いやあ、最高だったすねえ!
何のことかって? そりゃもちろん、さっそく観てきた『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』のことであります! MCU第27作目となる本作は、順番としてはPHASE-4の4番目の映画となるわけですが、PAHSE-4は、過去の話(=BLACKWIDOW)や完全新規作品(=SHANG CHI、ETERNALS)だったわけで、言ってみれはようやく正統なる続編、お話の続き、が本作『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』で語られるわけです。
まあ、今や動画配信プラットフォーム「Disney+」において、既に「その後」を描く続編作品がいくつか公開されているので、それをカウントするかどうかで変わるけれど、わたしとしてはあくまで、「ONLY IN THEATRES」にこだわりたいというか、とりあえずDisney+は今回は無視します。次のDOCTOR STRAGNEの新作は、Disney+の方を観てないとダメなのはもう確定してしまったので、公開までには見ておきますが。
さてと。『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』を観てきた感想としては、もう「最高!」の一言に尽きるわけですが、まずはざっとおさらいをして、その後で、何故そんなに興奮して最高だと思うかについて記述してみようと思います。
ところで、日本において2000年代までは、いわゆる「アメコミ作品」は、たった一つ(?)のキャラクターを除いては、全く売れないのが常識でありました。2008年に始まったMCU第1作目の『IRONMAN』も、全然ヒットしなかったわけで、当時わたしはトニー・スタークのカッコ良さに大興奮して、周りにその面白さを触れ回っていたのが懐かしいほどであります。
で、その、「唯一、アメコミで大ヒットしたキャラクター」が、まさしくSPIDER-MANなのです。2002年に公開されたSam Raimi監督による『SPIDER-MAN』は、日本でも75億円稼ぐウルトラヒットとなったわけで、その後のシリーズも大ヒット、どうして、なんでスパイディだけが日本でヒットしたのか、についてわたしもかなりいろいろ研究したものです。
わたしの結論はもう明らかで、スパイディがMARVELヒーローの(映画化されたキャラの)中で、唯一の特徴を備えているからだ、と結論付けました。そう。スパイディが、IRONMANたちと決定的に違うのは、「ガキ」であること、なのです。
日本で映画が大ヒットするには、10代20代のキッズどもを動員出来ないと話にならんわけですが、そういったガキどもにはトニーのカッコ良さは通じないんだな。例えて言うなら、仮面ライダーがおっさんでは、喜ぶのはお母さんたちだけなんですよ。
スパイディは、子供であるがゆえに、進路や恋愛に悩み、その一方で、身に着けた「大いなる力」に戸惑いながら、「大いなる責任」を果たそうと奮闘する。その姿に、日本のキッズどもも共感できた、というのがわたしの持論であります。要するに、日本の漫画カルチャーにも共通する物語なわけです。そこがほかのアメコミヒーローと決定的に違っていたからこそ、大ヒットしたのだとわたしは考えています。
で。
MCUにおけるスパイディは、これまでのSPIDER-MAN作品と結構違う点がありました。それは、主人公ピーター・パーカー君が、やけにリア充で、あまり悩まない点です。優しいおばさんがいて、恋人や親友がいて、さらに道を拓いてくれた尊敬する「大人の男」もいた。そんなピーター君は、『END GAME』で尊敬するトニーを喪い、失意にかられ、うっかり別の大人にすがろうとする、けど、そいつはクソ野郎だった、てのが前作『FAR FROM HOME』でありました。さらにそのクソ野郎は、あろうことかSPIDER-MAN=ピーター・パーカーであることを全世界に公表してしまい、その正体がばれて、な、なんだってーーー!? という事態に陥って前作は終わりました。
我々としては、ついにその正体が全世界にばれてしまったピーター君の運命に、どうなっちゃうんだろう?? とドキドキしながら、前作の公開から2年、超期待しながら「その続き」を待っていたわけです。
というわけで、以下はもうネタバレに考慮せずに書くと思いますので、まだ観ていない方は、今すぐ!! 劇場へ行って『NO WAY HOME』を観てきてください。警告しますが、確実に!何も予備知識なしで観た方が楽しめると思います。つうかさ、こんなBlogを読んでいる暇があるなら、今すぐ座席を予約すべきですよ!! まだ観ていない方々はここで退場してください。観に行けない理由を考えるより、観に行く予定を立ててください。今すぐ! それでは、まだ観に行っていない方は、この辺でさようなら!
はい。それではよろしいでしょうか?
まずは予告をおさらいしましょう。上記は2番目に公開された予告ですが、ここで描かれているように、本作は、まさしく前作ラストから直接つながっており、全世界にその正体がばれてしまったピーター君が、ともに戦ったことのあるDOCTOR STRAGNEのもとを訪れ、人々の記憶を魔術で消してほしい、とお願いするところから物語が始まります。なんつうか、助けてドラえもーん!みたいなのび太君的行動ですが、何度も言っている通りピーター君は子供なので、許してあげましょう。そしてその魔術をうっかりミスってしまい(?)、「次元の扉が開かれる!」的な予告を観て、わたしはもちろん大興奮しました。なんで日本だけ公開が遅えんだよ!! と当然思ったし、かつてのわたしなら、100%間違いなく、12月中に台湾に観に行っていたことでしょう。今のわたしはもはや旅行で家を空けることが出来ないので、断腸の思いで諦めましたが、SONYに対する怒りと憎しみは忘れないと思います。それほど、1日も早く観たい! と思っていたのは、恐らく日本中のファンの皆さんも同じだと思います。
まあともかく、以上がこれまでの流れです。
そして、今回、公開前からこの予告によって、ついに「MULTIVERSE」の概念が(映画版の)MCU世界に導入されることが明らかになり、我々の興奮はもう最高潮に達していたわけでありました。
この、MULTIVERSEという概念は、日本語に訳すと「多元宇宙論」というもので、ざっくり一言で言うならば、いわゆる「並行(平行)世界」、要するに別の次元で同じ世界が違った展開で流れているというもので、MCUにおいては時間軸が分かれた別の「あり得た」世界、てな解釈で十分だと思います。この概念は、もう既にDisney+においては「LOKI」などで描かれていて、お馴染みなわけですが、正直、わたしはこの概念を映画版MCUに導入するのは嫌だなあ、と思っていました。
というのも、いろいろなことが「なかったこと」にされてしまうわけで、そんなのは非常に無責任というか、つらいというか、とにかく「なんでもアリ」になってしまうのは非常に抵抗がありました。
なので、わたしとしては密かに、これはマズいんじゃねえかなあ……いまさらドック・オクやグリーン・ゴブリン、エレクトロを再登場させて何の意味があるんだよ……とか危惧していたのです。
が、しかし、です。
わたしのそんな愚かな予断を吹き飛ばす、見事な、そして完璧な脚本だったと見終わった今では思います。もうこの脚本には心からの称賛をささげたいっすね。
というわけで、以下、わたしが凄え!と大興奮したことや、うっかり涙してしまったポイントなどをあげつらっていこうと思います。物語の流れの順番ではなく、思いついた順に書きます。
◆過去の『SPIDER-MAN』シリーズのVillainたちについて
まず、過去のシリーズを、2002年から始まるSam Raimi監督による3部作を「無印」、続く2012年と2014年に公開された2作を「アメイジング」、そして現在のHOMEシリーズを「MCU」と略しますが、本作MCU第3弾である『NO WAY HOME』には、無印1からグリーン・ゴブリン、無印2からはドック・オク、無印3からはサンドマン、そしてアメイジング1からリザード、アメイジング2からはエレクトロ、という5人のVillianが登場しました。これらはもう予告で登場していたので、登場そのこと自体には驚かなかったですが、一体どうして登場するのか、は謎でした。
その答えは、もう見事だったとしか言いようがないすね。
要するに、DOCTOR STRAGNEの魔術は、MCUのピーターがスパイディであることを人々の記憶から消し去ろうとしたけど、ピーターが何度も、MJは除外して! あ、そういやネッドも除外で! あーごめんなさい、メイおばさんも除外だ、とあれこれ注文を付けているうちに集中が途切れてしまい、逆に「ピーターがスパイディであることを知っている人物」を「別の世界から召喚してしまった」ためでした。
そして、さらに見事なのは、DOCTORはその責任を感じてさっさと5人をもとの世界に帰すよう奮闘する一方で、MCUのピーター君は、5人を「(怪物になる前の)元の人間に戻してから帰す」ことにこだわった点です。そう、全てのシリーズを観ている我々は、5人のVillianが、「元々は善良な人々」だったことを知っているわけで、さらに言うと彼らは皆、スパイディと戦って死ぬ運命にあることを知っています。その運命を、どうにかできないか、と抗おうとすることで、DOCTORとも意見がぶつかってしまうし、Villianたちとも衝突してしまうわけで、ここにピーター君の、大人とは違う、子供らしい正義感をとても感じることが出来るわけです。この点をしっかり描き、過去作のVillianたちには舞台装置の一部に徹してもらって、あくまで本作が「MCUのピーター君の成長譚」であることに徹底したのが素晴らしかったとわたしは思いました。
わたしはもう初老のおっさんなので、当然DOCTORの意見に賛成だし、ピーター君の行動には、めんどくせえガキだなあ、とか思ってしまうけれど、やっぱり、「無理!」と決めてかかってはイカンですな。あがくこと。それがやっぱり重要だと、わたしは観ながらつくづく思ったすね。
というわけで、ピーター君は大奮闘するわけですが、残念ながらグリーンゴブリンには裏切られてしまうわけで、そこも本当に悲しく切なかったすねえ……。。。
◆NO WAY HOMEというタイトルの意味
MCUにおいては、過去作で描かれ続けた「スパイディ誕生秘話」は描かれていません。そして「ベンおじさん」も登場しません。MCUにおいては、やけに若くてグラマラスでイケてるメイおばさんが出てくるのみです。まあその代り、トニーやDOCTORやほかのヒーローたちという「大人たち」がピーター君の周りにいたわけです。さらに言うと、冒頭でも記した通り、MCUのピーター君には、愛し合うMJがいて、いつでもどんな時でも味方になってくれるネッドという親友もいて、かなりのリア充として描かれます。
わたしは、ラストで、そういった周りの温かい人々こそが彼にとっての「HOME」だったと判明するシーンに胸打たれたっすね……! まさしく本作は、ピーター君が「HOME」を失い、「帰る家がない」天涯孤独な状態になってしまう、ある意味悲しいお話でもありました。
しかし、ピーター君は、その孤独を受け入れ、それでも前に進む決断をするわけですが、その時の表情はもう、切なく、そして頼もしく、まさしく少年が大人になった瞬間の完璧な演技だったと、わたしとしては演じたTom Holland君の芝居を絶賛したいっすね! まさしく本作はピーターの成長譚であり、これこそがSPIDER-MANという作品の魅力だとわたしは思います。
そしてこのピーター君の決断には、メイおばさんの悲しい運命についても触れざるを得ないでしょう。過去作でのキーワード、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフを、あろうことか、メイおばさんが今回発するわけですが、この台詞は、常に「死に瀕した遺言」としてピーターに伝えられるわけで、メイおばさんは亡くなってしまいました。MCUでのメイおばさんは、いつも元気で明るい女性で、よくわからんけどボランティア的な活動をしている女性でしたが、「困って助けを求めている人を放っておくことはできない」というメイおばさんの遺志が、ピーターをしてVillanたちを助けるという行動をとらせたわけで、遺言というものは、悪く言えば託された人間を縛り、文字通りの「呪縛」となってしまうことだってあります。
だけど、それでも、ピーターはVillainたちを助け、そして、全てを失い、帰る家を失ってでも、大げさに言えば世界を救う決心をしました。これはメイおばさんの遺言に縛られたとみるよりも、わたしは「少年から大人へ成長した証」と解釈したいと思います。そして、わたしには、この決断には当然、尊敬するトニー、世界を、銀河を救うために命をなげうったトニー・スタークという偉大な男の影響もあったと思っています。
そもそも、冒頭でDOCTORに、助けて~!とすがったことだって、予告では情けないのび太君のようでしたが、実は自分のためというよりも、MJやネッドが、自分のせいで大学に落ちたこと、がきっかけだったし、MCU版のスパイディも、リア充であったとしても、最初からやっぱり困っている人を放っておけない、くじけた人にセカンドチャンスを与えるような、「親愛なる隣人」であるというSPIDER-MANの資格は十分にあったということなんでしょうな。
ピーター君よ、初老のおっさんのわたしから言わせてもらうとな、人間ってのは地獄をみないと成長しないんだよ。君は今回地獄を味わったと思う。だけど、間違いなく君は、今後もっともっと強くなれるよ。だからこれからの君がとても楽しみだよ! 応援してるぜ!
◆歴代スパイディそろい踏みに大興奮!
公開前から、もう散々、歴代スパイディは登場するのか否か!? について多くの人がいろんな自説を語っていたわけですが、わたしとしては、そんな議論は全く無意味だと思ってましたし(公開されて観に行けばわかることなので)、実際に出ることはないんじゃないかなあ、と、根拠なく思ってました。
また、実のところ、わたしはアメイジング版が全く好きではなく、むしろとんでもない色ボケで、男の約束を守れない、そして愛する彼女を守れなかったダメ野郎だと嫌っていたので、出てほしくないぐらい思ってました。
しかし! 実際に登場した時の衝撃は凄かったですねえ! マジかよ!? と思わず声が出ちゃったすね。実を言えば、わたしはネッドが魔術を使ってポータルを作ったことにそもそも驚いていたのですが(だって! DOCTORが修業時代にあんなに苦労してもなかなかできなかったのに、ネッドがあっさりやりおったので!)、現れたアメイジングのスパイディがマスクを脱いだ時はマジでびっくりしました。理屈としては、Villainたち同様に「ピーター・パーカー=SPIDER-MANであることを知っている人間」としてMCU世界に召喚されちゃったらしいけど、そりゃまあ本人なんだから、正体も何もないっすよね。ここも非常にうまい脚本だったと思います。
そして、わたしが本作で泣いてしまったシーンが、アメイジングがMCU世界のMJをキャッチして、命を救い、自分の世界ではできなかったことがついにできたことに、涙を流しているシーンですよ。君は自分の世界では愛するグエンを救えなかったもんな……彼もセカンドチャンスを見事にモノにして、自らの運命を乗り越えたあのシーンは、鳥肌ものに感動?しましたね! わたしもなんだか嬉しさと感動で、涙を抑えられなかったよ。そしてさらに無印スパイディも、ずいぶんと年を経たようで、いろいろな苦労をしてきたんだろうな、という絶妙な老け方は素晴らしかった。わたしはまたCG補正して2002年公開当時の顔に補正しちゃうのかと思ったけれど、それをせず、「その後」の無印スパイディを登場させてくれたのは凄い英断だったと思う。そして無印からアメイジングへ、「君はアメイジング(すばらしい)よ!」というセリフも、グッと来たっすねえ!
また、彼ら、無印、アメイジングも、あくまでMCUのピーター君を助ける助っ人としての分をわきまえていて、物語の軸を「MCUピーターの成長譚」としてブレさせなかったのもお見事でした。変に活躍しすぎなくて、同じピーター・パーカーとして、あり得た3人の力を合わせてファイナルバトルに臨み、それぞれの見せ場を作りつつ、きちんと中心の軸をブレさせないというのは、もはや芸術的に見事な脚本だったと思います。マジで素晴らしかったですな!!
◆物語には全く関係ないけど、ついにあのヒーローがMCU参戦!!
物語の初めの方で、ピーターたちの弁護士として「盲目」の白い杖を突いた男が登場した時点で、わたしは早くも大興奮いたしました。もう誰もがご存知だと思いますが、まさしく彼こそ、盲目のクライムファイターでお馴染み、DEADEVILですよ! わたしはNetflix版のDEADEVILを観ていないので、知らない役者でしたが、マジで興奮したっすねえ!! DEADEVILはNYで活躍するヒーローで、原作でもスパイディと仲がいいので、ついにMCUに登場したDEADEVILの今後には超期待が高まりますな!
ついでに言うと、ポストクレジットシーンではVENOMとその宿主エディが登場しましたが、はっきり言って現在の映画シリーズのVENOMは、ノリが好きではないし、そもそもエディがどうしようもなくだめんず過ぎて全く好きになれないので、まあ、こっちはどうでもいいっす笑
とまあ、こんな感じでしょうか。少し冷静になると、最後の魔法の理屈が、わたしは実はよく分かっていないのですが、まあ、今後のMCU作品で描かれるというか、解説されることを待つことにします。スパイダーマンの存在は認知されてるけど、ピーター君という存在の記憶だけ、世界から消えたってことなの? それって……ううむ、なんかよくわからんですが、まあ、大体言いたいことは書いたような気がするし、もう長すぎるのでこの辺にしておきます。
というわけで、結論。
MUCのPHASE-4が開幕し、その4番目の作品として登場した『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』は、正当な続編という意味ではPHASE-4初の作品であり、公開前からもう観たくて見たくてたまらない毎日でありました。日本だけ公開が遅いというSONYへの怒りと憎しみは、観終わった今となってはもうどうでもよくなりました。間違いなく傑作、最高の作品だったと結論付けて良いと思います。わたし的には、MCUの中では断トツに『CIVIL WAR』が好きなんですが、肩を並べる傑作が誕生したと思います。最高です。もうそれしか言葉はありません。そして、今後のMCU作品も本当に楽しみですね! わたしとしては、ピーター君のその後に早く会いたいと思います。え? ああ、まあ、SHANG-CHIやETERNALSは、まあ、ええと、はい、続きが公開されたら勿論観にに行くけど、それよりDOCTORやANT-MANの続きの方が早く観たいっすね! いやー、NO WAY HOME,素晴らしかった! お見事でした!!
↓ ほしい……カッコ良すぎる……わたくし、現在髭を伸ばしておりまして、髪も短くしてトニー風にスタイリングしてもらった結果、白髪と顔立ち(?)で、完全にドクターなんすけど……どうしたらいいんでしょうか……。
何のことかって? そりゃもちろん、さっそく観てきた『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』のことであります! MCU第27作目となる本作は、順番としてはPHASE-4の4番目の映画となるわけですが、PAHSE-4は、過去の話(=BLACKWIDOW)や完全新規作品(=SHANG CHI、ETERNALS)だったわけで、言ってみれはようやく正統なる続編、お話の続き、が本作『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』で語られるわけです。
まあ、今や動画配信プラットフォーム「Disney+」において、既に「その後」を描く続編作品がいくつか公開されているので、それをカウントするかどうかで変わるけれど、わたしとしてはあくまで、「ONLY IN THEATRES」にこだわりたいというか、とりあえずDisney+は今回は無視します。次のDOCTOR STRAGNEの新作は、Disney+の方を観てないとダメなのはもう確定してしまったので、公開までには見ておきますが。
さてと。『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』を観てきた感想としては、もう「最高!」の一言に尽きるわけですが、まずはざっとおさらいをして、その後で、何故そんなに興奮して最高だと思うかについて記述してみようと思います。
ところで、日本において2000年代までは、いわゆる「アメコミ作品」は、たった一つ(?)のキャラクターを除いては、全く売れないのが常識でありました。2008年に始まったMCU第1作目の『IRONMAN』も、全然ヒットしなかったわけで、当時わたしはトニー・スタークのカッコ良さに大興奮して、周りにその面白さを触れ回っていたのが懐かしいほどであります。
で、その、「唯一、アメコミで大ヒットしたキャラクター」が、まさしくSPIDER-MANなのです。2002年に公開されたSam Raimi監督による『SPIDER-MAN』は、日本でも75億円稼ぐウルトラヒットとなったわけで、その後のシリーズも大ヒット、どうして、なんでスパイディだけが日本でヒットしたのか、についてわたしもかなりいろいろ研究したものです。
わたしの結論はもう明らかで、スパイディがMARVELヒーローの(映画化されたキャラの)中で、唯一の特徴を備えているからだ、と結論付けました。そう。スパイディが、IRONMANたちと決定的に違うのは、「ガキ」であること、なのです。
日本で映画が大ヒットするには、10代20代のキッズどもを動員出来ないと話にならんわけですが、そういったガキどもにはトニーのカッコ良さは通じないんだな。例えて言うなら、仮面ライダーがおっさんでは、喜ぶのはお母さんたちだけなんですよ。
スパイディは、子供であるがゆえに、進路や恋愛に悩み、その一方で、身に着けた「大いなる力」に戸惑いながら、「大いなる責任」を果たそうと奮闘する。その姿に、日本のキッズどもも共感できた、というのがわたしの持論であります。要するに、日本の漫画カルチャーにも共通する物語なわけです。そこがほかのアメコミヒーローと決定的に違っていたからこそ、大ヒットしたのだとわたしは考えています。
で。
MCUにおけるスパイディは、これまでのSPIDER-MAN作品と結構違う点がありました。それは、主人公ピーター・パーカー君が、やけにリア充で、あまり悩まない点です。優しいおばさんがいて、恋人や親友がいて、さらに道を拓いてくれた尊敬する「大人の男」もいた。そんなピーター君は、『END GAME』で尊敬するトニーを喪い、失意にかられ、うっかり別の大人にすがろうとする、けど、そいつはクソ野郎だった、てのが前作『FAR FROM HOME』でありました。さらにそのクソ野郎は、あろうことかSPIDER-MAN=ピーター・パーカーであることを全世界に公表してしまい、その正体がばれて、な、なんだってーーー!? という事態に陥って前作は終わりました。
我々としては、ついにその正体が全世界にばれてしまったピーター君の運命に、どうなっちゃうんだろう?? とドキドキしながら、前作の公開から2年、超期待しながら「その続き」を待っていたわけです。
というわけで、以下はもうネタバレに考慮せずに書くと思いますので、まだ観ていない方は、今すぐ!! 劇場へ行って『NO WAY HOME』を観てきてください。警告しますが、確実に!何も予備知識なしで観た方が楽しめると思います。つうかさ、こんなBlogを読んでいる暇があるなら、今すぐ座席を予約すべきですよ!! まだ観ていない方々はここで退場してください。観に行けない理由を考えるより、観に行く予定を立ててください。今すぐ! それでは、まだ観に行っていない方は、この辺でさようなら!
はい。それではよろしいでしょうか?
まずは予告をおさらいしましょう。上記は2番目に公開された予告ですが、ここで描かれているように、本作は、まさしく前作ラストから直接つながっており、全世界にその正体がばれてしまったピーター君が、ともに戦ったことのあるDOCTOR STRAGNEのもとを訪れ、人々の記憶を魔術で消してほしい、とお願いするところから物語が始まります。なんつうか、助けてドラえもーん!みたいなのび太君的行動ですが、何度も言っている通りピーター君は子供なので、許してあげましょう。そしてその魔術をうっかりミスってしまい(?)、「次元の扉が開かれる!」的な予告を観て、わたしはもちろん大興奮しました。なんで日本だけ公開が遅えんだよ!! と当然思ったし、かつてのわたしなら、100%間違いなく、12月中に台湾に観に行っていたことでしょう。今のわたしはもはや旅行で家を空けることが出来ないので、断腸の思いで諦めましたが、SONYに対する怒りと憎しみは忘れないと思います。それほど、1日も早く観たい! と思っていたのは、恐らく日本中のファンの皆さんも同じだと思います。
まあともかく、以上がこれまでの流れです。
そして、今回、公開前からこの予告によって、ついに「MULTIVERSE」の概念が(映画版の)MCU世界に導入されることが明らかになり、我々の興奮はもう最高潮に達していたわけでありました。
この、MULTIVERSEという概念は、日本語に訳すと「多元宇宙論」というもので、ざっくり一言で言うならば、いわゆる「並行(平行)世界」、要するに別の次元で同じ世界が違った展開で流れているというもので、MCUにおいては時間軸が分かれた別の「あり得た」世界、てな解釈で十分だと思います。この概念は、もう既にDisney+においては「LOKI」などで描かれていて、お馴染みなわけですが、正直、わたしはこの概念を映画版MCUに導入するのは嫌だなあ、と思っていました。
というのも、いろいろなことが「なかったこと」にされてしまうわけで、そんなのは非常に無責任というか、つらいというか、とにかく「なんでもアリ」になってしまうのは非常に抵抗がありました。
なので、わたしとしては密かに、これはマズいんじゃねえかなあ……いまさらドック・オクやグリーン・ゴブリン、エレクトロを再登場させて何の意味があるんだよ……とか危惧していたのです。
が、しかし、です。
わたしのそんな愚かな予断を吹き飛ばす、見事な、そして完璧な脚本だったと見終わった今では思います。もうこの脚本には心からの称賛をささげたいっすね。
というわけで、以下、わたしが凄え!と大興奮したことや、うっかり涙してしまったポイントなどをあげつらっていこうと思います。物語の流れの順番ではなく、思いついた順に書きます。
◆過去の『SPIDER-MAN』シリーズのVillainたちについて
まず、過去のシリーズを、2002年から始まるSam Raimi監督による3部作を「無印」、続く2012年と2014年に公開された2作を「アメイジング」、そして現在のHOMEシリーズを「MCU」と略しますが、本作MCU第3弾である『NO WAY HOME』には、無印1からグリーン・ゴブリン、無印2からはドック・オク、無印3からはサンドマン、そしてアメイジング1からリザード、アメイジング2からはエレクトロ、という5人のVillianが登場しました。これらはもう予告で登場していたので、登場そのこと自体には驚かなかったですが、一体どうして登場するのか、は謎でした。
その答えは、もう見事だったとしか言いようがないすね。
要するに、DOCTOR STRAGNEの魔術は、MCUのピーターがスパイディであることを人々の記憶から消し去ろうとしたけど、ピーターが何度も、MJは除外して! あ、そういやネッドも除外で! あーごめんなさい、メイおばさんも除外だ、とあれこれ注文を付けているうちに集中が途切れてしまい、逆に「ピーターがスパイディであることを知っている人物」を「別の世界から召喚してしまった」ためでした。
そして、さらに見事なのは、DOCTORはその責任を感じてさっさと5人をもとの世界に帰すよう奮闘する一方で、MCUのピーター君は、5人を「(怪物になる前の)元の人間に戻してから帰す」ことにこだわった点です。そう、全てのシリーズを観ている我々は、5人のVillianが、「元々は善良な人々」だったことを知っているわけで、さらに言うと彼らは皆、スパイディと戦って死ぬ運命にあることを知っています。その運命を、どうにかできないか、と抗おうとすることで、DOCTORとも意見がぶつかってしまうし、Villianたちとも衝突してしまうわけで、ここにピーター君の、大人とは違う、子供らしい正義感をとても感じることが出来るわけです。この点をしっかり描き、過去作のVillianたちには舞台装置の一部に徹してもらって、あくまで本作が「MCUのピーター君の成長譚」であることに徹底したのが素晴らしかったとわたしは思いました。
わたしはもう初老のおっさんなので、当然DOCTORの意見に賛成だし、ピーター君の行動には、めんどくせえガキだなあ、とか思ってしまうけれど、やっぱり、「無理!」と決めてかかってはイカンですな。あがくこと。それがやっぱり重要だと、わたしは観ながらつくづく思ったすね。
というわけで、ピーター君は大奮闘するわけですが、残念ながらグリーンゴブリンには裏切られてしまうわけで、そこも本当に悲しく切なかったすねえ……。。。
◆NO WAY HOMEというタイトルの意味
MCUにおいては、過去作で描かれ続けた「スパイディ誕生秘話」は描かれていません。そして「ベンおじさん」も登場しません。MCUにおいては、やけに若くてグラマラスでイケてるメイおばさんが出てくるのみです。まあその代り、トニーやDOCTORやほかのヒーローたちという「大人たち」がピーター君の周りにいたわけです。さらに言うと、冒頭でも記した通り、MCUのピーター君には、愛し合うMJがいて、いつでもどんな時でも味方になってくれるネッドという親友もいて、かなりのリア充として描かれます。
わたしは、ラストで、そういった周りの温かい人々こそが彼にとっての「HOME」だったと判明するシーンに胸打たれたっすね……! まさしく本作は、ピーター君が「HOME」を失い、「帰る家がない」天涯孤独な状態になってしまう、ある意味悲しいお話でもありました。
しかし、ピーター君は、その孤独を受け入れ、それでも前に進む決断をするわけですが、その時の表情はもう、切なく、そして頼もしく、まさしく少年が大人になった瞬間の完璧な演技だったと、わたしとしては演じたTom Holland君の芝居を絶賛したいっすね! まさしく本作はピーターの成長譚であり、これこそがSPIDER-MANという作品の魅力だとわたしは思います。
そしてこのピーター君の決断には、メイおばさんの悲しい運命についても触れざるを得ないでしょう。過去作でのキーワード、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフを、あろうことか、メイおばさんが今回発するわけですが、この台詞は、常に「死に瀕した遺言」としてピーターに伝えられるわけで、メイおばさんは亡くなってしまいました。MCUでのメイおばさんは、いつも元気で明るい女性で、よくわからんけどボランティア的な活動をしている女性でしたが、「困って助けを求めている人を放っておくことはできない」というメイおばさんの遺志が、ピーターをしてVillanたちを助けるという行動をとらせたわけで、遺言というものは、悪く言えば託された人間を縛り、文字通りの「呪縛」となってしまうことだってあります。
だけど、それでも、ピーターはVillainたちを助け、そして、全てを失い、帰る家を失ってでも、大げさに言えば世界を救う決心をしました。これはメイおばさんの遺言に縛られたとみるよりも、わたしは「少年から大人へ成長した証」と解釈したいと思います。そして、わたしには、この決断には当然、尊敬するトニー、世界を、銀河を救うために命をなげうったトニー・スタークという偉大な男の影響もあったと思っています。
そもそも、冒頭でDOCTORに、助けて~!とすがったことだって、予告では情けないのび太君のようでしたが、実は自分のためというよりも、MJやネッドが、自分のせいで大学に落ちたこと、がきっかけだったし、MCU版のスパイディも、リア充であったとしても、最初からやっぱり困っている人を放っておけない、くじけた人にセカンドチャンスを与えるような、「親愛なる隣人」であるというSPIDER-MANの資格は十分にあったということなんでしょうな。
ピーター君よ、初老のおっさんのわたしから言わせてもらうとな、人間ってのは地獄をみないと成長しないんだよ。君は今回地獄を味わったと思う。だけど、間違いなく君は、今後もっともっと強くなれるよ。だからこれからの君がとても楽しみだよ! 応援してるぜ!
◆歴代スパイディそろい踏みに大興奮!
公開前から、もう散々、歴代スパイディは登場するのか否か!? について多くの人がいろんな自説を語っていたわけですが、わたしとしては、そんな議論は全く無意味だと思ってましたし(公開されて観に行けばわかることなので)、実際に出ることはないんじゃないかなあ、と、根拠なく思ってました。
また、実のところ、わたしはアメイジング版が全く好きではなく、むしろとんでもない色ボケで、男の約束を守れない、そして愛する彼女を守れなかったダメ野郎だと嫌っていたので、出てほしくないぐらい思ってました。
しかし! 実際に登場した時の衝撃は凄かったですねえ! マジかよ!? と思わず声が出ちゃったすね。実を言えば、わたしはネッドが魔術を使ってポータルを作ったことにそもそも驚いていたのですが(だって! DOCTORが修業時代にあんなに苦労してもなかなかできなかったのに、ネッドがあっさりやりおったので!)、現れたアメイジングのスパイディがマスクを脱いだ時はマジでびっくりしました。理屈としては、Villainたち同様に「ピーター・パーカー=SPIDER-MANであることを知っている人間」としてMCU世界に召喚されちゃったらしいけど、そりゃまあ本人なんだから、正体も何もないっすよね。ここも非常にうまい脚本だったと思います。
そして、わたしが本作で泣いてしまったシーンが、アメイジングがMCU世界のMJをキャッチして、命を救い、自分の世界ではできなかったことがついにできたことに、涙を流しているシーンですよ。君は自分の世界では愛するグエンを救えなかったもんな……彼もセカンドチャンスを見事にモノにして、自らの運命を乗り越えたあのシーンは、鳥肌ものに感動?しましたね! わたしもなんだか嬉しさと感動で、涙を抑えられなかったよ。そしてさらに無印スパイディも、ずいぶんと年を経たようで、いろいろな苦労をしてきたんだろうな、という絶妙な老け方は素晴らしかった。わたしはまたCG補正して2002年公開当時の顔に補正しちゃうのかと思ったけれど、それをせず、「その後」の無印スパイディを登場させてくれたのは凄い英断だったと思う。そして無印からアメイジングへ、「君はアメイジング(すばらしい)よ!」というセリフも、グッと来たっすねえ!
また、彼ら、無印、アメイジングも、あくまでMCUのピーター君を助ける助っ人としての分をわきまえていて、物語の軸を「MCUピーターの成長譚」としてブレさせなかったのもお見事でした。変に活躍しすぎなくて、同じピーター・パーカーとして、あり得た3人の力を合わせてファイナルバトルに臨み、それぞれの見せ場を作りつつ、きちんと中心の軸をブレさせないというのは、もはや芸術的に見事な脚本だったと思います。マジで素晴らしかったですな!!
◆物語には全く関係ないけど、ついにあのヒーローがMCU参戦!!
物語の初めの方で、ピーターたちの弁護士として「盲目」の白い杖を突いた男が登場した時点で、わたしは早くも大興奮いたしました。もう誰もがご存知だと思いますが、まさしく彼こそ、盲目のクライムファイターでお馴染み、DEADEVILですよ! わたしはNetflix版のDEADEVILを観ていないので、知らない役者でしたが、マジで興奮したっすねえ!! DEADEVILはNYで活躍するヒーローで、原作でもスパイディと仲がいいので、ついにMCUに登場したDEADEVILの今後には超期待が高まりますな!
ついでに言うと、ポストクレジットシーンではVENOMとその宿主エディが登場しましたが、はっきり言って現在の映画シリーズのVENOMは、ノリが好きではないし、そもそもエディがどうしようもなくだめんず過ぎて全く好きになれないので、まあ、こっちはどうでもいいっす笑
とまあ、こんな感じでしょうか。少し冷静になると、最後の魔法の理屈が、わたしは実はよく分かっていないのですが、まあ、今後のMCU作品で描かれるというか、解説されることを待つことにします。スパイダーマンの存在は認知されてるけど、ピーター君という存在の記憶だけ、世界から消えたってことなの? それって……ううむ、なんかよくわからんですが、まあ、大体言いたいことは書いたような気がするし、もう長すぎるのでこの辺にしておきます。
というわけで、結論。
MUCのPHASE-4が開幕し、その4番目の作品として登場した『SPIDER-MAN:NO WAY HOME』は、正当な続編という意味ではPHASE-4初の作品であり、公開前からもう観たくて見たくてたまらない毎日でありました。日本だけ公開が遅いというSONYへの怒りと憎しみは、観終わった今となってはもうどうでもよくなりました。間違いなく傑作、最高の作品だったと結論付けて良いと思います。わたし的には、MCUの中では断トツに『CIVIL WAR』が好きなんですが、肩を並べる傑作が誕生したと思います。最高です。もうそれしか言葉はありません。そして、今後のMCU作品も本当に楽しみですね! わたしとしては、ピーター君のその後に早く会いたいと思います。え? ああ、まあ、SHANG-CHIやETERNALSは、まあ、ええと、はい、続きが公開されたら勿論観にに行くけど、それよりDOCTORやANT-MANの続きの方が早く観たいっすね! いやー、NO WAY HOME,素晴らしかった! お見事でした!!
↓ ほしい……カッコ良すぎる……わたくし、現在髭を伸ばしておりまして、髪も短くしてトニー風にスタイリングしてもらった結果、白髪と顔立ち(?)で、完全にドクターなんすけど……どうしたらいいんでしょうか……。
ホットトイズ(Hot Toys)
2023-04-30