わたしは結構本を読む男の部類に属していると自分でも思うし、周りからも思われている。そんなわたしだが、近年はすっかり電子書籍野郎にトランスフォームしたものの、電子書籍は紙の本より後に発売されることがままあり、そんな時は、軽くチッ、と舌打ちをして、紙の本を買うわけだが、まあ、やっぱり紙の本にも紙の本ならでは、の魅力は当然ありますな。電子書籍最大のメリットは、「本を収納する・保管する・置いておく空間を要しない」ことに尽きると思うが、逆に言うとそれしかない。そして一方紙の本には、電子書籍では味わえない、なんというか、質感? 物体としての存在感? みたいなものがあって、まあやっぱり、ページをめくること自体が楽しく、特に面白い作品を読んでいるときには、ああ、あとこれだけで終わっちゃう……みたいなのもリアルに味わえて、より一層、本を読む楽しみが増す、ような気がする。
 というわけで、おととい買った本をもう読み終わってしまい、読みながら、なんとも終わりまで読むのが惜しいというか、淋しくなっちゃったわたしである。そして、その本とは、これです。
アンマーとぼくら
有川 浩
講談社
2016-07-20

 ご存じ、有川浩先生の最新作『アンマーとぼくら』であります。
 有川先生の作品は、すべて文庫まで待てず、電子まで待てず、出たら即買っているのだが、本作も発売日に神田三省堂本店にて購入した。レジ前ワゴンに陳列されてました。
 有川先生の作品は、いつも、「おてんとうさまに顔向けできないことはしない」という「正直さ」というか「まっとうさ」が根底にあって、登場人物はそういった人なので、読んでいてとても気持ちがいい。真面目に生きることを信条としているわたしには、いつも大変心に響くものがあるわけで、結論から言うと、今回も大変満足、ではある。のだが、今回は……ネタバレは一切しちゃダメ、という気がするので、いつもネタバレ満載の記事を書くわたしとしてはちょっと書きようがなくて困っている。なお、いつもはタイトルに公式Webサイトへのリンクを貼って記事を書いてますが、どうもネタバレの恐れがあるような気がするので、今回はやめておきました。

 今回は、ネタバレなしで言ってもいいかなと思うのは、
 ◆沖縄のお話である。
 ◆30代半ば? の男が、家族を回想するお話である。
 ああ、こりゃイカン。やっぱり何も書けないや。
 なので、わたしとしては、とりあえず、有川先生の作品が好きな人は、今すぐ本屋さんへ行き、本書を買い、むさぼるように読み始めてくれ、としか、もう書けない。帯に書いてあるのだが、有川先生は本作を「現時点での最高傑作です」と堂々と宣言されているわけで、ならば、読まない理由は何一つない、よね。

 なお、本作は、「かりゆし58」というバンドの曲がモチーフとなったそうだが、一つだけ言っておくと、おそらく本書を買うと、その「かりゆし58」なるバンドのチラシが封入されていると思う。だけど、そのチラシを、絶対に読んではダメだ。なぜなら、わたしは、本作のタイトル『アンマーとぼくら』について、
 「アンマーって、なんじゃろか?」
 と思いながら読み始め、ちょっと中断するときに、うっかり、くだんのチラシをしおり代わりに使ってしまったのだが、そこには思いっ切り「アンマー」という沖縄言葉の意味が書いてあったのだ。もう……台無しだよ……と思ったのはわたしだけかもしれないが、これは、作中で意味が分かる時が来るので、正直、その時に知りたかったわ……と強く思ったのであります。もう、マジ勘弁、と思いました。わたしは。なので、封入されている「かりゆし58」のチラシは、見てはいけません。
 なお、これはわたしが興味がないから、というだけの話だと思うけど、ひょっとすると、「かりゆし58」なるバンドを知っている人は、とっくに「アンマー」の意味は知ってるのかもしれないね。まあ、しつこいけれど、本書のタイトルを見て、「?」と思った方は、絶対に「かりゆし58」なるバンドのチラシは読了前には見ることすら避けた方がいいと思います。本作を読み終わった後に、存分にチラシを読んでください。わたしは、全く興味がないので、つい、カッとなって捨てちゃった。八つ当たりしてしまって、ファンのみなさんホントにサーセン。あ、もちろん、インターネッツなる銀河でその言葉の意味を検索してもダメですよ!!
 絶対に、読みながら意味が分かる方が、グッと来ます。これは断言できる。と思う。

  というわけで、今回はわたしにしては全然短いけれど、もうこれ以上は書けないので結論。
 本作『アンマーとぼくら』は、これまでの有川先生の作品とは、ちょっと違う、うまく言えないけど、どこかふわふわした空気感が漂うお話で、わたしは非常に楽しめた。沖縄か……行ったことないんだよな……一度、行っとかないとダメかもな……チャリを輪行して、沖縄を自転車で走るのもアリかもな……なんて思いました。そして、もう老いた母を持つ身としては、やっぱりグッと来るものがありますね。有川先生の作品は、やっぱり発売即購入が正しいと思います。以上。

↓ 沖縄っつーと、わたしが思い出すのは、やっぱりこれっすね。ある意味、『弱虫ペダル』以上の、熱い物語です。ま、今読むと、ちょっといろいろ古いですが、年に1回は読みたくなりますな。最後の『ツール・ド・おきなわ』が超泣ける!!