わたしが宝塚歌劇にハマったのは、2010年2月に、日比谷の東京宝塚劇場で初めて観に行った時からのことなので、もう8年前になる。その公演は星組公演で、当時のTOPスター、柚希礼音さんがウルトラカッコよくて、一発KO&Falling LOVEとなったわけだが、今思い返すと、もしわたしがあの時初めて観た作品が星組の作品でなかったら、もっと言えばあの時の柚希礼音さん(以下:ちえちゃん)でなかったなら、ここまで宝塚歌劇を愛するようになったか、かなり怪しいような気がする。あの当時、ちえちゃんはまだTOPに就任して半年経過したばかりであり、大劇場作品2作目であったのだから、ホントに奇跡的にナイスタイミングであったように思う。
 そのちえちゃんも、2015年の春に宝塚歌劇団を退団し、既にもう2年半以上が過ぎた。退団してからも、ちえちゃんはコンサートやミュージカル、あるいはシェイクスピア作品などに出演を続け、わたしも恐らくはほぼすべてを劇場へ応援に駆け付けているわけだが、今回とうとう、「本格的なミュージカルの主演女優」として舞台に立つこととなった。まあ、わたしがあえて「本格的」といったのには訳があるのだが、それは後で書くとして、その作品こそ、わたしが今日観てきた『マタ・ハリ』という作品である。
 まあ、結論から言うと素晴らしい歌に酔いしれることができ、大満足だったわけだが、やっぱり、ちえちゃんは最高ですな!というのが、観てきて興奮冷めやらぬわたしの今抱いている感想である。ホント、あんなにカッコいい男役だったのに、もうすっかり女子も板についてきましたなあ!

 まずはお話を簡単にまとめておこう。舞台は第1次大戦中のヨーロッパである。パリの人気ダンサー、マタ・ハリという女性は、その人気はヨーロッパ全土?を席巻していて、戦時中であるにもかかわらず、フランス国内でだけではなく、敵国ドイツへも招かれるほどで、要するに国外どこへでも顔パス的に行くことができていた。そこにフランス情報部のラドゥー大佐は目をつけ、マタ・ハリをフランスのスパイに利用しようとする。そのため、部下のアルマンをマタ・ハリに接近させるのだが、アルマンとマタ・ハリは、本当の恋に落ちてしまい……てな展開である。サーセン、かなりはしょりました。
 わたしは全然予習していかなかったので、プログラムを買って読むまで知らなかったのだが、この「マタ・ハリ」という女性は、実在の人物なのだそうだ。しかし! もしこれから『マタ・ハリ』を観ようと思っている方は、絶対にWikiで調べてはいけません! その運命を知らないで観た方がいいと思うな……わたしはうっかり、1幕が終わった幕間で調べてしまい、最後どのようなことになるか知ってしまったので、うわ、これは知らない方がよかった、と後悔しました。観劇後に、心行くまで調べる方がいいと思います。
 いずれにせよ、1幕はマタ・ハリとアルマンが出合い、愛し合うようになるけれど、ラドゥーの指令を無視しようとするアルマンが、マタ・ハリ運営エージェントの任を解かれ、空軍パイロットとして前線に送られてしまい、マタ・ハリとの仲を引き裂かれるところまでであった。で、2幕では、撃墜されたけれど命は助かり、ベルリンの病院にアルマンがいることを知ったマタ・ハリが、危険を冒してベルリンへ行くことになる。そして結果的には、そのベルリン行きがマタ・ハリの運命を決めてしまうという展開で、観ていて話は分かりやすい。
 しかし、ズバリ言うと、わたしはそれほど物語には感動しなかった。どうしてなのか、我ながら謎だけれど、たぶんわたしは、恋愛に醒めているせいなんだと思う。それに、正直に告白すると、ラドゥー大佐の心情がちょっと良くわからないというか……まあ、彼は愛より仕事を取ったってことでいいのかな? いや、そもそもラドゥーはマタ・ハリを愛していたわけではないってこと? いやいや、えーと……? という感じで、いまだわたしは良くわかっていない。ズバリ冷たい男で、エンディングはちょっと驚いたすね。
 しかし、だ。だからと言ってつまらなかったかというと、全然そんなことはなく。はっきり言ってもう、最高に良かったと思う。なぜなら、歌が最強に素晴らしいからだ。この点が、わたしが冒頭で「本格的な」ミュージカルというゆえんで、今までちえちゃんが退団後に出演してきた作品は、去年の『ビリー・エリオット』以外は正直ミュージカルとしていまいちだったような気がするんすよね……。『ビリー』はもちろん素晴らしかったけれど、主役じゃあないし。なので、わたしは本作が、ちえちゃん退団後初の本格ミュージカル主演だと思うのだ。
 なにしろ、本作の楽曲を担当したのは、ズカファンにはお馴染みのフランク・ワイルドホーンおじさんである。この人の曲は、ほんと毎回イイんすよ! このBlogでわたしが何度も書いている『スカーレット・ピンパーネル』もワイルドホーンおじさんの作品だし、最近では先日の雪組の『ひかりふる路』もワイルドホーンおじさんの作曲だった。ちえちゃんが2番手時代に出演し、その超絶なカッコよさを発揮したのがまさに『スカーレット・ピンパーネル』という作品なわけで、なんつうかですね……すごいドラマチック? というか、キャラクターの心情の吐露が、超絶に爆発してるんすよね。これはもう、生でその歌を聞かないと伝わらないかもしれないけれど、とにかく、本当にすごいエネルギーで、もう圧倒されるのです。
 そういう意味では、わたしが心情がよくわからんと思ったラドゥー大佐も、歌は超イイんすよ。でも、物語としてどうも納得できないというか……うーん、この辺りはうまく説明できないです。脚本か演出の問題? なのかもしれないし、単にわたしが人の心を理解できないボンクラ野郎だってことなのかもしれない。まあ、後者の可能性が高いですな、たぶん。
 というわけで、キャストを紹介して終わりにしよう。まずはもちろん、主役マタ・ハリを演じたちえちゃんだ。

 今回の衣装は大変布の面積の少ないもので、大変眼福でありました。しかしちえちゃんの体は本当に美しいですなあ……! 明らかに鍛え上げられた肉体美のような、そこらの女優とは違いますな。腹筋の何と美しいことよ! そしてその腹筋からのウエストラインの何とセクシーなことよ!! 腕も足も、きっちり鍛えられていて、まさしく美しいとしか言いようがないす。ちえちゃんは元々バレエダンサーなわけで、しなやかでいて強靭な、大変美しい肉体を維持されているのがとてもうれしく思う。もともと歌が苦手だったちえちゃんも、たゆまない鍛錬によって得た歌唱力で「伝説=LEGEND」とも呼ばれるTOPスターの登りつめたわけで、わたしは本当にちえちゃんのかすれ系な低めの歌声が大好きです。今回はかつての男役の声ではなく、今のちえちゃんの女性としての声だけれど、まぎれもなく慣れ親しんだちえちゃんヴォイスで、今回は本当にイイ歌満載で大満足でありました。ホント最高です。
 そして冷徹?なラドゥー大佐を演じたのは加藤和樹くん。

 彼はもうわたし的にはお馴染みの男でこのBlogでも何度も触れているけれど、かつて、10年以上前に観た『テニスの王子様ミュージカル』での跡部様から見事に成長しましたなあ。去年観た『レディ・べス』でも見事だったけれど今回の歌もとても良かったです。
 そしてマタ・ハリを落とす任務のはずが、本気LOVEに落ちてしまうアルマンを演じたのが東啓介くんだ。

 彼は去年ACTシアターで観た『スカーレット・ピンパーネル』にも、ピンパーネル団の一人、ハルという役で出演してましたね。キャリアとしては主に2.5次元系で活躍していたそうで、なんと『弱虫ペダル』では葦木場君の役を演じてたそうですね。そう、知ってる方には説明不要ですが、葦木場君といえば、箱根学園のエースで身長2mのデカイ男ですが、まさしくこの東くんも、超デカイ! さっきWikiで調べたら身長187cmだそうですな。加藤くんだって181cmあるのに、段違いにデカくて、見た目2mちかいか?ぐらいに見えました。歌もどんどん良くなってますよ。間違いなく彼も、不断の努力を続けているのでしょうな。今後も様々な作品で出会うことになると思うので、成長を見守りながら応援したいすね。
 しかし驚きなのが、加藤和樹くんは、今日わたしが観た回ではラドゥー大佐を渋く演じていたわけだけれど、今日の夜公演ではこのアルマンを演じているそうで、まあいわゆるWキャストだけど、よくもまあ、正反対とも言えそうな役を演じ分けられるものですなあ。すごいや。つうか、そもそもこの圧倒的なエネルギーの詰まった作品を1日2回公演するってだけでも、常人には計り知れぬ努力と気合が必要だと思う。加藤和樹くんはやっぱり只者ではないすね。『テニミュ』の跡部様や、仮面ライダードレイクを演じていたころが懐かしいすな。両方リアルタイムで観ていたわたしには大変感慨深いすね。
 あともう一人だけ紹介しておこう。マタ・ハリの衣装係兼お世話係の女子を、元宙組の和音美桜さんが演じていた。

 わたしは2010年から宝塚歌劇を観始めた男なので、2008年に退団された和音さんの現役時代は知らないのだが……今回、1曲だけソロ曲があるのだが……超巧い!!! そう、このお方は、わたしは去年の『レディ・べス』でのアン・ブーリン役だったり、2011年かな、帝劇で観た『レミゼ』のファンテーヌだったり、実は何度もその実力を目の当たりにしてきて、その実力は良く知ってるつもりでした。でも今回、わたしはキャストすら予習していかなかったんすよね……なので、歌を聴くまで和音さんだと気づいていなかったのです。アホだった……でも、歌声で、あれっ? あっ!? っとすぐ気が付きました。マジで最強クラスに歌ウマですよ。またどこかでお会いしましょう! 今度は必ず、すぐに気づくと思います!

 というわけで、結論。
 わたしがいまだに大好きで愛してやまないちえちゃんこと柚希礼音さん主演の本格ミュージカル『マタ・ハリ』を観てきた。席は14列目と、もうチョイ前だったらなあ、とか思っていたのだが、会場に着いてみたら、5列目ぐらいまで? オーケストラピットでつぶされていて、実質的には10列目ぐらいだったので、大変よく見えて満足であった。そしてそんな近いのに、わたしは双眼鏡でちえちゃんの腹筋をガン見しておりました。さらに、数々の歌もいちいち圧倒的な熱量で、要するにですね、ホントにもう最高でした! とにかく歌がイイ! 加藤くんも東くんも実に良かった。この圧倒的なパフォーマンスを1日2回上演するというだけでもすごいのに、加藤くんは役替わりで正反対のキャラを演じ分けるという技も見せてくれているようで、ただただ感服いたします。なお、一緒に観に行った後輩女子に、オレ、ちえちゃんの腹筋に触りてえ、つうか、もし許されるなら噛みつきたい……と言ったら、冷静に「逮捕されますよ」と返されました。ホントサーセンっした。とにかく、ちえちゃんは最高です。以上。

↓こういう本も出版されてるんですなあ……全然勉強不足でした……。
マタ・ハリ伝: 100年目の真実
サム ワーヘナー
えにし書房
2017-12-26