今年奇跡の大復活を遂げ、世のおっさんたちを歓喜させた『MAD MAX:FURY ROAD』。確かにわたしも嫌いじゃないというか大興奮したわけだが、どうにもここまで大絶賛する人が多いと、うーん、なんなんだ……? と思ってしまうのは、ひとえにわたしのねじ曲がった性格ゆえであろうとは思う。いや、復活は嬉しいし、ヒャッハーで最高だけれど、どうせMADMAXシリーズを劇場で観てない連中ばっかりのくせに、今さらそんな誉めても、ねえ。
 そんなことはさておき、WOWOWで録画しておいた映画をきのうの夜ぼんやりと観たのだが、その映画の邦題が、『マッド・ガンズ』というのは、本作と『MADMAX:FURY ROAD』にも両方に出演しているNocolas Houltに引っ掛けたのだろうけど、ちょっとどうなんだという気がする。原題は『Young Ones』、直訳すれば「若僧ども」である。 
 
  一応、日本公開は今年の3月なので、『MADMAX:FURY ROAD』が6月公開だったことを思えば、こっちの方が先だからパクリじゃない! という主張をされるかもしれないが、まあ、そりゃあ、ふーん、そうなんですか、失礼いたしました、とでも言っておけば良かろう。まともに取り合う必要はない。
 で。明確な年代表示はなかったと思うが、おそらくは近未来。水が貴重な資源となっていて、ガソリンやらハイテク機器やらは普通にあるのだが、とにかく水が少なくて、都市部はまだ健在ではあるけれど、田舎では畑も干上がり砂漠化が進行している、というような世界を舞台としている。前半で買う、荷物運びマシーンが非常にイイ感じで、このマシーン、あれだよな、アメリカで開発してる動画が公開されてた、四足歩行のロボット・ロバみたいな奴。最終的にこのロボが極めて重要な役割を果たすことになる。↓これこれ、こいつがこの映画に出てくる。

 お話としては、頑固者の父と息子と娘がいて、息子はやけに内向的?な、おとなしい少年、その姉である娘は、田舎暮らしにうんざりしていて、近隣でちょっとした鼻つまみ者のアウトローめいた若者に恋しているという状況をベースとして、配給品の配達を生業にしている父は、どうしても水パイプラインを自分の畑にも引きたがっているんだけど、誰も味方してくれない、そんな父を一緒に助ける息子、そしてさっさとこんな生活からおさらばしたい娘が、まったく父の言う事を聞かない、というところから話は始まり、中盤で父が殺されるところで話が動くと。で、観ている観客は殺した犯人はあいつだろ、と分かっているけれど、そんなことを知らない娘はさっさと男と一緒になるが、残された弟が、父の死の真相を知って、きっちり復讐して「若僧」から「男」に成長する、というお話である。

 正直なところ、たいして面白くはなかったのだが、何気に役者陣が豪華であった。
 まず、頑固者の父を演じたのは、Michael Shannonである。この人、見かけによらず若いという事をさっき初めて知った。1974年生まれだそうで、わたしはまた、もう40代後半~50代ぐらいかと思ってた。大変失礼いたしました。結構いろいろな作品に出ているのだが、まあやっぱり最近ではMan of Steelのゾット将軍でしょうね。あまり好きでも嫌いでもない人ですな。
 で、とんでもないバカ娘を演じたのは、Chloe Grace Moretzちゃんに並ぶブサカワでおなじみのElle Fanningちゃんである。わたしはこの娘さんは全く興味ないというか、全然好みでないので、実はどうでもいい。どんどん縦にも横にも大きくなって順調に発育しているさまが、親戚の娘を見ているような錯覚を抱くが、残念ながら10年後は想像したくないタイプのメリケン・ガールである。頑張って美しくなっておくれ。
 そして、その彼氏となる男を、微妙にイラつくキャラとして微妙な演技で見せてくれたのが、ニュートことNicolas Hoult君26歳である。この男は、わたしとしては『X-Men:First Class』においてわたしの大好きなJennifer Lawrenceちゃんにあっさり振られた哀れなBeastとしておなじみだが、まあ最近はかなり売り出し中の若手有望株であろう。以前もなんかの記事で書いたけれど、『Warm Bodies』でのゾンビ役はなかなか良かった。意外と演技派ですね、彼は。
 で、最後。おとなしいけれどきっちり男を見せてくれる弟を演じたのが、Kodi Smit-McPhee君19歳である。この顔、どっかで見たことがある、と思って調べてみたら、なんと5年前の2010年に、天下のブサカワ・ガールことChloe Grace Moretzちゃんが主演した『Let me in』(邦題:モールス)のあの男の子じゃないですか。いつの間にこんなに大きくなって、わたしは驚いたよ。そういえば去年は『Dawn of the Planet of the Apes』にも出ていたね。抜群のイケメンではなく若干個性的な顔つきだが、演技はとても良いので、今後を非常に期待したい。
 そしてこの映画、わたしが一番、え、そうなんだ!? と驚いたのは、監督を務めたJake Paltrow氏40歳である。もう、名前を出せばピンとくるでしょ? わたしも、あれ、まさか? と調べてみたらビンゴだった。かのトニー・スタークの有能な秘書兼恋人でおなじみのペッパー・ポッツことGwyneth Paltrowさんの弟だって。全然知らなかったな、弟が映画監督をやっていたとは。お父さんが監督、お母さんは女優、というのは知ってたけど、弟がいてしかも監督だったとは。へえー。
 
 というわけで、結論。
 正直イマイチというか、何とも見ていてイライラする物語であった。ただし役者陣の芝居ぶりは十分以上に素晴らしく、その上手さゆえにイライラも募ったのであろうと思う。上映時間は105分ほどと短いので、ごくあっさり淡々と物語は展開し終結するのは好印象。演出的にも妙な味があって悪くないし、出てくるハイテク機器も、何だこりゃ? と不思議な未来感があって良かったと思います。

↓  結構好きなんですけどね。ブサカワガール主演作の中ではわたしとしてはNo.1作品。
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Happinet(SB)(D)
2013-05-02