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 まったく、ワシは何をしとったんじゃあ……
 と、わたしは昨日の夜、WOWOWで録画しておいた映画を観て、つくづく思った。2018年5月公開の作品なので、間違いなく言えることは、この映画を劇場へちゃんと観に行っていたならば、確実に2018年にわたしが観た映画ベストの3位ぐらいにランクしていただろう、と断言できる。なんなら1位にしてもいいぐらいだ。
 ほんとに、ワシは去年、なんでこの映画を劇場に行かなかったんじゃ……アホだった……と深く後悔したわけだが、その映画とは、東映作品『孤狼の血』であります。わたしの髪を切ってくれているイケメンのヘアスタイリストさんとわたしは、どういうわけか『仁義なき戦い』シリーズが大好きという共通点があって、去年、この映画について、観に行かねえとダメなんじゃないすかねえ、とか言っておきながら、わたしもイケメンさんも、まんまと見逃してしまったのだが、さすがわたしの愛するWOWOWですよ。公開から1年もたたずに放送してくれたので、さっそく録画し、昨日の夜、もはや何もかもやる気にならず人生について軽い絶望を抱いたわたしは、そうだ、アレを観よう、と思ったのであった。
 そして観た結果思ったのが上記のことである。本当にこの映画は劇場でちゃんと観るべきだった! と後悔するほど素晴らしい出来で、おまけに予想外な展開には泣けるほどの感動?すらあり、わたしとしてはもう、この映画は大絶賛いたしたく存じます。
 ただまあ、基本ヴァイオレンス&血まみれアリな映画だし、いきなり冒頭からショッキングな拷問シーンから始まるので(※ただしその拷問シーンは物語上とても重要)、そういう方面が苦手な方にはお勧めできないけれど、そうだなあ……これは全おっさんに向けては超おススメ、であります。これは観た方がいいっすよ!
 というわけで、以下、なるべくネタバレしないよう気を付けるつもりだけれど、とにかくまだ観ていない人は、ここらで退場して、観てから戻ってきてください。絶対に何も知らないで観る方がいいと思います。

 というわけで、まあ、物語は予告から想像されるものとは、そう遠く離れていない、とは思う。わたしは去年、何度かこの予告を劇場で観て、まあ、アレかな、Denzel Washington氏がアカデミー主演男優賞を受賞した名作『Training Day』的なお話かな、とか思っていた。要するに、あの作品でDenzel氏演じた悪徳警官を日本が誇る最強役者である役所広司氏、そしてEthan Hawke氏演じた正義漢の若い警官を、若手イケメン松坂桃李くんが演じるのかな、的な想像である。
 実際、その想像は間違ってはいなかったと思うが、わたしは全然わかっていなかったことがあった。それは、ちょっと考えればわかることなのだが、本作は、日本映画であり、東映作品であり、そして舞台は広島、である。つまりそれは往年の『仁義なき戦い』シリーズのDNAを内包していて、日本人のわたしが観ると、『Training Day』とは違った恐ろしさというか、身近な恐怖というか、要するに、より一層リアルでおっかねえ、のである。加えて、本作の時代設定が1988年=昭和63年=暴対法制定以前というのも、当時大学に入りたてだったわたしとしては、十分に時代の空気を知っているため、さらにそのリアル感は増強されていたようにも感じた。
 現代社会では、いわゆる暴力団のことを反社会的勢力とか言って、上場企業の経営企画の人間としては「反社」という略称を使って、あらゆる契約には必ず、「反社との付き合いはないですよね?」と相手先の表明保証を求めたり、取引先の「反社チェック」なんかもよくやるのだが、北野武監督の『アウトレイジ』シリーズがまさしくその「反社」そのものを描いた作品である一方で、本作の主軸はあくまで「警察」である。そこが大きく違うし、また、本作は悪徳警官(としか見えない)役所氏と、若干青臭い正義漢の松坂くん、という二人の演技合戦が真っ向勝負でぶつかっていて、その点も『アウトレイジ』とは大きく印象の違う作品であろうと思う。言うなれば、『アウトレイジ』は「悪VS悪」の対決であるのに反し、本作は「悪VS善」の対決が描かれるわけだが、問題は何をもって善悪を判断するか、という境界線にあって、そこに本作最大のポイントがあると言っていいだろう。
 こう考えると、そういうテーマはわたしの大好きな作品『SICARIO』にも通じるモノがあるのだが、『SICARIO』は完全にドライに割り切った、屈強で冷徹な男たちだったのに対し、日本はですね、やっぱりもっとウェット、というか、ハートがあるんですなあ……! そこにわたしは相当グッと来てしまったのであります。いやあ、本当になんつうか、感動したっすね。役者の芝居も、脚本も撮影も、それらが一体となって見事な作品だったと絶賛したいと思う。
 あーーーくそう、ネタバレを気にすると本当に何も書けない!
 ので、キャラ紹介と演じた役者陣をまとめて終わりにします。が、登場キャラがすごく多いので、あくまでわたしが、重要キャラと思った方だけにします。どうでもいいけど、女優陣はことごとくエロいす。つうか、マジで見た方がいいっすよ!
 ◆大上省吾:おおがみ、と読むことから通称「ガミさん」。広島県警呉原署刑事課所属の巡査部長。マル暴担当で、もうその捜査は違法行為満載で、誰がどう見ても真っ黒け。また、なにやら14年前に殺人に関与したという噂もあって、呉原(=一応架空の街)を仕切る反社組織の尾谷組と仲がいい、ようにみえるが、実は――なキャラ。演じたのは散々書いている通り役所広司氏。とにかく凄い、迫真の芝居ぶりが素晴らしい! 本当に役所氏は日本最高レベルの役者だと思うすね。最高でした。
 しかし思うに、この物語から30年を経た現代では、ガミさんのような刑事はもう絶滅してるんすかねえ……なんでも録画して、なんでも正論をかざした自称正義がまかり通る現代では、生きていけないだろうなあ……。悪には悪を、毒には毒を、的な理論は通じないでしょうなあ。普通で平和な毎日を送っている我々としては、反社なるものは若干の他人事感のような、自分とは関係ない的な感覚を持っていると思うけれど、実際は我々の暮らす日常のすぐ隣に間違いなく存在しているわけで、「法」が我々を守ってくれる、みたいにのんきには思わない方がいいんでしょうな。もはや警察がが守ってくれるとは思えないし、出来ることはやっぱり、君子危うきに近寄らず、しかないような気がしますね。我々、ちっとも君子じゃねーけど。
 ◆日岡修一:広島大学を卒業した警官(たぶん単に大卒なだけでキャリア組ではない)。そのため通称「広大(ひろだい)」と呼ばれている若者。ガミさんと組まされて振り回されるが、実は県警本部から送り込まれた監察官でもある。これは観てればすぐわかるのでギリネタバレじゃない判定をしました。彼は社会経験も少なく、人間としてまだ未熟なわけで、縋るものは「法」しかないわけだが、その遵法精神はガミさんの捜査に同行しても揺るがず、相当な気合で耐え忍んで、ガミさんにちゃんと異議を唱えるガッツある若者でした。わたしはどんどん揺らいでいくのかと思っていたけど、結構軸がブレることがなく、実は相当立派な男なのではないかとすら思った。しかし後半、予想外の出来事にとうとう彼の心は、「境界線」を踏み越えることに―――? 的なキャラ。演じたのは、わたしが若手イケメンで一番カッコイイんじゃないかと思っている、シンケンレッドでお馴染み松坂桃李くん。わたしは彼はかなりの演技派だと思っているのだが、本作でも非常に素晴らしかったすね。本作は、何気にチョイチョイと長回しのシーンがあるのだが、中盤から後半にかけて、役所氏がすっごい長いセリフを言うシーンで、桃李くんは酔っ払っていてただ聞いているだけ、のシーンがあって、そこではもう、役所氏の圧倒的な演技力はもちろん素晴らしいんだけど、実は聞いているだけの桃李くんの方も、その聞き方というか、ちらっと役所氏を見たり、何か口を開きかけたり、というような、受けの演技も超素晴らしかったとわたしは絶賛したいと思う。ホント、桃李くんはイケメンだけじゃあない男ですよ。ラストもカッコ良かったすねえ! きっと広大は、今頃かなり出世していると思います。最高でした。
 ◆高木里佳子:尾谷組の縄張りにあるクラブ「梨子」のママ。とにかくエロイ。ガミさんを深く信頼しているが、その理由は後半明らかにされます。なんか泣けるんすよ……。演じたのは真木よう子さんで、このお方の演技がうまいと感じたことはあまりないけれど、今回は大変良かったすね。そしてなにより、控えめに言ってもエロいす。最高でした。
 ◆岡田桃子:ガミさんがよくけが人を連れて行く薬局のアルバイト女子。冒頭でボコられた広大を連れて行ったとこがきっかけで、その後広大と関係を持つのだが、実は――なキャラ。演じたのは阿部純子さんという方で、わたしは全く知らない初めて見るお方だったのだが、非常に印象に残る演技でした。……なんつうか、メイクやファッション、あるいは暮らしている部屋なんかが醸し出す絶妙な昭和感が、妙にリアルで、なんかエロいんすよ……。実に正統派の美人で、非常にイイすね。ラストに登場する姿も、実に極上です。最高でした。
 ◆上早稲潤子:冒頭の拷問シーンで殺された男の姉として、ほんのワンシーンだけ登場するキャラなのだが、とにかくまあ、エロイ雰囲気バリバリなお方。わたしは、あれはいったい誰が演じてたんだ? と分からなくて調べたら、元グラドル/現ママタレ?のMEGUMIさんであった。そのエロさ、衰えなしの強い印象が残るお役でしたね。最高です。
 ◆一之瀬守孝:尾谷組の若頭。現在尾谷組組長は鳥取刑務所で懲役中なので、実質TOP。わたしとしては本作で一番ヤバイ反社のお方。スーツ姿で頭が良さそうな極道は一番怖いすね。ただ、本作では実はそれほど大きな役割はなく、最終的には――なキャラ。演じたのは見た目クール But 中身凶暴な悪党が良く似合う江口洋介氏。大変カッコ良かったと思うすね。なお、対抗組織の加古村組若頭は、これまたイケメンの竹野内豊氏が演じているのだが、冒頭の拷問シーン以外、あまり出番がないんすよね……それがとても残念というか、イケメンの無駄使いだったような気がします。江口氏と竹野内氏の壮絶バトルもみたかったすね。そこだけ残念す。
 ◆五十子正平:加古村組の上部組織である五十子会の会長。一番の悪党、かな。ラストは超ざまあです。でも、クソ野郎成分としては、この会長よりも手下どもの方が上で、彼らの末路も見たかったかもしれないす。出来れば血まみれで。演じたのは石橋蓮司氏で、登場してきた瞬間に、ああ、このおっさんはタダじゃすまないでしょうな……と思わせるのは、やっぱり蓮司氏の芝居が素晴らしいからだと思う。実際、タダでは済みませんでした。
 ◆瀧井銀次:五十子会の下部組織である右翼団体の長で、ガミさんとは長い付き合い。通称「ギンさん」。ラストの決断は男を見せたっすね。大変良かったと思う。演じたのはピエール瀧氏で、おっかない中にも、本作で唯一コミカルっぽいところも見せてくれました。
 ◆嵯峨大輔:広島県警の監察官で、広大こと桃李くんを呉原署に送り込んだ人。実はコイツの狙いは……というのはまあ、予想通りかも。演じたのは滝藤賢一氏。残念ながらこの人も、出てきた瞬間に絶対悪い奴だろうな、と予感させるお方でした。
 とまあ、他にもキャラはいっぱいいるのだが、大体こんなところかな。とにかく役者陣の演技合戦はとても素晴らしいし、その芝居の元となる脚本も極めて上等、そして役者を引き立てる撮影・演出も大変お見事でした。くっそう、ホント、なんで俺はこの映画を劇場に観に行かなかったんだ……! マジで劇場に観に行かなかったことが悔やまれる傑作であり、大いにお勧めいたしたく存じます。

 というわけで、結論。
 去年劇場公開され、観たかったけれど見逃していた映画『孤狼の血』がWOWOWで放送されたので、さっそく録画し、昨日の夜ぼんやり見てみたわたしである。結論としては超傑作、非常に面白かったと申し上げたい。まず脚本が素晴らしい出来であり、その脚本にキャスト全員が最高の演技で見事にこたえ、撮影や演出もばっちり決まっている、という近年まれにみる素晴らしい日本映画だったとわたしは思う。本当に久しぶりに、ちくしょー! なんで劇場に観に行かなかったのだ! と悔しい思いだ。なんつうか、ひょっとすると、わたしの琴線に一番触れたのは、わたしの青春時代である1988年という時代設定と、画面から伝わる絶妙な昭和感、なのかもしれない。キャラ設定も、実のところよくあるパターンのような気もするけれど、これがまた、現代社会では絶滅してしまった、昭和の男感が溢れているような気もしますね。というわけで、わたしはこの映画がとても気に入りました。恐らく今後、何度もまた繰り返し見るような気がします。控えめに言っても、最高ですね。以上。

↓ これは原作小説を読んでみたい気がしますね。
孤狼の血 (角川文庫)
柚月裕子
KADOKAWA
2017-08-25

そして配信でも観られますので、是非!
孤狼の血
役所広司
2018-11-02

 わたしはもう受験生の頃からずっと朝型で、社会人になってからも当然朝型生活を続けている。わたしとしては全く自然で当たり前のことなのだが、どうも世間的には希少種らしく、わたしの行動を聞いて驚く人が多い。まあ、そんな人はどうでもいいのだが、要するに、わたしにとっては朝の方が何事も集中できるし、電車もガラガラだし、何かとストレスが少なく、快適だからそうしているだけだ。わたしの長年の経験によると、ズバリ言って早起きは誰でもできる。誰でもできない、結構難しいことは、「早寝」の方だ。早く寝ちまえば誰だって朝起きる。ズバリ、いつまでも起きているから朝起きられない。それだけのことなのだが、実は「早寝」はなかなか難しく、習慣化しないとすぐには出来ないことだと思う。ついでに言うと、もうここ20年以上、目覚ましより後に起きたこともない。どういうわけか、自動的に目が覚める。これは普通じゃねえかもな。 
 ま、そんなこともどうでもいいのだが、今朝、1月3日だというのに、わたしは普通にAM6:00に目が覚めた。会社のある日はもっと早く起きているわけだが、休日でも、遅くても6時半には目覚める。それ以上寝ると、もう頭痛がひどくなって一日がパーになる。ので、この正月休みも6時起きがわたし的デフォルトである。
 で。コーヒーを淹れながらTVをつけっぱなしにして、昨日の箱根駅伝の往路の様子を新聞でトレースしながら、あーあ、まーた青山学院が勝っちまうなあ……こりゃあもう6区の山下りで差を縮められないと決まりだろうな……なんて思いながらふとTVに意識を戻したところ、わたしが毎週日曜日の朝見ている、CXの「はやく起きた朝は」という番組が始まってることに気が付いた。あれっ!? 今日何曜日? つか火曜じゃん? と思いながら見ていると、どうやら皆さんお着物だし、正月スペシャルらしい。というわけで、ぼんやり見ていたところ、途中で、磯野貴理子女史がとある映画を激賞しはじめ、森尾由美ちゃんや松居直美ちゃんにも絶対観ろと激しくお勧めしていた。
 その映画は、たしか10月ごろ公開になってとっくにFirst Runは終わってるはずだが、貴理子女史によれば、まだ都内で続映中の映画館があるという。そしてとにかく素晴らしいから観ろ、とのことであった。 わたしも確かに公開時にちょっと気になっていたものの見逃していた映画であったので、そんなに貴理子女史が勧めるならば、まあ、どうせもう箱根は青学で決まりだし、午後はちょっくら観に行くか、と上映館を調べてみた。
 すると有楽町でまだ上映していることが判明したので、すぐさまチケットを予約し、午後観に行くことにした。というわけで、わたしが2017年1本目として観てきた映画は、宮沢りえちゃん主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』である。はっきり言ってちょっと出来すぎな美しさはあるものの、確かにわたしも泣かされてしまったのであった。ホント、宮沢りえちゃんは美しく年を取ってますなあ……。以下、いつも通りネタバレを含んでいますので、自己責任でお願いします。

 公開前に予告は何度か見ていたが、まあ、時系列はかなり入れ替わっていたりするけれど、大体物語は上記予告の通りである。余命宣告を受けた主人公のお母ちゃん、が、心残りとならないよう様々なことを頑張るお話である。
 わたしはまた、散々観てきた余命モノとあまり変わらないんだろうな、と思っていたし、実際、それほどこれまでにあったお話と変わるところはない、と言えそうではある。しかし、この映画は、そういった物語よりも、やはり役者陣の芝居ぶりを堪能する映画であろうと思う。主演の宮沢りえちゃんをはじめ、二人(じゃなくて三人か)の子役も素晴らしいし、実に泣けるお話であった。
 ただ、一つだけわたしがイライラムカムカしたのは、やっぱりオダギリジョー氏演じる夫のキャラクターだろう。とにかくスーパーちゃらんぽらん過ぎて、全く笑えないというか、実際おっそろしくひどい男だと思う。ちょっと説明のために、各キャラ紹介を軽くやっておこう。
 ◆双葉:主人公の「お母ちゃん」。前向きポジティブな頑張り屋さん。宮沢りえちゃんの熱演は素晴らしかった。
 ◆一浩:主人公の夫。1年前、実家の銭湯と家族をほっぽり出して失踪。ただし探偵を雇って調べたら隣町に住んでいたことがあっさり判明。すごすご戻ってきたクソ野郎。無責任&無計画。一切情状酌量の余地なし。とにかくひどい男。いくらオダギリジョー氏でも許せん。
 ◆安澄(あずみ):主人公夫婦の娘。高校生。学校でいじめられている。演じた杉咲花ちゃんが素晴らしい!よくもまあ、グレずにいい子に育ったもんだ。ちなみに杉咲花ちゃんは、味の素のCMで回鍋肉をバクバクもりもり食べるあの娘さんです。後半、重大な秘密の暴露があり、泣ける……!
 ◆鮎子:夫が浮気して出来た娘。失踪中の夫が一緒に住んでいた。銭湯に戻った夫についてくる。演じたのは伊東蒼ちゃんという子役で、とにかく彼女の芝居が素晴らしくイイ!!! しょんぼり顔がもうたまらなく悲しそうに見えるし、笑顔も可愛いし、まあ最高すね、おっさん的には。
 ◆拓海:お母ちゃんと安澄と鮎子の三人旅の途中で出会った青年。演じたのはシンケンレッドこと松坂桃李くん。この人はカッコいいですなあ、ホントに。トンデモゆとり青年が、お母ちゃんと出会ったことで変わるのだが、まあ、なんというか、出来すぎというか美しいわけで、ちょっとアレですが、カッコいいから様になるんだよなあ……全然許せちゃうのはさすが殿ですね。

 というわけで、ストーリーは別に説明しなくてもいいと思うのだが、見どころはもう、お母ちゃんそのものですよ。学校でいじめに遭って、休みたいという娘に対して、休んではダメだ、逃げちゃあダメ!!! と叱り飛ばす姿は、たぶん今のお優しい、ゆとりあふれる世の中とは正反対でしょうな。そりゃそうだよ。お母ちゃんには、もう、時間のゆとりがないんだもの。逃げて先送りにしている暇はないわけで、そしてその叱咤激励に応える安澄ちゃんもまあ健気なことといったら、とても勇気のある行動で、本当に素晴らしい演技でした。
 そして、やっぱり、クライマックスで、ちゃらんぽらんな夫がお母ちゃんに見せた心意気に、死にたくない、生きたいと涙するお母ちゃんの姿には、もう場内盛大にみなさんくすんくすんであった。もちろんわたしも泣けました。参ったっす。
 ただ、タイトルの意味が分かるエンディングは、正直ちょっと……という気もしなくもない。引っ張りすぎというか、もうチョイ前で終わりにしても良かったような気もしなくない。社会的通念という常識に照らし合わせても、ちょっと……どうなんだろうという気もする。しかし、どうもこの作品は原作小説などのない、オリジナル脚本のようだが、おそらくはこのエンディングが先にありきで、ここに至る物語を書いたのだろうと想像する。なので、まあ、ちょっとアレのような気もするけれど、このエンディングなしにはこの物語は成立しないんだろうな、と思うので、結論としてはアリとしておきたい。
 しかし、ある日突然、余命宣告をされたら、オレはそれを受け入れられるのだろうか、と、わたしはそんなことを考えながらこの作品を観ていたわけだが、たぶん、どのくらいかわからないけれど、1週間で済むのか1か月以上かかるのかわからないけれど、まずはもう、悲観に暮れてどうしようもなくなるでしょうなあ。けれど、おそらく、ある時点で、受け入れて、残りの時間を大切に使おうという心境に至るんだろうと思う。いや、思いたい、かな。そして淡々とその日に向けて暮らし、その直前に、死にたくない、ともう一度泣きわめくことだろう。わたしはもうかなり、色々なことに達観してしまったおっさんなので、それなりな覚悟――死なない人間はいない――をしているつもりだけれど、まあ、取り乱すだろうな、きっと。そして、この物語の主人公のような、最後の命の炎を燃やすエネルギーというか、オレにはそういうエネルギーになる「強い思いを残しているもの」はないかもしれないな、と思った。まあ、しょうがないよ、もはやどうにもならんし。淡々と受け入れるしかねえかもしれないなあと思うと、やっぱ淋しいもんですね。

 というわけで、なんかぶった切りですが結論。
 TVで磯野貴理子女史が激推ししていた映画『湯を沸かすほどの熱い愛』を、超今更観てきたわけだが、たしかに貴理子女史の言う通り、泣ける素晴らしい映画であった。いろいろ突っ込みどころもあるとは思うけれど、宮沢りえちゃんの熱演に身をゆだねて涙するのも、悪くないんじゃないでしょうか。いやはや、もう場内みんなくすんくすんという状態でありました。そりゃ泣けますよ。間違いないす。以上。

↓ おっと? 一応ノベライズかな? 小説化されてるっぽいすね。著者は監督&脚本の中野氏本人みたい。最近監督本人による小説が流行ってますね。売れてなさそうだけど。



 

 というわけで年末である。
 大掃除、というものは、普段からせっせときれいにしていれば、とりわけ必要がないわけで、わたしも別に部屋の大掃除はしないが、それよりも……と、HDDにたまっている、WOWOWで録画したはいいけれど観てねえ、というたまった映画を大掃除する必要があった。
 ので、昨日の夜からせっせと観始めているわけである。まず一発目として、じゃ、観てみようと再生ボタンを押してみたのが、日本映画の『人生の約束』という作品だ。公開されたのは今年2016年の1月。ちょうど1年ほど前ということになるが、散々劇場で予告は観ていたものの、正直どんな映画なのか、まるで予備知識はなく、予告で観た竹野内豊氏のカッコよさと、江口洋介氏が相当怒っている表情が印象的だったので、観てみようと思った次第である。どうも、原作小説などは存在しない、オリジナル脚本のようですな。そして観終った今、結論から言うと、役者陣の熱演は素晴らしいし泣けるお話であある。しかし、どうも演出や、やっぱり脚本かなあ、とにかく、ポイントポイントで、若干残念というか、もっと面白くできたんじゃねえかなあ、と生意気な上から目線の感想を抱くに至ったのであった。

 予告はいくつかのVerがあるようで、わたしが去年の今頃劇場で散々見た予告は別のものだったように思うが、上記の予告は、比較的物語を伝えてくれていてわかりやすい。まあ、だいたい上記予告のような物語である。ただし、少しだけ補足しておいた方が良かろうと思うので、ちょっと大まかな流れを説明しておこう。
 竹野内豊氏演じる主人公は、新興IT企業で、上場もしている大きな会社のCEO。現在大きなM&Aの最中であり、完全なワンマン社長で、200億でまとまりそうなバリュエーションも、180億まで叩け、と取締役たちや経営企画の若造どもといった、取り巻きのイエスマンたちに指示している。そのやり口は強引であり、一人異論をはさむ若者(演じたのはシンケンレッドこと松坂桃李くん)に対しては、あいつはクビにしろ、とイエスマンどもに命じるような男だ。
 そんなCEOのもとに、数日前からとある男から電話が何度もかかってきている。が、取らないで放置していたところ、あまりに何度もかかってくるので、ええい、なんだよもう!と取ってみたところ、無言電話。何なんだよ、と思うも、その相手は、かつて主人公とともにこの会社を起業した親友であり、経営方針をめぐって解任した男(当時の副社長)で、もう3年会っていないし消息も知らない男であった。そんな男の携帯からの着信、そして無言電話。そのやり取りを見守っていた有能な秘書(演じたのは優香ちゃん。相変わらずかわいい)は、何かあったのでは、一度お会いした方が良いのでは、確か故郷に帰られてるはず、と具申し、CEOもやけに気になるので、秘書を伴い、親友の故郷である富山県氷見市へ向かう。そこでは、まさにその親友の葬儀が行われていて――てなお話である。
 そして親友が大切にしていた地元の祭りで象徴として町中が大切にしていた山車が隣町に譲渡されてしまったことや、祭りを通じて「繋がる」ことの意味を知ってゆく主人公、さらには、東京では自分の会社が金融商品取引法違反(どうやら粉飾決算)で東京地検特捜部の強制捜査が入り、自らも任意出頭を求められるなど会社として超マズい状況にも陥り、すべてを失ったことで主人公は、亡くした親友の存在がかけがえのないものだったことを知ってゆくのだった――という展開である。
 わたしも経営企画として会社の経営に携わり、M&Aも数多く経験しているので、冒頭のあたりは思い当たる光景が続き、ああ、懐かしいと非常に身に染みて思った。ま、会社のTOPだけしか見ていない取り巻きのイエスマンなんてのはきっとどの会社にもいるんだろうし、わたしだって、そりゃあ積極的にイエスマンになった覚えはないけれど、結果的には、心の中でそりゃあ違うんじゃねえすか、と思っても明確に反対意見を表明するようなこともせず、へいへい、そうっすか、と従ってきた身としては、この映画で戯画化されているイエスマンどもと本質的な違いはなかろうし、明確に反対意見を述べる松坂桃李くんのキャラは、現実的にはこんな奴ほぼいないとは思っても、やっぱりとてもまぶしく見えた。そして会社側の人間であった身としては、CEOの気持ちもわからないでもない。はっきり言えば、多かれ少なかれ、会社のTOPはこの主人公に通じるものがあると思う。このあたりは、たぶん普通の人には全く伝わらないことだろうし、普通の人が観たら冒頭の主人公は単なるイヤな野郎にしか見えないと思う。
 というわけで、わたしはかなり主人公よりの視点でこの映画を観ていたわけだが、どうしてもここは……と思う点がいくつかあった。
 ◆やけに素直でイイ奴な主人公
 おそらくはまだ若いからかもしれないが、主人公はやけに素直でイイ奴だ。きっちり自分の非を認めるし、自分が起業した会社を手放すことになっても素直に応じる。それはそれで美しいし、泣かせるポイントでもあるけれど、まあ、現実はこうはいかねえだろうな、とわたしは冷ややかに思った。加えて言うと、IT企業のTOPたる男が、親友の正確な所在地を知らぬまま、取り敢えず故郷の町へ行ってみようと行動するのも若干違和感がある。親友の葬儀に偶然行き着いたわけで、あれは変というか、ばっちり調べてから行くか、秘書が知ってた、という流れであるべきだったと思う。空振りだったらどうするつもりだったんだろう。
 ◆ポイントとなる親友と、その残された娘
 この亡くなった親友は、逆光での影と声しか登場しない。キャストクレジットにも、誰が演じたか公開されていない(声は上川隆也氏っぽかったけれど、どうだろう?)。故にどうも実在感がない。おそらくこの親友とのやり取りがリアルであれば、主人公の改心にも説得力が増したはずだが、そこが若干薄いのが残念に思った。この親友を一切見せなかった演出は、結果論としてはかなり微妙だと思う。もちろんあからさまに登場させても全く別の感想になった可能性が高いわけで、どっちが良かったのかは正直分からないけれど……。また、カギとなる親友の娘も、どうしてもよく分からない。彼女は、亡くなった親友(彼女にとっては父)のことを、「あの人」と呼び、若干心の距離があるようなのだが、その点についてほぼ説明がない。彼女にとっての父がどういう存在だったのか、その点も非常にドラマとして重要だと思うのだが……そして父のことを嫌っていた的に描かれているのに、妙に主人公になついていく様子も正直よく分からない。もっと言えば、主人公がこの親友の娘の存在を知らなかったという点も、どういうことなのか分からない。ただし、娘を演じた高橋ひかるちゃんはウルトラ可愛くて、とても魅力的だった。超可憐です。名前を憶えておきたいと思った。
 ◆カット割りや演出面
 正直イマイチ、だと思う。間がわざとらしいというか……たとえば、主人公が東京の豪華マンションで携帯を机に置く。そして数秒そのままのカット。わたしはきっとこの携帯が鳴るんだろうな、と思うと、その通り携帯が鳴り、主人公はそれを取る、みたいに、意図が分かるというか先が読めるような場面が多いし、場面のつなぎもテンポが悪い。それに……ラストシーンの中途半端感が半端ないように思う。どうも余韻というか、え、ここで終わり感もあったように感じる。わたしはまたエンドクレジットでなにがしかのその後の物語を示唆する映像があるのかと思った。あそこで終わらすならもうちょっと別のラストショットがあっても良かったような気がしてならない。

 というわけで、脚本や演出面でわたしとしては若干残念に思う所があったものの、一つ一つのセリフや役者陣の熱演は素晴らしく、その点ではとても美しくて良かったと思う。胸にグッとくる名セリフはいっぱいあったなあ。上記に貼り付けた予告にも、それらのグッとくる台詞は収録されていますね。
  つっぱしるだけじゃなく、立ち止まってしか見られない風景もある。
 人生の踊り場。過去も未来も見渡せる年齢。
 失くしてから気付くことばっかりだよ、人生は。 
 全くその通りなんだろうな、と、まさしく主人公たちと同年代のわたしには心に響く。まあ、わたしは主人公たちよりちょっとだけ上なのかな。もう人生の踊り場を過ぎて、先に登ってしまったわけで、後はもう登りきるだけ、なのかもしれない。キャスト陣も、良かったすねえ。町会長の西田敏行氏、親友の奥さんの兄の江口洋介氏、イヤーな隣町の町会長を演じた柄本明氏、など、皆さん芸達者でグッとくる演技を見せてくれます。その点では非常に上質で素晴らしかったと思います。

 というわけで、結論。
 『人生の約束』という映画は、美しく泣ける話、ではあるものの、演出や脚本には若干残念なところもある微妙作、というのがわたしの総合判定である。ただし役者陣の熱演は素晴らしく、見ごたえは十分であろう。興行的には10億に届いていないので、最終的には赤字かなあ。だとしたら大変残念だ。オリジナル作品が売れてくれないと、ホントに邦画の未来は暗いとしか言いようがないのだが……今に邦画はコミック原作とアニメしかなくなっちゃうぜ。なんか、とても残念です。以上。

↓ もうとっくに配信もされてるし、いつでも観られます。
人生の約束
竹野内 豊
2016-07-06

  今日は14日である。14日というと、わたしが映画を見るシネコンであるTOHOシネマズは、「トー・フォーの日」として、1,100円で映画が見られるので、お得なのです。世の女性には「レディースデー」なるお得な日が毎週あるにもかかわらず、男にはそのようなサービスデーがないのは非常に逆差別を感じざるを得ないが、まあ、仕方ない。
 というわけで、今日は帰りに『図書館戦争 THE LAST MISSION』を見てきた。個人的にこの作品にはいろいろ関係があるのだが、まあそれは置いておくとして、一観客として、十分に楽しめた作品であった。

 原作はもはや紹介の必要はなかろう。有川 浩先生によるベストセラーで、第1巻目に当たる『図書館戦』がハードカバー単行本で発売されたのは2006年。改めて考えるともう発売から9年が過ぎている。それは、発売当時すぐに読んだわたしからすると、ちょっと驚きだ。もうずいぶん経ったものだ……読んで、ああ、これはすごい小説だと思ったが、以降、シリーズとして、第2作目の『図書館内乱』、3作目の『図書館危機』、そして完結編となる『図書館革命』という4冊が発売になり、さらに加えて、番外編というかキャラクターごとのスピンオフも2冊出版されている。全て非常に売れている作品だ。また、既にアニメ化・漫画化も行われており、数多くにファンに愛されているすごいコンテンツである。
 実写映画は、今回2作目。前作は2013年に公開されたが、基本的には第1巻の『図書館戦争』に沿った展開であった。そして今回の『The Last Mission』は、原作でいうところの第3巻『危機』の内容を踏襲している。てことは、2作目の『内乱』はどうなった? とまあ普通は思うことだと思うが、その第2巻の内容は、先週TBSで放送された(この映画はTBS主幹事製作)、スペシャルドラマ『図書館戦争 ブック・オブ・メモリーズ』で描かれている。ので、そちらを見る必要がある。この『内乱』にあたるドラマでは、主人公・笠原郁と両親の関係を描くエピソードや小牧と毬江ちゃんのエピソード、それから手塚と兄と柴崎の関係性も描かれているので、派手な戦闘は控えめではあるものの、シリーズ全体から見るとかなり重要だと思う。すぐに再放送されることはまあ常識的に考えて難しいとは思うが、見逃した方は、どうやら今日、DVD/Blu-rayが発売になったようなので、そちらを見ていただきたい。こちらのドラマも非常に良かった。
図書館戦争 BOOK OF MEMORIES [Blu-ray]
岡田准一
KADOKAWA / 角川書店
2015-10-14

 で。今回の映画第2作『The Last Misson』である。原作とは若干の違いがあったが、正直全く問題なし。非常に流れもよく、うまく2時間にまとまっていた。監督と脚本は、第1作から引き続き佐藤信介監督と野木亜紀子さんのコンビだ。パンフレットによれば、有川先生がとても信頼する二人だそうで、野木さんはTVドラマ『空飛ぶ広報室』でも有川作品を手がけており、おそらく、有川作品への愛が最も深い脚本家ということのようだ。先ほども書いた通り、物語は若干原作よりも駆け足展開だが、映画として何ら齟齬はなく、問題はない。一つだけ注文を付けるとしたら、何か季節を表すセリフなり情景が欲しかった。何しろ、現在の現実世界は秋である。が、映画世界は春になる少し前(これ原作通り)で、キャラクターはコートを着ている。ひょっとしたら、原作を読んでいない人だと、年末に向かう冬だと思ってしまうかもしれないので、何かちょっとした季節感を表すものが欲しかったかもしれない。ちなみに、この『図書館戦争』という作品では、「カミツレ」という花が重要な意味を持っているのだが、さっきいろいろ調べたところによると、この花は春の花で、3月~5月あたりに咲く花なのだそうだ。花言葉は「逆境に耐える」。作中では極めて意味が深い。ちなみに、我々としては「カモミール」という名の方が知られているだろう。ハーブティーやハーブアロマオイルでおなじみのアレだ。「カミツレ」とは「カモミール」の和名なんですって。へえ~。まあ、「カミツレ」が咲いている=「春」ということで、季節感を表現できているとも言えるのかもしれないが、なんとなく、わたしにはクリスマスへ向かう雰囲気のように見えて、ちょっとだけ気になった。

 キャストもまた、前作から引き続き同じメンバーである。主役の郁、堂上のコンビは、かの「ダ・ヴィンチ」の有川先生特集の号において実施された、「映画化するならキャストは誰がいい?」投票で1位になった榮倉奈々ちゃんと岡田准一くんのコンビである。原作では、この二人は背の高さのギャップがあって、女子の郁の方が背が高く、男の堂上の方がちょっと背が低い設定になっていてそこがまたひとつのポイントなのだが、きっちりそれも映画で実現している。しっかしホントに、榮倉ちゃんはデカイ。顔が非常に童顔なだけに、なんだかひょろっとした不思議な感じがするが、だがそれがいい、のであろう。前作のときに舞台あいさつで遠くから本人を目撃したのだが、実際非常にかわいい女子でした。なんというか、芝居ぶりが非常に、原作読者が想像していた「笠原 郁」そのものなのだ。とてもいいと思います。一方、岡田くんも、おそらくはジャニーズNo.1の演技力で、去年の日本アカデミー賞では、最優秀主演男優賞と最優秀助演男優賞を同年ダブル受賞した実力派である。去年のNHK大河ドラマ『軍師 官兵衛』でも、素晴らしい演技を披露してくれたことは記憶に新しい。また、この映画には、偶然なんだろうけど『官兵衛』のキャストが数人出ている。岡田くん演じる堂上の相棒である小牧を演じたのは、田中圭くん。『官兵衛』では、石田三成をイヤ~な奴として見事に演じていた。また、今回の映画からの新キャラ(※実際は2作目『内乱』にあたるスペシャルTVドラマで既にチラッとお目見え済み)である、手塚 慧には、わたしにとってはシンケンレッドでおなじみの松坂桃李くんがカッコよくエントリー。彼は『官兵衛』では岡田くんの息子、すなわち黒田官兵衛の息子たる黒田長政を演じた男だ。どこかで聞いた話では、桃李くんは今でも岡田くんのことを「父上」と呼んでいるそうですよ。そして長政といえば、三成ぶっ殺し隊のリーダー格であるので、不思議な因縁のキャストになっているが、まあ、偶然でしょうな。しかし、桃李くんは本当にカッコよくなった。もちろん、デビュー作の『侍戦隊シンケンジャー』のシンケンレッドの時からカッコ良かったが、どんどんそのカッコ良さは磨かれているように思う。また、劇中で弟役となる福士蒼汰くんも、デビュー作『仮面ライダー・フォーゼ』から見事に成長し、すっかりイケメンとしておなじみとなった。なんだか見るたびに痩せていっているような気がするが、今後も頑張って活躍してほしいものだ。
 ちなみに、どうでもいいことを一つ付け加えておくと、先ほど前作を観たときにキャストの舞台挨拶を観たと書いたが、その時のわたしの印象に一番強く残っているのが栗山千明様だ。劇中でも非常に、まさしく原作でイメージしていた通りの柴崎を演じているが、本人のちびっ子さ、華奢さ、そして、マジでハンパないオーラというか、完全に一般人が気安く声をかけることはできないような、超絶な可愛さは、本当にビビった。はあ……千明様と京都に旅に出たいわ……いや、無理ですけどね。

 というわけで、結論。
 脚本もキャストも演出も、すべて良かったと思う。おそらく、この映画を観た有川先生はきっとうれしいだろうなと想像する。有川先生の作品に共通するのは、キャラクターが常に、心にやましいところのないように、まったくもってまっとうで、真っ直ぐに生きようとしている人々を描いている点にあると思う。だから、読んでいる我々は、自らを省みて、ちょっと自らを恥ずかしく思うこともあるし、また、同時に深く感情移入できてしまう。「こうでありたかった自分」を思い出さずにいられないのだ。また、普段の生活ではまったく自覚していない、自らの不用意な言葉や行いが、どれだけ他者に影響を与えてしまうかを振り返らせてくれることもある。そういう点が魅力なのだと思う。『図書館戦争』も実際のところそういう部分はあり、映画でも存分にその魅力は伝わったのではなかろうか。興行収入が前作を超えるとうれしいのだが。
(※10/21追記:興行収入が2週目まで出ている→こちらを参照)


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