というわけで、昨日は大阪にいたわたしだが、今日は朝イチで大阪を後にし、大阪発7時22分発の大和路快速に乗って、奈良へ行ってみた。
 いつも、宝塚歌劇を観に行った帰りは、京都あたりをぶらつくのが恒例だったのだが、今回はわたし一人だし、以前から行ってみたかった奈良へ向かったわけである。その目的は、実際のところただ一つ。興福寺の「阿修羅像」を観たかったからだ。
 大阪から奈良へ向かうには、おそらく地元の人なら迷わず近鉄を使うのかもしれないが、わたしは特に理由はないけれどJRにした。ま、難波まで行くのがめんどくさかったしね。JRで乗り換えなしで54分ほど、ぼけーーーっと車窓に流れる風景を一人眺めながら、電車の旅を堪能した。さすがに日曜の朝っぱらなので、電車はガラガラ。快適であった。
 JR奈良駅に着いたのが8時16分。大きめの荷物をコインロッカーにぶち込み、さっそく奈良の街を散策である。実は、わたしは奈良へは2回目である。わたしの通っていた中学は、平泉や小岩井農場をめぐる東北の旅、高校は、倉敷~広島~萩・津和野をめぐる山陽山陰の旅が修学旅行だったので、初めてわたしが奈良へ行ったのは大人になってからである。もう10年以上前かな。大仏殿の柱の穴くぐりもその時挑戦して余裕でクリアしたことぐらいしか覚えていないが、その後、わたしはお遍路周りをしてみたり、俄然仏教美術や仏教そのものへの興味がわいていたため、やはりもう一度、奈良を見物したい、特に「阿修羅像」にはぜひ一度お目にかかりたいものだと思っていたのである。
 興福寺は、JR奈良駅から三条通をずっとまっすぐ行くだけ、Google Mapによれば1.4㎞ほどらしいが、まだ全くお店の開いていない時間帯で、人すらもまばらな、キリッと冷えた空気はとても気持ちが良かった。たぶん、わたしの足で10分ほどだったと思うが、ごくあっさり興福寺へ到着。 ちなみに、「阿修羅像」が公開されている興福寺国宝館は、9時開館とのことで、あまりに早かったので、JR奈良駅からすぐのサンマルクカフェでチョコクロ&コーヒーで15分ほど時間をつぶしてからの出陣だったので、興福寺へ着いたのは8時45分ぐらいだったと思う。
 境内も、人はごく少なく、先に南円堂にお参りして御朱印をいただきつつ、境内を散策した。
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 ↑これが最初にお参りした南円堂ですな。ここで御朱印もいただきました。
 ↓こちらが五重塔です。超立派。すげえ!朝なので逆光です。。。
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↓こちらが本堂になるのかな。国宝館とセットで拝観料800円也。
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↓そしてこちらが、いよいよご対面となった「阿修羅像」が展示されている国宝館。
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 写真の通り、ほとんど人がいなくて超快適であった。間違いなく、ヅカ友のお姉さんたちが一緒だったらこんな早い時間に来られなかっただろうし、それなりに歩くので迅速な行動もできなかっただろう。一人旅の特権である。
 そして、9時5分前でもわたしのほかには老夫婦2組ぐらいで、興福寺国宝館にわたしは一番乗りして、思う存分見学することができた。まあ、とにかくやっぱり凄いオーラというか、圧倒的な存在感ですね。
 順にみていくと、まず、結構いきなり、身の丈5メートル以上の「千手観音菩薩」像がズドーーンと立っているのが左手に見える。あまりにデカくて全身が目に入らないからなのか、すぐに気が付かないかもしれない。というか、わたしは何かすごい気を感じて、ハッ!? とその存在に気づき、ひどくびっくりした。正面から見るにはぐるっと回らないといけなくて、その間に様々な像を観ることができる展示になっているのだが、その、正面に立つと、もう圧倒されますな。この千手観音菩薩様は、例えが低俗と怒られるかもしれないけど、まさしく、『HUNTER×HUNTER』のネテロ会長のアレそのものですよ。今にもズバーーーンッ!と手刀が繰り出されそうな超絶迫力である。
 わたしはもう、うおっ! とか、す・すげえ……(ゴクリ)……みたいな反応しかできなかったです。
 そして、その超絶千手観音菩薩様とまさに相対しているかのような場所に、今日のオレ的メインの「阿修羅像」が凛と立っておられた。わたしは初対面なのだが、千手観音菩薩さまもそうだし、阿修羅像様もそうなんだけど、もう、自然と合掌してしまうね。なんという表情なのか……言葉では表現不能ですよ。阿修羅像様の表情は、絶対に機械では作り上げることは出来ないと思う。人間の手によらないとこの表情は不可能ですよ。右側面の唇をかみしめている表情も、もうなんとも描写できませんな。機械で複製は出来たとしても、オリジナルとして創造することは絶対不可能だと断言できる。そして、とても驚いたことに、想像してたよりもずっとデカかった。153.4㎝だったかな、わたしはもっと小さいのかと勝手に思い込んでいたのだが、実に凛々しく神々しいさまで、スッと立っていて、その大きさにわたしはかなりびっくりした。出来立ての時の色はどうだったんでしょうなあ……合掌どころか、思わず跪いてしまうんじゃなかろうか。
 ここには、阿修羅像を含めた乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)や、木心乾漆造四天王立像(もくしんかんしつぞうしてんのうりゅうぞう)、それから、お釈迦様の弟子たちのオールスター乾漆十大弟子立像(かんしつじゅうだいでしりゅうぞう)という仏像がずらりと揃っていて、もう何時間でも観ていられるね。
 わたしは、お遍路を完遂した男なので、いまだに般若心経を暗唱できるのだが、般若心経を知っている人なら、「舎利弗」さんのことはよくご存じではなかろうか。般若心経の中で、お釈迦様が、舎利子、と呼びかける、智恵第一と言われるお弟子さん筆頭の男ですな。その「舎利弗像」も、わたしとしてはとても感動というか感激したね。ああ、舎利弗さん、あんたこんな顔してたんだ、と妙にうれしかったです。
 というわけで、半ば放心状態で国宝館を出てからは、東大寺の大仏殿で大仏様に会いにゆき、そのあとで、こちらも初めて訪ねる春日大社へお参りしてきた。
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 春日大社も、大仏殿から1.8㎞ほどあるのかな。砂利道の若干上り基調なので、ここも、連れがいたら行けなかっただろうな。ぶつぶつ文句言われるような気がするね。やっぱり、こういう神社仏閣を訪ねるのは、寒いキンと張り詰めた空気の中で、人が少ない時間に行くのが一番だと思う。どうしてそれが分かってもらえないんだろうか……。わたしはなんだかもう、テンションが上がりまくっていたので、人もほとんどいないし、時間も迫ってるので、大仏殿から春日大社へは軽く走ってしまった。たぶん、興福寺に1時間、大仏殿と春日大社は合わせて1時間ぐらいかかってないかな、そして歩いているときはおそらく普通の人の3倍以上の速さでつかつか歩いているので、JR奈良駅に戻ってきたのは11時過ぎであった。たぶん、非常識に速いと思う。普通に回ってたら、冗談抜きで倍は時間がかかると思うよ。
 というわけで、わずか2時間チョイの奈良滞在であったが、もうわたしとしてはおなか一杯。興福寺はまた行きたいなあ。最高でした。最後に、お約束のコイツで締めよう。
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 わたしが帰るころには、かなり多くの団体がそぞろ歩いてましたね。そして、8割方がアジア系観光客でしたな。そして鹿を観て興奮し、うっかり鹿せんべいを買って鹿たちに囲まれてデカい声でわめきまくってました。あれは中国語かなあ……でも大陸なのか香港や台湾なのかよく分かんねえっす。日本人も、修学旅行で行くのはいいけれど、大人になって分別がついてからもう一度行くと、印象が全然違うんじゃなかろうか。
 わたしは結局、11時過ぎにはJR奈良駅から京都経由で新幹線のぞみに乗り、家に帰ってきたのは15時過ぎだったかな。行く直前まで躊躇していた今回の旅だったが、昨日の『エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート』も素晴らしかったし、今日の奈良も本当に最高でした。一人旅は気楽でいい……けど、やっぱり淋しいすね。ま、しょうがねえか。一人じゃないと奈良には来られなかっただろうしな。――と、ボッチ旅を肯定しないと、やってらんないすよ、ええ。
 
 というわけで、結論。
 興福寺国宝館はおそろしくオーラの強い存在感バリバリの仏像が数多く展示されており、必見であろうと思う。あれぞ、まさしく国宝、ですな。素晴らしかった。そして、やっぱり朝イチに限りますな。ついでに言うと、やっぱり夏より冬の方がいいような気がします。汗だくじゃあね……やっぱり、わたしは暑いより寒い方が耐えられますね。以上。

↓ こういうのって、どうなんでしょうなあ……まあ、欲しいとは思わんなあ……。