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 北翔海莉という人は、明らかに努力の人である。
 おそらく、世間的にはそれほど知名度のあるお方だとは思わないが、こと宝塚歌劇を愛する人ならば、その名を知らない人はいるまい。1996年に宝塚音楽学校へ入学して、第84期生として1998年に宝塚歌劇団へ入団後、常に前へ前へと努力を重ね、入団した時配属された月組から2006年には宙組へ異動、そして2012年には専科所属となって、からの、2015年には星組TOPスターに就任し、わずか3公演、1年半という短い期間のTOP生活を2016年に終えた、ある意味で伝説クラスのお方だ。
 わたしは2010年から宝塚歌劇を観に行くようになったのだが、恥ずかしながら宙組時代の北翔さん(以下:みちこ/みっちゃん)を生で観ておらず、わたしがみっちゃんの技量を初めて生で体験したのは2014年、宝塚100周年の時の星組公演『ナポレオン』(専科所属として出演)であった。わたしは星組を一番応援しているので、2015年当時、「それほどよく知らない」みっちゃんが、星組のTOPに就任することになった時には、ええっ!? なんで紅子先輩(紅ゆずるさん)じゃねえんだよ!とかヒドイことを思ったものである。しかし、当時、わたしのヅカ師匠に「あなたは分かってないわね! みっちゃんは、歌・芝居・ダンスの三拍子全てがそろった、とてもレベルの高い素晴らしいお方よ! 大体あなた、去年のフランツが凄い良かったって、自分で言ってたでしょう!? あのお方よ!」と激しい調子で怒られ、あ、なんてこった、あのお方か!? と我ながら恥ずかしい思いをしたものだ。
 以来、わたしはみっちゃんのすばらしさに目覚め、その芸の見事さに深く感動し、そしてまるで菩薩めいた懐深い慈愛をもって星組を見事にまとめている姿を観て、コロッと、「みっちゃんは最高だぜ!」と大ファンになったのである。とにかく、何もかもが、巧い。歌は最高レベル、芝居も素晴らしく、ダンスのキレもピカイチで、まさしく完全無敵、ただしい意味での「芸能人」であり、まさしく「芸能」の人であることをわたしは深く認識したのであった。
 というわけで、今年2018年は、みっちゃんが宝塚歌劇団へ入団して20年、すなわち芸能生活20周年のアニバーサリーイヤーである。それを記念して、みっちゃんワンマンショーが開催されることとなった。タイトルは『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』。今なお自らを「挑戦者」と呼ぶみっちゃん。もうその考え方自体が尊敬に値すると思いませんか。しかも会場は故郷である宝塚のバウホールに凱旋!! である。これはもう、わたしとしては絶対に観に行って、みっちゃんを応援したいぜ! と思うに十分すぎるほどの公演だ。しかし、チケットはまるで取れず、こりゃダメか……と思っていたところ、みっちゃんファンクラブに入っているわたしのヅカ友の美しいお姉さまが、ファンクラブ手配でチケットを何とかしてくれるというので、わたしはそのみっちゃんのチケットに合わせて、現在大劇場で公演中の『エリザベート』も一緒に見に行けたら、こりゃあもう最高の一日になるじゃねえかということにハタと気づき、チケット争奪戦も辛くも勝ち抜き、11時から大劇場で『エリザ』を、そして16時からバウで『北翔テイメント』を観る、という奇跡的幸運に恵まれたのである。
 結論から言うと、まあ控えめに言って最高でしたね。みっちゃんは相変わらず最高のエンターティナーであり、その技量はマジで感動クラスであった。でも一つだけ言うなら、やっぱり日帰りするこたあなかったな。はっきり言って疲れたっすわ……素直に1泊してくりゃ良かった……。アホっすわ。
hokusyo
 ちなみに、わたしは朝イチの6時00分東京発のぞみ1号で駆け付けたので、大劇場には9時チョイすぎには到着し、9時半チョイ前の開門と同時に中に入ったのだが、キャトルで買い物して、現地集合のヅカ友のお姉さまを待つために正門へ戻ったところ、なにやら入り待ちの人々が、きれいな隊列を組んでおられた。あれっ? こんな時間に? と思い隊列を眺めていると、その手に、なにやら「北翔」の文字が見えるじゃないですか。おおっと? これはまさか!? とわたしも遠巻きに待っていると、そこにみっちゃんが降臨され、わたしの興奮は一気にクライマックスである。みちこ! みちこキタ!とやおら興奮しながら、写真を撮ったのだが、そういう入りの姿を公開していいのか分からないので、ここには載せません。入りのみっちゃんは、まあなんつうか、やっぱデカイ! そしてすげえ細い! そして、なんとスカート着用で、実にかわいらしい!女子、であった。みっちゃんも退団して2年、すっかり女子、であり、それはそれで大変結構なお手前であった。みっちゃんは芸歴20年と言っても、50近いおっさんのわたしから見れば、まだ37歳の全然可愛い女子そのものである。いきなりみちこに会えるなんて、コイツは朝から縁起がいいぜ、とわたしのテンションは高まる一方での『エリザベート』観劇であった。ちなみにみっちゃんは中卒での音楽学校入学なので、85期と1つ後輩のレジェンド柚希礼音さんより2つも年下ですよ。みっちゃん、実は若いのです!
 で、『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』である。
 公演は、予定よりもかなり伸びて、休憩含めて16時開始の18時半過ぎ終わりと2時間半ほどであったのだが、その中身はもう濃密で、お腹一杯である。正直、『エリザベート』のことはわたしの中ではもう吹っ飛んじゃったぐらいす。
 1部は、これまでのみっちゃんの宝塚での思い出の曲、そして休憩後の2部は、みっちゃんが今歌いたい歌、という構成になっていて、わたしはみっちゃんファン歴が全然浅いので、もちろん古い歌はあまり知らないんだけど、TOP就任の大劇場お披露目となった『ガイズ&ドールズ』の歌から始まり、退団公演になったロマンチック・レビュー『ロマンス』に至るメドレーはやっぱりみちこすげえ!と酔いしれる内容だったし(※しかもロマンチック・レビューの生みの親、岡田先生も最後列で立見で観に来ておられ、ギャグコーナーではネタにしていた! みっちゃんじゃないと許されないネタだったね!)、2部で、歌いたい曲として美空ひばりさんの「歌こそわが命」を歌った時には、みっちゃんの生きる道のような、確固たる覚悟を感じたっすね。カッコいい刀での演舞アリ、サックスの演奏アリ、ギャグコーナーあり(※すげえ気になってた『雨に唄えば』のリナを、あのかん高い声でやってくれた! 超最高!)、と、盛りだくさんで、そこはかとなく漂う昭和感も実にイイすね。実にみっちゃんらしい公演だったと思う。超COOLなタンゴの舞も、しびれるカッコ良さでしたなあ! アンコールでは、わたしがみっちゃんが歌うからこそ深い意味がある、と思っている名曲、「CLIMB EVERY MOUNTAIN」も歌ってくれたし、大満足であった。
 この歌は、かの『SOUND OF MUSIC』で、恋に悩む主人公マリア先生へ、修道院の院長先生が、逃げちゃあダメ、あなたはすべての山を登るのよ! 全ての虹を追いかけて、夢をつかむまで! と励ます歌なのだが、みっちゃんはこの歌を、自身のさよならショーでも歌ってくれたし、ホント、北翔海莉のテーマソングとわたしは勝手に思っている。この選曲ができちゃうみっちゃんがわたしは大好きっすわ。
 ところで、この『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』には、頼もしい友たちが援軍として出演してくれているのだが、その筆頭は、月組時代の仲間、マギーさんでお馴染み星条海斗さんだ(みっちゃんの2期後輩)。現在は本名の「りつこ」という名義で各方面で活躍しておられるマギーさん。まだ退団して3カ月?なのかな、「まだ髪が伸び出ないんですよ~」「あなた、加美乃素を使ってないからよ! ダメじゃないの!」というマギーさんとみっちゃんの、ヅカファンにしか通じないギャグなど、大変笑わせていただきました。他には、澪乃せいらは宙組、貴千碧さんは月組、妃白ゆあさんは星組、そして隼海惺さんは月組でみっちゃんと短い時間だけど一緒に過ごした可愛い後輩たちで、みな久しぶりのバウホールで、とても生き生きしていたと思う。ホント、楽しかったすわ!

 しかし、思うに、みっちゃんは個人事務所の会社を自ら設置し、活動されているわけだが、その大変さはおそらく余人には図りしれないものと想像する。間違いなく言えることは、みっちゃんクラスであっても、「仕事は勝手にやってこない」わけで、みっちゃんの活動はみっちゃん自身が、相当の営業努力で獲得しているものだと思う。どっかの芸能事務所に所属して、勝手に仕事がやってくるような立場とは、全く違う厳しさがあるはずで、退団後のジェンヌが活躍できるかどうかは、もう所属事務所で決まると言っても過言ではないはずだ。例えば、去年退団した元宙組TOPスター、朝夏まなとさんは、日本のミュージカル界では最大の東宝芸能に所属し、もう絶えることなく主演ミュージカルの出演が決まりまくっているし、ちえちゃんことレジェント柚希礼音さんも、アミューズ所属で、相当恵まれた退団後の活動を続けているが、要するにそういうことである。はっきり言えば、すべてコネがないとどうにもならない芸能社会で、みっちゃんが今後、どのように活躍していくか、わたしとしてはずっと応援していきたいと思うし、具体的に会社運営とかマネジメントとか、なんかお手伝いしてあげたいすね、ホントに。みっちゃん、あなた、本当に最高です!

 というわけで、結論。
 わたしの大好きな北翔海莉さん、芸能生活20周年を飾る『CHALLENGER:ザッツ★北翔テイメント』を、宝塚バウホールまで見に行ってきたのだが、その濃密な内容に、なんつうかもう、ノックアウトされたわたしである。素晴らしい歌とキレのあるダンスはますます磨きがかかり、本当にたのしい公演であった。わたし、ヅカ歴8年目にして初めてバウホールに入ったす。聞いていた通り、こじんまりしているものの、後ろの方の席でも観やすいし、劇場の一体感のようなものがとても濃密な、いい劇場ですな。キャパも500程度なのかな、舞台と近いのもとてもうれしいですね。どうかみっちゃん、これからも芸の道を究めるべく、すべての山を登ってください。ずっと応援いたしたく存じます! いやあ、ホントに北翔海莉は最高っすね! みっちゃんはマジ最高っす! 以上。

↓ みっちゃんフランツはわたし的には歴代最高です。

 先日、チケットぴあから、チケットまだ残ってます的なメールがピローンと来て、ふーん、まだ買えるだ、ということを知ったため、それじゃ、まあ、今からじゃ誰も一緒に行ってくれないだろうから、一人で行ってみっか、と衝動買いしたチケットがある。
 それは、2年前にわたしが一番応援している宝塚歌劇団星組を卒業された、元TOPスター北翔海莉さん(以下:みっちゃん)の出演する松竹喜劇、『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という作品で、どうやらみっちゃんは男装の麗人を演じるらしく、おまけに歌もあると聞いて、わたしとしてはこれは観たいと思っていたのだが、最初のチケット申し込みを忘れて諦めていたのであります。しかし観られるなら観たいということで、すぐさまチケットを購入し、観てきたわけだが、結論から言うとやっぱりみっちゃんはホントに芸達者で、明らかに出演者の中では抜群に演技や殺陣にキレがあり、発声も素晴らしく聞きやすく、要するに、みっちゃんはやっぱ最高だぜ! という訳で大満足だったのであります。いやあ、ホント最高でした。

 というわけで、昨日は偶然千秋楽だったらしいが、一番最後の夕方の回ではなく、前楽と言った方がいいのかな、12時開幕の回にはせ参じてきた。場所は新橋演舞場。わたしは初めての劇場なのだが、まあ、とにかくシニア率の高い客層に驚きつつ、さらに劇場に併設されている喫茶室や売店などが、ことごとく昭和感あふれるもので、なんだか若干の異世界感のある劇場であった。やっぱり松竹の経営する劇場って、歌舞伎座めいた雰囲気ですな。
 で。物語は、19世紀前半頃、すなわち江戸後期に活躍した蘭学者&医師の緒方洪庵の若き頃を描いたものである。緒方洪庵と言えば、わたし的には大坂に「適塾」を開いた男として、福沢諭吉の師としてお馴染みだが、本作はまだ青年期、緒方章と名乗っていた頃の、当時御禁制のオランダ語→中国語に翻訳された書物(天然痘の種痘法について書かれた本)をめぐるお話で、舞台は大坂である。なお、思いっきり喜劇ですよ。しかもかなりコテコテな関西系ギャグ満載で、まあ大変笑わせていただきました。しかしそれでも、わたしとしてはやっぱりみっちゃんのピシッとしたメリハリの付いた折り目正しい演技と歌に、一番酔いしれたすね。くどいですが、やっぱりみっちゃんは最高です!
 もう面倒なので、主な登場人物と、演じた役者を以下にまとめてみようと思います。
 ◆緒方章(後の緒方洪庵):主人公。大坂の中天游が開いた私塾「思々斎塾」に入門して勉強中の青年(※Wikiによるとこの頃は緒方三平と名乗ってたそうな。へえ~)。師匠である中天游がなけなしの3両を出して、問題の禁書を入手する手伝いをするのだが、そこには何やらいろいろと陰謀?があって……という若干シリアスな展開だが、まあ、キャラとしては大変笑えるものでありました。演じたのは藤山扇治郎氏。はっきり言って東京人のわたしは藤山氏のことを何も知らないが、松竹新喜劇が誇るスーパースター?であろう。藤原寛美氏の孫であり、藤山直美氏の甥、だそうだが、正直両人ともわたしはよく知らない。見た目、かなり小柄な青年。演技ぶりは、なんというか若さがはじける溌剌としたもので、わたしとしてはかなり好感を得た。でもいかんせん、東京ではおなじみではないと思う。もったいないと言うか残念だ。
 ◆中天游:前述の通り後の緒方洪庵の師匠。演じたのは石倉三郎氏。基本すっとぼけオヤジだが、基本イイ人。石倉氏の生演技は初めて見た。この方は今やすっかり渋い役者になったけどお笑いも得意なわけで、今回のような喜劇はお手の物であろう。実に堅実なベテランな味があったすね。大変良いと思います。
 ◆お定:中天游の奥さんでこの人も女医。演じたのは久本雅美女史。初めて生で見たマチャミさんだが、このお方は小柄なんすねえ!? 凄いちびっ子で、凄い可愛らしくてびっくりした。そしてギャグもやっぱり一番場内爆笑だったんじゃないかなあ。いやあ、さすがであります。出番はそれほど多くはないけれど、大変素晴らしかったすね。わたしも大変笑わせていただきました。
 ◆東儀左近:宮廷の雅楽を担う「在天楽所」(四天王寺楽所)に属する楽人。そして大阪の町を守り千年の歴史をもつという「在天別流」の総領。女人禁制なので男装の麗人。演じたのは勿論我らが北翔海莉さんakaみっちゃん。最初に登場する時の、大坂案内の超長口上がウルトラグレイト! 凄い人だよみっちゃんは! 1幕ラストの歌もウルトラカッコイイ! そして殺陣もウルトラキレてる。それから滑舌も、一番しっかり決まってる。本作は、どうも歌以外の普通の台詞はマイクナシ、だったようだが、みっちゃんの声は、かなり後ろの席だったわたしにもしっかり聞こえました。要するにですね、本作におけるみっちゃんはもう、完璧、ですよ。演技的には、女子としての姿も実に女子だし(当たり前だけど当たり前じゃない。ずっと男役だったんだから!)、男装の麗人としてはもう、かつての男役でのみっちゃんだし、まあ、ファンにはたまらないでしょうな。当然、みっちゃんファンクラブは宝塚歌劇の公演のように机を出してチケット出しされてたし、みっちゃんだけ、ブロマイドも売ってました。さすがっすね。いやあ、ほんとみっちゃんは芸達者で、ほかの宝塚歌劇出身役者とは、ちょっとレベルが違うすね。そしてみっちゃんは、わたしが知る限り、必ず、幕が下りるカーテンコールの時に「ありがとうございました」と言うお方なのだが(他のTOPスターはあまり言わない)、今回ももちろんみっちゃんは「ありがとうございました」と言っていたし、千秋楽ということで簡単な挨拶もあって、袖に引っ込むとき、いつもの「まったねーー! バイバーイ!」もあって、わたしとしては大変うれしく思いました。みっちゃんはマジ最高ですな!
 ◆若狭:左近と同じく「在天」のメンバー。忍び風な装束でアクションもあるし、本編中の狂言回し的な役割もあるし、マイクパフォーマンスもお見事でした。演じたのは、わたし的には「ゲキレンジャー」のリオ様であり、ミュージカルテニスの王子様でのデータテニスの男、乾で大変お馴染みな荒木宏文君だ。彼もあれからもう10年以上経って、本当にずっと精進してきたことが分かるような見事なパフォーマンスで、本当に今の活躍がうれしいすね。2.5次元系ミュージカルでの活躍が多いけれど、ぜひ帝劇系の大作にも出てもらいたいですな。声も良く通るし、ホント、たゆまぬ努力を続けてきたんだなあと思うと大変うれしいす。
 えーと、他のキャストの皆さんは正直知らない方なのだが、中天游の息子を演じたのは上田堪大氏と言う方で、とても背が高く、どうやら彼も2.5次元系で経験を積まれている方みたいすな。それから、謎の瓦版屋でありその正体は公儀隠密という役を演じられたのが、佐藤永典氏と言う方で、彼もまた、ミュージカルテニスの王子様で経験を積まれた方だそうだ。あれっ!? あ、財前を演った彼なんだ!? へええ、それなら10年前にわたしは彼を観てるんだな。全然気が付かなかったよ。本作は、歌がみっちゃんの歌しかなくて、どうせならもっと皆さんの歌を聞いてみたかったようにも思うすね。

 というわけで、もう書くことがなくなったのでさっさと結論。
 観たいと思いつつチケットを買いそびれ、その後ぴあからのメールでチケットを買うことが出来た『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という松竹新喜劇を観てきたのだが、まず、初めての新橋演舞場は非常に昭和感あふれる劇場で、お客さんもシニア層中心で非常に印象深かったのと、なんといっても元星組TOPスター北翔海莉さんことみっちゃんが、退団後もとても精力的に活動されている姿を見ることが出来て大満足でありました。ホント、みっちゃんはすごい人ですよ。まさしく「芸能」人ですな。そこらの芸のない自称タレントとは、まったく次元の違う存在だと思う。とにかく素晴らしかったす。そして生で初めて見た久本雅美さんが超ちびっ子で可愛らしくて驚いたす。お話は松竹新喜劇ということで完全に関西系コテコテ喜劇で、かなり笑えました。くどいぐらいにw それにしても、ホントしつこいですが、みっちゃんは最高です! の一言に尽きますな。以上。

↓ こちらが原作すね。これはちょっと読んでみたいと思います。

 わたしの愛する宝塚歌劇は、花・月・雪・星・宙の5組あり、その中で、わたしは星組を一番応援しているのだが、その星組は、去年TOPスターコンビの退団によって、新世代に生まれ変わり、今現在、宝塚市の大劇場で元気に公演を続けている。東京にやってくるのは11月の末なので、今から大変楽しみだ。
 そして、去年退団した男役TOPスター、北翔海莉さん(以下:みっちゃん)は、退団後すぐに自らの会社を立ち上げ、コンサートやディナーショーなど積極的に活動を続けており、退団した今でもわたしはみっちゃんの大ファンである。とにかくみっちゃんは、努力の人であり、常に本気で道を究めようとする尊敬すべきお方だとわたしは常々応援しているのだが、そのみっちゃんが、とうとう、宝塚卒業後、初めてのミュージカルに出演することになった。発表されたのはもう今年の初めごろだったと思うけど、わたしは当然、即チケットを獲り、その公演を観るのを非常に楽しみにしていたのである。なにしろ、あの、芝居・ダンス・歌ともにナンバーワンレベルに三拍子そろった、輝けるTOPスターであり、さらに言えば、あの、ウルトラカッコ良かった「男役」のみっちゃんが、なんと女子、それはもう当たり前だが敢えてもう一度言うが、「女子」、の役なのである。いまだみっちゃんは私服でスカートを履けないと最近までおっしゃっていたような気がするが(何しろみっちゃんは中学卒業後20年間男役だったのだから当たり前)、そのみっちゃんが、「女子」、なのである。もう、今日のその公演を観て、わたしは大興奮してきたのでおもわず3回言ってしまったが、みっちゃんが女子役、であり、これがまたウルトラ可愛く、しかも恋しとるがな! と、もうわたしとしては超胸が熱くなったのである。あ、4回言っちゃった。
 その公演とは、新装オープンした日本青年館にて現在公演中の『ミュージカル・コメディ パジャマゲーム』である。

 新しい日本青年館へ観劇に行くのは、7月末のこけら落とし公演『ATERUI』でわたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)の勇姿を観に行って以来だが、席の列表示がアルファベットで、今日は1C列、ということで、まさかの3列目かよ、やったぜ! と思っていた。しかし、何と現場についてみると、奇跡の2列目で(※どうやらA列は設定されていない?ようで、この公演だけなのかはわからないが、とにかく2列目だった)、超見やすく、おまけに客席降りも多い演出で、わたしの席は上手の舞台から客席に降りる階段脇の通路側だったので、何度もすぐわきをキャストが走り抜けたりして、そりゃあもう大興奮であった。一度だけみっちゃんがわたしのすぐ横を通り過ぎて、一緒に連れて行った後輩K嬢によると、超いい香りがしたらしい。まあ、とにかく非常にいい席で大変興奮しました。
 で。お話は1954年だったかな、アメリカの片田舎にあるパジャマ縫製工場を舞台に、経営者と労働組合の賃上げ闘争を背景に、労組の苦情処理係の女性ベイブと、経営者側である工場長シドの恋模様を歌と踊りで織りなす物語であった。
 なお、原作小説があるそうだが、元々はTONY賞を受賞したブロードウェー・ミュージカルで、なんでも女性主人公ベイブのオリジナルキャスト(?)は、2年前、ケン・ワタナベ氏が出演した『KING and I』でTONY賞を受賞したKelli O'Haraさんだったそうだ。へえ~である。
 というわけで、みっちゃんが演じた女性主人公ベイブはどうだったかというと、まあ、もうさんざん最初に書いた通り、実に素晴らしく、ブラボーであった。やっぱりですね、みっちゃんの歌は、初めて聞く女性の声、であっても、大変お見事だし、それに、まったく違和感がない。男役としての歌声しか知らないわたしだが、今日のみっちゃんは、誰が聴いてもみっちゃんそのものだし(当たり前)、高い女性独特の声でも、あきらかに、上手い!と拍手を送りたくなる魅力あふれた歌声だった。そしてダンスも良かったですなあ! これももう、他のキャストの方々には大変失礼な物言いだが、明らかに美しさが何ランクも上だったと思う。わたしはいつも、ダンスの美しさとは緩急、すなわち、激しい動きをピタッ! と止めるメリハリにあると思っているし、また同じぐらい重要なのが、気がピンと満ちた手先・足先のピシッとそろった様にあると思っているのだが、もうみっちゃんは完璧な美しさである。これははっきり言って年季が違うね、と誰しもが感じるのではなかろうか。完璧に、場を支配する美しさだったとわたしは絶賛したい。ついでにいうと、滑舌も一人別次元に完ぺきで、もうホントお見事でした。
 しっかし、ホントに、しつこいけれどあのみっちゃんが恋する女子を演じる日が来るとはなあ……おまけにキスシーンもあるし! さらに今回は、結構露出多めの服も実にセクシーだったし、なんといっても、みっちゃんのウエストの細さですよ。なんて女性らしい魅力にあふれた体なんだ、と、わたしはもう大興奮&大感激であった。あったりまえだけど、みっちゃん、あなたは本当に、美しい「女性」だったんだね……と改めて感動した。大変変態的なことを申し上げるようで恐縮だが、わたしは女性の体のウエストからヒップラインの曲線が一番美しいと思っているのだが、実に極上、でありました。
 そして、今回のお芝居で、わたしが見どころの一つと感じたのは、その美しい女子たちを彩る衣装のかわいらしさである。みっちゃんの演じるベイブをはじめ、女子キャストの着ている服がいちいち可愛いのである。白いブラウスに真っ赤なベルトで細いウエストをキリっと締め、少しフレア気味にふわっと広がった青いスカート姿のみっちゃんは、もう去年の今頃の中村半次郎からは想像できないというか、対極にあるといっていいほどの可愛らしさであった。
 というわけで、わたしはもうみっちゃんのかわいらしさに目を奪われぱったなしだったのだが(しかも双眼鏡の全く必要のない2列目で最高!)、他にも、わたしとしては大変気に入ったキャストがいらっしゃったので、備忘録として紹介しておこう。
 まずは、声が意外なアニメ声風でちょっと驚いた、物語では社長秘書のグラディスを演じた大塚千弘さんである。みっちゃんは、男役だったので身長は170cmぐらいあるのは当然として、そのみっちゃんと並ぶとまあちびっ子ですよ、この大塚さんは。あ、Wikiによると162cmだって。そんなにちびっ子じゃなかった! まあそれはともかく、大塚さんの演じた秘書子さんは大変可愛らしく、そしてなんといっても実にセクシーであった。胸元空いてる系の服も多くて、実に男目線としてはそこに目が行ってしまって、大変サーセンした。これは男にプログラミングされた習性なのでお許しくださいませ。↓このお方です。とにかく抜群に可愛い!

 そしてその次にわたしが気に入ったのは、ちょっと役名が分からないのだが……ヴァージニア、かな、そばかすメイクの縫製工場の女子ーズの一人を演じた天野朋子さんだ。あの、エンディングで一人、上下セパレートのパジャマで鍛えられた美しい腹筋をさらしていたあの方です。何がいいって、とにかく笑顔が可愛い! 実にわたし好みで、大変失礼ながら存じ上げない方だったけれど、とても魅力的でした。最高です。また、我が星組OGの音花ゆりちゃん(相武紗季さんのお姉さんとしてもお馴染みの、歌うま系ジェンヌだった)も縫製工場女子ーズの一員として出演されていて、わたしとしては退団後初めてかな、お久しぶりにお姿を拝見した。ホントならもっとゆりちゃんの歌をソロで聴きたかったすねえ。それから、女性キャストの中では、ベテランのおばちゃんを演じた阿知波悟美さんも、笑わせてくれましたねえ! 非常に芸達者&歌もお上手で大変素晴らしかったと思います。
 あと、男性キャストでは、もちろん主役のシドを演じた新納慎也氏の歌はとてもうまかったし演技もまったく素晴らしかったのは当然として、わたしが一番イイと思ったのは、広瀬友祐くんかなあ。労働者の中で一番理解のある好青年でしたな。そしてこの人は背が高く、ダンスもダイナミックで、どうもわたしはおととしの帝国劇場での『エリザベート』で彼に出会っているようですな。元々2.5次元系の出身のようだが、今では数多くのミュージカルで活躍しているようで、今後は応援したい所存であります。カッコ良かったよ、とても。

 この作品は、東京公演は来週いっぱいで終わってしまうけれど、その後は大阪、梅田芸術劇場へ場所を変えて続演されるわけで、現在宝塚で公演中の、星組現役メンバーも観に行くんだろうな。でも、みっちゃん的にはちょっと気恥しいだろうね、きっと。わたしの愛するこっちんにもぜひ見てもらいたいなあ。そして、こっちんや紅子先輩にからかわれて照れるみっちゃんの図を想像すると、ちょっとニヤニヤしてしまいますな。変態的妄想でサーセン! ああ、そういや、みっちゃんと”添い遂げ退団”したお相手の娘役TOPだった風ちゃんも先日観劇したらしいすな。やっぱり、ちょっと気恥しかっただろうし、一方でみっちゃんが大好きな風ちゃんもいろいろジェラシーを感じつつ大興奮だったようですね。まあ、そりゃそうだろうなあ。

お疲れさまです✨☺️💓 今日は、パジャマゲーム観劇! そして、アフタートークショーに参加させて頂きました!! みちこさん演じるベイブさんは、 とんでもなくかっこよかったり、 とんでもなく可愛かったり、 色々な感情が、色々ときめきが、 短時間に一気に押し寄せてきて、 大変でございました、大興奮でした!! 出演者の皆さまも、 とにっかくずっと、フルパワーで歌って踊ってらして!!✨✨ とってもhappyにさせて頂けました☺️❤️ 星組時代にたっっっくさんお世話になった、 大好きなコロさん(音花ゆりさん)とも久々に再会して、きゃーきゃー抱き合ってしまいました😍 コロさん。。可愛かった、相変わらずお人形さんみたいでした☺️💕 #パジャマゲーム #北翔海莉 さん #みちこさん #音花ゆりさん #大興奮 #大好き #大はしゃぎ

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 というわけで、いまだ興奮冷めやらぬ状態だが、もうさっさと結論。
 稀代のTOPスター北翔海莉さんが宝塚退団後、初めて出演したミュージカル『パジャマゲーム』を今日観に行ってきたわたしである。感想としては、みっちゃんはやっぱり最高だぜ!の一言に尽きますな。大変可愛らしく、そして芝居も歌もダンスも相変わらずハイレベルで、わたしとしては大満足である。そしてわたしは終演後、何度も、あのみっちゃんがなあ……かわいい女子になったなあ……とつぶやいていたようで、一緒に行った後輩女子K嬢には、「なんか親戚のおじさんみたいですよw」と小馬鹿にされたわたしであった。でもいいの! ヅカファンならそう思うのはもう不可避であり、そしてそれがうれしくてたまらないんだから! みっちゃん、あなた、当たり前だけど、ホントに可愛い女子だったのね……知ってたけど、知らなかったよ! あなた、ホント最高です! 以上。

↓ 実は映画化もされてるようです。観てませんが。あ、そうか、2006年にKelli O'Haraさんが出演したのは、リバイバルか。オリジナル版はもっと古いのか。なるほど。

 わたしが宝塚歌劇を見始めるようになって7年が過ぎた。
 その経緯は、このBlog上において何度も書いているので、もう書かないが、わたしをヅカ道へ導いてくれた師匠がいて、大変お美しい方なのだが、 実はわたしは師匠とはこの7年間で1回しか一緒に観に行ったことがない。いつも、チケットを手配してくれるやり取りだけで、お互い会社が別々になってからは、お会いすることすら年に数回になってしまった。
 そんな師匠と2か月ほど前、こんなメッセージのやり取りをした。
【師 匠】そろそろあなたの一番好きな星組ね。来週までに希望日時を連絡なさい。
【わたし】押忍!ごっつあんです!いつも本当に有難うございます!承知つかまつりっす!
  <すぐにわたしのヅカ仲間の娘っ子ども×2&お姉さま×1に連絡し、日時を決定>
【わたし】押忍!いつも大変お世話になっております!それでは5月●日の11時の回でお願いします!
【師 匠】あら、そう、承知したわ。ところであなた、ムラに一人で観に行ってきたのよね?どうだった?
【わたし】押忍!ごっつあんです!最高でした!特に、オレのこっちん(※礼真琴さん。わたしが一番好きな人)の超絶なカッコよさにしびれたっす!最強に歌ウマっすね!
【師 匠】あら、さすがことちゃんね。期待しているわ。じゃああなた、わたし達が行くときもいらっしゃらなくて? チケットが1枚空きそうなの。あなたたちの希望日時より前だけどいかがかしら?
【わたし】押忍!ごっつあんです!もちろん参加させていただきます!
【師 匠】あら、よかった。会うのも久しぶりね。楽しみにしてるわ。
【わたし】押忍!ごっつあんです!オレも楽しみっす!
【師 匠】それではよろしくね。チケットは当日開演15分前に劇場前で。
【わたし】押忍!こっつあんです!よろしくお願いシャス!
 というわけで、3月に兵庫県宝塚市に鎮座する「宝塚大劇場」でのソロ観劇から約2カ月。いよいよ東京へやってきた宝塚歌劇団・星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』を火曜日の夜、観てきた。2回目となるので、今回は、わたしが一番応援している「こっちん」こと礼真琴さん演じる「ショーヴラン」について思ったことと、宝塚歌劇で頻繁に描かれる、フランス革命の頃の時代背景、それから関係作品について書き留めようと思う。ちょっと、フランスの歴史をおさらいしてみたい、とふと思ったのです。
ScaPim
 まず、今回は上手側ブロックの5列目ということで、非常にいい席だった。おまけに一番左の通路側であり、要するに、銀橋の両サイドにある階段の上手側・真正面というわけで、その位置は主人公がよく歌う場所であるため、もう大興奮の席であった。さすが師匠、半端ないす。ほんとありがたい限りだ。
 で。物語の舞台は、原作小説ではどうやら1792年の話らしいのだが(?)、Wikiによると1789年に端を発したフランス革命において「革命裁判所」が設置されたのは1793年3月であり、「公安委員会」も1793年4月から存在していたそうなので、まあ、その辺りのお話と思っておけばいいだろう。そしてその「革命裁判所」とは、「あらゆる反革命行動、自由、平等、統一の侵害」を裁く法廷であり、「公安委員会」は事実上の革命政府で、人民主権の名の下に権利行使に制限はなく、あらゆる行為は正当化できたそうだ。もちろん、「自由の確立のためには暴力が必要である」として暴力を肯定している。要するに、何でもアリの超ヤバイ存在と言っていいだろう。こういった存在は、現代の民主的な法治国家らしき国に住む我々からすれば、相当胡散臭いというか独裁にしか見えない。我々にお馴染みの独裁者としては、北の将軍様がいるが、まあ比較はできないにしても、とにかくその象徴というかTOPにいたロベスピエール氏が危ないお方ってことは間違いなさそうだ。もちろん、我々の日本だって、昔々は天下を取った奴による事実上の独裁(?)に近い政治形態だったと言えるかもしれないけど。
 本作『THE SCARLET PIMPERNEL』において、我が愛しのこっちんが演じたショーヴランという男は、まさにこの革命政府=公安委員会所属の男で、1幕後半にフランス革命政府全権委任大使としてイギリスへも渡るような存在なので、相当高位にあるのは間違いなかろう。物語としては、その権力を振りかざして主人公を追うわけで、要するに「悪役」である。しかし―――本当にショーヴラン氏は悪い奴なのか? つかむしろ相当かわいそうなんじゃね? と思い、せっせとその件を書こうとしているわたしなのである。

 それでは、以下にフランスの政権の流れをおさらいしてみよう。長いぞ~これは。
 ◆1789年:国王ルイ16世(ブルボン王朝=絶対王政=アンシャン・レジーム)が、三部会を招集。議題は、財政破たん寸前なので増税しますの件。そんな議題に対して、もちろん、唯一の納税者たる第3身分(平民)の怒り爆発、ビビった国王が軍隊出動要請、大暴動へ発展。この辺がまさしく『1789』で描かれたわけで、一部は『ナポレオン』でも描かれているのかな。で、国王、やむなく第3身分が作った国民議会を認定、平民中心で憲法作成に取り掛かるも、まだ主権者は国王であり、そんな平民の主導した法律や憲法なんて認めるか!とか言ってたら、ますます食料すらもなくなってきたパリ市民が大激怒、ベルサイユ宮殿にまで乗り込んできて、マジかよ!とベルサイユを捨てテュイルリー(一応パリ市内)へバックレる。そして一応、「フランス人権宣言」として知られる「人間と市民の権利の宣言」が憲法制定国民議会で採択される。ここでいう「市民」が本作で何度も出てくる「シトワイヤン(Cytoyen)」のこと。英語のCitizenってことかな。意味はちょっと違うけか。
 ◆1790年:この段階ではまだ立憲君主制(=イギリス型の、国王を擁し憲法による統治)を信じる人々が政治を支配。代表選手はミラボー(貴族ではあるけど第3身分代表)やラファイエット(この15年ぐらい前にアメリカに渡り義勇兵としてアメリカ独立戦争に参加。ジョージ・ワシントンとも親しい。アメリカの人権宣言をよく知る人で、第2身分でありながら第3身分の味方。フランス人権宣言の起草者)で、要するに彼らは一応、国王の存在は認めていたってことかな。そしてこの年、ラファイエット氏の発案で、いわゆるトリコロールの三色旗が革命のシンボルになる。
 ◆1791年:貴族は続々とフランスから国外へ亡命。折しもミラボーも亡くなり、いよいよヤバいと不安になったルイ16世は、妻のマリー・アントワネットの実家(=オーストリア・ハプスブルグ家)に逃げようと密かにパリ脱出、しようとしたところ(この時に脱出の手助けをしたのが「ベルばら」でお馴染みのスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン様!)、あっさりパリ市民に見つかり、あんた逃げる気かよ!ふざけんな!と取っ捕まる。
 一方妻の実家(オーストリア)は、うちの国にも革命の嵐が来たら超迷惑だし、万一うちの娘(とその旦那)の地位をどうにかするようなこと考えてんだったら、てめえ、戦争吹っ掛けるぞこの野郎! という脅し(=ピルニッツ宣言)を神聖ローマ帝国及びプロイセンと共同で革命政府に伝達。なお、Wikiによると、まったくのなんちゃって宣言のつもりだったらしいのだが、受け取った革命政府は、やっべえ!最後通牒キタ!とやおら慌てることに。結局、じゃあルイ16世はそのまま生かしといてやらあ、として、立憲君主制を認める「1791年憲法」が成立。
 ◆1792年:事態を読み間違えた革命政府は、うっかり自分からオーストリアに宣戦布告。世にいう「革命戦争」の始まり(1802年まで続くこの長い戦争で、軍人ナポレオンが着々と力をつけていく)。8月にはルイ16世一家を幽閉(=8月10日事件)。また、国内に侵入した敵を押し戻す活躍をした義勇兵の下層民階級(=サン・キュロット)たちの発言力増大。虐げられてきたサン・キュロットたちは、急進思想を応援。その急進思想のTOPランナーがジャコバン派であり、ロベスピエール。そして新しい議会「国民公会」が設置され「第一共和政」が樹立、王政廃止が正式に決定する。ちなみに現在のフランスは「第五共和国」です。もうひとつちなみに、この少し前から、海外のフランス領植民地では人権宣言の影響でムラ―トや黒人奴隷の反乱が相次ぎ大混乱にあった。それが、宝塚的に言うと『カリスタの海に抱かれて』の事件の背景。あ、あの話は正確には革命前夜の事件か。
 ◆1793年:第一共和政政府による革命裁判において、ルイ16世、ギロチンでとうとう処刑される。ついでに王妃マリー・アントワネットも同じく斬首(なお、この時国王死刑に賛成票を投じた人々は、後の王政復古期に粛清対象になって殺される)。パリ市民は浮かれて万歳だが、イギリスやスペインが本気で激怒、フランス侵攻開始。革命政府はヤバい、みなさん、戦いましょう!と兵員募集をするも、無責任な(?)市民は、えーやだよ、と拒否続出、あまつさえ、まだ残存していた王党派と共和派で大喧嘩が勃発、内乱に至ってテロ続発の大混乱。この対立は、基本的にずっと続き、ナポレオン没後の王政復古期(1814年~30年)の動乱として『レ・ミゼラブル』の第2幕でも描かれた。マリウスは共和派の学生さんですな。こういった、国内情勢の不安定さから、ジャコバン派=ロベスピエールは6月に権力を掌握、8月に徴兵制を敷き、独裁政治=恐怖政治=テロリズム、を開始する。Wikiに書いてあって驚いたけど、ロベスピエールさんは、人類史上初のテロリスト(恐怖政治家)だそうです。へえ~。
 
 で、この後の展開はもう駆け足でいいかな。
 この翌年の1794年7月、ロベスピエール氏はあっさり失脚、テルミドール反動と世に知られるクーデターで逮捕、翌日にはギロチンの刃の露と消えたわけですな。しかし、王様を殺し、さらにはそのあとの恐怖政治も倒し、パリ市民はやれやれやっと落ち着いたぜ、となるはずが、当然そんなことにはならない。いわゆる中間層の市民(=ブルジョアジー)に国家を運営するノウハウはないわけで、1795年には国民公会は解散、テルミドール派(=ロベスピエールをぶっ殺した連中)が総裁政府を開き、新しい憲法を制定するが王党派・革命派の争いは収まらないし、外国との戦争も終わらず、ずるずると不安定な国内状況が続く。この国内の動乱を抑えるためにパリに大砲を持ち込んだのが若きナポレオンですな。これはまさしく、柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)主演の「ナポレオン」で描かれたアレですな。この功績で一気にナポレオン人気が高まり、1799年のクーデターでまんまとナポレオンが政権奪取に成功、統領政府を樹立し、かくして1804年、皇帝に就任し、第1帝政時代となるわけです。
 その後、皇帝ナポレオンは1814年に失脚し、フランスは、ウィーン会議による周辺諸国からのゴリ押しで再びブルボン家の生き残り、ルイ18世を王に戴き、王政へ逆戻り。これがいわゆる「王政復古」ですな。ちなみにルイ18世は、ギロチンでぶっ殺されたルイ16世の弟です。こいつが情けない奴で、『THE SCARLET PIMPERNEL』にも出てくるキーキャラのルイ・シャルル(=ルイ16世の息子)が幽閉されているときは、自分だけさっさと亡命して何もしなかったし、いやあ、ルイ17世と名乗っていいのはルイ・シャルル王太子殿下だけに決まってるじゃないですか、とか抜かしていて、ルイ・シャルルが死んだと聞くや、オレがルイ18世です、と名乗って、ロシアにバックレる。そしてナポレオンがロシアに攻めてくると聞けばさっさとイギリスに逃げ、そしてナポレオンが失脚したところでまたしゃしゃり出てきて、王様然とし、ナポレオンがエルバ島から復活して100日天下を奪うと、これまたさっさとバックレて逃亡、しかしナポレオンが1815年にワーテルローで完敗すると、再びフランスに戻ってきてちゃっかり王座に就く。なお、こいつはWikiによると、肥満からくる痛風が悪化して1824年に死去。また、これまたWikiによると、宝塚版『ナポレオン』で北翔海莉さん(通称:みっちゃん)が演じて最高にカッコ良かったことでおなじみの、フランス外務大臣タレーランの言葉によると、「ルイ18世はおよそこの世で知る限り、きわめつきの嘘つきである。1814年以来、私が王と初対面の折りに感じた失望は、とても口では言い表せない。……私がルイ18世に見たものは、いつもエゴイズム、鈍感、享楽家、恩知らず、といったところだ」だそうです。
 そしてこのブルボン朝はルイ18世が1824年に死んだあと、弟(=シャルル10世。つまりこいつもルイ16世の弟で、革命時はロンドンに亡命していた→コイツが『1789』の悪役であるアルトワ伯です!)に引き継がれ、こいつがまたも反動的な王政を敷いて、1830年の七月革命でオーストリアに逃亡・亡命し表舞台から退場する。
 変わって王座に就いたオルレアン公ルイ・フィリップは、若き頃は自由主義に傾倒して革命にも参加した男で、自らが王座に座ると絶対王政を排して立憲君主制を敷くことにする。これが7月王政というやつですな。で、フランスでもやっと産業革命がはじまり、一方で帝国主義的な植民地経営もせっせと行って資本主義的発展を見せる。しかし、そうなると今度は労働者階級(=プロレタリアート)が生まれてしまい、ブルジョアどもともども、普通選挙制度を要求し始め、1832年の6月暴動を招く。この6月暴動が、まさしく『レ・ミゼラブル』で描かれるマリウスたちの戦いですな。まあ、暴動を起こした共和派は鎮圧されてしまうけれど、最終的には1848年の2月革命でオルレアン朝も打倒され、第2共和国が樹立、ルイ・ナポレオン(後のナポレオン3世)が大統領に選出される。この後は、1852年にナポレオン3世の即位(しかも国民投票で選ばれた!)による第2帝政がはじまるわけですが、この年代に何か覚えはないですか? そう、ドイツにお住いの美女、エリザベートさんがオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世のもとにに嫁に行ったのが1853年ですな。はーーーやっとここまで来た。
 そして、フランスは1870年の普仏戦争でプロイセンにぼろ負け、パリ陥落&ナポレオン3世は捕虜に、という屈辱を食らい、以降、フランスという国には王様も皇帝も立つことがなくなると。それで第3共和国になるわけですが、これは第2次世界大戦後まで続き、ナチスの敗北でフランスが主権回復、1946年の新憲法公布で第4共和国が成立、そして1958年ドゴールのクーデターで新政府樹立、第5共和国となって現在まで続く、とまあそういうわけですな。

 はーーー疲れた。まとめるとこういうことかな?
 ◆1789年:ルイ16世(ブルボン朝)による絶対王政
 ◆1792年:ロベスピエール率いるジャコバン派による第1共和政樹立
 ◆1793年:ジャコバンの恐怖政治。ルイ16世&マリー・アントワネット斬首
 ◆1794年:テルミドール反動でロベスピエール失脚。総裁政府樹立。
 ◆1799年:ナポレオンのクーデターで統領政府樹立。
 ◆1804年:ナポレオン皇帝に就任、第1帝政の始まり
 ◆1814年:ナポレオン失脚、ルイ18世即位で王政復古
 (◆1815年ナポレオン百日天下で一瞬復帰)
 ◆1824年:ルイ18世死去、弟のシャルル10世即位
 ◆1830年:七月革命ルイ・フィリップが王座に(オルレアン朝・立憲君主制)
 ◆1832年:6月暴動。労働者階級の発生
 ◆1848年:2月革命でオルレアン朝打倒、第2共和政樹立、ルイ・ナポレオン大統領誕生
 ◆1852年:ルイ・ナポレオン、ナポレオン3世として皇帝に。第2帝政始まる
 ◆1870年:普仏戦争でぼろ負け、ナポレオン3世失脚、第3共和政スタート
 ◆1946年:第2次世界大戦終戦後、ドイツ支配からの解放、第4共和政スタート
 ◆1958年:ドゴールのクーデター発生、第5共和政始まる。そして現代まで継続中。
 なんというか……落ち着かない国ですなあ……しかしこれは、何もフランスだけの固有の問題ではない。どの国も多かれ少なかれ、支配者の変遷は経験してきたのが人類の歴史だろう。わたしがここまで延々とフランスの歴史をまとめて、自分で確認してみたかったことは、果たして一体、悪党は誰なんだということである。
 抑圧され、生命を蹂躙されれば、それに抗い、相手を打倒するのが人間の性だ。それは全く当然の成り行きだろう。しかし、問題はその後だ。自分を踏みつけてきた権力を打倒したはいい。けれど、その後どうなるか。どうやらフランスの歴史をたどると、結局自らも打倒され、代わって次の支配者が登場し、それもまた打倒され、と繰り返すことになる。実にむなしいというか悲しい連鎖だ。
 これは、一面では、失敗を学ばないということでもあろう。支配者としての器の問題である。しかし、何でもかんでもTOPにいる者個人に責任を転嫁していいのかという気も、一方ではする。ひどい言い方をすれば、名もなき一般市民の要求は尽きることがなく、ある意味何もしていないくせに文句ばかり言う、それが民衆の姿だと言っても言い過ぎではなかろう。
 そういう観点からすると、わたしは、どうしてもショーヴランという男が、悪党には思えないのだ。本作『THE SCARLET PIMPERNEL』を観ると、マルグリットという女子は、革命の時には付き合ってた元カレであるショーヴランを、ごくあっさり振るわけで、わたしとしては「そりゃあねえよ!」と思ってしまう。これは、わたしがモテないブサメンだから、ではなく、たぶん男なら誰でもそう思うのではなかろうか。また、主人公のイギリス貴族パーシーにしても、やっぱりどうもお気楽すぎて、ひとかけらの勇気をもってフランス貴族を救う、という姿はカッコイイかもしれないが、地元フランス市民からすれば、自分たちを散々搾取していた連中なわけで、外人は引っ込んでろ!と思われたっておかしくない。そして、わたしが大変気の毒に思うショーヴランという男こそ、実に真面目でまっとうに、自分の信じた正義を貫くわけで、その手法が暴力に訴えるものだとしても、その暴力は合法的に許されていたんだから、残念ながら誰も文句は言えないのではなかろうか。彼が追う「スカーレット・ピンパーネル団」こそ、フランス革命政府からすれば犯罪集団なわけで、わたしはショーヴランの行動は、まったく非難されるべきものではないと感じた。だから、もうちょっとパリ市民の心の変化が表現されていればなあ、と言う気がする。パリ市民は、冒頭から基本的には革命を支持してるんだから、彼らの視点からすれば、ショーブランこそ正義、と思っていたかもしれないし。ジャコバン派のやりすぎな行動に市民がだんだん引いていく様は、もっと描く必要があったような気がしてならない。
 ――と、以上が『THE SCARLET PIMPERNEL』という物語に対する、わたしの感想だ。
 まあですね、ここまで延々と書いてきてそれが結論かよ、と思われるかもしれないですが、要するにですねわたしが言いたいのは次のことです。
 ◆ショーヴランは悪くない!君は職務を全うしただけだし、君の信じる道を誠実に生きただけだよ。断じて君は悪党じゃないぞ! そして演じたこっちんは最強に歌ウマであり、本当に素晴らしかった。ムラで観た時と、若干歌い方が変わってたように思います。特に『鷹のように』のサビ部分。ムラの時は、やっぱり基本はちえちゃん風だったすね。今回東京で観たこっちんは、さらに進化してたと思います。
  ◆マルグリット……あなたちょっとヒドイよ!ちくしょう、せいぜい幸せとやらをかみしめるがいい!お幸せに!あばよ! としか、男なら言えないよもう。しかし、演じたあーちゃん(綺咲愛里ちゃん)は相当頑張ったと思います。以前書いた通り、わたしはあーちゃんの、ちょっとギャップのある大人な声が大好きです。ビジュアルも大変可愛いと存じます。
 ◆パーシーは……まあ、紅子(紅ゆずるさん)パーシーはこれでいいんでしょうな。ちょっと軽いのは紅子ならではということで、許します。ほんと。羽を背負った紅子に胸が熱くなりますわ。これからも応援します!

 というわけで、結論。
 いや、もう結論書いちゃったし。とにかくですね、ショーヴランはかなり可哀想で、そしてそんなショーヴランを演じたこっちんは最強に歌も芝居もカッコ良かった。終演後のパレードで、一番最初に歌うこっちんの「ひとかけらの勇気」は最高です。そしてダンスのキレもますます磨きがかかってますな。いやー、TOPに昇る日が何年後かわからないけど、その日が楽しみですな! 以上。

↓ 散々書いたフランス革命についてのわたしの記述は、結構適当です。ちゃんと勉強しようかな……。
フランス革命史〈上〉 (中公文庫)
ジュール ミシュレ
中央公論新社
2006-12





 去年の2016年11月、わたしが愛してやまない宝塚歌劇団「星組」は、北翔海莉さん(通称:みっちゃん)という偉大なるTOPスターが19年の宝塚生活に別れを告げて卒業し、新たに、紅ゆずるさん(通称:さゆみちゃん、紅子)がTOPスターに就任することとなった。
 紅子は、みっちゃんの前のTOPスター、LEGENDこと柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)の時代から星組を支えてきた素晴らしいジェンヌで、とりわけ悪役だったり、高田純次ばりのテキトー男をコミカルに演じるのが抜群に上手くて、当然わたしはずっと前から大ファンである。彼女はちえちゃん時代後期から2番手スターであったので、ちえちゃんの次にTOPになるのかと思っていたのだが、ちえちゃんが退団した2015年春に星組のTOPスターとなったのは、専科で活躍していたみっちゃんであった。そのときは、わたしは、えっ!? 紅子じゃないんだ、とちょっと驚いたのだが、みっちゃんの素晴らしいパフォーマンスは、LEGENDちえちゃんの去った星組を見事にまとめ上げ、その歌・芝居・ダンスともにそろった技術的な面と、持ち前の包容力というか素晴らしい人格で、星組生の規範となるべき見事なTOPスターとして、ある意味では紅子の最後の師匠として、さまざまなことを紅子に教えてくれたんだと思う。
 そしていよいよTOPとなった紅子。大劇場公演での正式お披露目公演はまだちょっと先だが、 昨日から東京国際フォーラムで始まった作品で、プレお披露目と相成ったのである。星組がイチオシのわたしとしては、当然のことながら、晴れて主演TOPスターとなった紅子の雄姿を見逃すわけにはいかない。というわけで、今日、有楽町に参上した次第である。
 作品のタイトルは『オーム・シャンティ・オーム』。なんと、インドの「ボリウッド映画」のまさかのミュージカル化である。うーむ、大劇場公演じゃないから、公式動画はないみたいだな……とりあえずポスター画像を貼っておこう。
omshanti
 わたしは、元の映画を観ていないので、正直どんな話なのか全く知らないまま、今日の観劇を迎えたのだが、わたしの勝手な想像では、おそらくボリウッドものということは、明るく楽しい作品で、歌って踊って大騒ぎ! 的なお話かと思っていた。
 とにかく、ちょっとお調子者の愉快な男を演じさせたら、現在の宝塚歌劇団においては、紅子がナンバーワンであろうと思う。だからきっと、そういう紅子に相応しいコメディなんだろうな、と思い込んでいたわけだが、結論から言うと全く違ってました。意外とダークな面もある、時空を超えたラブファンタジーであったのだ。
 物語は、冒頭に「30 Years ago」という文字が映るところから始まる。それを考えれば、想像がついてしかるべきだし、そもそも本作のサブタイトル「恋する輪廻」を踏まえれば、ははーん、とピンと来てもおかしくないのだが、わたしは愚かなことに全く気が付かなかった。そう、本作は、第1幕が30年前のお話、そして第2幕が「After 30 Years」と30年後のお話に変わるのだ(※正確に言うと1幕ラストで30年後に移る)。
 30年前――とある青年がうだつの上がらないエキストラ役者としてボリウッド映画のスタジオに出入りしていたが、彼は国民的映画スターの女優にぞっこんで、とあるきっかけで本人と知り合い、仲良くなる。しかし彼女には敏腕プロデューサーの彼氏がいて、手の届かない存在として健気に片思いを続けていたが、その女優の彼氏がとんでもないクソ野郎で、青年とスター女優は大きな悲劇に巻き込まれてしまう。そして時は流れ、30年後。とあるスターの誕生日。そしてそのスターは、30年前に悲劇に見舞われたあの青年に瓜二つであった――的なお話である。
 つまり、我らが紅子は、1幕と2幕で別人を演じる一人二役であり、そして、紅子と同時にTOP娘役に就任した綺咲愛里ちゃん(通称:あーちゃん)もまた、同じく一人二役で、1幕ではスター女優、2幕ではフツーの地方出身の女優志望の娘さん役であった。さらに、わたしがイチオシの礼真琴ちゃん(通称:ことちゃん。わたしは勝手にこっちんと呼んでます)が、その問題のクソ野郎プロデューサー役であった。
 というわけで、見どころはその二役ぶりと、愛するこっちんの悪党ぶりなわけだが、結論から言うと実に素晴らしかった。まず、紅子は、随所にいつものテキトー男ばりの笑いを見せてくれつつも、かなり真面目なシーンもあり、また、歌も非常に良かったと思う。そして、とにかく紅子は、手足が細くて長い、ある意味2次元キャラを具現化したような素晴らしくスタイルがいい人なので、ダンスもとても美しい。ボリウッド的なダンスも良かったすねえ。そして、とりわけ2幕のキャラでは、わたしの目にはひじょーーーに、ちえちゃんに似ているように思えた。メイクと髪型が、なんかすっげえちえちゃんに似ているように思えたのだが、そう思ったのはわたしだけだろうか? 声や手足の長さは明らかに紅子だし、歌も紅子に間違いないのだが、今回の2幕の若干黒塗りなメイクが非常にちえちゃんっぽかったのがわたしとしては今日一番印象に残った。特にアイメイクと唇が超そっくり、に見えた。ちえちゃんと一番仲の良かった紅子。メイクもちえちゃんに習ったりしてたのかなあ。今までそんなことを感じたことは一度もなかったけど、今回のメイクははマジでちえちゃんに似てると思いました。
 そしてあーちゃんも、やっぱりビジュアルはいいすねえ……とってもかわいい。チョイ垂れ目なのが特徴的な顔で、当然、星組イチオシのわたしは、あーちゃんのことは以前からよく知っているつもりだけれど、1幕では役に合わせた落ち着いた低い声での芝居で、あーちゃんってこんなに声が低い娘さんだっけ? と今更ながら認識を新たにした。歌も全く問題なし。これまた、歌こんなにうまかったけ、と実に失礼なことを思った。前TOPの妃海風ちゃん(通称:風ちゃん)が抜群に歌も芝居もダンスも上手い方だったので、その陰に隠れていたような印象だけれど、やっぱりTOPになるだけの技量は身につけているわけで、今後はあーちゃんもちゃんと応援していきたいと思う。いやはや、マジで可愛かったすね。なんだろうな、風ちゃんはとにかく華奢で、それなのに歌もダンスもパワフルというギャップ萌えがあったように思うけれど、あーちゃんは、華奢、には見えないすね。なんというか……ウエストのくびれがないというか、要するに、男目線で言わせていただくと、大変失礼ながら幼児体型と言っていいんじゃないかな……。だが、それがイイ!! わけです。実にイイですね。
 問題は、愛しのこっちんですよ。まずですね……出番が少ない!! のがわたしとしては超残念。そして……キャラがですね……共感しようのないクソ野郎なんですよね……悪役でも、きちんと自分のルールをもっていて、それが主人公と相いれないために敵対し、その自らの美学によって主人公に負ける、というような悪役であれば、共感できるしカッコイイわけで、時として主人公よりも人気が出ることだってあるわけですが、今回は……そういう点は全くない、純粋にクソ野郎だったのがこれまた超残念でした。例えば前作の『桜華に舞え!』でも、主人公の敵役だったこっちんですが、あの時の「永輝」という役は実に美しくカッコよく、素晴らしいキャラであったけど、今回はなあ……でもまあ、こっちん最大の魅力である歌唱力ははやり抜群に光っていて、その点では大変満足です。しかし今回の歌いぶりからすると、次回のショーヴラン役は超超期待できそうですな。ショーヴランも主人公と敵対する役だけど、2009年の公演ではちえちゃんが超絶にカッコ良かったし、2010年の公演でわたしが観たみりお(=明日海りおさん)Ver,も大変良かった。ソロ曲も結構多い役なので、次のこっちん・ショーヴランは楽しみすぎてたまらないすね。東京に来るのが待ちきれないので、こいつはムラ遠征しねえとダメかもな……と、思っております。一人で行くしかねえかなあ……。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「今度こそ、すべて葬り去ってやる!! 今度こそ……!!
 今回は悩んで、こっちん演じるクソ野郎が発するセリフを選んでみました。状況的にはカッコ良くないのですが、このセリフを発するときのこっちんは、非常にカッコ良かったっす。はーーーマジでこっちん・ショーヴランが楽しみすぎる!!!

 というわけで、結論。
 満を持して、星組のTOPスターに就任した紅ゆずるさん。そのプレお披露目公演となる『オーム・シャンティ・オーム』は、ボリウッド映画を原作としているものの、意外とダークな部分もあるラブ・ファンタジーで大変驚いた。しかし、紅子はいつもの面白キャラを見せつつも、大変見事な歌とダンスと芝居を見せてくれ、大満足の作品であった。そして、同時に娘役TOPとなったあーちゃんも、大変かわいく歌も上手で、今後その幼児体型を愛でに劇場へ通おうと思います。そして! 我が愛しのこっちんは、次のショーヴラン役が楽しみすぎて期待は高まる一方であります!! 以上。

↓ これが原作というか、元の作品すね。ちょっと興味がありますな。2007年の作品だそうです。
恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム[Blu-ray]
シャー・ルク・カーン
マクザム
2013-09-27

 はあ……泣けた……もう何回も泣けた……みっちゃん……もう会えないのが淋しいっす……。
 というわけで、今日は3回目の観劇となる宝塚歌劇団星組公演『桜華に舞え/ロマンス!!』をTOHOシネマズ市川にてライブビューイングで観てきた。もう1回目の観劇の際に、このBlogに記した通り、もう泣けてたまらなかったわけであるが、おまけに今日をもって、星組TOPスター北翔海莉さん、通称みっちゃんは宝塚歌劇団を退団するわけで、そのラストデイ・千秋楽だったわけである。はーーー……思い出し泣きするわマジで……。
 しかし、それにしても本作『桜華に舞え』は、イケ台詞が多くて大変素晴らしかった。前回、1回目に観た時の記事では、恒例のイケ台詞の発表をしなかったのは、あまりに多すぎて選べなかったからだし、2回目を観た時はもうBlogを書けないほどグッと来てしまったのだが、今回は憶えているイケ台詞を備忘録として書きなぐってみよう。
 ※なお、「イケ台詞」とは、わたしがいつも宝塚歌劇の公演を観た後、かーーーカッコええ!! と心に残ったイケてる台詞のことです。 
 というわけで、まずは動画を貼って、主要キャラのイケ台詞をまとめておこう。

 ◆桐野利秋=中村半次郎:主人公。演じたのはもちろんのことTOPスターみっちゃん。本当にこの人の歌は素晴らしい。芝居もダンスも超一流。本当にもう、これが見納めかと思うと淋しいよ……。サヨナラショーも良かったですな。まさか、最後の曲に、わたしの大好きな『The Sound of Music』の中の名曲「Climb every Mountain」を選ぶとは、さすがみっちゃんだとわたしは大感激した。これは、『The Sound of Music』の中で、トラップ大佐に恋してしまったマリア先生が、その恋に怖くなってしまって、一度修道院に逃げ帰ってくるのを、修道院長が諭すシーンで歌われる名曲だ。詩がいいんすよ、とにかく。ひじょーーに、みっちゃんの生き方に通じるものがあって、たいへんわたしは感動して泣けました。すべての山に登りなさい。あなたの夢を見つけるまで。まさしくみっちゃんのための、みっちゃんが残るみんなに伝える気持ちそのものの歌っすなあ。
 で、本作でのわたしが一番グッと来たイケ台詞はこれです。
 「ぼけ桜じゃあ。季節ば間違えて咲いてしもうた桜じゃ。おいも、生まれてくる時代ば間違えてしもたんじゃろねえ
 季節外れに咲く桜を見て、オレも生まれる時代を間違っちまったな……なんて、苦笑する半次郎にわたしはもう泣けてたまらなかったす。みっちゃん……あなたはそんなことないですよ。大げさかもしれないけれど、わたしはあなたと同時代に生まれてよかったです。本当に。退団後の活躍を楽しみにしてるからな!

 ◆吹優:ヒロイン。演じたのは、今回みっちゃんと同時に退団した、TOP娘役の妃海風さん(通称風ちゃん)。今回もう何度も芝居の中でもショーでも涙を流し、常に泣きそうな眉間にしわを寄せた下がり眉が猛烈に可愛かった。2回目の超いい席で観たときは、風ちゃんが泣いているのがはっきり見えたよ。みっちゃんを「最愛の人」と呼ぶ風ちゃん。本当にお疲れさまでした。みっちゃんが、最後のカーテンコールの時に、「二人で一緒に星組公演を観に行こう」と言ったら、本当にうれしそうに、何度もピョンピョン飛び跳ねていたね。これからどういう活動をするのか知らないけれど、ずっと応援してるよ。
 で、この「吹優」の一番のイケ台詞は、わたし的にはやっぱりこれだと思う。
 「わたしは行かねばならないのです!! わたしは桐野様に会わなければいけないのです!!
 強い意志の感じられる、とても凛としたカッコいいセリフだったし、演じる風ちゃんの必死な思いもとても伝わる素晴らしい演技でした。風ちゃん、君も最高だよ!

 ◆隼太郎:政府内にとどまった薩摩隼人。演じたのは2番手スター紅ゆずるさん(通称:紅子)。いやー、今回の千秋楽の紅子も気合入ってましたねえ。完全にもう怒鳴ってたよね。感情の爆発が伝わる激しい芝居でした。コメディで光り輝く紅子だけれど、今回のシリアスな芝居ぶりもとっても素晴らしかった。やっぱり、今回のイケ台詞はラストのセリフでしょうな。
 「わいら!恥を知らんか!命が果てた勇敢な侍に卑怯な真似ばしよっせ!」
 「おはんが伝えたかった「義」と「真心」、おいが預かった!!!

 もう号泣ですよここは。紅子も、しっかりとみっちゃんからバトンを受け取り、「義」と「真心」を受け取ったわけで、わたしは今後も、紅子がTOPスターになる星組をイチオシで応援したいと思います。
 
 ◆八木永輝:会津藩士。後に警視庁抜刀隊に入り、西南戦争へ出征。演じたのは、わたしが一番応援している礼 真琴ちゃん(わたしは勝手に、「こっちん」と呼んでます)。今回は敵役、ではあるのだが、まあ、壮絶にカッコ良かったすね。特に今日の千秋楽は物凄い気合入ってました。素晴らしかったよ。でも、本当に残念ながら、本作ではちょっと出番が少なく、今日のライブ中継ではさらに画面に映る頻度が減ってたような……2回目に観たときは、わたしは6列目の超いい席で観たのだが、もう、ほぼずっとこっちんを見てました。もともとこっちんは、女の子として可愛いので、男役としてはいつも可愛い系だったんだけど、今回は明確にカッコいい系のぎらついた男でしたね。6列目なのにずっと双眼鏡で観てました。表情も非常にいつもよりも険しく、この感じだと次の大劇場公演『スカーレット・ピンパーネル』で演じる敵役ショーヴランが壮絶にカッコいいのは間違いないでしょうな。超期待できますね。何しろ歌が超上手いことでもお馴染みなので、ショーブランはかなりソロ曲が多いから、歌いっぷりも超楽しみです。ムラ遠征したいところですな。そして今回のイケ台詞は3つ。
 「おのれ薩摩め! 薩摩の中村半次郎! この恨み忘れてなるものか!!!」 
 「永輝は魂を捨てて参りました。会津と愛奈姫様の仇を討つために。さらばでございます!
 「あいつを倒すまで、わたしは死なぬ!」 
 今回はとても悲劇的な気の毒な男を、こっちんが非常にカッコ良く、そして悲しく演じてくれました。相変わらずの歌のうまさも披露してくれましたね。そしてショー『ロマンス!!』では、恒例の(と自分でCafe Breakで言ってたね)女装もあって、今日の千秋楽では黒髪だったね。1回目2回目を観たときは、茶髪のショートがすっげえ似合ってて可愛くて、30年前の荻野目洋子ちゃんに非常に似てるように思いました。ホントかわええわ……でも、これからはクールな敵役の似合うカッコいい男役を見せてくれると思うので、これからもずっと応援します!! 次のファンミーティングは絶対行く!!

 ◆西郷隆盛:演じたのは、今回みっちゃんと一緒に退団した美城れんさん(通称さやかさん) 。みっちゃんと同期の84期生であり、みっちゃんが音楽学校に入学して一番初めに声をかけたずっと仲の良い方。今回、みっちゃんとさやかさんが退団したことで、84期生は全員卒業となり、現役はもう一人もいないんだそうだ。今回はショー『ロマンス!!』でも、サヨナラショーでもソロパートがあって、温かい送り出しでしたな。拍手も一番大きかったんじゃないかな。ファンの応援も暖かかったすな。さやかさんみたいな、貴重な脇役というかおっさん役がいなくなると、ホント淋しいです。専科に移る前はずっと星組で、わたしも何度もさやかさんの芝居ぶりは観ていたので、ホント、残念です。そして今回の西郷隆盛役も素晴らしかったよ。イケ台詞はこれかなあ。
 「半次郎どん、人を愛しやんせ。そして、天を敬うっとじゃ」 

 とまあ、とにかく、わたしはもう泣けてたまりませんでした。そして猛烈に寂しいよ……。
 みっちゃんの、退団後の初舞台はいつ、どんな作品だろうなあ……普通に、コンサートでもいいんだけどな。絶対観に行く。絶対に。つーか、これも何度も書いているんだけど、みっちゃんは、髪を伸ばして女性らしい服装をしたら、普通に美人で可愛いと思うな。これからも、その歌声を聞かせてほしいと切に思います。風ちゃんも、いろいろ活躍してほしいね。風ちゃんは、ひょっとしたらダンスが一番得意なんじゃなかろうか? もちろん、歌も芝居も素晴らしい女優として活躍してほしいけれど、まずはやっぱりミュージカルかな。どんな役がいいだろうな……とにかく楽しみに待ってるよ。 そして、紅子率いる新生星組も、年明けからさっそく始動するわけで、もちろんわたしは星組イチオシとして、応援を続けます。こっちんがTOPになる日を想像するのはまだ早いけれど、まずは来年の『スカ・ピン』がウルトラ楽しみです!!!

 というわけで、結論。
 今日、宝塚歌劇団星組TOPスターコンビ、北翔海莉さんと妃海風さんが、退団した。その退団公演及びサヨナラショーは、もう場内みんなくすんくすんと涙のあらしで、大変泣ける素晴らしい作品であった。しかし……ライブ・ビューイングでも、みなさん、普通に拍手と化して盛り上がりましょうよ。わたしが観た会場では、ほんの少しだけ拍手しているお客さんがいたけれど、基本的にお行儀よく静かだったですが、わたしとしてはもっと盛り上がりたいのですが……ダメっすか? ほかの会場はどうだったんだろう。 以上。

↓久しぶりに買いました。読み応え抜群っす。これがいわゆる「みっちゃんロス」ってやつか……淋しい……。
歌劇 2016年 11 月号 [雑誌]
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2016-11-05

宝塚GRAPH(グラフ) 2016年 11 月号 [雑誌]
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2016-10-20


 2010年1月に宝塚歌劇を初体験して以来、すっかりわたしは宝塚歌劇にはまってしまったわけだが、わたしが「ヅカ」について語りだすと、たいていの人は驚く。何しろ、世間的に宝塚歌劇は世の淑女のためのエンタテインメントとして認識されており、男のわたしが「いやー、ヅカは最高なんすよ」と言うと、「えっ!? なんでまた?」と反応されるのが普通のリアクションなのである。
 まあ、わたしもヅカ歴6年の駆け出しファンなので偉そうなことは言えないのだが、ここ数年は劇場に男の客もだいぶ増えてきたような気がする。ただ、やっぱりおっさん主体で、奥さんに連れてこられたようなお父さん世代や、彼女に連れてこられたような30代ぐらいの男が多く、わたしのような中途半端なおっさんはまだ少ない印象だ。おまけに、一人で観劇している男はまだまだ少ない。が、ゼロではなくなってきたかな、と見受けられるようになってきたように感じる。
 かく言うわたしも、昨日、結構久しぶりに一人で日比谷に推参した次第である。しかも初めて、いわゆる「ファンクラブ」の取次でチケットを入手して観劇に臨んでみた。まあ、あの淑女率90%ぐらいの劇場に、おっさん一人のボッチ観劇は普通のハートの持ち主には相当ハードルが高いというか実際無理な人が多いと思うが、さすがにヅカ歴6年ともなれば、はっきり言ってぜーーーんぜん平気。わたしは全くもって堂々と入場し、楽しんできた。なお、一応言っときますが、普段はいつもヅカ友の美しい女子たちと行ってますよ。今回は、ファンクラブ取次であったので、わたしの分しかチケットが確保できなかっただけです。
 というわけで、わたしが昨日観に行った演目は、星組公演『桜華に舞え』。現在の星組TOPスターコンビの退団公演であり、はっきり言って泣けたのである。マジでもう……泣けるわ……みっちゃん……あなたホントに最高です……。

 もう何度もこのBlogで書いているのでしつこいけれど、わたしは一番最初の宝塚体験が星組公演であった影響で、いまやすべての組の公演を観るようになったけれど、やっぱり星組が一番好きである。そして現在の星組TOPスター、北翔海莉さん、通称みっちゃんは、現在の各組TOPスターの中では歌・芝居・ダンスの三拍子が抜群にそろった、「技」のTOPスターだと思う。歌が超上手い、芝居は絶妙、アドリブ力もナンバーワン、そしてダンスのキレ、優美さ、全てを兼ね備えており、わたしはマジでみっちゃんasナンバーワンだと思っている。
 そして、そういった役者としての「技」だけでなく、経験もTOPスターの中では最も豊富で、星組を見事にまとめ上げているわけで、男役TOPスターにこう言うのは失礼かもしれないが、わたしはみっちゃんに対し慈愛に満ちた母性のようなものを感じている。まさしく、観音菩薩様ですよ。
 わたしにこう思わせるのは、やはりみっちゃんの人柄の良さに起因しているんだと思う。なんていい人なんだこの人は、というようなエピソードが多いし、言動も、とても明るく周りを盛り上げるような気づかいの人だし、長年の苦労もそういった人柄に現れているんだろうと思う。なにしろみっちゃんは、月組からキャリアをスタートして宙組に異動になり、さらには専科も経験しての星組TOP就任である。そういう経歴は、かなり異例であろう。みっちゃんは、退団に際していろいろな場で、決して平たんな道ではなかったと何度か発言している。それでも常に、前に進むことをやめなかったみっちゃん。そしてその険しい道を歩んできたからこそ得た技と人格。そんなみっちゃんの退団にあたって、わたしは泣かずにいられるわけがないのである。
 というわけで、今回の公演『桜華に舞え』である。
 物語は、幕末から明治にわたる、とある薩摩藩士の生涯、しかも政府側ではなく西郷側、ということで、わたしはこりゃあヤバいと思った。西郷側の薩摩藩士の話となれば、確実に物語は悲劇的なエンディングとなることが予想されるわけで、きっと、思いを次の世代に託し、散っていくんだろうな、と真っ先に想像した。
 実は、わたしはいわゆる「戦国武将」は相当詳しいオタではあるのだが、「幕末」に関しては、大体の流れしか知らず、個別の人物に関しても、有名どころしか知らないので、今回みっちゃんが演じた桐野利秋こと中村半次郎については、全く事前知識がなかった。また、星組2番手スターであり、次期TOPスター就任が決まっている紅ゆずるさん(通称:紅子)が演じる役や、わたしが一番大好きな礼 真琴ちゃん(通称:ことちゃん)が演じる会津藩士も、実在の人物なのかどうかもよく分かっていなかった。が、わたしは、普段なら物語のバックグラウンドをきっちり予習していくのだけれど、今回は一切予習しないで、まっさらな状態で、物語を味わうことにしてみた。これはわたしにはかなり異例なことである。なんというか、今回はそういった史実の人物像や出来事は、どうでもいいと思ったのだ。ただただ、みっちゃんを見つめ、みっちゃんその人として、物語に没入したかったのである。
 そして、実際の物語は、大体わたしの予想通りだった。みっちゃん演じる主人公は、その剣の腕前と人柄で、西郷隆盛に認められ、会津での激しい戦いにも生き残り、無事に明治政府で立身出世していく。しかし、同じ薩摩の同志である大久保利通と西郷の確執(?)により、西郷の鹿児島帰還に同道、そしてとうとう、日本における最後の内乱と言われる西南戦争が勃発。西郷側についた桐野もまた、同じ薩摩兵児・薩摩隼人同士との戦いに散る……という流れである。
 本作は、全編薩摩弁であり、正直、聞き取れない部分もある。また、実際の史実と合致した物語なのかも、わたしはよく分かっていない。しかし、そんなこたあどうでもいいほど、泣かせる話であった。やっぱり、ともに幼少を過ごした二人の男が、お互い敵同士となって戦わなくてはならない状況になり、たとえ道を分かつとも、己の信じた道を進み、自らの正義に殉じる姿は鉄板ですよ。歌も良かったっすねえ。やっぱり、歌唱力は現役ナンバーワンだと思うなあ。本当に素晴らしかった。そして、その道を分かつ親友・隼太郎を演じた紅子も、とても良かった。また、主人公に恨みを持つ会津藩士を演じた、わたしの大好きなことちゃんも、ウルトラクールでカッコよかったすね。もうチョイ出番が多ければなあ。
 あと、これは完全にわたしのうっかりミスなのだが、今回、わたしは初めて2階のA席での観劇となったのだが、やっぱ遠いね。いつもはちゃんと持参する双眼鏡を、うっかり持参し忘れてしまったので、顔の表情が分からなかったのが唯一の残念ポイントだ。いつもは、生意気にも10列目以内といういい席で観ているので、その罰が当たったと戒めとしておこう。来週、もう一度SS席で観劇する機会があるので、それでもちゃんと双眼鏡を持参しようと思う。
 そして一方のショーの方だが、今回もまた非常に素晴らしかった。個人的には、前回のショー『THE ENTERTAINER』が素晴らしすぎて、あちらを退団公演にしても良かったんじゃね? という気もしたけれど、実はわたしが今回、うっかり涙を流したのは、『桜華に舞え』の方ではなく、こちらのショー『ROMANCE』の方である。特に、扉をモチーフにした枠を、次々と駆け抜け、先へと進もうとする星組のみんな。もちろん、みっちゃんも今までいろんな壁、扉にぶつかってはそれをこじ開けてきた19年間の宝塚生活。それを想うとなんだかとても目頭が熱くなり、そしてみっちゃんのソロで始まる星組みんなの大合唱となるエンディングは、マジで泣けたっすわ……。はあ……マジかよ……みっちゃん……と、わたしはもうぐすんぐすんである。参った。
 わたしは、何度かこのBlogで書いた通り、みっちゃんが専科に行く前のことを全然知らない。そもそも、みっちゃんのことを生で観たのも、既に専科異動後の2014年星組公演『ナポレオン』が最初だ。だから、ぜんぜんみっちゃんに関してはニワカである。でも、星組TOPスターとなってからの1年半という短い期間は、本当に全力で応援してきたつもりだ。だから本当に、淋しいよ……。ちなみに、わたしはこれまでWOWOWやNHK-BSで撮りためた公演映像を結構な数を持っているのだが、みっちゃんが出演している作品を片っ端から見て、まったくもって超・今更ながら、みっちゃん熱を高めていたので、号泣する準備は整っていた。2014年の『TAKARAZUKA Special』も非常に良かったし、古いところではちょっと前にNHK-BSで放送された2000年の『LUNA』や2007年のショー『宙―FANTASISTA!』やかつてWOWOWで放送された2010年宙組公演『シャングリラ』などを観て、あーーー!! みっちゃんいた!! とか、探すのが楽しく、そしてやっぱ歌上手い!! と改めて感激したりしたわけで、今もなお、わたしは、みっちゃんの19年に思いを馳せ、淋しさを募らせている。
 宝塚音楽学校を受験する少女たちは、「宝塚歌劇が大好きだから」受験するのが、まあ普通の受験動機だろうと思う。しかし、わたしの愛する前・星組TOPスターの柚希礼音さんことちえちゃんも、そしてみっちゃんも、二人とも、そういった「宝塚ファン」歴ゼロで、音楽学校を受験した点で共通している。二人とも、背が高く周りの勧めで受験したのだと聞いている。だから、二人とも、音楽学校に入学してから、不断の訓練と勉強によって、宝塚歌劇というものを知り、芸を磨き続けた人だ。つまり、明らかに努力の人である。そりゃもちろん、元々の才能は当然持っていたとしても、決して天才とかそういうものではない。常に前へと休まずに足を動かし続けてきた姿に、きっとわたしは魅かれたのだと思う。今回の公演でみっちゃんは宝塚歌劇を卒業し、次のステージへ向かうわけだが、たぶんわたしは、ずっとファンでいると思う。
 退団後の初舞台はガラコンになるんじゃねえかなー、と、密かに期待しているのだが、しっかしチケット獲れないすねえ……一応、1公演だけチケットは取れたものの、その回はまさお・ルキーニの回だからみっちゃんは期待できないだろうな……。まあ、別の機会でもいいから、みっちゃんには歌い続けてほしいと思う。前も書いたけれど、髪を伸ばし、女性らしい服装をしたら、びっくりするほどの美人だと思うな。ほんと、これからも応援し続けたいと思います。以上。

 というわけで、結論。
 宝塚歌劇団星組TOPスター北翔海莉さんの退団公演『桜華に舞え/ロマンス!!』は号泣必至である。今回初めての2階席での観劇は、思ったより遠かった。双眼鏡必須なのに忘れたオレのバカ!!! あと2回見るチャンスがあるので、次回は超いい席だけど、絶対に双眼鏡忘れんなよ!! そして、北翔海莉という偉大なるスターの雄姿を、目と心に刻みたいと存じます。以上。

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宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2014-12-20

 わたしが宝塚歌劇を愛していることはこのBlogで何度も書いているが、実のところ、わたしのファン歴は2010年1月に星組公演を観に行った時から始まっているので、所詮はまだ6年ほどの駆け出しであり、まだまだビギナーの域を超えてはいまいと思う。
 故に、今年、初演から20年経ったかの有名な演目『エリザベート』を初めて見たのは2014年の花組による「みりおトート」であり、その後、去年2015年に帝劇版「城田トート」を観たものの、それをカウントしても2回しか見ていない。
 わたしが思うに、ミュージカル『エリザベート』は、そのタイトルの通り主役は明らかに「エリザベート」、劇中ではシシィと呼ばれる女性であるように感じている。宝塚歌劇は、普通は男役TOPスターが物語の主役であるが、『エリザベート』は珍しく、娘役TOPスターが物語における主役、なのだ。まあ、このことは異論のある方も多いかもしれないが、 わたしはやはり、シシィの物語だと思う。
 というわけで、今年も『エリザベート』が宙組によって上演されることになり、わたしとしては、宙組TOPスター 朝夏まなとさん(通称:まぁ様)よりも、タイトルロールを演じる娘役TOPの実咲凛音さん(通称:みりおん)がどんなシシィを見せてくれるのかを楽しみに劇場へ向かったわけである。
 そして結論から言うと、期待よりもずっと良かったように思う。 既に、次の公演をもって退団することを発表しているみりおん。その渾身の舞台『エリザベート』は、やはりとても素晴らしかった。

 やはり『エリザベート』となると、ベテランのヅカファンのお姉さまたちは、過去の上演と比較したくなるのは当然だろう。わたしも過去は1回しか見ていないが、前回2014年の花組公演Verでは、明日海りおさん(通称:みりお)のトート閣下は抜群のビジュアルだったし、皇帝・フランツ・ヨーゼフ1世は、わたしが現在最も愛する星組TOPスター北翔海莉さん(通称:みっちゃん)で抜群に歌が巧く、また狂言回しのルキーニは、これまた歌が抜群にうまい望海風斗さん(通称:だいもん)だったので、『エリザベート』という作品が大変面白く、とりわけ楽曲が素晴らしいことは分かっているつもりではある。しかし、所詮1回しか見ていないので、比較してどうこう言う資格もあるまいと思うので、観て思ったことをつらつら書きなぐってみたい。
 まず、わたしが今回の公演で一番関心があったのが、冒頭に書いた通り主役「エリザベート」を演じたみりおんこと実咲凛音さんだが、少女時代のシシィ、皇后となるも皇太后ゾフィーとの確執に悩むエリザベート、そして息子ルドルフを亡くして以降のさまよえる姿、どれもみりおんらしいお見事なエリザベートを演じ切ってくれたと思う。とりわけ少女時代は抜群にかわいらしいし、名曲「私だけに」を熱唱するシーンも大変良かった。ラストの夫であるフランツと決定的な別れとなるシーンでの「夜のボート」もとてもグッと来た。
 そう、とにかくやっぱり『エリザベート』という作品は歌がいいんすよね。エリザベートにとっての主題歌「私だけに」という曲は、原題はドイツ語(※本作はもともとドイツ語ミュージカル)で「Ich gehöre nur mir」といい、これは英語でいうと「I belong to me only」という感じかな。辞書的に直訳すると、「わたしは私だけに属している」=「わたしは誰のものでもない」という意味だが、まあ、この曲のシーンが第1幕前半のクライマックスだろう。鳥肌モノですな、やっぱり。みりおんの「私だけに」もとてもよかったと思います。あんなに天真爛漫で可愛かったみりおんシシィが、明確に皇后エリザベートへ変化する重要なシーンで、非常にカッコ良かったよ。わたしは満足でありました。
 で、みりおんの次にわたしが関心を持っていたのが、皇帝フランツを演じる真風涼帆さん(通称:ゆりかちゃん)である。星組イチオシのわたしとしては、ゆりかちゃんはずっと星組で応援してきた思い入れのあるジェンヌだ。去年、当時の星組TOPスター柚木礼音さん(通称:ちえちゃん)の退団を見送ったのちに、宙組へ異動になったゆりかちゃん。抜群のイケメンぶりからビジュアル面でのカッコよさは折り紙付きだが、歌が……歌がもうチョイ上手くなれば完璧なのだが……というのがわたし的ゆりか評だったので、若干どうなるだろうか……という気持ちがあった。こう書くと大変偉そうだが、同行したヅカ歴10年以上で現在ゆりかちゃんファンクラブにも入っている筋金入りのヅカ先輩(ただし年齢はわたしより20歳ぐらい若い、とても可愛い娘さん)のAS嬢も、全く同じことを言っていたので、まあ、世間的評価も同様だったと思う。
 そして、実際のゆりか=フランツだが、これが、驚愕の進化で大変良かった! わたしは宙組で『エリザベート』が上演されると知って、おっと、じゃあ、ゆりかちゃんがルキーニをやるのかしら、そりゃあ超カッコいいぞきっと!! と思っていたところでの、フランツ役だったので、上記のような心配をしたのだが、全く問題なし、というか、ホントに今回は相当な鍛錬を重ねていたのであろうと感じさせる、立派な皇帝フランツを演じてくれて、わたしは本当に満足であった。大変良かったと思います。
 次は、本作『エリザベート』におけるキーキャラクター、ルキーニである。ルキーニは、エリザベートを暗殺するイタリア人無政府主義者であり、物語の狂言回し役ということで、極めて重要な役柄だ。わたし的には、花組Verのだいもんや、帝劇Verの山崎育三郎氏など、とにかく歌がカッコ良くておそらく『エリザベート』を観た人なら誰しも、強烈な印象に残っている役柄だと思う。今回、そのルキーニを演じたのが愛月ひかるさん(通称:あいちゃん)。今までそれほど大きな役を演じた印象はないが、もう研9になるのかな? ベテランの域に入ろうとしている、わが市川市民自慢のイケメンジェンヌであり、わたしも大変期待していたのだが、その期待に十分こたえてくれたように思う。今回のあいちゃんルキーニもとてもカッコ良かったし、歌もどんどん上達しているように感じた。もっと声量が豊かになり迫力と貫禄が付くと完璧ですな。これからはもっと応援したいと思います。
 実は、わたしは何度見ても、未だに、物語的にルキーニがエリザベートを暗殺した理由がよくわかっていない。あれって……どういう……ことなんだろう? あの、トート閣下があの短剣をルキーニに渡すシーンの意味が分からないんだよな……(さっき初めてwikiを見て知ったが、あれは短剣じゃなくて「やすり」なんすね)。ここがわたしは分かっていないので、ルキーニってのはいったい何者だったんだ? というのが実は全然わかっていない。トート閣下に操られていたわけでもないし、うーん……この点は未だ謎です。でもまあ、物語としては気にならないというか、後でハタと思う謎、であろうか。ひょっとして、分からないのはオレの頭が悪いだけのような気もするので、これ以上書くのはやめとこう。
 そして最後は、もちろん冥界の王、トート閣下だ。ドイツ語でいうと「Der Tod」。英語でいうならそのものズバリ「The Death」、すなわち「死」である。今回は当然、現在の宙組TOPスターのまぁ様なわけで、実際のところわたしは全く何の心配もしていなかったし、期待通り妖しく堂々たるトート様だったと思う。前回の花組のみりおトート様は銀髪だったが、今回は黒髪で、見かけがちょっと違っていたが、まさしく「闇に溶け込む」黒髪のまぁ様トート閣下も大変良かった。ひとつ、あれっ!? と思ったことは、ネイルなんすよね……宣材ポスターとかで見るトート様独特の「黒ネイル」が、双眼鏡でチェックしたところ、今回は全部の指にはなされておらず、なんかその点だけ、人間感が残ってるような気がして、ちょっと、えーと、これは、これでいいのか? と若干戸惑ったのだが、ま、細かいことはどうでもいいか。歌もダンスも、いつも通り素晴らしかったと思います。
 というわけで、もうこれ以上は長いので、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「死ねばいい……!!
 『エリザベート』は歌がよすぎて歌の歌詞の中で印象的な言葉が多いのだが、台詞の中で選ぶとしたら、やっぱりこれですね。2幕前半で夫の浮気(?)に絶望したエリザベートに向かって、トート様の言うこの台詞は、2幕後半では「死は逃げ場所ではない!!」と一喝するセリフと対をなしているわけで、どっちなんだよ!! と思わず突っ込みたくなりますが、それでもやっぱり、相当イケてる台詞っすね。最高です。

 というわけで、結論。
 『エリザベート』という作品は、おそらく演者にとっては、ぜひ自分もやりたい、と思う一方で、その歴史と数多くのファンという、すさまじいプレッシャーのかかる作品だと思う。そんな重圧の中で演じられた今回の宙組『エリザベート』は、やはりとても素晴らしい作品であった。わたしは、帰りに思わず2014年花組VerのBlu-rayを買ってしまったので、今度上映会を開きましょう。
 ところで、備忘録として記しておくが、9/10(土)11時の公演には、月組のちゃぴちゃんと、たぶんあーさちゃんだと思うが、現役ジェンヌの方々もわたしの4列前で観劇されていた。普段着(?)&普段メイクのちゃぴ&あーさは超可愛かったすね。美穂圭子さんもいらしたようだが、わたしは見えなかったす。あと、トリンドル玲奈さんも来場していて、わたし、幕間に1Fのキャトルで買い物しているとき、トリンドルちゃんにぶつかりそうになって、あ、サーセン、と振り返ったらトリンドルちゃんで、超びっくりしたっす。ほぼすっぴんだったけど、これまた超かわいくてビビったっす。以上。

↓ 今更だけど、買っちゃった……お目当てはみっちゃんです。
『エリザベート ―愛と死の輪舞―』 [Blu-ray]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2014-11-06

 わたしが愛する宝塚歌劇は、まったく知らない人は当然知らないと思うが、月・花・雪・星・宙の5組あり、その組ごとに公演を行っている。中でもわたしは、2010年に初めて宝塚歌劇を観に行ったのが星組で、その時のTOPスター柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)にぞっこんLOVEとなり、以来、ずっと星組をイチオシとして応援しながら、ほかの組の公演もたまに観る、という感じで宝塚歌劇を楽しんでいる。ま、ここ数年はほとんどの組の「大劇場公演」を日比谷に観に行っているわけだ。
 で。これから書こうと思っていることを理解するために、まず以下の2点を知ってもらいたいのだが、これまたヅカファンなら常識だけど、そうでない人は全く知らないと思う点がいくつかある。
 まず1つ目は、宝塚歌劇に属する役者(=ジェンヌ)には、実は5つの組に属していない、いわばフリーのジェンヌも数は多くないが存在している点だ。彼女たちは、「専科」所属と呼ばれ、明確な基準があるのかわたしは良くわかっていないが、キャリアを積んで、TOPを経験して、専科へ移ることもあるし、各組所属の中でもベテランになって、「(先に後輩がTOPに就任したので、この先)TOPにはもうなれないかも」という人材が専科に移る、という場合が多いような気がする。ただし、専科のジェンヌは、確実に芸達者で、歌・芝居・ダンスが素晴らしい皆さんが多く、劇団がこのまま卒業させてしまうには惜しいと思うようなジェンヌが専科となるように思う。彼女たちは、専科に移ると、各組の公演に言わば助っ人として出演して、作品を引き締める重要な役割を演じている場合が多い。
 そしてもう一つは、いわゆる「大劇場公演(宝塚と日比谷の専用劇場での公演)」以外にも、全国を回るツアー公演や、東京と大阪(や名古屋・福岡)だけの、一般劇場での公演もあって、都内や近郊で言うと、赤坂ACTシアターや横浜のKAAT、あるいは文京シビックホールなどが最近の定番劇場となっている。なお、かつては神宮の日本青年館も定番劇場の一つだったのだが、2020年の東京オリンピックへ向けた準備のため、2015年4月に閉館してしまった(その代替え劇場として文京シビックホールなんかが最近の定番)。わたし的には、日本青年館は、いろんなコンサートや『テニスの王子様ミュージカル』を散々観た劇場として思い入れがあるのだが、もう解体されちゃった。淋しいのう……。

 というわけで、いつも通り無駄な前置きが長くなったが、昨日、わたしは夜、WOWOWで録画しておいた宝塚歌劇の作品を観たのだが、これがまた非常に良くて、大興奮したわけである。
 タイトルは、『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』。2015年の1月に、大阪のシアタードラマシティと東京の日本青年館にて行われた作品であり、「花組特別公演」とは銘打たれているが、主演は、花組スターではなく、当時専科に在籍し、この時すでに、わたしの愛する星組の次期TOPスターに就任することが発表されていた北翔海莉さんであった。そして、わたしはますます北翔海莉さん、通称みっちゃんのことが好きになったのである。これはホント、生で観たかったわ……。
jirokiti
 探したけど動画はないみたいなので、ポスター画像を貼ってみた。
 この作品は、もうポスターから一目瞭然の通り、いわゆる「和モノ」であり、題材も、日本人なら誰でも知っている「ねずみ小僧・次郎吉」のお話である。わたしが観た、WOWOWで放送されたものは、2015年1月26日の日本青年館の公演で、千秋楽、であったようだ。

 で。みっちゃんである。わたしは、今回『風の次郎吉』を観て、改めて、みっちゃんの技量にほれぼれとし、また、みっちゃんの人柄の良さにもとても魅かれたわけで、現在宝塚大劇場にて公演中の作品で退団することとなってしまったことを、心の底から淋しく思う限りである。ああ、せめてもう1~2公演、みっちゃんの雄姿に見とれ、歌声を堪能したかったものだ……ああ……出会うのが遅すぎたのが残念だ……。

 以前、このBlogで、みっちゃんが星組のTOPスターに就任した最初の大劇場公演『GUYS&DOLLS』について書いた時にも記したが、その当時、実はわたしは、恥ずかしながらみっちゃんのことをよく知らなかったのである。どうもすれ違っていて、専科に移る前の月組や宙組に在籍していた当時のみっちゃんを観たことがなく、専科移動後に、星組の『ナポレオン』や花組の『エリザベート』に出演した時しか観たことがなく、名前と顔が一致していなかった。そのため、星組のTOPに就任することになって、わたしのヅカ師匠に、ええと、誰でしたっけ? なんて失礼なことを言ってしまい、「何を言ってるの!!! あなた、この前のみりおちゃんの『エリザ』は観たでしょ!? あの時のフランツよ!!! 現役ジェンヌの中でも歌・ダンス・お芝居、三拍子そろった素晴らしい実力派よ!!!」と激しく叱られ、土下座する勢いで謝ったことがある。
 そして、我が星組のTOPとして、ちえちゃん去りし星組を見事にまとめ上げている姿を観て、そしてその歌声や芝居ぶりにすっかりみっちゃんのファンとなったわたしだが、わたしの主観では、みっちゃんは現在のTOPスターの中で、歌・ダンス・芝居の技量はナンバーワンだと思っている。たぶんその実力のほどは、ほかの組のファンの方であろうと、認めるものなのではなかろうかと思うので、わたしが、みっちゃんas NO.1を主張しても、それほど怒られないと思う。「何言ってるの!! うちのまぁさまの方が上に決まってるでしょ!! でも、北翔さんが上手なのは認めるわ」みたいな。
 とにかく、歌が上手い。本作『次郎吉』では、三味線まで弾いてくれる。前作『こうもり』の時のショーではピアノも弾いてくれた。つまり、とにかく芸達者なのである。この点は、マジで現役TOP最強だと思うな。芝居ぶりもお見事で、みっちゃんは、コミカルタッチも、シリアスなところもきっちりと演じてくれる稀有なジェンヌだと思う。この点も、わたし主観では、現役TOP最強だと思う。
 わたしのヅカ師匠は、みっちゃんについて、とにかく巧い、強いて難を挙げるとしたら、お化粧が良ければ、と言っていたことがあった。これは、正直男のわたしにはわからんことなのだが、曰く、若干、昭和感があって、キラキラ感が足りない、のだそうだ。そういうもの? なんすかね? この辺は良くわからないけれど、TOP就任後は、グッと良くなった、とヅカ歴数十年の師匠も言っていたので、現在はその点ももはや瑕疵にはなるまいとわたしは思っている。
 思うに、みっちゃんはおそらく退団後、何でもできる素晴らしい女優になるのではなかろうか。まだ退団後どうする、と言う話は聞かれないし、もちろんまだそんな話をする段階ではないが、わたしはみっちゃんの素顔もとても美人だと思うし、髪を伸ばしたり、衣装も変わると、想像以上の美人女優になりそうな気がする。でも、みっちゃんはとにかく、歌っていてほしいので、女優といってもミュージカル方面や、歌手として活躍してほしいと心から願っている。

 そして人柄の良さ、なのだが、今回わたしが観たWOWOW放送は、千秋楽だったからなのかもしれないが、宝塚の公演としては珍しくカーテンコールを4回ぐらいやってくれた(普段の公演は、幕が下りるとそこで終わりで何度も幕が上がるようなことはない)。
 その中で、みっちゃんは何度も、スタッフや花組のみんなに感謝を伝えながら、話をしてくれたわけだが、その中で、ひとつとても印象深い話があった。みっちゃんは、こんなことわざを、常に忘れないようにしているんですと。
 ≪尺蠖(しゃっかく)の屈(かが)めるは伸びんがため≫
 これは、しゃくとり虫がグググッと縮むのは、その後でぐいいーーと伸びるため、という意味で、つまり「将来の成功のために一時の不遇に耐えることのたとえ」だそうだ。
 これを聞いたら、だれでもみっちゃんのこれまでの軌跡を思い浮かべるよね。この『次郎吉』を最後に、星組へ移ってTOPに就任したみっちゃん。そして現在、キラキラと輝いているみっちゃん。はあ……もっとずっと観たかったよ……。なんだか寂しくて、わたしは昨日、一人部屋で観ながら、「……たぶんオレ……次の、最後のみっちゃんの星組公演観たら……泣くな。間違いなく……」とつぶやくに至ったのである。
 
 というわけで、結論。
 現在の星組TOPスター北翔海莉さんが、専科時代に主演した『風の次郎吉』という作品を昨日観て、あらためて、北翔海莉は現役最高TOPスターである、という認識を深めたわたしである。なお、本作は花組公演であり、 瀬戸かずやさん演じる「遠山金四郎」もカッコ良かったし、ちょっと出番は少ないけど、現在の花組3番手(?)のイケメンでお馴染みの柚香光ちゃんも、相変わらずやけにカッコイイ悪い奴として出演しており、大変楽しめる作品であった。次にわたしがみっちゃんに会いに行くのは、10月の頭だが、最後の公演、今からもう淋しくてなりません……千秋楽は出待ちしたいぐらいの勢いで、最後まで応援したいと思います。以上。

↓ どうでもいいけど、DVDじゃなくてBlu-rayで発売してほしいのだが……。わたしがSKY-STAGEに加入していない理由はただ一つ。いまどきHD放送じゃないなんて……HD化されたら、即・加入すると思うな。
OH! Edo Night Show 『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』 [DVD]
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2015-04-15
 

 もう何度も書いているが、わたしは宝塚歌劇を愛しており、その中でも、「星組」が一番好きである。それは、そもそものきっかけが、一番初めに観たのが星組の公演で、その時に柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)のあまりのカッコ良さに一発KOを食らったからではあるが、あの衝撃的なファーストインパクトから6年経ったけれど、どの組も観るようになった今でも、やっぱりわたしは星組が一番好きである。
 いろいろなところで、星組ジェンヌの皆さんは、「星組は体育会気質がある」的なことを仰っているような気がするけれど、それは間違いなく、LEGENDと呼ばれる柚希礼音さんことちえちゃんの影響であろうと思う。そしてちえちゃんが退団し、新たなTOPスターに就任した北翔海莉さん(通称みっちゃん)の醸し出す空気は、非常にやわらかく、若干お母さん的存在のようにわたしは観ている。強烈なカリスマとして君臨したちえちゃん退団後の星組を温かく包み込むその空気感は、わたしには若干菩薩めいているようにも感じられていて、皆がのびのびと、そしてきっちりとまとまっているわけで、ちえちゃんが去った今でも、わたしの星組推しはやっぱり変わらない。
 何が言いたいかというと、ちえちゃんとはかなりキャラクターの違うみっちゃんさんであるが、見事に星組をまとめているのは間違いなく、わたしは現在のTOPスターの中でダントツに好きだし、実力も歌・芝居・ダンスの三拍子揃ったナンバーワンではなかろうかと思っているのであります。なので、先日既に今年中の退団を発表されているのが悲しくて淋しくて……もうホント、しょんぼりなのです……つらい……。
 というわけで、昨日は愛する星組公演『こうもり』を観てきた。そして結論から言うと、これまでに観た数十本の宝塚歌劇の演目の中で、1位……ではないかもしれないけど、とにかくここ数年では一番面白かったのである。最高でした。

 というわけで、今回の演目は、かの有名な、Johann Strauss IIのウィーン・オペレッタの名作『こうもり』である。わたしは大学・大学院でドイツ演劇を勉強した男であり、当時の友人がこの作品で卒論を書いていたことがあって、その女子と一緒に研究室のビデオでドイツ語原曲Verを観たことがある。非常に懐かしいが、いわゆるドイツ語による「ウィーン・オペレッタ」の代表作であり、とても楽しい作品だ。ストーリー的には、今回の宝塚版はかなり原作とは違っていて、特に、わたしの愛する礼 真琴ちゃん(通称:ことちゃん)の演じたアルフレードの役割というか素性が全然変わってるんじゃないかな? しかし、それでもまったく問題なし。大変笑わせてもらったし、明るく陽気で楽しい物語になっていた。最高です。
 で。各キャストについて、ちょっとまとめておこう。
 ■ファルケ博士
 演じたのはTOPスターの北翔海莉さん(通称みっちゃん)。いやー、本当に歌がうまいし、ダンスもキレがあって、芝居も素晴らしい。最高です。退団してしまうのがわたしは本当に淋しい……今回、ショーの『THE ENTERTAINER』では、ピアノの弾き語りがあるわけですが、その歌詞がですね……なんかさよならショーのような内容で、わたし、もう本当に淋しくなってしまって、たまらなかったです。染みたなあ……。青いバラの花言葉はDream Come Tureですよ。
 もう、これはあれか、退団公演はまたムラ遠征しろってことかもしれないな……チッ……こうなったら一人で行くしかねえかもな……スケジュール調整をして平日行って観よう!! 決めたもう!! 行くぜ!!
 ■アイゼンシュタイン公爵
 演じたのは2番手スター紅ゆずるさん(通称:紅子)。この人ももう、大好きすぎる。特に、高田純次ばりのテキトーな面白小悪党を演じさせたら、この人は確実にナンバーワンだと思うな。大阪人としての持ち前のサービス精神あふれる紅子の演技はいつ観ても楽しい。前作『GUYS & DOLLS』も明るく楽しい作品で素晴らしかったけれど、今回も本当に笑わせていただきました。最高です。ところで、次の星組TOPは紅子がなれるんだよね? 大丈夫だよね?
 ■アルフレード(アイゼンシュタイン公爵家の執事)
 演じたのは、わたしが今イチオシの礼 真琴ちゃん(通称:ことちゃん)。この人はとにかく歌が最強レベルに巧い。そして、素で可愛いんだよな……。わたし、今回、会場でことちゃんのファンクラブの申込書をもらって来ました。タレントのファンクラブに入るのなんて初めてですが、入会させていただくッッッ!! 今回も大変素晴らしかったと思います。ショーでも大変カッコ良かった。最高です。
 しかし、ことちゃんが今後もずっと星組でいられるのか、理由はないけれど、なんか心配でならない。何もなければ、紅子の次にTOPになれるはずだが、若干身長が低いからな……月とか雪に異動になったら、オレ、泣くよ!? 頼むからずっと、星組でいて欲しいのだが……。
 ■アデーレ(アイゼンシュタイン公爵家の侍女)
 演じたのは娘役TOPの妃海 風ちゃん(通称:ふうちゃん)。今回は原曲キーのままで、大変苦労したと先週の「Cafe Break」で仰ってましたが、とても伸びやかな歌声で、まったく問題なしだったと思う。最高です。
 ふうちゃんも、みっちゃんさんと同時退団予定なので、大変残念です……次の星組娘役TOPは誰になるんすかねえ……。いっそ、月から海乃美月ちゃんでも転校してきてくれないかな……。
 ■オルロフスキー(ロシアの皇太子)
 演じたのは、去年専科に異動になった星条海斗さん(通称:マギーさん)。月組時代から何度も拝見していますが、今回はかなりコメディタッチな役を楽しく演じてくれました。そして、ショーでは女性役をやって、恐ろしく美しいおみ足を披露してくれてびっくりしたよ。まあ、とにかくお綺麗でした。最高です。
 ■フランク(刑務所長)
 演じたのは十輝いりすさん(通称:まさこさん)。彼女は今回の公演で退団を発表しており、これまた大変淋しい……。宙組から移籍してきたのがもう4年前か……以来、わたしは彼女のことを「宙から来たでっかい人」としていつも注目していました。ちえちゃんと同期の85期生なんだよね。いつもその長身で存在感たっぷりだったまさこが退団か……悲しいなあ……今回、ショーではマギーさんと共に女性役を披露してくれました。いやあ、やっぱり抜群にお綺麗ですよ。最高です。

 主なメンバーは以上な感じかな。
 とにかく、今回は、オペレッタ原作だけあって歌も多いし、雰囲気もとても楽しく、まさしくタイトル通り、「愉快な」作品でありました。そしてショーの方は、随所に「有難う」というみっちゃんの気持ちがあふれていて、派手なシーンもしっとりしたシーンも、とてもキラキラしていたと思います。みっちゃん……もうちょっと、せめてあと2本ぐらいは大劇場公演して欲しかったなあ……。まあ、とにかく、ラストとなる秋の公演は、絶対にムラ遠征して、さらに東京でも観に行って、この目に北翔海莉という偉大なるTOPスターの雄姿を目に焼き付けようと思います。はーーー。作品はめちゃめちゃ笑える明るい作品だったし、実際まだ先なのに、なんかもう、すげえ淋しいっすわ……。
 というわけで、毎度お馴染みの、今回のイケ台詞の発表です。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「さあ、愉快な復讐劇の開幕だ!!! いてて……」
 今回はコメディーなので、カッコイイという意味でのイケてる台詞は少なく、また歌率も高いので悩んだのですが、やっぱり冒頭の、復讐だけど、笑える愉快な復讐をしてやる!! というこの台詞がわたし的には一番気に入りました。「いてて……」はですね、二日酔いで頭が痛いのですw とてもこの作品を象徴していた台詞だと思います。

 というわけで、結論。
 わたしは宝塚歌劇の中で、ダントツに星組が好きである。そして現在公演中の『こうもり』という作品は最高に笑えて最高に楽しい、ここ数年ではナンバーワンに気に入った作品でありました。たぶん、宝塚初体験の方にもおススメできる、物語的に分かりやすく、また歌の巣晴らしい作品だと思います。これは……マジでBlu-rayが出たら買うべきかもな……つか、出るのかな? 前作『GUYS & DOLLS』がやっと出たので先に買おう!!
 えー、業務連絡です――Blu-ray買ったら、うちの4K-TVで上映会をしますので、ぜひお集まりください!!>このBLOGを読んでいるわたしを知っている皆様。以上。

↓ 版権の問題などいろいろあって、やっと6月に発売決定!! やったーーー!! オレは買うぜ!!

 既にこのBlogで何度も書いている通り、わたしは宝塚歌劇を愛しており、中でも星組推しで、そのTOPスター、ちえちゃんこと柚希礼音さんの大ファンであったわけだが、ちえちゃんは宝塚を卒業して次のステップへ旅立ち、代わって星組は、北翔海莉(通称みっちゃん)さんがTOPに就任した。相手役の娘役TOPも、ちえちゃんと6年間のお相手を務めた夢咲ねねちゃんが添い遂げ退団(一緒に卒業すること)したため、新たに妃海風ちゃん(ひなみ ふう:通称ふうちゃん)がみっちゃんさんのお相手に就任した。
 というわけで、新たなTOPスターコンビを迎えた新生・星組の記念すべき大劇場お披露目公演が、わたしが昨日観てきた『GUYS &DOLLS』である。結論から言うと、いやー、本当に素晴らしかった。これからもわたし、星組イチ推しで応援します!! (※なお、大劇場公演の前に、既に全国ツアーではお披露目済みではあります)

 北翔さんは、元々月組→宙組→専科という経歴を持つ実力派である。ただ残念なことに、星組推しのわたしは月組・宙組時代を観たことがなく、専科に移ってからの『ナポレオン』『エリザベート』の2作しか観ていない。脇を固める渋い実力派ということしか知らなかったので、ちえちゃんに代わる星組TOP就任のニュースは少なからず驚いた。わたしはてっきり、ちえちゃん率いる星組2番手の紅ゆずる(通称:べに子)さんが後を継ぐのであろうと思っていたので、あ、そうなんだ、ええと、誰だっけ? と大変失礼なことを思ったものだ。あとで、あ、『エリザベート』のフランツか、そりゃまた渋いですな? とそんなひどいことさえ思った。そして、昨日の公演を観るまでは、WOWOWの「宝塚プルミエール」やMXTVの「TAKARAZUKA Cafe Break」といった番組でも、非常に回りに気を遣っているというか、なんとなくご本人も「ごめんなさいね、わたしがTOPになっちゃって……」みたいな雰囲気を感じていたので「ホント大丈夫ですかね?」なんて失礼なことを、わたしのヅカ師匠のお姉さまに言ったところ、「バカをおっしゃい!! 北翔さんは、現役の中で歌、ダンス、芝居のすべてが抜群に上手な素晴らしいジェンヌよ!!」と激しく怒られてしまった。あわわ……ご、ごめんなさい!! とわたしとしては土下座する勢いで謝るしかない。

 というわけで、若干の心配と期待をこめて、昨日は日比谷の東京宝塚劇場に推参したのである。が、最初に言ったとおり、そんな不安はまったく杞憂であった。師匠の言ったとおり、みっちゃんさんは抜群に歌も芝居もダンスも、三拍子そろった非常にレベルの高いTOPスターであった。いやー、この人は上手い。大変失礼ながら、現状のTOPスターの中でも歌と芝居とダンスの整った上手さでは、ひょっとしたらナンバーワンではなかろうかとさえ思った。
 今回の『GUYS&DOLLS』は、知っている人ならもう常識だが、元々はブロードウェーミュージカルである。 宝塚でも過去2回上演されていて、今回が3回目の再々演ということになるそうだ。そしてみっちゃんさんは2回目の再演が2002年に月組で上演されたときにも出演していて、自身よく分かっている演目でもある。
 内容は、非常に陽気なコメディータッチで、今回は、主役のみっちゃんさんの素晴らしさはもちろんのこと、他にも特に主人公の友人(?)であるネイサンとその婚約者アデレイドの二人が抜群に良かった。そのネイサンを演じたのは、わたしが大好きなべに子ちゃんである。これがもう、超はまり役で、元来バリバリの関西人である彼女の陽気さがあふれていて、調子のいい陽気な悪い奴、という役をノリノリで演じてくれていた。なんだか、これはアドリブか? というような部分も多くて、非常に楽しめた。べに子、あんたも最高だよ。今年の5月だったかに、ちえちゃん退団直前のお茶会と呼ばれるファンミーティングに師匠と行ったときは、べに子も来てくれて会場をとても盛り上げてくれた。ちえちゃんとたぶん一番仲の良かったべに子。これからも応援するからな!!
 そして一方の婚約者アデレイドは、今、わたしが星組で一番推しているといっても過言ではない、礼真琴(通称ことちゃん)ちゃんがかわいらしく演じていて、驚いた。驚いたというのは何故かというと、ことちゃんは、男役ジェンヌなのである。普段は男役が専門なのだ。そのことちゃんが、女性を演じている時点でわたしにとっては驚きなのである。そしてまた、その可愛いことといったら、もうそりゃあ、観ていただくしかなかろう。すっごく良かったし、抜群に歌も良かった。ことちゃんは、95期生だから、まだ25歳前後だと思うけれど、TOPスターの必須条件である新人公演主役を何度も務めており、おそらくは数年後にはTOPまで行き着けるのではないかと期待しているが、とにかく、歌がものすごく上手くて、わたしはこの2年ぐらい注目している。女性役も非常に良かった。ことちゃんは、男役としては若干背が低いのだが、それでもやっぱり、ヒロイン役のふうちゃんと並ぶとかなり背の高さが違うなと思った。なんだろう、何故かわたしは、今回のことちゃんは、顔も歌も30年前の若き頃の中森明菜さんにすごく似てると思った。現在、わたしはことちゃんのファンクラブに入ったほうがいいんじゃねえかな、と本気で悩んでいる。でも、キモイおっさんがお茶会に行ったら迷惑かもな……まあ、とにかくずっと応援していきたい。
 で、娘役の新TOPのふうちゃんだが、これまた非常に可愛らしい女子で、酔っ払ったところの演技など、大変によろしゅうございました。いいね。とてもいい。歌も芝居もまったくもって上等。今回は2幕モノなのでショーはなかったが、ダンスぶりを今後チェックしていきたい。まあ華奢ですな、とても。それに、やっぱり非常にフレッシュですよ。これは各組で共通して言えることだと思うが、娘役TOPも世代交代完了といった感がある。今までわたしは、娘役はあまり注目していなかったのだが、今後は各組の娘TOPもちゃんと応援していきたい所存である。
 なお、昨日は舞台制御プログラム(?)の不調で、1幕終了まであと5分ぐらいというところでマイクが反応しなくなり、9列目のわたしはきちんと聞こえたのだが、銀橋で歌うみっちゃんさん&ふうちゃんの歌のところで一時中断、20分ぐらい調整作業が続くというハプニングがあったが、わたしとしては、だってしょうがないよ、と思うのでまあお咎めなしとしたい。あんなこと初めてで驚いたけど。

 というわけで、結論。
 新生・星組による『GUYS&DOLLS』は、ヅカファンならば絶対に必見であると断言しよう。芝居自体もとても面白いし、北翔海莉率いる新たな星組の勇姿を、ぜひ堪能していただきたい。

↓ べに子主演の『Gone with the Wind』。オレ観てないんだよなあ……。観に行きたかった……!!
 

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