はあ……やっぱり宝塚歌劇は最高ですなあ……!
日々わたしは年老いた母の介護で心身ともに疲れ果てているわけですが、何度もここで書いている通り、劇場にいる3時間だけは、全てを忘れさせてくれますね。。。その3時間だけが、わたしの生きる糧と言っても大げさではなく、本心からそう思っています。
ありがとう。宝塚歌劇団よ永遠なれ!
「Foever TAKARAZUKA」はホントにいい歌っすね!
というわけで、わたしは昨日の昼すぎ、いつもならすぐに自宅へ帰り、夕食の準備などに忙殺されるわけですが、昨日は日比谷へ寄り道して愛する宝塚歌劇を鑑賞してまいりました。13時半開演、16時半終幕となると、家に帰りつくのがどんなに早くても17時半。劇場を出るのに手間取ると、∔20分、てことは、最悪でも18時には家に着くので、ギリギリ母の介護に間に合う、というわけで、母が重度の要介護になってから初めて、平日午後の回を選びました。
去年は、どういうわけかとても良い席ばかり当選していたけれど、今年に入ってから花組も月組も全敗、月組はかろうじてヅカ友の美しき淑女からチケットを譲ってもらい、観ることが出来たけれど、花組は結局観ることが叶わず、でありました。
そして今回は、宙組、であります。さらに演目は、2006年に同じく宙組で初演された『NEVER SAY GOODBY』であります。恐らく、この演目が再演されるというニュースが発表されたとき、わたしを含めヅカ愛好家の9割ぐらいの方々は、えっ!? てことは現在の宙組TOPスター、真風涼帆さんは退団の時が来たのか!? とビビったことでしょう。何しろ、2006年の初演は、伝説的TOPコンビ和央ようかさんと花總まりさんの退団公演であり、さらに真風さんの初舞台の作品なわけで、わたしはもう完全にフラグじゃん、と思いました。
が、しかし、そんなわたしの浅はかな思い込みは完全に否定され、真風さんの卒業はもうチョイ先になったようで、よかったよかった、となりました。
わたしが宝塚歌劇を初めて生で観たのは、2010年3月の東京での星組公演であり、期で言うと96期と同期で今年で研13となったわけですが、あの当時の真風さんは星組生であり、わたしはもう13年、真風さんを見守ってきたわけで、まあ、完全に親戚のおじさん目線なわけです。が、逆に言うと(?)2006年の初演は生で観ていません。一応、和央さんと花さまのサヨナラショー付きの東京大千穐楽の公演をスカステで観ていますが、スカステで観た今回の「ネバセイ」は、「結構歌率の高い作品だなあ~」とか「カチャさん、ちぎちゃん、若いなあ~」とか、そんな印象しか残ってませんでした。
なので、今回わたしは、それほど超絶対観たい!というテンションではなく、いつもの宙組公演を観に行くのと変わらない気持ちで日比谷に向かったのであります。
ですが……観終わった今、申し上げたいことはただ一つです。
超最高!!! でありました!! なんかちょっぴり泣けたぐらい最高だったっすねえ! やっぱり小池先生の描く「ヒーロー像(?)」のようなものは、グッとくるっすなあ! 音楽も良かったし、いやー、本当に素晴らしい公演でありました!
というわけで、今回、宝塚友の会がわたしにあてがってくれたチケットは、超久しぶりの2階席でありました。先日、東京宝塚劇場は来場者2000万人を達成したそうで、その記念?なのか、今年はチケットのデザインが写真入りになりました。でもこのチケット、とってもいいデザインなんだけど、ほっとくと印字が消えてなくなっちゃうんだよな。。。どう保存すれば消えないんだろうか。。。
ま、そんなことはどうでもよく、「ネバセイ」であります。
さてと。
まず、お話ですが、本作は約85年(!)ほど前のスペイン内戦を舞台として、一組の男女の愛の軌跡が描かれるものであります。まあ、物語をよりきちんと理解するためには、一応スペイン内戦とスペインの歴史のことも知っておいた方がいいような気はしました。ちゃんとわかってるかな? 今のスペインって、「王国」でしょ? つまり王様がいるわけだけど、その体制になってから(戻ってから、というべきか)まだ50年ぐらいしか経ってないんだよね。つまり、本作で描かれた、王様不在の「スペイン第二共和政」ってものを分かってた方がいいのでは、と思ったわけです。あと、本編でチラッと触れられる「ゲルニカ空爆」は人類なら絶対に知っておくべき歴史的事件だろうと思います。わたしは、パリ万博に出展されたピカソの「ゲルニカ」の時代背景を勉強した時に、スペイン内戦についていろいろ調べたことがあったので、結構すんなり背景については理解したつもりです。
まあ、このスペイン内戦というものは、おっそろしく複雑な勢力争いなんだけど、その歴史についてはWikiに任せるとして、わたしが非常に興味深いと思ったのは、スペイン内戦の主役? と言ったら変か、なんて言えばいいんだろう、勝った側、と言えばいいのかな、つまり本作には、その後長期にわたって独裁を敷いたフランコ側のキャラは一切出て来ないのです。本作では、「反乱軍」とか「ファシスト」としか言及されず、姿は一切現さない。この点は、ある意味小池修一郎先生の天才的な取捨選択だと思いました。
ちなみに、スペイン内戦は、ノーベル賞作家のヘミングウェイや写真家のロバート・キャパが参加していることでも有名ですが、本作の主人公は、キャパの友人でスペイン内戦で亡くなったゲルダ・タローをモデルにしているように思います。だけど、小池先生は、ある意味かなりドラマチック?なスペイン内戦という歴史的事件を、一つの舞台装置としてしか見做しておらず、あくまでも、「ある愛の軌跡」を追うことに集中しているのが凄いというか、さすがというか、わたしはかなり感動しました。小池先生のクリエイティブ能力に。
そういう意味では、スペイン内戦なんて知らねーよ、でいいのかもしれません。けど、やっぱり、知ってた方が面白さが増すと思うので、長々と書いてみましたが、わたしが言いたいことは、小池先生はやっぱりすげえ、の一言に尽きます。
ので、さっさと各キャラ紹介と演じたジェンヌをまとめてまいりましょう。2階席からはこう見えます。双眼鏡必須です。
◆ジョルジュ:主人公。そもそもはユダヤ系ポーランド人で、本名もスラヴ系な感じだけど、母国の騒乱を逃れてパリにたどり着き「ジョルジュ」と名乗っている。自らを「デラシネ(根無し草)」と呼ぶ、心さすらう写真家。ハリウッドで出会ったキャサリンと、バルセロナで再会し、(ルキーニ風に言うと)「愛が芽生えた、のだ!」 演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さん。まさに円熟期、ですねえ。そもそも曲が素晴らしくイイこともあるけど、真風さんのパフォーマンスも極めて見事で、わたしとしては『アナスタシア』の時よりもさらに磨きがかかった、真風さんのベスト作なのではなかろうかと思いました。いやー、本当にカッコ良かった! 6月のコンサートも楽しみっすね!
◆キャサリン:ハリウッドの脚本家、だが、ハリウッド的商業主義に嫌気を感じていて、共産主義的思想に傾く(※本人はコミュニストではない、と明確に言っているけど、まあ、歴史的にこの後ハリウッドに吹き荒れる赤狩りには確実に引っかかる言動だろうと思います)。真実を写す、というジョルジョにFall in Love。演じたのは、当然宙組TOP娘役の潤花ちゃん。もう、本当にグレイト!な演技、歌唱ぶりで、わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。潤花ちゃんは前回も書きましたが、とにかく輝いていて、いつもわたし、この娘は強ぇえなあ……!と感じます。美人というか、凄い整ってるよね。今回も素晴らしいパフォーマンスでした。思うに、この役は、前宙組TOP娘役の星風まどかちゃんよりも、潤花ちゃんの方が似合ってると思いますね。もちろんアナスタシアはまどかちゃんの方が似合うと思うし、もう完璧なアナスタシアだったと思いますが、今回のキャサリンは、完璧に潤花ちゃんのための役、とすら思いました。パーフェクトだったと思います!
◆ヴィセント:闘牛士。ハリウッドに招かれた際、ジョルジュやキャサリンと知り合い、バルセロナで再会。ファシズムに対抗すべく、故郷バルセロナを守るために闘牛士をやめ、銃を手に取る熱いハートを持ったファイター。彼は、純粋に故郷を守るために戦うわけで、ファシズムや共産勢力のような政治的な背景は全くない。そこがミソで、陣営としてはソヴィエトが裏にいる反ファシスト陣営なわけで、反ファシストの連中も全然一枚岩ではなく、極めて複雑な状況での戦いを強いられる。仲間割れを「やめろ!!」と止めるシーンは本当にカッコ良かったし、そこからの「ひとつの心に……固く~結ばれ~」と真風さんが「One Heart」を歌いだすところなんて、もうゾクゾクしたっすね!! というわけで、ヴィセントを演じたのは宙組正式2番手の芹香斗亜さん。実にカッコ良く見事なヴィセントでした。まあ恐らくは、今年中にTOP就任するのではないかと誰しもが思っていることでしょう。わたしもキキちゃんが大羽根を背負って大階段を下りてくるところを楽しみにしております。実のところ、わたしは星組時代のキキちゃんははほぼ意識してなかったですが、妙に地味だった花組時代とはうって変わって、今はもう、いつTOPになっても大丈夫なキラキラオーラが漂ってますね!
◆アギラール:スペインの統一社会党(PSUC])の宣伝部長。本作での悪い人。その造形は、なんだかスカピンで言うところのショーヴラン氏的キャラでした。でも、わたしはショーヴ氏は純粋に自分の信念に基づいて行動していただけだと思っており、全然悪い奴だと思ってませんが、このアギラールは、若干自分の信念よりもキャサリンをモノにしたい的な感じを受けたっす。いつも怒ってる様は非常にショーヴ氏っぽさがあって、演じた桜木みなとくんはとても素晴らしかったと思います。かつての桜木くんは、ちょっとかわいい系の弟キャラ的な感じが強かったような気がしますが、『オーシャンズ11』のベネディクトあたりからかなあ、非常にアクの強い役を演じられるようになったすね。歌も公演ごとにうまくなっているし、こりゃあ、キキちゃんがTOPに立ったら、ずんちゃんが2番手は間違いないな、と思わせる見事なパフォーマンスでした。
◆エレン:ハリウッド女優。自分ではジョルジュはわたしの彼氏、と思っているみたいだけど、残念ながらそうじゃない。典型的なアメリカ人。ただ、典型的というのは悪い意味ではなく、あの時代のアメリカ人女性なら当たり前の女性像であり、悪い人では決してないし、頭が悪いわけでもない、常識的な人だと思う。演じたのは100期生の天彩峰里ちゃん。星組から宙組に移ってもう4年も経つのか。もう何度もヒロインを演じているし、エトワールも今回含めて3回?かな?務めている通り、歌ウマでもあるじゅりちゃん。TOP娘への道のりはもうかなり難しくなってしまったように思えるけれど、技のジェンヌとして、欠かせない存在でしょう。今回もとても素晴らしかったです。
◆そのほかのキャラ:わたしとしては、宙組観劇の際は、まず、ずっと星組生だった紫藤りゅうくんと、鷹翔千空くんの二人は必ずチェックするっすね。今回は二人とも、外国人として内戦に参加したアスリートの役でした。わたしは星組イチオシなので、しどりゅうくんは元気にしてるかな、と常に気になるし、こってぃくんは、「アクアヴィーテ」の時、わたしの横に来て乾杯!してくれて以来、ずっと見守っております。ああ、そういや、はやくまた客席降りの演出が復活してほしいすねえ。封印されてもう2年以上経つんだなあ。。。たぶんわたしが最後に体験した客席降りがまさしく「アクアヴィーテ」じゃないかしら。。。
てな感じで、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
「キスしてくれたら、返してあげよう」
「ダメよ、愛していないもの」
「どうしたら愛される?」
「そうね、わたしに人生の真実を教えてくれたなら」
「それは……まだ当分先になりそうだ」
このやりとりは、序盤のジョルジュとキャサリンがハリウッドで交わすセリフですが、まあいわゆる伏線めいて、最後に見事回収されるわけですな。カッコ良かったすねえ! まだ当分先と言っていたジョルジュ。二人にはマジで幸せになってほしかったよ。。。泣ける。。。マジ最高の物語だったすね!
というわけで、結論。
わたしにとって今年2回目の宝塚歌劇鑑賞は、宙組の伝説的演目『NEVER SAY GOODBY』でありました。サブタイトルにある通り、「ある愛の軌跡」を描いた本作は、実にカッコ良くて泣ける、小池先生の天才的脚本&天才的作詞と、そして忘れてならない、音楽を担当したフランク・ワイルドホーン氏の素晴らしい楽曲に彩られた大傑作でありました。つうか、小池先生のオリジナル作品をまた味わいたいっすね。できればコメディではなく、本作のような感動的な、英雄譚でお願いしたいす。しかし、どう考えてもゆりかちゃんは卒業の時が近づきつつあるわけで、10年以上見守ってきたわたしとしては、淋しい気持ちの方が大きいわけですが、本作は間違いなく、真風涼帆というスターの代表作になることでしょう。また、恐らくはその次にTOPスターとなるであろう、キキちゃんはもうスタンバイOKなのも間違いないし、続く桜木くんも、グイグイと実力を伸ばしており、今の宙組は実に充実しているように見えました、星組イチオシとしては、月組や宙組に比べるとちょっとねえ……若干将来が心配なのは否めないように思うっす。潤花ちゃんも作品を重ねるごとにグングンとオーラが増しているし、まだまだ舞台上で輝いてほしいっすね。ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。
↓ 翌日にまた、スカステで録画した初演版を観たんすけど、やっぱり和央さん&花さまVerも素晴らしいっすね! しかし、たった16年前なのに、なんか古さを感じるのは髪型とかメイクに由来するもんなんだろうか? 衣装はほぼ同じ感じで、衣装よりもやっぱり髪型とメイク、なのかなあ??
日々わたしは年老いた母の介護で心身ともに疲れ果てているわけですが、何度もここで書いている通り、劇場にいる3時間だけは、全てを忘れさせてくれますね。。。その3時間だけが、わたしの生きる糧と言っても大げさではなく、本心からそう思っています。
ありがとう。宝塚歌劇団よ永遠なれ!
「Foever TAKARAZUKA」はホントにいい歌っすね!
というわけで、わたしは昨日の昼すぎ、いつもならすぐに自宅へ帰り、夕食の準備などに忙殺されるわけですが、昨日は日比谷へ寄り道して愛する宝塚歌劇を鑑賞してまいりました。13時半開演、16時半終幕となると、家に帰りつくのがどんなに早くても17時半。劇場を出るのに手間取ると、∔20分、てことは、最悪でも18時には家に着くので、ギリギリ母の介護に間に合う、というわけで、母が重度の要介護になってから初めて、平日午後の回を選びました。
去年は、どういうわけかとても良い席ばかり当選していたけれど、今年に入ってから花組も月組も全敗、月組はかろうじてヅカ友の美しき淑女からチケットを譲ってもらい、観ることが出来たけれど、花組は結局観ることが叶わず、でありました。
そして今回は、宙組、であります。さらに演目は、2006年に同じく宙組で初演された『NEVER SAY GOODBY』であります。恐らく、この演目が再演されるというニュースが発表されたとき、わたしを含めヅカ愛好家の9割ぐらいの方々は、えっ!? てことは現在の宙組TOPスター、真風涼帆さんは退団の時が来たのか!? とビビったことでしょう。何しろ、2006年の初演は、伝説的TOPコンビ和央ようかさんと花總まりさんの退団公演であり、さらに真風さんの初舞台の作品なわけで、わたしはもう完全にフラグじゃん、と思いました。
が、しかし、そんなわたしの浅はかな思い込みは完全に否定され、真風さんの卒業はもうチョイ先になったようで、よかったよかった、となりました。
わたしが宝塚歌劇を初めて生で観たのは、2010年3月の東京での星組公演であり、期で言うと96期と同期で今年で研13となったわけですが、あの当時の真風さんは星組生であり、わたしはもう13年、真風さんを見守ってきたわけで、まあ、完全に親戚のおじさん目線なわけです。が、逆に言うと(?)2006年の初演は生で観ていません。一応、和央さんと花さまのサヨナラショー付きの東京大千穐楽の公演をスカステで観ていますが、スカステで観た今回の「ネバセイ」は、「結構歌率の高い作品だなあ~」とか「カチャさん、ちぎちゃん、若いなあ~」とか、そんな印象しか残ってませんでした。
なので、今回わたしは、それほど超絶対観たい!というテンションではなく、いつもの宙組公演を観に行くのと変わらない気持ちで日比谷に向かったのであります。
ですが……観終わった今、申し上げたいことはただ一つです。
超最高!!! でありました!! なんかちょっぴり泣けたぐらい最高だったっすねえ! やっぱり小池先生の描く「ヒーロー像(?)」のようなものは、グッとくるっすなあ! 音楽も良かったし、いやー、本当に素晴らしい公演でありました!
というわけで、今回、宝塚友の会がわたしにあてがってくれたチケットは、超久しぶりの2階席でありました。先日、東京宝塚劇場は来場者2000万人を達成したそうで、その記念?なのか、今年はチケットのデザインが写真入りになりました。でもこのチケット、とってもいいデザインなんだけど、ほっとくと印字が消えてなくなっちゃうんだよな。。。どう保存すれば消えないんだろうか。。。
ま、そんなことはどうでもよく、「ネバセイ」であります。
さてと。
まず、お話ですが、本作は約85年(!)ほど前のスペイン内戦を舞台として、一組の男女の愛の軌跡が描かれるものであります。まあ、物語をよりきちんと理解するためには、一応スペイン内戦とスペインの歴史のことも知っておいた方がいいような気はしました。ちゃんとわかってるかな? 今のスペインって、「王国」でしょ? つまり王様がいるわけだけど、その体制になってから(戻ってから、というべきか)まだ50年ぐらいしか経ってないんだよね。つまり、本作で描かれた、王様不在の「スペイン第二共和政」ってものを分かってた方がいいのでは、と思ったわけです。あと、本編でチラッと触れられる「ゲルニカ空爆」は人類なら絶対に知っておくべき歴史的事件だろうと思います。わたしは、パリ万博に出展されたピカソの「ゲルニカ」の時代背景を勉強した時に、スペイン内戦についていろいろ調べたことがあったので、結構すんなり背景については理解したつもりです。
まあ、このスペイン内戦というものは、おっそろしく複雑な勢力争いなんだけど、その歴史についてはWikiに任せるとして、わたしが非常に興味深いと思ったのは、スペイン内戦の主役? と言ったら変か、なんて言えばいいんだろう、勝った側、と言えばいいのかな、つまり本作には、その後長期にわたって独裁を敷いたフランコ側のキャラは一切出て来ないのです。本作では、「反乱軍」とか「ファシスト」としか言及されず、姿は一切現さない。この点は、ある意味小池修一郎先生の天才的な取捨選択だと思いました。
ちなみに、スペイン内戦は、ノーベル賞作家のヘミングウェイや写真家のロバート・キャパが参加していることでも有名ですが、本作の主人公は、キャパの友人でスペイン内戦で亡くなったゲルダ・タローをモデルにしているように思います。だけど、小池先生は、ある意味かなりドラマチック?なスペイン内戦という歴史的事件を、一つの舞台装置としてしか見做しておらず、あくまでも、「ある愛の軌跡」を追うことに集中しているのが凄いというか、さすがというか、わたしはかなり感動しました。小池先生のクリエイティブ能力に。
そういう意味では、スペイン内戦なんて知らねーよ、でいいのかもしれません。けど、やっぱり、知ってた方が面白さが増すと思うので、長々と書いてみましたが、わたしが言いたいことは、小池先生はやっぱりすげえ、の一言に尽きます。
ので、さっさと各キャラ紹介と演じたジェンヌをまとめてまいりましょう。2階席からはこう見えます。双眼鏡必須です。
◆ジョルジュ:主人公。そもそもはユダヤ系ポーランド人で、本名もスラヴ系な感じだけど、母国の騒乱を逃れてパリにたどり着き「ジョルジュ」と名乗っている。自らを「デラシネ(根無し草)」と呼ぶ、心さすらう写真家。ハリウッドで出会ったキャサリンと、バルセロナで再会し、(ルキーニ風に言うと)「愛が芽生えた、のだ!」 演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さん。まさに円熟期、ですねえ。そもそも曲が素晴らしくイイこともあるけど、真風さんのパフォーマンスも極めて見事で、わたしとしては『アナスタシア』の時よりもさらに磨きがかかった、真風さんのベスト作なのではなかろうかと思いました。いやー、本当にカッコ良かった! 6月のコンサートも楽しみっすね!
◆キャサリン:ハリウッドの脚本家、だが、ハリウッド的商業主義に嫌気を感じていて、共産主義的思想に傾く(※本人はコミュニストではない、と明確に言っているけど、まあ、歴史的にこの後ハリウッドに吹き荒れる赤狩りには確実に引っかかる言動だろうと思います)。真実を写す、というジョルジョにFall in Love。演じたのは、当然宙組TOP娘役の潤花ちゃん。もう、本当にグレイト!な演技、歌唱ぶりで、わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。潤花ちゃんは前回も書きましたが、とにかく輝いていて、いつもわたし、この娘は強ぇえなあ……!と感じます。美人というか、凄い整ってるよね。今回も素晴らしいパフォーマンスでした。思うに、この役は、前宙組TOP娘役の星風まどかちゃんよりも、潤花ちゃんの方が似合ってると思いますね。もちろんアナスタシアはまどかちゃんの方が似合うと思うし、もう完璧なアナスタシアだったと思いますが、今回のキャサリンは、完璧に潤花ちゃんのための役、とすら思いました。パーフェクトだったと思います!
◆ヴィセント:闘牛士。ハリウッドに招かれた際、ジョルジュやキャサリンと知り合い、バルセロナで再会。ファシズムに対抗すべく、故郷バルセロナを守るために闘牛士をやめ、銃を手に取る熱いハートを持ったファイター。彼は、純粋に故郷を守るために戦うわけで、ファシズムや共産勢力のような政治的な背景は全くない。そこがミソで、陣営としてはソヴィエトが裏にいる反ファシスト陣営なわけで、反ファシストの連中も全然一枚岩ではなく、極めて複雑な状況での戦いを強いられる。仲間割れを「やめろ!!」と止めるシーンは本当にカッコ良かったし、そこからの「ひとつの心に……固く~結ばれ~」と真風さんが「One Heart」を歌いだすところなんて、もうゾクゾクしたっすね!! というわけで、ヴィセントを演じたのは宙組正式2番手の芹香斗亜さん。実にカッコ良く見事なヴィセントでした。まあ恐らくは、今年中にTOP就任するのではないかと誰しもが思っていることでしょう。わたしもキキちゃんが大羽根を背負って大階段を下りてくるところを楽しみにしております。実のところ、わたしは星組時代のキキちゃんははほぼ意識してなかったですが、妙に地味だった花組時代とはうって変わって、今はもう、いつTOPになっても大丈夫なキラキラオーラが漂ってますね!
◆アギラール:スペインの統一社会党(PSUC])の宣伝部長。本作での悪い人。その造形は、なんだかスカピンで言うところのショーヴラン氏的キャラでした。でも、わたしはショーヴ氏は純粋に自分の信念に基づいて行動していただけだと思っており、全然悪い奴だと思ってませんが、このアギラールは、若干自分の信念よりもキャサリンをモノにしたい的な感じを受けたっす。いつも怒ってる様は非常にショーヴ氏っぽさがあって、演じた桜木みなとくんはとても素晴らしかったと思います。かつての桜木くんは、ちょっとかわいい系の弟キャラ的な感じが強かったような気がしますが、『オーシャンズ11』のベネディクトあたりからかなあ、非常にアクの強い役を演じられるようになったすね。歌も公演ごとにうまくなっているし、こりゃあ、キキちゃんがTOPに立ったら、ずんちゃんが2番手は間違いないな、と思わせる見事なパフォーマンスでした。
◆エレン:ハリウッド女優。自分ではジョルジュはわたしの彼氏、と思っているみたいだけど、残念ながらそうじゃない。典型的なアメリカ人。ただ、典型的というのは悪い意味ではなく、あの時代のアメリカ人女性なら当たり前の女性像であり、悪い人では決してないし、頭が悪いわけでもない、常識的な人だと思う。演じたのは100期生の天彩峰里ちゃん。星組から宙組に移ってもう4年も経つのか。もう何度もヒロインを演じているし、エトワールも今回含めて3回?かな?務めている通り、歌ウマでもあるじゅりちゃん。TOP娘への道のりはもうかなり難しくなってしまったように思えるけれど、技のジェンヌとして、欠かせない存在でしょう。今回もとても素晴らしかったです。
◆そのほかのキャラ:わたしとしては、宙組観劇の際は、まず、ずっと星組生だった紫藤りゅうくんと、鷹翔千空くんの二人は必ずチェックするっすね。今回は二人とも、外国人として内戦に参加したアスリートの役でした。わたしは星組イチオシなので、しどりゅうくんは元気にしてるかな、と常に気になるし、こってぃくんは、「アクアヴィーテ」の時、わたしの横に来て乾杯!してくれて以来、ずっと見守っております。ああ、そういや、はやくまた客席降りの演出が復活してほしいすねえ。封印されてもう2年以上経つんだなあ。。。たぶんわたしが最後に体験した客席降りがまさしく「アクアヴィーテ」じゃないかしら。。。
てな感じで、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
「キスしてくれたら、返してあげよう」
「ダメよ、愛していないもの」
「どうしたら愛される?」
「そうね、わたしに人生の真実を教えてくれたなら」
「それは……まだ当分先になりそうだ」
このやりとりは、序盤のジョルジュとキャサリンがハリウッドで交わすセリフですが、まあいわゆる伏線めいて、最後に見事回収されるわけですな。カッコ良かったすねえ! まだ当分先と言っていたジョルジュ。二人にはマジで幸せになってほしかったよ。。。泣ける。。。マジ最高の物語だったすね!
というわけで、結論。
わたしにとって今年2回目の宝塚歌劇鑑賞は、宙組の伝説的演目『NEVER SAY GOODBY』でありました。サブタイトルにある通り、「ある愛の軌跡」を描いた本作は、実にカッコ良くて泣ける、小池先生の天才的脚本&天才的作詞と、そして忘れてならない、音楽を担当したフランク・ワイルドホーン氏の素晴らしい楽曲に彩られた大傑作でありました。つうか、小池先生のオリジナル作品をまた味わいたいっすね。できればコメディではなく、本作のような感動的な、英雄譚でお願いしたいす。しかし、どう考えてもゆりかちゃんは卒業の時が近づきつつあるわけで、10年以上見守ってきたわたしとしては、淋しい気持ちの方が大きいわけですが、本作は間違いなく、真風涼帆というスターの代表作になることでしょう。また、恐らくはその次にTOPスターとなるであろう、キキちゃんはもうスタンバイOKなのも間違いないし、続く桜木くんも、グイグイと実力を伸ばしており、今の宙組は実に充実しているように見えました、星組イチオシとしては、月組や宙組に比べるとちょっとねえ……若干将来が心配なのは否めないように思うっす。潤花ちゃんも作品を重ねるごとにグングンとオーラが増しているし、まだまだ舞台上で輝いてほしいっすね。ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。
↓ 翌日にまた、スカステで録画した初演版を観たんすけど、やっぱり和央さん&花さまVerも素晴らしいっすね! しかし、たった16年前なのに、なんか古さを感じるのは髪型とかメイクに由来するもんなんだろうか? 衣装はほぼ同じ感じで、衣装よりもやっぱり髪型とメイク、なのかなあ??