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 はあ……やっぱり宝塚歌劇は最高ですなあ……!
 日々わたしは年老いた母の介護で心身ともに疲れ果てているわけですが、何度もここで書いている通り、劇場にいる3時間だけは、全てを忘れさせてくれますね。。。その3時間だけが、わたしの生きる糧と言っても大げさではなく、本心からそう思っています。
 ありがとう。宝塚歌劇団よ永遠なれ!
「Foever TAKARAZUKA」はホントにいい歌っすね!
 というわけで、わたしは昨日の昼すぎ、いつもならすぐに自宅へ帰り、夕食の準備などに忙殺されるわけですが、昨日は日比谷へ寄り道して愛する宝塚歌劇を鑑賞してまいりました。13時半開演、16時半終幕となると、家に帰りつくのがどんなに早くても17時半。劇場を出るのに手間取ると、∔20分、てことは、最悪でも18時には家に着くので、ギリギリ母の介護に間に合う、というわけで、母が重度の要介護になってから初めて、平日午後の回を選びました。
 去年は、どういうわけかとても良い席ばかり当選していたけれど、今年に入ってから花組も月組も全敗、月組はかろうじてヅカ友の美しき淑女からチケットを譲ってもらい、観ることが出来たけれど、花組は結局観ることが叶わず、でありました。
 そして今回は、宙組、であります。さらに演目は、2006年に同じく宙組で初演された『NEVER SAY GOODBY』であります。恐らく、この演目が再演されるというニュースが発表されたとき、わたしを含めヅカ愛好家の9割ぐらいの方々は、えっ!? てことは現在の宙組TOPスター、真風涼帆さんは退団の時が来たのか!? とビビったことでしょう。何しろ、2006年の初演は、伝説的TOPコンビ和央ようかさんと花總まりさんの退団公演であり、さらに真風さんの初舞台の作品なわけで、わたしはもう完全にフラグじゃん、と思いました。
 が、しかし、そんなわたしの浅はかな思い込みは完全に否定され、真風さんの卒業はもうチョイ先になったようで、よかったよかった、となりました。
 わたしが宝塚歌劇を初めて生で観たのは、2010年3月の東京での星組公演であり、期で言うと96期と同期で今年で研13となったわけですが、あの当時の真風さんは星組生であり、わたしはもう13年、真風さんを見守ってきたわけで、まあ、完全に親戚のおじさん目線なわけです。が、逆に言うと(?)2006年の初演は生で観ていません。一応、和央さんと花さまのサヨナラショー付きの東京大千穐楽の公演をスカステで観ていますが、スカステで観た今回の「ネバセイ」は、「結構歌率の高い作品だなあ~」とか「カチャさん、ちぎちゃん、若いなあ~」とか、そんな印象しか残ってませんでした。
 なので、今回わたしは、それほど超絶対観たい!というテンションではなく、いつもの宙組公演を観に行くのと変わらない気持ちで日比谷に向かったのであります。
 ですが……観終わった今、申し上げたいことはただ一つです。
 超最高!!! でありました!! なんかちょっぴり泣けたぐらい最高だったっすねえ! やっぱり小池先生の描く「ヒーロー像(?)」のようなものは、グッとくるっすなあ! 音楽も良かったし、いやー、本当に素晴らしい公演でありました!
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 というわけで、今回、宝塚友の会がわたしにあてがってくれたチケットは、超久しぶりの2階席でありました。先日、東京宝塚劇場は来場者2000万人を達成したそうで、その記念?なのか、今年はチケットのデザインが写真入りになりました。でもこのチケット、とってもいいデザインなんだけど、ほっとくと印字が消えてなくなっちゃうんだよな。。。どう保存すれば消えないんだろうか。。。
 ま、そんなことはどうでもよく、「ネバセイ」であります。
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 さてと。
 まず、お話ですが、本作は約85年(!)ほど前のスペイン内戦を舞台として、一組の男女の愛の軌跡が描かれるものであります。まあ、物語をよりきちんと理解するためには、一応スペイン内戦とスペインの歴史のことも知っておいた方がいいような気はしました。ちゃんとわかってるかな? 今のスペインって、「王国」でしょ? つまり王様がいるわけだけど、その体制になってから(戻ってから、というべきか)まだ50年ぐらいしか経ってないんだよね。つまり、本作で描かれた、王様不在の「スペイン第二共和政」ってものを分かってた方がいいのでは、と思ったわけです。あと、本編でチラッと触れられる「ゲルニカ空爆」は人類なら絶対に知っておくべき歴史的事件だろうと思います。わたしは、パリ万博に出展されたピカソの「ゲルニカ」の時代背景を勉強した時に、スペイン内戦についていろいろ調べたことがあったので、結構すんなり背景については理解したつもりです。
 まあ、このスペイン内戦というものは、おっそろしく複雑な勢力争いなんだけど、その歴史についてはWikiに任せるとして、わたしが非常に興味深いと思ったのは、スペイン内戦の主役? と言ったら変か、なんて言えばいいんだろう、勝った側、と言えばいいのかな、つまり本作には、その後長期にわたって独裁を敷いたフランコ側のキャラは一切出て来ないのです。本作では、「反乱軍」とか「ファシスト」としか言及されず、姿は一切現さない。この点は、ある意味小池修一郎先生の天才的な取捨選択だと思いました。
 ちなみに、スペイン内戦は、ノーベル賞作家のヘミングウェイや写真家のロバート・キャパが参加していることでも有名ですが、本作の主人公は、キャパの友人でスペイン内戦で亡くなったゲルダ・タローをモデルにしているように思います。だけど、小池先生は、ある意味かなりドラマチック?なスペイン内戦という歴史的事件を、一つの舞台装置としてしか見做しておらず、あくまでも、「ある愛の軌跡」を追うことに集中しているのが凄いというか、さすがというか、わたしはかなり感動しました。小池先生のクリエイティブ能力に。
 そういう意味では、スペイン内戦なんて知らねーよ、でいいのかもしれません。けど、やっぱり、知ってた方が面白さが増すと思うので、長々と書いてみましたが、わたしが言いたいことは、小池先生はやっぱりすげえ、の一言に尽きます。
 ので、さっさと各キャラ紹介と演じたジェンヌをまとめてまいりましょう。2階席からはこう見えます。双眼鏡必須です。
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 ◆ジョルジュ:主人公。そもそもはユダヤ系ポーランド人で、本名もスラヴ系な感じだけど、母国の騒乱を逃れてパリにたどり着き「ジョルジュ」と名乗っている。自らを「デラシネ(根無し草)」と呼ぶ、心さすらう写真家。ハリウッドで出会ったキャサリンと、バルセロナで再会し、(ルキーニ風に言うと)「愛が芽生えた、のだ!」 演じたのはもちろん宙組TOPスター真風涼帆さん。まさに円熟期、ですねえ。そもそも曲が素晴らしくイイこともあるけど、真風さんのパフォーマンスも極めて見事で、わたしとしては『アナスタシア』の時よりもさらに磨きがかかった、真風さんのベスト作なのではなかろうかと思いました。いやー、本当にカッコ良かった! 6月のコンサートも楽しみっすね!
 ◆キャサリン:ハリウッドの脚本家、だが、ハリウッド的商業主義に嫌気を感じていて、共産主義的思想に傾く(※本人はコミュニストではない、と明確に言っているけど、まあ、歴史的にこの後ハリウッドに吹き荒れる赤狩りには確実に引っかかる言動だろうと思います)。真実を写す、というジョルジョにFall in Love。演じたのは、当然宙組TOP娘役の潤花ちゃん。もう、本当にグレイト!な演技、歌唱ぶりで、わたしとしては大絶賛いたしたく存じます。潤花ちゃんは前回も書きましたが、とにかく輝いていて、いつもわたし、この娘は強ぇえなあ……!と感じます。美人というか、凄い整ってるよね。今回も素晴らしいパフォーマンスでした。思うに、この役は、前宙組TOP娘役の星風まどかちゃんよりも、潤花ちゃんの方が似合ってると思いますね。もちろんアナスタシアはまどかちゃんの方が似合うと思うし、もう完璧なアナスタシアだったと思いますが、今回のキャサリンは、完璧に潤花ちゃんのための役、とすら思いました。パーフェクトだったと思います!
 ◆ヴィセント:闘牛士。ハリウッドに招かれた際、ジョルジュやキャサリンと知り合い、バルセロナで再会。ファシズムに対抗すべく、故郷バルセロナを守るために闘牛士をやめ、銃を手に取る熱いハートを持ったファイター。彼は、純粋に故郷を守るために戦うわけで、ファシズムや共産勢力のような政治的な背景は全くない。そこがミソで、陣営としてはソヴィエトが裏にいる反ファシスト陣営なわけで、反ファシストの連中も全然一枚岩ではなく、極めて複雑な状況での戦いを強いられる。仲間割れを「やめろ!!」と止めるシーンは本当にカッコ良かったし、そこからの「ひとつの心に……固く~結ばれ~」と真風さんが「One Heart」を歌いだすところなんて、もうゾクゾクしたっすね!! というわけで、ヴィセントを演じたのは宙組正式2番手の芹香斗亜さん。実にカッコ良く見事なヴィセントでした。まあ恐らくは、今年中にTOP就任するのではないかと誰しもが思っていることでしょう。わたしもキキちゃんが大羽根を背負って大階段を下りてくるところを楽しみにしております。実のところ、わたしは星組時代のキキちゃんははほぼ意識してなかったですが、妙に地味だった花組時代とはうって変わって、今はもう、いつTOPになっても大丈夫なキラキラオーラが漂ってますね!
 ◆アギラール:スペインの統一社会党(PSUC])の宣伝部長。本作での悪い人。その造形は、なんだかスカピンで言うところのショーヴラン氏的キャラでした。でも、わたしはショーヴ氏は純粋に自分の信念に基づいて行動していただけだと思っており、全然悪い奴だと思ってませんが、このアギラールは、若干自分の信念よりもキャサリンをモノにしたい的な感じを受けたっす。いつも怒ってる様は非常にショーヴ氏っぽさがあって、演じた桜木みなとくんはとても素晴らしかったと思います。かつての桜木くんは、ちょっとかわいい系の弟キャラ的な感じが強かったような気がしますが、『オーシャンズ11』のベネディクトあたりからかなあ、非常にアクの強い役を演じられるようになったすね。歌も公演ごとにうまくなっているし、こりゃあ、キキちゃんがTOPに立ったら、ずんちゃんが2番手は間違いないな、と思わせる見事なパフォーマンスでした。
 ◆エレン:ハリウッド女優。自分ではジョルジュはわたしの彼氏、と思っているみたいだけど、残念ながらそうじゃない。典型的なアメリカ人。ただ、典型的というのは悪い意味ではなく、あの時代のアメリカ人女性なら当たり前の女性像であり、悪い人では決してないし、頭が悪いわけでもない、常識的な人だと思う。演じたのは100期生の天彩峰里ちゃん。星組から宙組に移ってもう4年も経つのか。もう何度もヒロインを演じているし、エトワールも今回含めて3回?かな?務めている通り、歌ウマでもあるじゅりちゃん。TOP娘への道のりはもうかなり難しくなってしまったように思えるけれど、技のジェンヌとして、欠かせない存在でしょう。今回もとても素晴らしかったです。
 ◆そのほかのキャラ:わたしとしては、宙組観劇の際は、まず、ずっと星組生だった紫藤りゅうくんと、鷹翔千空くんの二人は必ずチェックするっすね。今回は二人とも、外国人として内戦に参加したアスリートの役でした。わたしは星組イチオシなので、しどりゅうくんは元気にしてるかな、と常に気になるし、こってぃくんは、「アクアヴィーテ」の時、わたしの横に来て乾杯!してくれて以来、ずっと見守っております。ああ、そういや、はやくまた客席降りの演出が復活してほしいすねえ。封印されてもう2年以上経つんだなあ。。。たぶんわたしが最後に体験した客席降りがまさしく「アクアヴィーテ」じゃないかしら。。。

 てな感じで、もう書いておきたいことはないかな、大丈夫かな?
 それでは最後に、いつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「キスしてくれたら、返してあげよう」
 「ダメよ、愛していないもの」
 「どうしたら愛される?」
 「そうね、わたしに人生の真実を教えてくれたなら」
 「それは……まだ当分先になりそうだ」
 このやりとりは、序盤のジョルジュとキャサリンがハリウッドで交わすセリフですが、まあいわゆる伏線めいて、最後に見事回収されるわけですな。カッコ良かったすねえ! まだ当分先と言っていたジョルジュ。二人にはマジで幸せになってほしかったよ。。。泣ける。。。マジ最高の物語だったすね!
 
 というわけで、結論。

 わたしにとって今年2回目の宝塚歌劇鑑賞は、宙組の伝説的演目『NEVER SAY GOODBY』でありました。サブタイトルにある通り、「ある愛の軌跡」を描いた本作は、実にカッコ良くて泣ける、小池先生の天才的脚本&天才的作詞と、そして忘れてならない、音楽を担当したフランク・ワイルドホーン氏の素晴らしい楽曲に彩られた大傑作でありました。つうか、小池先生のオリジナル作品をまた味わいたいっすね。できればコメディではなく、本作のような感動的な、英雄譚でお願いしたいす。しかし、どう考えてもゆりかちゃんは卒業の時が近づきつつあるわけで、10年以上見守ってきたわたしとしては、淋しい気持ちの方が大きいわけですが、本作は間違いなく、真風涼帆というスターの代表作になることでしょう。また、恐らくはその次にTOPスターとなるであろう、キキちゃんはもうスタンバイOKなのも間違いないし、続く桜木くんも、グイグイと実力を伸ばしており、今の宙組は実に充実しているように見えました、星組イチオシとしては、月組や宙組に比べるとちょっとねえ……若干将来が心配なのは否めないように思うっす。潤花ちゃんも作品を重ねるごとにグングンとオーラが増しているし、まだまだ舞台上で輝いてほしいっすね。ともあれ、宝塚歌劇は最高っすね! 以上。

↓ 翌日にまた、スカステで録画した初演版を観たんすけど、やっぱり和央さん&花さまVerも素晴らしいっすね! しかし、たった16年前なのに、なんか古さを感じるのは髪型とかメイクに由来するもんなんだろうか? 衣装はほぼ同じ感じで、衣装よりもやっぱり髪型とメイク、なのかなあ??
Never Say Goodbye -ある愛の軌跡- 主題歌
花總まり
宝塚クリエイティブアーツ
2006-06-01

 まったくいいことがない。
 むしろ悪いことだらけで、心身ともに疲れ果てているわたしだが、今日はほぼ唯一の楽しみである、愛する宝塚歌劇を観に日比谷へ行った。出ようとしたら超大雨で、これは駅まで行くのに(わたしの家は駅までチャリで15分、要するにすげえ遠い)、びっしょり確実だな……ということで、会社まで車で行って、会社の駐車場に車を置いて、千代田線で日比谷に行くことにした。
 で、現在、日比谷の東京宝塚劇場では、宙組公演が絶賛上演中だ。そしてその演目は、かの『シャーロック・ホームズ』である。実のところ、わたしはホームズは全然詳しくなく、映画やTVドラマでしか知らないのだが、キャストを観ると、宿敵モリアーティ教授や「あの女性(ひと)」でお馴染みのアイリーン・アドラーが登場するらしい。これはどんな話なんだろうな、と期待を膨らませて、一路、車をかっ飛ばして(会社経由で)劇場へ向かったわたしであった。
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 このところ、上手側がずっと続いていたけれど、久しぶり?に下手側でした。列も久しぶり?に10列目以降だったけど、全く支障なく、良い席でした。ただ、空席が若干目立ってたかも。。。
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 というわけで、宙組TOPスター、真風涼帆さんが当然主役のホームズであり、2番手スター芹香斗亜さんがモリアーティ教授なのは当たり前だし、このお二人のビジュアルがいつも通りおっそろしくイケメンでカッコいいのも当然なわけだが、今回わたしが一番楽しみにしていたのは、アイリーンを演じる潤花(じゅん はな)さんだ。じゅんはなちゃんは、ずっと雪組で育ち、一つ前の公演から宙組に異動してきた若手娘役さんだが、ついにTOP娘役へ登極し、今回がTOP娘役としてのお披露目公演である。
 じゅんはなちゃんという娘役さんは、美人で可愛くて、なんつうかな、わたしはこれまでの雪組時代からずっと、「この子はつええ……」と思っていた。強い、というのは、性格的なものじゃなくて(性格も強いかもしれないけど)、その存在感の大きさと言えばいいのかな、比較的背が高いというのも効いているのかもしれないけど、とにかく光ってるし、眩しさが段違いなんすよね。これはひょっとするとわたしが男だから感じる、美女に対するなんらかの生体的反応なのかもしれないけれど、わたしはいつも、じゅんはなちゃんに対しては、なんとなく無条件に見とれてしまうというか、目で追ってしまうというか、「つええなあ……確実にTOPの器の娘役だよな……」とかボンヤリと思っていたので、満を持して登極したじゅんはなちゃんに、ものすごい期待を持っていたのであります。
 そして、結論から言うと、お話的には、生粋のシャーロキアンの方が面白いと思うかアヤシイけれど、わたしには十分面白かったし、やっぱりじゅんはなちゃんのパワーに圧倒されたというか、やっぱりこの子はつええ、という思いが深まった感じであります。可愛いっすねえ! そして歌も十分アリだと思うし、高音よりも地声の部分の方がイケるのかもしれないすね。大げさかもしれないしほめ過ぎかもしれないけれど、ここ数年で誕生したTOP娘役の中では断トツに存在感あるっすね。実咲凛音さん系の美人正統派であり、愛希れいかさん系の存在感大き目系TOP娘役だと感じました。ええと、うまく言えないけどTOPスターの嫁として寄り添い、付いていく系じゃなくて、自分の道を行く系、と言えばいいのかな、そんな気がしたっす。とにかく美女。最高でした。
 というわけで、各キャラと演じたジェンヌをメモしておこう。
 ◆シャーロック・ホームズ:ご存知名探偵。実のところ、いいとこのボンボンであり、そういう御曹司キャラを演じさせたら、宙組TOPスター真風涼帆さんにかなう人はいないっすね。そして誰がどう見ても恐ろしくイケメンであり、もう、男のわたしとしては完全降伏するしかないす。
 真風さんは、いつの間にか5組の中で最古参TOPスターになってしまい、時の流れの早さに呆然としますが、きっとそろそろ、卒業を意識なさっているのでしょう。わたしは星組の若手スター時代から見守っていますが、今はまさに円熟期だと思いました。
 ◆モリアーティー教授:これまた有名キャラなので説明しませんが、ホームズの宿敵として名高い天才犯罪者。ただ……今回のお話では、若干甘かったような……モリアーティー一派にこっそり警察側(?)のスパイがいて、計画が漏れてたってのはモリアーティーらしくないミスのように感じたけど、これは原作にある設定なんだろうか。
 演じたのは前述の通り宙組2番手スター芹香斗亜さんで、芹香さんも真風さんがTOPになった時に宙組に移ってきたんだから、もうずいぶん経ったね。花組時代から考えれば、ずいぶん長いこと2番手という地位にいるわけで、そろそろ、なんでしょうな。嬉しいすねえ。芹香さんの星組時代は5作ぐらいしか観てないけれど、実はあまり印象になかったんだよな……。花組時代に比べるとホントに輝きが増して、キラキラ度はグッとアップしましたな。TOPまでもう少し。応援してますよ!
 ◆アイリーン・アドラー:これまた有名なので説明しません。が、わたしはもっと、ミステリアスで、ホームズとも敵対する悪女めいたキャラかと思っていたけれど、今回のお話では、若干弱い女性っぽさがあったり、もうなんかホームズLOVEが強くて、ちょっと意外でした。
 そして演じた潤花ちゃんは、とても良かったのはすでに書いた通りです。いいっすねえ……これから、いろいろなヒロイン像を見せてもらいたいと思います。ちょっと変態的感想で恐縮ですが、ショーでのカンカンで、わたしは潤花ちゃんのふくらはぎのくっきりした筋肉にくぎ付けになったす。大変お見事でありました。
 ◆ジョン・ワトソン:これまた「ワトソン君」でお馴染み、ホームズの相棒であり、ホームズの物語の語り手。元軍医だけど、今回のお話では医者であることはほぼ触れられず。若干影も薄くて、なんかちょっぴり残念でした。ホントは大活躍するキャラなのにね。
 演じたのは、宙組3番目スターと言っていい桜木みなとくん。もし後に芹香さんがTOPになった時、桜木くんは2番手になるとしたら、ホントに95期は大変なことになるっすね。本作ではイマイチ存在感が薄かったけど、今後に期待します。
 ◆レストレード警部:これまた有名キャラなので説明しませんが、演じたのは、この前、電撃的に雪組への移動が発表された和希そらくんで、なんか、キャラ付けとして銭形警部っぽかったすね。そらくんがあんなだみ声出すのは珍しいというか、銭形過ぎて笑っちゃったす。
 そらくんは、このBlogで何回も書いてきたけれど、わたしが宙組で一番注目してきたお方なので、異動はちょっと淋しいです。ほんと、いつの間にかそらくんも研12?かな? この前まで新人公演に出てたと思ったら、もうベテラン枠だもんな。タレントぞろいの雪組へ異動になっても、そらくんのキレのいいダンスを雪組でも観られることを期待します。
 ほかに、わたしはそもそも星組イチオシなので、やっぱり星組から移った紫藤りゅうくんに目が行くし、鷹翔千空くんは相変わらずカッコいいし、それから天彩峰里ちゃんもしっかり重要な役を務めてて、大変良かったと思います。あと、ビクトリア女王を演じたのは誰だったんだ? と分からなかったのでプログラムで確かめたところ、96期の瀬戸花まりさんでした。今まで何度も目にしてたはずなのに、今回とっても光って目立ってましたね。今後はちゃんとチェックしようと思います。
 で、後半はショー、『Délicieux!-甘美なる巴里-』であります。
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 Délicieux、ってのは要するに英語のDelicious、デリーシャス、美味い、って意味だと思いますが、そのタイトルの通り、スウィーツをモチーフとした、可愛らしくカッコイイショーでありました。まあ、お菓子、スウィーツってことで、かのマリー・アントワネット様が出てくるわけなんすけど、アントワネット様をなんと芹香さんが演じておられ、歌はもちろん女性の声だし、ラスト近くでテンションが上がったアントワネット様が、シルバーのキラキラなだるま姿になっちゃうわけで、わたしとしてはもう、度肝を抜かれました笑。これまで、何度か芹香さんの女装(女性に女装というのは変だけどそうとしか言えない)は見かけているので、実は芹香さんが超可愛いことは知ってましたが、今回は足丸出しで、その線の細さ、華奢さにビビったすね。恐らく、ご本人的には相当恥ずかしいのではないかと想像しますが、ええ、男のわたしから見れば、もう、あざっす!! としか言えないっすね。 そしてラストのエトワールを任された春乃さくらちゃんの歌声が凄い迫力でしたなあ! 102期生か……今まで全然ノーチェックだったので、今後注目したいと思います。素晴らしい歌声でした。

 とりあえず以上かな。そして最後はいつもの「今回のイケ台詞」をご紹介して終わりにしたいと思います。
 ※「イケ台詞」=わたしが、かーっ! カッコええ!と感動した台詞のこと
 「言っただろ? 次は逃がさないって」
 今回は、サーセン、正直あまりグッとくる台詞は少なかった……ような気がしますが、最後近くで、ホームズがアイリーンに言うキメ台詞にしました。この台詞からも、なんか本作ではホームズとアイリーンは相当ラブラブだったことが分かる……のではないでしょうか。この二人って、こういう関係でいいんだっけ??

 というわけで、結論。

 まあ、なんつうか、もはや人生に何の期待もなく、絶望しかないわたしにとって、宝塚歌劇の劇場にいる3時間だけは、マジですべて忘れさせてくれますな。大げさでなく、本心からそう思うよ。そして今回の宙組公演『シャーロック・ホームズ』ですが、いろいろ突っ込みたいような部分もあるけれど、これでいいんじゃないかしら。だって、宝塚歌劇だもの! それにしても、ついにTOP娘役に就任した潤花ちゃんは本当に強い輝きを持った存在感あるお方っすねえ。すごい可愛いと思うし、美人であることは誰も否定しないと思うな。歌もダンスも芝居も、もっともっと磨き上げて、伝説のTOP娘役になるぐらいの可能性を秘めているのではなかろうかと思います。ホント、強い、というのがわたしの印象すね。ぜひ、あと3年は続けてほしいです。そして2024年の110周年の運動会で活躍してください! 潤花ちゃん、応援してますよ! 以上。

↓ 久しぶりにこれも観たくなってきた。このシリーズは面白かったすねえ!

 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を生で体験し、うおお、コイツはすげえ、なるほど、これは世の淑女たちが夢中になるのも納得だ、と理解したわけだが、わたしにとっての最初の生・宝塚が、当時のTOPスター柚希礼音さん率いる星組公演であったため、以来、わたしは星組をイチオシとして応援している。
 タイミング的には、わたしが初めて観た作品は、柚希礼音さんがTOPに就任した2作目の『ハプスブルクの宝剣』という作品だったのだが、何が言いたいかというと、タイミング的に非常に幸運であったということで、おかげで柚希礼音さんのTOP時代の作品はほぼすべて、劇場で観ることができたということだ。つまり――わたしは今、日比谷の東京宝塚劇場で絶賛公演中の『オーシャンズ11』の、星組版初演(2011年)もちゃんと生で観たわけであります。
 というわけで、現在東京で公演中なのは宙組であります。そして現在の宙組TOPスター、真風涼帆さん(以下:ゆりか)は、まさしく柚希さん時代に星組に在籍していて、『オーシャンズ』の初演にも出演していたし、新人公演では主役のダニー・オーシャンも演じたわけで、完全におじいちゃん目線で舞台を見つめるわたしには、あのゆりかが、オーシャンズでダニーとして真ん中に立つ日が来たんだのう……と感無量なわけです。さらに言えば、現在の宙組2番手スター芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)も初演時には星組生で、今回演じたラスティ―という役を新人公演で演じており、まさしく2011年の星組版新人公演コンビが揃って今再び、TOP&2番手として同じ役で舞台に立ったわけで、まあ、控えめに言って胸が熱くなるわけです。
 なんつうかもう、ビジュアル的にも本当にカッコいいですなあ! この映像を見てくださいよ。まあ、すべての世の淑女の目がハートになっても、これはもう無理ないでしょうな。男としては大変悔しいですが、これはどうやっても勝てっこないす。

 というわけで、宙組版『オーシャンズ11』であります。本作は、曲がとてもカッコ良くて、大変面白い作品としてわたしの記憶に残っているのだが、ま、お話的には映画版をベースにはしているけど、別物と思っていいかな。
 そしてメインの二人、ゆりかとキキちゃんについてはもう期待しかなく、ポスタービジュアルが発表されたときからそのカッコ良さは間違いないもので、何の心配もしていなかったのだが、わたしとしては以下の点について、若干、どうなるだろう、大丈夫かな、とか余計なお世話の心配もしていたのであります。
 ◆ヒロインのテスについて
 演じるのは当然、現・宙組娘TOPの星風まどかちゃん(以下:まどかちゃん)なわけだが、わたしの印象では、まどかちゃんは若干ロリ感のある、可愛い系女子である。一方、物語のヒロイン、テスという役は、どちらかと言えば大人女子であって、そこにまどかちゃんとの親和性を感じられなかったのだ。だが、観終わった今、結論を言うと、超大丈夫、であった。つうかですね、まどかちゃんはこういう役も全然平気だったんすね。これはわたし的にはちょっとした発見で、へえ~と感じられた。なんか、芝居の時の声もいつもと違って少し抑え目の声だったような気がするし、なんか、芝居の時も歌の時も、声が星組版テスを演じた夢咲ねねちゃんに似てたような気がしますね。ビジュアルは全然違うけれど、声だけ、すごい似てたように思った。そしてなんといっても、サーセン、セクハラで大変恐縮なんですが、まどかちゃんのケツラインが超キレイで美しく、超セクシー!!であった。男目線からすると、あのプリケツは超・極上す。今回はタイト目のスカートが多くて、実に眼福でありました。素晴らしいす。
 ◆敵役ベネディクトについて
 この役は、初演時は現星組TOPスター紅ゆずるさん(以下:紅子先輩)が演じ、さらに2013年の花組版再演では現雪組TOPスター望海風斗さん(以下:のぞ様)が演じた重要な役だ。ベネディクトが、カッコ良くて嫌な奴でないと物語は面白くなくなっちゃうわけで、紅子先輩は何気に「嫌な奴」を演じるのが得意だし、のぞ様の「ぐぬぬ!」と怒り悔しがる様は超秀逸で、それぞれ最高だったわけです。なので、宙組で『オーシャンズ』を再再演するということを聞いた時、おお、そいつはゆりか&キキでやれば、最高に決まってんじゃねえか!と思ったものの、はて、ベネディクトをやれる人材が今の宙組にいたっけ? とか思ってしまったのである。ちょっと前ならば、先日宙組から専科に異動になってしまった愛月ひかるさんが、きっとベネディクトを演じたのは間違いないと思う、けど、今はいない。じゃあ誰が……? と思っていたところで発表されたのが、桜木みなとさん(以下:ずんちゃん)である。この発表には、えっ、お、おう……? という感想を持ったわたしだが、観てきた結論としては、まあ、十分レベルの高いパフォーマンスを見せてくれたとは思う。ずんちゃんのこれまでのキャリアからすれば、新境地なんでしょう。唯一アレなのは、やっぱり背の低さですかね……。でもまあ、期待には十分こたえてくれたと思います。
 ◆ソラ・カズキの活躍に期待!
 わたしのヅカ友の女子が、和希そらさん(以下:そらくん)の贔屓であるため、わたしも宙組を観る時はそらくんに注目するのだが、今回の『オーシャンズ』ではどの役を演じるんだろう?と楽しみにしていたら、発表されたのは、映画版ではMatt Damon氏が演じたライナスの役であった。ライナスと言えば、星組版初演でゆりかが演じ、花組版再演ではキキちゃんが演じた、若手にとっては大きい役なわけで、わたしとしては、これまで、実力は極めて高いけれどイマイチ役に恵まれなかったそらくんにもとうとう大きい役が来た! と大変うれしくなったのであります。そしてそらくんはきっちりとその期待に応えてくれましたな。そらくんは、まず第一にダンスのキレが素晴らしく、そのビジュアルも、実は女子として大変な美人なのだが、大変カッコ良かったすね。そらくんも、唯一の弱点はやっぱり身長が少し低めなんだよな……そこだけですよ。歌もかなりうまいし、わたしとしては、もうそらくんには是非、我が星組に来てほしいと思う人材ですね。秋に星組TOPスターになることが確定した愛しのこっちん(礼真琴さん)と共に、歌って踊れる人材として、マジで星組に欲しいすわ。今後も、宙組を観る時はそらくんに注目したいと思います。
 あとは……わたしが観ながら、おお、この人はイイですなあ! と思ったのは、元星組の100期生、天彩峰里ちゃん(以下:じゅりちゃん)かな。演じたエメラルドは、舞台上にかなり頻繁に登場する3人の美人シンガーの一人なのだが、これまで妃海風ちゃんが新人公演で演じたり、仙名彩世さんが花組版で演じた役で、要するに歌ウマじゃないとダメな役なわけですが、じゅりちゃんも大変良かったすね。
 とまあ、こんなところかな。もう書きたいことはないかな……。
 では最後に、毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 ダニー「テス、本能に従うんだ……」
 テス「これが本能よ!」(ピシャッとビンタを喰らわす)
 ダニー「……快感だぜ……」(と、ニヤリとしておもむろに無理やりキス!)
 今回は、ダニーのこの若干変態めいたこのシーンを選びました。つうかですね、男のわたしには、テスがダニーに惚れ直す理由が良くわからんというか、あんだけ嫌いと言っといて、元サヤに戻る展開は正直謎なんすけど……やっぱり、女子としてはこういう強引さも欲しいんすかねえ? え、全然違う!? まあ、それが分からんからわたしモテないわけです。なるほど、納得。いや、納得してる場合じゃねえし!! くそう!

 というわけで、結論。
 8年前(!)に観た、宝塚歌劇による『オーシャンズ11』が令和の世となって大復活、再再演となったわけだが、TOP&2番手コンビのカッコ良さは、男としてはもう完全にお手上げですよ。最強のカッコ良さは男が観ても痺れるっすな。それにしても、真風涼帆さんは、どこかクラシカルな、堂々としたTOPスターだし、芹香斗亜さんも、今すぐにTOPスターになっても何ら問題のないキラキラオーラがあふれ出していて、最高でした。そしてわたしとしては、和希そらさんの今後を見守りつつ、星組に来てくれねえかなあ、という夢を見続けたいと存じます。今の星組に必要な人材だよ……そらくんは。しっかし、どうでもいいけど、ホントにチケットが取れないのがつらいす……今のところ、次の雪組公演はチケット全滅で観られそうにないし、その次の、わたしイチオシの星組公演もチケット獲れなかったらどうしよう……と大変心配す……。ファンクラブの取次もお断りを喰らうことが多くて悲しい……。。。ちなみに昨日わたしが観たのは、宝塚友の会優先公演でフツーに買えました。アドリブでは「友の会」推しでしつこいぐらいに笑わせてくれましたとさ。以上。

↓ 特に映画を予習する必要はないです。が、可能なら初演の星組版・再演の花組版は見といた方がいいと思うな。柚希礼音さんのダニーは、ウルトラカッコええす。
オーシャンズ11 (字幕版)
ジョージ・クルーニー
2013-11-26





 昨日は冷たい雨の中、会社が終わってから神宮球場の横にある日本青年館へ行ってきた。それはわたしの愛する宝塚歌劇団宙組公演『群盗―Die Räuber―』を観るためであります。
 こちらがポスター画像ですが、まあ、なんつうか……美しいですなあ……。。。
raeuber
 わたしはこの公演に関して、2つの点で大変興味を持っていたので、友の会の抽選に申込み、超ラッキーなことにあっさり当選となって観に行くことが出来たのだが、その2つの点とは以下の通りである。
 1)マジかよ! シラーの『群盗』キタ!
 わたしの周りの人々にはおなじみな通り、わたしはドイツ文学科出身である。そして大学院での専門は18世紀~19世紀のドイツ演劇・戯曲だ。つまり、Friedlich von Scillerと言えば、世の大半の人は知らないだろうけど、ドイツ文学を学んだ人間にとってはGoetheに次ぐ知名度(?)を誇る、ゲーテとほぼ同時代人の偉大なる劇作家なのであります。ゲーテより10歳若いSchillerの戯曲は当然わたしも何作も読んだことがあるわけで、とりわけ有名な『群盗』は超知ってる作品なのである。
 ちなみにさっき会社の若僧に質問されてびっくりしたのだが、そもそも普通の人は「戯曲」という日本語さえ知らないのかもしれない。まあ、会社のガキがアホだっただけの可能性も高いけれど、「戯曲」とは要するに台本、であり、台詞とト書きからなる文学作品だ。Shakespeare作品も戯曲ですわな。そして『群盗』こそ、Schiillerの処女作であり、世界の演劇史上においても相当の回数上演されている有名な作品なのだ。
 そんな『群盗』が、愛する宝塚で上演されるなんて話を聞いて、ドイツ文学を学んだ者としては、じっとしていられるわけがないのです! おまけに主演は、今、超キラキラしている芹香斗亜さん(以下:キキちゃん)である。ここが2つ目のポイントだ。
 2)キキちゃん……ホントに宙組に移って良かったなあ……!
 わたしは2010年に初めて宝塚歌劇を観て以来のファンで、1番最初に観たのが当時のTOPスター柚希礼音さん率いる星組公演だ。なので、とりわけ星組には思い入れがあるわけだが、キキちゃんは当時星組で、正直わたしはそれほど注目しておらず、キキちゃんが2012年に花組に異動になった時、あ、あの子、花組行っちゃうんだ、ぐらいのことしか思わなかった。しかし、その後の花組公演を観る時はいつも、キキちゃんは元気だろうか、と妙に気になり、その後、明日海りおさん(以下:みりお)が花組TOPスターになって以降、キキちゃんも順調に大きめの役が付くようになって、花組の2番手まで出世したわけだけど……ズバリ、花組時代のキキちゃんは、超地味!だったように思う。なにかと華やかな3番手(?)の柚香光さん(以下:ゆずかれー)が目立って、どうにもキキちゃんは上級生だし番手も上のはずなのに、そして歌も芝居も(わたし主観では)全然キキちゃんの方が上なのに、いかんせん地味、みたいなことをわたしは思っていた。なので、2年前に、キキちゃんが今度は宙組へ異動になった時は、ある意味飛ばされた的に感じていたのである。
 しかし!!! わたしの愚かな感想はまったくの見当違いだった!!! ことが、宙組異動後のキキちゃんが自ら証明してくれたのであります。とにかく、宙組異動後のキキちゃんは、大変失礼ながらもう別人じゃねえかと思うぐらいキラキラしていて、超カッコイイ! じゃあないですか! わたしはさっき、日刊スポーツのこの記事を読んで、なーるほど、そういうことだったのか、と超・腑に落ちた。 ※記事自体はこちら→https://www.nikkansports.com/entertainment/column/takarazuka/news/201902280000137.html

 つまり、このインタビューによると、キキちゃんは花組に異動した時は「おとなしく、上級生らしくしなくちゃ」と思っていたそうである。そうだったんですなあ……そして花組で5年半「花男」としての経験を積み、宙組TOPに星組時代の仲間であり1期先輩の真風涼帆さんが登極されたタイミングで、宙組へ異動となって今に至るわけだ。下級生時代を共に過ごした真風さんの存在も大きいのでしょうな。とにかく、宙組異動後のキキちゃんのキラキラぶりは、とても眩しく、まるで生まれ変わったかのように輝くキキちゃんを観るのは、もはやお父さん目線のおっさんファンとしては、もう大変うれしいことなわけですよ。なんか、凰稀かなめさんが星組2番手時代は超地味だったけど、宙組TOPになったら超キラキラになった時を思い出すというか、ちょっとだけ似てるっすね、境遇的に。
 わたしはサラリーマンとして今年で25年目だが、思うに、やっぱり部署異動の経験のない奴って、もう職人的に固まっている奴(=別の言葉で言えば成長の目がなくつぶしの気かねえ使えない奴)が多いような気がしますね。わたし自身も6部署ぐらい渡り歩いてきたけれど、異動ってとにかくエネルギーを使うんすよ。前の部署でエースだったとしても、新しい部署で新しい仕事を始める時は一兵卒に戻らざるを得ないし、人間関係も気ィ使うし。
 だけど、やっぱりサラリーマンは異動をしないと成長しないと思うな。異動で潰れちゃうダメな奴もいっぱい見てきたし、自分の代わりはいないと勘違いして異動辞令に駄々をこねるようなやつもいっぱい見てきたすね。まあはっきり言って、代わりはいくらでもいるんだよ。問題は、自分がいなくなっても大丈夫なように、下の人間に「自分の背中」を見せてきたかどうか、であり、そして、新しい場所に行った時に自分が成長するチャンスだととらえられるかどうか、という点だ。この観点から見ると、キキちゃんは超立派にその役目を果たしているようにわたしには思えるのであります。

 とまあ、以上のことから、わたしは↑に張り付けたポスター画像を見た時から、これは観てえぜ! と超楽しみにしていたのであります。ヤバイ、まったく関係ない話が長くなり過ぎた……。
 ええと、ズバリ結論から言うと、キキちゃんを中心とした宙組の若手キャスト達はとても良かったと思う。とりわけ、やっぱり3度の新公経験のある瑠風輝くんは今回初めての悪役だったのかな、とても光っていたし、物語の狂言回し的役割のヴァールハイトを演じた101期首席の鷹飛千空くんも良かったすねえ! もちろん群盗メンバーのみんなも超頑張っていたし、さらにはヒロインを演じた天彩峰里ちゃんも健気で良かったすなあ。こういう外箱公演は、普段の大劇場公演では小さい役しか付かない若手の頑張りをチェックできるので、やっぱり面白いすね。
 しかし、物語としては、わたしはとても意外に思ったことがあった。若き頃に読んだ時の印象と全然違うのだ。これには一つ、心当たりがある。それはズバリ、わたしが「年を取ってしまったため」だ。以前も、例えばそうだな……わたしは大学生当時、夏目漱石にドはまりで、『彼岸過迄』『行人』あたりはもう感動して泣いたぐらいなのに、40過ぎて再読した時、まるっきり泣けない、どころか、キャラクター達のガキっぽい心情に呆れるというか……まあとにかく、感想がガラッと変わってしまったのである。
 というような同じことが、今回『群盗』を観てわたしの身に起こった。約30年前にSchillerの『群盗』を読んだ時は、そのキャラクター達の熱い想いや行動にグッと来たはずなのに、今回まったく共感できなかったのである。バカなガキども……みたいな冷ややかな想いを抱いてしまったわたしとしては、なるほど、これが世にいう「老害」か……と自分がなんだか悲しかったすね……。
 というわけで、最後は毎回恒例の今回の「イケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
  ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思ったイケてる台詞のこと。
 「ゆがんだ世を、ゆがんだ方法で正そうとしてしまった……!」
 今回は、正確なセリフは覚えられなかったけど、キキちゃん演じる主人公カールがラストに嘆くこのセリフを選びます。そうなんだよ、それじゃあダメなんだよ! どんなに周りがインチキで汚ねえ奴らばっかりでも、自分も同じことをしてちゃあダメなんだよ! どんな状況でも、自分は清く正しく美しくないと、ダメなんだよ!! このラストの台詞はとてもグッと来たっすね! ホント、美しくキラキラしているキキちゃんの、心からの慟哭が刺さったすわ……。結構原作と設定が変わっていたけれど、このセリフ、原作にもあったんだっけ……。まったく思い出せん……。

 というわけで、クソ長くなってしまったけど結論。
 ドイツ文学を学んだわたしとしては、Schillerの『群盗』が宝塚歌劇で上演されるというニュースは、もう超ドキドキワクワクだったし、おまけに主演が星組時代から知ってて、今、最も旬を迎えている(?)芹香斗亜さんともなれば、これは絶対観ないと! と期待していたわけだが、確かに、キキちゃんをはじめとする宙組の若い衆はとても熱演だったのは間違いない。その意味では期待を上回る素晴らしい作品だったと称賛したい……のだが、どうもおっさん化してしまったわたしには、約30年ぶりの『群盗』という物語は、共感できるポイントが少なく、若者たちの無軌道ともいえる行動には眉を顰めざるを得ず、その最終的な悲劇エンドには、そりゃそうなるわな、としか思えなかったのである。ただ、イケ台詞にも選んだ通り、最終的にはきちんと自らの過ちを悔いて嘆くのはとても良かった。遅すぎたな……分別ある大人の味方が必要だったんだろうな……。まあ、それがいないから「群盗」と化したわけで、実に悲しい、まさしく悲劇だったと思う。原作を持っているような気もするので、本棚あさってみるか……。以上。

↓ たぶん持ってる……はず。探してみよっと。
群盗 (岩波文庫)
シラー
岩波書店
1958-05-05

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