先日、わたしが愛用している電子書籍販売サイトBOOK☆WALKERにて、還元率の高いフェアが開催されていて、なんか面白そうな作品はねえかしら、とあてもなく渉猟している時に、ふと、とあるコミック作品が目に留まり、ちょっと気になった。ので、さっそく試し読みをチェックし、さらに版元の講談社のサイトで3話ぐらいまで読めたので、読んでみたところ、コイツはちょっと先が気になるというか、大変面白そうだ、という判定が下り、すぐさままずは(1)巻を買った。そしてさらにまだ先が気になるんじゃい!というわけで、現状出ている最新巻の(2)巻までを買ってみた。
 その作品は、講談社のイブニングに連載中?らしい、『五佰年BOX』という作品である。ちなみに読み方は、「いほとせボックス」だ。


 まあ、物語は講談社の公式サイトで試し読みを読んでもらった方が早かろうと思うので、URLをメモしておく。こちらです→http://evening.moae.jp/lineup/766
 というわけで、わたしは(1)(2)巻を一気読みしてみたのだが、まだ作品としては序盤であって、いろいろな謎が謎のままであり、わたしとしては大変先が気になる作品だ。
 物語は、主人公の叶多(かなた)という大学生が、隣の家の蔵の地面の下に埋められていた、謎の「箱」を掘り出すことから始まる。そしてその「箱」がもたらす謎現象に翻弄?されてゆく模様を描いた、バタフライエフェクトめいたタイムパラドックスSFなのだが、その謎の「箱」の設定が、いままで観たことがないという意味で極めてユニークなもので、わたしとしては大変興味深く読ませてもらったのである。
 どうやらその「箱」は、まるで水中を見る箱眼鏡のように、500年ほど前の、その場所が、ミニチュアのジオラマめいた光景として、空中から俯瞰してみることができるらしい。しかも、こちらから手を出したりもできるようで、一人の少女が斬られようとするのを、思わず助けてしまったりもできるようだ。ただし、ポイントは二つあって、まず、第1に、箱の中を観ている叶多くんの姿や、思わず手を出してしまった時の叶多くんの手、などは、箱の中の世界の人々からは見えない、らしい。ただし、実験の結果、水や木のような自然物は、そのまま箱の中の世界にも置けるようだ。例えば、火事になっている家に対して箱の外から水をかけてやると、箱の世界では超大雨が降って消火される、みたいな。なので叶多くんに助けられた少女は、何が起こったのかわからない。しかし、どうやら、なにか神様的な力が働いていることを感じ、あまつさえ叶多くんの視線をどこか感じているようで、自らを守る神様的存在がいる、ということを信じるようになる。
 またもう一つの、本作で最も重要なポイントは、「箱の中の世界(=500年前の過去)に干渉するとその影響が現代に及ぶ」という点だ。まだ謎なのだが、叶多くんは少女を守ろうとして野武士めいた男を軽くはたいてしまったために、その野武士を殺してしまうのだが、そのことが巡り巡ったためなのか、叶多くんの隣の家の幼馴染のお姉さんが存在しないことになってしまい、その代りまったく見知らぬ男が幼馴染であったことになってしまう。さらに、そのお姉さんが存在していた「元の現実」の記憶もどんどん薄らいでしまうという事態に陥る。
 というわけで、ちょっとした過去への干渉で現在が変わってしまうバタフライエフェクトが本作の鍵なわけだが、タイムスリップものではよくあるパターンのこの設定も、本作では主人公は一切タイムスリップせず、普通に現在に存在したままの状態である。あくまでその謎の「箱」を使っての過去への干渉であるため、非常にその雰囲気は独特だ。はたして叶多くんは、お姉さんの存在した元の歴史を取り戻すことができるのか? 読んでいて、わたしは大変ドキドキして、これは一体どうなるんだ? と先が非常に気になるのである。どうすか、面白そうでしょ?
 普通、タイムパラドクス的な話だと、過去に干渉しても結局起こる事件は起こるわけで、変えられないパターンが多いと思う。例えば、死んでしまう運命の誰かを助けようとしても、何度やっても結局助けられない、みたいな感じに。この作品がどう進むか全く想像がつかないけれど、この作品では、歴史が変わったという理解ではなく、多次元世界、いわゆるパラレルワールドの方向に話は進む予感だ。箱は、複数の可能性の世界を渡る鍵、のようなとらえ方を現状ではしているみたい。そういう展開は、なんか、荒木飛呂彦大先生の『STEEL BALL RUN』におけるヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C(Dirty Deeds Done Dirt Cheap=いともたやすく行われるえげつない行為)」の能力みたいすね。
 また、わたしとしては、わたしが世界で最も大好きな小説家Stephen King大先生の近年でナンバーワンに好きな作品『11/22/63』も思い起こしますな。『11/22/63』は完全にタイムスリップものだけど、あの作品でわたしが一番のカギだと思っているポイントは「過去は変えられることを拒む」という設定で、歴史が変わるようなことをしようとすると、いろいろな謎の妨害が働くという点が非常に面白いすよね。例えば、急に腹が下って大ピンチになるとか、何か決定的な歴史の改変につながる行動をしようとすると、とんでもない事態に陥るのが、『11/22/63』では独特だと思います。
 話はそれたけれど、とりあえず、本作は「買い」でお願いしたいと存じます。これは今後の展開が大変気になりますよ。

 というわけで、さっさと結論。
 ふとしたきっかけで買ってみたコミック『五佰年BOX』という作品は、非常に独特な世界観を持つ、大変先が気になる漫画であった。タイムスリップもののようで若干違うし、改変された歴史を修正しようというよりも、どうもパラレルワールド的な展開になりそうな予感です。そして、きっと今後、「箱」の中に住む少女との交流も描かれそうな気がしますな。いや、まったく当てずっぽなので、全然違う展開になるかもしれないけど、とにかく先が読めないドキドキ感は大変上質だと存じます。結論としては、この作品は面白い、です。「買い」でお願いします。以上。

↓ ホント、ここ数年のKING大先生の作品の中でダントツに好きっす。超面白い。ダンスは人生ですよ!
合本 11/22/63【文春e-Books】
スティーヴン・キング
文藝春秋
2016-10-07