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 轟悠(とどろき ゆう)というお方がこの世には存在している。
 おそらく宝塚歌劇を愛する人なら100%知っていると思うが、そうでない方は100%知らないだろう。轟悠さんは、年齢をアレするのは大変野暮だけれど、1985年に宝塚歌劇団に入団したそうだから、恐らくわたしと同じぐらいかチョイ上の年齢で、すでに芸歴35年ってことかな、いまだ現役の専科スターとして活躍する、いわゆるタカラジェンヌ、である。既に2003年には、宝塚歌劇団の理事職にも就いておられ(よって、通称:理事)、これは要するに普通の会社で言う取締役のようなものだと想像するが、とにかく、現役ジェンヌすべてが尊敬しているものすごいお人だ。
 そんな轟理事は、年に1回は主演作品が上演され、人気もまたすごいわけだが、一部のファンからは、轟理事が降臨すると贔屓のスターが喰われてしまうため、若干敬遠されてる気配も感じることもある。しかしわたしは声を大にして、轟理事はすげえからいいの!と擁護したい。何がすごいか。これはもう、生で観た方なら誰でも感じることだと思うが……ズバリ、その存在がすげえのである。全く説明になっていないが、そうとしか言いようがないのだ。
 というわけで、わたしは昨日は日比谷で雪組公演を観てきたわけだが、今日は、クソ暑い中をJR千駄ヶ谷からトボトボ15分ぐらい歩いて、建設中の国立競技場を横目で観ながら、日本青年館へと赴いたのである。目的はコイツを観るためであります。
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 見てよ、このポスター。もう完全に、あの有名な「チェ・ゲバラ」っすよ! すごくない? マジで。
 現在月組は、TOPスターたまきちこと珠城りょうさん率いるチームが梅田で別の公演(今年初めに国際フォーラムで上演された『ON THE TOWN』を再演中)を行っており、東京では若手主体で、轟理事のもとでこのミュージカル『チェ・ゲバラ』を公演中だ。明日もう千秋楽かな? わたしはそもそもこっちの轟理事チームの方に、月組で応援しているジェンヌが多かったので、こちらを観たいと思ったのだが、とりわけその中でも、月組で随一の美形、月城かなとさん(以下:れいこ)を目当てにこの公演チケットに申し込んだのだが、残念ながられいこはいまだ怪我が完治せず、休演となってしまった。うおお、そいつは残念だし心配だなあ……とか思って、友会の抽選が当たったので、劇場にチケットを発券に行ったら、席は、メールにも示してあったはずだけど全然見てなくて、実際にチケットを見てびっくりした。なんと奇跡の前から2列目!! である。うおお、ま、マジかよ、友会でもこんなすげえ席が当たることあるんだ!? と大いに驚いた。
 というわけで、今日、実際にその2列目を体験してきたのだが、やっぱり想像以上に迫力が増して、群衆シーンで舞台わきで一生懸命演技しているみんなの生の声まで聞こえてくるし、すげえ体験であった。
 で。物語は、「チェ・ゲバラ」でお馴染みの、エルネスト・ゲバラ氏が盟友フィデル・カストロと出会い、キューバ革命を成功させるまでが第1幕、そして第2幕は、理想に燃えるゲバラと現実主義(?)のカストロの決定的な別れと、ゲバラの死までが描かれている。ちなみに、ゲバラ氏は広島に来て、平和公園で献花したことでも有名だが、そのエピソードは入っていませんでした。あと、本作で出てくる「グランマ号」でメキシコからキューバにわたるのは史実通りだけど、その時ゲバラは妻子持ちで、本作のヒロイン、アレイダとは、奥さんと離婚してから再婚した相手みたいすね。
 ともあれ、そんな物語なので、ゲバラの理想とする、差別なく誰しもが幸せになれる国を作ろうという想いと、経済的にキューバを支配していたアメリカ打倒のために、アメリカの敵であるソヴィエトと接近していく現実主義のカストロに距離ができてしまうところが最大のポイントなわけだが、カストロとしては、元首として、どうしても理想だけでは国家運営はできず、親友ゲバラを一度たりとも裏切った覚えはなく、断腸の思いだったわけで、本作ではそんなカストロを、れいこに代わって熱演した風間柚乃くん(以下:おだちん)がとても素晴らしかったのでありました。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌを紹介しよう。
 ◆エルネスト・ゲバラ:有名な言葉、「もし私たちが空想家のようだと言われるならば、救いがたい理想主義者だと言われるならば、できもしないことを考えていると言われるならば、なん千回でも答えよう、「その通りだ」と。」が幕が閉じた後、投影されるわけですが、まあ、もう自分で、その通り、何が悪い!というお方なわけで、本人としては1mmも後悔はないんでしょうな。ただ、やっぱり、平和な日本でぼんやり過ごすわたしとしては、社会主義という考え方には賛同できないし、やり方の面では、どちらかと言えばわたしはカストロの方の実務的な行動に共感するっすね。やっぱり、理想を唱えるのはいいとしても、理想だけではどうにもならんのではなかろうか。
 そして演じたのはもちろん轟理事であり、そのビジュアルからしておっそろしくクオリティが高く、とにかく、なんつうか、男にはできない姿勢というか、とにかくピシッとしてるんすよ。ホントさすがであります。轟理事は、現役ジェンヌでは他に似ている人がいないような、シャンソン系の独特の歌い方をするお方ですが、そちらもやっぱりさすがっすね。
 ◆フィデル・カストロ:元弁護士。理想に共感するも、実現のためには毒をも喰らう実務家と言っていいのだろうか? これが現実のカストロ氏とリンクした人物像なのか、わたしには分からないけど、とにかくおだちんはお見事でした。演技もビジュアルも、そして歌も大変良かった! 100期生だから、まだ入団6年目か? 素晴らしい逸材ですね、やっぱり。おだちんは、結構顔の作りが男顔というか、濃い目のラティーノがすごく似合うっすね。大変結構かと存じます。
 ◆ミゲル:カストロの同志で最初はゲバラにキツく当たるも徐々に仲間として友情が芽生える男。演じたのは蓮つかさくん(以下:れんこんくん)。今回の公演は月組フルメンバーではないので、人数が限られていて、れんこんくんもたくさんいろいろな役で出てたっすね。声と顔に特徴があるから、すぐわかったよ。カストロとゲバラが出会うシーンでは、マラリアでブッ倒れてて、一人だけ歌に参加できず、ずっとベッドに横になってましたね。でも中盤からは目立つ役で、芝居としても大変な熱演でした。大変良かったと思います。
 ◆レイナ:ミゲルの妹かな。ミゲルがカストロたちとメキシコに亡命している頃、レイナはキューバに留まり、変態野郎への性接待を強要されちゃいそうになる踊り子さん。演じたのは晴音アキちゃん。彼女も顔に特徴があるからすぐ分かるすね。なんか痩せたような気がします。スタイル抜群で大変お綺麗でした。
 ◆アレイダ:革命に共鳴し女闘士としてゲバラを支え、後に結婚する女性。演じたのは、元男役で月組の前作で新公初ヒロインを演じた天紫珠李ちゃん。彼女もついに轟理事の相手役をやるまで成長したんですなあ。まず何より、芝居がしっかりしてますね。そして歌も大変上等。彼女も今後どんどん成長するでしょう。その行く末を見守りたいですな。
 ◆その他、わたしが月組で応援している方々として、やはり二人あげておかねばなるまい。まずは、なんだかもう、いつも月組公演を観る時に探してしまう叶羽時ちゃん。今回も、いろんな役で出ていて、台詞もしっかりあって、その芝居力は実に上等だと思います。時ちゃんももっともっと活躍してほしいですな。そしてもう一人は、去年入団したばかりのきよら羽龍ちゃん。彼女は今回、男の子というか少年?の役で、目立つおいしい役でしたな。ソロ曲はなかったけれど、今後、その歌声を堪能できることを楽しみにしたいと存じます。結構、普通に女子として可愛いすね。良いと思います。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「国民を守るべき軍が、国民を攻撃している……この国は狂っている!」
 今回は、れんこんくん演じるミゲルの悲しい怒りのこもった叫びを選びました。まあ、昨日観た『壬生義士伝』もそうですが、同じ民族同じ国民で殺し合う内乱というものは、なんともやりきれないというか……内乱に限らず、戦争という名の殺し合いは、人類は永遠に克服できないんすかねえ……。

 というわけで、結論。
 轟理事を主演に迎えた、月組若手メンバーによる公演『チェ・ゲバラ』を日本青年館へ観に行ってきたのだが、まず第一に、やっぱり轟理事はすげえ、のは間違いないだろう。そして第2に、怪我で休養?中の月城かなとさんに代わってカストロ議長を演じた風間柚乃くんの演技は堂々たるもので、歌もとても素晴らしく、実際ブラボーであったと言えよう。しかし、やっぱり月組は「芝居の月組」なんすかね。とても、演劇として上質で素晴らしかったす! そして、国立競技場ももうずいぶん出来上がってきたんすね。間近を通って、すごく実感したっす。まあ、オリンピックを観に行こうとは思わないけど、いろんな数多くの人の努力は、着々と形になってるんですな。そういうのを見ると、ホント人間ってすげえなあと思うけれど、いつか殺し合いをしないで済む日が来るのかどうか、その点は実にアヤシイすね。にんげんだもの、しょうがないんすかね……てなことを考えさせる物語でした。理想じゃ飯は食えないんだよなあ……残念ながら。以上。

↓ わたしのゲバラ知識は、ほぼこの映画によるものです。大変な傑作です。
チェ 28歳の革命 (字幕版)
ベニチオ・デル・トロ
2013-11-26

チェ 39歳別れの手紙 (字幕版)
ベニチオ・デル・トロ
2013-11-26

 昨日は冷たい雨の中、会社が終わってから神宮球場の横にある日本青年館へ行ってきた。それはわたしの愛する宝塚歌劇団宙組公演『群盗―Die Räuber―』を観るためであります。
 こちらがポスター画像ですが、まあ、なんつうか……美しいですなあ……。。。
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 わたしはこの公演に関して、2つの点で大変興味を持っていたので、友の会の抽選に申込み、超ラッキーなことにあっさり当選となって観に行くことが出来たのだが、その2つの点とは以下の通りである。
 1)マジかよ! シラーの『群盗』キタ!
 わたしの周りの人々にはおなじみな通り、わたしはドイツ文学科出身である。そして大学院での専門は18世紀~19世紀のドイツ演劇・戯曲だ。つまり、Friedlich von Scillerと言えば、世の大半の人は知らないだろうけど、ドイツ文学を学んだ人間にとってはGoetheに次ぐ知名度(?)を誇る、ゲーテとほぼ同時代人の偉大なる劇作家なのであります。ゲーテより10歳若いSchillerの戯曲は当然わたしも何作も読んだことがあるわけで、とりわけ有名な『群盗』は超知ってる作品なのである。
 ちなみにさっき会社の若僧に質問されてびっくりしたのだが、そもそも普通の人は「戯曲」という日本語さえ知らないのかもしれない。まあ、会社のガキがアホだっただけの可能性も高いけれど、「戯曲」とは要するに台本、であり、台詞とト書きからなる文学作品だ。Shakespeare作品も戯曲ですわな。そして『群盗』こそ、Schiillerの処女作であり、世界の演劇史上においても相当の回数上演されている有名な作品なのだ。
 そんな『群盗』が、愛する宝塚で上演されるなんて話を聞いて、ドイツ文学を学んだ者としては、じっとしていられるわけがないのです! おまけに主演は、今、超キラキラしている芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)である。ここが2つ目のポイントだ。
 2)キキちゃん……ホントに宙組に移って良かったなあ……!
 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を観て以来のファンで、1番最初に観たのが当時のTOPスター柚希礼音さん率いる星組公演だ。なので、とりわけ星組には思い入れがあるわけだが、キキちゃんは当時星組で、正直わたしはそれほど注目しておらず、キキちゃんが2012年に花組に異動になった時、あ、あの子、花組行っちゃうんだ、ぐらいのことしか思わなかった。しかし、その後の花組公演を観る時はいつも、キキちゃんは元気だろうか、と妙に気になり、その後、明日海りおさん(以下:みりお)が花組TOPスターになって以降、キキちゃんも順調に大きめの役が付くようになって、花組の2番手まで出世したわけだけど……ズバリ、花組時代のキキちゃんは、超地味!だったように思う。なにかと華やかな3番手(?)の柚香光さん(以下:ゆずかれー)が目立って、どうにもキキちゃんは上級生だし番手も上のはずなのに、そして歌も芝居も(わたし主観では)全然キキちゃんの方が上なのに、いかんせん地味、みたいなことをわたしは思っていた。なので、2年前に、キキちゃんが今度は宙組へ異動になった時は、ある意味飛ばされた的に感じていたのである。
 しかし!!! わたしの愚かな感想はまったくの見当違いだった!!! ことが、宙組異動後のキキちゃんが自ら証明してくれたのであります。とにかく、宙組異動後のキキちゃんは、大変失礼ながらもう別人じゃねえかと思うぐらいキラキラしていて、超カッコイイ! じゃあないですか! わたしはさっき、日刊スポーツのこの記事を読んで、なーるほど、そういうことだったのか、と超・腑に落ちた。 ※記事自体はこちら→https://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/news/201902280000137.html

 つまり、このインタビューによると、キキちゃんは花組に異動した時は「おとなしく、上級生らしくしなくちゃ」と思っていたそうである。そうだったんですなあ……そして花組で5年半「花男」としての経験を積み、宙組TOPに星組時代の仲間であり1期先輩の真風涼帆さんが登極されたタイミングで、宙組へ異動となって今に至るわけだ。下級生時代を共に過ごした真風さんの存在も大きいのでしょうな。とにかく、宙組異動後のキキちゃんのキラキラぶりは、とても眩しく、まるで生まれ変わったかのように輝くキキちゃんを観るのは、もはやお父さん目線のおっさんファンとしては、もう大変うれしいことなわけですよ。なんか、凰稀かなめさんが星組2番手時代は超地味だったけど、宙組TOPになったら超キラキラになった時を思い出すというか、ちょっとだけ似てるっすね、境遇的に。
 わたしはサラリーマンとして今年で25年目だが、思うに、やっぱり部署異動の経験のない奴って、もう職人的に固まっている奴(=別の言葉で言えば成長の目がなくつぶしの気かねえ使えない奴)が多いような気がしますね。わたし自身も6部署ぐらい渡り歩いてきたけれど、異動ってとにかくエネルギーを使うんすよ。前の部署でエースだったとしても、新しい部署で新しい仕事を始める時は一兵卒に戻らざるを得ないし、人間関係も気ィ使うし。
 だけど、やっぱりサラリーマンは異動をしないと成長しないと思うな。異動で潰れちゃうダメな奴もいっぱい見てきたし、自分の代わりはいないと勘違いして異動辞令に駄々をこねるようなやつもいっぱい見てきたすね。まあはっきり言って、代わりはいくらでもいるんだよ。問題は、自分がいなくなっても大丈夫なように、下の人間に「自分の背中」を見せてきたかどうか、であり、そして、新しい場所に行った時に自分が成長するチャンスだととらえられるかどうか、という点だ。この観点から見ると、キキちゃんは超立派にその役目を果たしているようにわたしには思えるのであります。

 とまあ、以上のことから、わたしは↑に張り付けたポスター画像を見た時から、これは観てえぜ! と超楽しみにしていたのであります。ヤバイ、まったく関係ない話が長くなり過ぎた……。
 ええと、ズバリ結論から言うと、キキちゃんを中心とした宙組の若手キャスト達はとても良かったと思う。とりわけ、やっぱり3度の新公経験のある瑠風輝くんは今回初めての悪役だったのかな、とても光っていたし、物語の狂言回し的役割のヴァールハイトを演じた101期首席の鷹飛千空くんも良かったすねえ! もちろん群盗メンバーのみんなも超頑張っていたし、さらにはヒロインを演じた天彩峰里ちゃんも健気で良かったすなあ。こういう外箱公演は、普段の大劇場公演では小さい役しか付かない若手の頑張りをチェックできるので、やっぱり面白いすね。
 しかし、物語としては、わたしはとても意外に思ったことがあった。若き頃に読んだ時の印象と全然違うのだ。これには一つ、心当たりがある。それはズバリ、わたしが「年を取ってしまったため」だ。以前も、例えばそうだな……わたしは大学生当時、夏目漱石にドはまりで、『彼岸過迄』『行人』あたりはもう感動して泣いたぐらいなのに、40過ぎて再読した時、まるっきり泣けない、どころか、キャラクター達のガキっぽい心情に呆れるというか……まあとにかく、感想がガラッと変わってしまったのである。
 というような同じことが、今回『群盗』を観てわたしの身に起こった。約30年前にSchillerの『群盗』を読んだ時は、そのキャラクター達の熱い想いや行動にグッと来たはずなのに、今回まったく共感できなかったのである。バカなガキども……みたいな冷ややかな想いを抱いてしまったわたしとしては、なるほど、これが世にいう「老害」か……と自分がなんだか悲しかったすね……。
 というわけで、最後は毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「ゆがんだ世を、ゆがんだ方法で正そうとしてしまった……!」
 今回は、正確なセリフは覚えられなかったけど、キキちゃん演じる主人公カールがラストに嘆くこのセリフを選びます。そうなんだよ、それじゃあダメなんだよ! どんなに周りがインチキで汚ねえ奴らばっかりでも、自分も同じことをしてちゃあダメなんだよ! どんな状況でも、自分は清く正しく美しくないと、ダメなんだよ!! このラストの台詞はとてもグッと来たっすね! ホント、美しくキラキラしているキキちゃんの、心からの慟哭が刺さったすわ……。結構原作と設定が変わっていたけれど、このセリフ、原作にもあったんだっけ……。まったく思い出せん……。

 というわけで、クソ長くなってしまったけど結論。
 ドイツ文学を学んだわたしとしては、Schillerの『群盗』が宝塚歌劇で上演されるというニュースは、もう超ドキドキワクワクだったし、おまけに主演が星組時代から知ってて、今、最も旬を迎えている(?)芹香斗亜さんともなれば、これは絶対観ないと! と期待していたわけだが、確かに、キキちゃんをはじめとする宙組の若い衆はとても熱演だったのは間違いない。その意味では期待を上回る素晴らしい作品だったと称賛したい……のだが、どうもおっさん化してしまったわたしには、約30年ぶりの『群盗』という物語は、共感できるポイントが少なく、若者たちの無軌道ともいえる行動には眉を顰めざるを得ず、その最終的な悲劇エンドには、そりゃそうなるわな、としか思えなかったのである。ただ、イケ台詞にも選んだ通り、最終的にはきちんと自らの過ちを悔いて嘆くのはとても良かった。遅すぎたな……分別ある大人の味方が必要だったんだろうな……。まあ、それがいないから「群盗」と化したわけで、実に悲しい、まさしく悲劇だったと思う。原作を持っているような気もするので、本棚あさってみるか……。以上。

↓ たぶん持ってる……はず。探してみよっと。
群盗 (岩波文庫)
シラー
岩波書店
1958-05-05

 というわけで、今日は雨が降っていたので、会社まで車で行って、会社から総武線で3つ先の千駄ヶ谷まで電車に乗って、そこから神宮球場の横にある日本青年館へ行ってきた。
 理由はただ一つ、わたしが最も応援している宝塚歌劇団星組の公演を観るためであります。今回は「異次元武侠ミュージカル」と題された『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』と、「タカラヅカ・ワンダーステージ」という前サブの付いたショー『Killer Rouge 星秀☆煌紅』の二本立てである。この公演は、来月、そのまま台湾でも上演されることが決まっており、わたしも台湾子会社の役員がチケットを既に確保してくれているので、来月は2年ぶりかな、台湾へ行ってくる所存である。
 で。まずミュージカルの方だが、この作品はオタク業界では大変有名な虚淵玄氏による原案・脚本で、台湾製の「人形劇」としてテレビ放送された作品を、舞台ミュージカル化したものだ。10月から第2シーズンの放送があるのかな。そして虚淵氏は元々18禁のエロゲーのシナリオライターだが、今やすっかり売れっ子作家と言っていいだろう。そしてこの『Thunderbolt Fantasy』も、小説やコミックにもなっている有名な作品だが、まあ、ズバリ言えば、宝塚歌劇を愛する淑女の皆さんには全くお馴染みでないだろうと思う。なので、まさか宝塚でこの作品をやるとは、わたしとしてはかなり想像の斜め上を行く作品選びで、最初に聞いた時はとてもびっくりしたのである。
 しかし、よく考えると、あのビジュアルはたしかに舞台映えしそうだし、実は全然アリかも、と思い、果たしてどんな舞台となるのだろうか……とわたしは相当な期待をもって、今日は日本青年館へ参上したのだが、まあ、結論から言うと、ちゃんと面白かったすね。ただ、歌が少なく、コスプレ感もぬぐえず、若干のトンデモ系な香りは漂っていたようにも思う。でもまあ、イケメン俳優演じるいわゆる2.5次元系でやるよりも、この世のものとは思えないような美形を誇る宝塚歌劇の方がいいんだろうな、と思った。
 というわけで、劇場に着いたのは確か開演30分前ぐらいだったと思うが、もう会場は相当数の淑女の皆さんが詰めかけており、さすがの人気ぶりであった。そして今回、わたしは友会抽選に当たって普通にチケットが買えたのだが、7列目のほぼドセンターあたりという大変良い席で、おお、こりゃあ舞台が近くて最高だぜ! というのを席について確認したのち、なにやら2階ホールに、テレビで使用した本物の「人形」が展示されているというので観に行ってみた。これがまたすっげえ淑女の群れが集っていて、なかなかいい写真は撮れなかったのだが、ま、こんな感じであった(※写真撮影OKだったす)。
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 それぞれの人形は、だいたい1メートルぐらいの身長があったかな、もうチョイ小さいか? そして細い! すごく華奢で顔も小さく、9頭身ぐらいはありそうな極めて繊細に、緻密に作りこまれたものであったのが印象的だ。このキャラたちを、紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)率いる我が星組メンバーがどんな感じに演じるのだろうか、そしてわたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)は、その最大の魅力である歌を聞かせまくってくれるだろうか、という期待の元、開演を待つべく席に戻った。
 で。どんなお話かは、説明するのがちょっと難しいので、公式サイトのWebページを観てほしいのだが、ズバリ言えばファンタジーなので、歴史とかそういうものは全く関係ない。かつて「魔物」と「人間」の戦いがあって、魔物に対応する武器を人間が作っていたと。で、それから長い時間が経過した世の中では、とある一族が最強の刀を護っていて、その刀の刀身自体は魔物を封じ込める封印に使われていて、その刀の「柄」と「鍔」がないとその刀身を抜く(=封印を破る)ことができず、魔の力を欲する悪党集団(?)がその柄と鍔を奪いに、守護している一族のもとにやってきて、そこに通りかかった(としか言いようがない)男たちが、力を合わせてそれを守る、てなお話である。これは、事前に予習しておいた方がそりゃいいけど、今回の舞台を観ていて、これは予習なしでもちゃんと理解できるお話になってるように感じた。なので、淑女の皆さんは予習しなくても大丈夫だと思うな。もちろん、知ってた方がより理解は深まると思うけど。
 というわけで、キャラ紹介と演じたジェンヌを書き連ねていきたいのだが、わたしが気に入った順に書こうと思います。なので、主人公じゃないこの方から行ってみよう。
 ◆殤不患(ショウフカン):演じたのは「お兄さま」でお馴染みの七海ひろきさん(以下:カイ兄貴)。今回、カイ兄貴がいっちばんカッコ良かったと思う。最高でしたね、ひろきのお兄様! 大変美味しい役柄でありました。カイ兄貴は女子としても大変な美人で、男役としては実にカッコイイお人ですよ。今回演じた役は、たまたま通りがかって、かなり嫌々助っ人となる謎の剣客なのだが、実はーーというその実力を最後に見せてくれて、もう物語的には主人公並みの大活躍と言えるのではなかろうか。カイ兄貴、ホント最高にカッコ良かったす!
 ◆丹翡(タンヒ):演じたのは、星組のヒロイン、TOP娘役の綺咲愛里ちゃん(以下:あーちゃん)。今回はもう、本当にお人形のような可愛さで、このレベルのビジュアル的可愛さは、わたしの審美眼では宝塚歌劇5組中ナンバーワンだと思う。何度もこのBlogで書いている通り、あーちゃんは確かに歌には問題があるかもしれない、けど、わたしはあーちゃんの意外な低音ボイスが大好きだし、あーちゃんは、裏声の高音が苦手なんじゃないかしら。地声の部分はすごくいいと思うんだけどな。わたしはあーちゃんの声が大好きすね。とにかく、おっそろしく可愛かったす。演じた役柄は、封印の柄と鍔を守護する一族の姫で、箱入りで世間知らず的なキャラなのだが、必殺技の発動も実にそれっぽくて良かったし、その衣装も大変あーちゃんに似合っていたと思う。つうか、あーちゃん、かつてこのBlogで幼児体形とか言ってごめんよ。なんかすっかりシャープになったというか、とても痩せたね。ウエストの細さがもう以前とは段違いだし、ちょっと痩せすぎなのが心配です。
 ◆捲殘雲(ケンサンウン):演じたのは、わたしが最も応援しているこっちんこと礼真琴さん。本作は幕開けからこっちんのパワフルな歌から始まるので、もうのっけから大興奮でした。何も言うことないね。最高です。役柄としては、護衛団の中で一番の若者ということで、ちょっとしたツッコミ役だったり、コメディ色も強かったすね。ビジュアル的にも、アニメ風というか、ファイナルファンタジー的というか、2次元的な金髪イケメンでしたな。とてもよく似合っていたと思う。問題は、こっちんは、ズバリ言うとカッコイイよりもカワイイ系なんすよね……。そこが完璧超人こっちんの唯一の弱点のように思えてならない。歌の実力は、もうヅカファンなら誰しも現役最強レベルと認める力があるので、あとはレジェンドちえちゃん(=柚希礼音さん)のような、ワイルドなギラギラ感が加われば、最強なんすけどね……。でもまあ、こっちんはやっぱり最高す!
 ◆凜雪鴉(リンセツア):物語の主人公。盗賊。自由人(笑)で。ちょっとボケ役、と言ってもいいかな。演じたのは、星組TOPスター、紅子先輩こと紅ゆずるさん。宝塚屈指のコメディエンヌとして名高い紅子先輩は、たしかにリンセツアのキャラにはピッタリだったすね。わたしの席から双眼鏡で紅子先輩を観てみたところ、紅のカラーコンタクトを着用されてるのが見えたす。原作でどうだったかまったく覚えてないけど、目が紅くてびっくりしたよ。ただ、この人はイイ人なのか悪い奴なのか、非常に微妙なところがあるので、今回のお話の中では、若干理解が難しいかも。これは原作の人形劇を観てないと、ちょっとわかりづらいかもなあ……とは思った。ただ、それでも紅子先輩の笑わせるクオリティは相変わらずお見事で、その軽妙さはやっぱり、リンセツア役は紅子先輩以外にはできないだろうと思わせるお見事な演じぶりでした。ちょっと歌が少なかったすね。ミュージカルと言えるかどうか、ギリギリぐらいの最小限の歌しかなかったのがちょっとだけ残念す。
 そして後半はショー『Killer Rouge 星秀☆煌紅』であります。このショーは、数カ月前、大劇場で上演されたものの再演なのだが、現在星組は2班に分かれているので、メンバー構成が変わって、内容もちょっとだけ、前回からは変更になっていた。例えば、明らかに台湾向けな中国語の歌が入ってたりしてたす。
 わたしが今回のショーで、一番目に留まったのは、新公主役を3回こなしている天華えま君(以下:ぴーすけ)だ。今回、ソロで歌うシーンが何回かあって、これって前回もあったっけ? と思いつつ、たぶんわたしはぴーすけ君のソロを聞くのは初めてじゃなかろうか? という気がした。そして、なんだよ、かなりイイじゃないですか。ぴーすけ君、結構美声なんすね。今、星組では売り出し中の若手カップル、極美慎くんと星蘭ひとみちゃんの二人は、別班で現在バウホール公演の稽古中なので、今回不参加なのだが、その分、やけにぴーすけ君が目立ってた印象す。
 あと、これは明確に前回なかったものだが、今回は、紅子先輩の恐らく完全アドリブな、「誘導係:紅子」コーナーがあった。しかも長い! 10分とは言わないまでも5分以上はあったすね。もうその笑わせ方はすごいよ。マジでこれも紅子先輩じゃないとできないだろうな……。これは、劇場の席の誘導係である「紅子」なるキャラに扮した紅子先輩が、後輩のあーちゃんや、こっちん演じる「礼子」をいじりまくるギャグコーナーで、客席を練り歩きながらお客さんへのダメ出しをしたり、あーちゃんを軽くパワハラしたり、相当笑えました。このコーナーって、2014年かそのあたりのタカスペのアレなんすかね? あの年のタカスペは、紅子先輩は病気休演になっちゃったんだよな……それでこっちんとあと誰だったかで、客席練り歩きながら演じてたのがあったけど、アレはバスガイドだったっけ……ちょっとBlu-ray探してみよう。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「正しくあろうとしたことを、悔やむんじゃない!」
 今回は、ほぼ物語の主役と言ってもよさそうな、カイ兄貴こと七海ひろきさん演じるショウフカンのセリフを選びました。ヒロインへ向けたこのセリフ、実にカッコ良かったすね。わたしの中でのカイ兄貴株が爆上げですよ。今までこっちんばっかり注目していたけど、やっぱりカイ兄貴も最高すね!

 というわけで、結論。
 現在、日本青年館で上演している宝塚歌劇団星組公演『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀/Killer Rouge 星秀☆煌紅』を観てきたのだが、なるほど、原作を知らなくても理解できるかな、という内容ではあった。もちろん、予習した方がイイとは思うけど、意外と大丈夫のような気がします。まあ、正直、わたしは虚淵氏の作品は数多く観たり読んだりしているけれど、いつもほぼ好みではないし、全くファンでもないので、ちょっとアレなのだが、ここまで完全な異世界ファンタジーを宝塚歌劇が上演するのも珍しいような気もする。でも、そのビジュアル再現力はやっぱりすごいですな、宝塚は。とりわけヒロイン演じるあーちゃんのコスプレ(?)は最強に可愛かったと思うし、こっちん演じる役も、すごいファイナルファンタジー的キャラビジュアルで、それがまたよく似合ってるから、これまたすごいよなあ、と大興奮でありました。そしてショーの『Killer Rouge』も大変キラキラであり、天華えま君のソロも聞けたのは収穫だったし、ギャグコーナーの紅子&礼子も最高でした。要するに、結論としては大変楽しめました。来月の台湾公演が楽しみですなあ! わたしは2泊でさっさと帰っちゃいますが、また、宝塚だけじゃなく、日本公開される前の映画を観まくってこようと存じます。以上。

↓ これ、日本は12月公開、だけど、たぶんわたしが台湾に行く頃は台湾では公開されてると思うので、観てきます! あと、たぶん日本では2月公開の『FIRST MAN』も観られる……はず! 台湾は、大抵US本国と同時公開なのさ!


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