既にこのBlogで何度も書いている通り、わたしは宝塚歌劇を愛しており、中でも星組推しで、そのTOPスター、ちえちゃんこと柚希礼音さんの大ファンであったわけだが、ちえちゃんは宝塚を卒業して次のステップへ旅立ち、代わって星組は、北翔海莉(通称みっちゃん)さんがTOPに就任した。相手役の娘役TOPも、ちえちゃんと6年間のお相手を務めた夢咲ねねちゃんが添い遂げ退団(一緒に卒業すること)したため、新たに妃海風ちゃん(ひなみ ふう:通称ふうちゃん)がみっちゃんさんのお相手に就任した。
 というわけで、新たなTOPスターコンビを迎えた新生・星組の記念すべき大劇場お披露目公演が、わたしが昨日観てきた『GUYS &DOLLS』である。結論から言うと、いやー、本当に素晴らしかった。これからもわたし、星組イチ推しで応援します!! (※なお、大劇場公演の前に、既に全国ツアーではお披露目済みではあります)

 北翔さんは、元々月組→宙組→専科という経歴を持つ実力派である。ただ残念なことに、星組推しのわたしは月組・宙組時代を観たことがなく、専科に移ってからの『ナポレオン』『エリザベート』の2作しか観ていない。脇を固める渋い実力派ということしか知らなかったので、ちえちゃんに代わる星組TOP就任のニュースは少なからず驚いた。わたしはてっきり、ちえちゃん率いる星組2番手の紅ゆずる(通称:べに子)さんが後を継ぐのであろうと思っていたので、あ、そうなんだ、ええと、誰だっけ? と大変失礼なことを思ったものだ。あとで、あ、『エリザベート』のフランツか、そりゃまた渋いですな? とそんなひどいことさえ思った。そして、昨日の公演を観るまでは、WOWOWの「宝塚プルミエール」やMXTVの「TAKARAZUKA Cafe Break」といった番組でも、非常に回りに気を遣っているというか、なんとなくご本人も「ごめんなさいね、わたしがTOPになっちゃって……」みたいな雰囲気を感じていたので「ホント大丈夫ですかね?」なんて失礼なことを、わたしのヅカ師匠のお姉さまに言ったところ、「バカをおっしゃい!! 北翔さんは、現役の中で歌、ダンス、芝居のすべてが抜群に上手な素晴らしいジェンヌよ!!」と激しく怒られてしまった。あわわ……ご、ごめんなさい!! とわたしとしては土下座する勢いで謝るしかない。

 というわけで、若干の心配と期待をこめて、昨日は日比谷の東京宝塚劇場に推参したのである。が、最初に言ったとおり、そんな不安はまったく杞憂であった。師匠の言ったとおり、みっちゃんさんは抜群に歌も芝居もダンスも、三拍子そろった非常にレベルの高いTOPスターであった。いやー、この人は上手い。大変失礼ながら、現状のTOPスターの中でも歌と芝居とダンスの整った上手さでは、ひょっとしたらナンバーワンではなかろうかとさえ思った。
 今回の『GUYS&DOLLS』は、知っている人ならもう常識だが、元々はブロードウェーミュージカルである。 宝塚でも過去2回上演されていて、今回が3回目の再々演ということになるそうだ。そしてみっちゃんさんは2回目の再演が2002年に月組で上演されたときにも出演していて、自身よく分かっている演目でもある。
 内容は、非常に陽気なコメディータッチで、今回は、主役のみっちゃんさんの素晴らしさはもちろんのこと、他にも特に主人公の友人(?)であるネイサンとその婚約者アデレイドの二人が抜群に良かった。そのネイサンを演じたのは、わたしが大好きなべに子ちゃんである。これがもう、超はまり役で、元来バリバリの関西人である彼女の陽気さがあふれていて、調子のいい陽気な悪い奴、という役をノリノリで演じてくれていた。なんだか、これはアドリブか? というような部分も多くて、非常に楽しめた。べに子、あんたも最高だよ。今年の5月だったかに、ちえちゃん退団直前のお茶会と呼ばれるファンミーティングに師匠と行ったときは、べに子も来てくれて会場をとても盛り上げてくれた。ちえちゃんとたぶん一番仲の良かったべに子。これからも応援するからな!!
 そして一方の婚約者アデレイドは、今、わたしが星組で一番推しているといっても過言ではない、礼真琴(通称ことちゃん)ちゃんがかわいらしく演じていて、驚いた。驚いたというのは何故かというと、ことちゃんは、男役ジェンヌなのである。普段は男役が専門なのだ。そのことちゃんが、女性を演じている時点でわたしにとっては驚きなのである。そしてまた、その可愛いことといったら、もうそりゃあ、観ていただくしかなかろう。すっごく良かったし、抜群に歌も良かった。ことちゃんは、95期生だから、まだ25歳前後だと思うけれど、TOPスターの必須条件である新人公演主役を何度も務めており、おそらくは数年後にはTOPまで行き着けるのではないかと期待しているが、とにかく、歌がものすごく上手くて、わたしはこの2年ぐらい注目している。女性役も非常に良かった。ことちゃんは、男役としては若干背が低いのだが、それでもやっぱり、ヒロイン役のふうちゃんと並ぶとかなり背の高さが違うなと思った。なんだろう、何故かわたしは、今回のことちゃんは、顔も歌も30年前の若き頃の中森明菜さんにすごく似てると思った。現在、わたしはことちゃんのファンクラブに入ったほうがいいんじゃねえかな、と本気で悩んでいる。でも、キモイおっさんがお茶会に行ったら迷惑かもな……まあ、とにかくずっと応援していきたい。
 で、娘役の新TOPのふうちゃんだが、これまた非常に可愛らしい女子で、酔っ払ったところの演技など、大変によろしゅうございました。いいね。とてもいい。歌も芝居もまったくもって上等。今回は2幕モノなのでショーはなかったが、ダンスぶりを今後チェックしていきたい。まあ華奢ですな、とても。それに、やっぱり非常にフレッシュですよ。これは各組で共通して言えることだと思うが、娘役TOPも世代交代完了といった感がある。今までわたしは、娘役はあまり注目していなかったのだが、今後は各組の娘TOPもちゃんと応援していきたい所存である。
 なお、昨日は舞台制御プログラム(?)の不調で、1幕終了まであと5分ぐらいというところでマイクが反応しなくなり、9列目のわたしはきちんと聞こえたのだが、銀橋で歌うみっちゃんさん&ふうちゃんの歌のところで一時中断、20分ぐらい調整作業が続くというハプニングがあったが、わたしとしては、だってしょうがないよ、と思うのでまあお咎めなしとしたい。あんなこと初めてで驚いたけど。

 というわけで、結論。
 新生・星組による『GUYS&DOLLS』は、ヅカファンならば絶対に必見であると断言しよう。芝居自体もとても面白いし、北翔海莉率いる新たな星組の勇姿を、ぜひ堪能していただきたい。

↓ べに子主演の『Gone with the Wind』。オレ観てないんだよなあ……。観に行きたかった……!!