先日、チケットぴあから、チケットまだ残ってます的なメールがピローンと来て、ふーん、まだ買えるだ、ということを知ったため、それじゃ、まあ、今からじゃ誰も一緒に行ってくれないだろうから、一人で行ってみっか、と衝動買いしたチケットがある。
 それは、2年前にわたしが一番応援している宝塚歌劇団星組を卒業された、元TOPスター北翔海莉さん(以下:みっちゃん)の出演する松竹喜劇、『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という作品で、どうやらみっちゃんは男装の麗人を演じるらしく、おまけに歌もあると聞いて、わたしとしてはこれは観たいと思っていたのだが、最初のチケット申し込みを忘れて諦めていたのであります。しかし観られるなら観たいということで、すぐさまチケットを購入し、観てきたわけだが、結論から言うとやっぱりみっちゃんはホントに芸達者で、明らかに出演者の中では抜群に演技や殺陣にキレがあり、発声も素晴らしく聞きやすく、要するに、みっちゃんはやっぱ最高だぜ! という訳で大満足だったのであります。いやあ、ホント最高でした。

 というわけで、昨日は偶然千秋楽だったらしいが、一番最後の夕方の回ではなく、前楽と言った方がいいのかな、12時開幕の回にはせ参じてきた。場所は新橋演舞場。わたしは初めての劇場なのだが、まあ、とにかくシニア率の高い客層に驚きつつ、さらに劇場に併設されている喫茶室や売店などが、ことごとく昭和感あふれるもので、なんだか若干の異世界感のある劇場であった。やっぱり松竹の経営する劇場って、歌舞伎座めいた雰囲気ですな。
 で。物語は、19世紀前半頃、すなわち江戸後期に活躍した蘭学者&医師の緒方洪庵の若き頃を描いたものである。緒方洪庵と言えば、わたし的には大坂に「適塾」を開いた男として、福沢諭吉の師としてお馴染みだが、本作はまだ青年期、緒方章と名乗っていた頃の、当時御禁制のオランダ語→中国語に翻訳された書物(天然痘の種痘法について書かれた本)をめぐるお話で、舞台は大坂である。なお、思いっきり喜劇ですよ。しかもかなりコテコテな関西系ギャグ満載で、まあ大変笑わせていただきました。しかしそれでも、わたしとしてはやっぱりみっちゃんのピシッとしたメリハリの付いた折り目正しい演技と歌に、一番酔いしれたすね。くどいですが、やっぱりみっちゃんは最高です!
 もう面倒なので、主な登場人物と、演じた役者を以下にまとめてみようと思います。
 ◆緒方章(後の緒方洪庵):主人公。大坂の中天游が開いた私塾「思々斎塾」に入門して勉強中の青年(※Wikiによるとこの頃は緒方三平と名乗ってたそうな。へえ~)。師匠である中天游がなけなしの3両を出して、問題の禁書を入手する手伝いをするのだが、そこには何やらいろいろと陰謀?があって……という若干シリアスな展開だが、まあ、キャラとしては大変笑えるものでありました。演じたのは藤山扇治郎氏。はっきり言って東京人のわたしは藤山氏のことを何も知らないが、松竹新喜劇が誇るスーパースター?であろう。藤原寛美氏の孫であり、藤山直美氏の甥、だそうだが、正直両人ともわたしはよく知らない。見た目、かなり小柄な青年。演技ぶりは、なんというか若さがはじける溌剌としたもので、わたしとしてはかなり好感を得た。でもいかんせん、東京ではおなじみではないと思う。もったいないと言うか残念だ。
 ◆中天游:前述の通り後の緒方洪庵の師匠。演じたのは石倉三郎氏。基本すっとぼけオヤジだが、基本イイ人。石倉氏の生演技は初めて見た。この方は今やすっかり渋い役者になったけどお笑いも得意なわけで、今回のような喜劇はお手の物であろう。実に堅実なベテランな味があったすね。大変良いと思います。
 ◆お定:中天游の奥さんでこの人も女医。演じたのは久本雅美女史。初めて生で見たマチャミさんだが、このお方は小柄なんすねえ!? 凄いちびっ子で、凄い可愛らしくてびっくりした。そしてギャグもやっぱり一番場内爆笑だったんじゃないかなあ。いやあ、さすがであります。出番はそれほど多くはないけれど、大変素晴らしかったすね。わたしも大変笑わせていただきました。
 ◆東儀左近:宮廷の雅楽を担う「在天楽所」(四天王寺楽所)に属する楽人。そして大阪の町を守り千年の歴史をもつという「在天別流」の総領。女人禁制なので男装の麗人。演じたのは勿論我らが北翔海莉さんakaみっちゃん。最初に登場する時の、大坂案内の超長口上がウルトラグレイト! 凄い人だよみっちゃんは! 1幕ラストの歌もウルトラカッコイイ! そして殺陣もウルトラキレてる。それから滑舌も、一番しっかり決まってる。本作は、どうも歌以外の普通の台詞はマイクナシ、だったようだが、みっちゃんの声は、かなり後ろの席だったわたしにもしっかり聞こえました。要するにですね、本作におけるみっちゃんはもう、完璧、ですよ。演技的には、女子としての姿も実に女子だし(当たり前だけど当たり前じゃない。ずっと男役だったんだから!)、男装の麗人としてはもう、かつての男役でのみっちゃんだし、まあ、ファンにはたまらないでしょうな。当然、みっちゃんファンクラブは宝塚歌劇の公演のように机を出してチケット出しされてたし、みっちゃんだけ、ブロマイドも売ってました。さすがっすね。いやあ、ほんとみっちゃんは芸達者で、ほかの宝塚歌劇出身役者とは、ちょっとレベルが違うすね。そしてみっちゃんは、わたしが知る限り、必ず、幕が下りるカーテンコールの時に「ありがとうございました」と言うお方なのだが(他のTOPスターはあまり言わない)、今回ももちろんみっちゃんは「ありがとうございました」と言っていたし、千秋楽ということで簡単な挨拶もあって、袖に引っ込むとき、いつもの「まったねーー! バイバーイ!」もあって、わたしとしては大変うれしく思いました。みっちゃんはマジ最高ですな!
 ◆若狭:左近と同じく「在天」のメンバー。忍び風な装束でアクションもあるし、本編中の狂言回し的な役割もあるし、マイクパフォーマンスもお見事でした。演じたのは、わたし的には「ゲキレンジャー」のリオ様であり、ミュージカルテニスの王子様でのデータテニスの男、乾で大変お馴染みな荒木宏文君だ。彼もあれからもう10年以上経って、本当にずっと精進してきたことが分かるような見事なパフォーマンスで、本当に今の活躍がうれしいすね。2.5次元系ミュージカルでの活躍が多いけれど、ぜひ帝劇系の大作にも出てもらいたいですな。声も良く通るし、ホント、たゆまぬ努力を続けてきたんだなあと思うと大変うれしいす。
 えーと、他のキャストの皆さんは正直知らない方なのだが、中天游の息子を演じたのは上田堪大氏と言う方で、とても背が高く、どうやら彼も2.5次元系で経験を積まれている方みたいすな。それから、謎の瓦版屋でありその正体は公儀隠密という役を演じられたのが、佐藤永典氏と言う方で、彼もまた、ミュージカルテニスの王子様で経験を積まれた方だそうだ。あれっ!? あ、財前を演った彼なんだ!? へええ、それなら10年前にわたしは彼を観てるんだな。全然気が付かなかったよ。本作は、歌がみっちゃんの歌しかなくて、どうせならもっと皆さんの歌を聞いてみたかったようにも思うすね。

 というわけで、もう書くことがなくなったのでさっさと結論。
 観たいと思いつつチケットを買いそびれ、その後ぴあからのメールでチケットを買うことが出来た『蘭 ~緒方洪庵 浪華の事件帳』という松竹新喜劇を観てきたのだが、まず、初めての新橋演舞場は非常に昭和感あふれる劇場で、お客さんもシニア層中心で非常に印象深かったのと、なんといっても元星組TOPスター北翔海莉さんことみっちゃんが、退団後もとても精力的に活動されている姿を見ることが出来て大満足でありました。ホント、みっちゃんはすごい人ですよ。まさしく「芸能」人ですな。そこらの芸のない自称タレントとは、まったく次元の違う存在だと思う。とにかく素晴らしかったす。そして生で初めて見た久本雅美さんが超ちびっ子で可愛らしくて驚いたす。お話は松竹新喜劇ということで完全に関西系コテコテ喜劇で、かなり笑えました。くどいぐらいにw それにしても、ホントしつこいですが、みっちゃんは最高です! の一言に尽きますな。以上。

↓ こちらが原作すね。これはちょっと読んでみたいと思います。