今年の初めに観た映画『PASSENGER』のことをこのBlogに書いた時も触れたが、わたしはかなり声フェチである。とりわけ、その容姿にミスマッチな、ガラガラ声というかハスキーボイス? な女子は大好物で、ちょっと昨日の夜にカラオケでハッスルしすぎたのか? というようなガラガラ声、なんだけど、やけにちびっ子だったりとか、その声に似合わない可愛らしい容姿の女子は、無条件で好きになるといっても過言ではない。そしてもう一つ、これもこのBlogで散々書いてきたが、わたしは女子がしょんぼりした顔をしていると、これまた無条件で、ど、どうしたんだよ……? と無性に胸がざわめく。そのざわめきを恋と勘違いしてやけに気になる存在に昇格するのだが、とにかくわたしは、女子のしょんぼりフェイスに弱いのである。
 いや、まあそんなわたしの変態趣味をここで表明しても、ほぼ意味はないのだが、ハリウッド女優の中で、わたしのそんな若干変態的趣味にジャストミートなのが、Jennifer Lawrence嬢である。栄光のオスカーウィナーである彼女は、Wikiによれば身長171cmなので全然ちびっ子ではないというか、ほぼわたしと同じぐらいあるので日本人的には背の高い女子だが、その表情はどうも若干童顔で、それでいて声はガラガラ、そしてやけにむっちりしていてグラマラス、そして、これまでの映画ではどういうわけかしょんぼりした表情がやけに印象に残る役柄を多く演じてきた女優である。というわけで、完璧にわたしの趣味にジャストミート、なのである。変態的告白サーセン。
 おそらく、日本人で彼女を知っているのは、ある程度映画が好きな人種だけであろうと思う。普通は全く知らない人の方が多いだろう。だが、間違いなく世界的有名女優であり、前述のとおりオスカーウィナーでもあるわけで、彼女主演の映画であれば、まず間違いなく、一定の興行は見込めるはず、であろうと思う。しかし、ここ日本は、すでに世界的映画マーケットとはほぼ道を分かち、独自のガラパゴス的進化を遂げつつあることは、毎週わたしがせっせとまとめている週末映画興行データからも明らかだろう。それが悪いことだと批判するつもりは毛頭ないが、今の日本は、ハリウッド作品が全然売れない。売れるのはディズニー作品やCGアニメ作品ばかりである。もちろん例外も数多いが、少なくとも、USアカデミー賞を受賞した作品であっても、それほど興行が盛り上がることがないのが現実だ。
 というわけで、前置きが長くなったが、先日、日本では結局劇場公開されなかった、Jenniferちゃん主演の映画が、WOWOWにて放送されたため、わたしは超期待して録画し、昨日の夜、ぼんやりと観てみることにしたのである。その作品のタイトルは『JOY』。監督は、Jenniferちゃんにオスカーをもたらした作品『Silver Linings Play Book』(日本公開タイトルはなんだっけな……世界でひとつのプレイブック、かな)を撮ったDavid O. Russell氏である。このコンビは3作目であり、前2作はともにアカデミー監督賞・作品賞・主演男優&女優賞と主要賞にノミネートされており、今回も当然期待しますわな。しかし結論から言うと、本作は興行的にも厳しく評価もイマイチであったため、日本では劇場公開を見送られてしまった。そして観たわたしの結論も、正直、かなりイマイチな映画であったと言わざるを得なかったのである。

 まあ、物語はほぼ上記予告から想像できる範囲のものだ。ちなみにいうと「JOY」とは、「喜び」のJOY、でもあるのだが、そもそもは主人公であるJoy Mangano女史の名前である。日本風に言うなら、喜子さん、てな感じなんすかね。喜子さんことMangano女史は、我々日本人は全く知らない、というかわたしは知らなかったが、US国内では有名な億万長者のおばさまだそうで、現在61歳、その発明の才能で次々と生活雑貨の特許をとって財を築いた才人である。その、立身出世のきっかけとなった発明品が「Miracle Mop」というモノで、それを1990年にTVショッピングでおなじみのQVCで売り出して大ヒット、となった経緯が本作では描かれている。あ、今調べて初めて知った。1990年だったんだ。作中に年代表示ってあったかなあ? なかったような気がする。意外と最近すね。
 で。映画は単純なサクセスストーリーではなく、Mangano女史の苦労の歴史に重点が置かれている。ズバリ言うと、家族がもうとんでもなくどうしようもないクズばっかりだったのだ。簡単にまとめると、こんな感じである。
 ◆父:人間のクズ。Joyさんの母とは2度目の結婚。そして離婚し、いい歳したおっさんというか爺さんのくせに、いまだに出会い系で熟女ハントにいそしむ。どうしようもないクズ。一応、自分で経営している自動車整備工場があるが、Joyさんはせっせと経理を手伝い、支えてきた。ちなみに、Joyさんは高校を首席で卒業した才媛で、大学もシカゴだったかな、決まっていたが、離婚のごたごたで大学進学をあきらめた過去がある。大変気の毒。
 ◆母:人間のクズ。ずっとベッドでTVのクソつまらなそうなメロドラマを観ているTV依存症。家事は一切Joyさん任せ。どうしようもないクズ。
 ◆姉:人間のクズ。父の1度目の結婚での子供なので、Joyさんとは腹違い。可愛くて頭のいい妹のJoyさんにずっと嫉妬していて、常にJoyさんの足を引っ張って邪魔することしか考えない邪悪な存在。どうしようもないクズ。
 ◆元夫:真面目なJoyさんが初めて恋して、勢いで結婚してしまったベネズエラ出身の男。生活能力なしで離婚済み、だけど、いまだJoyさんちの地下室に住んでいる。こいつもクズかと思いきや、どういうわけか離婚し、歌手活動なんかを開始して自由を得てからは、結構いい奴になった不思議な自由人。事業立ち上げ後は何気にJoyさんを助けてくれる。
 ◆子供たち:Joyさんと元夫には2人の子供がいて、大変可愛らしいチビども。
 こうした、ある意味最悪な家族環境の中で、唯一おばあちゃんがJoyさんの才能を評価し、いろいろ助言してくれるのだが、いかんせん体も弱っていて、実質的には何もしてくれないというか何もできないため、Joyさんは一人奮闘するわけだが……もうとにかく痛ましくて、気の毒な事極まりなく、そして余りに家族がクズばっかりで、正直に告白すると、わたしはもうこれは最後まで見られない……と何度か再生をやめようかと思ったくらいひどい話だった。
 お話がいい方向に向かうのは、約1時間20分ごろで(それまでがとにかく観ててつらい!)、元夫がかなり無理やりな伝手を頼って、JoyさんをQVCに紹介してからである。今は日本にもQVCは進出しているけれど、US企業だったことは、恥ずかしながらわたしは初めて知った。Q=Quality(品質)、V=Value(価値)、C=Convinience(便利)の略なんですって。これって常識なのかな? 全然知らなかったわ。そして、本作では、通常のQVCのフォーマットだと専属のナビゲーターが商品説明するのが当たり前、なんだけど、初回はそれでやって惨敗、そのため、Joyさんの直訴で、Joyさん本人が商品説明することになり、その結果大ブレイクした、という経緯が描かれている。ここは大変胸のすく、気持ちのいいシーンで、Joyちゃん良かったねえ……と素直にわたしは嬉しくなった。
 しかし、成功後も、父と姉、そして父の恋人で金持ちのクソ女、このトリオがなにかとJoyさんの邪魔をして足を引っ張る展開で、もうホントいい加減にしろこのクズどもが!! とわたしの怒りはますます高まり、ホントに最後まで観るのがつらい映画であった。
 まあ、最終的には、Joyさんはきっちり成功をつかむわけで、それはそれで大変良かったね、なのだが、どうにも、人間の、とりわけ家族という厄介な存在の邪悪さしか印象に残らず、わたしとしてはこの映画を観て良かったとは思えない、というのが最終的な結論である。ホントつらかったわ……。

 ただ、それでもJoyさんのめげないハートを演じ切ったJenniferちゃんの熱演には、惜しみない拍手を送りたいとも思う。いやあ、予告にある制服姿は、冒頭でJoyちゃんが働いている航空会社の制服なんだけど、まあ可愛かったすねえ! そしてやっぱり、Jenniferちゃんのしょんぼりフェイスは最高すね。今回もJenniferちゃんは、家族を背負って苦労するヒロインという役柄であり、これは20歳で初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた『Winter's Bone』や、US大ヒット作『The Hunger Games』と似たような境遇のヒロイン像だ。女子のしょんぼりフェイス愛好家としては、この映画ではJenniferちゃんの極上のしょんぼりフェイスが十分に堪能できます。おまけに今回はワンシーンだけ、持ち前のガラガラ声で歌う場面もあって、それがまた下手くそというか上手ではなく、だけどとっても一生懸命というのが非常に伝わるとてもいいシーンもあった。結論を言うと、Jenniferちゃんはやっぱり大変可愛いと思います。
 最後にキャストをチラッと触れて終わりにしよう。まず、クソ親父を演じたのがRussell監督チームの常連Robert De Niro氏。とにかくクズ過ぎてDe Niro氏を嫌いになりそうなぐらいひどいオヤジだったすね。そして元夫の不思議な自由人を演じたのは、Édgar Ramírez氏。この人はちょいちょい見かけますね。そしてこの人はホントにベネズエラ人ですな。そしてQVCの敏腕プロデューサーを演じたのが、これも常連のBradley Cooper氏。相変わらずイケメンで、何気に演技の素晴らしい男ですな。今回も大変良かったと思う。あともう一人だけ。父の恋人の金持ち女のクズを演じたのが、なんとIsabella Rosselliniさんですよ。久しぶりにお見掛けしたような気がする。現在65歳だって? 年取ったなあ! まあ、本作ではあまりに嫌な女だったので、彼女のことも嫌いになりそうです。

 というわけで、もう結論。
 日本では劇場公開されなかった、Jennifer Lawrence嬢主演の『JOY』が、WOWOWにて放送されあので早速観てみたのだが……まあ、確かにこの映画が日本で公開されていてもまったく売れなかったことは間違いないだろう。実際のところ、Jenniferちゃんの演技はよかったし、元となったJoy Mangano女史には大変興味を持ったけれど、とにかく回りがクズばっかりで、観ていて腹立たしいことこの上なく、実に不快で最後まで観るのがつらかった作品であった。なので、わたしのような、Jenniferちゃんが大好きであり、ガラガラ声の女子、または女子のしょんぼりフェイス愛好家でない限り、この映画はおススメしません。逆に、わたしの趣味に賛同できる方には超おすすめです。以上。

↓ これっすね。US本国では有名、なんでしょうな。どうだろう、ミラクル・モップって、日本でも流行ったのかな? あ、高っけえ!