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 いよいよ4月26日の公開まで1カ月チョイと迫ってきた『AVENGERS:END GAME』。
 もちろんわたしもとても楽しみにしているわけだが、まあ普通に考えて、『END GAME』の結末は誰だって想像している通り、実は愛の戦士だったTHANOSが敗北、アベンジャーズ大勝利で終わるんだろうと思っている。問題はいかなる犠牲が払われるか、にあるとわたしは考えているが、よもやわたしが最も好きなトニー・スターク=IRONMAN殉職もあり得るのかなあ、とか、まあ、妄想は尽きない状態である。今のところは。おととい公開された最終予告も、なんだかいろいろな「?」があって、きっとこの予告は本編にない、いろんなミスリードな細工をしてんだろうな……とかわたしは思っている。
 しかし、MCUにおいては、『END GAME』を観る前に、絶対に観ておかなくてはならない映画がある。それが昨日から公開になった『CAPTAIN MARVEL』だ。わたしも夕方早めに会社を出て、日比谷TOHOにてIMAX3D版をさっそく観てきた。
 結論から言うと、いろいろ突っ込みたくなる点はあるものの、大変良くできたお話で十分面白かったと思う。わたしは原作コミックの「キャプテン・マーベル」は全く読んでいないので、原作との違いとかそういった点は全く分からない。また、本作は、コミック原作や今までのMCU作品を知らなくとも、ある程度は本作単独で観ても十分面白い映画になっているとは思う。しかし、まあやっぱり、MCUは全て観ていないと、その面白さは堪能できないと思います。この映画はやっぱりコミックとは別物で、あくまでMCUを構成する一つのピースであるということは間違いなさそうだ。
 というわけで、以下、ネタバレ満載となる可能性が高いので、まだ観ていない人はここらで退場してください。こんなBlogをチェックしている暇があったら、今すぐ劇場へGO!でお願いします。

 というわけで、上記予告を観ても、一体どんなお話なのか、正直全く分からないだろう。わたしも全然分からず、まあきっと、明らかに地球人っぽい女性がいかにして「キャプテン・マーベル」となったか、てなお話だろうぐらいしか考えられなかった。
 わたしがこの予告を観て思ったポイントは、1)なんで舞台は1995年と中途半端な「過去」なのか? 2)なんで彼女は「過去」の記憶を喪失しているのか? の2つだ。そしてこの謎は、劇中では、なるほど、そういうことか、と見事に回答が与えられていて、わたしはそこに、「これは面白い」と感じるに至ったのである。というわけで、以下解説? というか思ったことをメモしてみよう。
 1)なんで舞台は1995年なのか?
 ズバリ言うと、これはもう、MCUを観てきた人でないと理解できないと思う。はっきり言って、本作は、単独作品であったなら1995年を舞台とする必要は皆無と言っていいはずだ。2019年の現代であろうと、例えば1960年代であろうと、別に何の問題もなかったはずだ。
 だが、MCUのワンピースであることを前提とすると、本作は1995年である必要があるのだ。そのカギを握っているのが、MCUのキーキャラクター、ニック・フューリーである。
 ニック・フューリーは、明らかに2008年のIRONMAN誕生以前から、地球圏外からの外敵の襲来を知っていた。そしてそういった外敵に備えて、せっせと武器を作り、「特殊な能力を持つ超人」を集めてチームを作る計画(=アベンジャーズ計画)を練っていた。さらに言えば、『INFINITY WAR』において「もしもの事態が起きた時に呼ぶ、最強の助っ人=キャプテン・マーベル」がいることが明確に示されていた。
 これらのことから、ニック・フューリーは、少なくとも2008年よりも前に、キャプテン・マーベルと知り合っていた必要がある。かといって前すぎると、ニック・フューリーも行動力のない子供になってしまう。近すぎては計画を練る時間も取れない。そこで、「ちょうどいいぐらいの過去」として、90年代に本作の舞台は設定されたのだろうと思う。全てはMCUというプロジェクトのためであると言って差し支えないだろう。ついでに、あの「ポケベル」に関しても、そもそも我々が知っているポケベルというものは、受信オンリーの一方通行デバイスだったわけだが、本作のアレは発信も可能な双方向だ。これは……一瞬日本でも発信可能なものがあったような気がするけど……いずれにせよ日本では1995年ぐらいからPHSが登場してポケベルは衰退していくので、まあ、やっぱり時代設定として1995年というのは、まさしく「ちょうどいいぐらいの過去」だったのではなかろうか。
 なお、1995年と言えば、はっきり言っておっさんのわたしには「ついこの前」に感じられるのだが、あの年、世界を変えたと言ってもいいぐらいの大きな発明があった。それは、「Windows95」の発売だ。この発明によって、インターネッツの世界が我々に開かれたと言っても言い過ぎではなかろう。わたしが初めてインターネッツを体験したのはWindows3.1の時代だが、まあとにかくプロバイダも少なく、モデムの設定も厄介で苦労したものだが、Windows95の登場で劇的にインターネッツは進歩し、わたしも自分のPCを初めて買ったのは1996年の初めであったことを覚えている。本作でも、まだ原始的なWebサイトや、ダイヤルアップが切れちゃうとか、当時を知っている我々おっさんには、超あるあるなエピソードが盛り込まれていて、大変愉快だったすね。もちろん、当時のファッションや街の様子や音楽など、そういう点では今現在40代後半以上の人間が、本作を一番楽しめるかもしれないす。
 2)なんで記憶を失っているのか?
 この点が本作で一番のポイントであろう。なので以下はホントにネタバレなんですが……。本作は冒頭、キャプテン・マーベルが「クリー人」であり、「ヴァース」と呼ばれていて、クリー帝国?の母星ハラで暮らしている様子が描写される。そして彼女はヨン・ロッグという「スター・フォース」司令官のもとで戦闘訓練を受けているのだが、なにやら6年前、クリーに来る前のことは忘れているらしい。そしてクリーにおいてはSupreme Intelligenceと呼ばれる超AIが全てを統治しているらしいことが描かれ、そのAIと対話する時には、AIは、対話者が最も尊敬する人物のヴィジョンとして現れるのだが、彼女の場合は、全く記憶にない女性の像となって、AIは彼女に指令やアドバイスを送っている。そしてその謎の女性はヴァースの夢にも現れていて、一体誰なんだ、そして私は……と記憶をめぐるサスペンスが本作のベースとなっている。そしてスター・フォースの一員として、クリーと現在戦争状態にあるスクラル人との戦闘に参加するヴァースだったが、どうやらスクラル人たちもヴァースの記憶を狙っていて……てな展開である。
 ここでポイントとなるのは、クリー人ってなんだ? ということと、スクラル人が欲する「ライトスピード・エンジン」なるものだ。
 まず、クリー人、と聞いてMCUを観てきたわたしが真っ先に思い出すのが『GUARDIANS OF THE GALAXY』だ。あの物語の中での悪役がまさしくクリー人で、なんと、そのものズバリ、『GUARDIANS』の悪役であったロナン・ジ・アキューサーは出てくるし、その部下であるコラスはなんどヴァースの同僚のスター・フォースの副官としてMCUに再登場である。なのでわたしは、あれっ!? クリー人って悪い奴らじゃないの? とか思いながら観ていたのだが、ヴァースはスクラル人との戦闘の後、大破した宇宙船から投げ出され―――地球に墜落、そこから舞台は1995年の地球となるわけだが、結論から言うとわたしの「あれっ!?」は、最終的に「ああ、やっぱりね」という結末に至るわけで、この点でも、MCUを観ていない人には全然通じなかっただろうと思う。
 そしてスクラル人たちが欲している「ライトスピード・エンジン」なる謎テクノロジーだが、思うに、「エンジン」というものは、その機械的な構造はもちろん重要としても、それよりもっと「何をエネルギー源とするか」のほうが重要だろうと思う。わたしも観ていて、ライトスピード……まあきっと光速航行を可能にするテクノロジーなんだろうけど(ついでに言えば、光速航行と来れば当然、相対性理論でいうウラシマ効果、すなわち「時間」が大きな問題となるわけで、わたしは、こりゃあ『END GAME』はやっぱりタイムトラベルが描かれるのか? とか、もう妄想が先走るわけです)、それを可能にするエネルギーって何なんだろうな、とぼんやり考えていた。そしてわたしが「そうきたか!」と恐れ入ったのがまさにそこにあって、なんと、その謎エネルギー源こそが「四次元キューブ」で、まさしくインフィニティ・ストーンの一つである「スペース・ストーン」だったのである。こう繋げたか! とわたしはとても興奮したっすね! つまり本作も、実は「インフィニティ・ストーン」をめぐる戦いだったのだ。
 ただ、わたしは即座に記憶をさかのぼってみたのだが、なんかどうもしっくりこなかったようにも感じたのは事実である。わたしが知っているMCUの歴史によると……
 ◆1940年代:第2次大戦のさなか、秘密結社(?)ハイドラによって、ヨーロッパに秘匿されていた「四次元キューブ」が奪取され(誰が隠していたのか不明)、その謎パワーで謎兵器が量産される。それに対抗すべく、US-ARMYによる「SUPER-SOLDIER」計画が進行、謎血清が開発され、その被験者第一号にスティーブ・ロジャースが選ばれ、かくしてスティーブは「CAPTAIN AMERICA」となってハイドラと戦い、「四次元キューブ」を奪還するも北極の氷に消える。その後、トニー・スタークの父、ハワードが「四次元キューブ」を北極海だかどっかの海底で発見する。そして後にハワードはS.H.I.L.D.設立に尽力する。
 (◆1960年代:冷戦期、S.H.I.L.D.はあくまでUS国益のための組織として活動していた。そしてこの頃、ハワードと同じくS.H.I.L.D.の科学者だったハンク・ピム博士は初代ANT-MANとして活躍)
 (◆1988年:ピーター・クィル少年が宇宙人に誘拐される)
 (◆1991年:ウィンターソルジャーによるハワード暗殺事件勃発)
 (◆2008年:トニー、IRONMANとしてヒーロー活動開始)
 (◆2008年:SUPER-SOLDIER計画を現代によみがえらせようとした実験中にブルース・バナー博士はガンマ線の大量照射を浴びてしまい、HULK誕生)
 (◆2011年:THOR、初めて地球にやってくる)
 (◆2011年:北極で氷漬けになっていたスティーブ=CAPが発見され、蘇生)
 ◆2012年:地球にLOKIが襲来、「四次元キューブ」を奪って大暴れ。ニック・フューリーによって招集された超人たちがAVENGERSを結成し、「四次元キューブ」奪還に成功。その後、「四次元キューブ」はTHOR様がアスガルドに持ち帰り、「オーディンの武器庫」に保管した。
 ◆2017年:アスガルド崩壊の「RAGNAROK事件」勃発。崩壊のさなか、ロキが再び「四次元キューブ」をちゃっかり横領。
 ◆2018年:サノスによる「INFINITY WAR」勃発。LOKIは謎の兄弟愛を発揮してTHOR様を助けるために、「四次元キューブ」をTHANOSに差し出す。以降、「四次元キューブ」はその中に秘めていた「スペース・ストーン」として(スペースは宇宙じゃなくて空間の意味で、物理的空間を制御しどこにでも行ける能力を持っていた)、THANOSの左手に装着されたガントレットに固定されている。
 とまあ、()内は「四次元キューブ」に関係ないことだけど、まあ、だいたいこんな歴史だったはずで、わたしは「四次元キューブ」は、第2次大戦後はずっとS.H.I.L.D.が保管していたのかと思っていた。なので、若干しっくりこなかったのだが、まあ、S.H.I.L.D.は実はハイドラの支配も受けていたわけだし、まさか1980年代から1995年にかけてこんなことが起きていたとは、というのは、興奮に値する物語だったわけですよ。まさしく「そう来たか!」である。この点も、MCUを観てきていないと分からない、けど極めて重要なポイントだったとわたしは感じた。
 というわけで、以下に各キャラと演じた役者をメモして終わりにしちゃいます。
 ◆キャロル・ダンヴァース=ヴァース=キャプテン・マーベル:元々幼少期から、女にゃ無理だ、なんてことを言われ続けてきて、その度に「何クソ!」といろんな無茶をしてきたけれど、鼻血を出してブッ倒れても、何度でも立ち上がる、その「不屈の闘志」がこの人の最大の武器なんでしょうな。その、何度も繰り返し描かれる「立ち上がる」姿がとてもカッコイイ。成人後はUS-AIR FORCE所属の軍人だったが、とある実験に参加したことで運命が変わってしまう。何故クリー人たちに「ヴァース」と呼ばれていたか、そしてなぜ、ニック・フューリーは計画を「アヴェンジャーズ計画」と名付けたか、その理由も脚本的に大変お見事だったすね。つうかですね、この人、もはや無敵なんですけど! この強さはMCU的にはもうTHOR様レベルです。人間じゃなくなっちゃったすね。
 演じたのは栄光のオスカー女優Brie Larsonさん29歳。意外と若いですな。しかし今回、コスチュームに身を包んだ姿は大変カッコ良かった。相当がっちりした体はとても鍛えられていて、美しかったすね。そして、あの宇宙空間用?のマスク・オン!の姿も実に最高でした。あのモヒカン的なマスク着用、からのマスク・オフで髪がはらり、となる姿もとても印象的っすね。『END GAME』での活躍も楽しみであります! もちろん今回のおまけ映像(1)では、ニック・フューリーの遺したあのポケベルの呼びかけに応じて、24年ぶりに地球に帰ってきたキャロルがCAPたちの前に現れるシーンを観ることができます。来たァ!とうれしくなったすね。最高でした。
 あとそうだ、ひとつ、おおっ!? と思ったことがあった。キャロルの少女時代がチラホラと描かれるわけですが、その子供キャロルを演じたのが、わたしが2年前大感動した『gifted』で天才児を見事に演じたMckenna Graceちゃんですよ! ちょっとだけ大人になりつつあって、しかも可愛く成長していてうれしいっす!
 ◆ニック・フューリー:ご存知S.H.I.L.D.の元長官。そして本作の時代ではまだ若手工作員。左目も健在。だけど、左目が潰れてしまう理由が、これはもう笑うべき、だよね? そんな理由だったとは、と笑えるものでした。演じたのは当然Samuel L. Jackson御大70歳なわけですが、本作では全編デジタル若返り処理がされていて、実際凄い技術だと思います。ただ、やっぱり、髪からおでこ、目元、鼻筋は、よーーく見つめると作り物感はあったと思う。つうか、おれも1995年当時と今とでは相当老けてんだろうな……と全くどうでもいいことを感じてしょんぼりっす。ついこの前なんだけどなあ……。。。
 ◆ヨン・ロッグ:クリー人にして「スター・フォース」の指揮官。ヴァースの先生的な存在だが、まあ、観ていればこの人が本当にイイ奴かは、うっすらわかると思います。ただ、残念ながらこのキャラはまるで弱かったす。演じたのはJude Law氏で、やっぱりイケメンですなあ、この人は。コスチューム姿も実にカッコイイすね。
 ◆ロナン・ジ・アキューサー&コラス:『GUARDIANS』での悪役コンビ。『GUARDIANS』では、クリー人テロリスト?みたいな感じだったけれど、本作の時代では、ロナンはクリー軍の攻撃隊長的な役割(?)で、あのお馴染みの宇宙船での爆撃が主任務。そしてコラスは「スター・フォース」の副官として、強いて言うなら正義の味方側、に所属。そもそもわたしは「クリー帝国」というんだから、皇帝がいるんだろうと勝手に思っていたけれど、まさか超AIが支配していたとは驚きです。つうか、AIなんぞが人間を支配しているのか、と思った時点で、クリー帝国にはうさん臭さしか感じなかったすね。それぞれ『GUARDIANS』で演じたLee Pace氏、Djimon Hounsou氏が再登板でありました。
 ◆ウェンディ・ローソン博士=マー・ヴェル:キャロルのUS-AIR FORCE時代の上官で科学者。その発明は、銀河から狙われることになるわけだが、問題は、本当に狙っていたのは誰か、そして、博士は何のためにその発明を成したのか、という理由がポイントとなる。まあこれも、観ていれば途中で気付けると思う。ほぼ冒頭から、キャロルの夢などでちらほら出てくるけれど、わたしは一目で、おおっと、これはAnnete Beningさんじゃないか、久しぶりだなあ! とか思いました。わたしが劇場のスクリーンでAnnetteさんを観るのは、たぶん『AMERICAN BEAUTY』以来じゃなかろうか。18年ぶり?っすね。
 ◆フィル・コールソン:ご存知S.H.I.L.D.諜報員。2012年の『AVENGERS』で殉職(したはずだけどTVでは生きてる設定)したコールソンも、この1995年当時は新人。ワンシーンだけ、後の登用に繋がる判断を見せる。当然、Clark Greggさんがデジタル若返り処理で演じてます。
 ◆タロス:今回の悪役か? と思わせて実は……なスクラル人。変身能力アリ。演じたのは、映画オタにはいろいろな作品で悪いヤツを演じていることでお馴染みのBen Mendelsohn氏49歳。意外と若いんだよな……この人。今回は、S.H.I.L.D.のフューリーの上司ケラーも演じています(正確に言うとケラーに変身したタロス)。
 ◆マリア・ランボー:キャロルの元相棒的女性パイロット。コールサインは「フォトン」。コミック原作的には彼女や彼女の娘には大きな役割があるらしいけど、本作ではとりわけ大きな役割ナシ。ただ、初見の宇宙船(に改造された輸送機)を操縦しちゃうなど、勇気と度胸は一流ですね。演じたのはLashana Lynchさんという全然知らないお方でした。
 ◆グース:基地で飼われていた猫ちゃん。茶トラのカワイイ猫。おそらくは、相当なシーンがフルCGまたはマペットだと思う。まあ、グース、そして戦闘機とくれば当然映画オタとして『TOP GUN』を思い出すわけですが、まさかあのカワイイ猫が……という、この映画一番の驚きと笑いをもたらしてくれたキャラでありましょう。実際コワイっす。つうか、四次元キューブを君は……というおまけ映像(2)は必見でありますね。しかし、猫と暮らしている人なら分かると思うけど、なんで猫って、いきなり、そして結構な頻度で「吐く」んすかね……。うちの猫様も突然吐くからビビるっすわ。しかし、グースちゃんは2019年現在はもう生きていないのでしょうか……『END GAME』にぜひ登場してもらいたいっす!
 とまあ、こんなところかな。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 MCU最新作にして『END GAME』に直接関係のある重要作品、『CAPTAIN MARVEL』がやっと日本でも公開されたので、その初日にIMAX3D版を観てきたのだが、一言でいうなら、かなり面白かった。そして詳しく言うと、実にMCUな物語で、確かに本作単独で観ても十分面白いだろうけれど、やっぱり、MCU全作をきちんと押さえている方が、より一層面白いと思います。そして、やっぱりCAPTAIN MARVELのスーツもカッコイイですなあ! わたしとしては、マスク・オンの時のモヒカン姿も最高にカッコいいと思うし、マスク・オフの時、髪がはらりと落ちるのも実に良かった。演じたBrieさんもキッチリ体を鍛えていて、実によくお似合いだったすな。つうかですね、何より強いっすよ。宇宙空間でも単独行動できるし、ほぼ無敵な姿は、アフリカのどっかの王国で、世襲で王座を手に入れた弱っちいアイツとは大違いですな。しかしこれで、『END GAME』を見るための準備はすべて完了したわけで、あと1カ月チョイ、心から楽しみにいたしたいと思います! そして、グースよ、まだ生きていてくれ! 消息が超気になるっす! 以上。

↓ くそう、これ、ちょっとほしいかも……。

 やれやれ。それが今のわたしの感想である。
 何の話かって? さきほど、地元シネコンにて『KONG:SKULL ISLAND』(邦題:キングコング:髑髏島の巨神)を観てきたのだが、その、なんとも言い難い嘆息を「やれやれ」の一言で表現してみた次第である。
 わたしはこの映画を観ながら、随所で実に中国っぽいな、と感じたのだが、どうしてそう思ったのかを考えてみるに、おそらくそれは、随所にみられる演出上の「わざとらしさ」がわたしにそう思わせたのだと思う。なんというか……はい、ここ笑うところですよー、と言わんばかりの妙な間があふれており、また、CGもCGとしてのクオリティは非常に高いのに、使い方がかなり、無茶があるというかありえない映像と言えばいいのかな、ホント、中国製の作品にありがちな映像で、観ているわたしは白けるばかりであった。あの……なんて言えばいいのかな……よくある例としては、弓矢とか弾丸が発射されて、その矢の視線(?)にギューーーンと寄って、ぐおーーーっと対象に向かっていくような、アレのことなんですが。ホント中華映画はアレが好きだよな……。せっかくB級感あふれるトンデモストーリーをハリウッドスター満載&ハリウッドクオリティの高品位CGで描く大作なのに、とにかく演出が悪い。実にチープである。
 しかし、そう思うのはわたしの偏見であろうことは十分承知している。すでにLEGENDARY PICTURESが中国資本に買収され、中華スタジオになった事実が、わたしにそういった偏見を植え付けたのであろうことは否定できないが、恐らく、この映画は、100%間違いなく中国向けの作品で、そのほかの地域での公開はどうでもいいと思っているに違いない、とわたしは感じた。とはいえ、それもまたわたしの偏見に違いなく、実のところ、既に公開中の中国以外の国でもそれなりにヒットしており(中国ではどうやら日本と同じ3/24公開らしい)、US国内でも1億ドル以上の立派な大ヒットだ。ま、こういうアトラクション・ムービーはやはり一定の需要があるんでしょうな。
 あともう一つ。のっけからわたしはヒドイことばかり書いているが、実は1点だけ、ほほう、ついに来るか、と観てよかったかも、と思う点があった。これは、エンドクレジットが全部終わった後の、おまけ映像である。この作品、最後の最後に、日本人的には観ておくべき映像が流れるので、明るくなるまで席を立ってはいけません。詳しくは後程書きます。
 というわけで、以下、ネタバレがかなりあると思います。

 ちょっといろいろポイントがあるので、めんどくさいから箇条書きでまとめてみよう。
 ◆物語について~「MONARCH:モナーク」ってなんぞ?
 本作の物語は、ほぼ上記予告の通りである。謎の島に棲む怪物を調査しに行く人々の顛末を描く、いわゆる立木ボイスがお似合いのB級映画である。この、日本語公式サイトのイラストなんて実に70~80年代風のモンスター映画を思い起こさせるような、非常に良い出来のイラストだ。なんでこんな、ある意味懐かしのビジュアルか。それは物語の舞台がベトナム戦争から米軍が撤退する1973年を舞台としているからだ。本作は冒頭はどうでもいい太平洋戦争時の米兵と日本兵が、撃墜されたゼロ戦とグラマン(ムスタングだっけ?)から問題の「髑髏島」にパラシュート降下で降りたち、二人が決闘まがいの戦いを繰り広げようとしたところで、いきなり「コング」が現れるとことから始まるのだが(=よって、本作はもうのっけからコングが登場する。じわじわ見せるような演出では全くない)、メインの時制は1973年ごろである。そしてその時期は、まさしくNASAによる人工衛星LANDSATが運用され始めたころで、LANDSATが撮影した、「存在が知られていなかった」南太平洋の島があることが発覚し、とある秘密組織の学者がその調査へ乗り出す。その、秘密組織がMONARCHだ。
 MONARCHと聞いてすぐにピンとくる人は、この映画を観に行くような人でどのぐらいいるのか分からないが、それはまさしく、2014年のGareth Edward監督による『GODZILLA』で登場した、あの組織である。ケン・ワタナベ氏演じる芹沢博士がMONARCHの一員だったか、もうさっぱり覚えていないが、要するに本作は、あの『GODZILLA』と世界観を共通としているのである。
 しかしながら、ここが、物語のポイントの一つであるにもかかわらず、実際のところ本作はそんな豆知識は全く必要ない。
 調査隊が髑髏島へ向かう→ついでにベトナムから帰還する前のヘリ部隊も護衛のために同行→そしてまたも上陸してすぐ、いきなりゴング登場、ほぼ壊滅→そして帰還のための迎えに来る部隊と合流するために島の北側へ向かう→途中でいろんなモンスター登場、バタバタ人が死ぬ→ただし主要キャストは助かる→そして実はコングは人間の味方で(理由は一切説明なし)、怪物たちと戦ってくれる→何とか助かる→終了。
 とまあ、こんな流れで、確かに映像的な見ごたえはあるものの、物語としては実に予想通りの展開で驚きは特になし、であった。もう、細かい突っ込みどころはどうでもいいので指摘しません。
 ◆やけに豪華な役者陣について4人だけ挙げておく
 まず、MONARCHの学者リーダーを演じたのが、John Goodman氏。まあ色々な作品に出演している大ベテランと言っていいだろう。最近ではわたしが酷評せざるを得なかった『10 Clover Field Lane』での若干キモい芝居ぶりが印象的ですが、本作でも世間的に変人と思われている学者役で、非常に存在感ある演技でした。なんでも、かつてMassive Unidentified Terrestrial Organism(=巨大未知生物=MUTO=ムート=「GOZILLA」に出てきたアレ)に襲われたことがあるという設定で(※追記:正確に言うと、『GODZILLA』で描かれた通り、ビキニ環礁での水爆実験は、ゴジラ討伐のためだったという設定があって、その時ゴジラに襲われたことがある、という設定なので、『GODZILLA』に出てきたムートにやられたわけでない、と思う。いずれにせよ、このキャラはゴジラを始めMUTOの存在を信じている)、そんな点もちょっとした『GODZILLA』つながりがあった。ちなみに、ラスト前でとある怪物に頭からガブリとやられて見事殉職。ガブリの演出がとにかくチープ。
 次に、ヘリ部隊の大佐として、いつも通りの怪しい男を演じたのがSamuel L Jackson御大。もうこの人映画に出すぎです……。本作でも相変わらずの御大で、若干狂ってる系軍人で、もちろん彼も見事殉職。あれっ、どういう殉職だったか覚えてないな。コングに思いっ切り踏んづけられるんだったかな?
 そしてMONARCHに雇われた、元イギリス陸軍特殊空挺隊(SAS)の傭兵男を演じたのが、宇宙一のだめんずロキ様でお馴染みのTom Hiddleston氏。ま、確かにイケメンですよ。でも、本作では、ほぼ何もしていないキャラで、何のために出てきたのか全く分からない謎キャラであった。いてもいなくても、物語には全く何の影響もなかったと思う。当然生還。
  最後。紅一点のヒロインで、女性カメラマンを演じたのが、去年アカデミー主演女優賞を獲得したBrle Larson嬢27歳。このヒロインも、事実上空気で、物語上の役割は特になし。一応、歴代キングコング映画と同様に、ヒロインとしてコングと気持ちが通じる的な描写はあります。勿論生還。
 なお、正確に言うと、もう一人中国人女子が出て来るので、紅一点ではないのだが、でもその中国女子も、とてもかわいいのだけれど、これまた全くのお飾りキャラなので、物語には一切関与せず。この時代のアメリカと中国の関係を考えると、ちょうどピンポン外交で関係緩和の方向だったけれど、まだ国交もないはずで、やっぱり不自然かも。ゴリ押しキャスティングでしょうな、きっと。
 とまあ、以上のように、役者陣は大変豪華と言っていいだろう。 他には、まったくどうでもいい、冒頭の日本兵を演じたのは、MIYAVI氏という日本のミュージシャンだそうだ。有名らしいけどわたしは知らないので、紹介は割愛。ちなみに、劇中での役名は、イカリ・グンペイというのだが、これは、Evaの碇シンジ君と、ゲームの世界で有名な、元任天堂の故横井軍平さんから取ったのだそうだ。全くどうでもいいネタですな。
  ◆そして結局一番の見どころは?
 冒頭に書いた通り、わたしとしては一番、おおっ!? と盛り上がったのは、エンドクレジット後のおまけ映像である。事件終結後、イケメン傭兵と美人写真家はMONARCHの本部に移送され尋問を受けるシーンがおまけとしてついているのだが、そこで、MONARCHが追う、コング以外の、かつて地球を支配していた「古生生物」がこの世界に存在することが告げられる。そしてその、「巨大未知生物」の壁画が見せられるのだが……それがまさしく「ゴジラ」「モスラ」「キングギドラ」の図なんですな。ここで、おお!と観客に思わせて、やっと映画は本当に終わる仕掛けになっています。まあ、子供だましと言えばそれまでですが、このおまけ映像だけは、日本人向けサービスだと思っていいと思う。一応、次の作品はゴジラVSキングコングらしいですが、まあ、どうなるんでしょうなあ……。
 ◆その他
 最後に、二つだけ記しておこう。監督に関しては良く知らない人で、Jordan Vogt-Roberts氏という方であった。ま、インディペンデント系で注目された人みたいですな。日本語Wikiはまだないみたい。おおっ!? なんてこった! この人の英語Wikiによれば、この監督の次回作は「メタルギア:ソリッド」となっているじゃないか! へえ~。パンフレットによると、日本のアニメ・ゲームが大好きなクソオタク野郎みたいですね。本作は、登場クリーチャーのデザインだったり、キャラの名前などにいろんな映画やアニメのオマージュ(笑)が詰め込まれているのだが、別にどうでもいいかな。わたしは特に何も感じないすね、そんなのには。
 あともう一つ。
 実はわたしがこの映画で一番評価したいのは、邦題である。いつも私は邦題に難癖をつけるクソオタクなのだが、今回の「髑髏島の巨神」というタイトルは実に素晴らしいと思っている。なんとも70年代なセンスで素晴らしいですよ。ちゃんと原題を踏まえているしね。本作はWarnerの配給だが、近年のWarnerはちゃんと日本を考えている姿勢がたいへん好ましいとわたしは常々思っており、FOXのダメマーケティングに比べると雲泥の差であると申し上げて、本稿を終わりにしたい。

 というわけで、どうでもよくなってきたので結論。
 『KONG:SKULL ISLAND』を観てきたのだが、まあ、なんだこりゃ、である。しかしそれは、予想通りのなんだこりゃ、であって、わたしには文句を言う資格はまったくない。だって、分かってて観に行ったんだから。しかしまあ、かなり中華風でしたな。せっかくの豪華キャストも高品位CGも、あまりに中華風味でわたしの口には合いませんでした。しかし……かつて日本が世界で存在感をぐいぐい上げていた時期に、こんなにもハリウッドに対して関与できただろうか? バブル期にはSONYだけじゃなくいろいろな企業がハリウッドに出資したのに、今やSONY以外に何にも残ってない。なんというか、今の中国は恐ろしいですな、その勢いが。とにかく人口が違いすぎるからなあ……。以上。

↓ さすがにこっちは観に行く気になりません。Matt Damon氏出演のトンデモ・チャイナ・ストーリー。


  

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