ちょっと前に取り上げた、コミックスの『亜人』。既にコミックは7巻まで出ていて、それなりに話は進んでいる、けれど、完結までにはまだまだかかりそう、ではある。そんな作品がアニメになった。しかも劇場3部作+TVシリーズだという。なので、わたしの興味は、端的に言うと以下の3点に絞られる。
 1)劇場3部作はお話的にどこで3分割するのか?
 2)原作未完の物語をアニメはどういうエンディングで終わらせるのか?
 3)劇場版とTVアニメの関係はいったいどういうものなのか?
 これらの疑問を解くには、観るしかない。というわけで、12月1日映画の日、という事で安く観られるので、昨日の夜、ちょっくら劇場に行ってきた。

 物語については、以前比較的詳しく書いたので今日は割愛。昨日、劇場で観たことで、いくつか分かったことがあるので、それを自分用備忘録として以下にまとめておこう。
 ■まず明確な事実の確認。
 1)今回の劇場版「―衝動―」は、基本的に原作通りの展開で、原作の3巻の途中まで。3巻の最後までは進まなかった。なので、中野攻くんは出番なし。
 2)上映時間は106分。映像自体は非常にハイクオリティ。音響の迫力も十分劇場クオリティ。
 3)完全に原作そのままではなく、若干の省略や追加があり、キャラクターの性格もほんの少しだけ違っているようにわたしには思えた。特に、主人公・永井圭の性格は、原作コミックでは実の妹に「クズ」と言われるほど、利己的であるのが特徴で、わたしとしてはあまり好きになれないキャラクターとして描かれているが、劇場版アニメでは、比較的ストレートというか、クズ野郎成分は薄まっているように見えた。なお、コミックにはなく、アニメで追加されているシーンは、17年前のアフリカでの亜人1号の発見にいたるシークエンス。
 4)劇場版は、2週間限定公開であり、『機動戦士ガンダムユニコーン』や『THE ORIGIN』のように、本編Blu-rayを劇場で先行販売していた。
 5)劇場版は3部作になることが公式にアナウンスされているが、次の第2作『―衝突―』の予告映像も劇場で公開された。内容的には、少なくとも原作コミック4巻の内容は確認したが、どこまでやるかはわからない。
 6)また、既に公式Webサイトでも公開されている通り、この劇場版第2作の公開は2016年5月である。
 7)同様に、公式Webサイトで告知されている通り、TVシリーズは2016年1月から毎週放送される予定。Netflixでも配信が決定している。

 ■つまり……。
 ⇒原作の物語は劇場版できちんとトレースされている。今のところは。
 ⇒劇場版1作目(11/28-12-11公開)→TVシリーズ(1クール13話構成だとしたら1月~3月末)→劇場版2作目(5月公開)という順番。
 ⇒TVシリーズ13話で、まさか劇場版第1作を分割して放送するという事は、話数的にも、また常識的にもちょっと考えられない。Bru-rayすら販売済みのものを、TVで放送する意味はまずもってないはず。
 ⇒ということは……まさかTVはオリジナルストーリー? うーん、どういうことなんだろう。わからねえ、というのが現状の結論。
 ■ちなみにこんな記事もある。
 「テレビシリーズでは、その内容(=劇場版)をより深く緻密に表現するという」
 ※シネマトゥデイ2015/09/10の記事より。
 ⇒てことは、今回の劇場版公開は、後の「TVシリーズのダイジェスト版」をいち早く観られたってだけのこと? HOLY SHIT!! だとしたら観に行く必要ゼロだったな。アホらしい。そんなつまらないことにならないとは思うが、ここはCMとかアイキャッチが入るのか? というような、ちょっとだけ不自然な暗転の間が何度も入るので、嫌な予感はする。より良い作品作りを祈ります。
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 ※2016/01/18追記:というわけでTV放送が始まった第1話を観たところ、単にこの劇場版の最初の部分をやっただけでした。つまり、この劇場版を細かくして放送しながら、追加したりするんだろう。なんだそりゃ。まったく劇場に行った意味なかったな。TVも観ないでいいやもう。
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 以下、今回の劇場版を観ての感想・おっ? と思った点を挙げて終わります。
 ●主人公・圭の声は、特に感想ナシ。ただ、前述のように若干性格が普通。今のところは「クズ」というほどではない。
 ●海斗の声は、コミックから想像していたよりずっと大人っぽく渋い。
 ●IBM(黒い幽霊)の描写は非常にハイクオリティ。CG時代のアニメとしては最上(?)レベル。
 ●戸崎の声は、かなりコミックのイメージより落ち着いている感じ。まだピンチに陥ってないからか。
 ●泉の声は特に感想ナシ。ただ、コミックよりも絵柄的にかわいらしい。
 ●佐藤の声は、いつもの大塚芳忠ボイス。だけどイメージピッタリ。
 ●ストーリー的に、ここで終わり? 感は少しある。ちょっとキリが悪いかも?
 ●冒頭の、亜人第1号の捕獲シーンは別に……なくてもいいかな。
 ●映像は、非常にCGっぽさが目について、あまり好きではないが、そういう時代なので仕方なし。色彩を抑えたトーンで、10数年前の押井守めいた辛気くささを感じる空気感。
 ●CGっぽさはライティング・影の動きに妙に目立って見えた、ような気がした。車とかバイクのような機械はもろCG。 
 ●どういうわけか、観客はおっさん、おじいちゃん、さらにおばちゃんの一人客がメインだった。TOHOシネマズ日本橋だったから? なんで? 理由が分からん。
  
 というわけで、結論。
 わたしの知りたい謎は、劇場版を観に行っても解明できず、であった。
 もし、1月からのTVシリーズが、この劇場版をばらしたものであったら、まあ劇場版2作目以降は観に行きません。だって、必要ないし。原作コミックも、次の8巻の展開次第では、もうそこで買うのを終了するかも。以前書いた通り、ちょっと飽きてきたので。わたしとしては海斗と田中の展開次第です。 

↓もう次の8巻限定版の予約が始まってるんですな。通常版の発売も4月か? 普通は限定版よりちょっと後かな?