、BADDYを演じたのがたまきちくんであり、正義のGOODYを演じたのが、月組TOP娘役の愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)である。たまきちくんは、前述のように、育ちが良く品のある青年がぴったりなのだが、こちらではビジュアル的にもグラサン&咥えたばこ&大悪党ということで、もう度肝を抜かれたっすね。超カッコよかったす。そして何気に楽しそうでしたなあ。
 また、ちゃぴちゃんもとっても良かった。ちゃぴちゃんは、今の宝塚歌劇団の全組で最長期間TOPに君臨している、最強プリンセスだけれど、とうとう今年の秋の『エリザベート』で退団することを発表し、卒業まであと半年、となってしまった。わたしは、ちゃぴちゃんは歌・芝居・ダンスの中ではダンスが一番すごい娘役だと思っているので(もちろん歌と芝居も素晴らしい!)、実は退団公演が『エリザベート』だと聞いて、そりゃあ、ちゃぴシシィは観たいけれど、退団公演としては、ショーのあるダンスバリバリな作品が観たかった……という気がしていたのです。しかし今回の『BADDY』はちゃぴのダンサーとしての魅力にもあふれていて、ホント最高でした。これでちゃぴの大劇場でのダンサブルなショーが見納めなんて、ほんと寂しいすねえ……。つらいす……。ちゃぴ退団まであと半年。『エリザベート』はムラ遠征もしねえといけねえんじゃね? といような気がします。いくしかねえなあ、こりゃあ……。最後まで、応援するよ! 最後のシシィという大役をやり切ってほしいすね。

  はーーーしかし今日は興奮したっすなあ……。それでは主役の二人以外も最高だったので、それぞれ短くメモしておこう。
 ◆美弥るりかさん(以下:みやちゃん):元星組で月組2番手スターのみやちゃんは、『カンパニー』では世界的バレリーナ高野を、そして『BADDY』では、男のような女性のような、不思議なキャラ、スイート・ハートを見事に演じてくださいました。とりわけスイート・ハートという役も、他の組の誰にもできないような、みやちゃんだからこその役柄だったような気がする。最近は色気あふれる系のイケメン役が多いみやちゃん。みやちゃんはTOPのたまきちくんよりも5つも学年が上なわけで、普通に考えて月組でTOPになれる可能性はもはやゼロ、だとは思う。ひょっとしたら、専科に行ってしまうような気もする。でも、わたしとしては、星組にもう一度戻ってきて、短い期間でもいいからTOPスターとして舞台に立ってほしいと願ってます。ダメかなあ……。わたしの愛する星組2番手の礼真琴さんがTOPになる前に、ワンポイントでもいいので、TOPになってほしいなあ……。なんか、ホント今の星組にいてほしいお方ですよ……。
 ◆海乃美月ちゃん(以下:うみちゃん):今回のうみちゃんは、『カンパニー』ではずっとジャージ着用のトレーナー、そして『BADDY』では、BADDY団の一員の美女、を可愛らしく演じてくださいました。わたしが月組で一番好きなのがうみちゃん。もう、次期TOP娘役としてちゃぴの後を継ぐのはうみちゃんでいいんだよね? 組替えとかありうるのかな? もう確定でいいと信じたいところだけど、わたしはうみちゃんの特徴的な口元がとにかく好きっす。とにかくかわいい。芝居ぶりも大変良かったすね。今回も最高でした。どうかうみちゃんが順当にTOP娘になれますように……。
 ◆宇月颯さん(以下:としさん)&早乙女わかばさん(以下:わかばちゃん):はーーーまさかこのお二人が退団とはなあ……この公演で退団を発表したとしさん&わかばちゃん。月組には必要な貴重な人材だけに、とても残念す。いっそ星組に来てほしかった……。わかばちゃんは元星組として、月組に組替えになった時はショックだったけど、退団と聞いて超ショックす……。やっぱり94期生、すなわちたまきちくんと同期なわけで、娘役としてはもうその時が来てしまったんだなあ……TOPになれなくて本当に残念だよ……。そしてとしさんもずっと月組の生え抜きとして貴重な戦力として活躍を続けてほしかったすねえ……専科という選択肢はなかったのかなあ……としさん自身が断ったのかなあ……。ほんと、二人をこれで見納めなんてとても淋しく、今日はその活躍を目に焼き付けてきたよ。二人とも、退団後の活躍を期待します。またどこかで会えることを楽しみにしてるよ!
 ◆月城かなとさん(以下:れいこさん)&暁千星さん(以下:ありちゃん):二人は、今回はそれほど目立つ役柄ではなかった、と言えるような気がする。いや、そんなことないか。雪組からやってきた美貌のれいこさんは、『BADDY』の方では珍しく三枚目的な役で目立っていたし、月組の御曹司ありちゃんも、『カンパニー』ではありちゃんらしい好青年で良かったすね。いずれにしても、この二人は月組の将来を背負う期待の若手なわけで、やっぱりまとうオーラはちょっと別格感はありますな。としさん去りし月組は二人の活躍がとっても重要なので、これからも期待してるぜ!

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「メッセンジャーボーイはもう卒業しろ! あんたは会社の奴隷じゃない! カンパニーだ!!」
 今回は、主人公青柳くんへ向けた世界的ダンサー高野のカッコいいセリフを選びました。つうかですね、今回はかなりイケてるカッコいいセリフが多かったので、選ぶのに悩みましたが、やっぱり、世の社畜リーマンすべてにこの言葉を選んでおきます。まったく、会社の奴隷は卒業した方がいいぜ、リーマン諸君!

 というわけで、結論。
 宝塚歌劇として比較的珍しく、現代日本のサラリーマンを主人公とした月組公演『カンパニー』を観てきたのだが、なんつうか、かなり良かったすね。物語的にもグッとくるものがあったし、やっぱりたまきちくんの「等身大ヒーロー」ぶりがなんともイイ! これはホント、たまきちくんならではの作品だったような気がする。そしてショー『BADDY』は楽しくノリノリで、大変楽しめました。ちゃぴのノリノリダンスも大劇場では見納めかと思うとホント淋しいす。としさんもわかばちゃんも見納めだし、つらいすね……。。。なお、わたしはもう、ずっと、「BADDY、BADDY~! 邪魔だ! どけ!」を脳内で口ずさみながら、終演後の混雑する劇場を後にしました。いいすねえ! 口に出したらアレな人なので、脳内限定でお願いします。ホント最高でした。Blu-ray購入決定す。以上。

↓ こちらが原作小説ですが、わたしが一番嫌いな新潮社刊なので、今のところ読む気にはなってないす。どうも、あらすじを読むとちょっと青柳の設定が違うっぽいすね……。
カンパニー
伊吹 有喜
新潮社
2017-05-22

 はーやれやれ。9月はなんかやけに忙しく、今日、やっと宝塚歌劇を観に行くことができた。もう何度も何度も書いているとおり、わたしはもはやアラフィフのおっさんだが、2010年に初めて宝塚歌劇を観劇し、見事にハマって早7年、一番応援しているのは星組であるけれど、今やほぼ全組の公演を観に行って楽しんでいる若干キモイおっさんなわけだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場で公演中なのは月組で、その公演も来週いっぱいで終了してしまうというぎりぎりセーフのタイミングで、今日観に行くことができた。今日は宝塚友の会優先公演だったので、終演後に挨拶もありました。えっ!? 友の会の公演によく行けたなって? そんなの当り前じゃないですか! わたしは友の会会員であります!
 で、演目は、Alexandre Dumas氏の小説でおなじみの「三銃士」をモチーフとした『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』である。
allforone
 ちょっとここで、お話についてと宝塚歌劇の仕組み的な点のそれぞれちょっとだけ解説しておくと、知らない人は知らないだろうし知ってる人なら常識な通り、「ダルタニアン」というキャラクターは、「三銃士」のメンバーではない。三銃士は、アラミス・アトス・ボルトスの三人組で、主人公ダルタニアンがある意味あこがれる先輩である。つまり、月組TOPスターは当然主役なので、演じるのは当然ダルタニアンの役であり、三銃士はそれぞれ別の生徒が演じるわけである(※宝塚歌劇では、劇団所属女優を生徒と呼ぶ。ファンはジェンヌとも呼ぶ)。
 そしてもう一つ、宝塚の仕組みとして解説しておきたいのは、宝塚歌劇の各生徒は、花・月・雪・星・宙のどれかに属する人と、どこにも属さない「専科」と呼ばれる、いわばフリーランスのベテランもいるという点である。また、各組に属していても、普通の会社のように人事異動があって、ファンからするとある日突然、例えば雪組に所属していたスターが月組に異動になることもある。そういう人事異動を、宝塚歌劇では「組替え」と呼ぶのだが、まあ、そういうこともあるのである。
 なんでこんなことを最初に書いたかというと、今日、一緒に行った後輩女子が初宝塚観劇でそういうことをまったく知らなくて、まあそりゃ知らんわな、と、せっせと解説してあげたからなのだが、今回の公演では、主役の月組TOPスター珠城りょうさん(通称たまきちくん)が抜群にかっこよかったのはもちろんのこと、三銃士を演じた美弥るりかさん(通称みやちゃん)・宇月楓さん(通称としさん)・暁千星(通称ありちゃん)の三人組も揃ってカッコよく、また、先日雪組から組替えで月組にやってきたばかりの月城かなとさん(通称れいこさん)のイケメンぶりは輝いており、さらに専科の沙央くらまさん(通称こまちゃん)も久々の女子役は極めて妖艶で、おまけに太陽王ルイ14世を演じた、月組が誇るTOP娘役の愛希れいかさん(通称:ちゃぴちゃん)も大変素晴らしかったわけで、それらを伝えたいので、わざわざ後で解説するのがめんどくさかったので先に説明してみたわけです、はい。
 で、結論から言うと、わたしとしては本作を大変楽しめました。いやあ、ビジュアル的にもカッコよくて大満足でした。とりわけ衣装が非常にかっこよかったすねえ! 銃士隊の制服(?)は、↓の映像ではわからないかもしれないけど、あの青い服やマント、ありゃデニムですよ。欲しい! 着たい!

 まず簡単にお話をまとめると、ルイ14世の治下で銃士隊として活躍するダルタニアンと三銃士の面々は、ある日、ルイ14世から剣術指南の役を命じられ、ダルタニアンは城へ向かう。そして対面したルイ14世は、剣術はあまり得意ではなく、それよりもバレエの方が好きというお方で、稽古中についダルタニアンは王をぶっ飛ばしてしまう。その結果、銃士隊は解散じゃ! という目に遭ってしまい、困っていると、どうもその背後には宰相マザランの陰謀と、なんと、ルイ14世はか弱い少女だった! という驚愕の秘密が隠されていたのだった―――てなお話であった。サーセン。超はしょりました。
 まあ、要するに結構突飛なトンデモ物語なのだが、実際のところ本作は明確にコメディであり、かっこいいところではバシッと決まりつつ、随所に笑える場面もあって大変楽しめたのは間違いないと思う。
 ところで、わたしが一番おっ! と反応したのは、「ガスコン」という言葉だ。これは、フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈にほど近いガスコーニュ地方出身の男という意味だが、わたしがガスコンと聞いて真っ先に思い出すのは、フランス戯曲でおそらくは最も有名な作品の一つ『Cyrano de Bergerac』である。この作品の中でガスコンというのは重要な意味があって、主人公シラノもガスコンで、何と言えばいいかな、権力とか、自分より強いものに果敢に立ち向かい、信念を曲げない強固な意志を持つ男、という意味で、何度か俺はガスコンだ!というようなシーンがあるのです。で、実はダルタニアンもまさしくガスコンで、本作でも反骨の男としてとてもカッコよかったと思う。ちなみに、日本の小説で『二人のガスコン』という作品があって、これはまさにシラノとダルタニアンが夢の共演! という小説で非常に面白かった覚えがあります。読んだのはもう10年以上前なので詳しいことは忘れました。

 そして、本作において、実はわたしは結構冒頭から、ずっと、おかしい……と思うことがあった。それは、月組でわたしが一番大好きな海乃美月ちゃん(通称うみちゃん)の姿がない、おかしい、オレがうみちゃんを見分けられないわけがないのに! どうして? なんでだ!? とずっと思っていたのである。ま、キャスト表を予習しておけばわかることだったのだが、わたしはまったく予習せずに観に行ったので、何の役で出てくるか知らなかったのである。すると、1幕のかなり終わりの方で、ルイ14世のお嫁さん候補として、スペインからマリー・テレーズがお見合い(?)にやってくる流れになり、最初に、肖像画が出てくるのだが……わたしはその肖像画を双眼鏡で観て、おおっと!キタ!うみちゃんだ!とすぐに分かった。ほどなくして、本人が登場してきて、紛れもなくうみちゃんご本人でわたしのテンションは一気に上昇、いやあ、相変わらず素晴らしく可愛いうみちゃんでありました。あの、特徴ある口元が大好きなんすよね……おっと、これ以上書くとますますキモイおっさんの図となり果てるのでこの辺でやめておきます。
 そしてメインキャスト関しては最初に書いた通り、みな素晴らしかったのはもう言うまでもなかろう。たまきちくんは、なんというか、毎回思うけれど、なんとなく上品というか、おぼっちゃまっぽさを感じますな。それは決して悪いことではなく、たまきちくんの個性だと思う。こういうTPOスターというのもアリでしょうな。何しろ若いし。その点では、2年前?の『カルメン』では非常に激しくて、いつもとちょっと違う貴重なたまきちくんだったかもしれないすね。お相手のちゃぴちゃんも、元男役ということで低い声でルイ14世を演じながら、実は女で、本当はドレスも着たいしお化粧もしたい、という悩みの中で葛藤?する姿は大変かわいらしかった。現在の娘役TOPの中で最古参となったちゃぴちゃん。ちゃぴはホントに笑顔の可愛い娘さんですよ。どうかもう少し辞めないでいておくれ……。
 そして月組初主演となったれいこさんも、悪役ではあったけれど大変美しかった。今日一緒に行った宝塚初体験の女子は、れいこさんが一番カッコよかったと言ってました。また、こまちゃんも、もともと男役の人だぜ、と教えてあげたらびっくりしてました。まあ、わたしも今回のセクシー美女を演じたこまちゃんの女子姿には驚いたよ。おとといだったか、こまちゃんも退団のお知らせが発表されたね。わたしがこまちゃんで一番覚えているのは、2011年の雪組版『ロミオとジュリエット』での乳母の役なのだが、あの公演は震災の翌日に観に行ったことでも忘れられないす。
 最後に、これも宝塚初体験女子に説明したヅカ豆知識を書いて終わりにしよう。宝塚歌劇の演目には、「一幕もの」と「二幕もの」という大きな区分があって、一幕ものは、約1時間半チョイで終了する短い作品で、30分の幕間の後に、1時間弱の歌と踊りのレビューショーが付く。要するに演目2本立てだ。で、もう一方の「二幕もの」は、一つの長いお話を幕間を挟んで通しで行うものである。わたしとしては、初宝塚は一幕もの+ショーの方がいいかなとは思っていたのだが、今回の作品は二幕ものである。でも、わたしは観る前から今回は二幕ものと知っていたけれど、どんどんお話は展開していって、あれっ!? これって、もう終わるの? つか、一幕ものだっけ? というぐらい、クライマックス直前まで話は進み、幕間となった。なお二幕ものの、一幕目のラストはたいていキャラ総出演での超盛り上がる歌で締めくくられることが多く、今回も幕間直前のシーンはとてもカッコよかったすね。まあ、連れて行った後輩女子も楽しんでくれたようで、二幕ものでも初宝塚は大丈夫だったようです。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「俺は生き方を曲げない!…ガスコンだ!!
 今回は、やっぱりダルタニアンのガスコンの誇りある言葉で締めたいと思います。あーでも、これも良かったなあ。
 「それなら臆せず、彼の胸に飛び込み、挑んでみることですなあ! 予行演習が必要なら、仰ってください、マダム
 これは、三銃士一の色男、アラミスが銃士隊が解散となって故郷に戻り、元々の聖職者として恋の悩みを懺悔で聞いた時に、返す言葉だ。コメディタッチでいて、大変カッコイイ、スカしたイケ台詞だったと思います。演じた美弥ちゃんはやっぱり色気のあるイケメンですなあ。

 というわけで、なんかうまくまとまらないのでもう結論。
 現在東京宝塚劇場で絶賛公演中の月組公演『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』を、終了一週間前のタイミングでやっと観に行くことができた。お話は、意外にもコメディーで、結構笑えるところもありつつも、決めるところはバシっと決まっており、大変楽しめました。そして月組にやってきたばかりのれいこさんは雪組時代と変わらず美しく、久しぶりに女性を演じたこまちゃんも大変セクシーであった。もちろん、月組メンバーはたまきちくん、ちゃぴちゃんの二人のTOPコンビは当然ながら、みやちゃん、としさん、ありちゃん、みな大変生き生きとして楽しげに演じていたのが印象的であった。そして、わたしとしては今回は特に衣装が気に入った。あのデニムの制服はカッコイイですなあ! ホント欲しいわ。着てみたい! 以上。

↓ わたしはこの映画を3回映画館に観に行って(東京では渋谷のBunkamuraでしか上映してなかった)、2回泣いたっす。いまだに、わたしの好きな映画TOP10に入る名作です。とにかくカッコイイ!

 去年、わたしが愛する宝塚歌劇団は、月組と星組のTOPスターが卒業退団し、今年に入ってそれぞれ新たなるTOPスターを迎え、まずは新生・月組による大劇場公演が元日から本場宝塚にて始まった。そして昨日からいよいよ東京にやってきてくれたので、さっそく今日の午後の回を観るために、日比谷へ行ってきた。
 演目は、1993年以来24年ぶりの再演となる『グランドホテル』。 もちろん、有名なあの映画ミュージカルの宝塚版である。わたしはヅカ歴7年のまだビギナーに過ぎないので、初演はもちろん観ていないのだが、そんな、ある意味由緒正しき作品でTOPお披露目となる珠城りょうさん(通称:たまきち)の晴れ姿を、わたしとしては大変楽しみに劇場へ赴いたわけである。

 今回、わたしは観終って、言いたいことが4つある。いいことと悪いことがあるのだが、まずはいいことから記してゆくことにしよう。
 1.がんばれたまきちくん! オレは応援してるぞ!!!
  まず最初に言っておきたいことは、たまきちくんは物凄く頑張っているのは間違いなく、なんというか非常に応援したくなるし、当たり前のことだけれど、もっともっと、たまきちくんは今後成長する伸びしろがある、ということだ。
 これは、つまり今回はまだまだだな、というようなネガティブな意味ではなく、最初っから完成されたTOPなんているわけないんだから、たまきちくんは堂々としていいし、もっと自信をもって、男磨きに精進してほしいという応援を込めているつもりだ。どこかまだ、自分でも不安なんだと思う。でも、そりゃあ当たり前だよ。にんげんだもの! 相手役の愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴ)という素晴らしいパートナーがいるんだから、たまきちくんはもっと俺様感を出したっていいんだよ。遠慮なんていらないし。2番手の美弥るりかさん(通称:みやちゃん。わたしが一番応援している星組出身。2番手の羽を背負ったパレードにわたしは超・胸熱!)だって全力で支えてくれるから、暴走気味でもいいから、もっともっと暴れてほしい、とわたしは今回強く感じた。なにしろ、たまきちくんの、そのがっしりした体とカッコイイルックスは、絶対に強い武器になるんだから、いい人っぽさはいらないと思うね。 たまきちくんは、しゃべりの受け答えもそうだし、見た目的にも、すごくいつもいい人っぽさがにじみ出ていて、それ故に応援したくなるのもあるのだが、舞台上ではもっともっとワイルドに、野獣系で暴れてほしいな、と、今回の『グランドホテル』を見てわたしは強く感じた。あと、わたしとしては、たまきちくんには、歌をもっともっと精進してほしい。もっと艶のある、エモーショナルな、感情を吐き出す的なカッコいい歌い方になったら、相当迫力も出ると思うのだが……。たまきちくんなら、絶対できる!!! と、わたしは信じてます。
 2.やっぱりちゃぴは可愛い!! つーか、ホント貫禄ついてきたすねえ……。
 わたしはまだヅカ歴7年のビギナーであると最初に書いたけれど、3~4年前からようやく娘役や下級生の顔と名前が分かるようになってきたわけだが、現在の各組娘役TOPはみな可愛いしうまいし最高だぜ、と思っている。そして中でも現・月組のTOP娘役であるちゃぴちゃんは、最古参の娘TOPになってしまったけれど、やっぱり歌もダンスも抜群であると今回改めて思った。とりわけ今回は、バレリーナの役で、バレエの舞は素晴らしかったし、背中が美しいですなあ、ホントに、と見ほれる美しさであった。元・男役だけあって、背も高いし、まあ顔の小ささは本当に同じホモサピエンスかと思うほどだね。とにかく今回はちゃぴが美しいですな。素顔で言うと、わたしは現・宙組TOP娘役の実咲凛音さん(通称:みりおん)が一番好きだけれど、舞台上で一番美しく、かつ、芝居も歌もダンスもいいのはやっぱりちゃぴかも。でも、みりおんのシシィも素晴らしかったし、ちゃぴ・みりおんと同期だった風ちゃんは先に退団してしまったし、そういやみりおんも次の公演で卒業しちゃうし、なので、ちゃぴもいつまで残ってくれるかわからないけど、娘役の模範として、今後も頑張ってほしいと思う。ホント、今回も素晴らしかったよ。
 3.しかし……なんでTOPお披露目に『グランドホテル』なんだ……。
 で、わたしが非常に疑問に思うのは、なんで、たまきちくんの記念すべきお披露目公演に、この『グランドホテル』という演目を選択したのか、ということだ。
 というのも、世にいわゆる「グランドホテル形式」と呼ばれる物語の起源であるこの作品は、実際のところ、明確な主人公がいないのだ。ちょっと備忘録としてWikiから引用しておこう。
------------<以下引用>--------------
  グランドホテル方式は、映画や小説、演劇における表現技法のことで、「ホテルのような一つの大きな場所に様々な人間模様を持った人々が集まって、そこから物語が展開する」という方式のことである。映画『グランド・ホテル』によって効果的に使用されたため、この名が付いている。群集劇、群像劇、アンサンブル・プレイとも呼ばれる。
 アメリカ合衆国など英語圏では、アンサンブル・キャスト(ensemble cast)と呼ばれる。主人公を1人や2人に限定せず、数人のキャラクターのストーリーラインを並行して進行させたり、エピソード毎に異なるキャラクターに焦点を当てるという手法である。
--------------------------
 というわけで、どうもせっかくのお披露目なのに、たまきちくん演じる男爵が、ちょっとあまりおいしい役じゃないんだよな……おまけに、ラスト前に退場しちゃうし!!! なんでだよ、もっとたまきちくんをばっちり主役にして盛り上げてくれよ!!! と、わたしは強く感じた。
 あと、ずばり言って演出にも問題があると思う。もっとたまきちくんの男爵のキャラ付けを、はっきりさせるべきではなかっただろうか? 男爵は、堂々としている割に実は金に困っていて、詐欺や盗みをしようとする悪党、だけど、実は愛情深い善人、というギャップが一番重要なのであって、そのギャップをより鮮明にするためには、悪い奴部分といい人部分のメリハリがきっちりしていないと、ぼやけてしまうと思う。メリハリが一番のキモなのに、どうも中途半端に感じてしまったのがとても残念だ。これは、たまきちくんの演技に問題があるのではなくて、100%演出家の責任だとわたしは断言したい。チャラい奴が実は超真面目、とか、ぶっきらぼうで冷たい奴が実は超優しいとか、そういうのが王道だと思うのだが、どうも今回の男爵は、そのメリハリに薄く、もやっとしてしまったように思えたのだが、そう思ったのはわたしだけだろうか。おまけに、主人公とも言えないし、なんか、半端ですよ。その点は非常に不満です。わたしは。そしてそれは、たまきちくんのせいでは決してない、と思う。
 4.一方ショーの方は……『カルーセル輪舞曲』最高です!
 いやーしかし。帰ってきた今も、「まーわーる、まーわーる、かるうーせるー」という曲が耳から離れないほど、ショー『カルーセル輪舞曲』は良かったですなあ!! 実のところ、このショーは、なんと正月にNHKで放送されてしまったので、わたしはそれで予習できてしまったわけで、その時の様子では(たしか1/3ぐらいの放送=宝塚大劇場で公演が始まったばっかり)、まだたまきちくんの歌いぶりも緊張が残っているように見えたのだが、今日観たところでは、かなり慣れ、というか自信がついてきたように見えた。実際大変カッコ良かったと思う。
 しかしですね……実は、わたしは、今日のショーでは、わたしが月組で一番応援している海乃美月ちゃん(通称:うみちゃん)をもうずっと双眼鏡でガン観していました。超抜かったことにですね……わたし、『グランドホテル』で役替わりがあることを全然意識しておらず、当然フラムシェンの役はうみちゃんが演じるんだろうな、と勝手に決めつけていたのです。しかし今日フラムシェンを演じたのは、元星組の早乙女わかばちゃんだったのです。もちろん、わかばちゃんも超可愛いし、実際素晴らしい演技を見せてくれたので、その点は大満足なのだが、ごめんよわかばちゃん……オレ……うみちゃんが超タイプなんだ……うみちゃんの顎ラインと口元がわたしの好みにドストライクなんす……ほんとサーセン……。というわけで、今日のショーでは、『グランドホテル』の方ではほぼ出番のなかったうみちゃんをずっと見てました。そしてその可愛さに、ますますもってやっぱかわええわ……という思いは深まったのでありました。しかし、これも超残念なことに、わたしの今日の席は、上手側のシングル席(前10列以内)だったんだよね……うみちゃん……あなた、今回は下手側ばっかりだったよね……くそう……もっと近くで観たかった……。ついてねえ……。
 
 はーー……やれやれ。勝手なことを散々書いてしまったけれど、きっと多くの人が感じたんじゃねえかな、と思うのだが、どうでしょうか。主人公のキャラが立った、堂々とした作品を今後のたまきちくんに期待したいですな。絶対たまきちくんは、もっともっと伸びる。正統派もイケるし(黒燕尾も似合ってたっすねえ!)、ワイルド系もきっとイケると思う。その成長の過程を、わたしはとても楽しみにしているぜ! たまきちくん、頑張れ!!!
 おっと、忘れるところだった! というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「あの男はブタ野郎よ!!
 今回は、いちばんわたしの心に残った名セリフは、早乙女わかばちゃん演じるフラムシェンのセリフです。ちっくしょーー!! これを愛するうみちゃんの口から言って欲しかった!! ブタ野郎!! 最高でしたw

 というわけで、結論。
 新生月組によるTOPスター珠城りょうさん主演の『グランドホテル』を観てきたわけだが、たまきちくんの頑張りは、なんだか非常に応援したくなるものがあると感じるわけで、それゆえ一層、もっと主役のキャラが立った作品だったらなあ、と感じずにはいられない作品であった。一方のショー『カルーセル輪舞曲』は曲も素晴らしく、大変華やかで、実に宝塚歌劇っぽい作品だったのではなかろうか。そして、わたしとしては愛するうみちゃんがフラムシェンを演じるVerも非常に観たくてたまりません。こりゃあ……ド平日に当日券狙いで仕事さぼるしかねえかもな……いや、さぼりじゃあない! もはや義務かもしれねえすね。以上。

↓ 映画はアカデミー作品賞受賞作品。たぶん、もはやパブリックドメインなんじゃないかな……ああ、そうみたいだね。安いDVDがいっぱい出てるみたいだな……予習しとけばよかった……。
グランド・ホテル [Blu-ray]
グレタ・ガルボ
ワーナー・ホーム・ビデオ
2013-02-06

 というわけで、昨日は超暑かったわけだが、そんな中、わたしはヅカ友とともに、TOHOシネマズ新宿へ行ってきた。そして観たのは、昨日、千秋楽を迎え、宝塚歌劇団月組のTOPスター龍 真咲さん(通称:まさお)のファイナルステージとなる『NOBUNAGA<信長>―下天の夢―/Forever LOVE!!』の、劇場ライブ中継である。

  既に、わたしはこの公演を1回観ているし、その時に内容については書いたので、今日は詳しく書くつもりはない。ちなみに同行のMお姉さまは昨日の中継で8回目だというし(マジすげえ!!)、もう一人のMちゃんは3回目、だそうだ。何が言いたいかと言うと、ヅカファンというものは、自らの推しているスターや組の公演を複数回見るのは結構普通のことで、わたしはたいてい1回しか見ないので、実のところわたしの方が、気合の入っていない普通のファン、と見做されてしまってもやむないような、ある種の特殊な常識が存在しているのである。
 ついでに言うと、「劇場ライブ中継」というのも、ヅカファンでない人にはピンと来ないかもしれないので、簡単に説明すると、ここ1年ぐらいかな、東京宝塚劇場での千秋楽は、どの公演も全国の映画館へ生中継されていて、基本的に千秋楽公演のチケットはウルトラ・プラチナチケットなので入手することはほぼ不可能なわけで、それを、映画館で観る、というものだ。しかも今回は、TOPスターの「ラスト・デイ」であり、この「劇場中継」のチケットさえも非常に入手困難で、わたしは行く予定はなかったものの、たまたまチケットを融通してもらって参加したわけである。
 わたしは今回初めて「劇場ライブ中継」を観たのだが、想像と若干違っていて、実のところ、こういう感じなんだ、と若干残念? というか、へえ~と勉強になった。
 まず第一に、「拍手」せずにじっとおとなしく観ているのが一番意外だった。わたしはつい、スターの決めのポーズや歌の締めくくりでは、もう習慣として拍手してしまうのだが、実に映画館内では静かだったのが、わたし的には、へえ~、であった。そういうものなんだなあ。なんかちょっと、もっと盛り上がっていいんじゃね? という気もして、少し残念に思った。特にショーの方は、思わず手拍子したくなるわけで、わたしはとりあえず、控えめに手を叩いてみました。特に周りには怒られなかったけど。
 あともう一つ、残念なのは、ズバリ、画質が良くない。演者のアップはそれなりに綺麗、ではあるが、引きの画はもう全然ダメ。あれじゃあイカンだろ、とわたしは残念に思った。まあ、高画質にすればするほどデータ量は増えるわけで、どういうインフラなのか知らないけど、アレで限界なのかな。あれではちょっと、もったいないというか厳しいすね。おまけに、やっぱり基本的にTOPスターを追いかける映像なので、まわりの皆さんがまったく見えないわけで、これは今回がTOPスターのサヨナラ公演だからなのか分からないけど、ほかの贔屓のジェンヌが見えないのは、まあこれは販売しているBlu-rayなんかもそうだけど、若干残念だ。でもまあ、それはもはやどうしようもないと思うので、全然許せることだと思う。が、しかし、画質の向上は是非お願いしたいものだ。ちょっと動きがあるとブロックノイズ化してしまうのは、現在のインフラでは止む無しとしても、やや残念であった。

 で。肝心の内容はと言うと、公演内容はもう前回書いたからいいとして、今回は千秋楽でありなおかつTOPスターラストデイという事で、いわゆる「サヨナラショー」が行われる特別な公演である。それは、宝塚歌劇団を卒業していくTOPスター最後の輝かしいショーなわけで、これまで演じた思い出の役柄の歌を歌ってくれるものだ。そして最後には、締めくくりとして、組長さんの呼びかけに対して、退団する方が(今回はTOPスターのまさおちゃんを含め6名が退団)最後の大階段を下りてきて、共演者と同期のみんなからお花をもらい、最後の挨拶をしてくれるわけだ。
 まず、まさおちゃんが歌ってくれたサヨナラショー部分で、わたしが一番、へえ~、と思ったのは、宝塚の演目ではない、『Morzart!』から主題歌の「Ich bin Musik(僕こそミュージック)」を歌ってくれたのが少し驚いた。これはあれかな、既にまさおちゃんのコンサートとかでは歌ったことがあるのかな? 分からないけれど、宝塚以外の楽曲を歌ってくれたのは嬉しくもアリ驚きでもあった。
 そして、千秋楽という事で、カーテンコールを4回かな(5回?)やってくれたのだが、その中で、月組の後を託す、娘役TOPの愛希れいかさん(通称:ちゃぴちゃん)と次期TOPスターの珠城りょうさん(通称;たまきち)の二人を呼んで、
 「(ちゃぴちゃんに)ありがとう」
 「(たまきちに、笑いながら)しっかりしろ!(と肩をどつく)」
 というシーンがとても印象的だった。
 ちゃぴちゃんは、気を緩めると泣いてしまうから、「今日は感情にふたをした」そうで、まさおちゃんからの「ありがとう」の一言には、「もう……ふたがずれちゃいました……」だそうで泣いてしまうし、たまきちも、とても感極まった表情で、そんなたまきちに、まさおちゃんは激励を込めて「しっかりしろ!」「泣くな!」とどやしつけたわけで、常日頃、説教することが有名なまさきちゃんからの、「最後の説教」は、とてもグッとくるシーンだった。まさおちゃん曰く、「TOPになってもなりたてはまだまだ青く、そこからの精進が大切」だそうで、そりゃあそうだよね。最初から完成されたTOPスターはいないだろうし、わたしとしては、ほんとうに、たまきちくんに頑張ってもらいたいと思う。なんか、これからは、わたしは星組がイチオシなのだけれど、その次にたまきちくんを応援したいな、とさえ思った。本当に、立派なTOPスターに成長してほしいと思う。その素養は十分に持っているはずだから。

 というわけで、13時半からの公演は、通常だと3時間ぐらいなのだが、昨日は「サヨナラショー」があったため、終わったのが18:20ぐらいだったと思う。いつもは、まあ、観劇後はお茶でもしながら語り合うわけだが、今回、我々は、新宿から日比谷へ向かい、いわゆる「出待ち」に参戦してみることにした。歌舞伎町からつかつか歩いてALTAの裏から地下に入り、すぐの丸ノ内線に乗り、一路銀座へ。そして日比谷の東京宝塚劇場前に着いたのが18:50ぐらいだったと思う。
 もう、劇場前は、揃いのTシャツを着用したファンクラブの皆さんがスタンバイしており(報道によると8000人!! そんないたのか!?)、我々も帝国ホテル側の方でぼんやり待ってみたものの、なかなか出ていらっしゃらない。それでもヅカ友の二人は待つ、というので、わたしもじっと暑さを耐え忍んで待ってみた。すると、19時半前ぐらいから、今回退団された方々が一人ずつお出ましになり、ラストのまさおちゃんが出てきたのは20時ぐらいだっただろうか? もっと遅かったかな? もはや朦朧としていたので時間は記憶にないが、やはり、まさおちゃんが最後にファンの皆さんへお辞儀されたときの、晴れやかな顔は当分忘れないと思う。
 完全にやりきった、そして明日からの、ジェンヌではない日々が楽しみ、というワクワク感も混ざった、とても美しく、可愛らしい女性としての、最高の笑顔だったと思う。

 まあ、まさおちゃんは、素でとてもきれいで可愛いし、バリバリ大阪人としてトークもイケる口なので、今後の芸能活動には何の心配もなかろうと思う。ただ、そのキャラ的にトークも上手すぎるので、バラエティ系にも通用してしまうほどなわけだが、出来ればそれはやめてほしいなあ……。やはり、まさおちゃんには歌っていてほしい。へんなバラエティはご勘弁いただきたいものです。

 というわけで、結論。
 わたしは昨日、初めて宝塚歌劇のTOPスターの退団の様子を見たわけで、初めて出待ちなるものを体験してみたわけだが、龍 真咲という、4年間輝き続けた女性を忘れることは当分なかろうと思う。そして、後を託されたたまきちの成長を、応援しながら見守りたいと思います。以上。

↓ わたしが初めてまさおちゃんを観たのが6年前。わたしがヅカを観に行くようになって2作目だったすね。
『THE SCARLET PIMPERNEL』(月組) [DVD]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2010-06-25
 

 わたしが宝塚歌劇を愛していることは何度もこのBlogに書いているし、その始まりが、2010年1月に星組公演を見たことから始まったことも、何度か書いているのだが、2回目の宝塚観劇は、2010年6月に観た月組による『スカーレット・ピンパーネル』であった。その時の経緯も、今年の春に全国ツアー作品『激情』を観たときに書いたので、繰り返しになるが、初めてのヅカ体験(星組)で大興奮したわたしはチケットを取ってくれたお姉さまに、その時のTOPスター、柚希礼音さん、通称ちえちゃんが超カッコ良かったっす!! と報告したところ、じゃあ、これをご覧なさい、と渡されたのが、星組による2008年の『スカーレット・ピンパーネル』のDVDであった。そして観て、これまた大興奮し、翌日すぐに、最高でした!! と報告に行ったところ、じゃあ、次の月組公演が『スカ・ピン』だから、チケット獲ってあげるわ、と、いうわけで、わたしの2回目のヅカ観劇は、2010年6月の月組『スカ・ピン』と相成ったわけである。
 で、その時、わたしはポスターやプログラムで、後にTOPスターとなる二人のジェンヌをはじめて知ったのである。一人は、わたしが観た公演でショーヴランというカッコいい悪役を演じた明日海りおさん(通称:みりお)であり、もう一人が、みりおと役替わりで同じくショーヴランを演じ、わたしが観た公演ではアルマンを演じた龍 真咲さん(通称:まさお)である。二人とも、明らかにほかのキャストよりも強い輝きを放っており、誰が観ても、確実にこの二人は別格だと感じたのではなかろうか。当然わたしも非常に強い印象が残り、チケットを取ってくれたお姉さまに、観た翌日、興奮して報告に行ったのである。
 「押忍!! 昨日、最高だったっす!! あざっした!!」
 「あら、良かったわね。」
 「押忍!! 特に、明日海りおさんと龍真咲さんは相当イイっす!! つか、二人とも、素でかわいいつーか、美人だと思います!! 押忍!!」 
 「あら、さすが、よくわかったわね。二人とも、これから必ずTOPになる人材よ。今から応援するのはとてもいいことだわ」
 「押忍!! ごっつあんです!!」
 「いいわ、じゃあ、今後、毎公演、チケット仲間に入れてあげるから、行きたいときは返事なさい。」
 「押忍!! あざっす!! ごっつあんです!! 今後ともよろしくおなしゃす!!」
 というわけで、わたしは以来、大体の大劇場公演に声をかけてもらえることとなり、現在に至っているわけである。 そして、月日は流れ、まさおちゃんは2012年にめでたく月組TOPスターに昇進し、以来4年間、月組を引っ張ってきたわけで、2014年の宝塚歌劇100周年の時のオープニングTOPスターメンバーの中で、現在まで残っている最後の一人であり、わたしもその軌跡を6年間見守ってきた大変思い入れのあるスターだ。
 だが、そんなまさおちゃんも、とうとう退団の時が来てしまった。わたしとしては大変淋しい限りだが、今日、わたしが観てきた月組公演は、まさおちゃんの最後の舞台となる『NOBUNAGA』である。わたしも、気合を入れて、まさおちゃんの最後の雄姿を目に焼き付けるべく、双眼鏡持参で観劇に臨んだ次第である。

 わたしは、戦国武将オタでもあるので、おそらく普通の人以上に信長の台頭から関ケ原に至る流れと、その間に活躍した武将には詳しいつもりなのだが、実はまさおちゃんの退団公演が「信長」であることを知って、それはまた一体、どんなお話になるんだろう? と若干心配していた。
 なにしろ、織田信長は家臣の謀反で夢半ばで死亡することが確定している。それって……退団公演にしちゃあ、内容的にヤバくないか? と思ったのだ。「謀反」そして「夢半ば」。こんなキーワードは、宝塚を去っていくTOPスターには、むしろ絶対に禁句のような気がしたわけである。なので、どんな話なんだ? とドキドキしていたのだが、結論から言えば、歴史をうまく改変して、なかなかグッとくる、まさおちゃんの旅立ちにふさわしいお話になっていたように思う。
 ただ、相当駆け足で歴史をなぞるので、武将知識がないと、若干難しいようにも思う。わたしですら、あーこれ誰だっけ、ああ、前田利家の弟だ、とすぐに分からないような佐脇良之だったり、逆によく知っているけど名乗らないので誰だかわからない佐々成政とか、髭で、ああ、君は勝家だな、と一発で分かったりと、かなりキャラクターが多いので、はっきり言うと、お話し的にはちょっとだけ、理解するのが難しいと思う。
 だが、実際のところ、そんな細かいことはどうでもいいのかもしれない。
 歴史における織田信長は、確かに明智光秀の謀反により横死した。しかし、宝塚のまさおちゃんは、きっちりと次のステージへ旅立つのであり、その思いを残ったみんなが継ぐわけで、本作のエンディングも、「さあ、参ろうか!!」と、新天地へ向け旅立つ信長(?)であり、その点は非常にまとまって美しい結末だったと思う。思うに、まさきちゃんは本当に信長的な、厳しいTOPだったのだと思う。この国で、この舞台でやりたいことはすべてやったというのは信長もまさきちゃんも共通していて、宝塚を去り、新たなステージへ向かうまさきちゃんには、信長というイメージはとても合っていたんだろうな、とわたしは思った。最後まで、本当にカッコ良かったよ。

 というわけで、今回は完全に、まさおちゃんの、まさおちゃんによる、まさおちゃんのための公演だったわけで、わたしは確かに満足である。ショーの方も、非常に可愛くて、きらびやかで、カッコよく、とてもよかったと思う。歌の内容も、結構グッときましたね。月を愛した龍は種をまき、水を与えたわけですよ。
 わたしは、まさおちゃんは実際歌が大変うまいと思っているし、芝居の方の、「まさお節」と呼ばれる(?)独特のセリフ回しも、もうすっかり慣れているので全然問題ないというか、今日はもうその「まさお節」がさく裂しまくっていて、逆に、ああ、もうこの「まさお節」は聞けないんだ……という淋しさの方がわたしには大きかった。本当に淋しいよ。まさおが退団の日がやってきたなんてなあ……。でも、たぶんまさおちゃんなら、女優としても輝けるのは間違いないと思うよ。なにしろ、素でかわいいもんな。あの「まさお節」は、普通の芝居ではちょっと問題アリかもしれないけど(笑)、きっと大丈夫。全然根拠はないけど、まさおなら必ず活躍できると信じてます。
 で。
 残された月組のみんなを、まさおちゃんに代わって率いるのは、次期TOPに指名されている珠城りょうさん(通称:たまきち)だ。94期と若く、5つの組の中で最年少TOPとなる。どうもその大抜擢に、非常に風当たりが強いようで、精神的なプレッシャーも大きいことだろうと思う。人気もまさおに比べたらまだまだだ。だけど、たまきちには本当に頑張ってほしい。前回の全国ツアーでの主役ぶりも良かったし、今回も、歌なんてかなり頑張っていたと思う。まだまだ伸びしろのある若いTOPとして、大きな花を咲かせてほしい。わたしも、どうも実際人気がイマイチなのかな(今日、2階で『アーサー王』の文京シビックホール公演のチケットを売ってました。まだ売れ残ってたってことなのか)? 詳しいことはわからないけど、今後は星組の次に、月組を応援したいと思う。
 ちなみにわたしは、今日のショーの方では、月組でわたしが一番応援している海乃美月ちゃんをずっと双眼鏡で観ていました。いやあ、歌もいいし、とにかくかわいいですな。星組に来てくれねえかなあ……と実に勝手な思いがこみ上げましたが、とにかく、わたし的に今、娘役ではTOP5人以外で一番好きです。もちろん、現在の月組娘役TOPの愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)ももちろんかわいいし上手だと思います。なんか、気の強い女子を演じさせたらピカイチすな。今回の帰蝶も大変良かったです。
 それから、今回、秀吉を演じた元・星組の美弥るりかさん(通称:みやちゃん)は、当然星組イチオシのわたしはよく知っている方だが、今回ショーでは久しぶりの(?)女性の姿を見せてくれたし、同じく、今度専科に異動になることが発表されている凪七瑠海さん(通称:カチャ)も、本編では明智光秀を演じ、そしてショーでは女性の姿を見せてくれ、まあとにかく手足が細くてびっくりしたよ。二人とも、確か89期だよな。もう、今後は90期以降が主体になるんだなあ、と感慨も深いですな。専科といえば、まさおちゃんと同期の沙央くらまさん(通称:こまちゃん)ももう専科に移って1年半以上経つんだなあ、とこちらも感慨深い。わたし的には2011年の雪組『ロミオとジュリエット』での乳母役を演じたのが一番印象深いが、今回は本編でもショーでも、きっちり歌を聞かせてくれましたな。同期として、いろいろな思いがあったでしょう。素晴らしかったです。
 最後、現在の月組で、若手のイケメンといえば、わたし的には朝美 絢さん(通称:あーさ)がイチオシだ。以前、関西へ旅した時に、公演を見る時間はなかったのだが、とりあえず大劇場に行って、「ルマン」のたまごサンド食って帰るか、と用もなく大劇場に行ってみたら、偶然、バウ公演が終わって帰るところの出待ちに遭遇し、お、誰が出てくるんだろう? と思ってわたしもぼんやり突っ立っていたら、すぐにあーさが出てきてビビったことがある。超・近くで見るあーさは素顔も超・美人で、激烈に可愛かったすね。まあ、月組の将来は、たまきちやあーさや、美月ちゃんがしっかりまさおスピリッツを継いで、盛り立ててくれると思う。応援してますぜ!!
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「さあ……参ろうか!!」(そして刀を振るうと、龍のマークの帆が翻る)
 やっぱり、一番ラストのここを今回は選びました。ラストの表情、ホントにグッと来たね。まさおちゃん、あなたは本当に、見事なTOPスターだったよ。たぶん、ずっと忘れないと思います。 

 というわけで、結論。
 わたしにとって思い入れ深い龍 真咲さんが、宝塚を卒業する時が近づいている。その最後の公演『NOBUNAGA<信長>―下天の夢―/Forever LOVE!!』を今日、観てきたわけだが、なんだか本当にこれで最後かと思うと、とても淋しい限りである。信長のように、TOPを極め、宝塚生活を駆け抜けたまさおちゃん。次のステージでも、活躍を期待しているし、活躍することは何の疑いもなかろうと思う。しばしのお別れだけど、次に会える時を、楽しみに待ってるからな。以上。

↓ 結局のところ、まさきちゃんの代表作というと、どれに当たるんだろうか? やっぱりこれか!?




 ↓ こっちの、まさお節の炸裂するロミオもわたしは結構好きです。でも、TOPなのに役替わりって、ホントなんというか……ひどい仕打ちだったと思うんだけどな……。
 

 というわけで、3週連続宝塚の最終週は、現在、日比谷の「東京宝塚劇場」にて上演中の、雪組公演『浪漫活劇るろうに剣心』である。すでに、2月にムラ巡礼し、一度観ている作品だが、いよいよ東京にて上演も始まり、今日は2回目の観劇に東京宝塚劇場へと推参した次第である。なので、今日はあまり詳しく書きません。

 2週間前に、わたしの愛する柚希礼音さんのコンサート『REON JACK』に行き、先週は月組全国ツアー『激情』を観てきて、今週がこの雪組公演『るろうに剣心』である。
 前回、ムラで観たときは、ずっと2番手スター望海風斗さん(通称:だいもん)を追いかけて観ていたのだが、今日は、前回恐ろしく可愛く観えた咲妃みゆちゃん(通称:ゆうみちゃん)をずっと双眼鏡で見つめる、ちょっとしたストーカー感覚で観ていた。いやあ、ほんと可愛い。実にいいですね。わたしはどうも、ゆうみちゃんの声が気に入った。そして歌も上手いし、また、芝居振りも非常に良いと思う。ゆうみちゃんは、2010年の月組公演『The Scarlet Pimpernel』が初舞台だそうで、この公演は、わたしがヅカファンになって間もない頃に観に行った作品で、先ほどパンフを探してみたところ、おお、いた! いるいる! ゆうみちゃんがちゃんと載ってますね。
CCF20160418
 ↑公演パンフ。当時の月組TOPスターは霧矢大夢さん。今やすっかり美しい女子に変身。
 ↓ いたーー!! 6年前のゆうみちゃん。変わってない。かわええ……。
yuumi
 懐かしいなあ……思えば、わたしが初めて宝塚歌劇を体験したのが2010年の1月の星組公演『ハプスブルクの宝剣』である。この初めて観る宝塚歌劇の生公演で、わたしは主演の柚希礼音さんに一発KOを食らい、翌日、チケットを手配してくれたわたしのヅカ師匠のお姉さまの元に、朝イチで興奮して報告に行ったものだ。
 「おはざっす!! なんなんすかもう、昨日、超興奮したっす。主役の人がクッソカッコエエっす。オレ、もう完璧Fall in LOVEなんすけど!!!」 と興奮して感想を伝えたところ、
 「ちえちゃんに惚れるとは、いい趣味してるわね。いいわ、じゃあ、これを御覧なさい」とその場(※会社のその方の席に常備してあった。今思うと笑えますな)で貸してくれたDVDがあって、それが、 2008年の星組Verの『The Scarlet Pimpernel』だったのだ。師匠曰く、「この時は、まだちえちゃんは2番手よ。でも、この時のちえちゃんもすごくいいわよ。そして次の月組公演がまたスカ・ピンだから、予習には好都合よ。面白いと思ったら、次の月組のスカ・ピンのチケットも取ってあげるわ」とのことだった。
 そしてわたしは、2008年の星組版『The Scarlet Pimpernel』をDVDで観ることになる。
 そしてわたしは、完全にちえちゃんファンになったわけだ。
 そして翌日、さっそく師匠にDVDを返却に行ったのである。
 「おはざっす!! うっす!! 最高でした!! あざました!!」
 「え、もう見たの!?」
 「観たっす!!」
 「で、どうだった!?」
 「最高でした。ひとつ、すげえ気に入った台詞があったんすけど、発表していいすか!?」
 「えぇ……ど、どうぞ?」
 「(カッコつけて) 演じるんだ!! そして欺け!! 弟のために!!
 「(ぱちぱちぱち)ショーヴランの台詞ね。よく覚えたわね。ちゃんとちえちゃんが分かったのね。」
 「押忍!! あざっす!! 最高っす!!」
 「いいわ、じゃあ、次の月組のスカ・ピンのチケット、取ってあげるわ」
 「押忍!! ごっつあんです!! あざっす!!」
 というわけで、この時以来、わたしはずっと師匠にチケットのお世話になっており、必ず観たあとで、「イケ台詞」を発表することを自らの義務としてきたのである。そして、この2010年の月組版『The Scarlet Pimpernel』において、ショーヴランを演じていた明日海りおちゃん(通称:みりお)と、アルマンを演じていた龍 真咲ちゃん(通称:まさお)の二人を知ったのである。二人は当時役代わりでショーヴランとアルマン(※作中で拷問する方とされる方の2役)を交互に演じていて、事実上のダブル2番手であった。
shovran
 こんな感じ。今や二人はTOPスター。この時から明らかに光り輝いてました。
 この公演は、わたしが生で観た宝塚歌劇の2本目の公演で、わたしにとっては非常に忘れられない公演である。まさかこの公演が、今や雪組TOP娘役のゆうみちゃんのデビュー公演だったとは……。デビューってことは、あの時のロケットに、ゆうみちゃんがいたってことか。やっぱり、毎公演、ロケットの娘さんたちにも注目せざるを得ませんな。一応、毎回ちゃんとロケットの皆さんもチェックしているのだが、将来のヒロインやTOPスターを探すのも、楽しみの一つですね。
 懐かしくてつい、公演パンフをしげしげと眺めてしまったが、おお!! 次期月組TOPに指名されている、先週観た珠城りょうさん(通称:たまきち)もいるし、現・月組TOP娘役の愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)もいるじゃないか!! 
tamakichi
tyapi
 しかも、ちゃぴちゃん、男役だし!! これはちょっとしたお宝ですね。まだ6年しか経っていないのに、ホントに懐かしいですなあ。

 っておい!! ぜんぜん『るろうに剣心』に関係ねえじゃねえか!! と我ながら自分の脱線ぶりにあきれました。サーセン。とにかく、『浪漫活劇るろうに剣心』は、当然主役のTOPスター早霧せいなさん(通称:ちぎちゃん)の殺陣は素晴らしいし、だいもんの歌もカッコ良く、ゆうみちゃんもウルトラ可愛くて、大変満足です。以前も書いたとおり、雪組はわたしは一番なじみがないというか、一番公演を観ていない組なのだが、わたしとしては、ゆうみちゃんが非常に気に入りました。
 というわけで、今日2回目を観て、毎度お馴染みの今日のイケ台詞を発表します。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「総三郎、拙者は、人が微笑んで生きる姿を見たいのだ!!」(そして歌に入る)
 今回は剣心の台詞です。ちぎちゃんの芝居はわたしは2回ぐらいしか観てないのだが、このお方は若干声のトーンが高め、なんすかね。THE 男役的な野太い声、ではないですね。これは剣心というキャラクターに合わせてそういう発声なのかな。いずれにしても、カッコ良さは抜群でした。

 というわけで、結論。
 2回目となる雪組公演『浪漫活劇るろうに剣心』は、神谷薫を演じるゆうみちゃん中心に観ていたが、ゆうみちゃんは歌も芝居も非常にレベルが高いですね。そしてその可愛さも、相当ハイレベルだと思います。可愛いは正義である!! おっと、明日のNHK-BSで、去年の雪組公演『星逢一夜』が放送されるじゃねえか!! この公演は観に行かなかったので、録画してゆうみちゃん観賞をしようと思います。以上。

↓ もう一度観たい……この中の、「鷹のように」というショーヴランの歌が超好き。
THE SCARLET PIMPERNEL 月組大劇場公演ライブCD
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2010-06-17

 

 以前も書いた通り、恐らくは誰もがその存在を知っている「宝塚歌劇」というものは、そのネームバリューの割には、その詳細についてはあまり一般的には知られていない部分がたくさんあると思う。例えば、宝塚市にある「宝塚大劇場」と日比谷にある「東京宝塚劇場」だけで公演を行っているわけではなく、他の劇場でも精力的に公演を行っているのだが、ご存知だろうか? その中には「全国ツアー」と呼ばれる公演というものがあり、その名の通り、日本各地の劇場を1日とか2日の公演で回るもので、我が地元の市川文化会館も、その全国ツアーがやってくる定番劇場のひとつとなっている。
 市川は、東京から1時間かからないぐらいの程近い場所にあり、年に1回か2回は必ず「全国ツアー」がやってくるのだが、わたしも地元民として、ああ、今度来るんだ、と思ってもチケットを取るのが非常に難しく、一度も地元で観たことはなかった。 が、今回、わたしのヅカ友の美しいお姉さまから、「チケット余っちゃったんだけど、どうかしら?」というお誘いがあり、おっと、市川ならオレ、地元なんで、チャリでいけるっす。買わせていただくっす。というわけで、なんの努力もせず、チケットを入手したわけである。それが、昨日の夜観てきた月組全国ツアー公演、『激情~ホセとカルメン/Apasionado!! III』である。
gekijoh
 ↑動画を探したのだが、ないっすなあ……というわけでポスター画像はこんな感じです。
 さて。今回は、わたし的には雪組に次いであまり縁のない月組である。月組は、現在TOPスターである龍 真咲さん(通称:まさお)が次の大劇場公演をもって退団することを発表しており、そのまさおちゃんは現在、ソロコンサート公演を梅田芸術劇場で行っているので(先月まで赤坂ACTシアター)、今回の全国ツアーには参加していない。そして今回の全国ツアーの主役を演じる珠城りょうさん(通称:たまきち)が、次の月組TOPスターに就任することも、既に宝塚歌劇団から発表されている。なので、事実上のTOPお披露目公演と言っていいだろう。そういう意味では、月組ファンの皆さんとしては、まさおちゃんのコンサートも、たまきちの全国ツアーも両方行かないと!! と嬉しい悲鳴であるのではなかろうか。
 しかし、星組を愛するわたしとしては、たまきちくんは94期生と非常に若く、確か、お相手の娘役月組TOPの愛希れいかちゃん(通称:ちゃぴちゃん)が95期生だから、これほど近い期のTOPコンビって珍しいのではないかなーと漠然と思う次第である。なにしろ、我が星組は、TOPスター北翔海莉さん(通称みっちゃん)が84期、娘TOPの妃海風ちゃん(通称:ふうちゃん)が95期と、歳の差カップルである。ちょっと気になったので、一覧にしてまとめてみよう。 
TOPスター 娘役TOP
星組 北翔海莉さん(84期) 妃海風ちゃん(95期)
花組 明日海りおさん(89期) 花乃まりあちゃん(96期)
宙組 朝夏まなとさん(88期) 実咲凛音ちゃん(95期)
月組 龍 真咲さん(87期)
→珠城りょうさん(94期)
愛希れいかちゃん(95期)
雪組 早霧せいなさん(87期)咲妃みゆちゃん(96期)
 とまあこんな感じなので、たまきちくんの若さはかなり目立つ存在である。わたしは月組公演に関しては、ここ数公演はずっと観ているが、毎回必ず観ているわけではないので、たまきちくんについても、あまり以前の活躍ぶりを意識していなかったので、今回のTOP指名で、へえ、それはちょっとチェックしないといけないなと思っていた。なので、今回の主役を張る全国ツアーは大変楽しみにしていたのである。
 しかし改めてまとめてみると、現在のTOPの中では、現・花組のみりおちゃんが最古参TOPスターか……はーーー時が過ぎたのう……かつて月組でまさきちゃんとともに、切磋琢磨していた二人だが、まさきちゃんが退団して、みりおちゃんが最古参TOPとは……。そして94期のたまきちくんがTOPになるということは、わたしが愛してやまない星組の礼 真琴ちゃん(95期)も、TOPになれる日が近づいているかもしれないっすな。その日が来ることを楽しみに待っていよう。
 
 で。今回の公演である。結論から言えば、かなり良かった。たまきちくん、若干ガタイが良い系の男役としては比較的王道といって良いのではないかと思う。歌もダンスも、いいじゃないですか。「カルメン」だけに、フラメンコがダンスの基本になるわけですが、かなり良いですね。これなら安心ですな、と上から目線で思うわたしは月組ファンのお姉さまたちに殺されるのは必至だが、ともかく非常に良かったと思う。しかし本当に若さあふれてますね。もう少し貫禄と、なんというか色気のあるエモーショナルな芝居? が身に付いてくればもう完璧だと思う。
 そんな風にわたしが偉そうに言うのはひとつだけ理由がありまして。
 実はこの、『激情~ホセとカルメン』という作品は、2回目の再演で、初演が1999年の宙組で、このときのTOPスターが姿月あさとさん&花總まりさん。この公演はわたしは観ていない。で、1回目の再演が、わが星組の柚希礼音さん&夢咲ねねちゃんのLEGENDコンビで、わたしはこの公演は観た。先週も書いたとおり、わたしは柚希礼音さん、通称ちえちゃんが大好きだということもあるのは間違いないのだが、この『激情』のちえちゃんがスーパー・ウルトラ・カッコイイんすよね。そしてねねちゃんの芝居も本当に素晴らしい大傑作だとわたしは思っているのだが、特に、もう怒鳴ってんじゃね? というぐらいの「ジェラシー」の熱唱シーンは失神モノである。比較するのは、たまきちくんに対して大変失礼であることは承知しているが、やっぱりちえちゃんの超絶なカッコよさが脳に鮮明に焼き付いているので、今回偉そうなことを申し上げた次第です。サーセン。でも、ほんと、たまきちくんも大変よかったと思います。ちょっと今後は月組も応援していきたい所存である。そういえば、ちえちゃんVerのときに星組生として出演していた早乙女わかばちゃんは、おととし月組に異動になって、今回も出ているので、唯一の前回との連続出演キャストかな、ひょっとして? 彼女も大変可愛いです。
 お話の方は、ビゼーのオペラや、映画にも何度もなっているProsper Merimeeの小説『カルメン』が原作である。これは、月組の前回の大劇場公演『舞音』とちょっと話が似ている。ともに、いわゆるファム・ファタールと出会ってしまった男の破滅の物語だ。なので、主役はある意味、そのファム・ファタールを演じる娘役とも言える。文学史上非常に有名なファム・ファタールとして名高いマノンとカルメンの二人をを演じたちゃぴちゃん。彼女は娘役としては非常に背が高いなーと思っていたら、どうも一度、男役をやっていたこともあるそうですね。へえ。なるほど。しかしやはり、非常にスタイルが良く、顔も小さく、非常に別嬪さんである。とてもいいですな。
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「あたいは……あんたに惚れたわ!!」(そしてブチューーとキス)
 今回は、初めて娘役からのイケ台詞ですが、カルメンのこの台詞が、今回わたし的に一番グッときました。あたい……いいすね、あたい……現実世界では、まだわたしは、「あたい」という一人称を使う女子に出会ったことがないが、出会ったら100%惚れると思います。オレもお前に惚れたぜ!!
 最後に、自分用備忘録。初めての全国ツアーは大変楽しめた。ショーでの手拍子なんかは、大劇場公演より盛り上がってたのでは? と思うぐらい会場ノリノリであった。そして噂で聞いてた「5段しかない大階段」も初めて観た。いいすね、アレも。チャリで行ける場所でヅカ鑑賞というのも大変有り難しである。車は置けないかなと思ってたのに、余裕で駐車場に置けるようだったので、次は車で行こっと。駅から微妙に遠いので、車で行けばお姉さまたちを駅まで送れるしな。

 というわけで、結論。
 月組全国ツアー『激情~ホセとカルメン』はわたしとしては思わずちえちゃんVerと比べてしまったのだが、お許しいただきたい。しかしそれでも、たまきちの次期TOPとしての熱演は非常によかったと思います。カッコイイのは間違いナシです。ちゃぴちゃんもわたしとしては大変気に入りました。もちろん、ねねちゃんVerも素晴らしかったですけどね。ねねちゃんVerの方がもっと悪女っぽかったかな。久しぶりにまたBlu-rayでちえちゃんVerも観てみたくなりました。お話的に分かりやすいし、ヅカ初心者にもおすすめっすね。以上。

↓映画も数多くあるけれど、基本はオペラですね。 
ジョルジュ・ビゼー:歌劇《カルメン》[Blu-ray Disc]
クリスティーネ・ライス
OPUS ARTE
2016-03-30

↓ そして原作はこちらっす。大学2年か3年の頃に読んだ。わたしも持ってる岩波文庫版は非常に読みにくい。
カルメン (岩波文庫 赤 534-3)
プロスペル・メリメ
岩波書店
1960-12-05

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