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 何度かこのBlogで書いている通り、わたしは20th Centuyr FOX(以下FOXと略)が嫌いだ。まあ、理由はいろいろあるのだが、そんなことはどうでもいいとして、わたしとしては一日も早くDISNEYに買収されてほしいと思っている。理由はただ一つ。わたしの大好きな『X-MEN』に関する映像化の権利がDISNEYへ渡ることを願うからだ。ま、ついでに言うと、『FANTASTIC 4』も一緒にDISNEYに行くことになるので、それもまた喜ばしいとわたしは思っている。
 要するに、現在FOXが権利を握っているMARVEL COMICS作品を、さっさとDISNEYへ集約していただき、真のAVENGERSを描いてほしいというのがわたしの願いなわけだが、去年の12月に、DISNEYによるFOX買収のニュースが報じられた時は、わたしとしてはもう、いいぞ! もっとやれ! と熱くなったものの、その後の進展はあまり聞こえてこず、どうも独禁法違反かも、とか、映画業界からの反対とか、いろいろな横やりが入ったり、さらには、それではウチも! とつい先日COMCASTが買収に名乗りを上げたりと、なんだかNASDAQ上場しているFOXの親会社「21st FOX」の株価が上昇するばかりで、スッキリ進んでいない状況のようだ。まあ、こういうところも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもある。
 さて、以上は全くどうでもいい前振りである。
 わたしは昨日の夜、そのFOX配給の『X-MEN』キャラ単独作品、『DEADPOOL2』を観てきたのだが、さすがに前作が大ヒットしただけあって、今回は何気にFOX版『X-MEN』ムービー的な香りが強めに漂う作品として仕上げられていたことに若干驚いたのである。前作は低予算でいろいろと都合がつかず、その不都合さえネタにしていたDEADPOOL氏だが、今回はもう、かなり、なんというか「公式」感があふれ、結構グレードアップしていたように感じた。そしてなによりも、DEADPOOL氏がとてもイイ奴になっていて、なんだか随分キャラ変したようにも思えたのである。だからといって、つまらなくなったかと言うと、もちろんそんなことはなく、わたしとしては大変楽しめる作品であった。わたしとしては、前作より今回の『2』の方が好きかも。とはいえ、別に感動なんかしないし、特に後に何か残るとか、そういうことはまるでナイっすけどね。超最高とも思わないし。ま、ゲラゲラ笑えるのは間違いないす。あと、本編上映前に1分ぐらいの短い注意?のようなものがついていて、そこで、DEADPOOL氏が、観たらバンバン感想をこのハッシュダグ付けてTweetしてくれ、だけどネタバレはダメだぞ! というメッセージだったのだが、サーセン、たぶん以下、ネタバレも含まれると思いますので、まだ観ていない人は今すぐ退場してください。
 どうでもいいけど、英語でネタバレって「SPOILER」っていうんすね。Spoilする奴ってことなんだなあ。知らなかったす。ネタバレはたぶんしますが、スポイルするつもりは全くないので許してDEADPOOL氏!

 というわけで、この日本語版予告の字幕のセンスなんかも、わたしがFOXを嫌う理由の一つでもあるのだが、それはさておき。今回はケーブルも登場し、相当派手なアクションとなっているのはもうこの予告通りである。そして、物語としては意外なほどまっとうで、きっちりしていて、実際とても面白かったと思う。
 簡単にまとめると、とある理由でまっとうに生きることにしたDEADPOOL氏が、これまたとある理由からとある少年を殺しに未来からやってきたケーブルと戦い、その少年を守ろうとするも、今度はケーブル側の理由を知って、殺して解決するのは良くない、とケーブルを説得し、両者の円満解決を図ろうと奮闘するお話である。
 サーセン、「とある」が多すぎてこれじゃ意味通じないか……でもまあ、ネタバレするとDEADPOOL氏が殺しに来るかもしれないのでこの辺にしておきますし、観た人ならば、これで通じるでしょう。きっと。つまりですね、ズバリ言うとまさしく『ターミネーター』なわけです。どっちかつうと『ターミネーター2』の方が近いかも。なので、DEADPOOL氏が「カイル・リース」と呼ぶギャグネタが1回だけあったような気がするけど、肝心のケーブルに対して「お前はターミネーターか!」的なシーンはなかったのが意外であった。これは……「ターミネーター」という言葉自体が商標化されているためではないかと邪推しましたが、真相は分からんです。それともFOXのドル箱であるCameron監督に対する配慮かな? いや、それはないか。
 ともあれ、今回も相当な数の映画ネタがちりばめられていて、かなり笑える作品であるのだが、意外なことに、わたしの2列前に座っていたでっかい外人客×5名の団体は全く静かに鑑賞してたのが謎である。この人たち、きっとすげえ大爆笑で楽しく鑑賞するんだろうなと思ったのに、超意外なほどおとなしく観ていたのが印象的。なお、わたし的に一番笑えたのは……なんだったかなあ……映画オタとして大抵のネタは拾えたつもりなんだけど……もはや覚えてないなあ……あ、どんな場面だったか定かではないけど、「ただの人間だから。ホークアイみたいなもんだよ。だから弱いの!」的なセリフがあって、そこは堪えられず声を出して笑ったすね。
 そしてもちろん、終了後のおまけ映像(終了直前というべきかも)で、ケーブルの持っていた時空移動装置をGETしたDEADPOOL氏が、今までの黒歴史を修正しまくるシーンも大笑いしたすね。黒歴史……それすなわち、過去の『X-Men Origins: Wolverine』で一度登場している自分を殺したり、『GREEN LANTERN』の脚本を手にして「大役来たぜ!」と喜ぶ自分を殺しに行ったり、まあ、今回のDEADPOOL氏によって歴史は書き換えられたようですなw
 あと、今回FOX版『X-MEN』ムービーの成分多めというのは、観ていただければ誰でも感じると思う。まさか「車いす」「セレブロ」まで登場させるとは! 前作大ヒットのご褒美なんすかね。そして、一瞬だけ、FOX版『X-MEN』ムービー本編のキャラが数人出てくるんだけど、わたしは油断していて、あ!? 今、ビーストとクイックシルバーいた!! けど、あと3人ぐらいいたのに誰だったか判別がつかなかった!! のがとても残念す。ウカツ!!
 というわけで、ネタバレを気にするともう何も書けないので、キャラ紹介をしてさっさとまとめに入ろうと思います。
 ◆DEADPOOL/ウェイド:今回は、まあ相当ヒドイこともするけど、その行動の動機はいたって真面目。超イイ奴、と言ってもいいと思う。まあ、そう改心?したのにはきちんと理由があるのだが、それは書かないでおきます。演じたのはもちろん前作同様Ryan Reynolds氏。この人はカナダ人であるのがポイント?ですよ! 
 ◆ヴァネッサ:ウェイドの愛する彼女。今回彼女にとんでもないことが……しかもほぼ冒頭で。演じたのは、これまた前作同様Morena Baccarinさん。大変可愛いと思います。つうかわたしが大好きだった財務部のMさんにすげえ似てる。
 ◆ヴィ―ゼル:DEADPOOLの友達の傭兵酒場経営者。コイツも基本テキトー人間。演じたのは前作同様T.J.Miller氏。つうか、この人この前逮捕されたんじゃなかったかな? なんか酔っ払って、鉄道の駅で爆弾騒ぎを起こしたとかなんとか。大丈夫なのかこの人。わたし的にこの人は、『CLOVER FIELD』でカメラを回し続け、最後はカイジューにガブリとやられるあの冴えないブサメンとしてお馴染み。いつの間にイケメン枠に入ったんだコイツ……。
 ◆COLOSSUS:前作でもお馴染み、体も硬いけど頭もカタブツな真面目X-MEN代表。ちゃらんぽらんなDEADPOOL氏を友達として、お前もX-MENに入れと勧誘しているが、とうとうDEADPOOL氏本人から入団を希望する日がくるとは! そして基本的にこのキャラはCGキャラですが、どうやらモーキャップで演じた役者と、顔と声を担当している役者は別人なんすね。知らんかったす。ラスト、なんとあのJUGGERNAUTと大バトル! そしてパンフによるとJUGGERNAUTもフルCGだそうです。全然気が付かなかった……
 ◆NEGASONIC TEENAGE WARHEAD:前作でもお馴染みクールなパンクガールX-MEN。今回はあまり出番なし。それより彼女にはカノジョが出来ていて、そのカノジョである「ユキオ」というキャラを演じたのが忽那汐里さん25歳。オーストラリア育ちだけあって英語は全く問題ナシ。あまり出番はないけど、結構いい味出してました。DEADPOOL氏と妙に(一方的に?)仲良し。もちろんX-MENメンバーのミュータント、だけど、どうやら原作にはいない映画オリジナルキャラだそうです。
 ◆CABLE:未来からやってきて、とある歴史を改変しようとするターミネーター的戦士。演じたのはTHANOS様でお馴染み、Josh Brolin氏。ハリウッドコワモテオヤジ選手権が開催されたら間違いなく上位ランカーになるであろうおっさんだが、実は意外と若くてわたしよりちょっと上だけという事実にショックです。絶対50代半ばか? と思ってたのに……。今回、THANOSネタは当然ブッ込まれてます。
 ◆DOMINO:今回、DEADPOOL氏が援軍募集!として求人を出して、それに応募してきた連中と「X-FORCE」を結成するのだが、その中の一人で、ミュータントとしての能力は「運命操作(?)」。つまり、「ラッキーマン」的な彼女は、超ヤバイ状態でも無傷!みたいな超ラッキーに恵まれるという体質のお方。演じたのはZazie Beetzさんというお方で、今年の初めに観た『GEOSTORM』に出てたらしいす。サーセン、まったく覚えてませんでした……。
 とまあこんな感じで、他のキャラはもういいかな……なお、わたしは見ていて全然気が付かなかったですが、『X-FOCE』の中で、かなり有名な俳優がいたようです。エンドクレジットを眺めていて、えっ、マジかよ!? と驚いたっす。誰だか知りたい人は、ぜひ、劇場へお出かけください。
 最後に、監督について書いておこう。おそらく、本作を観てわたしが、ずいぶん前作からグレードアップしたなあ? と感じた最大の要因は、監督がDavid Leitch氏に代わったことなのではないかという気がした。『JOHN WICK』や『ATOMIC BLONDE』で魅せてくれた通り、この監督の作品はやっぱりアクションのキレがとても素晴らしいと思う。そして音楽の付け方もやっぱカッコイイすね。オープニングのタイトルバック(と言えばいいのか?)の007パクリ映像も、大変結構なお手前だったと思います。

 というわけで、もう書いておきたいことがないので結論。
 前作から2年、全世界待望? の『DEADPOOL2』が日本公開となったので、わたしもさっそく会社帰りに観てきたのだが、なんというか、とてもまともというか、ギャグばっかりで中身ナシ、では決してなく、ストーリーがちゃんとしっかりしていて、そう、「フツーに面白かった」す。普段のわたしなら、ここまでギャグ満載だと、くどいなあ、とか感じてしまうのに、本作はそんなことも特に感じず、実際とても楽しめた。それはおそらく、脚本やキャラクターがキッチリとしているためではないかと思う。そして、前作で一部感じられたチープさや、低予算感なんかは、もうほぼないすね。これはもう、立派なメジャー大作ですよ。実際のところプロダクション・バジェットは前作が58M$で今回は110M$と倍近くなってるわけだし、なにより、監督のDavid Leitch氏の手腕のような気もしますね。いやあ、面白かった。ただ、まだ現状ではUS国内興収は前作に劣るのかな……ま、まだUSでも2W目だし、これからなんすかね。『3』があることを祈ってます。つうか、さっさとDISNEY傘下にならないかなあ……。以上。

↓ まあ、やっぱりこの二つ観といた方がいいと思うけどな……わたしは2作とも、嫌いじゃないす。

グリーン・ランタン (字幕版)
ライアン・レイノルズ
2013-11-26

 このところ、WOWOWで録画した映画を全然観てねえなあ、ということに、ふと、昨日の夜気が付いた。まあ、実はここ数カ月、録画してから観たものの、イマイチな作品が多くて、このBlogに備忘録を記すまでもあるまい、と思った作品は何本か観ているのだが、特にこの1カ月ぐらいは、全然観ていない。恐らく、わたしの部屋がクソ暑くて、おまけにわたしが使っているTVが2008年に買った42インチのプラズマテレビであるためなのか、夏はどうもTVがクソ熱くなってさらに室温があがっているのでは? という疑惑があるため、暑い夏の夜に部屋でぼんやり2時間、クソ熱くなるプラズマTVを付けて、映画を観よう、という気にならんのが、現在のわたしの状況であった。どうでもいいけれど、今はもうプラズマってもう絶滅したんだろうか? とにかく、画面が熱いんすよね……。熱ッツ!というほどではないけれど、温かいと表現するより熱いと言うべきな程の発熱をするので、大変困る。
 しかし、昨日は、若干涼しかったし、こんな時間に寝ちまったらもう老人だよ……という時間だったので、そういう何もすることがない、けど寝るには早すぎる、という深い絶望と孤独と虚無に囚われたため、とりあえずHDDデッキを起動、どんなの録画して、まだ観てないんだっけ……と録画リストを眺めてみた。すると、おお、この作品は劇場で観たかったけど公開スクリーン数が少なくて見逃してたんだよなー、という、わたし好みのB級くさい作品がいくつか録画されていた。まあ、録画予約したのはわたし自身だが、そんなことは完璧忘れており、その中から昨日は、『SELF/LESS』(邦題:セルフレス/覚醒した記憶)という作品を観てみることにした。まあ、結論から言うと、アイディアは、今までもこういう作品はあったかもしれないけれど、十分面白い、けど、やっぱりちょっと微妙かなあ、という感想を持つに至ったのである。ちなみに調べてみると、US興行では全然売れず、評価もかなり低い残念ムービーと判定されているようである。

 物語はだいたい上記予告で示されている通りである。主人公はNYCの不動産王。しかしガンに蝕まれており、余命は幾ばくも無い。そんな彼の前に、別人の肉体に記憶を植え替える謎技術を持つ集団が現れる。そして新たな若い肉体を得た主人公だったが、徐々にその肉体は「元の記憶」を取り戻し始め―――てなお話である。
 こういった、姿と中身が別人、という映画は結構今までもあると思うが、わたしが真っ先に思い出したのは、ニコ様でお馴染みのNicolas Cage氏最高傑作とわたしが認定している『FACE/OFF』だ。あの作品はニコ様最高傑作であると同時に、John Woo監督最高傑作だとわたしは思うぐらい、大好きな作品だが、凶悪犯が仕掛けた爆弾のありかを探るために、凶悪犯の姿形に整形手術をして捜査するというトンデモストーリーで、まあ、何度観ても面白い娯楽活劇であることは間違いなかろう。
 というわけで、わたしは本作も、派手な娯楽アクションだろう、と勝手に思い込んで視聴を開始したのだが、その趣はだいぶ違っていて、SF……うーん、SFだろうけど、なんと言えばいいのか……まあ要するに、キャラクターに感情移入しにくい微妙なお話であったのである。どう微妙に思ったか、各キャラを紹介しながらまとめてみようと思う。以下、完全ネタバレ満載になるはずなので、気になる方は読まないでください。
 ◆主人公ダミアン:演じたのは、ガンジーでお馴染みのSir Ben Kingsley氏。演技自体は極めて上質なのは間違いない。NYCで不動産王として財を成したが、娘はそんな仕事一徹の父に反発して出て行ってしまい、しがない(としか言いようがない)NPOを主宰している。ダミアンとしては、死が迫る中、娘と和解したいのだが、娘は全く相手をしてくれず、実にしょんぼり。わたしは観ていて、この娘に対してまったく好感をもてなかった(そもそもあまり可愛くない)。そして、そんな「やり残したこと(=娘との和解)がある」といった思いを抱くダミアンは、とあるルートから聞いた「脱皮(=Shedding)」技術を用いて若き肉体を手に入れる。なのでSir Kingsleyの出番はそこまで。そこからは、若い肉体としてのダミアンをDEADPOOLでお馴染みのRyan Reynolds氏が演じる。
 問題は、まず、ダミアンはその若き肉体がどのように提供されたのか知らない点で、誰がどう考えたって、どっかの男が死んだか、(自らの意志で)金で提供したか、(自らの意志によらず)無理矢理ドナーとされてしまったか、どれかであろうことは想像がつくはずだ(とあるキャラは、クローン培養または試験管受精で培養された素体だと信じていた。そんなバカな!)。要するに、その提供された肉体には、その元の「記憶」はなくても「過去」があるのは当然で、遺族とか、その「過去」を知る人間がいるだろうことは、容易に想像がつく。
 わたしは、ダミアンはそれを承知で「脱皮」技術を受け入れたんだろう、と思っていたのだが、どうもそうではないようで、新たな肉体に宿る「過去」のフラッシュバックを見るようになってから、初めて、あ、元のこの体の持ち主にも奥さんや娘がいたのか、と知って動揺するのである。いやいやいや、そりゃそういうこともあり得るでしょうよ、今さら何言ってんの? とわたしはその時点で大分白けてしまったような気がする。そもそも、肉体を提供した男は、娘の難病治療のためにどうしても金が欲しくて、自らの命と引き換えに金を得た男である。覚悟は完了していたはずだ。そして妻は夫が死んだことしか知らず、その保険金と思って得た金で、娘はすっかり元気になって、新たな生活を始めていたんだから、いまさら夫の姿をした(中身はダミアンの)男が妻と娘の前に現れても、混乱を引き起こすだけで何の意味もないんじゃないの? と心の冷たいわたしは観ながら感じたのである。つまり、ダミアン自身に覚悟が足りなかったわけだな、というわけで、ラストのダミアンの選択は実に美しく泣かせる決断なのかもしれないけれど、わたしとしては、ううーーーむ……と素直には感動? できなかったす。
 わたしだったら、そうだなあ、例えばダミアンは、自ら隠した遺産目当ての連中(例えば実の息子でもいい)によって無理矢理に、事故かなんかで亡くなった若い男の体に転生させられてしまって、その遺産争奪バトルが勃発、一方では、事故で夫を亡くした未亡人と再会し(あるいはバカ息子の彼女でもいい)、よろしくやる、的な展開を考えるかなあ……はっ!? いかん、全然面白そうじゃない! ダメだ、わたしの才能ではどうすれば面白くなったか、対案が出せん……。とにかく、他人の体に記憶を植える、中身と体が別人、というアイディア自体は大変面白いけれど、どうもノれなかったす。
 ◆元の肉体の持ち主、の妻と娘:まず、妻を演じたのはNatalie Martinez嬢という方だが、知らないなあ……一応、わたしが大好きなJason Statham兄貴の『DEATH RACE』のヒロインを演じた人みたいだけど憶えてない……。そして今回のキャラとしては、とにかく主人公の話をまともに聞こうとしないでギャーギャーいうだけだったような……そりゃあ、混乱してそうなるだろうとは理解できるけれど、ほとんど物語に何の寄与もしない。そして主人公がこの妻に対してやけに同情的なのも、「娘を持つ親」という共通点ぐらいで、どうもスッキリしなかった。なにより、妻も娘も、ビジュアル的にあまりかわいくないというか……サーセン、これはわたしの趣味じゃないってだけの話ですので割愛。
 ◆謎組織の謎技術:まず組織の長であるオルブライトを演じたのが、Matthew Goode氏で、わたしは彼の特徴のあるシルエット(体形?)で、一発で、あ、この人、あの人だ! と分かった。そう、彼は、わたしのオールタイム・ベストに入る超傑作『WATCHMEN』のオジマンディアスを演じたお方ですよ。妙にひょろっとしていて、やけに背が高く、顔が小さいという特徴あるお方ですな。このオルブライトというキャラは、作中では一番ブレがなく、分かりやすかったと思う。実は彼こそが、この謎の「脱皮」技術の考案者の博士で、既に自身も弟子の若い研究者の体を乗っ取って(?)いたというのは、大変良い展開だと感じたけれど、一番のキモとなる、脱皮者が元の記憶を消すために服用し続けなければならない薬、のレシピが結構あっさりばれてしまうのは、ちょっと脚本的にいただけなかったのではなかろうか。あの薬は、主人公にとっていわば「人質」であったわけで、主人公としてはどうしてもオルブライトの支配から抜け出せない状態に置かれる鍵だったのだから、あの扱いは大変もったいないと感じた。あんな薬のレシピなんて、化学的に解明される必要はぜんぜんなく、そもそも「脱皮」自体が謎技術なんだから、薬だけちゃんと解明されるのは実に変だと思う。
 とまあ、どうやらわたしが本作を微妙だと感じたのは、1)女性キャストが可愛くない(→これは完全なわたしの言いがかりなのでごめんなさい) 2)主人公ダミアンの思考がイマイチ甘い 3)キモとなる薬が意外と現実的で世界観から浮いている。といった点から来ているのではないかと思われる。
 ただ、元の主人公ダミアンを演じたSir Kingsley氏や、若い肉体となったダミアンを演じたRyan Reynolds氏の演技ぶりは大変良くて、その点においてはまったく不満はなく、素晴らしかったと称賛したいと思う。脚本がなあ……イマイチだったすねえ……。なお、監督はインド人のTarsem Singh氏というお方で、『The Cell』で名声を挙げた監督のようです。この監督の作品でわたしが過去に観たのはその『The Cell』と『Immortals』ぐらいかな……本作においては、その演出に関してはとりわけここはすごいと思うところはなかったけれど、謎装置のセットや、あと衣装かな、そういった美術面のセンスは大変イイものをお持ちだとお見受けしました。画はスタイリッシュだと思います。

 というわけで、もう結論。
 劇場公開時にスクリーン数が少なくて見逃していた『SELF/LESS』という映画がWOWOWで放送されたので、録画して観てみたところ、まあ、結論としてはWOWOWで十分だったかな、という微妙作であった。他人の体に人格を移すというアイディアは大変面白いのだが、どうも……焦点はその元の体の持ち主の記憶、の方に寄っていて、しかもその記憶は別に特別なものではなく、普通の男の記憶であって、記憶自体ではなく、その記憶を見た主人公がどう行動するか、という点に重点が置かれている、と説明が難しいというか、軸がぶれているというか、とにかく微妙、であった。でもまあ、実際予告を見た時に気になっていたので、観ることができて大変良かったと存じます。主役のSir KingsleyもRyan Reynolds氏も、芝居としては大変な熱演でありました。以上。

↓ やっぱり「入れ替わりモノ」としてはコイツが最高だと思います。
フェイス/オフ [Blu-ray]
ジョン・トラボルタ
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
2010-12-22

 何度もこのBlogで書いている通り、80年代に中高生として青春を送ったわたしであるが、当時からすでに、順調に映画オタクの道を究めんと精進していたわたしは、当時のいわゆる「角川映画」が大好物であった。もちろんわたしがいまだに一番好きな芸能人は、原田知世様一択なのだが、一方で、男として、この人はホントカッコイイな、とずっとあこがれ続けたのが、今やすっかりハリウッドスターとして活躍を続けている真田広之氏である。わたしは高校3年の時に、本気でJACに入ろうと思い、わざわざ恵比寿に当時あったJACの事務所に入所手続きの書類をもらいに行ったことがあるほど、千葉真一氏と真田広之氏は今でも大ファンである。
 まあ、映画好きな方なら、真田広之氏の現在の活躍はもうお馴染みだと思うが、半年ぐらい前に、わたしはとある映画のUS版予告編を観て、非常に興奮したのである。その作品が、わたしが今日観てきた『LIFE』だ。なんと真田広之氏以外にも、『DEADPOOL』でおなじみのRyan Reynolds氏や、わたしの大好きなJake Gyllenhaal氏など有名スターとの共演で、舞台は宇宙、どうやら未知の生命体とのお話らしいことを知って、わたしはもう、こいつは観ないとダメだ! と思ったのである。しかし、残念ながらUS興業ではあまり売れず、ほぼ話題にもならず、こりゃあ日本公開はないかもな……と思っていたところで、わたし的には結構突然、日本公開が決まり、今日の初日にわくわくしながら劇場へ赴いた次第である。そして結論から言うと、少しだけ惜しいようなポイントはあるけれど、映像的にも役者陣の熱演においても、かなり楽しめる良策であることが判明した。これは面白い、が、若干ありがちな展開で、オレだったらここは脚本会議で問題ありと指摘するだろうな……と思うような点がいくつかあった。まあ、いつもの言うだけ詐欺で対案が思い浮かばないので、映画オタの戯言と思っていただければと存じます。
 というわけで、以下、備忘録として誰がどんな最期を迎えたか、まで書いてしまうので、ネタバレが困る方は決して読まないでください。

 物語は、まあ、上記予告を見て想像できる通りのお話であるといっていいだろう。舞台はISS船内。冒頭、火星の地表から採取されたサンプルを積んだ無人船を、ISSがキャッチするところから始まる。この冒頭のシーンは、5分以上あると思うのだが、完全にワンカット(のように見えるだけかな)の長回しで、おまけにISS内の無重力状態を反映して、極めて自由にふわふわと漂うか如くに、ISSの6人のクルーたちの活動を追っていく。非常にクオリティの高い撮影技術とVFXで、もう冒頭からかなり期待感と緊張感があふれる出来になっている。
 そして無事回収したサンプルの解析作業に入るクルーたち。するとその中から、1個の単細胞生物が発見される。それは細胞膜と細胞壁を備え、核が存在している、ゾウリムシ的なものだったが、活動を停止していたため、厳重に隔離したラボ(=日本がISSにドッキングさせた「きぼう」。これがあったので日本人キャストを入れたんでしょう、たぶん)内で、温度を上げたり酸素を供給したり、と実験しているうちに、とうとうその細胞は目覚め、活動をはじめる。人類初の地球外生命の発見に沸くクルーや地球の人々。NYCのタイムズスクウェアで大々的なTV中継までされて、子供たちに公募した名称「カルビン」という名がその単細胞生物に与えられる。しかし、まだその時、クルーたちは誰も予想していなかった。カルビンは生物であり、それはすなわち、「生きるため」に必要な酸素やエネルギーを、貪欲に欲する存在であることを……てなお話である。
 要するに、例えていうと『ALIEN』と『GRAVITY』が合体したようなお話なのだが、大変スリリングで面白かった。まずは、6名のクルーを書き記しておこう。ええ、はっきり言って完全なBAD-ENDです。そこにわたしはケチをつけたいような気がするんすよね……。
 ◆ローリー:第1の犠牲者。役割的にはパイロット兼メカニック、かな? いろいろ修理したり船外活動もする陽気なアメリカ人。演じたのはRyan Reynolds氏。結構冒頭で殉職。元々は、うっかり野郎の生物学者を助けるために、勇敢にラボに突入し、生物学者は助けるのだが、代わりに犠牲になってしまう。実に可哀想。
 ◆キャット:第2の犠牲者。ミッションオフィサーたる勇敢なリーダーのロシア人女性。ロシアなまりの英語がセクシーな美女。演じたのはOliga Dihovichnayaさんという知らない方。壊れた通信装置の修理のため、船外活動をしているときに襲われ殉職。カルビンを船内に入れないため、勇敢な決断を下す立派なリーダー。しかしわたしは「あれっ!? 宇宙空間に耐えられるって、極低温・無酸素に耐えられる生物なのかよ?」とびっくりしたが、「奴は酸素をある程度体内に貯められるんだ……」的な解説セリフだけで流された。えーと……だとしたら後半の「閉じ込め→酸素供給を断つ」の作戦は何だったんだ……
 ◆ヒュー:第3の犠牲者。生物学者のイギリス人。眼鏡の黒人のおじさん。どうやら地球では車いすが必須な方らしい。演じたのはAriyon Bakare氏。この方も知らないなあ。キャラとしては、カルビンに愛情を注ぎ、ラボの研究主任として一番カルビンに触れる役割なのだが、ある時ちょっとしたミスでラボの環境を崩してしまい、また活動停止に陥ったカルビンに、軽い電気ショックを与えてみよう、と言い出し、みんなが気をつけろ、と言ってるのにまんまとカルビンの攻撃本能を刺激してしまい、最初に襲われ右手をボッキボキに砕かれてしまう(が、前述のようにローリーの英雄的行動で助かる)。その後、普通にしていたが突如弱りだし、なんだなんだと調べてみると、足にカルビンが寄生していて……という最期を遂げる。ただ、この時、カルビン探しで生き残っていたクルーたちは懸命になっていたのに、いつの間にか足にくっついていたのは突然すぎて若干変だと思った。わたしは、実は最初にヒューを襲った時に分裂していて、2体になっていた!のかと思ったがどうもそうではない模様。実際良く分からん。
 ◆ショウ:第4の犠牲者。日本人のシステムエンジニア。演じたのは我らが真田広之氏。みんなに頼られる知恵袋的存在。地球では奥さんがまさに出産するところで、生まれたときはみんなが祝福してくれた。ショウは、カルビンから逃げるときに、敢えて自分を追わせるように別ルートをとって隠れるが、そのことで、ISSにドッキングしてきた船を救援隊と勘違いし(本当は、カルビンのいるISSを地球降下軌道に入れないために、ISSに強制着艦して軌道を変えようとした船だった)、ハッチで待ち伏せていた?カルビンに襲われ、残りの二人を救うために自らおとりとなって殉職。
 ◆デヴィット&ミランダ:デヴィットはアメリカ人医師(演じたのはJake Gyllenhaal氏)で、宇宙滞在470日を超えるベテラン。元軍医でシリアにも派兵されたことがある。戦地での経験や、10日前まで赴任していた学校(病院だっけ?)が破壊されたりという経験から争いを嫌い、地球の人々を80億の馬鹿ども、と軽蔑しているようなキャラ。ミランダはイギリス人検疫官(演じたのはRebecca Fergusonさん)で、ずっと、「隔離」の重要性をクルーに説き、カルビンに対しても、最初から未知の脅威とみなしていた。第1の隔離が培養器、第2の隔離がラボ=きぼう、それらが破られたとき、第3の隔離としてISS全体を、絶対に地球に降下させてはならないとして、1人乗りの救命艇×2機を使って二人は最後の決断を下すのだが―――!! という展開になる。
 というわけで、物語の端々に、若干良く分からないところがあって、微妙にアレなのだが、狭い閉鎖空間での緊張感ある展開は最後まで飽きさせず、大変お見事であったと思う。ただラストは、ホラー映画にありがちな、終わったと思ったら実は終わってませんでした!というもので、まあズバリ想定内であり、後味はあまり良くない。なんか、基本的にカルビンが圧倒的に有利、というか追い詰められてばかりで、もっと明確に、人類の知恵を駆使した反撃がわたしとしては欲しかったと思う。その点が一番残念かな。せっかく最強の頭脳を持つ人々なんだから、もっと戦えてしかるべきだったような気がする。
 最後に監督についえメモして終わりにしよう。本作を撮ったのは、スウェーデン人のDaniel Espinosa氏で、『Child 44』を撮った監督さんですな。まだ40歳だって。若いなあ! 演出的には、まさしく『ALIEN』を撮った若き日のSir Ridley Scott監督のような、画としてきれいでキレのある演出であったとは思う。日本人で、40歳で、このレベルの作品を撮れる監督は一人もいないだろうな。そして本作は、エンドクレジットによるとILM謹製のハイクオリティCGなので、質感も申し分なしでありました。惜しむらくは脚本が……もうちょっときぼうのある終わり方であってほしかったかな……変にホラー的なオチはつけなくてもよかったのにね……という気がしてならないす。スッキリしたかったなあ。

 というわけで、結論。
 今日から公開になった『LIFE』という作品は、我らが真田広之さんが大活躍するSF作品で、映像そのもののクオリティは極めて上質で素晴らしいのは間違いないし、豪華キャストといってもいいだろう。しかし、お話は、実際ありがちでこういう作品はこれまでにもいっぱいあったわけで、もうひとひねり、オリジナリティがあってほしかったかもなあ、という気はした。そういう意味でわたしは、ほんの少し微妙、という判定をせざるを得ないけれど、おそらく誰が観ても楽しめる一級品だと思いますので、ええ、結論としては、実際面白かったし、おススメです。はい。日本政府はきぼうをISSに送っといてよかったね。それがなければ、きっとまた中国人が出てきたんじゃないかしら。真田広之さんは現在56歳だそうだが、相変わらず、イケメンのかっこいいおじさんとして存在感のある熱演でありました。以上。

↓ まさかこの2作を観てないなんて言わないすよね? 両作ともに最高です。
ゼロ・グラビティ(字幕版)
サンドラ・ブロック
2014-04-09


 というわけで2017年になりました。はー。やれやれ。。。
 ところで、わたしは絵画鑑賞もかなり好きだということは、さんざんこのBlogでも書いてきたが、2015年の秋にNYCへ行ったときは、その一番の目的はBroadwayミュージカルの観賞だったけれど、それと同じくらい楽しみだったのが、The Metropolitan Museumの鑑賞であった。そして初めて体験したMETに収蔵されている芸術作品の質と量に圧倒され、とにかく大興奮となったのである。とにかくすごい量だし、作品も超メジャーがずらりと勢ぞろいであった。
 わたしの好きな絵画の三大作家は、ゴッホ・ターナー・マグリットであることは散々このBlogでも書いてきたが、このMETへ行ってきたときに、一番気に入った作品は以前書いた通り↓これである。
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 これは、19世紀末~20世紀初頭のウィーンを代表する作家Gustav Klimtによる、「Portrait of Mada Primavesi」という作品で、クリムトのパトロンであり、実業家で銀行家のプリマヴェージ家の娘さんを描いたものだ。わたしは、Klimtといえば、絢爛で金色のイメージがあったので、Klimtにこんな可愛らしいポップな作品があったんだ、と非常に驚いた。すごい現代的で、Kawaiiカルチャーに通じるものがありますよね、これは。
 この作品は1912年制作だそうで、モデルのメーダちゃんは9歳だそうです。つまり、メーダちゃんは1903年生まれであり、父はその後1926年に亡くなって、銀行も破産してしまったらしいが、銀行家ということでユダヤ系であったのかもしれない。だとすると、メーダちゃんはナチス台頭期に30代に入ってたわけで、無事に2次大戦を生き残ることができたのか、大変心配になってくる。
 何が言いたいかというと、わたしが普段、美術館でうっとり眺める絵画に描かれた人物たちは、もちろんのことながら実在した人間を描いたものが多いわけで、それら、絵画のモデルとなった人々が、その後どんな人生を送ったのか、そして、20世紀の作品であれば現在も生きてどこかに暮らしている場合も十分あり得るわけで、そういった想像を働かせると、より一層面白いというか、興味深いと思うわけであります。
 で。昨日の大みそか、HDDに貯まっている映画を片付けていこう大会を実施しているわたしが、この映画で2016年を締めくくるか、と選んだ作品が『WOMAN IN GOLD』(邦題:黄金のアデーレ 名画の帰還)という作品であります。まさしく、Klimtの名画としておなじみの、『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』(Portrait of Adele Bloch-Bauer I)を題材にした映画である。

 物語は、上記予告の通りといってよかろう。なんとあの名画のモデル、アデーレ女史の姪っ子が、その所有権をめぐって法廷闘争するというお話である。しかもこれは実話だ。非常に興味深いお話であった。
 一応、この映画がもし完璧に事実に忠実に描かれているのなら、という前提付きだけれど、主人公の主張はそれが証明できるなら明確な法的根拠となるだろうし、その想いも十分に理解できるものだと思う。実際に、裁判の結果、作品は主人公の元に戻るわけだし。
 しかし、わたしがこの映画で一番の見どころだと思ったのは、そういった法的な問題や絵画の行方ではなく、主人公の老女が抱く、故国オーストリアへの愛と憎しみだ。彼女はユダヤとして両親や親せきを殺され、自らは間一髪でアメリカに逃れ、アメリカ人として戦後を生きてきた過去を持つ女性だ。彼女は、「助けてくれなかった」どころか、ナチスを歓迎して「積極的に受け入れた」(としか主人公には見えない)故国が許せない。そんな故国には、もう二度と帰らないと心に決めていたのだ。それほど故国が憎い。実際に絵を奪ったのはナチスであるけれど、それを援助したのは紛れもなく当時のオーストリアという国家と、大勢の国民であり、それが、戦後、この絵は我が国のモナリザです、なんて飾っていてはそりゃあ腹も立つだろう。だから少なからず、復讐の気持ちもあったに違いない。彼女にとっては、ナチスもオーストリアも同罪なのだから。
 しかしそれでも、である。一大決心のもとに、二度と帰らないと心に決めていたウィーンに降り立った彼女の心情は、当たり前だけれど懐かしさと故郷に対する郷愁でいっぱいになる。そりゃあそうだ。誰だって、かつて生まれ育ち、結婚式を挙げた場所を前にしたら、心がいっぱいになるはずだ。ここの場面の主役のお婆ちゃんを演じたHelen Mirrenさんの表情は素晴らしかったと思う。現在71歳。本当にこの人はきれいなお婆ちゃんだなあと思う。2006年の『Queen』でエリザベス女王を演じ、アカデミー主演女優賞を獲得した彼女は、何とも言えない上品さが漂っていて、お父さんはロシア革命で亡命してきた元ロシア貴族なんだそうですな。本物、っすね、ある意味。この映画は、たぶんHelenさんが演じないとダメだったように思えます。『RED』なんかでは、ハジけたところのある元気な元暗殺者のお婆ちゃんをコミカルに演じてたのが印象的すね。
 ほかにも、主人公の甥っ子として、冴えない弁護士を演じたのが、『Deadpool』でイカレた主人公を演じたRyan Reynolds氏。今回は非常にまじめな普通の男をしみじみと演じています。そこも見どころかもしれないす。コイツは、わたしの審美眼からすると別にイケメンではないけれど、まあ大活躍ですな。コイツの奥さんはBlake Lively嬢です。非常にうらやまけしからん野郎ですよ。ちなみにその弁護士の甥っ子は、Schönbergという苗字で、まさしく12音技法で有名なあの、Arnold Schönberg(彼も同じく亡命ユダヤ人としてアメリカに移住)の孫にあたる人物だそうだ。すげえよなあ、初めて知って驚きました。
 あと、主人公のお婆ちゃんの若き頃を演じたTatiana Maslany嬢も非常にかわいらしくて良かったすね。本作は現在のお婆ちゃんとなったアメリカ人の主人公と、その若きころの回想が折重なって語られるわけだけれど、ほんの70年前に起こった出来事なわけで、まだまだ実際に生存者は数多くいるし、もはや歴史、と我々なんかは思ってしまうけれど、まだまだ終わっていない、現在と地続きの過去なんだなあ、という思いが深まった。

 わたしは、オーストリアに降り立った主人公のお婆ちゃんが、役人に対して、ドイツ語ではしゃべりません、英語でお願いします。と毅然と言うシーンがとても心に残った。お婆ちゃんの願いは、実際のところ、絵の返還というよりも、オーストリア政府による謝罪、だったのだろう。それを絵の返還という形で示せ、ということだと思う。まあ、一応、そのようになったわけだが、オーストリア政府は嫌々ながらも応じずにはいられなくなっただけなので、明確な謝罪はない。でもまあ、返還するというところが落としどころってことなんでしょうな。
 しかし、他にもこの映画には、絵のモデルとなった、きれいで優しい叔母、アデーレがモデルになったときも身に着けていた金の首飾りが、主人公に贈られたのちに、家に押し入ってきたナチスの兵士に奪われ、ヒムラー(だったっけ?)のものとなったこと、とか、さらにこの絵が、ヒトラーの別荘であるベルクホーフで見つかったこと、とか、そういった、絵の背後にある歴史を色々と教えてくれる。そういうことを知ると、ホント、絵画を観るときの想いがまた変わりますね。
 わたしは、絵画は風景も人物もともに好きだけれど、やっぱり風景でも人物でも、そのとき作家が見つめていたはずの現地・人にとても興味を抱く。この映画は、そんな妄想をするのがある意味趣味のわたしには、とても興味深く、面白い映画でありました。

 というわけで、結論。
 『WOMAN IN GOLD』(邦題:黄金のアデーレ 名画の帰還)は、Helen Mirrenおばあちゃんの魅力にあふれた素晴らしい映画であった。そして絵画の背景にある歴史も、非常に重く、とりわけ20世紀初頭からナチス台頭期という大きな歴史のうねりに巻き込まれた物語はとても見ごたえがあったと思う。ちなみに本作の真の主役であるKlimtの『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』(Portrait of Adele Bloch-Bauer I)は、NYCのNeue Galerieで観られるそうです。くっそう、METのすぐそばだったのか……観に行きゃあ良かった……!! 今年、もう一回またNYCに行こうかしら……。以上。

↓ こういうポスターを買って、きちんと額装して飾るのも乙かもしれないすね。本物はかなりデカい作品でしたよ。

 というわけで、US国内で大ヒット中の『DEAD POOL』をやっと観てきた。
 日本でも、公開土日は結構稼ぎ、恐らくは15億は越える、そして20億もあり得なくない、というような数字で開幕したわけだが、わたしは平日の夜の渋谷TOHOシネマズでいつもの通りボッチ鑑賞としゃれ込んでみたところ、さすがに渋谷だけあって、歳若い男女カップルで意外と賑わっていたのを目撃したのである。
 しかし、である。残念ながら劇場でゲラゲラ笑っているのはわたしだけ、渋谷の若者どもは実におとなしくスクリーンを見つめるという奇妙な状況でもあった。まあ、そりゃそうだろう、と思う。何しろこの映画、恐ろしく玄人向けであり、少なくとも映画道の有段者クラスでないとまったく笑いどころが分からない、極めて難しい映画だな、とわたしは思ったからだ。これは……映画道三段ぐらいの黒帯じゃないと、まあ、まったく面白くないでしょうな。というのがわたしの結論である。ちなみにわたしも、結構な頻度で繰り出されるギャグにかなり笑わせてもらったが、まあ、正直、全然人におススメしたくなるような作品ではなかったというのが正直な感想だ。というわけで、以下、ネタバレ全開です。

 まず、DEADPOOLがしゃべりまくる細かいネタは、映画道黒帯でないと意味が分からないだろうし、それを公式サイトで「トリビア」としてまとめているのは、まあ、実際のところ、無駄な努力だろう。誰も事前に読みはしないし、映画を観ている最中に理解しないと面白くもなんともないので、ド素人のゆとりKIDSには通じるはずもない。そもそも、「解説」される時点でギャグとしてはもう寒いだろうし。それよりも、最低限、以下の2つのポイントを知らないと、ダメだと思う。おそらく、渋谷に集う平成ゆとりKIDSたちは、劇場でのリアクションから察するに、まったく知らないのだろう。つまりは、残念ながら20th Century FOXは、日本におけるプロモーションの方向性を完全に誤っているんだろうな、と思った。

 1)そもそも、DEAD POOLって何者?
 原作的な詳しい設定は、Wikiでも読むか、パンフレットを買って読んでいただくとして(パンフレットはかなり詳しい解説があるので、大変読み応えアリ)、ま、要するに「X-MEN」に出てくる、(人工的に作られた)ミュータントだということである。この点で、早くも日本の平成KIDSたちには、頭の中に「?」が浮かぶことだろう。すなわち、「X-MENって?」「ミュータントって?」という根本的な「?」だ。コレが分かってないと話にならないと思う。が、めんどくさいのでもうここではそれらについて説明しません。
 そして恐らく、20th Century FOXも、日本でそれら(US国内ではまったく説明を要しないで当たり前に知っていること)を説明することは完全にあきらめたのだと思う。故に、妙なDEADPOOLの言動だけ告知し、一人称を「俺ちゃん」と訳すことで平成KIDSどもに向けたある意味でのローカライズを意図したと思うのだが、それではダメだ。まったく本質からズレていると言わざるを得ない。
 おそらく、この映画を楽しんでもらうには、別に原作を読んでもらわなくてもいいので、少なくとも映画の「X-MEN」シリーズの何本かを観ておくべきであろうと思う。なので、わたしが20th Century FOXの関係者なら、おそらく過去の映画を期間限定でもいいから、いろいろなWebサイトで無料配信して、まずはタダでも観て知ってもらうことを優先したと思う。そしてもっと「X-MEN」について認知を広め深める方向のプロモーションを企画しただろう。もうとっくに投資回収されている映画だし、夏には本編の『X-MEN:Apocalypse』の公開が迫っているのだから。きちんと、まずは基盤となる「X-MEN」を知らしめるべきだったとわたしは思う。
 思うに、今回の作品を楽しむには、映画版の「X-MEN」シリーズは全部観なくていけれど、最低限『X-MEN』『X-MEN2』『X-MEN Origins:Wolvarine』ぐらいは観ておいたほうがいいんじゃないかな。「1」を観れば、だいたい「X-MEN」が何なのかぼんやり分かるだろうし、『Wolvarine』には、まったく違う性格のDEADPOOL(となる前のWeapon-X)も出てるし。しかも演じたのは今回DEADPOOLを演じたRyan Reynolds氏本人だし。これらを観ていれば、今回の背景も少し理解が深まるのは間違いなかろう。今回出てくる全身金属のミュータントであるコロッサスは「X-MEN」の映画で言うと『3』と『Days of Future Past』にも出てくるしね。あ、『2』にも出てたっけ。
 しかし、DEADPOOLに関していえば、今回の映画での性格が、原作的には一番近いと言っていいと思う。何しろ、彼に備わった能力で、他にない唯一の力(?)と言えるものが、「第4の壁の突破」能力だからだ。普通の人には、なんのこっちゃ? だよね。そう、彼は、自分がコミック世界のキャラであることを認識していて、(作品世界と現実世界の壁を突破して)頻繁に読者に向けて語りかけるのだ。これがまあ、今回の映画でも炸裂していて、頻繁にカメラに向かって(=観客に向かって)ペラペラしゃべりまくるわけである。なお、彼のあだ名である「Merc with a mouth」とは、「おしゃべりな傭兵」のことで、Merc=Mercenary=傭兵である。コミックのタイトルでもあります。
デッドプール:マーク・ウィズ・ア・マウス (ShoPro Books)
ヴィクター・ギシュラー
小学館集英社プロダクション
2013-09-28

 とにかくおしゃべり野郎なのは、今回の映画の通りで、まあ、無理やりミュータントにされちゃったかわいそうな、そしてイカレた男なんだけれど、れっきとしたMARVELキャラなので、Avengersにも参加したことがあるし、なにかとSPIDER-MANとも絡んでくるおかしな野郎である。ちなみに、今回の映画でもさんざん銃で撃たれても治っちゃったり、腕が生えてきたりするけれど、これは、原作的な設定では、Wolvarineの能力(=治癒能力=ヒーリング・ファクター)を注射されているから。今回、ラストで恋人の前でマスクを取ったらその下にHugh Jackman氏の写真を顔に貼り付けていたというシーンがあるけど、あそこは爆笑していいシーンです。えっ!? ここまで書いても何故笑えるか分からない!? もう……あなた……なんでこの映画を観に行こうと思ったの……? その方がオレにはわからんわ!! わたしはもちろん吹きました、が、館内シーン、でした。
 というわけで、それなりの知識がどうしても必要な映画であることは間違いないと思います。
 
 2)そもそも、演じたRyan Reynolds氏って誰?
 この点については、まあ、あまり重要ではないとは思うけれど、上で書いた通り、【既に別の映画で1回DEAD POOLを演じていること(ただし性格は全然違う)】と、【DCヒーローのGreenLantarnを演じた】ということだけ知っていればいいかなと思う。これは、映画道・黒帯でなくとも既に知っている人も多い事実であろう。ごく初歩的な常識と言ってもいい。もっとも、この常識を知っていても、それほどDEADPOOLが面白くなるわけではないので、自分で書いておいてアレですが、実際どうでもいいかもしれない。今回、緑のコスチュームは勘弁、と言っているのは、もちろんGreen Lantarnのことだ。しかし、このギャグにはわたしはちょっとイラッとした。お前、自分の出た映画批判するぐらいならなんで出たんだよ、嫌なら断れよ!! と思ってしまったわけで、わたし的には映画『Green Lantarn』はそれほど酷評されるいわれはないと思っている。あの映画、相当真面目に作られていると思うのだが……。問題は、そもそもの原作がイマイチなだけで、映画としては十分アリだと思う。なお、ギャグネタがらみの『Blade3』に出演してたことはもうどうでもいいや。
 しかし……そもそもこの人、イケメン……なんですかね? わたしにはちょっと分からんというか……なんか、若干特徴がありますよね。何なんだろう……若干寄り目なのかな? 正直、わたしの審美眼からすれば、この人はどっちかっつーとイケてないと思うのだが、おそらく、わたしがこの人の芝居で一番印象的だったのは、Sandra Bullockさんと出演した『The Proposal』じゃなかろうか。日本での公開タイトルは『あなたは私の婿になる』という作品で、どうやら世間的評価は低い作品のようだが、わたしは、まあロマンチックコメディとして結構面白かったと思っている。

 というわけで、以上のことを知らない平成KIDSどもが観て楽しめたのかどうかはわたしには良く分からない。なので、そういう背景をまったく考慮せずにこの映画はどうだったのか、と考えると、はっきり言えばごく普通のB級アクション以上のものではないと言えるだろうと思う。物語を要約するとこうなる。
 街の傭兵として生きる男が、ある日とある女性と恋に落ちる。が、これまたある日、自分が重篤なガンにかかっていることも判明する。すると、ある男が、ガンを治せる方法がありますよ、と近づく。胡散臭い野郎で得体が知れないけど、まあ、それじゃお願いしますわ、とその男の元へ行く。すると、謎の注射をされる。そして、注射した謎物質を活性化させるためには、肉体的な苦痛を与えないとダメ、とあと出しじゃんけんで言われ、拷問される。で、散々拷問を受け、どういうわけかあらゆる傷も治っちゃう無敵BODYを手に入れる。が、その代償として、全身ケロイドめいたagryな姿に。どういうこっちゃ、あの野郎、ゆるさねえ、オレの顔と体を綺麗に戻しやがれ!! と復讐する。
 とまあ、こんなお話である。ね、普通ッショ。つか、B級臭がぷんぷん漂ってますな。それでも、やっぱり面白くて笑えるのは、どう考えても、主人公DEADPOOLがX-MENキャラで有名だからという理由以外ないと思うのだが、それを知らない人が観て面白いのか、わたしにはさっぱり分からんのである。会話としての面白さは、連射されるギャグの元ネタが分からないとダメだろうし、物語的な面白さはそもそもの背景を知らないとわからんだろうし……しかし映像はとても良かったし、その点では、低予算映画と言ってもやはり非常にクオリティは高くて、見ごたえは十分である。本作は、どうやら予算規模は5800万$(=約62億円)だそうで、今やMARVELヒーロー映画は1.5億$~2億$が当たり前なので、邦画の予算からすれば62億円は巨額で邦画なら10本は撮れてしまうけれど、ハリウッド的には、普通かやや安いぐらいの予算規模といえるだろう。
 また、ストーリー展開も、大乱闘のワンシーンから、なんでこんなことになった? と時が巻き戻る形式で、実際良くあるパターンではあるが、これはいわゆるハードボイルド小説なんかでよく使われる手で、主人公の一人称によるぼやきも含め、意外とDEADPOOLというキャラクターにマッチしていて、小気味良い演出であったと思う。まあ、その辺も、平成ゆとりKIDSどもにはまったく通じないと思いますが。

 というわけで、もう飽きてきたのでぶった切りで結論。
 映画『DEADPOOL』という作品は、はっきり言って玄人向けである。映画道・三段以上の黒帯所持者向けであり、白帯の初心者には太刀打ちできないと思う。なので、まずはきちんと勉強してから観てもらいたい作品だな、と思うのである。ちなみに、なんですが、わたしが一番笑ってしまったのは、「ワムじゃねえよ、ワァムッ!だよ!! もう、わかってねぇなー」という台詞でした。まったくその通りだと思います。以上。

 ※2016/06/20追記:3週目までで興行収入的には15億を超えているようなので、さんざんわたしは日本の若者にはどうなんだろう、と書いてきたけれど、全然平気のようで、きっちり売れている模様。そういうもんなんだなあ……わかってねえのはわたしでした。


↓ そもそも、映画道・黒帯の有段者にとって、DEAD POOLと聞いたら先にこっちが思い浮かぶはずです。こちらは、わたしとしてはシリーズで一番……イマイチかなあ……。わたしは字幕絶対主義者ですが、イーストウッドの古い作品は、やっぱり「不機嫌なルパン」こと山田康雄さんに限りますね。
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