タグ:浅田次郎

 わたしは平日はAM4時には起きる、完全朝型男なわけだが、それはもう高校生ぐらいからずっとそうで、わたしにとってはそれが普通で、勉強も仕事も朝が一番はかどるからそうしているのに、どうも、世の中的には、わたしの生き方は稀らしい。
 とはいえ、さすがに休日はAM6時近くまで寝ているわけだが、今日は、AM5時ごろ、なんか呼ばれた?ような気がして目が覚めた。「?」と思ってふとベットの横を見ると、我が家に住まう宇宙一カワイイ存在であるお猫さまが、「まだ起きなくていいの?」とでも言っているような顔でわたしを見上げていた。
 なんてかわいいんだ……と30秒ぐらい見つめ合い、しょうがねえ、と起きることにしたのだが、今度は、トーストとコーヒーを摂り、ふいーーとタバコを吸いながらPCを立ち上げたところ、立ち上げて60秒ぐらいでメールが来た。AM6時3分のことだ。今、仕事上でやり取りをしている弁護士先生からのメールで、うわ、こんな時間まで働いてるんだ!? とびっくりしながら、すぐさま「ありがとうございます!」的メールを返信して、さもわたしも仕事してた風を装い、すぐにクライアントへの報告メールを書き出し、それを送ったところで、次は布団を干し、洗濯をし、掃除機をかけ……などしたところでAM9時となり、母が美容室を予約したとか言うので、もう、おれ、今日は出かけるって言ったのに! と若干イラつきつつも母を美容室へ送り、美容室の方に、終わったらタクシー呼んでやって下さい、とお願いし、車で家に戻ってすぐに、チャリで駅に向かった。
 今日のわたしの目的地は有楽町、今日は愛する宝塚歌劇の観劇なのでありました。
 はーーー。要するに朝からえらい目に遭ったぜ、ということと、母の介護に疲れ果てたわたしのテンションはほぼどん底状態にあり、しょんぼりしながら東京宝塚劇場に赴いた背景を述べたかったわけだが、やっぱり宝塚は最高っすねえ! あの劇場の空間は、すべて嫌なことを忘れさせてくれますな、ホント。
 というわけで、現在東京宝塚劇場で絶賛上演中の雪組公演『壬生義士伝/Music Revolution!』は最高でありました。いやあ、泣けたっすねえ……! そしてまあキラキラでしたなあ……! マジ宝塚歌劇は最高であります!!

 というわけで、まずは『壬生義士伝』である。以前このBlogでも、映画版の『壬生義士伝』のレビューを書いたが、元々は浅田次郎先生の小説が原作だ。ま、あの小説を宝塚歌劇で上演しちゃうというのも凄い話であるが、それはともかく、わたしは宝塚歌劇の90分ほどの舞台で、あの物語を描けるのだろうか? と素朴に疑問を感じた。が、結論から言うと実に見事に、実に美しく舞台化されており、ズバリ言うと小説未読でも映画未見でも、十分楽しめる構成となっていたと言えよう。
 物語は幕末、津軽南部藩(※正式には盛岡藩)の下級武士が、飢饉や不作で貧しい生活に窮した末に、妻子を故郷に残して単身上洛、新選組に入隊して人殺しを仕事として、人斬りで稼いだ金を家族に送り続けた男の物語だ。
 なので、ほとんどの人物は実在の人物なのだが、本作で一番泣けるのが、様々な物語で有名な新選組三番隊組長の斎藤一と、南部藩を脱藩した主人公である吉村貫一郎の、二人の実に対照的な生き方だ。
 斎藤は史実はもう別として、本作では「帰る場所のない」「死にたがっている男」として、冷酷(?)でキレた男として描かれている一方で、吉村は逆に、「帰る場所があり」「絶対に死にたくない」と思っている。が、歴史は後の大正の時代まで斎藤は生き残り、吉村は戊辰戦争序盤で逝ってしまう。その皮肉な結末がグッとくるわけだ。さらに、どうやら架空の人物らしいが、吉村には故郷南部藩で竹馬の友と呼べる大野次郎衛門という男がいて、その親友・大野との心の交流が美しくまた残酷で、実に心打たれるエンディングとなっているのも大きなポイントだろう。
 そういった、こうなってほしいと望む未来がことごとくうまくいかず、まったく運命って奴は残酷だぜ、と思わせる悲劇的物語なのだが、実のところ、「運命」と簡単な言葉で表現するのはちょっと違うとわたしには強く感じられた。なぜなら、キャラクター達はみな、確実に納得の元に行動しており、別に何か天の配剤のような抗いがたいなにか、に操られたわけではないと思うからだ。吉村も斎藤も、そして大野も、自らの信念のもとに、自らの選択を行って、最終的に悲劇的な結末を迎えたのであって、おそらく、死した吉村の胸中には、無念や恨みのようなものはなく、ある種のすがすがしさというか、後悔めいた思いは全くなかっただろうと思う。恐らくそこが、この物語の美しさをより一層引き立てているのではなかろうか。
 まあ要するに、とても面白かったです。はい。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌをまとめておこう。ついでに、自分用備忘録として映画版で演じた役者名も記しておこう。
 ◆吉村貫一郎:主人公。南部藩下級武士から、脱藩して新選組に入隊。見かけはパッとしないが、剣の腕は最強レベルで剣劇指南。人斬りで稼いだ金で故郷の家族を養うことが目的のため、何かとお金ちょうだい的言動で、守銭奴と呼ばれているが、東北人独特の腰の低さと押しの強さで信頼を得る。
 映画版で演じたのは中井貴一氏。そして今回の宝塚版はもちろん雪組TOPスター望海風斗さん(以下:のぞ様)。とにかくのぞ様は、現役最強歌ウマなのはもうヅカファンなら誰しもが認めるだろうと思うが、わたしとしてはのぞ様は歌だけでなく、演技力も最強レベルだと思う。見事でしたなあ、のぞ様の貫一郎は。中井貴一氏も見事だったけれど、のぞ様も一歩も引けは取らないすね。映画版で感動した方に是非今回の宝塚版を見ていただきたいと思う。そしてやっぱりですね、歌が泣けるんすよ……主題歌が歌詞・曲ともに素晴らしかったし、のぞ様の歌声はやっぱり最強でした。グレイトであります。
 ◆斎藤一:『るろうに剣心』など様々な物語でお馴染みの冷酷でキレた男。映画版では佐藤浩市氏でしたが、今回の宝塚版では、わたしの審美眼では現役最強の美形である朝美絢さん(以下:あーさ)が、ウルトラカッコイイ斎藤一を演じて下さいました。今回わたしは凄いいい席で観る機会を得たのだが、もうあーさの美しさ、カッコ良さにはクラッとしますな。なんでも、先日のFNSうたの夏祭りでは、宝塚歌劇を知らない方々の間で「あの美形は誰!?」と話題になったそうですが、宝塚歌劇を愛する我々としては、もう声を大にして「あれこそ宝塚の誇る美形、あーさだぜ!!」と自慢したいすね。あーさは本当に芝居も、そして歌も! グイグイうまくなってますなあ。失礼ながら、こんなに歌がうまかったっけとか思うぐらいだったすね。実にカッコ良かったす!
 ◆しづ:吉村の妻で、脱藩した吉村を裏切り者と謗られる中、グッと耐えて耐えて夫の帰りを待つのだが……もうその姿にわたしもグッと来たっすわ。演じたのは、映画版では夏川結衣さんだが、宝塚版ではもちろん、雪組TOP娘役の真彩希帆ちゃん(以下:まあやきー)。まあやきーは、このBlogではいつも、ちょっと調子に乗った天真爛漫な明るさが持ち味と書いていますが、役柄としては今回のように、グッと耐える姿も多く、その眉間にしわを寄せた八の字眉のしょんぼりフェイスが最強にイイんすよ。そしてまあやきーの歌はもう、もはやちゃぴ卒業後は現役最強と言っていいでしょうな。歌、芝居、そして可愛らしい容姿、確実に現在の現役最強プリンセスだと思います。のぞ様とのコンビは、間違いなく現役最強歌ウマコンビでしょうな。たぶんヅカファンなら誰も否定しない事実ですよ、これは。
 ◆大野次郎右衛門:吉村の幼馴染であり、婿入りして出世したため、身分違いに。しづ大好きだったが、身分違いのため嫁取りを断念した過去も。なにかと吉村一家を気にかけていて助けてくれるのだが、彼は彼の忠義の元に、吉村に切腹を命じるという重要な役割を演じる。映画版では三宅裕司氏が演じたこの役を今回演じたのは、雪組正2番手の彩風咲奈さん(以下:さきちゃん)。実はわたしは、今回の物語でさきちゃんは斎藤一を演じるのかな? と思っていたのだが、2016年の宝塚版『るろうに剣心』でもさきちゃんは斎藤一を演じており、どうなるんだろうと思っていたら、大野の役が割り当てられ、結果的にはそれでよかったと思います。さきちゃんもまた、演技・歌、ともにどんどんレベルが上がってますね。今回もとても良かったと思います。ラストは泣けたっすね……。
 ◆沖田総司:ご存知新選組最強剣士の一人。映画版では堺雅人氏が演じ、今回は雪組のホープ、永久輝せあくん(以下:ひとこちゃん)が演じたのだが、まあ、沖田総司の世間的イメージ通りの、洒脱な感じで、本作ではあまり大きな役どころはない。しかし、そのひとこちゃんは先日花組への人事異動が発令されたので次の単独主演バウ公演全国ツアー(サーセン、間違えた)を最後に雪組を離れることに。雪組推しの方々は残念に思っているでしょうな……。
 ◆大野千秋:次郎衛門の息子で、吉村の長男とも仲良し。剣術はダメだが頭はよく、後に医者となる。今回演じたのは、綾凰華くん(以下:あやな)。わたしイチオシの星組から雪組へ移動してもう2年になるのかな、当時はとても残念に思ったが、雪組で地道に頑張ってます。あやなくんは、わたしの審美眼では、女子として実に可愛い顔つきで、何気にずっと応援しております。今後、着実にステップアップしてほしいすね。
 ◆土方歳三:ご存知新選組鬼の副長。あーあ、なにもかもめんどくせえ、とか言いながら、きっちり気を配っていろいろなことをやってくれる大人として描かれている。今回演じたのは、雪組の別格スターと言えばいいのかな、もはやベテランとなった彩凪翔さん。ポイントポイントでさりげなくカッコ良かったす。
 ◆松本良純:元将軍家侍医のち明治政府では陸軍軍医総監にして貴族院議員。映画では出てきたか覚えてないなあ。今回演じたのは専科の凪七瑠海さん(以下:かちゃ)。もう専科に移って3年か……。今回は意外とカチャの歌も多いし、ショーでも結構活躍の場面が多かったすね。
 とまあ、こんなところかな。
 で、後半はショー『Music Revolution!』であります。もう、『壬生義士伝』のしんみりムードを吹き飛ばすようなノリノリでキラキラなショーで、当然ながら最強歌ウマコンビの美しいハーモニーは最高だし、あーさはおっそろしくカッコイイし(しかもやっぱり確実に歌がうまくなってる!!)、あやなちゃんはやっぱりどう見ても女子として可愛いし男役としてもカッコ良く、まあ、要するに最高でありました。
 わたしは今回、まるでチケットが獲れず、観に行くことはかないそうにないので、なんならBlu-ray買うしかねえかなあ……とか思っていたのだが、やっぱりですね、ナマに限りますなあ! 生の迫力、生の感動はやっぱり代えがたいものがありますね。のぞ様とまあやきーのコンビは特にそう思うすね。あの歌ウマパワーは、マジ現役最強す。ほんと、チケット譲っていただきありがとうございました!>ズカ師匠!
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「貫一、喰え! 南部の米じゃ! さあ貫一、喰え! 喰わんか!!」
 これはラストの大野次郎衛門の慟哭ですが、ここは泣けたっすねえ……カッコ良かったよ、さきちゃん……。。。

 というわけで、結論。
 チケットがまるで取れず、観劇をあきらめかけていたところで師匠からチケットを譲っていただき(しかも超いい席)、現在日比谷の東京宝塚劇場で絶賛公演中の雪組公演『壬生義士伝/Music Revolution!』を観ることが出来た。ズバリ言うと、わたしのヅカ歴の中でも最高レベルに近いもので、実に満足であります。とにかく音楽が良かったすねえ……そしてあの長い物語が見事に90分に凝縮されていたと思います。望海風斗様&真彩希帆ちゃんという現役最強歌ウマコンビの歌声は、うっかりすると魂が抜けて行ってしまうレベルですな。最高です! そして、わたしが推しているあーさも、実に成長著しく、芝居と歌のレベルはグンと伸びていると思うす。ショーでもカッコ良かったすねえ!! 全然関係ないのだが、開演アナウンス30秒前に、我が星組から今年卒業された、のぞ様と同期の元スターがさっそうと客席に降臨し、マジ興奮したっす。思わず隣の全く知らないご婦人と、笑顔をやり取りしちゃったよ。あーーー! か、かいちゃんだ! と普通に声が出ちゃったのはマナー違反だったかな……叫んだわけじゃないから許して……。お兄様は、今でもバリバリのオーラで、おっそろしく美人&イケメンでした。というわけで、日ごろ何かと世を儚むわたしとしては、そんな暗い気持ちを吹っ飛ばしてくれる宝塚歌劇は最高だと思います! 以上。

↓ 映画版も泣けるっすわ……。最高です。
壬生義士伝
中井貴一
2013-11-26

 今日の昼に、今年のNHK大河ドラマ『真田丸』(の再放送)を観ていて、うーん、やっぱり三谷幸喜氏による脚本ってどうなんでしょうなあ……大河に向いているのかしらん……などとぼんやり思ったのだが、2004年に放送された三谷氏による『新選組!』をあまり面白いと思えなかったわたしは、今回の『真田丸』も、今のところ、ちょっと乗れてない感じである。まあ、最後まで観ないと面白かったかどうかすら判定できないので、毎週観るつもりでいるが、途中で観るのをやめちゃわないか、若干自分が心配である。
 で。そういや2004年の『新選組!』では、今回の『真田丸』の主役を演じる堺雅人氏は、沖田総司だったっけね、なんてことを思い出し、他のキャストはどんな感じだったっけ、とGoogle先生にお伺いを立ててみたところ、総司は藤原竜也氏で、堺雅人氏が演じてたのは山南敬助だということを思い出した。しかし、どうしても、堺雅人氏=沖田総司のイメージが頭から離れない。あれぇ!? なんでだっけ? というわけで、再びGoogle先生にお伺いを立ててみたところ、わたしが思った堺雅人=沖田総司は、映画『壬生義士伝』であったことが5秒で判明した。なるほど、超・勘違いでしたわ。しかし調べてみて、ああ、この映画泣けるんだよなあ、という事も思い出したのだが、どうも細部はあまり覚えていないことも判明し、たしか録画したのがあったはず…・・・とBlu-rayを探したら見つかったので、10年以上ぶりに見てみた。そして、うむ、やっぱり中井貴一氏は素晴らしい役者だ、ということを再認識したわけである。

 上記の動画は、松竹の公式動画なのだが、冒頭の3分ほどが観られるものの、とても予告とは言い難い。続きは300円で見られるよ、というプロモーション用である。なので、これだけでは全くわからないと思うが、物語は大正時代まで生き残った新撰組三番隊組長でおなじみの斎藤一と、「守銭奴」と呼ばれた新撰組撃剣師範、吉村貫一郎のお話である。わたしは上記3分動画を観て、あ、はいはい、これか、と物語の全体像を思い出すことに成功したが、上記の動画にあるように、老いた斎藤一が若き日の新撰組時代を回想する形で物語は進行する。実はわたしは浅田次郎先生の原作を読んでいないので、原作通りの流れなのか知らないし、さらに言うとわたしは戦国オタであるけれどあまり幕末の歴史に詳しくないので、史実通りなのかもよく分かっていない。
 しかし、わたしにはこの物語は、非常に現代性を持つものとして極めて興味深く写った。
 幕末社会……これは、現代に例えると、250年続いた巨大企業が倒産の危機にある物語として読み取れるのではなかろうか。
 安定した巨大企業グループの一員である岩手の子会社に在籍していた中間管理職のサラリーマンがいる。しかしグループ会社の連結業績はもはや建て直しのきかないレベルまで落ちてしまい、本社HDの取締役会は機能しないし、海外からのM&Aの脅威にさらされていて、給料も減り、もはや妻子を養うのも厳しい状態。まさに時代が変わろうとする端境期である。そんな時、江戸の本社持株会社からスピンアウトして、京都に本拠地を置いた、保守派の新撰組を名乗る一派がいた。福島の子会社が出資した新撰組へ行けば、給料もなかなかいいらしい。しかしそこでの業務は、端的に行って人殺しである。本社の言うことを聞かない連中を殺すのが仕事のテロ集団である。また、本社にやたらと噛み付いて、社長交代を求め、新会社を設立しようとする山口や鹿児島、高知の子会社連中もいるし、他の地方子会社も本社につくか、新会社につくか、グループ上げての大混乱にある。主人公たるサラリーマンは、株式会社岩手には恩義があるけれど、はっきり言って妻子も養えないのであれば、どうしようもない。ならばオレは、敢えて人殺しの悪名をかぶろう、グループ会社を守るため、そして愛する家族を養うために!
 ――と、この物語をまとめたら怒る人が多いかもしれない。
 人殺し=テロ、と言ってしまったら、日本の歴史を全否定、あるいは人類の歴史すらも全否定してしまうことにもなるので、かなり抵抗があるのだが、新撰組は、一面では恐怖で治安維持しようとしていたことも事実であろうから、そういう意味ではテロリストと言わざるをえまい。もちろん、それは21世紀の現代にぬくぬくと暮らしている身だから言えることだけど、彼らの死闘があって今の日本があるのもまた事実だろうから、誰が悪いという話ではない。しかし……確実に現代とは全く違う価値観が世を支配していた時代を、現代感覚で断罪することは出来ないが、はっきり言って恐ろしい時代である。
 だが、価値観の違いはあれど、主人公の行動は我々現代人の心に刺さるモノがあるのも事実であろう。間違いなく、会社が傾いても、それでも、なんとか頑張ろうとするのがやっぱり一番正しいと思う。まずは自分にできる全力を尽くすべきだ。かと言って、責任を取るべき役職者連中が全く責任を取らず、リストラで人を減らして生き残ろうとする姿を見れば、もはやこれまで、と思うのも理解できる。まあ、せっかく何とか頑張ろうとする若手の意見も聞かなかったり、責任も取らない役職者が一番悪いし、一方では何も変えようとせず、自らも変わろうとしないまま、そのうち業績も回復するだろ、という絶対に訪れない未来に期待して頭を低くしているだけの現場連中も悪質だ。
 株式会社江戸幕府ホールディングスの代表取締役社長だった徳川慶喜は、最終的には引退する決断を下した。そして山口や鹿児島の子会社が興した株式会社明治政府HDが、(株)江戸幕府HDを吸収合併し、大半の資産と人員を継承したわけだが、京都に本社を置いた株式会社新撰組は、その枠組みから外れ、消滅することとなってしまった。出資していた大株主の株式会社福島が徹底的に新会社につぶされたためだが、手段はテロとはいえ、新撰組という存在は、本気で「何とかしたい」と頑張ろうとした人々の集まりであったことも確かであろう。
 繰り返して言うが、誰が悪いという話ではない。
 これは、そういう時代の端境期、言葉を変えればそれまでの世が崩壊する時にあって、どう本人が「納得」するかという話である。人を殺しまくっていた斎藤一も、自分の「納得」した生き方をしたし、最後まで家族に金を残すことを考えた吉村貫一郎も、自身の「納得」のもとに行動した。結果として、斎藤一は大正の世まで生き残り、吉村貫一郎は江戸幕府とともに殉じたわけだが、斎藤一の言葉を借りると、「最も憎んだ男であり、ただ一人の親友と呼べる男」という間柄であり、それはきっと、二人ともに「納得」が行っていたからこそ、お互いを認め合うことが出来たのだろうと思った。ええと、うまくまとめられないけれど、何が言いたいかというと、わたしはもう、納得のいかないことはしたくないし、納得した道を生きて行きたいですな、ということです。

 というわけで、結論。
 中井貴一氏の演じる吉村貫一郎という男の生き様は、他人から見ると非常に、何なんだコイツ? と思われるものだったのかもしれない。けれど、そこには、明確に「納得」がある。なんというか、信念とか覚悟とか、そういう言葉ではなくて、「納得」という言葉が一番正しく表しているんじゃないかと思う。中井貴一氏の芝居振りも素晴らしく、10年以上ぶりに見る『壬生義士伝』は非常に心に響きました。未見の方はぜひ、ご覧ください。以上。

↓ やっぱりこれ、原作を読まないといけないね……。ちなみに、映画の前にTVドラマにもなっていたそうで、TV版で主人公・吉村貫一郎を演じたのは、ハリウッドスターKEN WATANABEこと渡辺謙さんだそうです。そっちも見たいなあ……。


↑このページのトップヘ