この、わたしによるまったくどうでもいい駄文を連ねたBlogには、一応Amazonのアフィリエイトがついているのだが、実際何にもしていないので、勿論のことながら、ほぼ収入なんぞはありはしない。別にアフィ目的のBlogでは全くないので、どうでもいいのだが、それでもどういうわけか、月に2~3件の買い物をした人がいるようで、30円~150円ぐらいのお恵みがやって来る。別に要らないのに。ただ、面白いのは、その誰かが買った商品が何か、は知ることができる。どこの誰だか知らない人(勿論個人を特定することはできない)が、「何か」をこのBlogを経由してAmazonで買い物をした、その記録が分かるのだ。 
 というわけで、たま~にしかチェックしないわたしが、先日、Amazonアフィのログを観てみたところ、どこかの誰かが、とあるコミックのKindle版を買ったらしいことが判明した。まったくわたしが取り上げた覚えのない作品だし、そもそもタイトルも知らん作品である。なぜその作品にアフィがつくのか、どういう仕組みになっているのかさえ、実はわたしは良くわかっていない。というわけで、その謎のコミックについて調べてみたところ、おや、コイツは面白そうじゃないですか、と気になったので、さっそくわたしも(アフィには全く関係ないBOOK☆WALKERという電子書籍サイトで)買って読んでみた次第である。 なんというか、お勧めしといてお勧めされた的な、妙な逆転現象のようで、わたしは不思議な世の中だな~、と思ったわけだが、それで買って読んでみたのが↓この作品である。

 お、なんかプロモーション動画もあるから貼っておこう。

 というわけで、去年アニメ映画化されて大ヒットとなった『聲の形』でお馴染みの大今良時先生による、『不滅のあなたへ』という作品である。どうやら週刊少年マガジンに連載中らしいが、とりあえず講談社の公式サイトでは、第1話の試し読みがあるので、そちらを見てもらった方が早いかな。物語のあらすじも、めんどくさいので講談社のWebサイトから引用すると、以下のようなお話です。
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 何者かによって“球”が、この地上に投げ入れられた。情報を収集するために機能し、姿をあらゆるものに変化させられるその球体は、死さえも超越する。ある日、少年と出会い、そして別れる。光、匂い、音、暖かさ、痛み、喜び、哀しみ……。刺激に満ちたこの世界を彷徨う、永遠の旅が始まった。これは自分を獲得していく物語。
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 うーーーん……このあらすじで、物語の想像が出来たらすげえと思う。全く普通はピンと来ないと思うので、やはり第1話の試し読みを読んでいただくことを強くお勧めします。なにしろ第1話と言っても80ページはあるので、超読みごたえがあります。
 ただ、一応言っておくと、まだ第(1)巻であり、お話的に始まったばかりで、当たり前だけれど数多くの謎が謎のままであるため、この第(1)巻だけを読んで、とやかく言っても始まらないような気はする。しかしそれでも、この導入は読者をワクワクさせ、物語世界に引き込む力は大変強く、今後がとても楽しみな作品であるとわたしとしては申し上げておきたい。
 というわけで、現時点での、ポイントとなる謎と、そして絵について以下、備忘録としてまとめておこう。
 ◆物語最大の謎
 ――「球」は何なのか、そして「球」を「この地」に投げ入れた「私」とは何者か?
 まあ、正直見当もつかない。そもそも「この地」がどこなのかも全くわからない。銀河のどこかの惑星のいつかのお話なのだろう。要するに、A long time ago in a Galaxy far, far away......なんでしょうな。「私」についても、神様なのか、高度な文明を持つ異星人なのか、さっぱりわからない。つか、分かりようがない。なのでその目的も、気まぐれなのか何らかの実験なのか、これまた分かりようがない。
 ひょっとしたら、この点については最後まで謎のままで終わる可能性だってあるけれど、まあ、とりあえずは脇に置いておいても良かろうと思う。問題は、その「球」がたどる運命(?)であり、そこにドラマが存在するわけである。
 「球」が、「私」によって、「この地」に、投げ入れられたことから物語は始まるのだが、その性質は「ありとあらゆるものの姿を写しとり 変化することができる」もので、まず最初に触れた、「石」に形状j変化する。そしてその後、その石から苔を写しとり、さらにオオカミへと変わっていく。無機物→植物→生物とうつる中で、オオカミとなって、初めて「意識」を獲得し、痛みや冷たさや匂いを知り、人間――飼い主の少年――に出会うことで物語が広がっていく。その様子がうまく説明できないがとても劇的で面白い。おそらく、それを支えるのは、高い漫画力、すなわち絵とコマ割りだろうと思う。
 ◆物語を支える高い漫画力
 試し読みを読んでいただければわかる通り、大今先生を知らない人であっても、これはきれいな絵だ、と誰しもが思うことだろう。ペンのタッチも非常にイイ。試し読みの第1話はかなり白い絵が多いが、それは雪原を舞台としているので、まあある意味当たり前だ。第2話以降は森が舞台となるし、人間も多く出てくるので、もっともっと描き込みが増える。また、動きも激しくなるので、効果線やカキ文字も増える。そしてコマ割りも、オーソドックスながらしっかり計算されている。やはり、漫画力はとても高いというべきだろう。
 ただ、第2話から始まる「球」と人間との出会いは、今後が全く想像できないし、そもそも人間たちの生活に関しても、どうもアイヌっぽい雰囲気だとかは感じられるものの、現代日本人からすればかなりの異世界感はある。その辺は、第1話で描かれた少年の文化とはまるで違うもので、第1話の少年が白人コーカソイド系だとしたら、第2話で数多く出てくる人々は、明らかに(?)モンゴロイド系だ。そしてどうやら第2話以降の人々は原始的な宗教も持っているようで、そこに、「異物」である「球」がどうかかわって来るか、先が読めないだけに大変楽しみである。
 ◆大今先生のキーとなるポイント――コミュニケーション
 大今先生は、前作『聲の形』でも明らかなように、どうやら「コミュニケーション」を作品の鍵に据えている方らしい。つか、わたしも大今先生の作品は『聲の形』しか読んでいない超・にわかなので、さっきWikiで読んで知っただけなのだが、本作でもやっぱり、「コミュニケーション」は大きな鍵となりそうだ。
 第1話で狼の形を写しとった「球」。当然、少年とコミュニケーションをとることはできず、少年もまた、自分に話しかけているだけだったことを嘆く。ここのシーンはとてもイイすね。そして2話以降で人間の形を写しとった「球」は、勿論のことながら現状では言葉は喋れない。が、ラストで再び狼の姿にフォームチェンジして発する言葉が、非常に重要というか、今後の鍵となることが想像できる。まだ明確に意味を理解しているのかどうかわからないが、一応、自発的に発した言葉。なんというか、こりゃあ傑作の予感がひしひしと感じられますな。大変楽しみです。この作品を読んで、AIの自立発達を想像する人はいないかもしれないが、わたしは何となく、まっさらなAIがどんどんと外の情報を吸収し高度に発達していく様を連想した。チューリングテストのキモもコミュニケーションにあるわけで、コミュニケーションが成り立ったとき、AIは人間を超えていくことになるんだろうな、と思うと、今後の「球」の自意識の発達が大変楽しみであり、若干怖いかも、という気がしました。

 というわけで、短いけれど結論。
 妙なきっかけで買って読んでみた『不滅のあなたへ』という漫画は、まだ第(1)巻が出たばかりだが、非常に今後の展開が楽しみな作品であった。どうも講談社もかなり推しているようで、昨日有楽町線に乗ったらドア上に本作の広告ステッカーが貼ってありました。プロモーション動画まで作ってるし。そういえば、印象的なタイトルロゴは、切り絵だそうですよ。大変美しいと存じます。以上。

↓ タイトルの切り絵を制作したのはこの方だそうです。切り絵って、その技術よりもデザインセンスが凄いすね。
美しい切り絵手帖 2017〈切り絵作家 大橋忍〉
大橋 忍
エムディエヌコーポレーション
2016-10-18