タグ:心霊電流

 はーーー……面白かった……。
 そして、もうくどいけど、何度でも言います。
 わたしが世界で最も好きな小説家は、Stephen King大先生である!
 というわけで、先週買って来たKing大先生の日本語で読める最新刊『REVIVAL』を実質4日で読み終わってしまった……はーー……ホント、終わりそうになると、もう終わりか……と悲しくなっちゃうわたしだが、もちろんのこと結末を読みたい気持ちに勝てるわけもなく、あっさりと最後まで読み切ってしまったわけだが、のっけから結論を言うと、超面白かった! けど、若干ラストの後味はビターというか、何となくモヤッとしているのがアレかなあ……と感じている。
 まずはもう一度、買ってきたときに興奮しながら張り付けた書影をのっけとこう。そして、以下は完全にネタバレに触れると思うので、まだ読んでいない人はここらで退場してください。
revival
 しかし、改めて思うに、この日本語タイトルは、極めて微妙というか、ギリギリOK、な気がしている。確かに、日本語として『心霊電流』といわれると「な、なんだそれ!?」と、とても興奮するのは間違いない。そういう意味ではいい日本語タイトルじゃん、とは思う。おまけに、最後まで読み終わった今となっては、たしかに内容には合致しているとも言えそうだ。
 でもなあ……US原題の『REVIVAL』から遠すぎるというか……まあ、対案が出せない言うだけ詐欺なので、タイトルに関してはもう何も言うまい。いずれにせよ、さっさと文春が日本語版を出してくれたことには感謝したいが、それでも、やっぱり遅いんだよな……ちなみに本作『REVIVAL』は、去年大興奮した『END OF WATCH』より前の2014年に刊行された作品で(END OF WATCHは2016年刊行)、既にもう長編は2作品発表されているし、今年の9月にもさらに新刊が予告されているので、文春でもどこでもいいから、さっさと日本語化してもらいたいものだ。つうか、やっぱり英語で読めってことかも知れないな……。
 ともあれ。
 本作『REVIVAL』は、久しぶりに(?)King大先生ワールドにかかわる若干ホラーチックな部分のある作品で、わたしとしては大変楽しめたわけだが、冒頭に書いた通り、エンディングは若干モヤッとしている。物語としては比較的単純で、本作は現在(2017年かな?)60歳を超えた男が、6歳のころからの人生を振り返る年代記的なものである。そして6歳の時に出会った牧師がその後何度も主人公の人生に現れ、謎の「電流治療」を行うことによって起こる、謎の現象が物語のキーとなるお話で、一体全体、この「電流治療」によって牧師は何を求めているのか、がカギとなっている。ちなみに牧師は、主人公と出会った3年後に牧師を辞めちゃうので、正確には牧師じゃない、つうか、神を憎むようになってしまうけど。
 で。わたしが読んでいてい一番困ったというか、むむ?? と何度も前に戻って確認してしまったのは、回想が結構飛び飛びに語られていて、え、じゃあ、アレはこの事件より後? とか、編年体で描かれていないのが若干読みにくかったような気もする。いや、読みにくさはないんだけど、サラッと読んでいると、ふと、じゃああれって……と、気になってしまうのだ。
 わたしは、つい頭にきて、おもわず年表を作ってしまったほどなのだが、その年表は、あとで乗せようと思います。その年表の前に、登場人物をまとめておいた方がいいと思うので、最初はキャラからまとめてみよう。
 ◆ジェイミー:主人公。5人きょうだいの末っ子。物語の冒頭の1962年時点で6歳(8月生まれなので冒頭の10月には6歳にすでになってる)。後にミュージシャンとなるも、ドラッグ漬けのダメ人間となるが、1992年にジェイコブス牧師と再会、謎の「電流治療」を受けてドラッグ依存から回復。その後音楽スタジオに就職するが、ジェイコブスとの縁は最後まで切れず、とんでもないエンディングへ……。
 ◆ジェイコブス:ジェイミーと初めて会った時は牧師。当時25歳ぐらい?らしい。そしてその3年後、大変な悲劇に遭い、信仰を捨てる。その後は、自らを魅了してやまない「神秘なる電気」の研究をしながら全米を放浪し、各地で見世物的な奇術師→インチキ霊能牧師となって多くの人を「治療」することで金を稼ぐ(そしてその金は全部研究につぎ込む)。そして、ついに稲妻の電流パワーと、自らの命を代償として「その先」を見ることに……。ズバリ、ネタバレですが、なんと「妖蛆の秘密」まで言及され、まごうことなきクトゥルフ展開となって超絶衝撃的!! 本作は冒頭に多くの作家への献辞がささげられてますが、もちろんラヴクラフト大先生の名もあって、まさかの展開でした。そして献辞の作家の筆頭に挙げられているのはメアリー・シェリー。もちろん、「フランケンシュタイン」ですな。その意味も、本書を読めば理解できます。
 ◆クレア:ジェイミーのお姉ちゃん。5人きょうだいの一番上。わたしの計算では多分8つ年上。美人でやさしいが、のちに悲しい運命に……(※ただしクレアの悲劇は本筋には関係ない)。どうでもいいけど、本書では「姉貴」と訳されていたけど、わたしなら「姉さん」と訳しただろうな……。みんなの自慢のお姉ちゃんなので、なんとなく雰囲気的に。
 ◆アンディ:ジェイミーの兄(5人きょうだいの2番目)。わたしの計算ではたぶん6つ年上。信仰心の篤い男。ほぼ出番ナシ。のちに51歳でガンで亡くなる。
 ◆コンラッド:ジェイミーの兄(5人きょうだいの3番目)。通称「コン」。4つ年上。兄弟では一番よく言及される。頭がイイし、運動神経抜群。のちにハワイの天文台勤務。最後まで存命。4つ上。
 ◆テレンス:ジェイミーの兄(5人きょうだいの4番目)。通称「テリー」。2つ年上。一番父になついていて、現在実家を継いで故郷のメイン州ハーロウに住んでいる。ちなみにハーロウは、King大先生作品でお馴染み「キャッスル・ロック」のすぐそば。
 ◆父と母:父は年齢不明だが80過ぎまで生きた。燃油販売業を興した人で、かつては貧しいこともあったがその後は裕福に。母は1977年ぐらい(?)に51歳でがんで死去。
 ◆アストリッド:ジェイミーの初恋の女子で初体験の相手。可愛く美人。結構イケイケ系。大学入学で付き合いは自然消滅。しかし2014年に約40年ぶりに再会することに……
 ◆ヒュー:ドラッグを克服したジェイミーが就職したスタジオの社長。実はヒューも、1983年にジェイコブスと出会って「治療」を受けていた。
 とまあ、主な重要人物としては、上記で十分かな。
 で、出来事を年表にまとめたのが以下です。どうTableタグを駆使してもスマホで閲覧するとガタガタになっちゃうので、頭にきてJPEG画像にしてみた。
REVIVAl_year_l
 USの学校は9月はじまりだし、誕生月の影響もあってか、どうもズレているような気がするけど、大体合ってるのではないかと思う。
 さて、もういい加減クソ長いので、以下にわたしが思ったポイントをまとめて終わりにしよう。そのポイントとは、ズバリ言うと「King大先生ワールドとの関連」である。
 1)JOYLANDとの関わり
 上記の表に書いた通り、なんとジェイコブスは一時期JOYLANDでも奇術師的なショーをやっていた模様。それがいつのことかは書いていなかったが、小説『JOYLAND』で主人公が学生時代に働いていたのが1977年だったと思うので、すれ違っていたかも、である。わたしは、ひょっとして『JOYLAND』にジェイコブスがチラッと出てたのかな? とか思って『JOYLAND』をパラ見してみたけど、どうも存在は確認できずであった。
 2)Itとの関わり
 どうやら、ラストに現れる謎の昆虫めいた存在は、「It」なのかもしれない。わたしはその展開に大興奮して、はっ!?と年代に注目したのだが(そのために上記年表を作ってみたともいえる)、『It』の子供時代編が1958年、大人編が1985年なので、ドンピシャでは全然なかった。そして1985年から「27年後」は2012年なので、これも若干ズレている。なお、2年前公開されてウルトラ大ヒットとなった映画版『It』は子供時代編が1988年に変わっていたけど、それとも一致せずでした。なので、だから何だという結論はないけど、なにも「It」がメイン州デリーだけにいたとは限定出来ないかもしれず、とにかくわたしとしては「It」の登場に、やっべええ!!と大興奮したっすね。
 3)その他の作品との関わり
 まあ、謎の邪悪な存在が「日常のすぐ隣にいる」的な世界観はKing大先生にはお馴染みの設定で、本作のクリーチャー的存在でわたしが思い出したのはやっぱり『The Mist』や『From a Buick 8』あたりの作品だ。そして本作で言及された『妖蛆の秘密』は、『Salem's Lot』での重要アイテムでもある。
 しかし、電流による覚醒(?)によって「何かが起こり」、その世界への扉が開いちゃう的な展開は、わたしとしては超最高だとは思ったものの、本作は開いた扉を慌てて閉じて、ふーーあっぶねえ……で終わってしまったわけで、その、ふみ込み具合がわたしとしては若干物足りないというか、モヤッと感じた最大の要因のような気がする。
 本来?と言うのもおかしいけれど、エピローグで語られる「治療」経験者たちのその後、の方が事件として興味深くて、主人公がそれを知って、探っていくうちに、少年時代のあの牧師の存在が明らかになって、その謎を解き明かしていく――的な流れもアリだったのではなかろうか。つうか、どうもエピローグで「その後」をさらっと流されちゃったのが、少し物足りないような気もするんだよな……。
 そして思うに、ジェイコブスは狂っていたとはいえ、誰だって、亡くした愛する者のREVIVAL=復活につながるなら、何にだってすがるんだろう。そもそも死者のREVIVALというモチーフは『PET SEMATARY』でもKing作品ではおなじみだし。ジェイコブスの場合は、たまたまそれが「神秘なる電流」だっただけで、おまけにそれが人の謎パワーを増幅して病気を治してしまうと知ったら、そりゃ使うだろう。たとえそこに、深刻な後遺症があっても。結局、本作ではその後遺症についての明確な解明はなかったように思える。一度でも「向こう側」と繋がっちゃったら、絶望して生きていけなくなるってことなのかな……わたしとしては、その後遺症をもうチョイ深く描いてほしかったような気がします。
 ま、とはいえ、やっぱりKing大先生の描く「少年時代の回想」というのはめっぽう面白かったので、結論としては大満足、であります。

 というわけで、もうクソ長いので結論。
 わたしが世界で最も愛する小説家、Stephen King大先生の日本語で読める最新刊『REVIVAL』(日本語タイトル「心霊電流」)が発売になったので、即買って読んだところ、結論としては超面白かったと言いたい。が、若干のもやもやが残るエンディングで、超傑作判定は出来ないかな……。ただ、この物語はとても映像映えすると思いますね。映画あるいはTVシリーズになるような気がします。なんつうか、わたしとしては若干ジェイミーのキャラに反感を感じたのかな……イマイチ好きになれない奴であったような気もする。むしろジェイコブスの方が共感しやすいような……宗教なんて、安心を与える生命保険と同じだ、というセリフには考えさせるものがありましたな。まあ、いろいろ書いたけど、結論としては、KING大先生のファンならば、今すぐ本屋へ行って買って読むべきだと思います。文庫化を待っても意味ないすよ。数百円しか違わないし、そんなの特急料金と思えば、今すぐ読んで興奮する方をお勧めします。わたしはすっかり電子書籍野郎に変身しましたが、本作は電子書籍だとさらにお安く買えます。が、わたしはKING大先生の作品は本棚に並べて悦に入りたいので、紙の書籍で買いました。ぜひ、紙でも電子でも、今すぐ読んでいただきたく存じます。以上。

↓ このところ、電子だと紙より200円以上安い本が多いんだよな……。お好みでどうぞ。
心霊電流 上 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

心霊電流 下 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

そしてすでに発売済み、だけど日本ゴミ翻訳はこちらの2作です。あらすじが超そそる……早く読みたい!!
Sleeping Beauties (English Edition)
Stephen King
Hodder & Stoughton
2017-09-26

The Outsider (English Edition)
Stephen King
Hodder & Stoughton
2018-05-22








 このBlogでもう30回ぐらいは書いていると思うが、今回も言おう!
 わたしが世界で最も好きな小説家は、Stephen King大先生である!
 そして日本語で読める最新刊が1/30(水)発売と、文春から発表されたときの喜びは極めて大きく、昨日本屋に寄ったら思いっきり売っていたので、さっそく買ってきたのであります! やったーー! 超嬉しい!!
 US原題は『REVIVAL』。わたしは今回、まったくどういう内容の作品か、あらすじすら読まずに買って、読み始めているのだが……相変わらずヤバイすねえ! この、日本語タイトルをご覧ください!
revival
 なんと文春から発売された日本語版は、『心霊電流』という、超そそる謎のタイトルになっております!! 心霊……電流……な、なんのこっちゃ?? US原題の『REVIVAL』と併せて考えると……復活的な? 電気でビリビリ的な……? と全く謎の妄想がわきますが、現在<上巻>の90ページほどを読んでいる段階で、とある人物が電気にやけに詳しいというか、電気に並々ならぬ興味をもっていて、そしてはやくも超悲劇が勃発しており、こ、こいつはページをめくる手が止まらねえ! 状態になりつつあります。
 というわけで、今日は、都内のデカい本屋さんならもう売ってるよ!の第一報まで。そして、ヤッバイほど面白そうな展開で興奮が止まらん! 状態であることのご報告でありました。

 というわけで、さっさと結論。
 わたしが最も愛する小説家Stephen King大先生の日本語で読める新刊『REVIVAL(日本語タイトル「心霊電流」)』が発売になっていたので、さっそく買って読み始めたわたしであります。実は、発売を知ったのは、わたしが愛用する電子書籍販売サイト「BOOK☆WALKER」から、新刊出ますよメールが先週届いたためなのだが(ありがとうBW!)、当然、King大先生の作品は紙で、単行本で、出たらすぐ!買うことにしております。なぜって!? そりゃあもう、早く読みたくて我慢できないからですよ! 文庫化まで待ってられんのです!! 特急料金として高くてもいいんだよもう。それではお先に堪能させていただきまーす! 以上。

↓ もちろん電子版は発売日がきっちり守られており、配信は明日1/30からです。そして電子版の方が200円以上安いみたいです。でもわたしは本棚に並べて悦に浸りたいので、King大先生作品だけは「紙」っす!
心霊電流 上 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

心霊電流 下 (文春e-book)
スティーヴン・キング
文藝春秋
2019-01-30

↑このページのトップヘ