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 わたしはミュージカルが大好きで、このBlogのタイトルにもその意を込めているわけだが、ここ数年、映画においてもミュージカル作品がちらほらヒットするようになってきたような気がする。
 その先鞭をつけたのは2012年の『Les Misérables』だと主張すると、それは違うぜ、もっとずっと前からあったよ、と当たり前の反応をされるとは思う。わたしも例えば『The Sound of Music』とか大好きだし。が、やっぱりあの『Les Misérables』のクオリティはすさまじく、キャスト陣のパフォーマンスのクオリティが素晴らしいのは言わずもがなとして、映画として、その撮影・演出がすごい、とわたしは思っている。普通、映画の場合は、撮影と歌は別で、別撮りした歌をかぶせるのが当たり前のような気がするが、あの作品は、本当に歌っている芝居そのものを撮影していたのである。これにはわたしはいたく感動し、それ故にすさまじいクオリティと賞しているわけだが、その主人公、ジャン・バルジャンを演じたHugh Jackman氏のパフォーマンスは本当に素晴らしかったとわたしは今でも思っている。
 そもそも、Hugh氏は、映画オタクのわたしにとっては、X-MENのWolverineでお馴染みなわけだが、実はBroadwayでも活躍している歌えるオージーであることは十分に承知していたものの、『Les Misérables』でのパフォーマンスはわたしの想像を超えていて、おまけに2014年かな、TONY賞の司会を務めた時(しかも4回目だったらしい)のパフォーマンスがこれまたウルトラ素晴らしく、なんてこった、Wolverineのくせにすげえ! とわたしの中ではHugh氏は最強に歌えるハリウッドスターとして認識されるに至ったのである。とにかくカッコいい。おまけに超イイ人キャラだし。イイ人なのは関係ないか。
 というわけで、以上はいつも通りの前振りである。
 今日、わたしはHugh氏最新作のミュージカル映画『THE GREATEST SHOWMAN』を観てきたのだが、これがまた歌が超最高だし、ダンスも超キレがあって素晴らしいし、大絶賛したい、けれど、若干アレだなあ、という点もあって、絶賛するかどうしようか迷っているのである。うーーーん……うーーーん……やっぱり、手放しでは絶賛できないかなあ……これはキャスト陣の問題ではなく、キャスト陣に対しては絶賛したいのだが……やっぱり撮影と、あれかな、編集のキレが悪いのかな……。だって、完全に口パク?で、歌が流れているのにキャストが歌ってないシーンがすげえ多いんすよ……これは完全に歌だけ後乗せだと思うな……そのため、なんというか、超長いPVを見たような印象なのである。その点がすげえ残念なんすよね……。でも、くれぐれも言っておきますが、歌とダンスは超最高です! これは劇場で観るべき映画だと思う。以下、物語の結末まで書いてしまうと思うので、ネタバレが気になる人は今すぐ退場してください。思いっきりネタバレると思います。

 というわけで、上記予告で聴ける歌もイイすねえ!
 ただし、物語は上記予告から想像されるものとは全く違うのではなかろうか。少なくとも、わたしが想像していた物語とはかなり違っていて、わたしは結構驚いた。
 主人公P.T.バーナム氏は実在の人物で、「サーカス」という興行を発明した男だそうだが、どうもWikiの内容を読む限り、今回の映画はかなり史実とは違うようだ。まあ、それは全然かまわないのだが、本作の物語をまとめると、こんなお話であった。
 時はどうやら19世紀の後半、バーナムは仕立て屋さんの息子として、上流階級のお屋敷に出入りしていて、とある金持ちの娘さんと恋仲になり、その父親には「どうせ娘はすぐに帰ってくる。貧乏暮らしに耐えられなくなって、な」なんて言われながらも結婚にこぎつけ、貧しいながらも二人の愛らしい娘に恵まれ、日々を送っていた。が、勤め先の商船会社が倒産し、無職となったところで、ふとひらめいたアイディアをもとに、「ユニーク(=唯一無二)」な身体的特徴を持つ人々を集め、ショーを開催する常設劇場をオープン、それが大ヒットとなって財を成すことに成功する。しかしそのショーも、所詮は見世物小屋という評価しか得られず、上流階級の人々からは蔑みの目で見られ、単なる成金野郎としかみなされていなかった。そんな中、上流階級向けの舞台作家として活躍していた青年と意気投合し、その青年のコネでイギリス女王(=ヴィクトリア女王)と謁見したり、何とか上流階級を見返してやろうとしていたところ、ヨーロッパで大人気の「本物の」オペラ歌手と出会い、アメリカに招いて全米ツアーを企画、それがまた大成功する。バーナムはその歌姫の本物の実力に心酔し、自分の劇場のショーをほったらかして、歌姫ツアーにのめりこんでいくのだが、そのことで妻や娘を蔑ろにしてしまい、あまつさえ、「家族」であった「ユニーク」な連中との間にも溝ができてしまい……てな展開となる。まあ、最終的には歌姫にも去られ、劇場を燃やされ、と無一文になってしまうけれど、残った仲間たちと、そうだよ、劇場なんていらねえ、テントで十分だぜ! と現在の「サーカス」の元となる興行を「地上最大のショー=The Greatest Show」として成功させるのだった―――てなお話である。
 まあ、要するに、途中まで、家族を蔑ろにする姿には、おいおいWolvarine、お前何やってんだよ、奥さん泣かせやがって、とか若干主人公への共感は薄れてしまうのだが、最終的にはめでたしめでたしに収まる、実に美しいお話である。ま、ちょっと美しすぎるけれど。なので、物語としては、ありがちというか、作り話めいているというか、冷静に考えるとそれほどグッとくるものはないのだが、前述の通り、とにかく歌とダンスは超最高である。というわけで、各キャラ紹介をしながら思ったことを綴っておこう。
 ◆P.T.バーナム:観ていてわたしが思ったのは、この主人公の、逆境を跳ね返すための挑戦を繰り返す、その不屈の気合、はそりゃもちろん凄いとは思うし、挑戦にはリスクが付き物だ的な発言も、そりゃそうだ、とは思う。けれど、あまりにその手法は詐欺師めいているし、計画も結構ずさんに見えるわけで、こんな危なっかしい男に惚れちゃった奥さんの心労は絶えなかっただろうな、とそっちの心配がずっと頭から離れなかったすね。しかしまあ、演じたHugh氏のパフォーマンスは本当に素晴らしかったですなあ! もう本作は冒頭からその歌とダンスを堪能でき、のっけから超ノリノリでありました。お見事です!
 ◆バーナムの妻:もう本当によく耐えましたねえ! そして演じたMichelle Williamsさんが超イイ!! この人、こんなに歌えて踊れたんだ!? と驚愕のパフォーマンスであった。あれは……ダブルなのか? 本当にMichelleさんなのか? かなり冒頭の、貧乏時代にアパートの屋上でHugh氏と歌って踊るシーンは超グルグル回ってすげえスピンでもう大興奮でした。演技も実にしっとりとした上質な芝居で、大変良かったと思います。ああ、Broadwayで『キャバレー』に出演したこともあるんすね。本物ですな、この実力は。
 ◆バーナムの二人の娘:まあとにかく可愛らしいチビたちでしたなあ! 最初の劇場こけら落としの時の、客席で踊るチビたちが超可愛い! どうかすくすくと育っておくれと祈らずにはいられないすね。最高です。
 ◆フィリップ:バーナムのパートナーとなる上流階級出身の男。演じたのは『High School Musical』でおなじみのZac Efron君30歳。おう、もう30歳になったんだな。歌はもちろん、ダンスもキレがありますねえ、やっぱり。キャラクターとしては、若干なぜ空中ブランコの彼女に惚れてしまったのか良くわからないけど、まあ、恋に理由はいらねえってことで、ひとめぼれだったってことなのかな。わたしは今まで彼の演技を見る機会はほとんどなかったけれど、なかなかいいですな、やっぱり。なかなかのイケメンでありました。
 ◆アン:「ユニーク」な劇団員の一人で空中ブランコの名手。演じたのはUS国内で大人気のZendaya嬢21歳。わたしは彼女のことは実はほとんどよく知らず、去年の『SPIDER-MAN:Home Coming』で初めてその顔と名前が一致するようになったのだが、やっぱり、歌もイイし、ダンスも超キレてますねえ! スレンダーで長身(180.3cmだって! Zac氏より全然背が高い!)な体の美しさも極めて上等でした。
 ◆ジェニー:バーナムがヨーロッパから招いた歌姫。演じたのはRebecca Fergasonさんで、な、なんて歌のうまい人なんだ!!! とわたしは超大興奮し、今まで何作かこの方の出演している作品を見ているけど、まさかこんなに歌がうまいとは!驚愕の歌ウマだぜ、と思ったのだが……残念ながら歌は別の方の声を当てているらしいです。なーんだ。超がっかり……。で、その歌を担当されたのがLoren Allredさんというお方だそうで、とにかく歌う『NEVER ENOUGH』という歌が素晴らしかった。

 Rebeccaさんが初めてUS国内で歌うシーンは超鳥肌モンでしたな。まさか本人が歌ってないとは……残念す。
 とまあ、キャスト陣に関しては以上でやめておくけれど、とにかく素晴らしいパフォーマンスであったのは間違いないのだが、冒頭に書いたように、映画としては若干アレなところがあって、ホント、PVを見ているような気がずっとしていたのは間違いない。それはやっぱり、役者をきちんと追わず、結構群舞だったりとキャラクターが画面に多いシーンが多く、せっかくのソロやデュエットでもきちんと役者の表情を追わず、引き目の画が多かったような気がする。カットも多いし。そういう意味では、去年の『LA LA LAND』のような一発撮影でもなくて、若干物足りなさを感じてしまった。まあ、今回の作品に流れる歌の数々は『LA LA LAND』のチームによるものらしいが、映画の出来としてはやっぱり、断然『LA LA LAND』の方が上だとわたしは感じた。本作を監督したのはMichael Gracy氏という方だそうだが、ほぼキャリアなしの新人監督みたいですな。何歳なんだろう……見た目は若い兄ちゃんですね。まあ、今後の活躍を期待したいと存じます。

 というわけで、結論。
 ミュージカルが好きなわたしとしては、Hugh Jackman氏主演ということで大変期待した『THE GREATEST SHOWMAN』という映画を観てきたのだが、確かに、歌とダンスのパフォーマンスは極めてレベルが高く、キャスト陣全員を激賞したい、のだが、どうも映画として、若干の問題点があって、ライブ感が薄く、長いPVを見ているような気分になる作品であった。その問題点は、ズバリ言うと撮影と編集にあるような気がしてならず、要するに演出の問題だろうと思う。あと、せっかくキーとなる重要な歌を、役者ではなく別人の歌をかぶせるというのも、正直とても残念だ。最初から歌える役者で撮ってほしかったす。それにしても、Michelle Williamsさんの歌とダンスは、本当に本人なのだろうか……?? 本人であってほしいと強く思います。何しろ、とにかく素晴らしかったので。以上。

↓ わたしはもちろん舞台版(日本語版)も観たことがありますが、この映画のクオリティはやっぱりすさまじいす。最高です。やっぱり、わたしとしてはエポニーヌの歌う「On My Own」が泣けますなあ……映画版でエポニーヌを演じたSamantha Barks嬢は、ほぼ唯一の舞台版本物キャストじゃなかろうか?

 去年の夏、日本で公開されてまったく売れなかった映画『X-MEN:APOCALYPSE』。その映画を観て書いた本Blogの記事でも記した通り、わたしは20th Century FOXによる映画「X-MEN」シリーズは、さっさと終了させて、MARVEL=DISNEY帝国によるMCUに「X-MEN」キャラたちも参加してほしいと今でも心から祈っている。とにかく、全体としてきちんとシリーズ構成が設計されておらず、場当たり的である。もちろんわたしは映画「X-MEN」シリーズに関しては、2000から始まった最初の3部作は大好きだし、ウルヴァリンのスピンオフ2本もいいし、それから、第1世代ミュータントの悲劇を描いた『X-MEN:First Class』は最高に面白かったと思っている。だが、その次の『X-MEN:Days of Furute Past』でとんでもない展開となり、そのトンデモ設定を引き継がざるを得なかった去年の『X-MEN:APOCALYPSE』でもはや手の施しようがなくなってしまった。故に、もう終わらせてほしい、とわたしは思ったのである。
 折しも、去年は「X-MEN」世界における異端児『DEAD POOL』単独スピンオフがUS国内ではシリーズ初の「R指定」ながらも、本編の倍以上を稼ぐ超える驚異の大ヒットとなってしまい、本末転倒というか、もはやどうにもならない状況となり果てていたわけで、わたしはもう、本当にFOXによる映画「X-MEN」シリーズに絶望していた。
 そんな状況下で、またもやFOXは、一番の人気キャラであるウルヴァリン単独作品『LOGAN』を世に送り出した。しかも本作もUS国内では「R指定」である。わたしは、はっきり言ってまったく期待していなかったし、どうせ『DEAD POOL』の大ヒットに乗じて、首が飛んだり手がちぎれたり、血まみれ映画になり果てたんでしょ、という完全なる予断を抱いて、わたしは昨日、劇場へ向かったのである。そして、本Blogにおいてこき下ろしてやる!とさえ思っていたのが本音だ。
 しかし―――結論から言うと、本作は紛れもなく超名作であり、これはすげえ、こいつは最高の「X-MEN」の真のファイナルじゃねえか!!! と絶賛するに至ったのである。FOXよ、頼むから調子に乗ってこの先また「X-MEN」作品を作ろうと思うなよ。本作で完結させるのが、最高なんだから! さっさと、もう莫大な金額を提示してもいいから、今すぐMARVEL=DISNEY帝国に権利を売り戻してくれ。頼むよ!
 以下、ネタバレがあると思いますので気にする人は読まないでください。

 まあ、あいかわらずFOXの予告は肝心の物語がさっぱり伝わらない内容だが、その世界観は伝わると思う。最初に言ってしまうけれど、本作は、これまでの「X-MEN」映画の歴史をまたもや完全に無視しているといっていいだろう。あれはどうなった、あのエンディングと繋がらねえじゃん。そんな世界観であるので、はっきり言ってわたしは序盤は結構いらいらしながら観ていた。まーたFOXの野郎、めちゃめちゃにしやがって……と、実際腹立たしくさえ思っていた。おまけに、そもそも不老不死であるウルヴァリンが、何故年老いているのか。そして、なぜ他のミュータントたちがみな死に絶えてしまったのか。この最大のポイントも、まったく説明はない。そういう意味では全く不親切というか、ぶった切りである。一応、これまでの映画シリーズは時系列で示すと次のようになると思う。ちょっと簡単にパワポで図を作ってみた。記憶だけで書いたので年号は自信なし。
X-MEN
 まあ、要するに超問題作『FURUTE PAST』で歴史が大きく改変されてしまったわけだが、実際、原作のコミックでもそういうことは実のところ頻繁に起こっているので、ここでけしからんとわたしが非難しても、実はほぼ意味はない。なので受け入れるしかないわけだが、本作『LOGAN』は、これまでのシリーズのどの流れなのか、明確にはわからない。完全に独立した別の歴史かもしれないし、一方ではちょろちょろと、「それっぽい」ことを示唆する小道具とかが映されるため(例えば『SAMURAI」の刀とか)、どういうことなんだよ、とこれまた観ていてイライラする。
 しかし――である。X-23として原作でおなじみのローラが出てきて、ローラと、もう完全におじちゃんで耄碌してしまったプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアとの逃避行が始まると、そこからはどんどん面白くなってくるのである。もう完全に、戦いに疲れた男と無垢な少女とのロードムービーであり、実に心にしみるのである。とにかく渋く、カッコよく、泣かせるのだ。
 展開としては、人為的に「製造」されたミュータントの少女を、コミック「X-MEN」で描かれているミュータントの住まうコロニー「エデン」に連れて行ってくれ、と製造していた会社の女性に頼まれたウルヴァリンが、その会社からの追手の追撃をかわしながら、「エデン」を目指すというものなのだが、わたしは心底驚いたことに、本作『LOGAN』の世界には、「X-MEN」のコミックが存在するのである。こ、これはまさか「第4の壁」を突破(=自分がコミック世界の人間であることを自覚している状態。DEADPOOLがその例)しているのか!? とわたしは興奮したが、劇中でのウルヴァリンの話によると、「そんな漫画は、事実に基づいてはいるけれど、面白おかしく誇張したインチキだ。エデンなんてものはありはしない」だそうで、どうやらこの世界ではX-MENたちの活躍は知られていて、それが漫画化されているだけらしい。なるほど。しかし、コミックを信じるローラは、エデンの存在を信じ、そこに向かうことだけを希望としている。ウルヴァリンとしては、何にもありゃしねえよ、そこに行っても失望するだけだぜ……と思いながら、ボロボロな体でエデンを目指すわけだ。
 その道中では、当然激しいバトルが繰り返される。あろうことか、X-24として、ウルヴァリンそのものといえるクローン・ミュータントまで出てきて(=だからHugh Jackman氏は一人二役)オールドマン・ウルヴァリンはもう満身創痍だ。そもそも、たまに勘違いしている人と出会うけれど、ウルヴァリンの爪は、あれは人為的に後付けされたただの武器で、ミュータントとしての重要な力はどんな傷もたちどころに治っちゃう「ヒーリング・ファクター」の方だ。それがあるからこそ、強い戦士だったわけで、本作では「ヒーリング・ファクター」能力が弱まっている。いくら爪があっても、例えるならただの中年オヤジが刀を振り回したって怖くないでしょ? そういう状態なので、あのウルヴァリンが、もうボッコボコである。そんなピンチを救うのが、まだ10歳程度の少女だ。その少女は、研究所の連中からは「特許物」と呼ばれ、製品の一つに過ぎない。しかも、ウルヴァリンのDNAから製造されており、いわば娘である。そういう意味では、明確に父と娘の心の旅路を描く作品となっているわけだ。まあ、鉄板ですわな、そういう展開は。はっきり言って、ラスト、少女がウルヴァリンを「パパ」と呼び、そして墓標の十字架を、一度抜いて、斜めに、「X」の形に直して据えるシーンはホントにもう、ジーンと感動したね。いや、マジで最高でした。これ以上ない、映画「X-MEN」の完結だと思う。
 というわけで、物語的には、これまでの映画「X-MEN」シリーズが大好きな私としては、結構突っ込みどころというか良く分からない点もあるものの、中盤からはもう大興奮&大感動してしまったわけで、それは確実に、役者陣の素晴らしい演技に支えられていると断言してもいいだろうと思う。
 まず、主人公ローガンことウルヴァリンを演じたのが、当然のことながらHugh Jackman氏。本作限りでウルヴァリン役からの引退を表明しているHugh氏だが、その言葉が守られることを切に願う。もうこれ以上の感動的なラストはないでしょ。それにしても、本当に疲れ、くたくたになったウルヴァリンをよくぞ演じ切ってくれました。完璧だったと思います。来年2月のアカデミー賞にノミネートされてもまったくおかしくないと思うな。とにかくカッコよく、最高です。
 次は、これまた疲れ切っていて、もう完全に要介護状態ですらある老いたプロフェッサーXを演じたのが、これも当然、Patric Stewart氏だ。本作では、能力の暴走を恐れながらも、ウルヴァリンのメンターとしての最後の教えを施すおじいちゃんとして、実に渋い演技ぶりだった。本作では、プロフェッサーXは「世界で最も危険な脳」の持ち主として、その能力の暴走はもはや災害みたいな認識がされている。そのために抹殺対象になっているわけだが、その設定はわからんでもないけど、一体全体、どうしてこうなった……他の仲間はどうしちゃったんだろうな……まあ、そちらの説明をし始めちゃうと、軸がぶれちゃうのかな……本作はあくまで、ローガンとローラのお話だからな……。
 で。X-23こと、ウルヴァリンのDNAから製造されたローラを演じたのが、Dafne Keenちゃん12歳。素晴らしい! 実に素晴らしい演技で、おっさん客はもう号泣必至であろうと思う。いや、わたしは泣いてないすけど。本作ではほぼ笑顔はなく、常に深刻な顔をしているし、本当にもうクライマックス直前までセリフすらないのだが、しぐさや表情は結構可愛らしく、実に守ってあげたくなる少女でしたな。凶暴だけど。その見事な演技については、わたしとしては、天才少女現る!と絶賛したいと思う。成長が楽しみなちびっこですよ。どうか美しい女優に育っておくれ……。

 はーーー。なんかもう書くことなくなっちゃったな……まあ、わたしはこの映画を絶賛したいわけだが、一つ注文を付けるとすると、本作は2029年と明確に年代が示されるが、ウルヴァリンが乗っている車だけは、若干の未来調で2024年モデルとか言っていたけど、ほかの車が、まったく今の2017年の車なんだよな……わたしは車好きなので、その点はちょっと甘いというかイマイチだったすね。ま、まったくどうでもいいことですが。未来感で言うと、ローラを追う勢力の男のメカニカルアーム(義手)とかは、ほんの些細な小道具だけど実にクオリティの高いCGで、大変良かったと思います。
 しかし、やっぱり年老いて、死が自らに迫ってくると、一番に考えることは自らの遺すもの、端的に言えば子供のことなんだろうな。死に瀕すれば、今までのオレの人生って何だったんだ、オレは一体何のために生きて来たんだ、と思うのは、ミュータントでも変わらないわけで、自分の生きてきた証、ってやつなんでしょうな。ほんと、心にしみる作品でした。ラストが最高です。

 というわけで、結論。
 映画『LOGAN』は、その背景はあまり語られず、これまでのシリーズとの関連性もかなりあいまいで、またしてもFOXがひどい「X-MEN」を作りやがった……と思ったら、中盤以降はもう最高で、感動すらある超名作であった。ほんと、マジでもうこの作品を完結作として、FOXは二度と「X-MEN」映画を作らないでほしい。そして、いつかMCUに「X-MEN」が参戦する日が来ることを、わたしとしては切に望みたいと思う。しかしHugh氏は本当にお疲れさまでした。あなたの演じたウルヴァリンは最高でした。以上。

↓ 一応、複数作品のエッセンスを取り込みつつ、メインのビジュアルイメージはコイツだそうです。マーク・ミラー氏の作品は、もはやコミックではなくグラフィック・ノベルですな。激シブすね。

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