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 毎週月曜日恒例の、映画興行収入データです。
 今週は、東宝イチオシの『ギャラクシー街道』 の公開というわけで、先週までの記事では、まあ、きっとそりゃあ売れるんでしょうな、と勝手に思っていたわけだが……さきほど、いろいろなWebサイトやTweetで得た情報によると、『ギャラクシー街道』最初の土日での興行収入が2.7億だというのだ。これは……正直わたしとしては信じられないほど悪い。てっきり、5億ぐらい行くのだとばかり思っていた。コ、コイツはちょっとマジでマズいのではなかろうか? 想定通りなのかな? さっぱり分からん。
 ちょっと待って。とりあえず落ち着いて、過去データを引っ張り出してみよう。
『金縛り』(2011/10/29公開):公開週末5.0億→3週目には20億突破、5週目には30億突破、最終興収42.8億
『清須会議』(2013/11/09公開):公開週末4.8億→4週目で20億突破、最終29.6億と30億に届かず。
 これらと比較すると、今回の『ギャラクシー』が低い水準の公開週末興収だということが分かってもらえると思う。このままだと、本当に最悪の場合は、20億にも届かない可能性すらある。また、それ以前の作品は古くて詳細データを持っていないが、『マジックアワー』(2008/06/07公開)は最終39.2億、『有頂天ホテル』(2006/01/14公開)は最終60.8億まで行っている。その三谷作品が……嘘だろ……まだ観ていないけれど、絶対に30億は超えると思ってたのに……。
 とは言っても、実際のところ、わたしがそう思っていた根拠は、
 1)確実にフジテレビが膨大な番宣を仕掛ける(であろう)
 2)三谷ブランドの強さはまだ健在ではないか(特に根拠なし)
 3)実際のところ、面白そう。観たいと思った
 というような、まあテキトーなものではあったので、外れてもそりゃ仕方ないのだが、結果的には、1)に関しては、それほど膨大でもなかったような気もする。フツーのレベルを超えていたとはあまり思えない。そして2)に関しては、わたしが思っているよりも残念ながらブランド価値は低くなっていたと思わざるを得ない。3)に関しては、わたしもちゃんと観に行って判断してみようと思う。

 いやしかし、まさか三谷作品で、公開週末3億円を下回るとは、まったく思ってもみなかった。そういう時代なのかなあ……実際、わたしもテレビはWOWOW以外ほとんど見てないしな……朝の情報番組も、CX「めざまし」から日テレに浮気しちゃったしなあ……これは、三谷監督のブランド力低下もあるだろうが、それよりも、ひょっとしたら、フジテレビのメディア力が決定的に低下していると認識すべきなのではないかという気がしてきた。恐らくは、ここ数年での社会的な変化として、TVのメディア力の低下ははなはだしいものがあるとわたしは思っている。TVドラマからの映画化が、ここ数年明らかにパワーを失っている理由も、やはりそこに原因があるとわたしは考えているが、そういう事なのだろうか……。あとは、キャストなのかな? SMAP力の低下もあるのかな? いや、あれだけのオールスター作品で、主役一人に責任をかぶせるのは気の毒というかあり得ないだろう。キャストはあまり関係ないと思いたい。公開時期も、いつもの三谷作品と変わらないし、これは内容的にキャッチ―過ぎて、保守的なシニア層を取り込めていないという事なのかなあ……。それとも、わたしは全然チェックしてないけれど、また『進撃』のように、ひどいレビューがいっぱい投稿されているんだろうか……?

 とりあえず、公開週末2.7億規模だと、過去にどんな作品があるか探してみると、
『寄生獣・完結編』→公開週末2.7億→今年の映画なので最終興収は未発表だが、20億には全然届いていないはず。16~17億ぐらいかな? もうちょっと行ったのかな?
『陽だまりの彼女』→公開週末2.72億→最終17.9億。
『謝罪の王様』→公開週末2.67億→最終21.8億。
 とまあこんなあたりだろうか。こうしてみると、仮に超・後伸びしたとしても、25億も厳しい情勢だと言わざるを得まい。公開スクリーン数的には、『寄生獣』が一番近く、433Scrである。『陽だまり』『謝罪』はともに300チョイだったことを考えても、非常に厳しい状況であろう。しばらく『ギャラクシー街道』の動向を追って行くことにする。

 で。ずっと状況を追ってきた『バクマン。』と『図書館戦争THE LAST MISSION』がどうなったか数字だけ備忘録として書いておこう。
『バクマン。』→公開週末2.5億でスタート→4週目週末も1億台キープしたらしく(!これは結構すごいこと)、累計12.7億まできたらしい。わたしの予想よりもかなりいい伸び&落ちが少ない。ここから15億を超えるかどうか。わたしの予想よりは上を行きそうな気配。
『図書館戦争TLM』→公開週末2.46億スタート→3週目週末1.29億で累計11.7億ほど。前作よりちょっといいペースを維持。順調、ではあるが、ある意味予想通り。本当はもうチョイ上を期待したかった。20億はやっぱりちょっと難しいかな……。
 というような状況のようだ。(※11/3追記:翌週データはこちら)

 というわけで、結論。
 現状、『ギャラクシー街道』はわたしの根拠LESS予測をかなり下回るスタートで、厳しい状況と言わざるを得ない。三谷監督には、これからも「オリジナル」で面白い作品を作っていってほしいので、応援のためにも私も観に行きたいと思う。このままでは、本当に次回作に影響してしまうよ……。

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 しつこいが、映画『バクマン。』の興行収入である。3週目の数字が出たようだ。
 どうやら、10/17(土)10/18(日)の週末興収は1.37億ほどだったそうである。
 これは、先週のわたしの予想<2.1億×70%=1.47億>より若干落ち方が大きい。前週末の約65%ぐらいだったという事になる。ま、金額的にはイイ線行ってたかな。
 だが、わたしはこの週末までの16日間合計では、<9.67億ほどではないか>と予想していたのだが、なんと嬉しいことにわたしの予想を上回る<10.4億>まで伸びているとのことだ。約0.8億も違いが出てしまった。ひどい予想をしてすみませんでした。サーセン。
 週末興収はわたしの予想よりも0.1億低かった一方で、累計では0.8億多い結果になったということは、これは要するに、10/12(月)~10/16(金)の平日5日間がわたしの予想よりもずっと良かったという事である。わたしの先週の予想では、この平日5日間は<2.0億×80%=1.6億ほどであろうか>と予想したのだが、結果としては、逆算すると<2.4億>も稼いだことになる。平日で、前週よりも稼ぐとは大したものだ。
 要因としては、まず第一に考えられるのは、月曜日の10/12が体育の日で祝日だったことが大きい。まあ、昭和の男であるわたしとしては、「ハッピー・マンデー」なるものはホントやめてほしいと思っているのだが、月曜が祝日であることをまったく考慮をしてませんでした。サーセン。
 あとは、まぁ、様々な要因が重なったのだろうが、公開後落ち着いて、そろそろ観に行ってみるかという行動が増えたのだろう、としか想像しようがない。真っ先に見る映画ではないけれど、まあ見てもいいかな的な行動だと思う。舞台挨拶も効いたかもしれない。普通は公開後に平日動員が増えることはめったにない。そして『バクマン。』においても、今後は――そうなる要因が見当たらないので――前週よりも数字が上がることは確実にないだろうと思う。
 いずれにせよ、今後どこまで伸びるか、については、まあギリギリ15億ぐらいか? という予測は今のところ変えるつもりはない。 一応、わたしが今までに蓄積してきたデータを振り返って漁ってみたのだが、公開16日経過時点(3週末終了時点)で、10億ほどの映画というところでほかの作品を探してみると、
 『麒麟の翼―劇場版・新参者―』(2012年1月・377Scr):10.5億→最終16.8億
 『宇宙兄弟』(2012年5月・322Scr):10.5億→最終15.7億
 『東京物語』(2013年1月・319Scr):10.37億→最終18.2億
 あたりが見かけられた。ちなみに、大根監督の『モテキ』は、16日経過時点で12.1億弱まで伸びていたわけで、今の情勢からすると、『バクマン。』が『モテキ』を超えることは100%ないと断言できる。先週も書いたが、15億程度で終わるとすると、本当にギリギリでトントンぐらいなのではないかと想像する。赤字ではないと思いたいが、続編は難しいだろうな。見吉を今さら出す展開も難しいだろうし。
 とりあえず、似たような数字の作品の中では、まあ作品の内容(=漫画原作)やスクリーン規模で一番似てるのは『宇宙兄弟』であろうか。『麒麟の翼』や『東京物語』は、想像するにシニア層の支持が厚かっただろうから、平日の興行も大きかったろうし、後伸びもする要因はあるが、漫画原作ははっきり言って初動命だと思う。上手く後伸びすれば17億ぐらいもあり得るとは思うが、どうにも『ギャラクシー街道』が控えている以上は、それほど後伸びするとはやっぱり思えない。
 ただ、そろそろ『ギャラクシー街道』に向けたキャスト動員番宣がTV上で本格化してきた空気を感じ始めているが、本当に売れるのかは、実際わたしは今一つピンと来ていない。いや、もちろん最低でも20億レベルは軽くクリアするのだろうけれど、『ステキな金縛り』の42.8億を超えられるのかは観てみないとわからない。
 間違いなく、前作『清須会議』に関して言えば、まったく歴史知識のないゆとりレベルには通じない映画だったと思う。あの映画を観て笑うためには、信長から秀吉に至る日本史上の幾つかの知識がどうしても必要だった。特に、役所広司が演じた"鬼柴田"こと柴田勝家について知らないと、せっかくの役所広司の素晴らしい演技も全く笑えない(逆に知っていれば爆笑できる)。結果的に30億に届かなかったことが明確にそれを証明しているとわたしは思う。その他のキャストの演技も素晴らしかっただけに、29.6億で終わってしまったことは非常に残念だ。
 このことで、三谷監督という「ブランド」の価値が毀損されていなければ、たぶん最低30億というラインは余裕で超えてくるだろう。だが、もしブランド価値が落ちてしまっていたら? 興収40億というのはそう簡単に出るものではないので、今回の『ギャラクシー街道』が「三谷ブランド」を測る重要な指標となるのは間違いない。果たして今回の微妙SFコメディが大ウケするのかどうか、楽しみに結果を待ちたい。――と言っても、まあ、きっと大ウケするんだろうな。全然根拠はないけれど。今回の『ギャラクシー街道』は、最低でも40億ぐらい行ってくれないと、三谷監督の今後にかかわると思うし、三谷監督本人も、きっとそのことは承知しているだろうから、大丈夫だとは思う。
 ちなみに、ひとつどうでもいいことを記しておくと、『宇宙兄弟』が15.7億で終わった背景には、ほぼ同時期に東宝イチオシの『テルマエ・ロマエII』が公開されていたから、という事情もあったのではないかとわたしは思っている(宇宙兄弟はテルマエの翌週公開)。ので、そんなところも『バクマン。』の状況に似ているんじゃなかろうか。

 さて。もう一つ、ちょっと数字を追っておきたいと思っている『図書館戦争 The Last Mission』の方である。2週目の週末は、1.7億、9日間累計では8.56億まで伸びたそうである。最初の公開週末が3.29億だったので、前週比52%と、やや大きめの落ちとなった。これは、先週も書いたが、続編ものであれば十分あり得るし、ある意味通常の落ちと認識してもいいだろう。なので、まあ、それほど心配はいらないと思う。
 9日間累計も、前作比で101%と、チョイプラを維持している。前作は、2013/4/27の公開だったので、2週目はGWにあたり、大きく数字を伸ばしているのだが、その1作目の数字と比較しても遜色なし、という状態であることも考慮に入れれば、今のところ前作以上の勢いアリ、と思ってよかろうと思う。ただ、正直に言えば2週目終わりの9日間で10億を超えておきたかったのが、おそらく関係者の本音だろうと思う。今回の数字は、今後、確実に前作を超えてくるかというと、若干怪しい雲行きと思うべきかもしれない。この作品も、最初の平日5日間の数字を出してみると、8.56-3.29-1.7=3.57億/5days ということになり、これは1億/日を下回る水準だ。もう少し欲しかったな……最低、1億/日あれば、安心できたのだが……とわたしが関係者なら思うだろう。前作が最終17.2億だったが、『The Last Mission』も、先週の予想と同じく、15億以上は確定、MAX18億あたりという予想を変えないでおくことにする。ああ、もうチョイ伸びて、20億に届けばなあ……原作での完結編『図書館革命』の製作にGO! が出るんだろうな……。何とか頑張ってほしいと心から思う。
(※10/26追記:その後の数字はこちら参照。『ギャラクシー街道』が……!)

 というわけで、結論。
 現状での最終興収予想は、『バクマン。』がギリ15億ぐらい。『図書館戦争 The Last Mission』は17億ぐらい? ということにしておきます。えーと、もちろん、テキトー予想なので、真面目に参考にされても困ります。

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