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 いやー、最高でした。今年2017年暫定ナンバーワンです。
 今日からいよいよ公開となった、MCU最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』を観てきたわたしが、真っ先に思った感想である。もはやMCUってなんぞ? という方はいないと思うので、説明しない。.現在MCUはPhase-3と呼ばれる第3段階に入っている。去年2016年にわたしが劇場で観た映画ナンバーワン作品である『CIVIL WAR:CAPTAIN AMERICA』から始まったこのPhase-3は、その次に公開された『DOCTOR STRANGE』、そして先般公開された『GUARDIANS OF GALAXY VOL.2』』を経て、本作が第4作目となる。先に言っておくと、次は11月3日公開の『THOR: RAGNAROK』、そして来年2月ごろUS公開予定の『BLACK PANTHER』、そして来年GWに公開予定の『AVENGERS:INFINITY WAR』に至る道がすでに公表されている。どの作品も、とにかくわたしは楽しみであり、今からもうわくわくしているわけで、まずは今日公開の『スパイディ』の素晴らしい出来の良さに、わたしはもう、MCUの成功は疑う余地はあるまい、とその確信を深めたわけである。

 (※追記:ちなみに上記予告にある、IRONMANとスパイディが揃って飛んでいる印象的なシーンは本編になかったす。カットされたのか?と思いきや、予告専用の映像なんですって。へえ~)
 えーと、何から書こうかな……今回わたしが一番これはすごい、と思ったのは、やはり脚本だ。つまりそもそものお話が実に興味深くて面白いのだ。そして我々観客をえっ!と思われせるような見事な展開で、はっきり言って上映時間2時間13分は若干長いけれど、むしろわたしは2時間半ぐらいあったのかな、と思うぐらい内容が分厚くて、逆にちょっとびっくりしたぐらいだ。たとえば、『CIVIL WAR』は2時間27分の上映時間をまったく感じさせない素晴らしい脚本だったが、本作のように、実際より長く感じるというのは、わたしとしてはかなり珍しいことだと思う。そういう映画はえてして退屈を感じてしまったがゆえに長く感じるものだと思うが、どういうわけかそんなことはなく、最後まで本当に楽しめる作品であった。
 とにかくわたしは今、興奮しているので、思いついた順に、脚本の素晴らしさやキャストについて箇条書きで書きなぐって行こうと思う。もちろん、ネタバレ満載なので、まだ観ていない人は今すぐ読むのをやめた方がいいと思います。
 ◆完全にMCU作品である。それすなわち、この作品単品ではダメ!
 まあ、この作品だけを観ても十分楽しめるとは思うが、実際それじゃあ全然ダメ、なのは、MCUを愛する人なら同意してもらえると思う。完全に『CIVIL WAR』の続編であり、これまでのMCUの流れを知らないと本作をきちんと楽しめないと思う。
 ◆SPIDER-MANことピーター・パーカーはなぜ戦うのか?
 前知識としてのポイントは2つあって、まず一つは、『CIVIL WAR』からMCUに登場したスパイディの、戦う動機についてだ。このことを知らないで本作を観ると、かなりピーターのゆとりKIDSぶりにイラつく可能性もあると思う。確かにSam Raimi監督版とはかなり性格も違うし、非リア充だけど何とも明るく元気な少年として描かれていて、本作のピーターは、そもそもの原作の性格に最も近いと言われている。わたしもその意見に賛成だ。そう、SPIDER-MANは、そもそもはガキなのである。だからゆとりでいいのだが、本作ではピーターの戦う動機がほぼ触れられていない。おまけに言うと、過去のスパイディ映画で描かれたような、蜘蛛に噛まれて、スーパーパワーを得たという誕生秘話も完全にカットされており、本作でちょろっと、主人公ピーターが親友のデブオタに「いやー、蜘蛛に噛まれてこうなったんだよ」の一言で終了である。
 しかし、なぜスパイディは戦うのか、そしてなぜ、IRONMANことトニー・スタークは、ピーターを仲間にしようと思ったか。それは前作『CIVIL WAR』で明確にされている。ピーターは、『CIVIL WAR』の最中に突然家にやってきたトニーに言う。「自分に力があるのに、何もしないでいて、それで良くないことが起きたら、なんか自分のせいじゃないかって気がしちゃうんだ」。トニーはそう語るピーターの、少年としての真っ直ぐな正義感に感心し、このガキなら、ともに戦える、と考えるわけである。本作では、ピータを仲間に入れることをみんなに反対された、とトニーは言っていたが、いわば、IRONMANとして活動を始めた初期のころの自分を見る思いだったのではないかとわたしは感じている。これは、名作といわれるSam Raimi監督の『SPIDER-MAN』第1作で語られた「大いなる力には大いなる責任がある」というベンおじさんの名言と同じ考え方だろう。ピーターは、突然身に着けてしまったスーパーパワーを持て余している、けれど、なんとかそれを世の中の役に立てたい、とうずうずしているのだ。そして憧れのトニーに、認めてもらいたくてたまらないのである。
 わたしが本作でこの描き方は素晴らしい!と絶賛したいのは、Sam Raimi版のピーターが、非常に根暗で非モテ人種で、超リア充の親友に対して嫉妬すら抱える少年であり、ある意味一番の動機として大好きなMJへの恋愛感情が物語の軸にあったのに対し、本作ではそういった恋愛感情は脇に置かれ、あくまでメインは「世の中の役に立ちたい」という、子供らしい真面目さ、に置かれている点だ。
 デブオタの親友も、スーツに組み込まれたAIも、さあピーター、今こそ憧れの女の子に自分がSPIDER-MANであることを打ち明けるんだ! と何度か背中を押すのに、それは違うだろ、と思いとどまる。そしてなんと、ラストでトニーが用意してくれた記者会見の場を、自らの意思できっちり断るのだ! 原作の『CIVIL WAR』では、トニーとともに会見に臨み、衆人環視の中でマスクを脱ぎ、自分がSPIDER-MANであることを全世界に公表するのだが(→身元を明かした結果、メイおばさんが巻き込まれてヤバいことになり、後にピーターはトニー派を離脱し、CAP派に転向する)、まさに本作はその逆になっている。本作のピーターは、オレがSPIDER-MANだ!と世界に宣言したい、とは考えないのである。MCUの記念すべき第1作である、2008年の『IRONMAN』のラストシーンを思い出してほしい。「わたしがIRONMANだ!」と宣言したあのトニーの姿を! トニーとは正反対の決断をしたピーター。わたしはこの展開に結構感動すらしてしまったほどだ。これらのことは、やっぱりこれまでのMCUを観ていないと、ちゃんと理解できないんじゃないかな、という気がするのである。
 ◆トニー・スタークのこれまでの行動
 もう一つ、前知識として知っておかないと、本作を楽しめない重要なポイントは、トニー・スタークの心中である。トニーは、イケメン&スーパーリッチ&天才科学者、という地球上で最強のリア充野郎である。しかし、その心中は実はかなり真面目な男で、自分の作った武器が横流しされてテロに使われていることを知り、おまけに自分も殺されそうになった経験から猛反省し、まずは武器商売をやめ、それまで製造してきた武器を根絶するために、IRONMANスーツを着用して戦いを始めた男だ。そしてAvengersとして宇宙人との戦いを経験し、撃退したはいいけれどNYCは壊滅。そしてさらなる脅威に対抗しようとして、うっかりULTRONを作ってしまい、撃破したはいいけれど、またしても街はボロボロ、遺族になじられてもうしょんぼりな状態であった。そこで『CIVIL WAR』事件が起き、国連管理下に置かれることもやむなし、と思い至るが、CAPとの大げんかの末、確かに、CAPの言う通り、国連管理下でも対応できないこともあるかもしれない、けど、母親を殺されたことは話が別だ!と大激怒、CAPとは分かり合えず決別してしまう。
 わたしは完全にトニー派なので、CAPの考えは傲慢かつわがままで実にけしからんと今でも思っているし、CAPの腰ぎんちゃくに過ぎないファルコンやホークアイがトニーを生意気に批判するシーンには心底頭に来たが(ウィンターソルジャーことバッキーは一番ちゃんと反省してるので許すけど、ホークアイはワンダを巻き込んだ張本人で許せない!)、重要なのはトニーが常に自分をも疑って、客観的かつ理論的に、きちんと考えて行動する男であり、自らの行動の過ちをきちんと認められる大人の男だという点だ。
 本作は、そんなトニーの性格を知らないと、まったく話が通じない可能性があるとわたしは思う。それは、トニーのこれまでの行動が、今回の悪党であるヴァルチャーを生んでしまったからだ。そう、またしても、トニーが良かれと思ってとった行動が裏目に出てしまったのである。
 ◆ヴァルチャー誕生の説得力が素晴らしい!
 トニーが、2012年に地球にやってきた宇宙人を命がけで撃退した顛末は、『AVENGERS』第1作で描かれた通りであるが、その戦いでNYCがボロボロになったのは、MCUを見続けている我々にはもうお馴染みであろう。しかし我々日本人は、数々の災害や戦争に遭っても、時間をかけて街を再建してきたわけで、NYCもきっと立ち直れる、と直感的に理解できると思うが、問題は、あの巨大な宇宙船(宇宙生物?)とか、兵士の残骸とか、あれはいったいどうするんだ? という点についてはちょっと想像ができないでいた。が、本作では、その点がきっちり描かれている。
 まあ、普通に考えて、瓦礫と化した建物と同様に、バラして運んで、と地道に片づけていくしかないわけだが、相当な物量であることは想像に難くない。そして、そのがれき撤去だけで相当な雇用が生まれ、不謹慎な言い方かもしれないが、経済が回るのは確かなことだろう。本作の悪役であるヴァルチャーは、元々そのがれき撤去業を地元で営む真面目な家族思いの社長さんだ。えらいことになったNYCで、従業員を増やし、トラックも新たに買って、NYC復興のために頑張ろうぜ!とみんなにはっぱをかけていた矢先に、トニーが政府と合弁で設立した「ダメージコントロール局」が活動を開始し、がれき撤去の「仕事」が一切奪われてしまう展開になる。トニーは、間違いなく金のためではなく、単純に宇宙人たちのテクノロジーが散らばっているがれきを危険だと思って、そうしたわけだが(おまけに、もう街に迷惑はかけられん、とマンハッタンに建つあのAvengersビルも手放し、北部の田舎に引っ越す決断もする)、要するにまた、トニーの善意が裏目に出てしまったわけだ。「畜生、あいつ、自分で壊しといて自分で稼ぐのかよ、オイシイわけだぜ!」というような「仕事」を奪われたヴァルチャーのセリフに、わたしは実に見事な脚本だと思った。確かにその通りではある。
 こういった点が、トニーの弱点で、いかに天才で大富豪とはいえ、結局一個人の力というものが、現場の末端まで行き届かないのは残念ながら事実であろう(それが分かっているからこそ、トニーはCAPの主張する個の力に頼る考えに同意できない)。しかし一方で、組織の端末の人間は、「上に命じられたこと」しかやらないお役所仕事のボンクラばかりであり、作業現場に乗り込んできた偉そうなボンクラも、「文句があるなら責任者に言え」としか言わないお役所対応である(そしてだからこそ、CAPは組織を信頼できないというジレンマが発生する)。バルチャーは「そりゃねえよ!その責任者って誰だよちくしょう!」と悲痛な叫びをあげても答える人間はいない。結果、ヴァルチャーはトニーに対し、この恨み晴らさでおくべきか! とメラメラと怒りの炎を燃やすことになる。何という皮肉! そして何という見事な説得力! 素晴らしいとわたしは大絶賛したい。トニー派のわたしとしては、ここで、なんとかトニー本人にヴァルチャーの声が届いたなら、絶対にトニーは、じゃあ、ダメージコントロール局の仕事の外注先に御社も入れましょう、と判断したはずだと思う。結局、「誰かがやらなくてはならないこと」であるのは間違いないのだから。トニーはそのように民間に金が回ることをむしろ歓迎したはずだと思う。そういった、ヴァルチャーがなんとかトニー本人に会って話をしようとした、けどダメだった、という流れがきちんと描かれていたらもっともっと良かったのに、という気もしなくないが、まあ、そこまですると、ちょっと重すぎるというか、この作品が『IRONMAN4』になっちゃうか。この映画の主人公はあくまでスパイディだしな……。でも、そういったシーンがあっても良かったと思う。
 結局ヴァルチャーは、がれきの中の宇宙人技術をこっそりと持ち出し、せっせと武器開発にいそしみ、悪党になってしまったわけで、実にリアルで、ありうる展開だとわたしは大絶賛したい。
 ◆脚本的にお見事!と思わず観ていて「えっ!? あっ!!!」と驚いた点
 今回、わたしは観ていて、上記以外にもいくつか、主にキャラクターの正体(?)が判明するシーンで思わず声が出ちゃうぐらいびっくりした点があったので、4つほど紹介しておこう。これは本当に完全ネタバレなので、未見の方は絶対に読まない方がいいと思う。知ってたら、わたしのように「えっ!?」と驚けないよ。そしてそれは超もったいないと思います。
 1)お父さんは実は……
 劇中では、ピーターはとある女子にぞっこんで、いいなあ、あの子可愛いなあ、おっと、ずっと見てたらオレ変態だよ、あっぶねえ!とか実に男子高校生らしい日常を送っているのだが、なんとその女子のお父さんこそ……であった。これは本当に見事でしたねえ! わたしは全然予想しておらず、超びっくりでした。どうだろう、何か伏線はあったかなあ? 何もなくかなり突然だったような気がするけど、単にわたしが見逃してバカだっただけかもしれないが、とにかく実に効果的なタイミングで効果的なつながりであったと思う。ホントにお見事!とわたしは大絶賛したい。これほど、あっ! と思ったのは、かの名作『The Silence of the Lambs』(邦題:羊たちの沈黙)のクライマックスで、FBIチームが犯人の家に乗り込む、とそこはもぬけの殻、実は主人公クラリスが訪れた家の方こそ、犯人の家だった!のあの演出以来かもしれない。いや、それは褒めすぎかな。まあ、それぐらいわたしはお見事だと思いました。
 2)えっ!君がまさか……!
 今回、ピーターの身近に、何かと変なことばかり言うちょっと変わり者でひねくれもの的な、とある女子がいる。どうも、ピーターをいつも見ていて、実は君はピーターが好きなんでしょ? とわたしは思いながら見ていたのだが、なんとラスト近くで、彼女のとあるニックネームが明らかになるのだが……そのニックネームは、Sam Raimi版を観ている人なら絶対に知っている彼女の名前でした。これは驚いたすねえ! まあ、コアな原作ファンなら最初からわかってたのかな? そういうことだったのね!? とわたしは驚き、ニヤニヤするしかなかったす。ホントお見事!とわたしは大絶賛したい。
 3)トニーよ、いつの間に!?
 トニーは、『IRONMAN3』事件でIRONMAN引退宣言をしたわけですが、まあ、全然引退していないわけで、その結果、愛するペッパーと喧嘩・別居状態にある、のは、『Ultron』事件や『CIVIL WAR』でも描かれた通り、MCUファンにはお馴染みであろう。しかし! 朗報です! ペッパー is Back!ですよ!! ほんのちょいしか出てきませんが、どこで出てくるかは観てのお楽しみってことでお願いします。いやあ、トニー、良かったね! なかなか粋な脚本的はからいだとわたしはうれしく思いました。
 4)ピーターーーー!!! うしろうしろ!!
 もう完全に志村けん的コメディのお約束展開ですが、一番ラストのシーンは、家に帰ってきたピーターが、一度は取り上げられてしまったスパイダー・スーツが紙袋に入れられてベッドに置いてあるのを発見し、え、いいの?やった―――!と大喜びで再びスーツを身にまとうシーンであった。けど、ピーター、お前、ちゃんとドア閉めとかないと……つか、うしろうしろ―――www という笑わせてくれるもので、実にハッピーなエンディングだったと思う。これはお見事でしたねえ! ホントに素晴らしい脚本でありましたよ。このエンディングはぜひ劇場でお楽しみくださいw わたしとしては、まったく何の変哲もない紙袋に無造作に入れられていて、トニーから直筆で「君のものだ This suite belongs to you」的なメッセージが紙袋に直接書いてあるのが実にトニーっぽくて粋でカッコイイと思いました。
 ◆トニー謹製「新スパイダー・スーツ」に秘められた、オタク向けニヤニヤポイント。
 1)超多機能!であるのと同時に……
 今回のトニー謹製「新スパイダー・スーツ」は、『CIVIL WAR』でプレゼントしたものなのだが、実はまだ「トレーニング・モード」というEASY設定にプログラムされて機能が制限されており、おまけにGPSでスーツがどこにあるか、トニーに監視されている設定になっていた。実は原作の『CIVIL WAR』では、その監視されていることが重要なポイントで、そのことでピーターはトニーへの信頼を失うきっかけにもなってしまうわけで、本作では、デブオタの親友とスーツをいじっていて、その位置探知機能を切断し、さらにモード設定も勝手にプログラムをハックして、ロックを解除しフル機能実行可能なモードに変更してしまうシーンがある。この変化はとても観ていて面白く、また、原作オタクもニヤリとするシーンであろう。ちなみに、ラストの記者会見に臨むピーターのために、トニーはさらに新型スーツをプレゼントしようとするのだが、それがまさしく原作の『CIVIL WAR』で出てくる通称「アイアン・スパイダーマン・スーツ」のデザインで、ここも原作オタクのニヤリポイントであろうと思います。
 2)そしてスーツのプログラムAIがしゃべるように変化するのだが……
 ピーターがスーツのモードを勝手に改変し、その結果スーツがIRONMANスーツの現在のフライディのように、女性の声でしゃべるようになり、ピーターは、スーツレディ、カレン、と名付けて仲良くおしゃべりをするようになるのだが、わたしは観ながら、果たして、このスパイダー・スーツ=カレンの声は誰だろう? とちょっと気になっていた。ので、エンドクレジットを観て、わたしのようなオタクファンは、あっ! と驚き、そういうことね……とニヤリ、としたはずだ。なんと、カレンの声を担当したのはJennifer Connellyさんですよ! なぜ彼女が担当してることでニヤリとできるかというと、彼女の現実世界での旦那は、Paul Bettany氏なんだな。えっ!わからない!? うっそお! 彼は現在のVISIONさん、先代IRONMANスーツの忠実な電脳執事、ジャーヴィスの声の人ですよ。夫婦そろってトニーに仕えてたのね、というわけです、はい。

 あーーーもうすげえ長くなってしまったので、今回わたしが特に気に入った3人のキャストと監督について書いて終わりにしよう。
 ◆Tom Holland君 as 3代目ピーター・パーカーは最高だった!
 いやあ、やっぱりTom君はいいですねえ! 彼は元々、2008年に『BILLY ELIOT』のBroadway版で主人公Billy演じた男なわけで、2週間前に日本版『BILLY』を観たばかりのわたしとしては、なんかBillyが後にこんなに立派に育って活躍している姿を観るとホントうれしいすね。本人も言っている通り、『BILLY』で相当鍛えられたんだろうな。なかなかの肉体美も披露してくれるし、とにかく、元気なピーターはわたしとしては歴代最高だと思う。ちなみに、一緒に観に行った元部下のA嬢は、やっぱり初代のToby Maguire氏の方が良かったと評していた。友達もいないしイケてないし、というしょんぼり野郎がヒーローになる、という展開の方がよかったそうで、まあ、女子目線からすると今回のピーターはちょっと軽いというかチャラすぎ、と感じるのかもしれない。その辺は、いろいろな意見があってしかるべきだろうと思うが、わたしとしては最高に良かったと思う。
 ◆デブオタだっていいんだよ。だってにんげんだもの!
 今回、やけに光るのが、ピーターの親友のデブオタ君ことネッドを演じたJacob Batalon君だろう。いいすねえ、彼は! ネッドなしにピーターの活躍はあり得なかったし、ネッドがいなければピーターの高校生活もまるで暗いものになってしまったかもしれないわけで、何気に重要な役をきわめてさりげなく、巧みに演じてくれました。彼の存在が本作を明るくしてくれているといっても過言じゃあないでしょうな。もう大活躍で、今後のシリーズにもぜひ、登場してもらいたいと思います。
 ◆蝙蝠男~鳥男~そして禿鷹男への進化を遂げたMichael Keaton氏が素晴らしい
 いやあ、やっぱり本作での悪役、ヴァルチャー(禿鷹)を演じたMichael Keaton氏は良かったすねえ! まあ、キャラについてはもう前述の通りなのだが、その正体を明かしてからのピーターに対する態度がやけに恐ろしくて素晴らしかった。さすがは元BATMANであり、BIRDMANとしてオスカー候補になっただけはある、貫禄と威圧感たっぷりのおっかない大人を熱演されていました。なお、今回のおまけ映像は、刑務所に入れられた彼が、とある男に脅されるシーンで、その脅す男が次回の悪役なのだろうと思われます。サソリのタトゥーの男で、原作に詳しくないわたしは何者か実は良く分からなかったです。まあ、MCU的に今後のAvengersにつながるような大物悪役、ではないと思います。たぶん。
 ◆監督はあの『COP CAR』のJohn Watts氏!
 去年わたしはWOWOWで『COP CAR』を観て、その抜群の演出センスに相当驚いたのだが、今回も様々な驚きをわたしにもたらしてくれた演出テクは、とても上質だったと思う。脚本にもクレジットされているWatts監督なので、まだ監督作品3作目というキャリアとしては全然浅い男だけれど、今後が大変楽しみな才能だと思います。

 というわけで、まだまだ言いたいことはあるけど、もう長すぎなので結論。
 やっぱり、MCUは最高である! その最新作『SPIDER-MAN:Home Coming』は期待を裏切らない最高の出来であり、わたしとしては大満足であった。しかし、わたしのこの興奮と満足感は、あくまでMCUを全て観てきており、MCU全体を愛しているが故、であるわけで、本作も、単独ではなく、MCUの一部として観るのがやっぱり正しいように思う。よって、言いたいことはただ一つ。MCU全作を観てくれ! そしてこの『SPIDER-MAN:Home Coming』を楽しんでほしい。ホント最高でした。以上。

↓ 次はコイツですよ! 準備はいいですか!? 一応、劇場でもこの予告編が流れてました。Kate Blanchett様が超COOLで最高です!

 Robert Downey Jr.といえば、今や「主演興行成績による俳優ランキング」において3年連続でNo.1に輝くハリウッドきっての大スターである。が、その栄光を得る前は麻薬依存で極めて深刻な問題を抱えていたこともまたよく知られている。10代でキャリアをスタートし、27歳で主演した『Chaplin』でアカデミー賞主演男優賞にもノミネートされた演技派ではあったが、その後、コンスタントに映画やTVドラマに出演するものの、薬物問題で騒ぎを起こし、90年代後半から2000年代前半は、「終わった男」として見なされていたはずだ。その彼が今やハリウッドNo.1俳優としてあるのは、2008年『IRONMAN』のトニー・スターク役で大成功したことによるものと言っていいだろう。まあ、その副作用として、その後の彼の映画を観ると、何を観てもトニー・スタークに見えてしまうほどではあるけれど。もちろん現在は、薬物依存からは完全に立ち直り、クリーン宣言している。
 わたしが昨日の夜観た映画は、そんなRobert Downey Jr.が、トニー・スタークのような、うわべは軽薄な感じをまといつつも、心優しい(?)弁護士を演じた『THE JUDGE』(邦題:ジャッジ 裁かれる判事)である。結構ジンと来る印象深い芝居振りであった。 
 
 物語としては、まあ、ありがちといえばありがちで、正直なところ、どうやらこの映画の世の評価は高くないようだ。しかし、非常に演技の質は高く、わたしはとてもグッと来た。この映画は、やはり男が観るとグッと来るのではないかと思う。とくに、40代後半以上の、とりわけ、老いて衰えつつある父親を目の当たりにしているおっさんには、ホントに心に刺さると思う。
 主人公は、シカゴで敏腕弁護士としてバリバリに活動しているが、母がある日亡くなった。すぐに故郷のインディアナに向かう主人公だが、故郷には、一番苦手な父親がいる。兄と弟は歓迎してくれるが、父は握手だけでハグはしようとしない。判事として42年間、地元の信頼を得てきた父。母の葬式が終わったらさっさとシカゴに戻るつもりの主人公。だが、葬儀の翌日、シカゴへ発とうとする主人公は、ガレージにある父親の車に事故の跡を見つける。この車は、父が非常に大切にしている車で、誰にも運転させないはず。この傷は一体……? というわけで、物語は動き出す。すぐに、どうやら父が人を撥ね、しかも死亡事故を起こしてしまったらしいことがわかる。しかし、それが事故ではなく、殺人事件として起訴されることになって……という展開である。

 この映画で描かれる、父と息子の関係は、形は違っても、男なら誰しもが自分の父親との関係に置き換えられるのではないかと思う。わたしももちろん、親父が嫌いだったわけで、主人公と判事の父の仲の悪さは、観ていて全く心当たりのある場面ばかりである。ちょっとこちらから折れて、「こうしたら?」と言っても、聞きやしない。ああそうですか、勝手にどうぞ。全くもってどこの息子・父親間でも見られる光景ではなかろうか。そもそも、父親と仲の良い息子っているのかな? とさえ思う。しかし、それでも、「勝手にどうぞ!!」と切り捨ててしまうと、確実に後で後悔することになる。なぜなら、父親が先に死ぬこともまた確実だからだ。父の死に臨んで、あの時ああしておけば良かった、と後悔することは非常に辛いことだ。それは父のために、ではなく、自分自身の問題である。
 この、家族というものに対する問題は、以前、山田洋次監督作品『東京家族』でも触れたが、親孝行は、親のためというよりも、自分のためだというのがわたしの持論である。この映画の主人公と父親は、長年の確執を解消し、最後は美しく物語を終えることができた。それができたのは、最後の法廷シーンで、弁護士と被告という形での会話で本音をぶつけ合ったからであるが、ここでのRobert Downey Jr.と、父親を演じたDobert Duvallの芝居は非常に良かった。実際、父・Robert Duvallはこの作品で去年のアカデミー助演男優賞にノミネートされたのだが、受賞を逃したのは非常に残念だったものの、この映画のラストシーンの父と息子の語らいは、わたしのハートに非常に深く響き、確かな感動をもたらしてくれるものであった。
 役者陣としては、Robert Downey Jr.やRobert Duvallの素晴らしさはもちろんのこと、脇を固める役者の芝居も非常に印象深くお見事である。主人公の兄を演じたのは、Vincent D'Onofrio。この役者は、あれっ!? この人絶対どこかで観たことある、だけど誰だっけ? 絶対知ってる人だ、と思って調べてみたら、なんとあのスーパー名作『FULL METAL JACKET』で散々いじめられて教官をぶっ殺して自殺したあの「ほほえみデブ」じゃないか!! 最近では『Jurassic World』にも出ていたけど、すっかり渋い男になりましたな。演技ぶりも非常に良かった。とてもやさしい、いい兄貴を見事に演じておりました。また、対決する検事を演じたのは、Billy Bob Thornton。脚本家としてアカデミー賞を受賞している男で、Angelina Jolieの元夫としてもお馴染みだが、彼の演じた検事が、判決後に見せる表情が凄くいい。また、本作のヒロインとも呼べる女性を、Vera Farmigaさんが明るくキュートな中にも芯の強さを持つ女性を印象的に演じている。この人は、『Source Code』(邦題:ミッション:8ミニッツ)のグッドウィン大尉でお馴染みで、妹は『記憶探偵と鍵のかかった少女』のTaissa Farmigaちゃんですな。あと、監督のDavid Dobkinという男は、わたしは知らない監督だが、結構上手だと思う。画作りがオーソドックスだけど極めて丁寧で、また時に映されるアメリカの田舎の自然の様相も悪くない。全体を通して非常に美しいというか、とても綺麗に撮られていると思いました。いいと思います。

 しかしつくづく思うのは、こういう映画こそちゃんと劇場に行くべきだよなあという後悔である。わたしは基本的に家の近くのTOHOシネマズか、仕事場に近いTOHOシネマズで映画を観る。たまにIMAXのために109シネマズに行くぐらいだ。しかし、TOHOシネマズですべての映画が上映されるわけでは決してなく、こういう公開規模の小さい映画は、つい見逃してしまう。不精はイカンですな。まあ、その見逃した映画のためにWOWOWに加入しているわけだけど、やっぱり劇場で観たかったと思う。日本公開が2015年1月だから、WOWOWで放送されるのもだいぶ早くなって来ましたな。1年も待たずに放送してくれるWOWOWは、なにげに偉いと思うが、あの「W座への招待」という放送枠は勘弁して欲しい。あの小山薫堂氏の解説というか話は、いつもイラッとするので、たいてい見ません。

 というわけで、結論。
 『THE JUDGE』は、世間的な評価は低くても、わたしは観て良かったと思っている。大変心に染みました。この作品は男に、とりわけ40代以上のおっさんに超おススメです。Robert Downey Jr.のカッコ良さは、やっぱり本物ですな。以上。

↓ この映画でのRobert Downey Jr.も強烈です。クッソコメディですが、まあ凄いことになってますw 正直イマイチですが、彼の演技だけは必見、かも。
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