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 はあ……マジで宝塚歌劇は最高っすねえ……。
 劇場の中にいる3時間だけは、つらい日常を忘れさせてくれる最高のひと時なんだけど、劇場を出た瞬間から、急いで家に帰って母の介護をしないと、という地獄が待っていて、本当にもう疲れたよ。
 というわけで、昨日は一日仕事を休みにして、愛する宝塚歌劇を観るために、7:25羽田発のJAL便で空路伊丹へ飛び、宝塚大劇場へ行ってまいりました。
 目的はもちろん、わたしが一番応援している星組公演を観るため、であります。このところ本当に東京でのチケットが当たらないことが多くて、星組だけは見逃したくないという思いで、大劇場のチケットに応募し、無事当選となったわけです。あと、またしてもCOVID-19の感染拡大も見られていることから、いつまた公演が中止になるか分からんという不安な情勢でもあるため、さっさと観に行ってこよう、と思ったのでした。ちなみに今日、東京公演の宝塚友の会抽選結果のメールが来ましたが、無事1枚当選したので、結果的には昨日行かなくても大丈夫だったわけだけど、まあ、実に最高でしたので、当然東京でも、COVID-19の影響がなければ、もう一度見るつもりです。来年の2月とずいぶん先だけど。
 ところで、東京に住むわたしはこれまで過去に10回以上は大劇場へ遠征しているのですが、今回初めて、飛行機を使ってみることにしました。ふと、そういや宝塚から新大阪へ行くより、伊丹空港の方が断然近いんじゃね? と思ったからで、調べてみると、航空券も早めに買えば新幹線より安く、さらに時間も、劇場を出てから家に着くまでのトータルタイムとしては1時間近く飛行機の方が早い、ということを今さら知ったからであります。ただ、帰りは、新幹線ならば新大阪についた時点で、ホームに急ぎ、そこに来た便に飛び乗るという技も使えるけど、飛行機ではそうはいかず、14:05に終わり、果たして急いで伊丹空港へ行って最速の飛行機はどれじゃろか? という点はかなり悩みました。
 どうやら伊丹発羽田行きの飛行機は、ANAが毎時00分で1時間おきぐらいバンバン出ていて、JALは毎時30分で同じく1時間おきに出ているようで、結論としては、15:30伊丹発のJAL便にしたんすけど、今回計測したところ、14:20宝塚駅発の阪急電車に乗って、蛍池でモノレールに乗り換え、伊丹空港に着くのが14:50ぐらいでした。なので、保安所抜けるのにも時間かかるし、時間的には15:00発のANA便に乗るのはギリ無理、でした。あと10分早く空港につかないとダメだね。なので、わたしが選んだ15:30発のJAL便が最速だったみたいです。まあ、これはこれで、経験値として分かったのは収穫でした。ちなみに確か、わたしのこれまでの最速は、14:58新大阪発の新幹線のぞみに乗れた時だったので、やっぱり伊丹空港の方がちょっと近い、みたいですね。いつもは新大阪でお土産を物色する時間もなく新幹線に飛び乗ってたけど、今回はちょっとだけ、空港の売店を冷やかす時間もありました。
 さてと。全くどうでもいい前置きが長くなりましたが、星組公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT』であります。久しぶりにチケット画像を貼っておこう。まあまあいい席でした。
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 今回のお話は、「2017年にNHKのオーディオドラマで放送され、13世紀のジョージア(旧グルジア)を舞台としたドラマティックな歴史ロマンとして好評を博した並木陽氏の小説「斜陽の国のルスダン」を、浪漫溢れるミュージカル作品として宝塚歌劇で舞台化」したものだそうですが、わたしは残念ながら原作も読んでませんし、オーディオドラマも聴いていません。
 要するに全く予習なしで観たわけですが、大変興味深い、悲しいお話でありました。これって史実に沿ってるのかな? あー、なるほど、今ざっとWikiを観た限り、ギオルギ王やその妹で後に女王となるルスダンや征服者ジャラールッディーンは史実に沿ってるんだな。そうなんだ。なるほど。第5回十字軍の頃の話なんだな……俄然興味が湧いて来たわ。
 ともあれ。今回のお話は、宝塚歌劇の演目としてはかなり珍しく(少なくともヅカ歴13年目のわたしとしてはほぼ記憶にない)、ポスターに「キャッチコピー」が入っていました。
 そのキャッチ曰く――「勇気とは、何か?」
 本作は、まさしく「勇気」を巡るお話だったと観劇後の今では思います。モンゴル帝国の侵略、そしてキリスト教国として、イスラム教徒の侵略に対抗するジョージアという国において、「勇気」を示した男と女の、実に悲しいお話なわけですが、わたしはかなりグッときました。
 詳しい物語は説明しませんが、愛する者のために身を挺するのも、勇気の一つの形なのでしょう。それは、冒頭のギオルギ王と妻の悲しい別れから始まり、ラストに至るまで、一貫して流れるメインテーマだったと思います。大変面白かった、というのが結論であります。最高でした。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌについて備忘録としてメモしてまいりたいと思います。書いていく順番は、ストーリーを分かりやすく、この人から行きましょう。
 ◆ギオルギ王:ジョージアを治める王。戦いのさなかに受けた傷がもとで、死んでしまう。そして妹のルスダンがその後を継ぐ。演じたのは、再び花組へ戻ることが決まっている綺城ひか理くん。実に渋い、いい演技でした! 綺城くんは特徴的な低音ボイスですが、何気に高い身長も、今回のような役は似合いますな。大変良かったと思います。
 ◆パテシバ:ギオルギ王の妻。ギオルギ王も彼女にぞっこんなわけですが、彼女はその血筋(平民出身)から、国内では批判を受けたりしていて、「愛するがゆえに別れる」決断をする。これもまた、勇気なんでしょう。そして演じた有紗瞳ちゃん(以下:くらっち)が超素晴らしかったですねえ!! 超最高だったと存じます! わたしは今回のくらっちを観て、こりゃあ次の『1789』のアントワネットはくらっちであろう、と確信いたしました。いや、まあ配役が発表されないと分からないけれど、今回の役は、とてもアントワネットに似ていたように思います。今からホント楽しみっすね! いつも遠征の時に宝塚駅のエスカレーター前にドーンと掲示された泉州池田銀行の(東京にはまず存在しない)看板で出迎えてくれるくらっち。確実にTOP娘役の器を持った素晴らしいジェンヌだと思うんだけど……報われる時が来ることを祈っております。。。
 ◆ルスダン:物語のヒロイン。ギオルギ王の妹であり、ギオルギ王の遺言により、次期女王に即位する女性。演じたのは当然星組TOP娘役の舞空瞳ちゃん(以下:なこちゃん)。なこちゃんは今回も難しい役だったすねえ……そして実に見事でした。なこちゃんのエンジェルスマイルは当然最高だけど、なこちゃんのお芝居の真骨頂は、苦しげに眉をひそめた悩める姿かもしれないす。実に実に最高でした。
 ◆ディミトリ:主人公。子供の頃、人質としてジョージアに預けられたイスラム教国の皇子。ルスダンと一緒に育った幼馴染であり、ともに愛し合う仲。ルスダンが即位するときに結婚、王の助言役としてルスダンに推挙されるが、よそ者出身ということで議会や軍は認めず、さらに裏切りを疑われ追放され……と極めてつらい目に遭う。ディミトリの「勇気」に涙していただきたいす。演じたのは、これまた当然、星組TOPスター礼真琴さん(以下:こっちん)。いやあ、今回は歌率がちょっと高めで、こっちんの歌に酔いしれタイムもあるので、超最高でした。でも、一つ懸念されるのは、やっぱりどうしてもこっちんは「少年」っぽい役に限定されつつあるんすよね……次の『1789』のロナンはまさしくぴったりで待ち遠しいけれど、例えばこっちんにはギャッツビーとかネバセイは厳しいかもなわけで……。。。でも、わたし的に今のところTOPスターとしてのこっちんベストアクトは柳生十兵衛なので、ああいう渋めのカッコいい系の役をもっと見たいと思うっす。ともあれ、今回のディミトリは最高でした! 衣装もとても美しくお似合いだったよ!
 ◆ジャラルッディーン:ジョージアに迫るイスラム教国の王。モンゴルに対抗すべく(?)、ジョージアを併合するためにルスダンとの結婚を迫る。こう書くと、今回の悪い奴、のように思えるけれど、実は話の分かる結構イイ人だったと思います。演じたのは生粋の星組生でありこっちんの頼れる同期の瀬央ゆりあくん(以下:せおっち)。いやあ、せおっちもとてもカッコ良かったですね! 貫禄あるし強そうだし、実にジャラルッディーン王らしく最高でした! 次の『1789』では、アルトア伯はせおっちで決まりでしょうな、きっと。初演の超最高だった美弥ちゃんを凌ぐアルトア伯に期待したいっすね。
 ◆アヴァク:ジョージアの宰相の息子で軍人副宰相。強そう。戦場でギオルギ王を守れなかったディミトリを認めない意地悪な奴と思いきや、国への忠誠心(強いて言えばギオルギ王への忠誠心)は篤く、信頼できる男でした。演じたのは、いよいよ星組生として大劇場作品初登場、月組の御曹司だった暁千星くん(以下:ありちゃん)。いやあ、ありちゃん、最高じゃないすか! もちろん月組時代から最高だったけれど、既に星組に超なじんでるように見えます。とくに、ショーでのありちゃんが最高of最高だったすね! 相変わらずの身体能力の高さは、こっちんに並び立つにふさわしい技量をお持ちですね。実に見事だし、星組へようこそ! であります!! しかし、ありちゃんがやってきたことによって、せおっちの2番手羽根は没収、今回は番手ぼかしの片羽根だったのが、なんかアレっすなあ……。
 とまあ、メインキャラは以上なんですが、ジャラルッディーンの腹心を演じた天華えまくん、かわいそうな白人奴隷を演じた極美慎くん、アヴァクの父を演じたひろ香祐くんなど、みんなとても良かったです。あと、花の精(?)を演じた3人娘、小桜ほのかちゃん、瑠璃花夏ちゃん、詩ちづるちゃんたちもいいですねえ~! なんか、今回結構みんなにソロ曲(≒ソロパート)があったような気がします。
 で、後半はショー『JAGUAR BEAT』であります。
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 今回のショーでわたしが備忘録としてメモしておきたいことは、2つあって、まず、わたしが現在の星組の若手でイチオシの天飛華音くんが、なんか痩せた?のか、すごいシュッとしていて、イケメン度がUPしていたことです。ちょっと今までと印象が変わったように思いました。今回の新公主役だし、さまざまなことが、心と体に影響してるんだろうな、と思います。そして2つ目は、いよいよ超絶サラブレッドの稀惺かずとくんがだんだんセンター付近や別扱いになりつつあることです。新公ではありちゃんの役をやるみたいだし、ショーでの銀橋渡りも、今回あったような気がします。この二人の今後が楽しみっすね!! あと、どうでもいいけど、みんなが揃って、「ジャガー」という単語を、「ジャッグワァ~」と発声してたのがなんか気に入りました笑 ちょっと文字では表現できないので、意味が通じないと思いますが、たぶん、ご覧になれば、わたしが何をってるかわかると思います。

 てなわけで、本当はもっと書きたいことはあるんだけど、もう長いので、この辺にしておきます。いつもの「イケ台詞」は、東京で観てからまた改めて。

 というわけで、結論。
 星組大劇場公演『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~/JAGUAR BEAT』を、東京に先駆けて大劇場へ遠征して観てまいりました。たしか初めて遠征したのは2015年のちえちゃん卒業公演でしたが、8年目にして初めて飛行機で遠征して観たところ、新幹線より快適かも、と認識を新たにしました。まあ、以前は遠征したら翌日は京都に寄ってみるとか、観光もしてたんすけど、もう完全に観たらすぐ帰るという遠征なので、飛行機で行くのは断然アリ、だと思います。今更だけど。羽田まで車をかっ飛ばしていくのもアリかもな。その方が家に帰りつく時間はさらに30分ぐらい早いかも。今度やってみよう。で、肝心の公演の感想ですが、一言で言えばとても良かったです。面白かったし、ショーも満足であります。とりわけ、今回はありちゃんが星組生となって初めてわたしは観たので、今後が楽しみだし、若手の成長も、とても楽しみであります。稀惺くんはどう育っていくのかなあ……もうチョイ、歌や芝居をじっくり観察したいっすね。実力のほどは、まだ実はよく分からないっす。そしてこっちんも、TOP就任から3年が終わろうとしており、当然熟成も進んでいるわけで、まだまだ応援してゆく所存であります。2024年の大運動会で暴れるこっちんが見たいっすな! 以上。

↓ やっぱりちょっと読んでみようかと存じます。あっ! えっ!? 星海社なんだ!? ラノベってこと!?

 はあ……やっぱり宝塚歌劇は最高ですなあ!
 わたしはいつも「宝塚友の会」の抽選販売でチケットを購入しているわけですが、去年はやけにイイ席の当選が続き、そのラッキーぶりに無邪気に喜んでいたのだが、どうやらその運も使い果たしたようで、今年に入ってはさっぱり当選すらせず、東京のお正月公演である花組公演は全滅、結局観ることが出来なかった。大劇場公演を見逃すのはマジで数年ぶりのことで、大いに残念だったのだが……続く月組公演もまた全部ダメで、これは悲しい……と思っていたところ、わたしのヅカ友の中で最も美しい淑女が1枚分けてくださるというので、やっと観ることが出来たわけであります。持つべきものはヅカ友ですなあ。本当にありがとうございました。
 というわけで。わたしの今年の観劇1作目となる作品は、新TOPコンビの大劇場お披露目である月組公演『今夜、ロマンス劇場で』であります。わたしは星組イチオシだけど、2番目に応援してるのは月組であり、月組はわたしの目には現在一番戦力が整っていて、層の厚い、充実した組であるように映っておりまして、星組推しからすると非常にうらやましい思いであります。さらに、2015年の『1789』以来、ずっとずっと応援し続け、ついにTOP娘役に登り詰めた海乃美月さま(以下:うみちゃん)の華麗なお姿は、もう最高なのは間違いないわけで、要するにわたしは観劇するのを超楽しみにしておりました。
 結論から言うと、最高だったすね。マジで素晴らしかったっす!
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 今回は「スマチケ」なるもので入場したので、チケットは物理的には存在しません。ヅカ友の美しい淑女のスマホ画面を見せて入場するわけで、なんか、昭和の男としては物足りないっつうか、時代を感じるっすね。
 ところで、本作は、そのタイトルからも明らかな通り、綾瀬はるかさん主演の同名映画の舞台版ミュージカル化作品であります。ただ、映画版は、わたしはWOWOWで観ていたのですが、まあズバリ、綾瀬はるかさんがただただ可愛くて魅力的な作品であるのは間違いないけれど、相手役の主演男優は誰だったか名前を覚えてないような、作品として微妙作だとわたしは思っておりました。
 だけど、まあ、今回はうみちゃんが美しく可愛ければ良しッ! であるし、宝塚版ということは、間違いなく主役である月組新TOPスター、月城かなとさん(以下:れいこ)はカッコ良く美しいだろう、ということもまた確実なので、特に心配はしてなかったし、むしろ冒頭に記した通り、超楽しみにしておりました。
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 物語は、かつてわたしが高校生の頃に観たWoody Allen監督の映画『カイロの紫のバラ』を彷彿とさせるような、「映画のキャラクターが現実世界に迷い込んできた!」的なお話で、そこに「触れることが許されない」縛りを加えて、どこかで聞いたようなお話をいくつか混ぜあわせた感じの物語であります。まあ、だから映画版は微妙作だと思ったのかもしれないですが、どうでもいいけど、高校生時代のわたしは『カイロの紫のバラ』という作品が大好きだったのに、『ロマンス劇樹』の映画を観る予習として30年以上ぶりに『カイロ』を観たら、何だかこっちも微妙に思えてしまいました。おっさんになった今と、当時の男子高校生時代とでは、感性がまるで変ってるもんですなあ。。。これは純粋に残念で悲しいことだと思ったす。
 そんなことはともかく。
 今回の感想を各キャラごとに演じたジェンヌの紹介も含めて箇条書きで書き連ねてゆこうと思います。
 ◆牧野健司:映画会社「京映」所属の助監督。ズバリさえない青年だが、映画への愛は本物。どういうわけか、京映の社長令嬢に惚れられているが、まったくお嬢様には目もくれず、大好きな作品「お転婆姫と三獣士」のヒロインにぞっこんLOVEで、なじみの映画館「ロマンス劇場」を毎夜貸切って、一人鑑賞会を開いている。正直、ぱっとしない青年だと思う。社長令嬢が惚れる理由もよくわからん。人柄が誠実、ってことなんすかね。それにしちゃあ、ドジばっかり(?)の仕事人としてはかなり微妙だと思うのだが……。演じたのは、もちろん月組の新たなるTOPスターの月城かなとさん。まあ、れいこの美しさは現在のTOPスターの中でも随一でしょう。だけど、サーセン……なんか、TOPになって変わったというか……うまく言えないけれど……少なくとも上級生のちなつさんにタメ口をきくようなキャラではなかったはずなんだけどな……。最近そういう場面をプルミエールとかスカステで見かけて、なんかちょっと、アレだなあ、と思いつつあります。。。たま様が一度でもみやちゃんやちなつさんにタメ口聞いたことあるか? 絶対ないと思うんだけど。。。ただ、本作を観て、やっぱりれいこの芝居は素晴らしいし、歌も数年前と比べると格段にカッコ良くなって、TOPの風格は感じたっすね。その点はもう、さすがと称賛したいす。月組に来てもう5年か、早いなあ……。
 ◆美雪:映画「お転婆姫と三獣士」のヒロイン。作中世界の月の女神(?)に願いをかけ、モノクロの世界から「外の世界」である現実世界へ飛び出してきちゃったお転婆さん。基本的に強気でイケイケだが、色にあふれた現実世界に魅了される。かわゆい。演じたのは勿論、新たなる月組TOP娘役の海乃美月さま。わたしはこのBlogで、何度もうみちゃんのことを書いてきたけれど、ついにTOPに登り極めたうみちゃんを観ることが出来て、本当にうれしいです。最初に書いた通り、わたしがうみちゃんを初めて認識したのは2015年の『1789』だけど、あの時のオランプの可愛さは今でも覚えているよ。ちゃぴの次はうみちゃんだと思っていたのに、それが叶わなかったときは辛かったね。『エリザベート』の時のヴィンディッシュ嬢の素晴らしい演技も忘れられないね。『アンナ・カレーニナ』の美しさは息をのむばかりだったし、7年間見守ってきたけれど、うみちゃんは常に素晴らしかった思い出ばっかりです。今回も、実に美しく可愛く、強気なうみちゃんの若干のドヤ顔は最高だと思ったす。今後も応援するよ!
 ◆俊藤龍之介:京映の看板スターでやたらカッコいいイケメン。演じたのは月組正2番手スター鳳月杏さま(以下:ちなつさん)。ちなつさんは本当にこういう役がイイっすねえ! わたしのイメージでは、花組時代は悪役率が高かったような気がするけれど、月組に戻ってからは、なんかいつも面白おじさんというか、ちなつさんの、二枚目だけど愛されキャラ、みたいな芝居は大好きっす。今回は主人公の健司に超カッコイイアドバイスをするナイスガイでした。素晴らしかったっす!
 ◆山中伸太郎:健司の親友の助監督仲間。とてもイイ奴。出番は少ないけれど、やっぱり演じた風間柚乃くんの存在感はデカいすねえ。この人は間違いなく将来のTOPスターでしょうなあ。キラキラしてるもの。わたしは今年は風間くんのファンクラブに鞍替えしようかしら、とか思うぐらい、この人は強いオーラを持ってると思うす。芝居も歌も文句ナシ。今回も見事でした!
 ◆大蛇丸:映画「お転婆姫と三獣士」の世界で、美雪に求婚する隣の国の悪い(?)人。美雪を追って現実世界にやって来る。演じたのは、まさかの星組への組替えが発表されている暁千星くん(以下、ありちゃん)。月組ファンの皆さん、ごめん! 星組推しのわたしとしては、ありちゃんが星組に来てくれるなんて、超超うれしいっす! 月組の層の厚さに比べると、我が星組は現状人材不足……げふん、ごほん……いやあ、まさかありちゃんが来てくれるとはなあ! ありちゃんは98期首席、もう一気に星組2番手になっちゃっていいと思うんだけどね。今回、あらためて、ありちゃんはホント歌も良くなって、貫禄のような、分厚さみたいなものを感じたっす。とにかく、こっちん、なこちゃん、ありちゃんが並んで踊るショーが早く観たいっすね! 超大歓迎でお待ちしております!
 ◆その他のキャストのみなさん:もう月組は、何度も言うけど層が厚くて取りあげたい方々ばっかりなんすけど、まず、わたしの大好きな晴音アキちゃん、そしてどんな役でも目立って目が行ってしまう天紫珠李ちゃん、さらに雪からやってきた彩みちるちゃんの3人は、ホントにイイっすね。みちるちゃんは、わたしが初めて認識したのは『凱旋門』であーさの恋人役の女の子を演じた時なんですが、ついこの前、CITY HUNTERで冴子を演じたばかりで、層の厚い月組でどう活躍していくか、楽しみっすね。あと、「セブンカラーズ」の女の子たちも可愛かったすねえ!
 そして男役では、わたしにチケットを与えてくれた美しき淑女がイチオシの蓮つかさくんの狸吉も可愛くて、非常に良かったすね! れんこんくんは、滑舌がすっごく良くて、声で一発で分かるっすね。大劇場は怪我?で休演してたけど、東京では復活できてよかったです。あ、そうだ、怪我と言えば、おはねちゃんこと、きよら羽龍さんも公演まるまるお休みとは心配です。。。相当な重傷なんだろうな。。。次の作品で、おはねちゃんに会えることを楽しみにしてるよ!

 で。後半のショー、『FULL SWING!』でも、一番わたしの印象に残ったのはありちゃんでした。すごい歌がうまくなっていて、非常にいいっすね。もちろん風間くんもいいし、娘役のみんなも可愛いし、今回のロケットの黒猫さんたちなんてマジ最高だったっすね! しかしホント、ありちゃんが我が星組に来て、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)と踊るシーンを観たら、オレ、泣くかもっす。最高だろうなあ! こっちんのダンスに対等に張り合えるのはありちゃんしかいないもんね! 楽しみっすね!!

 よし、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「男が簡単に下を向くな!! 男の視線は常に未来! 好きな女との未来を見つめて生きるものさ……下を向いていたら、今しか見えないぜ?」
 「勉強になります!!」
 このセリフは、ちなつさん演じるおもしろ二枚目が主人公に向かって言うセリフなんですが、まあ、もう最高にカッコ良かったですなあ! まじでわたしも、「勉強になります!」って口に出そうだったよ。ホント、下しか見てない、足元しか見てない、あるいは後ろばっかり気にしてる野郎が多すぎるね。やっぱり、前を、未来を見据えていたいっすな! 男としては!! ちなつさん演じるおもしろおじさんはマジ最高です!
 
 というわけで、結論。

 わたしがずっとずっと応援してきた海乃美月さまが、ついに月組TOP娘役に登極されました。もう、どれだけ待ち焦がれたことか! パレードの大羽根姿は胸に来たっすねえ! うみちゃん、本当にオレは嬉しいよ。本当に良かったね! その大劇場お披露目作品、『今夜、ロマンス劇場で』は、非常に素晴らしい出来で、モノクロの映像からカラーの演者たちに移り変わる演出も実にお見事にキマっておりました。グレイトだと思います。もちろん新TOPである月城かなとさんも、現役随一の美形であることは間違いなく、その美しさや芝居の確かさ、そして歌の見事さは紛れもなくTOPスターでありました。それにしても、本当に月組はタレントぞろいで、星組推しのわたしとしては実にうらやましく思うわけですが、まさか暁千星くんが星組に異動になるとは夢にも思っておらず、わたしには最高に嬉しいお知らせだけど、月組推しの皆さんはさぞや残念に思ってらっしゃることでしょう。なので複雑なんすけど。。。間違いなく言えることは、「組替え」というものは、明らかに「成長のチャンス」であり、ありちゃんがそのチャンスをものにして、さらに成長していくこともまた、明らかだと思います。ありちゃん、なんか顔もシャープになって来て、色気が増してますなあ! まったく根拠はないですが、ありちゃんは星に2年弱ぐらいしかいないで、次に宙へ行ってTOPになる、みたいな、以前の凰稀かなめさんパターンのような気がしてならないす。まあ、ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。

↓ 映画版は、もう綾瀬はるかさんの魅力全開です。わたし、今回の月組版を観ながら、ちぎみゆコンビ、あるいは、みりかのコンビでやっても似合ってたかもな、とか思いました。ゆうみちゃんとかのちゃんは、強気系女子を演じたら随一だと思うっす。

 2010年3月に初めての宝塚歌劇を鑑賞してからもう12年が経ち、数多くのTOPスターの誕生と卒業を見てきたわたしだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場では、月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たま様)と、相手役であるTOP娘役の美園さくらさん(以下:さくらちゃん)の退団卒業公演『桜嵐記』が上演されており、わたしも昨日の日曜日、観に行くことが出来た。
 ところで、全くどうでもいいことなんだけど、去年から導入された「宝塚友の会会員カードで当日入場時に発行されるチケット」が、やっと全組分コンプリートしたので、スキャンして合成した画像を置いておこう。
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 なんでこれを貼っておこう、つうか、スキャンしておこう、と思ったかというと、実はさっき、今回の月組のチケをプログラムに挟んでしまっとこう、と思った時、あ、そういやこれで全組揃ったんじゃね? と思って過去のものを出してみたら……なんと、印字がもう薄れかけてるんだな……。おおう、まじかよ!? と思ったので、消えてしまう前にスキャンして残しておこう、と思った次第であります。一応、QRコードとわたしの氏名、席番はPhotoShopで消しました。しかし、わたしは友会での抽選に申し込んで普通に買っているだけなのですが、この1年弱はやけにチケット運が良くて、凄くイイ席ばっかりだったのが我ながら驚きです。雪組だけ2階席だけど。やけに上手率が高いのも不思議。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、現在東京都は緊急事態宣言中であり、いろいろと制限の多い中で開催されている宝塚歌劇は本当にすごいと思う。どうかこの大切な卒業公演が、最後まで中断などすることなく、完走してほしいと心から思う次第であります。
 で。今回の『桜嵐記』は、いわゆる南北朝の争いにおける南朝側の武将、楠木正行を主人公とした「ロマン・トラジック」だ。トラジック、すなわち悲劇、ですな。わたしは恥ずかしながら南北朝のごたごたについてほぼ知識はなかったけれど、かの楠木正成公の嫡男である正行が主人公ということで、もうその結末は悲劇的になることは分かりきっているわけで、これは泣けるな、きっと……とか思いながら日比谷に向かったのであった。

 はあ……カッコいいですなあ……。
 本作『桜嵐記』は、ズカ淑女たちに人気の上田久美子先生による作品で、わたしは実は上田先生の作品がやや苦手なんだけど、物語は、若干『阿弖流為』に似ていたような気もしますね。つまり、「終わらない戦いを終わらせようとする男」の生き方を描いているわけですが、観終わった今、わたしは今一つ、「なぜ正行は死を選んだのか」が理解できないでいる。これはわたしにはとても難しい問題だ。
 史実はこの際どうでもいいとして、本作で描かれている関係性をまとめると……
 ◆敵である北朝サイド
 そのボスである足利尊氏は、正行のことをあっぱれな男だと思っていて死なすには惜しい、オレんとこに来いよ、と誘うぐらいである。ただし、北朝サイド全体の意思としては公家衆を許すつもりはなく、尊氏の部下として登場する高 師直とその弟、師泰などはかなりヒャッハーなゲス野郎として描かれていて、とにかく南朝をぶっ潰せ、な状況。
 ◆主君たる南朝サイド
 そのボスである後村上天皇は、正直もう戦いはやめたい、けれど、父である亡き後醍醐天皇の遺言があって、戦いをやめることが出来ないでいる。仕えてくれている正行にもごめんな……という気持ちが大きい。軍事勢力的には北朝よりもかなり小さく、実際もうヤバい状況。
 とまあ、超ごく簡単に言うとこういう状況なので、正行の奮闘で一時的な戦闘に勝利しても、あまり意味がないし、もはや正行が「戦い続ける」=「自ら死を選ぶ」意味もほぼないと言っていいだろう。それなのに、正行は戦い続けることを選んだ。それは一体どういうことなのか??
 『阿弖流為』の場合は、阿弖流為自身が蝦夷の象徴であり、自分の死が朝廷を引かせる理由になることがよくわかっていた。でも今回の正行は、そこまでの存在ではない。自分が死んでも戦いは終わらない……はずだ。
 ならどうして? 単純に、南朝を裏切ることが出来ない忠義の人間だったから? それとも、自分の死で後村上天皇に「(軍事的に)万策尽きた」と思ってもらいたかったから?
 「家名のためでも、欲望のためでも、忠義のためでもなく、もっと大きなもの、<流れ>のために命を使う!」と正行は言った。この<流れ>っていったい何なのか??
 わたしは、よくわからないながらも、つまり正行は後々語られる「伝説」になる決意をしたんじゃないか、と思った。後に平和が訪れた時、その平和は、数多くの人々の命の上に立っていることを、後世に伝えたい、その伝説たる象徴として、自分の命を使おうと決意したのではなかろうか。そして、その伝説は、ヒロインである弁内侍や弟の正儀が語ってくれるのだから、もはや未練ナシ、な想いだったのではなかろうか。普通に思えば、弟に生きろと言ったんだから、自分だって生きててもイイじゃん、と思ってしまうよね。でも、それではダメで、最後まであらがった男がいた、その命の上に、平和があるんだぞ、ということを忘れないでほしかった……のではないかなあ、と思う次第であります。わたしとしては。
 まあ、どう考えても、これは後醍醐天皇(の怨念のようなもの)が一番タチが悪いというか、まさしく「呪い」だったな、としか思えないすね。
 いやあ、それにしても上田先生の物語は難しいわ。。。
 というわけで、各キャラとキャストを短くまとめて終わりにします。
 ◆楠木正行:楠木正成が嫡男であり、後村上天皇配下の武家の棟梁(?)。三兄弟の長男。Wikiに載ってる浮世絵も結構イケメン! 道中で助けた弁内侍にぞっこLOVEだけど、これから死ぬ自分が妻などもてない、とカッコ良く和歌を詠んで想いを伝えるヒーロー。演じたのはもちろん月組TOPスターたま様。本当にカッコ良かったですねえ! たま様は、本当にこういった「実直真面目ヒーロー」が似合いますなあ! つうか、たま様も本当に痩せたよなあ……TOP就任時から比べると頬がげっそりして、凄く細くなった印象す。2016年にTOP就任して約5年、本当に素晴らしいTOPスターだったとわたしはずっと忘れないと思います。何度もこのBlogで書いてますが、たま様は女子としてもとってもかわいい美人なので、退団後の活躍もとても楽しみっす。まずはこの『桜嵐記』が最後まで完走できるよう、心から祈ってます!
 ◆弁内侍(べんのないし):後醍醐天皇の蔵人日野俊基の娘。父の仇である高 師直がドスケベであることを利用して、ベッドでぶっ殺してやる!と思っていたところを正行に救われ、邪魔するな!とキレるも正行の実直ヒーロー像にぞっこんLOVEになるヒロイン。演じたのはもちろん月組TOP娘役のさくらちゃん。さくらちゃんも2018年からだからもう3年経ったのか……早いというかあっという間というか……本当にお疲れ様でした。今回は芝居はもちろん、歌が素晴らしかったですねえ! 本当にお見事でした。数学が得意なさくらちゃん、今後の活躍を楽しみにしてますよ!
 ◆楠木正時:三兄弟の次男。料理好きな明るい好青年。妻の百合とラブラブカップル。演じたのはちなつさんでお馴染み鳳月杏さん。わたし、たま様卒業の方を聞いたとき、真っ先にちなつさんは!? とドキドキしたんすけど、まだ残ってくれるので安心した覚えがあるっす。ちなつさんはかつての美弥さん的ポジなんすかね……でもまだまだ舞台上のちなつさんが観たいので、応援してますよ!
 ◆楠木正儀:三兄弟の三男。槍使いの武将。室町幕府時代まで生き残り、南北朝合一に尽力する。ラストでは兄からバトンを渡される的なシーンもあって、グッと来たっすねえ。。。演じたのは次期月組TOPスターが内定している95期の月城かなとさん(以下:れいこ)。ついにれいこがTOPスターになる日が近づいており、感無量ですね。。とにかくイケメン。美人。これでわたしが一番応援している星組の礼真琴さん、そして花組の柚香光さんにつづく95期3人目のTOPスターですな! くそう、この3人が集まるタカスペが観たいっすねえ! 来年こそ、タカスペ再開を願います!!
 ◆百合:正時の奥さん。演じたのは次期月組TOP娘役が内定している海乃美月さま!! わたしは何度も、さくらちゃんがTOP娘になった時に、うみちゃんの気持ちを想うとつらい……いつか報われてほしい……と書きましたが、その日がマジで来るなんて! 何度もこのBlogで書いている通り、全娘役の中でうみちゃんが一番好きなので、本当にうれしいっす!!!  
 ◆後村上天皇:本作ではかなり弱弱しい感じに描かれていましたが、演じたのは月組の御曹司、98期の暁千星くんであります。ありちゃんもなんかやせたよなあ。。。いつかありちゃんが2番手羽を背負うところを観たいすね!
 ◆足利尊氏:本作では、悪者というよりも強靭な意思のもとに行動する男、という印象でした。演じたのはありちゃんに続く月組のホープ、100期生の風間柚乃くん。ついに秋にはバウ主演も決まって、順調にステップを上がってますね! ホント、今回は月組の層の厚さを強く感じたっす。現在、一番戦力が充実しているのではないかしら。若手も育ち、ベテランも健在で、しかもそれが男役だけじゃなく娘役も層が厚いんだから、素晴らしいですよ。星組イチオシとしては、月組の充実がうらやましいと感じたっすね。。。
 ◆高 師直師泰:尊氏配下の武将兄弟。本作では師直がドスケベ欲まみれマン、弟の師泰がクールで計算高いマンとして描かれてました。そしてドスケベ師直を演じたのが、このあと専科に異動になる紫門ゆりあさん、弟の師泰を演じたのが、蓮つかさくん。実は最初、髭モジャな師直を演じているのは誰だろう? と分からなかったんすけど、紫門さんでした。師泰の方は、声ですぐ、れんこんくんだ!と分かったす。
 ◆楠木正成:回想のみ登場。演じたのは、やはりこのあと専科に異動になる95期の輝月ゆうまくん。芝居巧者としてお馴染みですが、今後は様々な組で観られるのは楽しみっすね。わたし的には、『雨に唄えば』のリナは最高だったと思うし、あと『BADDY』の銀塗り宇宙人が忘れられないすね。完璧に「むじんくん」でした笑
 とまあ、こんなところかしら。で、後半のショー『Dream Chaser!』は、やっぱり月組の層の厚さをすごく感じたっすね。
DreamChaser
 TOPスター、2番手スターだけじゃなく、次々と実力ある若手が登場するし、娘役の皆さんも実力ある方が多く、若手もベテランも粒ぞろいで、マジで月組がうらやましいというか素晴らしいと思います。しかしたま様のダンスを観るのも、わたしはこれが最後か……と思うと、やっぱり淋しいし、しんみりしちゃうっすね。。。でも、間違いなく月組は大丈夫ですよ。しつこいけど、本当に月組は戦力が整ってるなあ! と感じる公演でありました。

 とりあえず以上かな。そして最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「わたしにはあなたにやれる時がない」
 「だから今は生きたいのです! あなたもわたしも、死を思うて生きてまいりました。でも、二人が確かに生きていることだけ、今はあなたと知りたい……」
 今回はやっぱり、この二人のやり取りを選びました。ここはとても良かったすねえ……! 二人の表情がすごく胸に刺さったすよ。。。たま様は素晴らしいTOPスターとしてわたしの記憶に刻まれたし、さくらちゃんも見事なTOP娘役だったこと、ずっと忘れないでいようと思います。

 というわけで、結論。

 ついに月組TOPスター、珠城りょうさんの卒業の時が来てしまいました。。。その退団公演、『桜嵐記』は、その悲劇性の中にも、未来への希望も描かれているようにも思え、確実に次代へとつながる、卒業にふさわしい物語だったんじゃなかろうか、という気がしてきました。ホントにたま様にはぴったりの。実直ヒーローでありましたね。最高でした! そしていよいよ秋からは月城かなとさん&海乃美月ちゃんのTOPコンビとなるわけですが、とにかく月組は層が厚く、何ら心配もないっすね。星組推しとしては、月組が非常にうらやましいす。くそう、プレお披露目の博多座公演観に行きてえなあ!! 以上。

↓つうかこれは読まないといけないのではなかろうか……。

↓原典はちょっと無理だから、吉川版でいいかな

 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を生で体験して以来、すっかりハマってしまい、以降、ほぼすべての公演を観に行っているわけだが、当然のことながら、チケットの確保はホントにここ数年、極めて厳しく、先日のGWの連休中に東京での大千穐楽を迎えた花組公演は、とうとうチケットが獲れずに観ることが叶わなかった。たぶん、大劇場公演を観に行けなかったのは、2年ぶりぐらいである。まあ、現在はほぼすべての公演の千穐楽は、映画館での中継、いわゆるライブビューイングが実施されるのだが、その日も都合が悪くてダメ、であった。折しもその花組公演は、TOP娘役の仙名彩世さんの退団公演であり、あの超絶な美声をもう一度、生で味わいたかったのだが……残念である。
 で。GW後半から日比谷の東京宝塚劇場で始まったのが、わたしが昨日観てきた月組公演『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-/クルンテープ 天使の都』だ。
 わたしは星組イチオシであるけれど、その次に好きなのが月組、なので楽しみにしてはいたのだが……2つ、いや3つの点において、わたしは今回の月組公演には特別な想いがあって、昨日は定時に仕事を切り上げ、日比谷に赴いたのである。
【オレ的ポイントその1】宮本武蔵って……あの長大な物語を90分でまとめられんのかな??
【オレ的ポイントその2】稀代の美貌のジェンヌ、美弥るりか様よ永遠なれ!
【オレ的ポイントその3】わたしが娘役で一番好きな海乃美月ちゃんが怪我だと!?
 というわけで、以下、この3つの点を中心に思ったことをまとめてみたいと思う。
 まずは映像を貼っとくか。すげえなあ、宝塚って。観てよ、この映像!

 というわけで、まずは【ポイントその1】の、物語についてだ。
 わたしは井上雄彦先生の『バガボンド』はもう何度も読み返しているし(※まだ未完)、吉川英治先生の『宮本武蔵』も2回は読んでいるので、たぶんフツーの人より「宮本武蔵」については詳しいつもりでいる。ついでに言うと、もう10年以上前、京都の東寺(の塔頭)で特別公開された、武蔵の描いた絵をわざわざ観に行ったほど、宮本武蔵には結構な思い入れがある男だ。なので、キャストの発表があった時は、おお、れんこんくん(蓮つかささん)が植田良平役か! おっと、おだちん(風間柚乃さん)が辻風黄平かよ、しかも梅軒までやるんだ!? とか、もうほぼすべてのキャラクターを知っているので、いちいち興奮したのだが、一方では、ちょ、ちょっとまって、これって、すっげえキャラ多すぎっつうか、全部やろうとしてんの!? というような、90分の舞台が一体どんな構成で描かれるのか、全く想像できないでいた。唯一言えることがあるとしたら、これらのキャラを全部登場させるとするなら、これは相当なダイジェストっつうか、超はしょられるんじゃね? という不安めいた予感であった。
 そして結論から言うと、わたしの不安は的中してしまっていたと言わざるを得ないだろう。相当な駆け足で、事前の知識がないと分からないような点が多かったような気がしている。とりわけわたしが残念に思ったのは、武蔵の悩みがあまりきちんと描かれていないことだ。それは、故郷の宮本村で捕まった時と、吉岡との決闘の後、この2つの場面は、武蔵の人格形成には大きく変化が起こるポイントのはずなのだが、なんか、かなりするっと進んでしまったような気がした。なんつうかな、物語の進行はあきらかに吉川版に添ってはいる、けど、キャラ造形はどちらかというと『バガボンド』寄り、みたいな感じのハイブリッドであったが、実のところ吉川英治先生の『武蔵』と井上雄彦先生の『バガボンド』は各キャラの性格が相当違うというか全く別物なんだけど、妙に混ざった作品だったように思う。そしてそれが成功していたかというと……正直微妙だった、としかわたしには感じられなかった。まあ、90分にまとめるのは無理がありすぎたように思う。武蔵知識のない人が観て、無二斉(=武蔵の父)のこととか、石舟斎の「芍薬」こととか、武蔵がなぜ下総に行ったかとか、理解できたんだろうか?? また、何度か言及される武蔵の放つ「不細工な殺気」に関しても、これは吉川英治版というよりバガボンドでカギとなるポイントだけど、舞台からはあまり感じられなかったのも残念に思う。まあ、斬り合いってのは殺し合いなわけで、本来血まみれなわけだけど、それを舞台で出来る訳もなく、仕方ないのはやまやまなのだが……迫力を感じられなかったのは残念に思う。
 【ポイントその2】の美弥るりか様(以下:みやちゃん)に関しては、そのビジュアルはもう本当に美しく、美麗なる佐々木小次郎を演じてくれたことには大満足ではある。しかし、何度かこのBlogでも書いた通り、みやちゃんは本作をもって退団してしまうわけで、確かに題材としては武蔵と小次郎というのはすげえアリかも、と思っていたけれど……本来の吉川版では結構ヤな奴だし出番も少ないし(※バガボンドでは小次郎はもう一人の主人公として長い個別の物語がある)、90分では語りつくせなかったのは極めて残念だ。
 しかし、物語的にはもう仕方ないとはいえ、みやちゃんの美しさは単純なビジュアルだけではなく、その身のこなし、所作にもいちいち現れていたし、ショーの方ではもう、そのカッコ良さは言うまでもなく最高で、本当に退団されてしまうのがとても悲しく、残念に思う。ホント、TOPスターの座についてほしかった……みやちゃんの美しさは、永遠ですよ……。これで見納めかと思うとホント淋しいす……。。。
 【ポイントその3】の、海乃美月ちゃん(以下:うみちゃん)に関しても、このBlogで何度も書いてきた。いまだにわたしはうみちゃんがTOP娘になれないなんて辛すぎて悲しいわけだが、さらに追い打ちをかけるかのように、なんと怪我でショーの方は休演するというニュースが発表されて、本当に心配していた。せめて東京までには治ってその美しき舞を披露してほしい、と願っていたが、どこをどんな怪我してしまったのか知らないけれど、東京にも間に合わず、であった。
 ただし、『武蔵』には、ちょっとだけ重要なキャラとしてきちんと登場してくれたし、ソロ曲もあって美声を聞かせてくれたし、それだけでもわたしとしては嬉しく、満足であります。どうか怪我を癒して、次はショーでもその美しきお姿を観たいものですなあ……うみちゃんは本当に綺麗で芝居も歌も文句なく実力十分なのだから、TOPではないとしても、別格として今後もどんどん活躍してほしいと心から願いつつ、ずっと応援いたしたく存じます。

 あとは、各キャラについて思ったことをもう箇条書きで書きなぐろう。
 ◆珠城りょう様(以下:たまきちくん) is 宮本武蔵:まあ、上にも書いたけど迫力というか殺気はあまり感じられず。つうか、たまきちくんは、女子として美人なので、そのビジュアルはとても極上なんだけど……殺陣の迫力がもうチョイほしかったかも。
 ◆月城かなとさん(以下:れいこ) is 本位田又八:又八は完全にバガボンド寄りのキャラ造形でしたな。そしてれいこの美しさはもう、とびきりですよ! 無事2番手となってくれないかなあ……そして、わたしがファンクラブに入るほど一番愛しているこっちん(礼真琴さん)と、花組のゆずかれーとともに、95期TOPを実現しておくれ!
 ◆暁千星さん(以下:ありちゃん) is 吉岡清十郎:ありちゃんの清十郎は、どちらかというと吉川版に準拠してたのかな。死なないし(バガボンドでは武蔵との壮絶な戦いで死亡)。そして、今回のショー『クルンテープ』で魅せた、超セクシーな女装(※女性に女装というのも変だけどそうとしか言えない)は、男から見ると極めて上モノだったすね。ありちゃんって、やっぱり女子として可愛いんだな、と改めて思ったす。足が超長い!!
 ◆蓮つかささん(以下:れんこんくん) is 植田良平:わたしのヅカ友で一番美人のお姉さまがれんこんくん贔屓なので、月組観劇の際はわたしもれんこんチェックをするのだが、植田良平としての出番は少なかったけど、何気にいろんなシーンで出てたすね。わたしは今回、友会の抽選でフツーにチケットが獲れたんだけど、友会で初めて8列目と近かったのだが、上手側のはじっこの方で、ラスト近くの巌流島の決闘で、武蔵を乗せた船が上手から現れた時、船頭を演じてるのがれんこんくんだとすぐわかったす。位置的にすぐ近くだったので。
 ◆美園さくらさん(以下:さくら) is お通:今回は本編でもショーでも、さくらの歌が結構多めで目立ってたし頑張ってましたな。うみちゃんのことがあるので、どうしてもさくらには何の罪もないのに、なんか、ぐぬぬ、とか思ってしまうけど、さくらは本当に優等生ですよ。ショーではダンスもかなり良かったすね。ホント、さくらにも頑張ってほしいす。
 ◆叶羽 時さん(以下:ときちゃん) is 朱実:朱実は、バガボンドでは序盤のキーキャラというか目立つ役なのだが、やっぱりときちゃんは演技の人なんすかねえ、とっても良かったと思う。一度新公ヒロインを経験するも、まあ路線からは外れちゃったかもしれないけど、わたしは『エリザベート』きってのかわいそうなキャラ、姉のヘレネを見事に演じた時から、ときちゃんは気になって仕方ない存在す。すごい特徴のあるお顔なので一発で分かるのもイイすね。ショーでは、銀橋の上手側にいることがおおくて、わたしの真ん前に何度も来てくれたし、客席降りの時も近かったのでずっと見つめてました。「おとめ」によると特技は「1cm四方の折り紙で鶴を折ること」だそうです。なんだそれw! 今後も応援いたしたく存じます!

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「早くわたしの頂へ上って来い! 天下無双はこの世に一人でよい……」
 今回は、みやちゃん小次郎が、たまきち武蔵へかけるこのセリフを選びました。まあ現実世界ではたまきちくんがTOPスターという頂に登ったわけですが、みやちゃんがたまきちくんへと贈る言葉ととらえると、やっぱりグッときますなあ……はあ、ほんと、みやちゃんが2番手卒業してしまうなんて……淋しいす……。

 というわけで、結論。
 残念なことに花組公演を観ることが叶わず、2カ月ぶりとなった東京宝塚劇場での月組公演観劇であったのだが、やっぱり宮本武蔵のお話を90分で描くのは相当難しいわけで、心配していた通り、かなりの駆け足展開であったと言わざるを得ないだろう。たまたまわたしは宮本武蔵の物語をよく知っていたので、理解は出来たものの、やっぱりどうしても物足りなく感じてしまったのも事実である。特に、やっぱり「殺し合い」なわけで、重要な要素である「殺気」というものが、舞台では表現しきれていなかったように思う。まあ、仕方ないとは思うけど……。しかしそれにしても、美弥るりかという稀代のスターのことは、ずっと心に残ると思いますね。本当に美しく、お見事でした。そしてわたしが大好きな海乃美月さんも、これからも「別格」として、舞台を華やかに彩ってほしいすね。みやちゃんとうみちゃん、みやちゃんは退団してしまうけれど、今後もずっと応援したいですな。そしてわたしとしては、今後の月組観劇の際は、うみちゃんを最優先にしつつ、叶羽時さんもまた、追いかけたいすね。ときちゃんは芝居が大変良いと思います。そしてあとは、れいこが順当に2番手となって、95期TOPが実現する日を楽しみにしたいですな。そして、こっちん! TOP決定おめでとう!! お披露目はもう、ムラ遠征確定っす!! 以上。

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 というわけで、昨日は会社帰りに有楽町へ赴き、東京国際フォーラム・ホールCにて絶賛公演中の宝塚歌劇月組公演を観てきた。今年一発目の宝塚歌劇観劇は、いわゆる「外箱公演」というものである。
 ところで、「外箱公演(そとばこ)ってなんぞ?」と思われる淑女の皆さんもいらっしゃると思うので、軽く説明すると……まあ、宝塚歌劇の日本国内における知名度は相当なものだと思う、つうか、知らない人の方が少ないぐらいではないかと思うけれど、実際の公演についてはファンでないと知らないことの方が多いだろう。宝塚歌劇団は、自らの公演だけを行う「専用劇場」を宝塚市と東京の日比谷に持っていて、そこでほぼ一年中公演を開催しているわけだが、その「専用劇場」以外にも、別の会場でも宝塚歌劇団は精力的に公演を行っており、ホント、ほぼ毎日、日本のどこかで公演が行われているのであります。そういった、「専用劇場」以外の公演を「外箱公演」と呼ぶわけだ。全国の市民会館的なところを回る「全国ツアー」だったり、東京大阪のちょっと大きい劇場だったりとさまざまなのだが、ここ数年、年始には有楽町駅前の「東京国際フォーラム」での公演もレギュラー化している。
 この「外箱公演」にはひとつ、ファンにとっては重要なポイントがあって、大抵の場合、何とか組の全員、じゃないんだな。昨日わたしが観に行ったのは「月組」公演なのだが、月組のフルメンバーが参加しているわけではなく、多くの場合、外箱公演の際は、ひとつの組が2手に別れて、一方は東京、他方は大坂、とか、分かれて公演するのが通例になっている。大抵、TOPスター率いるチームと、若手主体チーム(あるいはベテランチーム)みたいに別れるのが通例であろう。
 また、ここ3年連続かな、年始の東京国際フォーラム公演では、前の年の暮れに新たに誕生したTOPスターコンビのお披露目公演的な場ともなっているのも、ちょっと押さえておきたいポイントだ。
 というわけで。現在東京国際フォーラムにおいて公演中なのがこちら、新たなる月組TOPスターコンビによる『ON THE TOWN』という作品であります。
onthetown
 どうですか。わたしは↑このプログラムを買って読んで、初めて知ったのだが、本作は映画のクラッシック作品で有名な『踊る大紐育』のことでありました。これって常識? おれが知らなかっただけ? 元々は1944年に初演されたブロードウェイ・ミュージカルで、映画版の方が後、1949年公開なんすね。 
 で、内容としてはもう、歌って踊って大騒ぎ!なコメディーで、わたしも大変笑って楽しませていただいたのだが、なんつうか、もう、千鳥のノブ氏の声で読んでいただきたいのだが、とにかく登場キャラたちのクセがすごいんよ……! まあ、とにかくおっかしくて、笑わせていただきました。もう何度も、各キャラ(特に女子キャラ)たちのクセがスゴイんじゃあ! とツッコミを入れたくなるお話で、要するにですね、最高でありました!
 お話としては、舞台は1944年のNYC。ブルックリンの海軍ドックに入港した軍艦に乗船していた水兵たる主人公は、24時間の上陸許可を得て、いざマンハッタンへ。田舎者の主人公ご一向は大都会NYCに興奮し、おまけに主人公はミス地下鉄の女性にひとめぼれ。そんな彼を応援しようと2人の親友の水兵も街に繰り出し、それぞれ女子とねんごろになる、というお話である。サーセン、超はしょりました。
 この時代設定は要するに初演時と同じであり、日本人として思うのは、1944年(=昭和19年だぜ?)にこんなに明るく楽しいNYCを見せられたら、こりゃあもう、日本も勝てなかったわけだと思ざわるを得ないほど、1944年のNYCは生き生きしていて、まったく時代的な悲壮感など皆無、である。まあ、もちろん戦時中のことなので、ある意味での国威発揚的な、海軍万歳的な意図はあったのかもしれないけれど、少なくとも現代人のわたしの目にはそういった部分はほぼ感じられない、とにかく笑える楽しいお話であった。※追記:いやいや、戦時中である→若い男が周りにいない→女子の強力な肉食化、ってことなのかな? それはそれで納得っす。
 というわけで、以下、わたし的見どころと、むむむ……と思ってしまった点をあげつらってみよう。
 ◆月組新TOPスターお披露目!
 このBlogでも散々書いてきた通り、月組は去年の『エリザベート』をもって、長年TOP娘役を務めてきた愛希れいかさんが退団し、新たに美園さくらさんがTOP娘に就任した。そしてこれも何度も書いてきた通り、わたしとしては、月組でずっと応援してきた海乃美月さん(以下:うみちゃん)がTOP娘になれなかったことに対して、深い悲しみを抱いていたのである。なので、さくらちゃんには全く罪はないのに、若干、チッ……さくらめ……! とか思っていたのである。しかし! あー、くそ。やっぱりさくらは優等生、ダンスなんかとてもイイじゃないですか! おまけに、重要なポイントとして男役TOPスターとの相性というものがあるわけだけど……くそう、TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきち)とのコンビはかなりイイじゃないの!と思ってしまったわけです。世に「たまさく」と呼ばれるこのTOPコンビは、実に実に、大変悪くないすね。つうか、もともとたまきちくんは、ゴールデンレトリーバー的な優しく明るいワンコ系健康優良児キャラだとわたしは思っているけど、さくらもすごく健康的で、このコンビは相当アリっすね。 今回のさくらちゃんは、若干布の面積少ない系の衣装が多かったような気がするけど、ズバリ、足がいい! セクハラ視線で申し訳ないのだが、ダンスは大変結構なお点前であった。コメディ演技もなかなかのワザマエであったと思う。歌は……まあ、ええ、悪くない、すね。さくらちゃんは99期の首席ということで、やっぱり芸のレベルは高いすね。というわけで、今後はさくらちゃんもちゃんとわだかまりなく応援したい所存であります。が、うみちゃんの方が美人だし芝居もダンスも歌もうまいもんね!と心の中で思うわたしであった。
 ◆クセがスゴイんじゃ! の女子たち
 まず、わたしとして最初に称賛したいのは、自然史博物館で主人公の親友オジーが出会った人類学の学者女子、クレアを演じた蓮つかさくん(以下:れんこん)であろう。れんこんくんは普段男役で、身長も高いのだが、今回は女子の役で、しかもまあとにかくクセがスゴイ! 笑わせてくれましたなあ! おまけに、わたしは初めてれんこんくんが女子の役を演じるのを観たのだが、まず普通以上に可愛いじゃないの! そして歌も超がんばって普通に女子だ! ということにとても驚いたっすね。いや、女性なんだから当たり前なんだけど、これが当たり前じゃないわけですよ。それが宝塚ってモンなわけで、とにかくれんこんくんは、大変良かったと思います。学者なので真面目女子かと思いきや、なんかのスイッチが入ったのか(?笑)、ウブな水兵をガッツリ喰らいに行くその肉食性も大変イイと思います!
 そしてもう一人のクセがスゴイ、超肉食系女子タクシードライバー、ヒルディを演じた白雪ちさ花さんも強力でしたなあ……ちさ花さんは91期ともはやベテランで、今までそれほど目立った役は記憶にないけれど、実に楽しそうに演じられていたのが印象的でした。
 そして、わたしが何気に注目していたのが、このヒルディ―のルームメイトで引きこもり系地味系女子のルーシーを演じた叶羽時ちゃん(以下:とき)であります。ときちゃんというと、1回新公ヒロインを経験してるのかな。お顔に特徴があるのですぐわかるのだが、わたしとしては、前回の『エリザベート』で、シシィのお姉さんのヘレネを演じてたのがスゴイ印象深いんすよね。きっとヘレネは、猛烈に頑張っていたのに、ゾフィーには変な服とか髪型がアウトとかダメ出しをされ、挙句に皇帝フランツにはガン無視されるという、エリザベートきっての気の毒なキャラなわけだが、その時のときちゃんの表情というか芝居がわたしには非常に印象深かったのだが……今回は、まあクセがすごいんよ……! 余り出番もないし、セリフもほぼない役だったけど、それでも今回もとても印象に残ったす。いやあ、ときちゃんはなんか応援したくなるっすねえ! 最高でした。
 ◆若手スターは大ハッスルの巻
 今回、主人公を応援しようとハッスルする親友二人を演じた若手スターも大変良かったすね! まず、タクシードライバーのヒルディーに喰われちゃう真面目系男子、チップを演じたのが月組の御曹司こと暁千星くん(以下:ありちゃん)。ありちゃんは、まあ、今回の公演では2番手格なわけで、実に安定したパフォーマンスでした。やっぱりありちゃんはダンスの人なんでしょうか。いや、芝居の人かな? ともかく、のびのびとしたダンスはやっぱりお見事だし、真面目なんだけど、まわりのクセのすごい人々に感化されて後の、まあ、いっか、キャラへの変化も良かったと思います。
 そしてもう一人、学者のクレアに押されまくってLOVEっちゃうオジーを演じた風間柚乃くん(以下:おだちん)ももちろん良かったすね。若干お調子者的キャラはたいへんおだちんにお似合いでした。しかしやっぱりというか、おだちんは身長が若干低いんですな。クレアを演じたれんこんくんの方がデカくて、その凸凹カップル振りも大変楽しかったすね。
 ◆そして以下はネガティブ感想です。
 1)これは演出の問題……か?
 なんつうか、場面場面のつながりが妙に悪いように感じたし、場がフッと止まっちゃうような瞬間も何度かあったような気がします。なんなんだろうな……プログラムによると、版権の都合上、脚本は一切手を加えてはならん、という制約があったそうで、お話的に物語が進む場面に、キャラの脳内妄想でぱーーッと歌って踊り出すシーンが挿入される感じなんだけど、その脳内妄想シーンが浮いているというか……若干、わたしは戸惑ったす。まあ、舞台装置も最小限だったし、どうにもならんことなのかな……
 2)音響の問題なのか滑舌の問題なのか……?
 今回、わたしはたぶん、外箱公演で生オケだったのは初めてだったような気がする。そのおかげで、音楽の楽器の音はとても素晴らしかったと称賛したいのだが、残念ながら演者の台詞や歌詞は、聞き取りにくい部分があったように思う。これは……マイクのせいというより、滑舌、なのかな……分からんす。
 3)月組の「歌唱力」に関しては、課題なんすかねえ……。
 やっぱりですね、ミュージカルは歌が大変重要なわけですが……ズバリ言うと、今の月組は「歌ウマ」の組ではない、でしょうな……芝居に関してはピカイチだと思うし、ダンスもみな極めてレベルが高いと思うものの、やっぱりあとは歌が課題なんすかね……。そもそもたまきちくんの歌も、わたしは全く嫌いじゃないしアリだと思うけれど、歌ウマとは言えないですわな。そこをなんとか、さくらがより一層鍛えて支えてほしいところなんすかね……。さくらは歌ウマまで相当近づいていると思うので、もう鳥肌モンだぜ、レベルまで鍛え続けていただきたいですな。

 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「チーズケーキを食べに行こうぜ!」
 今回は、余りセリフを憶えてないんですが、おだちん扮するオジーが、れんこんくんをナンパしようと放ったこの台詞を選定しました。え!? なんでチーズケーキ!? と思わず吹いちゃったす。NYCの名物ってことなの? わかんねえけど、そのカッコつけ具合とセリフのギャップが最高でしたので、今回のイケ台詞に推したいと思います。

 というわけで、結論。
 2019年1発目のわたしの宝塚初めは、外箱公演『ON THE TOWN』でありました。月組選抜メンバーによる公演で新TOPコンビのお披露目となったわけだが、結論としては大変笑えて、明るく楽しいミュージカルで大満足であります。しつこいけどもう一度言わせてください。とにかく、クセがすごいんよ! 笑えたっすねえ、ホントに。まあ、昭和19年という時代にこんなに楽しい毎日を送っていたメリケン人どもには、勝てないっすな。歌って踊って大騒ぎ、とはこういう作品を言うんでしょうな。大変楽しめました。そして、新TOP娘の美園さくらさんを、今後は屈託なく応援できるような気がしました。たまさくコンビはアリ! すね。大変良いと思います。そして、何気に初めて見たれんこんくんの女子姿は、大変可愛かったです。これもアリ、と判定いたします。実にアリです! 以上。

↓ 実は観たことないのです。原典として、勉強しておくともっと楽しめたのかもな……。
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2015-06-03








 宝塚歌劇団の公式Webサイトの言葉をそのまま引用すると――
 「1996年の初演以来、独創的なストーリーと、美しい旋律で彩られたミュージカル・ナンバーで多くの人々を魅了してきた『エリザベート』。上演回数は1000回を超え、観客動員数240万人を記録するなど、名実ともに宝塚歌劇を代表する人気ミュージカルとなりました」とのことで、ヅカ歴8年目となったわたしも、すでにこの『エリザベート』という作品は、2014年の花組Ver.と2016年の宙組Ver.の2公演を観に行っている。また、この作品は東宝・帝劇ミュージカルとして男性キャストも交えた「普通の」ミュージカルVer.もたびたび上演されており、わたしも2015年のVer.を帝劇で観ている。
 わたしが言いたいことは2つあって、一つは、つまり『エリザベート』という作品はとても人気が高いということ。そしてその結果、おっそろしくチケットを入手するのが難しいのである。そしてもう一つは、これまで何度も上演されているものの、基本的な歌やセリフはずっと変わっておらず、演じるキャストによってかなり印象が違ったり、歌い方がさまざまで、何度観ても飽きないし、毎回、新しい発見のようなものがあって、過去の上演と比較するのもまた楽しい。それが、『エリザベート』という作品である。
 というわけで、今年もまた『エリザベート』が宝塚歌劇団によって上演されることとなったわけだが……今回は、現在の月組で6年の長きにわたってTOP娘役に君臨してきた愛希れいかさん(以下:ちゃぴ)の退団公演でもあって、まあとにかくチケットが取れない。わたしは東京は全滅で、結局わたしをヅカ道へ導いてくれた師匠に11月のチケットを1枚譲ってもらったので、とりあえずは何とかなったのだが、わたしとしては、ちゃぴの最後の雄姿を目に焼き付けるべく、宝塚大劇場、すなわち兵庫県宝塚市に存在する本家総本山へも観に行きたいとの希望を持ち、こちらは自力で何とか1枚、購入することができ、昨日は朝から新幹線のぞみ号をぶっ飛ばして、一路大劇場へ遠征してきたのである。日帰りで。
 もはやムラ遠征(=東京に住まう我々が宝塚市の大劇場に遠征すること。由来は実は知らないんだけど、ファンは大劇場のことを「ムラ」と呼ぶのです)は、既にヅカ道黒帯を取得しているわたしからすると、もはや普通のことである。そして、もはや観光するような気もなく、日帰りでさっさと帰るのも、ある意味もう全然普通のことだ。しかし昨日はちょっとキツかった……なぜなら、わたしは昨日、大劇場で『エリザベート』を観た後、続けてバウホールにて絶賛上演中の『CHALLENGER:ザッツ北翔テイメント』も観てきたからだ。この、「北翔テイメント」に関しては明日別記事にするので、ここでは書きません。一言でいうと最高すぎて、内容が濃すぎて、はっきり言って『エリザベート』の印象は吹っ飛んじゃうぐらい最高だったんすけどね。
 ともあれ、『エリザベート』である。

 わたしが思うに、『エリザベート』の魅力はその歌である。実は、物語的にはかなり、ううーむ?という部分があって、いろいろと、ええと……? とキャラの心情が謎な部分が多いのだ。ツッコミ甲斐があるというか、とにかく、実はストーリー的に、なんか変、だとわたしは思っている。ただ、そういった部分も、もはや気にならないほど圧倒的に歌が素晴らしくて、なんだかよくわからないうちに、胸にグッと来て感動してしまうのである。
 そして、今回の月組公演にあたってのわたし的見どころは、以下に総括できるとわたしは思っていた。
 1)ちゃぴのラストを飾るシシィの完成度や如何?
 2)たまトートはどうなのよ?
 3)みやフランツは渋いんでしょうなあ、きっと?
 4)れいこルキーニは、そりゃあきっとカッコいいでしょうねえ……。
 5)新世代ヒーローおだちんルドルフはどうだろうか?
 6)愛するうみちゃんの、渾身のヴィンディッシュ嬢はきっと素晴らしいに違いない!
 どうですか。上記6点について、何の解説もなく意味が分かるようなら、ヅカ道初心者レベルはクリアしていると思うけれど、ズバリ言って、普通の人には全く意味不明だろう。というわけで、以下、解説しながら、感想を連ねてみたい……のだが、なんと、超残念というか、超心配でならないのだが……おとといから月組2番手スター美弥るりかさん(以下:みやちゃん)が体調不良のため休演となり、急遽、役の変更がなされることとなったのである。みやちゃん……どうか東京公演までに戻ってきておくれ……心配だよ……とても……。
eliza2018
 ◆ちゃぴシシィはパーフェクト。ちゃぴ渾身の退団公演は伊達じゃない!
 そもそも、宝塚歌劇の演目は、どうしても男役TOPスターが主役なのだが、本作『エリザベート』に限っては、そのタイトル通り、明確に主役は娘役TOPが演じるエリザベート(=幼名というか愛称「シシィ」)であるとわたしは考えている。幼いシシィがハプルブルグ家に嫁ぎ、超おっかないお姑さんとの嫁姑バトルを勝ち抜き、皇后としてその地位を勝ち取っていくものの、マザコン浮気野郎の旦那との確執などから愛する息子を失い、心さすらう人生の、その最期までが描かれる、明らかにエリザベートという女性を中心に据えた物語だ。
 男のわたしの視点では、シシィの行動は結構理解しがたく、とりわけ息子ルドルフを助けなかった理由がさっぱりわからんのだが、まあ、そういった謎はこの際どうでもいい。芝居としての見どころは、やっぱり、冒頭の天真爛漫だったシシィが、いかにして皇后として堂々とした姿となるか、ある意味計略家として生きていこうと決意し、そしてその後、絶望に身をやつしながらいかにして晩年を過ごすか、という激動ともいえる心と体の変化にあるとわたしは思う。そして、そういったその時々の心情は、ミュージカルなんだから当然、「歌」で語られることになるわけで、極めて高いレベルの「演技」と「歌唱力」が必要となる役柄であろう。
 結論から言うと、わたしは、今回シシィを演じたちゃぴこと愛希れいかさんは、わたしが今まで見た3人のシシィの中で、完全に1歩も2歩も上を行く完璧なシシィだったと絶賛したい。本当に素晴らしかった。わたしは、ちゃぴの魅力はなんといってもダンサーとしての魅力が一番だと思っているけれど、芝居力もダンス同様に素晴らしく、また歌も当然極めて高いレベルにある。じゃなきゃ6年もTOP娘の看板を背負えないよね。いやあ、本当に素晴らしかった。11月にまた東京で会えることを楽しみにしているよ。きっと、さらにまた高みに登っていることでしょうな。退団後の活躍も楽しみですなあ。きっとちゃぴなら、退団後も素晴らしいキャリアを築いてくれることでしょう。東宝版のシシィもぜひ演じてほしいですな。ちゃぴ、君は本当に凄いよ。最高です。
 ◆たまトートは、想像以上に素晴らしくて、同時に今までとは違うトートだった!
 トートとは、ドイツ語のDer Tod=英語のThe Death、すなわち「死」であり、要するに冥界の王なわけで、ズバリ言えば人間ではない。こういう、「死」の擬人化は、例えばミュージカル『ロミオとジュリエット』なんかにも出てくるように、まあ、西欧作品にはよくあることなのだが、本作『エリザベート』では、その「死」が、人間であるエリザベートにぞっこんLOVEっちゃうことに最大のポイントがあって、しかもそのトート様が、やけに純情チェリーボーイなのが笑っちゃうというか、ドラマチックなのである。
 で、一方、今回トート様を演じる月組TOPスター珠城りょうさん(以下:たまきちくん)は、わたしの印象は上品で育ちのいいおぼっちゃま、であり、等身大スターであり、なんつうか、健康優良児、なんすよね。たとえて言うならゴールデンレトリーバーのような、完全なる「陽キャラ」なのがたまきちくんの魅力だとわたしは思っているのだが、その健康優良児たまきちくんが、宝塚の演目きっての「陰キャラ」であるトート様をどう演じるのだろうか、というのがわたし的見どころであったのだ。
 まず、ビジュアルだが、やっぱりたまきちくんのデカい体はとても堂々としているし、話題の「金髪」トート像も、わたし的には全く問題ナシであったと思う。むしろかなりイイじゃん! と称賛したいぐらいだ。一方で歌は、今まで聞いたことがないような感じで、若干の、んん? というポイントもあったのは事実だけど、それはまあ、ちゃんと演出の小池先生がチェックしていることだろうから、わたしが口をはさむことでもないだろう。アリ、だと思う。そして、わたしが一番グッと来たのは、その表情であったように思う。なんつうか、妙に生命力あふれていて、感情が分かりやすいのだ。そう、「死」なのに、妙に人間臭いんすよ! これはたまきちくんの持ち味である「陽キャラ」がにじみ出しているんだとわたしは理解した。なるほど、こういうトートもアリなんですなあ、と新発見したような気分になって、わたしは非常に面白いと感じましたね。その結果、「最終審理」でトート様がフランツに感じる嫉妬のようなものが妙に生々しかったし、お話も分かりやすくなったように思う。わたし、今回の、妙に人間臭くダイレクトに嫉妬するたまトート様のお姿を観て、ああ、そういうことだったんだな、と妙に腑に落ちたすね。なので、たまトートは断然アリ!です。最高でした。
 ◆みやフランツ無念の休演。そして急遽代役に立ったれいこフランツは……
 現在の月組では、若きTOPスターを支える2番手スター、みやちゃんこと美弥るりかさんの存在意義は極めて大きくて、TOPのたまきちくんもみやちゃんへ絶大な信頼感を寄せているし(※みやちゃんはたまきちくんより5学年も上の先輩)、二人の関係性は現在の月組になくてはならない要素だと思っているのだが、無念の休演となってしまったことがとても残念だ。もちろん、みやちゃん本人が一番残念に思っているだろうし、もう、身を引き裂かれんばかりにつらい思いをしていることと思う。どうかきっちり体調を整えて、また舞台に復帰してほしいと思う。東京で待ってるよ。おれはみやちゃん、あなたのフランツが観たいんすよ!
 で。今回、おそらくはほぼ稽古も積んでいないであろう、月城かなとさん(以下:れいこ)が急遽、重要な役であるフランツを演じてくれることとなり、まあ、ヅカファンとしては、れいこフランツを観られたのは、ある意味においては大変幸運だったとは言えるかもしれない。たしかに、れいこフランツは、まずのそのビジュアルからしておっそろしく美しいし、歌も超がんばっていたのは間違いないのだから。
 しかし、れいこさんの頑張りは称賛して余りある素晴らしいものであったけれど、いかんせん、準備の時間がなさ過ぎたのではなかろうか。もちろん、その時間がない中でのれいこフランツは、もう大絶賛したいのは間違いない。でもわたしはやっぱり、れいこルキーニが観たかった。それに、比較するのは失礼であるのは承知しているけど……この後に観た『北翔テイメント』でのみっちゃんフランツがやっぱり凄すぎて……やっぱりフランツはこうでなきゃ、とか思っちゃったんすよね……みっちゃんはマジ最高すわ……。
 ともあれ、11月の東京でのみやちゃん復帰を心から祈っております。どうか、くれぐれも焦らず、お大事になさってくださいませ。東京で待ってるからね!
 ◆れいこルキーニは観られず、急遽おだちんルキーニ登板!
 というわけで、当初予定されていたれいこさんのルキーニは観ることができなかった。ルキーニという役は、『エリザベート』という作品でも、極めて目立つし狂言回しとしても大変重要な役柄で、そのノリノリで観客をあおるようなキャラクターは、作品の中で一番おいしい役と言ってもいいぐらいの大切な役である。わたしとしては、2014年の望海風斗さん(以下:だいもん)が演じたルキーニが歴代最高だと思っているが(帝劇で観た山崎育三郎氏Verよりも凄かったと思う。だいもんルキーニはもう完全に男でした)、それを今回、月組随一の美形、れいこさんでやるなんて超楽しみだぜ! と期待していたのである。
 しかし今回の代役によって、新人公演でルキーニを演じている風間柚乃さん(以下:おだちん)が、本公演でもルキーニを演じることとなったのだが……ズバリ言うと、新公レベルでは全く素晴らしかったと思うけれど、やっぱり本公演としては、まだまだ、鍛錬と熟成が必要なんだろうな、と思うに至った。おだちんが、スーパー超がんばってるのは間違いない。けれど、やっぱり余裕がないのだと思う。ルキーニという役は、もう観客をあおって空気を変えていくことが求められるし、なんつうかな、ヘっ……チョロいぜ!的な、飄々とした?余裕が絶対的に必要なんすよね……まだ4年目かな、おだちんにはまだ、無理ですよ。これはいい悪いの問題ではなく、無理なものは無理なんだから。しかしそれでも、そんな状況でも頑張り抜いたおだちんは、もちろん賞賛に値するし、今後の活躍が本当に楽しみなお方だということはよくわかりました。アレっすね、意外と背が低いように感じたっすね。わたし、おだちんはもっとデカイかと思ってた。
 ま、いずれにせよ、東京ではれいこルキーニが観られることを強く願ってますし、おだちんルドルフの回は観られないけど、おだちんの今後にも注目していきたいと存じます。
 ◆というわけでおだちんルドルフは観られず、ありちゃんでした。
 わたしが『エリザベート』という作品で一番好きなのが、皇太子ルドルフとトート様の「闇が広がる」という歌で、そういう意味でもルドルフ皇太子の、悲しく切ない歌声は見どころの一つだと思っている。わたしとしては帝劇で観た古川雄大氏のルドルフが過去観た中では一番好きなのだが、今回は本来はおだちんルドルフの回だったけれど、代役によって暁千星さん(以下:ありちゃん)のルドルフを観ることとなった。もともと今回の公演では、ルドルフ役はありちゃんとおだちんのWキャストだったので、本来通りのありちゃんルドルフだったと言えるのだが、まあ、ありちゃんは月組のスーパー御曹司でもうこれまでも抜擢が続いているし、新人公演ではトート様を演じる次世代スターなわけなので、その実力は全く問題ナシ、である。なので、ええと……サーセン、特に書くことないです。
 ◆うみちゃん渾身の涙に、わたしのハートは持っていかれました……
 うみちゃん、とは、わたしがずっと応援してきた月組が誇る美貌の娘役、海乃美月さんのことである。わたしとしては、ちゃぴ去りし後のTOP娘はうみちゃんで決まり、とか思っていたのに、残念ながらそうはいかず、後輩にその座を譲ることとなってしまった。わたしはいまだにその決定を残念に思っているし、おそらくは、うみちゃんの本人の心中たるや、凄まじい葛藤があるのではないかと想像する。普通に考えて、ずっと頑張ってきて、部長に昇進する直前で後輩に抜かれたら、もう心折れて退職したっておかしくないぐらいだと思うし、サラリーマンのような平凡な道ではなく、厳しい芸の世界のことなんだから、そりゃあもう、うみちゃんが流した涙は1リットルじゃあすまないと思う。
 でも! わたしが今回いっちばん感動したのは、うみちゃんの作品に対する姿勢だ。わたしは今回、うみちゃんが舞台に出てくると、ほぼずっと双眼鏡でその姿を追っていたのだが、名もなき群衆の一人として、スポットライトの当たらない舞台の端の一人であっても、全力でうみちゃんは芝居をしていたし、2幕で、ソロ歌のあるヴィンディッシュ嬢という精神を病んだ女性を演じている時も、最高に素晴らしく、最高に美しかった! とりわけ、ちゃぴエリザベートに抱かれながら、ほほを一筋の涙が伝うシーンは、もうその涙のタイミングも完璧だったし、その時の正気を失くした女性の表情も、今回のベストアクトだったとわたしは大絶賛したいと思う。最高だったね! 双眼鏡で、うみちゃんの左目から本物の涙が一筋流れるのを見て、マジで鳥肌立ったよ。うみちゃん、どうかこれからも、がんばってください。わたしもずっと応援するよ。そして、いつかTOPに就けることを、わたしは全然諦めてないし疑ってもいないぜ! 絶対、報われる日が来る! と信じてます……!

 はーーー……こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「死は逃げ場所ではない!」
 今回は、宝塚版『エリザベート』ではもはやお約束のトート様のこのセリフを選びます。今まで、わたしはこのセリフを聞くと、おいおい、さんざんエリザベートの死を願ってたんじゃなかったのかよ、とかツッコミたくなっていたのだが、今回の、妙に人間臭いたまトートのこのセリフは、すごい気持ちが伝わりました。死にたいってお前、それじゃダメなんだよ、おれのことを愛してくれなくちゃ!! という感情が、今回のたまトートで初めてわたしに伝わったすね。ホント、トート様……あなた純情ボーイですよ……。たまトート、相当キてます! イイ!

 というわけで、結論。
 今回は結論を箇条書きにしておこうと思います。
 ◆ちゃぴシシィ:最高。オレ的歴代最高シシィ。東京大千秋楽まで駆け抜けておくれ!
 ◆たまトート:イイ! やけに人間臭いトート様、はじめていろいろ理解できた。
 ◆みやフランツ:本当に観られなくて残念。東京で待ってるからね!
 ◆れいこフランツ:急な登板を考えるとお見事でした。美しさは歴代ナンバーワンかも。
 ◆れいこルキーニ:観たかった……! 東京で待ってます。
 ◆おだルキーニ:余裕はどうしても経験から生まれるので、あと4~5年後に期待します。
 ◆ありルドルフ:超安定・超安心のルドルフでした。
 ◆うみヴィンディッシュ嬢:最高! うみちゃん! あなた最高です!!
 とまあこんな感じです。しかし、やっぱりムラはいいですなあ……テンション上がるっすよね……東京宝塚劇場よりデカイし。東京ももうチョイキャパがあれば、チケットも少しは取れやすく……ならねえか。ホント、もうチョイチケットが買いやすくなるといいのだが……つうかですね、ムラの変身スタジオ、男はお断り!なのは悲しいす。オレ……アンドレ衣装着てみたいんすよ……メイクはいらないので。以上。

↓ おお、今はPrime Videoでも配信しているんですなあ。みりおトートはそのビジュアルは最強レベルだし、だいもんルキーニはもう完璧に男、そしてみっちゃんフランツはわたしとしては歴代最強(特に歌)だと思います。

 はーやれやれ。9月はなんかやけに忙しく、今日、やっと宝塚歌劇を観に行くことができた。もう何度も何度も書いているとおり、わたしはもはやアラフィフのおっさんだが、2010年に初めて宝塚歌劇を観劇し、見事にハマって早7年、一番応援しているのは星組であるけれど、今やほぼ全組の公演を観に行って楽しんでいる若干キモイおっさんなわけだが、現在、日比谷の東京宝塚劇場で公演中なのは月組で、その公演も来週いっぱいで終了してしまうというぎりぎりセーフのタイミングで、今日観に行くことができた。今日は宝塚友の会優先公演だったので、終演後に挨拶もありました。えっ!? 友の会の公演によく行けたなって? そんなの当り前じゃないですか! わたしは友の会会員であります!
 で、演目は、Alexandre Dumas氏の小説でおなじみの「三銃士」をモチーフとした『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』である。
allforone
 ちょっとここで、お話についてと宝塚歌劇の仕組み的な点のそれぞれちょっとだけ解説しておくと、知らない人は知らないだろうし知ってる人なら常識な通り、「ダルタニアン」というキャラクターは、「三銃士」のメンバーではない。三銃士は、アラミス・アトス・ボルトスの三人組で、主人公ダルタニアンがある意味あこがれる先輩である。つまり、月組TOPスターは当然主役なので、演じるのは当然ダルタニアンの役であり、三銃士はそれぞれ別の生徒が演じるわけである(※宝塚歌劇では、劇団所属女優を生徒と呼ぶ。ファンはジェンヌとも呼ぶ)。
 そしてもう一つ、宝塚の仕組みとして解説しておきたいのは、宝塚歌劇の各生徒は、花・月・雪・星・宙のどれかに属する人と、どこにも属さない「専科」と呼ばれる、いわばフリーランスのベテランもいるという点である。また、各組に属していても、普通の会社のように人事異動があって、ファンからするとある日突然、例えば雪組に所属していたスターが月組に異動になることもある。そういう人事異動を、宝塚歌劇では「組替え」と呼ぶのだが、まあ、そういうこともあるのである。
 なんでこんなことを最初に書いたかというと、今日、一緒に行った後輩女子が初宝塚観劇でそういうことをまったく知らなくて、まあそりゃ知らんわな、と、せっせと解説してあげたからなのだが、今回の公演では、主役の月組TOPスター珠城りょうさん(通称たまきちくん)が抜群にかっこよかったのはもちろんのこと、三銃士を演じた美弥るりかさん(通称みやちゃん)・宇月楓さん(通称としさん)・暁千星(通称ありちゃん)の三人組も揃ってカッコよく、また、先日雪組から組替えで月組にやってきたばかりの月城かなとさん(通称れいこさん)のイケメンぶりは輝いており、さらに専科の沙央くらまさん(通称こまちゃん)も久々の女子役は極めて妖艶で、おまけに太陽王ルイ14世を演じた、月組が誇るTOP娘役の愛希れいかさん(通称:ちゃぴちゃん)も大変素晴らしかったわけで、それらを伝えたいので、わざわざ後で解説するのがめんどくさかったので先に説明してみたわけです、はい。
 で、結論から言うと、わたしとしては本作を大変楽しめました。いやあ、ビジュアル的にもカッコよくて大満足でした。とりわけ衣装が非常にかっこよかったすねえ! 銃士隊の制服(?)は、↓の映像ではわからないかもしれないけど、あの青い服やマント、ありゃデニムですよ。欲しい! 着たい!

 まず簡単にお話をまとめると、ルイ14世の治下で銃士隊として活躍するダルタニアンと三銃士の面々は、ある日、ルイ14世から剣術指南の役を命じられ、ダルタニアンは城へ向かう。そして対面したルイ14世は、剣術はあまり得意ではなく、それよりもバレエの方が好きというお方で、稽古中についダルタニアンは王をぶっ飛ばしてしまう。その結果、銃士隊は解散じゃ! という目に遭ってしまい、困っていると、どうもその背後には宰相マザランの陰謀と、なんと、ルイ14世はか弱い少女だった! という驚愕の秘密が隠されていたのだった―――てなお話であった。サーセン。超はしょりました。
 まあ、要するに結構突飛なトンデモ物語なのだが、実際のところ本作は明確にコメディであり、かっこいいところではバシッと決まりつつ、随所に笑える場面もあって大変楽しめたのは間違いないと思う。
 ところで、わたしが一番おっ! と反応したのは、「ガスコン」という言葉だ。これは、フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈にほど近いガスコーニュ地方出身の男という意味だが、わたしがガスコンと聞いて真っ先に思い出すのは、フランス戯曲でおそらくは最も有名な作品の一つ『Cyrano de Bergerac』である。この作品の中でガスコンというのは重要な意味があって、主人公シラノもガスコンで、何と言えばいいかな、権力とか、自分より強いものに果敢に立ち向かい、信念を曲げない強固な意志を持つ男、という意味で、何度か俺はガスコンだ!というようなシーンがあるのです。で、実はダルタニアンもまさしくガスコンで、本作でも反骨の男としてとてもカッコよかったと思う。ちなみに、日本の小説で『二人のガスコン』という作品があって、これはまさにシラノとダルタニアンが夢の共演! という小説で非常に面白かった覚えがあります。読んだのはもう10年以上前なので詳しいことは忘れました。

 そして、本作において、実はわたしは結構冒頭から、ずっと、おかしい……と思うことがあった。それは、月組でわたしが一番大好きな海乃美月ちゃん(通称うみちゃん)の姿がない、おかしい、オレがうみちゃんを見分けられないわけがないのに! どうして? なんでだ!? とずっと思っていたのである。ま、キャスト表を予習しておけばわかることだったのだが、わたしはまったく予習せずに観に行ったので、何の役で出てくるか知らなかったのである。すると、1幕のかなり終わりの方で、ルイ14世のお嫁さん候補として、スペインからマリー・テレーズがお見合い(?)にやってくる流れになり、最初に、肖像画が出てくるのだが……わたしはその肖像画を双眼鏡で観て、おおっと!キタ!うみちゃんだ!とすぐに分かった。ほどなくして、本人が登場してきて、紛れもなくうみちゃんご本人でわたしのテンションは一気に上昇、いやあ、相変わらず素晴らしく可愛いうみちゃんでありました。あの、特徴ある口元が大好きなんすよね……おっと、これ以上書くとますますキモイおっさんの図となり果てるのでこの辺でやめておきます。
 そしてメインキャスト関しては最初に書いた通り、みな素晴らしかったのはもう言うまでもなかろう。たまきちくんは、なんというか、毎回思うけれど、なんとなく上品というか、おぼっちゃまっぽさを感じますな。それは決して悪いことではなく、たまきちくんの個性だと思う。こういうTPOスターというのもアリでしょうな。何しろ若いし。その点では、2年前?の『カルメン』では非常に激しくて、いつもとちょっと違う貴重なたまきちくんだったかもしれないすね。お相手のちゃぴちゃんも、元男役ということで低い声でルイ14世を演じながら、実は女で、本当はドレスも着たいしお化粧もしたい、という悩みの中で葛藤?する姿は大変かわいらしかった。現在の娘役TOPの中で最古参となったちゃぴちゃん。ちゃぴはホントに笑顔の可愛い娘さんですよ。どうかもう少し辞めないでいておくれ……。
 そして月組初主演となったれいこさんも、悪役ではあったけれど大変美しかった。今日一緒に行った宝塚初体験の女子は、れいこさんが一番カッコよかったと言ってました。また、こまちゃんも、もともと男役の人だぜ、と教えてあげたらびっくりしてました。まあ、わたしも今回のセクシー美女を演じたこまちゃんの女子姿には驚いたよ。おとといだったか、こまちゃんも退団のお知らせが発表されたね。わたしがこまちゃんで一番覚えているのは、2011年の雪組版『ロミオとジュリエット』での乳母の役なのだが、あの公演は震災の翌日に観に行ったことでも忘れられないす。
 最後に、これも宝塚初体験女子に説明したヅカ豆知識を書いて終わりにしよう。宝塚歌劇の演目には、「一幕もの」と「二幕もの」という大きな区分があって、一幕ものは、約1時間半チョイで終了する短い作品で、30分の幕間の後に、1時間弱の歌と踊りのレビューショーが付く。要するに演目2本立てだ。で、もう一方の「二幕もの」は、一つの長いお話を幕間を挟んで通しで行うものである。わたしとしては、初宝塚は一幕もの+ショーの方がいいかなとは思っていたのだが、今回の作品は二幕ものである。でも、わたしは観る前から今回は二幕ものと知っていたけれど、どんどんお話は展開していって、あれっ!? これって、もう終わるの? つか、一幕ものだっけ? というぐらい、クライマックス直前まで話は進み、幕間となった。なお二幕ものの、一幕目のラストはたいていキャラ総出演での超盛り上がる歌で締めくくられることが多く、今回も幕間直前のシーンはとてもカッコよかったすね。まあ、連れて行った後輩女子も楽しんでくれたようで、二幕ものでも初宝塚は大丈夫だったようです。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「俺は生き方を曲げない!…ガスコンだ!!
 今回は、やっぱりダルタニアンのガスコンの誇りある言葉で締めたいと思います。あーでも、これも良かったなあ。
 「それなら臆せず、彼の胸に飛び込み、挑んでみることですなあ! 予行演習が必要なら、仰ってください、マダム
 これは、三銃士一の色男、アラミスが銃士隊が解散となって故郷に戻り、元々の聖職者として恋の悩みを懺悔で聞いた時に、返す言葉だ。コメディタッチでいて、大変カッコイイ、スカしたイケ台詞だったと思います。演じた美弥ちゃんはやっぱり色気のあるイケメンですなあ。

 というわけで、なんかうまくまとまらないのでもう結論。
 現在東京宝塚劇場で絶賛公演中の月組公演『ALL for ONE ~ダルタニアンと太陽王』を、終了一週間前のタイミングでやっと観に行くことができた。お話は、意外にもコメディーで、結構笑えるところもありつつも、決めるところはバシっと決まっており、大変楽しめました。そして月組にやってきたばかりのれいこさんは雪組時代と変わらず美しく、久しぶりに女性を演じたこまちゃんも大変セクシーであった。もちろん、月組メンバーはたまきちくん、ちゃぴちゃんの二人のTOPコンビは当然ながら、みやちゃん、としさん、ありちゃん、みな大変生き生きとして楽しげに演じていたのが印象的であった。そして、わたしとしては今回は特に衣装が気に入った。あのデニムの制服はカッコイイですなあ! ホント欲しいわ。着てみたい! 以上。

↓ わたしはこの映画を3回映画館に観に行って(東京では渋谷のBunkamuraでしか上映してなかった)、2回泣いたっす。いまだに、わたしの好きな映画TOP10に入る名作です。とにかくカッコイイ!

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