はあ……いいっすねえ……とても見事な大団円、グッとくるラストでありました。
というわけで、わたしが第(1)巻から読み続けてきた、大好きな小説『あきない世傳 金と銀』が、最新刊である第(13)巻「大海篇」をもって完結いたしました。
毎回書いているけど、マジで電子書籍で出してくれないかなあ……そうすれば持ち歩いていつでも読み直せるのに……。。これまで、何度も書いてきたように、本作『あきない世傳』シリーズは、現代ビジネスマンが読んでも非常に示唆に富んだ面白い作品であり、最終巻でもその面白さは当然味わえるものでありました。はあ……幸ちゃんも9歳(だっけ?)で大坂天満の呉服屋さんに奉公に出て、最終的には44歳だったかな、立派な美魔女になりましたなあ。絶対、美人に決まってるよね。
さてと。
前巻をおさらいしとくと、いよいよ再び呉服を扱えるようになった五鈴屋江戸店は、呉服取り扱い再開にあたって「呉服切手」という一種のギフトカードを考案して大ヒット、しかしその結果、顧客層が太物(=綿織物)オンリーだったときは町のおかみさんたち中心だったけれど、呉服(=絹織物)再開によって武家の奥様の顧客も増え、店頭に華美な呉服をディスプレイし始めることによって、町のおかみさんたちは「いいなあ、きれいだなあ、でも一生買えないなあ……」としょんぼりした顔を幸ちゃんに見せるようになってしまったのでした。
顧客の満足とビジネス的成功、要するにお客さんと五鈴屋、さらに生産者の各段階のみなさんのWin-Win-Win-Winを目指す幸ちゃんとしては、おかみさんたちのしょんぼりフェイスは非常に心苦しく、さてどうしたものか、というのが、前巻で残った宿題でありました。さらに、前巻ラストでは、現代風に言えば「お江戸コレクション」的ファッションイベントである「吉原衣装競べ」へ出展し、単に華美なだけでなく、身にまとう人に寄り添った、「その人らしい衣装」で勝負する決意もしました。
というわけで本作は、まずはその吉原ファッションショーですが、これは比較的あっさり終わります。まあ、大方の我々読者が想像する通り、歌で勝負する歌扇さん(花魁の皆さんに比べると若干イケてない女子)に似合った、凛とした紋付で大人気を博すも、若干の不正めいた投票で惜しくも2位に終わりますが、その後歌扇さんは大人気芸者として生きる道を得たのでした。歌扇さん、ホントよかったね!!
そして一方の顧客層の拡大ですが、こちらも想像通り、店舗を分けることで決着をみます。すなわち、浅草田原町の従来の店舗は町のおかみさん向け商材を店頭で商う「店前現銀売り」、そして新店を日本橋呉服町にオープンし、こちらはお武家様への、現代用語でいう「外商」、つまり家に出向いて御用を聞く「屋敷商い」と形態を変えることでそれぞれの顧客に合ったスタイルをとることにしたのです。まあ、これが正攻法というか、とりあえずの最適解でしょうな。
というわけで、相変わらず勧進相撲の浴衣は大人気だし、江戸本店も呉服町店も順調で前巻「出帆」篇で大きく航海に出た五鈴屋さんですが……航海には嵐にも遭遇するわけで、「大海」に出たとたん、ヤッバイ事態が2つも起こります……が、それは皆さん自分で読んで、ハラハラしながら、ラストの爽快なエンディングを心行くまで味わってください。わたし、ラストの気持ちよさにとても感動いたしました。そして、早くも高田先生の新シリーズが早く読みてーなー、と無責任に思いました。『みをつくし』も『あきない世傳』も、マジ最高だったっすね!
というわけで、以下、各キャラごとにメモをしておきます。ネタバレは避けられないので、もう読み終わっていることを前提とします。
◆幸:しっかし波乱にとんだ人生を送ってますねえ、幸ちゃんは。9歳で奉公にあがり、10代前半で1回目の結婚、そして2回目、3回目と嫁いだ後、女子では店主になれない大坂を離れ、江戸に出て、見事な「女主人」となりました。元々頭がイイ女子だったし、きっと美人でしょう。つうか、幸ちゃんに対しては、もう書くことがありません。恐らく幸ちゃんは、1723年生まれだと思うんだけど、250年後の1973年生まれぐらいだったとしても、間違いなく有能なビジネスパーソンになっていたでしょう。有能な経営者として、大きな会社を引っ張る社長になってたんじゃないかなあ。本作で幸ちゃんの物語は終わるけれど、間違いなく五鈴屋は益々の繁栄をしていくことでしょう。今後、「その後」を描く作品が発売されることもあるかと思いますが、再会を楽しみに待ちたいですな!
というわけで、わたしが第(1)巻から読み続けてきた、大好きな小説『あきない世傳 金と銀』が、最新刊である第(13)巻「大海篇」をもって完結いたしました。
毎回書いているけど、マジで電子書籍で出してくれないかなあ……そうすれば持ち歩いていつでも読み直せるのに……。。これまで、何度も書いてきたように、本作『あきない世傳』シリーズは、現代ビジネスマンが読んでも非常に示唆に富んだ面白い作品であり、最終巻でもその面白さは当然味わえるものでありました。はあ……幸ちゃんも9歳(だっけ?)で大坂天満の呉服屋さんに奉公に出て、最終的には44歳だったかな、立派な美魔女になりましたなあ。絶対、美人に決まってるよね。
さてと。
前巻をおさらいしとくと、いよいよ再び呉服を扱えるようになった五鈴屋江戸店は、呉服取り扱い再開にあたって「呉服切手」という一種のギフトカードを考案して大ヒット、しかしその結果、顧客層が太物(=綿織物)オンリーだったときは町のおかみさんたち中心だったけれど、呉服(=絹織物)再開によって武家の奥様の顧客も増え、店頭に華美な呉服をディスプレイし始めることによって、町のおかみさんたちは「いいなあ、きれいだなあ、でも一生買えないなあ……」としょんぼりした顔を幸ちゃんに見せるようになってしまったのでした。
顧客の満足とビジネス的成功、要するにお客さんと五鈴屋、さらに生産者の各段階のみなさんのWin-Win-Win-Winを目指す幸ちゃんとしては、おかみさんたちのしょんぼりフェイスは非常に心苦しく、さてどうしたものか、というのが、前巻で残った宿題でありました。さらに、前巻ラストでは、現代風に言えば「お江戸コレクション」的ファッションイベントである「吉原衣装競べ」へ出展し、単に華美なだけでなく、身にまとう人に寄り添った、「その人らしい衣装」で勝負する決意もしました。
というわけで本作は、まずはその吉原ファッションショーですが、これは比較的あっさり終わります。まあ、大方の我々読者が想像する通り、歌で勝負する歌扇さん(花魁の皆さんに比べると若干イケてない女子)に似合った、凛とした紋付で大人気を博すも、若干の不正めいた投票で惜しくも2位に終わりますが、その後歌扇さんは大人気芸者として生きる道を得たのでした。歌扇さん、ホントよかったね!!
そして一方の顧客層の拡大ですが、こちらも想像通り、店舗を分けることで決着をみます。すなわち、浅草田原町の従来の店舗は町のおかみさん向け商材を店頭で商う「店前現銀売り」、そして新店を日本橋呉服町にオープンし、こちらはお武家様への、現代用語でいう「外商」、つまり家に出向いて御用を聞く「屋敷商い」と形態を変えることでそれぞれの顧客に合ったスタイルをとることにしたのです。まあ、これが正攻法というか、とりあえずの最適解でしょうな。
というわけで、相変わらず勧進相撲の浴衣は大人気だし、江戸本店も呉服町店も順調で前巻「出帆」篇で大きく航海に出た五鈴屋さんですが……航海には嵐にも遭遇するわけで、「大海」に出たとたん、ヤッバイ事態が2つも起こります……が、それは皆さん自分で読んで、ハラハラしながら、ラストの爽快なエンディングを心行くまで味わってください。わたし、ラストの気持ちよさにとても感動いたしました。そして、早くも高田先生の新シリーズが早く読みてーなー、と無責任に思いました。『みをつくし』も『あきない世傳』も、マジ最高だったっすね!
というわけで、以下、各キャラごとにメモをしておきます。ネタバレは避けられないので、もう読み終わっていることを前提とします。
◆幸:しっかし波乱にとんだ人生を送ってますねえ、幸ちゃんは。9歳で奉公にあがり、10代前半で1回目の結婚、そして2回目、3回目と嫁いだ後、女子では店主になれない大坂を離れ、江戸に出て、見事な「女主人」となりました。元々頭がイイ女子だったし、きっと美人でしょう。つうか、幸ちゃんに対しては、もう書くことがありません。恐らく幸ちゃんは、1723年生まれだと思うんだけど、250年後の1973年生まれぐらいだったとしても、間違いなく有能なビジネスパーソンになっていたでしょう。有能な経営者として、大きな会社を引っ張る社長になってたんじゃないかなあ。本作で幸ちゃんの物語は終わるけれど、間違いなく五鈴屋は益々の繁栄をしていくことでしょう。今後、「その後」を描く作品が発売されることもあるかと思いますが、再会を楽しみに待ちたいですな!
◆賢輔:五鈴屋のデザイン本部長であり、まあ、間違いなく彼は幸ちゃんが大好きなんでしょう。でも、恋愛を超えた幸ちゃんとの関係性はとても禁欲的で、最後に明かされる本作「金と銀」というタイトルの意味は、とても心にしみたっすね! 初登場時はまだ全然子供でガキだった賢輔。ひょっとしたら、シリーズで最も成長した人かもしれないすね。幸ちゃんのことは、君に任せたぞ!
◆お竹:五鈴屋の総務部長であり、チーフスタイリストであり、幸ちゃんの秘書室長でもあるしっかり者。大坂からともに労苦を分け合った幸ちゃんのお姉さん兼お母さん的存在。お竹さんがいれば、五鈴屋は安心です! 本作最後の発明品となりそうだった冬でも暖かいヒートテック的素材開発も、元々はお竹さんが「あったらいいなあ」と思ってたものだもんね。きっと開発に成功し、また大ヒットとなるでしょう。お竹さんも、幸ちゃんのこと、よろしく頼みます!
◆佐助:五鈴屋の営業部長。佐助の恋の話も今回チラッと語られましたね。佐助どんにも幸せが訪れることを願ってます!
◆菊栄:五鈴屋4代目(=幸ちゃんの最初の夫)の初代妻。数年で離婚し、実家に戻って実家の傾きかけた商いを立て直す、が、兄夫婦に厭われ江戸進出を決意し、すでに江戸店をオープンさせていた幸ちゃんと江戸で合流し、自らのアクセサリーショップを見事成功させる敏腕女子。幸ちゃんにとっては強い強い味方で、何度も精神的に助けてくれました。菊栄さんも、間違いなく現代でも通用する経営者になっていたでしょう。菊栄さんにも、いつかまた、再会したいっすね!
◆惣次:大阪五鈴屋の5代目であり、幸ちゃんの2番目の夫。冷徹なビジネスマン。が、冷徹過ぎて大坂時代に大失敗し、失踪。その後、江戸に進出した幸ちゃんと江戸で再会。しかも両替商井筒屋三代目として大復活。幸ちゃんのピンチには、なにかとさりげない助言をして助けてきたが……わたしは、何度もこのBlogで、惣次こそ、物語のラスボスとして幸ちゃんの前に立ちはだかるんじゃないか説を唱えてきましたが、やっぱりわたしの想像なんぞ、まるで浅いものでしたね! 惣次よ、疑って悪かった! まあ、実際君は有能だからな、君も現代で十分通じる経営者になっていたでしょう。実際のところ、やっぱり惣次も幸ちゃんのことをずっと大好きなんでしょうね。イイ奴でした。今後も陰ながら助けてくれよな! 頼んだぜ!
◆結:幸ちゃんの妹で、若干ゆとり恋愛脳で賢輔くんにも惚れていたが、あっさりと振られたことが直接の原因(?)で、幸ちゃん&五鈴屋を裏切り、憎き変態オヤジ音羽屋の嫁となって恐怖の大魔王と化してしまった恐ろしい子。わたしは正直、いまだに結の心情は理解できません。最終的には、やっぱり和解はなかったすねえ……それはちょっとだけ残念に思うけど、まあ、無理だよなあ。。。ラストで毅然とした態度をとるのは、ある意味すがすがしいけれど、逆にどうしてそこまで……とも思わなくもないすね。。。憎しみなのか、意地なのか……やっぱりわたしにはわからんす。。。
◆力造&お才:五鈴屋が全面的に「染め付け」を任せている職人夫婦。二人がいなかったら、五鈴屋さんの発展はなかったと断言してもいいぐらいの活躍をしてくれました。力造さんも、ずっと課題だった「色」を開発できて本当に良かったね!
とまあ、こんなところかしら?
とにかく、『みをつくし』もそうだったけれど、高田先生の描く物語の主人公は、常に「まっとう」で、インチキやズルをせず、地道でサボることもせず、ただひたすらにド真面目に生きる姿を見せてくれるわけで、とっても共感できますなあ。
わたしも、真面目に生きよう、ということを生きる信条としており、それは結構周りの人々にも認知されているようで、まあやっぱり、インチキしたりズルい生き方よりも、ずっとずっと「いいこと」が廻りまわって訪れてくれるような気がしますね。なので、わたしもこれからもずっと、回り道であっても地道に真面目に生きてゆこうと改めて思いました。
というわけで、結論。
わたしの大好きな小説『あきない世傳 金と銀』がシリーズ第(13)巻で完結しました。そしてその物語は、大団円と言ってよいでしょう。とてもすがすがしく気持ちの良いエンディングは、本当に楽しかったすね。いろいろあったけれど、幸ちゃんをはじめ、かかわったみんながその後の人生でも、幸せで生きたのだろう、と心から願う次第であります。幸ちゃん最後のビジネスプランは、現代で言ういわゆる商店街の形成、というよりも、20世紀で言えば百貨店、そして21世紀で言うとショッピングモールの原型になるのかな。きっと大成功でしょうなあ。みんなが笑顔で生き生きと商いしている情景を想像して、わたしの感想を終わりにしようと思います。お見事でした! そして高田先生、次の新作はいつですか!!? 楽しみに、お待ちしております!! 以上。
↓↓巻末の「講座」によると、力造さん開発のあの色のモデルは↓これだそうです。
◆菊栄:五鈴屋4代目(=幸ちゃんの最初の夫)の初代妻。数年で離婚し、実家に戻って実家の傾きかけた商いを立て直す、が、兄夫婦に厭われ江戸進出を決意し、すでに江戸店をオープンさせていた幸ちゃんと江戸で合流し、自らのアクセサリーショップを見事成功させる敏腕女子。幸ちゃんにとっては強い強い味方で、何度も精神的に助けてくれました。菊栄さんも、間違いなく現代でも通用する経営者になっていたでしょう。菊栄さんにも、いつかまた、再会したいっすね!
◆惣次:大阪五鈴屋の5代目であり、幸ちゃんの2番目の夫。冷徹なビジネスマン。が、冷徹過ぎて大坂時代に大失敗し、失踪。その後、江戸に進出した幸ちゃんと江戸で再会。しかも両替商井筒屋三代目として大復活。幸ちゃんのピンチには、なにかとさりげない助言をして助けてきたが……わたしは、何度もこのBlogで、惣次こそ、物語のラスボスとして幸ちゃんの前に立ちはだかるんじゃないか説を唱えてきましたが、やっぱりわたしの想像なんぞ、まるで浅いものでしたね! 惣次よ、疑って悪かった! まあ、実際君は有能だからな、君も現代で十分通じる経営者になっていたでしょう。実際のところ、やっぱり惣次も幸ちゃんのことをずっと大好きなんでしょうね。イイ奴でした。今後も陰ながら助けてくれよな! 頼んだぜ!
◆結:幸ちゃんの妹で、若干ゆとり恋愛脳で賢輔くんにも惚れていたが、あっさりと振られたことが直接の原因(?)で、幸ちゃん&五鈴屋を裏切り、憎き変態オヤジ音羽屋の嫁となって恐怖の大魔王と化してしまった恐ろしい子。わたしは正直、いまだに結の心情は理解できません。最終的には、やっぱり和解はなかったすねえ……それはちょっとだけ残念に思うけど、まあ、無理だよなあ。。。ラストで毅然とした態度をとるのは、ある意味すがすがしいけれど、逆にどうしてそこまで……とも思わなくもないすね。。。憎しみなのか、意地なのか……やっぱりわたしにはわからんす。。。
◆力造&お才:五鈴屋が全面的に「染め付け」を任せている職人夫婦。二人がいなかったら、五鈴屋さんの発展はなかったと断言してもいいぐらいの活躍をしてくれました。力造さんも、ずっと課題だった「色」を開発できて本当に良かったね!
とまあ、こんなところかしら?
とにかく、『みをつくし』もそうだったけれど、高田先生の描く物語の主人公は、常に「まっとう」で、インチキやズルをせず、地道でサボることもせず、ただひたすらにド真面目に生きる姿を見せてくれるわけで、とっても共感できますなあ。
わたしも、真面目に生きよう、ということを生きる信条としており、それは結構周りの人々にも認知されているようで、まあやっぱり、インチキしたりズルい生き方よりも、ずっとずっと「いいこと」が廻りまわって訪れてくれるような気がしますね。なので、わたしもこれからもずっと、回り道であっても地道に真面目に生きてゆこうと改めて思いました。
というわけで、結論。
わたしの大好きな小説『あきない世傳 金と銀』がシリーズ第(13)巻で完結しました。そしてその物語は、大団円と言ってよいでしょう。とてもすがすがしく気持ちの良いエンディングは、本当に楽しかったすね。いろいろあったけれど、幸ちゃんをはじめ、かかわったみんながその後の人生でも、幸せで生きたのだろう、と心から願う次第であります。幸ちゃん最後のビジネスプランは、現代で言ういわゆる商店街の形成、というよりも、20世紀で言えば百貨店、そして21世紀で言うとショッピングモールの原型になるのかな。きっと大成功でしょうなあ。みんなが笑顔で生き生きと商いしている情景を想像して、わたしの感想を終わりにしようと思います。お見事でした! そして高田先生、次の新作はいつですか!!? 楽しみに、お待ちしております!! 以上。
↓↓巻末の「講座」によると、力造さん開発のあの色のモデルは↓これだそうです。