いやあ……なんつうかほんと、最高だったす。マジでもう、感無量っすわ……。。。
何のことかって?
実はわたし、昨日、ド平日に休みを取り、宝塚大劇場へ遠征し、現在絶賛上演中の星組公演『ロミオとジュリエット』を観てきたのですが、その感想であります。
もうホント、書いておきたいことがいっぱいあるんすけど……話し始めたらおそらく360分ぐらいしゃべり続ける自信はあるのですが……とにかく、なにゆえわたしがここまで胸にジーンと来ているか、について、ご説明いたしたく存じます。まず、そもそもの感想の前に、3つのオレ的胸熱ポイントを順番にご説明いたしましょう。
【1.おれのこっちんがとうとうTOPスターに!】
何度もこのBlogに書いていますが、わたしはれっきとしたおっさんであるにもかかわらず、2010年の年初に初めて宝塚歌劇を生で体験して以来、その時の公演は星組だったんすけど、当時の星組TOPスター柚希礼音さん(以下:ちえちゃん)のあまりのカッコ良さに一発KOされ、以来、ヅカ道を歩んでいるわけです。なので、今年でもうヅカ歴12年、ヅカ用語でいうところの研12でなのであります。
そんなわたしが、2015年からファンクラブに入り、応援してきたのが、今回の主役であり現・星組TOPスター、礼真琴さん(以下:こっちん)なわけですが、こっちんはわたしがファンクラブに入った時は、まだ若手の一人で、序列としては4番目、ぐらいだったと思います。そのこっちんが、2019年の末についに星組TOPスターへ登極し、去年、こっちんのTOPお披露目公演がついに始まった! というタイミングで、世はCOVID-19に包まれたのでした。
その結果、わたしが行くはずだった公演の数日前に公演中止が発表され、チケットは無効になり、さらに東京公演も同じくアウト、さらに夏に再開して発売された東京公演のチケットも、超不運なことにわたしが行く予定だった回は全部、急遽休演となってしまい、大切なお披露目公演を生で観られなかったのでした。
ヅカファンにとって、自分の贔屓のスターがTOPスターに君臨するその日が来るのが最大の喜びなわけですが、わたしはそのお披露目公演を生で見ることができなかったわけで、マジであの時は、世界の! 全てが~! 闇に沈んだ~!! かの如く、深い絶望に打ちひしがれたわけです。が、そんなわたしの絶望なんぞは、こっちんをはじめとする実際の演者やスタッフ関係者の皆様の無念に比べたらゴミのようなものであるのも間違いないので、わたしとしては、次は絶対に! そう、絶対に! オレは観に行くんだ! と思っていたのです。なので、その想いが約1年越しに叶い、わたしは本当に本当に嬉しく、感無量なわけであります。
いやあ、マジ最高だったすねえ!!! ラスト、大羽根を背負って歌いパレードするこっちんの姿に、お父さんレベルの年齢の男としてはホンットにグッと来たっすわ。お恥ずかしながら、ちょっぴり泣いちゃったっす。
【2.オイイッ!しかも演目はあの!】
で、さらにわたしを感激させてくれるのが、今回の演目が『ロミオとジュリエット』であるという奇跡ですよ! この『ロミオとジュリエット』という演目は、2010年に星組で初演がなされ、その後2011年に雪組、2012年に月組、さらに2013年には再び星組で上演された作品なのですが、わたしには深い思い入れがある作品なのでした。
わたしは、冒頭に書いた通り2010年の初めにヅカ道に入門し、まずはちえちゃんにぞっこんLOVEとなったのですが、さんざん周りの人々に、柚希礼音さんは超最高だぜ、と言いふらしていたんすけど、わたしをヅカ道に導いてくださったお姉さまが、2010年の初演『ロミジュリ』に誘ってくれたのに、わたし、断っちゃった過去があるのです。というのも、お姉さまが観に行くのは博多だったので、まだ入門したてのわたしにはちょっとハードルが高かったんだよな……当時のわたしをぶん殴ってやりたいす。ホントにアホだった。。。
とはいえ、わたしはその後でお姉さまが貸してくれたDVDで初演版をすぐに観ていて、その時わたしは初めて、礼真琴さんという才能を知ったのです。ただしその時のわたしは、「愛」を演じた娘、可愛いっすねえ~! とかのんきな感想を述べ、お姉さまから「あの娘は普段は男役よ。わたしも今回初めて彼女を意識したけれど、本物ね。おそらく、今後ものすごく目立つようになるわ」とか評論をいただいていたのでした。これはマジです。この会話、いまだに覚えてるっす。
そしてわたしはこの後に、2011年の雪組版は劇場へ観に行ったし(なんと震災の翌々日の3/13(日)に日比谷へ観に行ったことでも忘れられない公演だった)、2012年の月組版は都合がつかず見逃してしまったけれど、2013年の星組版はちゃんと観に行き、ライブCDも買って、以来もう7年近く、そのCDを車で飽きることなく聞きまくっているのでした。
その結果、ほぼすべての歌の歌詞もセリフも記憶してしまっているほど、『ロミオとジュリエット』という作品には思い入れがあって、大好きな作品なのであります。とにかくですね、歌が素晴らしくイイんすよ! すべての歌が! そしてこっちんにとっても、2013年の再演『ロミジュリ』は初めての新人公演主演を務めた作品であって、わたしにとってもこっちんにとっても、大変思い入れがあるわけなのです。その『ロミジュリ』をTOPスターとなった今のこっちんで上演してくれるなんて! と、わたしとしてはもう、それだけで胸熱なわけであります。
なお、当然コイツは即買いました!
なので、今回は役替わりや新人公演含め過去の全9パターン全て観て予習してから大劇場へ向かった次第であります。ずっと観たかった新人公演のこっちんVerも、珠城りょうさんVerもマジ最高だったす! このスペシャルBOXはマジで買いだと存じます。
【3.ありがとう友会! 最高の席を用意してくれた友会に乾杯ッッ!】
最後の3つ目のポイントはですね……わたしは何度もこのBlogで書いている通り、チケットはほぼすべて、「宝塚友の会(以下:友会)」会員限定の先行抽選販売に申込んで購入しているのですが、当然、必ず買えるわけでは決してなく、周りでも全然当たらない、という声はよく耳にしますが、どういうわけかわたしは、雪組と花組以外はほぼ毎回ちゃんと買えています(※雪組はとにかく当たる方が珍しく、花組もみりおさんのラスト2作は全くダメだった)。
で、当然今回の『ロミジュリ』は、東京に住まうわたしであっても、(前記2つのポイント的にも)宝塚大劇場へ遠征すべき作品でありますので、わたしも申し込んだのですが……友会の先行申込みは2段階ありまして、最初はSS席と千穐楽のみの受付、そして2回目が千穐楽以外でSS以外の席全て、みたいな感じで、要するに抽選に申込むチャンスが2回あるわけなんですが、東京ではまずSS席は取れない、つうか当たったことがないんすけど、今回はなんと! 最初の申込みでSS席が当たっちゃったのです。まあ、それだけでもやったぜ!!と小躍りするぐらい嬉しいんすけど、よく見たらなんと超いい席じゃあないですか!!
奇跡の3列目のほぼド・センターですよ!!! いやあ、ホントに興奮したっすねえ! ド平日だろうと、オレは行くぜ! と決意し、そして実際にこの席で観てきた今、ホントに興奮収まらずなわたしなのであります! 東京の最前列は1度だけ経験があるんすけど、その時は上手側の若干サイドだったので、こんなド真ん中の席はやっぱり違いましたねえ! おまけに、最前列は感染防止の観点からそもそも販売してないし、あろうことか、当日びっくりしたんすけど、なんと2列目のわたしの前の席が空席のままで、結果、事実上最前列! しかもド真ん中! という幸運に恵まれたのでした。オペラグラスなしで、いつもオペラで覗いている以上の大きさで観られる神席をわたしにあてがってくれた友会の神様、本当にありがとう!! ほぼすべてのメインキャストの皆さんと目が合い、大興奮でありました。
全然関係ないですが、去年だっけ?から始まった、上の画像に貼った「入場ゲートで当日発行されるチケット」はデザインも良くてカッコいいすよね! 今まではいつも劇場の自動発券機で発券してたけど、もうこの当日発行チケの方がカッコイイので、事前発行はやめようと思います。
はあはあ。。。興奮は以上にして、それでは以下、登場人物ごとに思ったことをメモしてまいりたいと思います。が、ここまで興奮しといて何なんですが、おっさんたるわたしが冷静に振り返ってしまうと、いろいろ物語的にはツッコミどころが多いし、さらに、今回のこっちん版は最高だったと思っている一方で、比べてはイカンと思いつつも、どうしてもわたし的には歴代最強最高なのは2013年の星組再演版だという結論になってしまったので、辛口なことも書いてしまうかもしれず……ですので、そんなことは聞きたくない!という淑女の皆さんはここらで退場してください。
というわけで、やっと本題に入ります。どうでもいい前置きが長くてサーセン。
◆ロミオ:モンタギュー家の跡取り息子。冷静にというか客観的にみると、相当なゆとりあふれる夢見がちな青年。おっさんとしては、もういろいろツッコミたいというか、正座させて説教したい……けど我慢しよう。そして演じたのは何度も言っている通り現在の星組TOPスター礼真琴さん。ズバリ言えば、歌はもう超最高で完璧だし、ダンスのキレも抜群。芝居も当然最高。大興奮したし、素晴らしかったと絶賛したいす。
したいんだけど、うーん……
完全に好みの話ですが、わたしはやっぱり柚希礼音さんの再演ロミオが歴代最高だと言わざるを得ないかもな……と思いました。やはり、なんつうかな、ちえちゃんの芝居は、ロミオに限らずいつもだけど、パワーと全身からダダ洩れるパッション? エネルギーがすさまじいんすよね。これはもう完全にちえちゃんの個性であって、もはや誰にもできないことなので、比較しちゃあいけない、とは思うんだけど、2位は初演ロミオのちえちゃん、そして今回のこっちんロミオは、やっぱり歴代3位かなあ、と思いました。
特に、ティボルトとマキューシオの殺し合いの時に、「やめるんだ二人ともすぐ!殺し合ってなにが残る!やめろおおーーー!!」のあたりとか、こっちんの場合は歌としては、ひょっとしたらちえちゃんより上手くて、超素晴らしいのは間違いないんだけど、芝居としてはやっぱりちえちゃんの方が「もうマジでやめろ! やめてくれよ!!!」という魂がこもってるような気がするんすよね。。。わたしとしては、実はいつも思ってることなんですが、こっちんはもっと、歌はもう最強に上手なんだから、芝居の方により一層エネルギーをかけた方がいいのではないかという気がしてます。たとえばショーブランの時も思ったけれど、歌としてはこっちんの方が上手いかも、だけど、芝居としては、ちえちゃんの方がすさまじいまでのエネルギーの爆発みたいなものがあって、凄い! みたいなことを感じてしまうんすよね。。。たぶん、そのあたりが、何をやっても整ってしまう優等生と言われるこっちんの永遠の課題なのではなかろうか、と感じます。ぶっ壊し、限界突破するような爆発力?みたいなものが備わったらいいのになあ……。なんか、どこかリミッターがかかっているような気がするんすよね。。。でもまあ、今回のこっちんのロミオも間違いなく最高of最高でしたよ。それもウソ偽りなき感想です。
◆ジュリエット:16歳。キャピュレット家のご令嬢。名家とはいえ実は借金まみれで、お金持ちのパリス伯爵と結婚させられそうになっているが、結婚には愛がないとイヤ!と夢見る乙女で、ばあやたる乳母をこき使う、何気に無茶振りの多い突っ走り系お嬢様。まあ、ゆとり恋愛脳と言ったらヒドイですが、まだ16歳の乙女なので、これはもうしょうがないす。今回演じたのは、当然星組TOP娘役の舞空瞳さん(以下:なこちゃん)。そしてなこちゃん演じるジュリエットは、わたし的には歴代最高のジュリエットだったと大絶賛したいと思います。歌、演技、ダンス、すべて見事で、何よりもとにかく、可愛い!!! と思いました。
わたしの眼では、過去のジュリエットの中では、夢咲ねねさんジュリエットはビジュアルが最強に可愛かったと思うし、歌も、たとえば月組新公版の妃咲みゆさんVerあたりがかなり好きだったんすけど、なこちゃんはマジで最高でした。とにかくですね、 まずビジュアルとしては文句の付け所はないですね。仮面舞踏会の時のミニスカ&ブーツの似合うことと言ったら! もう最高じゃないすか! そして芝居で見せる喜怒哀楽それぞれの表情も超イイし、歌も完璧ですよ。3列目で観るなこちゃんの華奢さと顔の小ささも衝撃的でありました。このほっそい体で、この歌の迫力はマジ信じられん! と思ったす。とにかく、歴代最強に可愛いジュリエットだったのは間違いないかと存じます!
◆ティボルト:ジュリエットのいとこで、嫡男のいないキャピュレット家の次期当主。ジュリエットが大好きだけど、ジュリエットの父がジュリエットの嫁ぎ先候補としてパリス伯爵を連れてきたことが不満で、イラついている。わたしが観た回でティボルトを演じたのは、瀬央ゆりあさん(以下:せおっち)。わたし的には、せおっちにはホント星組2番手であってほしいと思うけど、そんなことはともかくとして今回のせおっちティボルトも実に見事でした。かっこいいし、歌も、芝居の表情も、非常に良かったです! ただ、また比較しちゃうのが自分でも嫌なんだけど、あくまでわたしの好みとしては、歴代最高ティボルトはやっぱり2013年版の紅ゆずるさんかな……と思います。ティボルトは、かなりかわいそうな男でもあって、自分の望みがことごとく叶わないことにとても腹を立てているわけですが、紅さんティボルトは、その身に宿す「ちくしょーーー!!!」という怒りが物凄く伝わってくるんすよね。この「ちくしょー!!」があるからこそ、ティボルトから見たら三下のマキューシオごとにきに舐められることが許せないわけだし、ある意味では両家の不仲なんか関係なく、大好きなジュリエットを横取りしたロミオが男として許せないわけで、その「ちくしょーー!!」が重要だとわたしは思うのです。紅さん版は、その、尊大さとちくしょう!という怒りのコントラストが最強に素晴らしかったけど、せおっちティボルトは、あえて言うなら、若干上品だったような印象があります。でも、歌は見事だし、ビジュアルも非常に良かったと思います。
◆マキューシオ:ロミオの親友で舞台となるヴェローナ大公の甥っ子だから、それなりにお坊ちゃん。女たらしで経験豊富(?)。ティボルトを挑発し、止めに入ったロミオの腕のわきから、ティボルトに刺され殉職。わたし的にはティボルトとマキューシオの大げんかシーンが一番の見どころだと思うぐらい、この乱闘場面(のアクション・ダンス・そして歌)が好き。わたしが観た回でマキューシオを演じたのは98期生星組の若手スター天華えまくん(以下:ぴーすけ)。今回のぴーすけくんは、役替わりで「死」も演じてるわけですが、マキューシオ役にも相当な熱が入ってて、星組再演の時の天寿光希さんのように、サイドを刈り上げてラインも入ってる気合の入ったビジュアル表現をなされておりました。が、ごめんよ……わたし的歴代最強マキューシオは、やっぱり2013年版の壱城あずささんか、同率で月組版の美弥るりかさんかな……。とにかく壱城さんと美弥さん版マキューシオは、その狂犬ぶりがすさまじかったんですが、ぴーすけくんにも、もうちょっと狂っててほしかったかも、す。でも最初の「俺を呼んだ? 叔父上?」というセリフは、あれっ!? 今日のマキューシオって誰が演じてるんだっけ? とすぐにぴーすけくんとは分からないぐらい、マキューシオっぽくて良かったです!
◆ベンヴォーリオ:ロミオの親友その2。1幕ではロミオに対して、手がかかるお坊ちゃんだぜ、とマキューシオと一緒になって悪いことをさせようとしたりするが、ティボルトVSマキューシオの大バトルの際にロミオが必死で「誰が誰を好きになってもいいじゃないか!もうケンカするのはやめろ!」と歌うのを聞いて、ハッ!と争いのむなしさに気づき、以降は両家の争いを止めようと頑張る。そしてロレンス神父の秘密作戦を知らぬまま、うっかりジュリエットが死んだと勘違いして、ロミオにその誤報をもたらしてしまう、物語のキーパーソンの一人。追放されたロミオに対して、ジュリエット死すの報をオレはどうやって伝えたらいいんだ!? でも、ロミオにその悲報を伝えられるのはオレしかいない! と決意する歌が最高にカッコいいキャラ。2013年版ではこっちんも演じたことでお馴染み。
つまりベンヴォーリオは1幕と2幕で考えが変わっていくので、芝居として実は一番難しい役なのではないかとわたしは思うのですが、今までの歴代ベンヴォーリオは、1幕の段階から、一番話の分かる真面目青年で、後にキッチリ止めに入る性格になるのだろう、という布石があったような気がするんすけど(この点では月組版の星条海斗さん版が一番分かりやすかったかも)、今回わたしが観た回でベンヴォーリオを演じてくれた綺城ひか理さんは、若干その点が薄かったような気がしました。さらに、せっかくの「どうやって伝えよう」の歌も、わたしにとってはCDで散々聞きまくって頭にこびりついているこっちん版の素晴らしい歌声と比べてしまい……サーセン、東京ではパリス伯爵を演じるのを観たいと思いました。そしてその時ベンヴォーリオを演じるのはせおっちなので、せおっちベンヴォーリオには超期待したいです。
◆乳母:ジュリエットを赤ん坊のころから育てたキャピュレット家の乳母。ジュリエットの幸せを第一に考え、ロミオとのメッセンジャーとしても大活躍する、けど……ロレンス神父とジュリエットの秘密作戦会議の時だけ、残念ながら側におらず、その結果、大誤報をもたらしてしまうことになる物語の重要人物の一人。現実的な思考をする人で、ロミオをあきらめさせようとして「ロミオなんざパリス伯爵に比べたら雑巾ですよ!」と暴言を吐いてジュリエットに「もう一度言ってごらん!!」と怒られちゃうシーンは最高です。今回の乳母を演じたのは星組の娘役では一番わたしが好きな有紗瞳ちゃん(以下:くらっち)。そもそも『ロミジュリ』という作品は、実は役が少なくて、くらっちはいい役もらえるかなあ、とか思ってたところで、乳母役がふられたと知って、すごく嬉しかったすね。非常に存在感があるし、ソロ曲もあるし、おいしい役で、くらっちは見事その期待に応えてくれたと思います。歌が上手いすねえ、やっぱり。もちろん芝居も抜群でありました。わたし的には歴代乳母役として一番憶えてるのが、雪組版の時の沙央くらまさん(以下:コマちゃん)かな。たぶんわたしが初めて観た雪組の公演だったので、当時はコマちゃんのこともよく知らず、あとで男役の人と聞いてすごい驚いた思い出があるっすね。そしてBlu-rayで観た新公での妃海風ちゃんの乳母もとっても良かったす。
◆死:この作品独特の「死」を擬人化した存在で、「死」や「諍い」や「憎しみ」などが漂う場面になるとこのキャラが舞台に現れて、キャラクターに付きまとったりする。セリフは一切なし。過去の歴代「死」は、現在の宙組TOPスター真風涼帆さんや月組TOPスター珠城りょうさん、次期ゆきぐみTOPスターが内定している彩風咲奈さんたちが若手時代に演じているわけですが、今回わたしが観た回で演じたのは星組の公式2番手スター愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)で、ビジュアル的には、ほぼトート様だったすね。そして今まではもうチョイ「いいぞ愚かな人間どもよ、憎しみをぶつけ合うがいい!」的なニヤリとするような表情があったと思うんですが、今回のあいちゃんはほぼ無表情だったような気がします。いや、サーセン、正直に白状すると、ほかのキャラに目が行っていて、ほぼ「死」を見つめなかったので、分からなかっただけかもっす。あいちゃん、サーセンした! 東京ではあいちゃんがティボルトを演じるのを観に行きたいと思います!
◆愛:「死」同様に、「愛」を擬人化した存在。なんでも、フランス版ではこの「愛」は存在しておらず、小池先生が創造した日本オリジナルキャラらしいすね。初演時にこっちんが、入団2年目で抜擢されたことで有名。物語の一番初めに舞台に登場し、美しく滑らかな踊りで超目立つ役でもあります。わたしが観た回で「愛」を演じたのは希沙薫くん。100期生、今年からはもう研7になるのかな? 今まで役が付いたことがあるか、ちょっとわからんですが、今回は抜擢になるんでしょう。今後の活躍を期待したいすね。今回の「愛」は、非常になめらか?というか、柔らかい感じがよかったと思います。
◆パリス伯爵:ジュリエットの嫁ぎ先候補のお金持ち。たぶん、今までだと結構な年上で、ジュリエット目線ではかなりなおっさん、というイメージだったんですが、わたしが観た回で演じた極美慎くんがあまりにイケメンでビビったす。極美くんパリス伯爵なら、お嫁に行ってもよかったんじゃね? と品のないことを思いました笑。 まあ、やっぱり東京では、極美くんがマキューシオを演じるのが観たいですなあ! 極美くんがどんな狂犬ぶりを演じてくれるか、超楽しみっす!
◆その他、名のないキャラたち:もういい加減長いので、最後は名のないキャラについてメモしておこう。前述のように『ロミジュリ』は役が少なくて、ひどい言い方だけど「その他大勢」にまわってしまう演者も多くなってしまうわけですが、わたしの眼には、やっぱり小桜ほのかちゃんと華雪りらちゃんの二人はすごい目立って見えました。二人とも、ロミオ側の「モンタギューの女」だったんすけど、ダンスで魅せてくれましたね。ほのかちゃんは、なんか下級生時代のゆうみちゃんに似てるような気がしますな。大変可愛かったです。そしてこっちんの心の友、同期のひろ香祐くんも、「キャピュレットの男」として、気合のモヒカンで、ダンスシーンや小競り合いの芝居なんかで魅せてくれましたな。3列目だと、こういった名のないキャラたちのちょっとしたお芝居もすごくよく見えるのが感動的だったすね。
とまあ、以上かな。ホントはもっと書いておきたいことがあるんだけど、もう長すぎるので、最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
「ロミオォッ! ジュリエットを愛し抜け! 全ッ身、全霊でな!!!」
これは、瀕死のマキューシオがロミオに抱かれていうセリフなんですが、おめえはなんて不器用でバカなんだ、だけど、それを貫くんだぞ!! という、いわば遺言でもあります。このセリフがわたし的には一番グッとくるんすよ。わたし的に歴代で一番このセリフがグッと来たのは、月組新公のあーさマキューシオかもしれないです。が、ぴーすけくんも凄い良かったぞ!
というわけで、さっさと結論!
わたしとしては、もう本当に心から待ち望んだ、礼真琴さん主演の『ロミオとジュリエット』を、とうとう観ることができ、もう胸がいっぱいで感慨無量であります。しかも超いい席で観ることができた幸運に、宝塚歌劇団への感謝をささげたく存じます。で、肝心の出来栄えなんですが、最高でした! と言っていいのは間違いないんですが、それでもやっぱり、歴代『ロミジュリ』と比べてしまう自分もいるわけで、その自分に素直に判定するならば、やっぱり歴代最高『ロミジュリ』は2013年の星組再演版の紅さんティボルト&こっちんベンヴォーリオの回だったのではなかろうか、と思います。まあ、それはそれで置いとくとして、今回の上演でわたしが一番すごいと思ったのは、現在のTOP娘役である舞空瞳ちゃんのクオリティの高さかもしれません。本当に素晴らしいパフォーマンスでした。しかし、わたし、観ながら思ったんですが、『霧深きエルベのほとり』と『ロミジュリ』って、なんかちょっと似てるっすね。ジュリエットも、マルギットも、夢見る乙女だけれど、ロミオがカール並みに大人の分別があったら……そしてティボルトもフロリアン並みにジュリエットの幸せを願うイイ人だったら……。。。要するに、結局『ロミジュリ』という物語は、「大人たちが招いた悲劇」だったんだな、とつくづく思いました。その大人たち、両家の両親についても言いたいことが山ほどあるんすけど、それは東京公演を運よく見ることが出来たら、また記そうと存じます。いやー、結論としては、やっぱりこう言いましょう。最高でした!!! 以上。
↓東京までに、久しぶりにちゃんと原作を予習しておこうと思います。
何のことかって?
実はわたし、昨日、ド平日に休みを取り、宝塚大劇場へ遠征し、現在絶賛上演中の星組公演『ロミオとジュリエット』を観てきたのですが、その感想であります。
もうホント、書いておきたいことがいっぱいあるんすけど……話し始めたらおそらく360分ぐらいしゃべり続ける自信はあるのですが……とにかく、なにゆえわたしがここまで胸にジーンと来ているか、について、ご説明いたしたく存じます。まず、そもそもの感想の前に、3つのオレ的胸熱ポイントを順番にご説明いたしましょう。
【1.おれのこっちんがとうとうTOPスターに!】
何度もこのBlogに書いていますが、わたしはれっきとしたおっさんであるにもかかわらず、2010年の年初に初めて宝塚歌劇を生で体験して以来、その時の公演は星組だったんすけど、当時の星組TOPスター柚希礼音さん(以下:ちえちゃん)のあまりのカッコ良さに一発KOされ、以来、ヅカ道を歩んでいるわけです。なので、今年でもうヅカ歴12年、ヅカ用語でいうところの研12でなのであります。
そんなわたしが、2015年からファンクラブに入り、応援してきたのが、今回の主役であり現・星組TOPスター、礼真琴さん(以下:こっちん)なわけですが、こっちんはわたしがファンクラブに入った時は、まだ若手の一人で、序列としては4番目、ぐらいだったと思います。そのこっちんが、2019年の末についに星組TOPスターへ登極し、去年、こっちんのTOPお披露目公演がついに始まった! というタイミングで、世はCOVID-19に包まれたのでした。
その結果、わたしが行くはずだった公演の数日前に公演中止が発表され、チケットは無効になり、さらに東京公演も同じくアウト、さらに夏に再開して発売された東京公演のチケットも、超不運なことにわたしが行く予定だった回は全部、急遽休演となってしまい、大切なお披露目公演を生で観られなかったのでした。
ヅカファンにとって、自分の贔屓のスターがTOPスターに君臨するその日が来るのが最大の喜びなわけですが、わたしはそのお披露目公演を生で見ることができなかったわけで、マジであの時は、世界の! 全てが~! 闇に沈んだ~!! かの如く、深い絶望に打ちひしがれたわけです。が、そんなわたしの絶望なんぞは、こっちんをはじめとする実際の演者やスタッフ関係者の皆様の無念に比べたらゴミのようなものであるのも間違いないので、わたしとしては、次は絶対に! そう、絶対に! オレは観に行くんだ! と思っていたのです。なので、その想いが約1年越しに叶い、わたしは本当に本当に嬉しく、感無量なわけであります。
いやあ、マジ最高だったすねえ!!! ラスト、大羽根を背負って歌いパレードするこっちんの姿に、お父さんレベルの年齢の男としてはホンットにグッと来たっすわ。お恥ずかしながら、ちょっぴり泣いちゃったっす。
【2.オイイッ!しかも演目はあの!】
で、さらにわたしを感激させてくれるのが、今回の演目が『ロミオとジュリエット』であるという奇跡ですよ! この『ロミオとジュリエット』という演目は、2010年に星組で初演がなされ、その後2011年に雪組、2012年に月組、さらに2013年には再び星組で上演された作品なのですが、わたしには深い思い入れがある作品なのでした。
わたしは、冒頭に書いた通り2010年の初めにヅカ道に入門し、まずはちえちゃんにぞっこんLOVEとなったのですが、さんざん周りの人々に、柚希礼音さんは超最高だぜ、と言いふらしていたんすけど、わたしをヅカ道に導いてくださったお姉さまが、2010年の初演『ロミジュリ』に誘ってくれたのに、わたし、断っちゃった過去があるのです。というのも、お姉さまが観に行くのは博多だったので、まだ入門したてのわたしにはちょっとハードルが高かったんだよな……当時のわたしをぶん殴ってやりたいす。ホントにアホだった。。。
とはいえ、わたしはその後でお姉さまが貸してくれたDVDで初演版をすぐに観ていて、その時わたしは初めて、礼真琴さんという才能を知ったのです。ただしその時のわたしは、「愛」を演じた娘、可愛いっすねえ~! とかのんきな感想を述べ、お姉さまから「あの娘は普段は男役よ。わたしも今回初めて彼女を意識したけれど、本物ね。おそらく、今後ものすごく目立つようになるわ」とか評論をいただいていたのでした。これはマジです。この会話、いまだに覚えてるっす。
そしてわたしはこの後に、2011年の雪組版は劇場へ観に行ったし(なんと震災の翌々日の3/13(日)に日比谷へ観に行ったことでも忘れられない公演だった)、2012年の月組版は都合がつかず見逃してしまったけれど、2013年の星組版はちゃんと観に行き、ライブCDも買って、以来もう7年近く、そのCDを車で飽きることなく聞きまくっているのでした。
その結果、ほぼすべての歌の歌詞もセリフも記憶してしまっているほど、『ロミオとジュリエット』という作品には思い入れがあって、大好きな作品なのであります。とにかくですね、歌が素晴らしくイイんすよ! すべての歌が! そしてこっちんにとっても、2013年の再演『ロミジュリ』は初めての新人公演主演を務めた作品であって、わたしにとってもこっちんにとっても、大変思い入れがあるわけなのです。その『ロミジュリ』をTOPスターとなった今のこっちんで上演してくれるなんて! と、わたしとしてはもう、それだけで胸熱なわけであります。
なお、当然コイツは即買いました!
なので、今回は役替わりや新人公演含め過去の全9パターン全て観て予習してから大劇場へ向かった次第であります。ずっと観たかった新人公演のこっちんVerも、珠城りょうさんVerもマジ最高だったす! このスペシャルBOXはマジで買いだと存じます。
【3.ありがとう友会! 最高の席を用意してくれた友会に乾杯ッッ!】
最後の3つ目のポイントはですね……わたしは何度もこのBlogで書いている通り、チケットはほぼすべて、「宝塚友の会(以下:友会)」会員限定の先行抽選販売に申込んで購入しているのですが、当然、必ず買えるわけでは決してなく、周りでも全然当たらない、という声はよく耳にしますが、どういうわけかわたしは、雪組と花組以外はほぼ毎回ちゃんと買えています(※雪組はとにかく当たる方が珍しく、花組もみりおさんのラスト2作は全くダメだった)。
で、当然今回の『ロミジュリ』は、東京に住まうわたしであっても、(前記2つのポイント的にも)宝塚大劇場へ遠征すべき作品でありますので、わたしも申し込んだのですが……友会の先行申込みは2段階ありまして、最初はSS席と千穐楽のみの受付、そして2回目が千穐楽以外でSS以外の席全て、みたいな感じで、要するに抽選に申込むチャンスが2回あるわけなんですが、東京ではまずSS席は取れない、つうか当たったことがないんすけど、今回はなんと! 最初の申込みでSS席が当たっちゃったのです。まあ、それだけでもやったぜ!!と小躍りするぐらい嬉しいんすけど、よく見たらなんと超いい席じゃあないですか!!
奇跡の3列目のほぼド・センターですよ!!! いやあ、ホントに興奮したっすねえ! ド平日だろうと、オレは行くぜ! と決意し、そして実際にこの席で観てきた今、ホントに興奮収まらずなわたしなのであります! 東京の最前列は1度だけ経験があるんすけど、その時は上手側の若干サイドだったので、こんなド真ん中の席はやっぱり違いましたねえ! おまけに、最前列は感染防止の観点からそもそも販売してないし、あろうことか、当日びっくりしたんすけど、なんと2列目のわたしの前の席が空席のままで、結果、事実上最前列! しかもド真ん中! という幸運に恵まれたのでした。オペラグラスなしで、いつもオペラで覗いている以上の大きさで観られる神席をわたしにあてがってくれた友会の神様、本当にありがとう!! ほぼすべてのメインキャストの皆さんと目が合い、大興奮でありました。
全然関係ないですが、去年だっけ?から始まった、上の画像に貼った「入場ゲートで当日発行されるチケット」はデザインも良くてカッコいいすよね! 今まではいつも劇場の自動発券機で発券してたけど、もうこの当日発行チケの方がカッコイイので、事前発行はやめようと思います。
はあはあ。。。興奮は以上にして、それでは以下、登場人物ごとに思ったことをメモしてまいりたいと思います。が、ここまで興奮しといて何なんですが、おっさんたるわたしが冷静に振り返ってしまうと、いろいろ物語的にはツッコミどころが多いし、さらに、今回のこっちん版は最高だったと思っている一方で、比べてはイカンと思いつつも、どうしてもわたし的には歴代最強最高なのは2013年の星組再演版だという結論になってしまったので、辛口なことも書いてしまうかもしれず……ですので、そんなことは聞きたくない!という淑女の皆さんはここらで退場してください。
というわけで、やっと本題に入ります。どうでもいい前置きが長くてサーセン。
◆ロミオ:モンタギュー家の跡取り息子。冷静にというか客観的にみると、相当なゆとりあふれる夢見がちな青年。おっさんとしては、もういろいろツッコミたいというか、正座させて説教したい……けど我慢しよう。そして演じたのは何度も言っている通り現在の星組TOPスター礼真琴さん。ズバリ言えば、歌はもう超最高で完璧だし、ダンスのキレも抜群。芝居も当然最高。大興奮したし、素晴らしかったと絶賛したいす。
したいんだけど、うーん……
完全に好みの話ですが、わたしはやっぱり柚希礼音さんの再演ロミオが歴代最高だと言わざるを得ないかもな……と思いました。やはり、なんつうかな、ちえちゃんの芝居は、ロミオに限らずいつもだけど、パワーと全身からダダ洩れるパッション? エネルギーがすさまじいんすよね。これはもう完全にちえちゃんの個性であって、もはや誰にもできないことなので、比較しちゃあいけない、とは思うんだけど、2位は初演ロミオのちえちゃん、そして今回のこっちんロミオは、やっぱり歴代3位かなあ、と思いました。
特に、ティボルトとマキューシオの殺し合いの時に、「やめるんだ二人ともすぐ!殺し合ってなにが残る!やめろおおーーー!!」のあたりとか、こっちんの場合は歌としては、ひょっとしたらちえちゃんより上手くて、超素晴らしいのは間違いないんだけど、芝居としてはやっぱりちえちゃんの方が「もうマジでやめろ! やめてくれよ!!!」という魂がこもってるような気がするんすよね。。。わたしとしては、実はいつも思ってることなんですが、こっちんはもっと、歌はもう最強に上手なんだから、芝居の方により一層エネルギーをかけた方がいいのではないかという気がしてます。たとえばショーブランの時も思ったけれど、歌としてはこっちんの方が上手いかも、だけど、芝居としては、ちえちゃんの方がすさまじいまでのエネルギーの爆発みたいなものがあって、凄い! みたいなことを感じてしまうんすよね。。。たぶん、そのあたりが、何をやっても整ってしまう優等生と言われるこっちんの永遠の課題なのではなかろうか、と感じます。ぶっ壊し、限界突破するような爆発力?みたいなものが備わったらいいのになあ……。なんか、どこかリミッターがかかっているような気がするんすよね。。。でもまあ、今回のこっちんのロミオも間違いなく最高of最高でしたよ。それもウソ偽りなき感想です。
◆ジュリエット:16歳。キャピュレット家のご令嬢。名家とはいえ実は借金まみれで、お金持ちのパリス伯爵と結婚させられそうになっているが、結婚には愛がないとイヤ!と夢見る乙女で、ばあやたる乳母をこき使う、何気に無茶振りの多い突っ走り系お嬢様。まあ、ゆとり恋愛脳と言ったらヒドイですが、まだ16歳の乙女なので、これはもうしょうがないす。今回演じたのは、当然星組TOP娘役の舞空瞳さん(以下:なこちゃん)。そしてなこちゃん演じるジュリエットは、わたし的には歴代最高のジュリエットだったと大絶賛したいと思います。歌、演技、ダンス、すべて見事で、何よりもとにかく、可愛い!!! と思いました。
わたしの眼では、過去のジュリエットの中では、夢咲ねねさんジュリエットはビジュアルが最強に可愛かったと思うし、歌も、たとえば月組新公版の妃咲みゆさんVerあたりがかなり好きだったんすけど、なこちゃんはマジで最高でした。とにかくですね、 まずビジュアルとしては文句の付け所はないですね。仮面舞踏会の時のミニスカ&ブーツの似合うことと言ったら! もう最高じゃないすか! そして芝居で見せる喜怒哀楽それぞれの表情も超イイし、歌も完璧ですよ。3列目で観るなこちゃんの華奢さと顔の小ささも衝撃的でありました。このほっそい体で、この歌の迫力はマジ信じられん! と思ったす。とにかく、歴代最強に可愛いジュリエットだったのは間違いないかと存じます!
◆ティボルト:ジュリエットのいとこで、嫡男のいないキャピュレット家の次期当主。ジュリエットが大好きだけど、ジュリエットの父がジュリエットの嫁ぎ先候補としてパリス伯爵を連れてきたことが不満で、イラついている。わたしが観た回でティボルトを演じたのは、瀬央ゆりあさん(以下:せおっち)。わたし的には、せおっちにはホント星組2番手であってほしいと思うけど、そんなことはともかくとして今回のせおっちティボルトも実に見事でした。かっこいいし、歌も、芝居の表情も、非常に良かったです! ただ、また比較しちゃうのが自分でも嫌なんだけど、あくまでわたしの好みとしては、歴代最高ティボルトはやっぱり2013年版の紅ゆずるさんかな……と思います。ティボルトは、かなりかわいそうな男でもあって、自分の望みがことごとく叶わないことにとても腹を立てているわけですが、紅さんティボルトは、その身に宿す「ちくしょーーー!!!」という怒りが物凄く伝わってくるんすよね。この「ちくしょー!!」があるからこそ、ティボルトから見たら三下のマキューシオごとにきに舐められることが許せないわけだし、ある意味では両家の不仲なんか関係なく、大好きなジュリエットを横取りしたロミオが男として許せないわけで、その「ちくしょーー!!」が重要だとわたしは思うのです。紅さん版は、その、尊大さとちくしょう!という怒りのコントラストが最強に素晴らしかったけど、せおっちティボルトは、あえて言うなら、若干上品だったような印象があります。でも、歌は見事だし、ビジュアルも非常に良かったと思います。
◆マキューシオ:ロミオの親友で舞台となるヴェローナ大公の甥っ子だから、それなりにお坊ちゃん。女たらしで経験豊富(?)。ティボルトを挑発し、止めに入ったロミオの腕のわきから、ティボルトに刺され殉職。わたし的にはティボルトとマキューシオの大げんかシーンが一番の見どころだと思うぐらい、この乱闘場面(のアクション・ダンス・そして歌)が好き。わたしが観た回でマキューシオを演じたのは98期生星組の若手スター天華えまくん(以下:ぴーすけ)。今回のぴーすけくんは、役替わりで「死」も演じてるわけですが、マキューシオ役にも相当な熱が入ってて、星組再演の時の天寿光希さんのように、サイドを刈り上げてラインも入ってる気合の入ったビジュアル表現をなされておりました。が、ごめんよ……わたし的歴代最強マキューシオは、やっぱり2013年版の壱城あずささんか、同率で月組版の美弥るりかさんかな……。とにかく壱城さんと美弥さん版マキューシオは、その狂犬ぶりがすさまじかったんですが、ぴーすけくんにも、もうちょっと狂っててほしかったかも、す。でも最初の「俺を呼んだ? 叔父上?」というセリフは、あれっ!? 今日のマキューシオって誰が演じてるんだっけ? とすぐにぴーすけくんとは分からないぐらい、マキューシオっぽくて良かったです!
◆ベンヴォーリオ:ロミオの親友その2。1幕ではロミオに対して、手がかかるお坊ちゃんだぜ、とマキューシオと一緒になって悪いことをさせようとしたりするが、ティボルトVSマキューシオの大バトルの際にロミオが必死で「誰が誰を好きになってもいいじゃないか!もうケンカするのはやめろ!」と歌うのを聞いて、ハッ!と争いのむなしさに気づき、以降は両家の争いを止めようと頑張る。そしてロレンス神父の秘密作戦を知らぬまま、うっかりジュリエットが死んだと勘違いして、ロミオにその誤報をもたらしてしまう、物語のキーパーソンの一人。追放されたロミオに対して、ジュリエット死すの報をオレはどうやって伝えたらいいんだ!? でも、ロミオにその悲報を伝えられるのはオレしかいない! と決意する歌が最高にカッコいいキャラ。2013年版ではこっちんも演じたことでお馴染み。
つまりベンヴォーリオは1幕と2幕で考えが変わっていくので、芝居として実は一番難しい役なのではないかとわたしは思うのですが、今までの歴代ベンヴォーリオは、1幕の段階から、一番話の分かる真面目青年で、後にキッチリ止めに入る性格になるのだろう、という布石があったような気がするんすけど(この点では月組版の星条海斗さん版が一番分かりやすかったかも)、今回わたしが観た回でベンヴォーリオを演じてくれた綺城ひか理さんは、若干その点が薄かったような気がしました。さらに、せっかくの「どうやって伝えよう」の歌も、わたしにとってはCDで散々聞きまくって頭にこびりついているこっちん版の素晴らしい歌声と比べてしまい……サーセン、東京ではパリス伯爵を演じるのを観たいと思いました。そしてその時ベンヴォーリオを演じるのはせおっちなので、せおっちベンヴォーリオには超期待したいです。
◆乳母:ジュリエットを赤ん坊のころから育てたキャピュレット家の乳母。ジュリエットの幸せを第一に考え、ロミオとのメッセンジャーとしても大活躍する、けど……ロレンス神父とジュリエットの秘密作戦会議の時だけ、残念ながら側におらず、その結果、大誤報をもたらしてしまうことになる物語の重要人物の一人。現実的な思考をする人で、ロミオをあきらめさせようとして「ロミオなんざパリス伯爵に比べたら雑巾ですよ!」と暴言を吐いてジュリエットに「もう一度言ってごらん!!」と怒られちゃうシーンは最高です。今回の乳母を演じたのは星組の娘役では一番わたしが好きな有紗瞳ちゃん(以下:くらっち)。そもそも『ロミジュリ』という作品は、実は役が少なくて、くらっちはいい役もらえるかなあ、とか思ってたところで、乳母役がふられたと知って、すごく嬉しかったすね。非常に存在感があるし、ソロ曲もあるし、おいしい役で、くらっちは見事その期待に応えてくれたと思います。歌が上手いすねえ、やっぱり。もちろん芝居も抜群でありました。わたし的には歴代乳母役として一番憶えてるのが、雪組版の時の沙央くらまさん(以下:コマちゃん)かな。たぶんわたしが初めて観た雪組の公演だったので、当時はコマちゃんのこともよく知らず、あとで男役の人と聞いてすごい驚いた思い出があるっすね。そしてBlu-rayで観た新公での妃海風ちゃんの乳母もとっても良かったす。
◆死:この作品独特の「死」を擬人化した存在で、「死」や「諍い」や「憎しみ」などが漂う場面になるとこのキャラが舞台に現れて、キャラクターに付きまとったりする。セリフは一切なし。過去の歴代「死」は、現在の宙組TOPスター真風涼帆さんや月組TOPスター珠城りょうさん、次期ゆきぐみTOPスターが内定している彩風咲奈さんたちが若手時代に演じているわけですが、今回わたしが観た回で演じたのは星組の公式2番手スター愛月ひかるさん(以下:あいちゃん)で、ビジュアル的には、ほぼトート様だったすね。そして今まではもうチョイ「いいぞ愚かな人間どもよ、憎しみをぶつけ合うがいい!」的なニヤリとするような表情があったと思うんですが、今回のあいちゃんはほぼ無表情だったような気がします。いや、サーセン、正直に白状すると、ほかのキャラに目が行っていて、ほぼ「死」を見つめなかったので、分からなかっただけかもっす。あいちゃん、サーセンした! 東京ではあいちゃんがティボルトを演じるのを観に行きたいと思います!
◆愛:「死」同様に、「愛」を擬人化した存在。なんでも、フランス版ではこの「愛」は存在しておらず、小池先生が創造した日本オリジナルキャラらしいすね。初演時にこっちんが、入団2年目で抜擢されたことで有名。物語の一番初めに舞台に登場し、美しく滑らかな踊りで超目立つ役でもあります。わたしが観た回で「愛」を演じたのは希沙薫くん。100期生、今年からはもう研7になるのかな? 今まで役が付いたことがあるか、ちょっとわからんですが、今回は抜擢になるんでしょう。今後の活躍を期待したいすね。今回の「愛」は、非常になめらか?というか、柔らかい感じがよかったと思います。
◆パリス伯爵:ジュリエットの嫁ぎ先候補のお金持ち。たぶん、今までだと結構な年上で、ジュリエット目線ではかなりなおっさん、というイメージだったんですが、わたしが観た回で演じた極美慎くんがあまりにイケメンでビビったす。極美くんパリス伯爵なら、お嫁に行ってもよかったんじゃね? と品のないことを思いました笑。 まあ、やっぱり東京では、極美くんがマキューシオを演じるのが観たいですなあ! 極美くんがどんな狂犬ぶりを演じてくれるか、超楽しみっす!
◆その他、名のないキャラたち:もういい加減長いので、最後は名のないキャラについてメモしておこう。前述のように『ロミジュリ』は役が少なくて、ひどい言い方だけど「その他大勢」にまわってしまう演者も多くなってしまうわけですが、わたしの眼には、やっぱり小桜ほのかちゃんと華雪りらちゃんの二人はすごい目立って見えました。二人とも、ロミオ側の「モンタギューの女」だったんすけど、ダンスで魅せてくれましたね。ほのかちゃんは、なんか下級生時代のゆうみちゃんに似てるような気がしますな。大変可愛かったです。そしてこっちんの心の友、同期のひろ香祐くんも、「キャピュレットの男」として、気合のモヒカンで、ダンスシーンや小競り合いの芝居なんかで魅せてくれましたな。3列目だと、こういった名のないキャラたちのちょっとしたお芝居もすごくよく見えるのが感動的だったすね。
とまあ、以上かな。ホントはもっと書いておきたいことがあるんだけど、もう長すぎるので、最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
「ロミオォッ! ジュリエットを愛し抜け! 全ッ身、全霊でな!!!」
これは、瀕死のマキューシオがロミオに抱かれていうセリフなんですが、おめえはなんて不器用でバカなんだ、だけど、それを貫くんだぞ!! という、いわば遺言でもあります。このセリフがわたし的には一番グッとくるんすよ。わたし的に歴代で一番このセリフがグッと来たのは、月組新公のあーさマキューシオかもしれないです。が、ぴーすけくんも凄い良かったぞ!
というわけで、さっさと結論!
わたしとしては、もう本当に心から待ち望んだ、礼真琴さん主演の『ロミオとジュリエット』を、とうとう観ることができ、もう胸がいっぱいで感慨無量であります。しかも超いい席で観ることができた幸運に、宝塚歌劇団への感謝をささげたく存じます。で、肝心の出来栄えなんですが、最高でした! と言っていいのは間違いないんですが、それでもやっぱり、歴代『ロミジュリ』と比べてしまう自分もいるわけで、その自分に素直に判定するならば、やっぱり歴代最高『ロミジュリ』は2013年の星組再演版の紅さんティボルト&こっちんベンヴォーリオの回だったのではなかろうか、と思います。まあ、それはそれで置いとくとして、今回の上演でわたしが一番すごいと思ったのは、現在のTOP娘役である舞空瞳ちゃんのクオリティの高さかもしれません。本当に素晴らしいパフォーマンスでした。しかし、わたし、観ながら思ったんですが、『霧深きエルベのほとり』と『ロミジュリ』って、なんかちょっと似てるっすね。ジュリエットも、マルギットも、夢見る乙女だけれど、ロミオがカール並みに大人の分別があったら……そしてティボルトもフロリアン並みにジュリエットの幸せを願うイイ人だったら……。。。要するに、結局『ロミジュリ』という物語は、「大人たちが招いた悲劇」だったんだな、とつくづく思いました。その大人たち、両家の両親についても言いたいことが山ほどあるんすけど、それは東京公演を運よく見ることが出来たら、また記そうと存じます。いやー、結論としては、やっぱりこう言いましょう。最高でした!!! 以上。
↓東京までに、久しぶりにちゃんと原作を予習しておこうと思います。