このBlogでずっと書いているように、わたしはMCU、すなわちMarvel Cinematic Universの一連の作品が好きで、ずっと観続けているわけですが、現在進行中のPHASE-4に関しては、正直、なんかなあ……という気持ちでおりました。
というのも、PHASE-3までは、インフィニティ・ストーンをめぐる物語ということで、その軸がしっかりと設定されていて、ブレがなかったわけですが、どうもPHASE-4に入ってからは、その軸が見当たらず、場当たり的な印象を受けるから、であります。一言で言えば、(現状では)つながりが見えない、ということです。
とはいえ、恐らくは今後の進行によって、そういうことだったのか!! と我が頭脳の愚かさに気づかされることになる可能性は高く、まあ、とりあえずおとなしく見続けるしかあるまい、と思っています。
ところで、実はわたしとしては、PHASE-3までの作品の中でも、やけに世間的に評価の高い作品が、わたしにとってはかなりイマイチに思える現象があって、例えば『BLACK PANTHER』などは、主人公が意外と弱いしカッコ悪くて、好きになれないと思えたりすることもあります。
さらに言うと、『THOR:RAGNAROK』という作品は、せっかくわたしが大好きなCate Blanchett様を凶悪なVillainに起用しているのに、クソつまらんギャグや妙なキャラ変で、すっかり台無しにされてしまった、と思っていました。
それゆえ、今般公開されたMCU第29作品目であり最新作である『THOR : LOVE & THUNDER』に関しても、どうせまたくだらねえギャグ映画になっちまったんだろ、つうか何百年(1500歳ぐらいだっけ?)も生きてる神様的な男が、今さら自分探しって、極めて幼稚というか、アホかっつうの! とか思ってましたし、『END GAME』でデブって引きこもった雷神THOR様には心の底から失望しておりましたので、新作公開にも全く期待しておりませんでした。
だけど……のっけから結論を言うと、超最高!! だったすね!!
いやあ、もう、素晴らしい物語でありました!
というわけで、以下ネタバレに考慮せずに書くので、まだ観ていない方はここらで退場してください。さようなら。
はい。それではよろしいでしょうか。
DISNEYによる公式予告は、数カ月後に削除されるので、別にUPされている予告を貼っておきます。
この予告を観た時も、「またクソつまらんギャグが滑りまくってんな」としか思ってなかったわたしでありますが、公開された本編は――確かにどうでもいい寒いギャグは多かったけれど、ほぼ本筋には関係ないどうでもいい要素だったのでスルーします――実に深い、しかも泣かせるお話でありました。
もう物語の要約はしませんが、本作の最大のポイントは、いわゆる「神の沈黙」という大問題であるとわたしには思えました。
簡単に言うと、神様を信仰して、祈り、供物をささげ、神への深い信心を抱いていようと、神様は答えてくれない。なんでなんだ! どうして助けてくれないんだ! ってやつです。
この映画の凄いところは、その信仰の対象たる神様たちを実体として登場させ、さらにその神様たちを「ああん? 人間のことなんざ知らねーよ!」という恐ろしく怠惰で無情な存在として描いたことにあるのではないでしょうか。これは凄いよ。マジビビったわ。。。
本作でのVillanとなるゴアという男は、神様に一生懸命仕え、祈りをささげ尽くしたというのに、無情にも彼の住む惑星は滅び、愛する娘も死に至りました。そんな絶望にある彼が出会った神様は、彼をせせら笑うだけで無関心。そりゃ誰だって怒るよね。神と名乗るモノは全員ぶっ殺す! もう完全にNINJA-SLAYERですよこれは。神を殺せる「ネクロソード」に魅入られた彼が、神様殺しを誓うという展開は、実に自然だし、そもそもネクロソードに操られたとも思えない。ネクロソードを単に武器としか思ってないわけですが、一つ言うなら、そのネクロソードはだれが何の目的で作ったのか、は明かされず、その点は若干モヤモヤします。
ともあれ、「神殺し」を誓った男にとっては、神様の端くれ(と言っておこう)であるTHOR様も、一応その標的になりますので、ここでバトルが生まれるわけです。
で。
もう一つ、本作でのポイントは、THOR様の永遠の恋人、ジェーンの身に振りかかる災難が描かれたことです。確か『RAGNAROK』でチラッと地球にやってきた時、THOR様はジェーンとは別れたとか言ってましたが、そのジェーンがステージ4のガンに侵されていたのでした。本作では、別れる前の二人のイチャイチャ振りも回想として描かれますが、まあそれはどうでもいいとして、どうやらTHOR様は、ムジョルニアに、ジェーンを守ってやってくれよな、とか言い聞かせていたらしい。そしてジェーンも、ムジョルニアには健康と力をもたらす的なことが書いてある文書を読んで、ノルウェーだかどこかに建国された「ニュー・アスガルド」に保管してある、『RAGNAROK』でぶっ壊されたムジョルニアのもとを訪れ、その力によって「マイティ・ソー」に変身する力を得ることになります。
つまり、ゴアはネクロソードによって神を殺す力を得、ジェーンはムジョルニアによって超人パワーを得たわけです。
しかし、それには代償が求められました。ネクロソードは、どうやら優しいお父さんだったゴアの精神をどす黒く塗り替えてしまったし、ムジョルニアは、ジェーンの肉体からガンに対抗する体力を奪いました。なので、ジェーンはムジョルニアを手放すとぼろぼろに衰弱した体になってしまう、というこれまた非常に非情な二者択一です。
ただ、前述の通りわたしにはゴアがネクロソードに操られているとは見えませんでした。ゴアはゴアの意志によって神殺しを誓ったのだと思う。そしてジェーンも、ジェーンの意志によってムジョルニアの力を受け入れ、マイティ・ソーとして戦うことを選ぶわけです。たとえ自分の肉体が滅ぼうとも、愛するTHORを守るために、わたしはムジョルニアを手にするッ! この二人の「人間」による決断が見事だとわたしは思うのです。
神様なんて、無責任で怠惰で信仰に値しない、けれど、その神様に対抗できる力があるなら、どんな代償を払ってもその力を利用する。そしてその選択は、あくまでも神様なんて関係なく、人間自身の意志によって! という点が、わたしはとても感動したっすね。地獄のような毎日を送るわたしには、深く共感できるお話でした。そうです。つまりわたしには、ゴアは全く悪い奴には思えなかったわけです。むしろ、そんな神様なんてふんぞり返ってる連中は全員ぶっ殺せ! と応援すらしたくなりました。
というわけで、わたしにとって本作は、神殺しの力を得た男の復讐と、神に匹敵する力を得た女性の愛の物語、という評価になりますので、主人公たるTHOR様は、相変わらずガキくさい分別のない筋肉男としか思えず、とんだお坊ちゃまだなあ、という評価は覆らなかったす。
そしてもう一つ、本作ではすごい描写がありました。な、なんと! 神話で最高神と呼ばれるゼウス様が登場するのです! しかも、どうしようもないたるんだ腹のバカオヤジとして! おまけに言うと演じたのはレオニダス様でお馴染みRussell Crowe氏ですよ! あの描写は、ギャグなんだろうけど、まあ笑えなかったすね。逆にわたしもゴア並みに怒りが増すばかりで、もしわたしも神殺しの力を得たなら、即ぶっ殺すだろうというようなバカ殿ぶりで嫌になったす。
つうかですね、MCU的には、すごい謎が深まるばかりなんですよ。そもそも地球上に伝わる神話の類は、ETERNALSの一人、スプライトが創造したお話なんじゃなかったっけ……。実在したんだ……しかもなんか、アリシェム・ザ・ジャッジらしきセレスティアルズの連中もいたし、なんなのこれ……と困惑せざるを得ないす。しかもエンドクレジット途中のおまけシーンでは、本作では散々痛い目に遭ったゼウスが、息子のヘラクレスに、THORをぶっ殺せ、と、この恨みはらさでおくべきか、メラメラメラ……的に怒ってるし、もうわけわからんす。
こういう、もはや人間が頑張って何とかできるレベルを超えている要素をまき散らしているのが、わたしがPHASE-4に感じるモヤモヤというか、なんだかなあ、的感想をもたらす原因なんだけど、どう収拾をつけるのか、全く想像がつかないですな。つうかもう収拾つかないのではなかろうか。。。
とまあ、こんな感じがわたしの感想であります。
もう役者陣はレギュラー陣が多いので、今回の新キャラたるゴアを演じたChristian Bale氏のことだけ書いておきます。もう一言で言えば、最高、一人だけ演技のレベルが違うと言えそうなぐらい見事だったですな。Bale氏の「えっ……!? 何言ってるんですか?」的な唖然とする表情がすごくイイですね。そこからの、「ふざけんな!!!」という怒りへのギャップが凄いと思います。ラストで愛する娘をTHORに託す、優しいお父さんに戻れてよかったね。実に見事なパフォーマンスだったと賞賛したいと思います。
あと、GUARDIANSの面々も、ほんのチラッとしか出演しなかったのも良かったですな。ガッツリ物語に絡む必要はなく、あの程度のチラッと出演で十分だったと思います。それから、今回もアスガルド演劇団の面々を演じたMatt Damon氏やSam Neill氏たちが出てきて、この人たち、サノス襲撃で死ななかったんだ、となんかテキトーな設定に笑いました。『END GAME』でも思ったけど、意外と生き残り多いっすね。そしてエンドクレジット後のおまけ映像では、死後の世界のヴァルハラでの描写で、あのヘイムダルも登場してきたので、まさかと思うけど今後死んだキャラたちも登場する可能性あるのかな? と、ジャンプ漫画のようなテキトー設定は笑っていいのか楽しみにすべきなのか、もうよく分からないっす笑
なんつうか、MCUはやっぱりトニーのようなTECHヒーローがいないと、人類の手で何とかするという部分が薄れてしまって、面白みが半減してしまうような気がしてならないすね。その点では、おれたちのANT-MANの次回作に超期待したいすな!
というわけで、もうとても人類が対抗できそうにない世界に広がりつつあるPHASE-4に関して、ちょっとまとめておこうかな。
【劇場公開作品】
◆BLACK WIDOW:まあ実際のところ、面白かったけど過去の話なのでもうどうでもいい。この作品で語られた妹エレーナが今後どう活躍するか、だけ。
◆SHANG-CHI:謎テクノロジーの「テン・リングス」というアイテムが、だれが何のために作ったのか、という謎が残る。現状では、謎の信号を発しており、キャロル(CAP MARVEL)すら知らない未知のパワーを持っているらしい。主人公自身はその謎アイテムを使っているだけなので、別にどうでもいいというか、魅力は感じない。妹の方のその後が気になる。
◆ETERNALS:地球上にいろんなものを残したままで、MCUヒーローたちがそれを(今のところ誰も)調査したりしてないのが気になる。肝心のETERNALSの連中は宇宙に旅立った連中と、アリシェムという宇宙の創造主(?)の一派に連行された連中に分断されていて、どうなったのかよく分からん。そして、ヒロインであるセルシの恋人が後にBLACK KNIGHTになりそうで、さらにBLADEともつながりそうな気配。
◆SPIDER-MAN : NO WAY HOME:最高に面白かった。盲目の弁護士でお馴染みDAREDEVILの登場はビビったすね。そしてなにより、ピーター君のその後がとても気になります。
◆DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS(MoMと略します):超微妙作。とりあえず悪の大魔王に堕ちてしまったワンダ討伐は、ある意味ワンダの自殺で完了した。一方ドクター本人は、第3の目が開眼し、ダーク・ディメンジョン?に行っちゃった。
【Disney+作品】
◆WANDA VISION:とりあえずウエストビュー事件は解決した。そして反省したはずのワンダはMoMで悪の大魔王となり昇天(?)。ただし、黒幕たるアガサがどうなったのかはよく分からんし、この作品で、キャロルの親友マリアが死亡していることが判明、さらに娘のモニカが謎パワーを得てスーパーヒーロー化したのは要チェック。
◆THE FALCON&THE WINTER SOLDIER:CAPに託された盾の重圧に悩みまくったファルコンことサムがやっと2代目CAPに就任。そして相棒のバッキーは最初から最後までイイ奴で、カッコ良かったし、洗脳された暗殺者時代の罪を償おうと頑張ったのが感動的でした。この作品では、元S.H.I.E.L.D.のシャロンがどういうわけか悪い奴になっており、今後の動向が心配です。さらに、エレーナをスカウトしたヴァルがまた暗躍しているようで、その動向も謎。
◆LOKI:END GAMEの時間泥棒中の2012年NYCからちゃっかり抜け出したLOKIのその後が語られたが、「神聖時間軸」の番人(=在り続けるもの=カーンの変異体?)をロキの変異体であるシルヴィがぶっ殺したことでカオスな状態に。このカオスがMCU世界にどう影響しているのか、正直よくわからん状態に。
◆What IF...?:初のアニメ作品。もしもの世界を描いた作品で、まあどうでもいいかな。
◆HAWKEYE:普通の人であるホークアイが、ローニン時代の落とし前をつける話で、まあ正直どうでもいい。ホークアイの後継者になりそうなケイトや、エレーナも登場。そしてDEADEVILのVillainであるKINGPINは登場するし、ECHOも登場するしで、ちょっと広げ過ぎなのが気になる。
◆MOON KIGHT:エジプトの神様総出演でもう大混乱。めずらしくロンドン在住ヒーローなので、ETERNALSのセルシの恋人、のちのBLACK KNIGHTと出会えるかもね。
◆MS. MARVEL:今週最終回。こちらもいろいろつながりがありそう。テン・リングスとは明確につながってるみたい。まあ、ヒロインには特にコメントはないです。来年公開予定?の『THE MARVELS』に登場することは確定してるみたいですな。
というわけで、超脱線したのでさっさと結論!
MCU第29作目である『THOR : LOVE & THUNDER』をさっそく観てまいりました。正直、全く期待してなかったし、アホさくいギャグはバカバカしいというか、全く興味はなかったけれど……描かれた物語は実に感動的で、Villainであるゴアというキャラクターは素晴らしかったし、永遠の恋人ジェーンの感動的な選択にはグッとくるものがありました。まあ、神様的な存在は、実際のことろ人間に興味なんて持っておらず、享楽的な毎日を過ごしているんだということを、そのものズバリな映像で観せられると、ホント、怒りを感じますね。ふざけんなと言いたいし、神に立ち向かったゴアは、とても人間らしい素晴らしいキャラクターだったと思う。わたしの座右の銘は、ラオウ様の「ならば神とも戦うまで」というセリフなんすけど、まさに神と戦ったゴアは、ラオウ様的カッコ良さがありました。えっ!? THOR様はどうだったかって? ええと、あんたさ、1500歳だか何だか知らんけど、いつまでもガキくさいこと言ってないで、ちゃんと大人になりなさいよ。本作ラストでは、ちょびっとは成長したみたいなので、まあ、相当今更だけど、今後とも地球をよろしくお願いします! 以上。
↓ わたしにとって今のところのMCU最高傑作は、やっぱり『CIVIL WAR』っすね。
というのも、PHASE-3までは、インフィニティ・ストーンをめぐる物語ということで、その軸がしっかりと設定されていて、ブレがなかったわけですが、どうもPHASE-4に入ってからは、その軸が見当たらず、場当たり的な印象を受けるから、であります。一言で言えば、(現状では)つながりが見えない、ということです。
とはいえ、恐らくは今後の進行によって、そういうことだったのか!! と我が頭脳の愚かさに気づかされることになる可能性は高く、まあ、とりあえずおとなしく見続けるしかあるまい、と思っています。
ところで、実はわたしとしては、PHASE-3までの作品の中でも、やけに世間的に評価の高い作品が、わたしにとってはかなりイマイチに思える現象があって、例えば『BLACK PANTHER』などは、主人公が意外と弱いしカッコ悪くて、好きになれないと思えたりすることもあります。
さらに言うと、『THOR:RAGNAROK』という作品は、せっかくわたしが大好きなCate Blanchett様を凶悪なVillainに起用しているのに、クソつまらんギャグや妙なキャラ変で、すっかり台無しにされてしまった、と思っていました。
それゆえ、今般公開されたMCU第29作品目であり最新作である『THOR : LOVE & THUNDER』に関しても、どうせまたくだらねえギャグ映画になっちまったんだろ、つうか何百年(1500歳ぐらいだっけ?)も生きてる神様的な男が、今さら自分探しって、極めて幼稚というか、アホかっつうの! とか思ってましたし、『END GAME』でデブって引きこもった雷神THOR様には心の底から失望しておりましたので、新作公開にも全く期待しておりませんでした。
だけど……のっけから結論を言うと、超最高!! だったすね!!
いやあ、もう、素晴らしい物語でありました!
というわけで、以下ネタバレに考慮せずに書くので、まだ観ていない方はここらで退場してください。さようなら。
はい。それではよろしいでしょうか。
DISNEYによる公式予告は、数カ月後に削除されるので、別にUPされている予告を貼っておきます。
この予告を観た時も、「またクソつまらんギャグが滑りまくってんな」としか思ってなかったわたしでありますが、公開された本編は――確かにどうでもいい寒いギャグは多かったけれど、ほぼ本筋には関係ないどうでもいい要素だったのでスルーします――実に深い、しかも泣かせるお話でありました。
もう物語の要約はしませんが、本作の最大のポイントは、いわゆる「神の沈黙」という大問題であるとわたしには思えました。
簡単に言うと、神様を信仰して、祈り、供物をささげ、神への深い信心を抱いていようと、神様は答えてくれない。なんでなんだ! どうして助けてくれないんだ! ってやつです。
この映画の凄いところは、その信仰の対象たる神様たちを実体として登場させ、さらにその神様たちを「ああん? 人間のことなんざ知らねーよ!」という恐ろしく怠惰で無情な存在として描いたことにあるのではないでしょうか。これは凄いよ。マジビビったわ。。。
本作でのVillanとなるゴアという男は、神様に一生懸命仕え、祈りをささげ尽くしたというのに、無情にも彼の住む惑星は滅び、愛する娘も死に至りました。そんな絶望にある彼が出会った神様は、彼をせせら笑うだけで無関心。そりゃ誰だって怒るよね。神と名乗るモノは全員ぶっ殺す! もう完全にNINJA-SLAYERですよこれは。神を殺せる「ネクロソード」に魅入られた彼が、神様殺しを誓うという展開は、実に自然だし、そもそもネクロソードに操られたとも思えない。ネクロソードを単に武器としか思ってないわけですが、一つ言うなら、そのネクロソードはだれが何の目的で作ったのか、は明かされず、その点は若干モヤモヤします。
ともあれ、「神殺し」を誓った男にとっては、神様の端くれ(と言っておこう)であるTHOR様も、一応その標的になりますので、ここでバトルが生まれるわけです。
で。
もう一つ、本作でのポイントは、THOR様の永遠の恋人、ジェーンの身に振りかかる災難が描かれたことです。確か『RAGNAROK』でチラッと地球にやってきた時、THOR様はジェーンとは別れたとか言ってましたが、そのジェーンがステージ4のガンに侵されていたのでした。本作では、別れる前の二人のイチャイチャ振りも回想として描かれますが、まあそれはどうでもいいとして、どうやらTHOR様は、ムジョルニアに、ジェーンを守ってやってくれよな、とか言い聞かせていたらしい。そしてジェーンも、ムジョルニアには健康と力をもたらす的なことが書いてある文書を読んで、ノルウェーだかどこかに建国された「ニュー・アスガルド」に保管してある、『RAGNAROK』でぶっ壊されたムジョルニアのもとを訪れ、その力によって「マイティ・ソー」に変身する力を得ることになります。
つまり、ゴアはネクロソードによって神を殺す力を得、ジェーンはムジョルニアによって超人パワーを得たわけです。
しかし、それには代償が求められました。ネクロソードは、どうやら優しいお父さんだったゴアの精神をどす黒く塗り替えてしまったし、ムジョルニアは、ジェーンの肉体からガンに対抗する体力を奪いました。なので、ジェーンはムジョルニアを手放すとぼろぼろに衰弱した体になってしまう、というこれまた非常に非情な二者択一です。
ただ、前述の通りわたしにはゴアがネクロソードに操られているとは見えませんでした。ゴアはゴアの意志によって神殺しを誓ったのだと思う。そしてジェーンも、ジェーンの意志によってムジョルニアの力を受け入れ、マイティ・ソーとして戦うことを選ぶわけです。たとえ自分の肉体が滅ぼうとも、愛するTHORを守るために、わたしはムジョルニアを手にするッ! この二人の「人間」による決断が見事だとわたしは思うのです。
神様なんて、無責任で怠惰で信仰に値しない、けれど、その神様に対抗できる力があるなら、どんな代償を払ってもその力を利用する。そしてその選択は、あくまでも神様なんて関係なく、人間自身の意志によって! という点が、わたしはとても感動したっすね。地獄のような毎日を送るわたしには、深く共感できるお話でした。そうです。つまりわたしには、ゴアは全く悪い奴には思えなかったわけです。むしろ、そんな神様なんてふんぞり返ってる連中は全員ぶっ殺せ! と応援すらしたくなりました。
というわけで、わたしにとって本作は、神殺しの力を得た男の復讐と、神に匹敵する力を得た女性の愛の物語、という評価になりますので、主人公たるTHOR様は、相変わらずガキくさい分別のない筋肉男としか思えず、とんだお坊ちゃまだなあ、という評価は覆らなかったす。
そしてもう一つ、本作ではすごい描写がありました。な、なんと! 神話で最高神と呼ばれるゼウス様が登場するのです! しかも、どうしようもないたるんだ腹のバカオヤジとして! おまけに言うと演じたのはレオニダス様でお馴染みRussell Crowe氏ですよ! あの描写は、ギャグなんだろうけど、まあ笑えなかったすね。逆にわたしもゴア並みに怒りが増すばかりで、もしわたしも神殺しの力を得たなら、即ぶっ殺すだろうというようなバカ殿ぶりで嫌になったす。
つうかですね、MCU的には、すごい謎が深まるばかりなんですよ。そもそも地球上に伝わる神話の類は、ETERNALSの一人、スプライトが創造したお話なんじゃなかったっけ……。実在したんだ……しかもなんか、アリシェム・ザ・ジャッジらしきセレスティアルズの連中もいたし、なんなのこれ……と困惑せざるを得ないす。しかもエンドクレジット途中のおまけシーンでは、本作では散々痛い目に遭ったゼウスが、息子のヘラクレスに、THORをぶっ殺せ、と、この恨みはらさでおくべきか、メラメラメラ……的に怒ってるし、もうわけわからんす。
こういう、もはや人間が頑張って何とかできるレベルを超えている要素をまき散らしているのが、わたしがPHASE-4に感じるモヤモヤというか、なんだかなあ、的感想をもたらす原因なんだけど、どう収拾をつけるのか、全く想像がつかないですな。つうかもう収拾つかないのではなかろうか。。。
とまあ、こんな感じがわたしの感想であります。
もう役者陣はレギュラー陣が多いので、今回の新キャラたるゴアを演じたChristian Bale氏のことだけ書いておきます。もう一言で言えば、最高、一人だけ演技のレベルが違うと言えそうなぐらい見事だったですな。Bale氏の「えっ……!? 何言ってるんですか?」的な唖然とする表情がすごくイイですね。そこからの、「ふざけんな!!!」という怒りへのギャップが凄いと思います。ラストで愛する娘をTHORに託す、優しいお父さんに戻れてよかったね。実に見事なパフォーマンスだったと賞賛したいと思います。
あと、GUARDIANSの面々も、ほんのチラッとしか出演しなかったのも良かったですな。ガッツリ物語に絡む必要はなく、あの程度のチラッと出演で十分だったと思います。それから、今回もアスガルド演劇団の面々を演じたMatt Damon氏やSam Neill氏たちが出てきて、この人たち、サノス襲撃で死ななかったんだ、となんかテキトーな設定に笑いました。『END GAME』でも思ったけど、意外と生き残り多いっすね。そしてエンドクレジット後のおまけ映像では、死後の世界のヴァルハラでの描写で、あのヘイムダルも登場してきたので、まさかと思うけど今後死んだキャラたちも登場する可能性あるのかな? と、ジャンプ漫画のようなテキトー設定は笑っていいのか楽しみにすべきなのか、もうよく分からないっす笑
なんつうか、MCUはやっぱりトニーのようなTECHヒーローがいないと、人類の手で何とかするという部分が薄れてしまって、面白みが半減してしまうような気がしてならないすね。その点では、おれたちのANT-MANの次回作に超期待したいすな!
というわけで、もうとても人類が対抗できそうにない世界に広がりつつあるPHASE-4に関して、ちょっとまとめておこうかな。
【劇場公開作品】
◆BLACK WIDOW:まあ実際のところ、面白かったけど過去の話なのでもうどうでもいい。この作品で語られた妹エレーナが今後どう活躍するか、だけ。
◆SHANG-CHI:謎テクノロジーの「テン・リングス」というアイテムが、だれが何のために作ったのか、という謎が残る。現状では、謎の信号を発しており、キャロル(CAP MARVEL)すら知らない未知のパワーを持っているらしい。主人公自身はその謎アイテムを使っているだけなので、別にどうでもいいというか、魅力は感じない。妹の方のその後が気になる。
◆ETERNALS:地球上にいろんなものを残したままで、MCUヒーローたちがそれを(今のところ誰も)調査したりしてないのが気になる。肝心のETERNALSの連中は宇宙に旅立った連中と、アリシェムという宇宙の創造主(?)の一派に連行された連中に分断されていて、どうなったのかよく分からん。そして、ヒロインであるセルシの恋人が後にBLACK KNIGHTになりそうで、さらにBLADEともつながりそうな気配。
◆SPIDER-MAN : NO WAY HOME:最高に面白かった。盲目の弁護士でお馴染みDAREDEVILの登場はビビったすね。そしてなにより、ピーター君のその後がとても気になります。
◆DOCTOR STRANGE IN THE MULTIVERS OF MADNESS(MoMと略します):超微妙作。とりあえず悪の大魔王に堕ちてしまったワンダ討伐は、ある意味ワンダの自殺で完了した。一方ドクター本人は、第3の目が開眼し、ダーク・ディメンジョン?に行っちゃった。
【Disney+作品】
◆WANDA VISION:とりあえずウエストビュー事件は解決した。そして反省したはずのワンダはMoMで悪の大魔王となり昇天(?)。ただし、黒幕たるアガサがどうなったのかはよく分からんし、この作品で、キャロルの親友マリアが死亡していることが判明、さらに娘のモニカが謎パワーを得てスーパーヒーロー化したのは要チェック。
◆THE FALCON&THE WINTER SOLDIER:CAPに託された盾の重圧に悩みまくったファルコンことサムがやっと2代目CAPに就任。そして相棒のバッキーは最初から最後までイイ奴で、カッコ良かったし、洗脳された暗殺者時代の罪を償おうと頑張ったのが感動的でした。この作品では、元S.H.I.E.L.D.のシャロンがどういうわけか悪い奴になっており、今後の動向が心配です。さらに、エレーナをスカウトしたヴァルがまた暗躍しているようで、その動向も謎。
◆LOKI:END GAMEの時間泥棒中の2012年NYCからちゃっかり抜け出したLOKIのその後が語られたが、「神聖時間軸」の番人(=在り続けるもの=カーンの変異体?)をロキの変異体であるシルヴィがぶっ殺したことでカオスな状態に。このカオスがMCU世界にどう影響しているのか、正直よくわからん状態に。
◆What IF...?:初のアニメ作品。もしもの世界を描いた作品で、まあどうでもいいかな。
◆HAWKEYE:普通の人であるホークアイが、ローニン時代の落とし前をつける話で、まあ正直どうでもいい。ホークアイの後継者になりそうなケイトや、エレーナも登場。そしてDEADEVILのVillainであるKINGPINは登場するし、ECHOも登場するしで、ちょっと広げ過ぎなのが気になる。
◆MOON KIGHT:エジプトの神様総出演でもう大混乱。めずらしくロンドン在住ヒーローなので、ETERNALSのセルシの恋人、のちのBLACK KNIGHTと出会えるかもね。
◆MS. MARVEL:今週最終回。こちらもいろいろつながりがありそう。テン・リングスとは明確につながってるみたい。まあ、ヒロインには特にコメントはないです。来年公開予定?の『THE MARVELS』に登場することは確定してるみたいですな。
というわけで、超脱線したのでさっさと結論!
MCU第29作目である『THOR : LOVE & THUNDER』をさっそく観てまいりました。正直、全く期待してなかったし、アホさくいギャグはバカバカしいというか、全く興味はなかったけれど……描かれた物語は実に感動的で、Villainであるゴアというキャラクターは素晴らしかったし、永遠の恋人ジェーンの感動的な選択にはグッとくるものがありました。まあ、神様的な存在は、実際のことろ人間に興味なんて持っておらず、享楽的な毎日を過ごしているんだということを、そのものズバリな映像で観せられると、ホント、怒りを感じますね。ふざけんなと言いたいし、神に立ち向かったゴアは、とても人間らしい素晴らしいキャラクターだったと思う。わたしの座右の銘は、ラオウ様の「ならば神とも戦うまで」というセリフなんすけど、まさに神と戦ったゴアは、ラオウ様的カッコ良さがありました。えっ!? THOR様はどうだったかって? ええと、あんたさ、1500歳だか何だか知らんけど、いつまでもガキくさいこと言ってないで、ちゃんと大人になりなさいよ。本作ラストでは、ちょびっとは成長したみたいなので、まあ、相当今更だけど、今後とも地球をよろしくお願いします! 以上。
↓ わたしにとって今のところのMCU最高傑作は、やっぱり『CIVIL WAR』っすね。