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 というわけで、昨日は午前中にわたしの大好きなStephen King大先生原作の『IT』を観て、午後は立て続けに、これまたわたしの大好きなMARVEL CINEMATIC UNIVERS最新作『THOR:RAGNAROK』を観てきた。のっけから結論を言うと、ちょっと悪ふざけしすぎじゃね? という今までとはまるで違うギャグ映画となり果てており、わたしとしては、ナシ、と否定はしたくないものの……ちょっとやりすぎじゃね? と言わざるを得ない微妙作であった。おまけに、予告編から想像していた物語とは全然違うお話であり、正直、わたしはかなり肩透かしを食らったような気がしている。ただし、それはわたしが予告を観て勝手に盛り上がっていただけの話であり、ギャグもやりすぎとは言え、いちいち、くすっと笑えてしまうわけで、なんだかんだ文句を言いつつ、やっぱり面白れえなあ、というのが結論なのかもしれない。それでは、以下、思ったことを書き連ねていこうと思う。なお、もちろんのことながら、いつも通りネタバレ全開になる予定なので、まだ見ていない人は読まないでください。

 つーかですね、これは観た方なら誰もが思う事だと思うのだが……上記予告はすっげえカッコイイというか、わくわくする最高の出来じゃあないですか? でもですね、なんと、上記予告は予告専用の映像ともいうべきもので、本編での使用シーンと相当違う! ことにわたしは結構驚いた。端的に言うと、THOR様の大切なムジョルニア(=トンカチ)が砕かれてしまうでしょ? 個々のシーンは確かに本編にもある、けれど、背景が全然違う! のにわたしはとても驚いた。『SPIDER-MAN:Home Coming』の時も、予告だけで本編に存在しないシーンがあったし、最近はネタバレ防止にそんなことまでするんすかねえ……ま、いいや。
 で。今回のお話だが、予告を観て、わたしのようにMCUが大好きな人間ならば、確実に次の4つのことがらについて、いったいどういう事なんだろう? と思い、その点に注目して本作を観たはずだ。
 ◆その1) HULKは一体、どうして、どうやって惑星サカールに来たのか?
 この点については、まずは復習が必要だろう。MCUにおいて、HULKの一番最後の描写は、『Ultron』のラスト近くで、S.H.I.L.D.のクィンジェットをかっぱらって一人どこかへ身を隠してしまったシーンである。大好きなBLACK WIDOWの言葉も無視してどこかへ消えたHULK。そのHULKがいきなり宇宙の果て?の惑星にいるのはなぜなんだ? と誰しも思うはずである。わたしはまた、なんらかのMCU的な重大事件が起こって宇宙に飛ばされた、その背景にはサノスの影が……とかいう展開なのかと勝手に想像していた。が、結論をズバリ言うと、「特に説明はナシ」であった。うっそお!? それでいいのか? とびっくりしたのは言うまでもない。これは原作的にそうなってるのかどうか、わたしは知らないので何とも言えないのだが……あまりにテキトーな感じがして、今までの、「綿密に計算されたMCU」の世界観にそぐわないというか……なんだかとてもがっかりした。おまけにHULK状態で2年間いたらしく、HULK状態で普通にしゃべってるし! そんな……悩めるバナー博士像はどこ行っちゃったんだよ……。
 ◆その2)ムジョルニア破壊!? ムジョルニアはどうやって復活するのか?
 わたしは予告で描かれたムジョルニア破壊シーンに超興奮し、こいつはスゲエ展開だ! と超ワクワクしていた。そして、ひょっとしたら、いまだ登場していない最後の「インフィニティ―・ストーン」がムジョルニア復活のカギなんじゃね? とか勝手に想像して興奮していたのである。このことについても、もう結論を言おう、「ムジョルニアは復活しない」が本作の回答であった。えええ!? いいの!? ムジョルニアなしでTHOR様は今後戦えるの? 空飛べなくなっちゃうじゃん!? とわたしはこれまた激しくびっくりである。これでいいのかなあ……うーん……。
 ◆その3)そもそもTHOR様の現在の任務は……?
 MCU世界では、『Ultron』事件の後に、地球においては『CIVIL WAR』が勃発してトニーとCAPが大喧嘩していたわけだが、そもそも、THOR様は、『Ultron』事件の後は、インフィニティストーンの謎を追ってアスガルドへ帰って行ったために、地球におらず、『CIVIL WAR』にも参戦しなかったわけで、わたしとしては、本作では確実に、最後のインフィニティ・ストーンに関連する事件が描かれるのであろうと勝手に想像していた。しかし、である。冒頭でごくあっさり、「分かんねーから探すのやめた」的な一言で終了である。そんなバカな!? わたしはこの冒頭のTHOR様のセリフでイスから転げ落ちそうになるぐらいびっくりした。えええ? うっそお!? ほっといていいんすかTHOR様!? あなた、『Ultron』事件のときに観た幻影に従って、トニーに味方してVISONさん誕生を手伝ったんだし、その幻影で描かれた未来が気になって仕方ないから、インフィニティ・ストーンの謎を追う旅に出たんでしょ? いいのかなあ……これで。
 ◆その4)RAGNAROKとは? ま、まさか……?
 たぶん、世間一般的に言う「ラグナロク」とは、北欧神話で言うところの終末の日であり、Wagnerのニーベルングの指輪の最終章「神々の黄昏(Götterdämmerung)」のことを指すものだ。THOR様自身が北欧神話的世界観なわけで、ラグナロクという言葉は、アスガルド最大の危機を連想させるものとして、非常にそれっぽくもある。しかし一方で、MARVELコミックに通じている人ならば、ラグナロクと聞けば、原作の「CIVIL WAR」に出てきたTHOR様のクローンであるRAGNAROKというキャラを思い出す人も多いはずだ。おまけに予告の終わり近くには、何やら雷光をまとった、いつもと様子の違うTHOR様がカッコよく登場するシーンもあって、ま、まさかこれって、あのクローン・ソーが登場するのか!? と興奮したはずである。しかし―――結論を言おう。確かに、アスガルド最後の日ではあったので、タイトルとしてRAGNAROKは非常にピッタリではあったが……クローン・ソーは登場しない。その点では、正直肩透かしというか、なーんだ、であった。そして予告に出ていた「雷光をまとうTHOR様」は、ムジョルニアを失って覚醒した新たなTHOR様のお姿であったのである(しかもここも、予告の映像と本編は重大な違いがある)。しかしそれでも、「ムジョルニアを失ったからって何だ、お前はなに? トンカチの神様なのか? 違うだろ、お前は」「そうだ、オレは……雷神だ!」と、オーディンの幻影との会話で真の力に覚醒する流れはとてもカッコ良かったので、これはこれでアリだと認めたい。本作では、惑星サカールでの奴隷戦士の時には、さんざん「神様じゃなくて、お前、雷様だろ?」「雷様じゃねえ、雷神だ!」「はいはい、頑張ってね、雷様」みたいなやり取りが何度もあったので、強いTHOR様大復活はとても興奮出来て満足です。
 とまあ、わたしとしては驚き4連発で、ズバリ言うと「オレが観たかったTHOR3はコレジャナイ!」と思わざるを得なかった。
 しかし、である。ちょっと悔しいことに、単体として本作を観ると、やっぱりギャグには笑えちゃえるんだな……そういう点では大変デキのいいコメディであったのは間違いないと言える。まさかLOKI様まであんなコメディキャラになり果てるとは……哀しいやら笑えるやらで、わたしとしては大変微妙な気持ちである。
 はあはあ……だいたい言いたいことはもう書いたかな……では、ちょっと気を取り直して、本作の物語を軽くまとめてみよう。
 本作は、冒頭は鎖でがんじがらめに拘束されたTHOR様の愚痴から始まる。こういう、主人公の愚痴というのは、ハードボイルド小説の定番だが、THOR様は、インフィニティ・ストーンの謎を追って旅していたものの、その謎は解明できずにいた。そんな時、かつて父オーディンが封印(?)したスルトという火の王(?)が復活しかけているところに出会い、その討伐に出かけ、まあズバリ言うと楽勝で再封印成功、アスガルドに帰還するーーーが、帰還したアスガルドでは、何と愚弟LOKIがオーディンに成りすましており(※THOR:DWのエンディングでLOKIがオーディンに成りすましていることは描かれていた)、ふざけた芝居を上演して民衆と楽しんでいた。そのバカバカしさにカチンときたTHOR様は再び愚弟LOKIをとっつかまえ、つーかお前、父ちゃんをどうしたんだよ!? と尋問すると、なんと父オーディンは地球に追放されていたことが判明。すぐさまLOKIを伴って、LOKIがオーディンを置き去りにしたNYCへ再降臨する。しかし、その場所は既に建物が取り壊され、オーディンの行方は不明。まじかよ……と困っていると、なんとLOKIの足元に、オレンジ色の魔法陣グルグルが発生、なんだこりゃあ!? と戸惑うTHOR様の前に現れたのは、なんとなんと、Dr.Strangeであった。Dr.は、地球に害なす存在の監視をしていて、LOKIはそのブラックリストに入っていたのである。事情を説明するTHOR様に、Dr.は、オーディンが見つかったらすぐ帰るんだな、じゃあ、その場所を教えてやろう、今、ノルウェーにいるから、と魔法陣グルグルでTHOR様とLOKIをあっさりノルウェーに送り込む。そして再会する3人。しかし事態は急展開で、なんとオーディンの寿命は尽き欠けており、故郷は場所じゃない、人じゃよ……そしてマズイことに、わしが死ぬと、かつて封印したわしの第1子、つまりお前たちのお姉さん、凶暴なヘラが復活しちゃうのじゃよ……と言い残してオーディンは存在が消滅してしまう。おいィ! 無責任すぎじゃないすか! オーディン様! というわけで、オーディンの姿が消えるとすぐに、ヘラ様が降臨。バトルが始まる! のだが、ヘラ様は超強い! ムジョルニア破壊もこのシークエンスで、つまり地球での戦闘で起こったことです。予告と全然背景が違って驚いた。で、こりゃマズイ、とあせった愚弟LOKIは、戦闘のさなか、アスガルドへの帰還を要請、THOR様、LOKI、ヘラ様の3人はアスガルド召還の光に包まれ、アスガルドへ引っ張られるのだが、その中でも戦闘は続いており、LOKIが光の道の外に吹っ飛ばされ、そしてついにTHOR様も同様に吹っ飛ばされ、ヘラ様だけがアスガルド帰還を果たしてしまう。ヘラ様は、アスガルドにいるとますます無敵パワーを発揮できる体質で、なんとTHORの盟友であるウォリアーズ・スリーもごくあっさり殺され、アスガルドに君臨するのであった。一方、どこかへ吹っ飛ばされたTHOR様とLOKIは……てな展開であります。はーー、全然軽くまとめられなかったわ。
 というわけで、THOR様は惑星サカールへ吹っ飛ばされ、現地にいたアスガルト人のヴァリュキュリーに捕縛され、奴隷戦士としてサカールを治めるグランドマスターに売り飛ばされる。そして自由を得るには、闘技場で行われる試合に勝たなくてはならない。しかもどうやら現チャンピオンはおっそろしく強いらしい。上等だ、戦ってやるぜ! と気合十分なTHOR様の前に現れた、現チャンピオンこそ、盟友HULKであった―――てなお話です。
 まあ、とにかく以上のような、かなりとんでもないお話で、面白いけれどとにかくギャグがしつこく、どうも狙いすぎというか、全くこれまでとは作風の違う異色作であった。なんか……いろいろ今までのことを無理矢理無視しているようで、わたしとしてはどうにもコレジャナイ感をぬぐい切れなかったすね。以下、キャラ紹介を軽くやってみます。
 ◆THOR:アスガルドの王子様。試合直前に自慢の長髪を宇宙バリカンでバッサリ刈られてしまう。ちなみにその散髪屋さんを演じたのがStan Lee大先生御年94歳。楽しそうなのが印象的。今回のTHOR様はとにかくコメディキャラで、ツッコミ担当。演じたChris Hemsworth氏も大いにコメディセンスのあるお方なので、実際とても笑えるんだけど……まあ、いいんすかねえ、あれで。しかし後半の、真の力に目覚める雷光バリバリのTHOR様はカッコ良かった! しかし、ムジョルニアを失ってしまったTHOR様は、次の『Avengers:Infinity War』では大苦戦しちゃうだろうな……完全に故郷を失った宇宙難民になってしまい、地球はアスガルド人を受け入れることができるのでしょうか……。なお、地球の恋人ジェーンとは、どうやら完全に別れたようで、それもモブキャラのセリフでごくあっさり流されました。THOR様曰く「振られたんじゃねえ、お互いに振ったんだ」だそうです。いっそ、「彼女(を演じてるNatalie Potman)とはスケジュールが合わないんだよ!」と現実の理由を言ってくれた方が笑えたのに。
 ◆LOKI:宇宙一のデキない弟。今回はやけにTHOR様と仲良し。そしてボケ担当として笑わせてくれる。あんたも大丈夫なのかね……あんたを地球でブラックリストに入れてるのは何もDr.だけじゃないと思うのだが……ラスト、「地球はわたしを受け入れてくれるだろうか……」「俺に任せとけ!」という謎の兄弟愛は美しいけれど、そんなに甘くないぞ! 演じたTom Hiddleston氏もなんだか楽しげに演じられていたのが印象的。
 ◆Dr.Strange:今回チョイ役として出演。しかし相当成長している様子で、ソーサラー・スープリームとしての腕は格段に上がっている様子でした。どうも魔法の腕は既にLOKIをしのぐほど、の模様。Benedict Cumberbatch氏による偉そうなキャラは健在。
 ◆Odin:オーディン様はどういう理屈かよくわからなかったけど本作で寿命が尽きてしまった。しかし……第1子ヘラ様のことを丸投げで消えてしまうなんて……ちょっと神様としてどうかと思う。演じたSir Anthony Hopkins氏は今回コメディっぽさは一切なく、静かに消えていきましたな。もうチョイ、ちゃんと引継ぎした方がいいと思うの……。
 ◆HULK:結局なぜサカールにいたのか、わたしには良くわからんです。そしてHULK状態でもしゃべれるというか一定の理性を保っていられるのにも驚き。バナー博士状態に戻ってからは、クイン・ジェットに残されていたトニーの服をいやいや着るなど、この方もコメディ成分がかなり増量されていました。わたし的に一番笑えてしまったのは、トニーのパンツ(ズボン)がピタピタ過ぎて、常に股間のポジションを気にしてモジモジしている下ネタ系ギャグで、バナー博士のイメージ崩壊でありました。それにしてもバナー博士、あなた、結局『Ultron』事件の後で何がしたかったんすか? 単に隠棲したかっただけなの? ガキか!
 ◆HELA:オーディン様の第1子であり、THOR様の超凶暴なお姉さまだという事は全然知らなかった。とにかく演じたCate Blanshett様がおっそろしく美しい! まさしく女神! そして、髪をかき上げるしぐさが超セクシー! 長い黒髪をかき上げると、あのトゲトゲヘルメットに変化するシーンにわたしは大興奮。実際最高でした。本作1本で退場させてしまうのはもったいない……けど、再登場は無理かな……どうでしょうか。Cate様は本当に楽しそうに演じてましたなあ。
 ◆VALKYRIE:はっきり言って強いんだか弱いんだかよくわからない女戦士。元々オーディン様直属の女戦士部隊の総称で、かつてヘラ様に完敗して一人生き残ったのが彼女。彼女自身の個人名があるのか良くわからなかった。強そうにも見えないし、一応活躍はするけど、わたしとしてはほぼ空気。演じたのはTessa Topson嬢で、かなりイメージは違うけれど、『CREED』においてアポロJrことアドニス君の彼女を演じた方ですな。
 ◆HEIMDALL:アスガルドの門番でおなじみのヘイムダル。そもそもこの人はなんで職場放棄していたのか良くわからない。LOKIがODINに成りすましていた時に解任されたのかな? でもこの人スーパー千里眼の持ち主なので、なりすましを見抜いていただろうに……逃げるならあの刀を持って逃げていれば……この人が門番をきっちり務めていれば、ヘラ様のアスガルド帰還を防げたような気がしてならない。演じたIdris Elba氏は全く笑いを取りにいかない真面目演技でした。
 ◆GRAND MASTER:惑星サカールの統治者。原作的には無類のゲーム好きで、『GUARDIANS』に出てきたコレクターの兄弟。演じたのはベテランJeff Goldblum氏。この方は元々いつも笑わせるちょっとしたギャグ担当なので、ある意味いつも通りの芝居ぶりでしたな。

 というわけで。この『THOR:RAGNAROK』という作品はかなりいつもと違う作風で、MCU的にも位置づけが微妙な作品だったわけだが、恒例のおまけ映像で描かれたのは、おそらくはMCU的には次の『Infinity War』へつながるであろうワンシーンであった。アスガルド人を連れて難民として地球へ向かう宇宙船。THOR様とLOKIの、地球に行けば何とかなるさ的会話は、突然宇宙船を覆う影で遮られる。映像が引きになると、THOR様たちの宇宙船の上に、巨大な宇宙船が……というおまけ映像であった。わたしにはこの、謎の巨大宇宙船が何者か良くわからなかったが、おそらくは『GURDIANS』関連の宇宙海賊の船かなにかだろう。こうしてTHOR様はガーディアンズのみんなと出会い、『Infinity War』につながっていくんでしょうな、きっと。また、おまけ映像は最後の最後にももう一つあって、そこでは散々な目に遭ったGRAND MASTERのその後が描かれるのだが、ま、これは全く重要ではないと思うので、流していいです。
 それより気になるのは、アスガルドが滅亡してしまった結果、「オーディンの武器庫」に保管してあった「コズミック・キューブ」は一体どうなってしまったんだろうか? という点であろう。劇中では、どうもLOKIがまた悪さを企んで、こっそり持っているようにも思えたが……どうなんでしょうなあ? 確実に『Infinity War』ではキーアイテムの一つになるはずなので、行方が大変気にかかるところであろう。
 MCUの次回作は、来年GW公開の『Infinity War』の前に、日本では来年3月に公開の『BLACK PANTHER』を挟むことになっている。『BLACK PANTHER』と言えば、『CIVIL WAR』の結果、現在国際指名手配犯になっているはずのCAPたちをこっそり匿ってはずで、今のところの予告などではCAPたちが登場するとは一切描かれていないが、本当にCAPたちは出てこないのかな……時系列的に『CIVIL WAR』より前の出来事を描くならそれでもいいけど、そうでないなら、不自然だよなあ……。でもまあ、とにかく我々としてはドキドキワクワクしながら待つのが正しいのでしょうな。わたしも非常に待ち遠しく思います!

 というわけで、もはや収拾がつかないのでぶった切りで結論。
 超期待したMCU最新作『THOR:RAGNAROK』をさっそく観てきたわけだが、実のところMCU的にはかなり微妙な立ち位置の作品で、内容的には非常にコメディ色の強い異色作、であった。ほぼ日本とUS本国とは同時公開にしてくれたのはとてもうれしく、US本国ではどうやら上々の滑り出しのようだ。まあ、US本国ではこういう笑える映画は人気が出るでしょうな。わたしの前の列に座っていた白人のおっさんはもうずっと一人で爆笑していたし。わたしも、つい笑ってしまったのも事実だ。でもなあ……これで良かったのかなあ……ムジョルニアはどうするのだろうか……いくら真の力に目覚めたと言っても、ムジョルニアなしでTHOR様が戦い抜けるとは思えないし……あああ……くそう、早く『Infinity War』が観たいですなあ! その思いが強まった作品でありました。あ、その前に『BLACK PANTHER]』ですな。そちらも超楽しみです! 以上。

↓ 実は『BLACkPANTHER』は原作を読んでません。ので、かなりにわか知識です。

 やれやれ。それが今のわたしの感想である。
 何の話かって? さきほど、地元シネコンにて『KONG:SKULL ISLAND』(邦題:キングコング:髑髏島の巨神)を観てきたのだが、その、なんとも言い難い嘆息を「やれやれ」の一言で表現してみた次第である。
 わたしはこの映画を観ながら、随所で実に中国っぽいな、と感じたのだが、どうしてそう思ったのかを考えてみるに、おそらくそれは、随所にみられる演出上の「わざとらしさ」がわたしにそう思わせたのだと思う。なんというか……はい、ここ笑うところですよー、と言わんばかりの妙な間があふれており、また、CGもCGとしてのクオリティは非常に高いのに、使い方がかなり、無茶があるというかありえない映像と言えばいいのかな、ホント、中国製の作品にありがちな映像で、観ているわたしは白けるばかりであった。あの……なんて言えばいいのかな……よくある例としては、弓矢とか弾丸が発射されて、その矢の視線(?)にギューーーンと寄って、ぐおーーーっと対象に向かっていくような、アレのことなんですが。ホント中華映画はアレが好きだよな……。せっかくB級感あふれるトンデモストーリーをハリウッドスター満載&ハリウッドクオリティの高品位CGで描く大作なのに、とにかく演出が悪い。実にチープである。
 しかし、そう思うのはわたしの偏見であろうことは十分承知している。すでにLEGENDARY PICTURESが中国資本に買収され、中華スタジオになった事実が、わたしにそういった偏見を植え付けたのであろうことは否定できないが、恐らく、この映画は、100%間違いなく中国向けの作品で、そのほかの地域での公開はどうでもいいと思っているに違いない、とわたしは感じた。とはいえ、それもまたわたしの偏見に違いなく、実のところ、既に公開中の中国以外の国でもそれなりにヒットしており(中国ではどうやら日本と同じ3/24公開らしい)、US国内でも1億ドル以上の立派な大ヒットだ。ま、こういうアトラクション・ムービーはやはり一定の需要があるんでしょうな。
 あともう一つ。のっけからわたしはヒドイことばかり書いているが、実は1点だけ、ほほう、ついに来るか、と観てよかったかも、と思う点があった。これは、エンドクレジットが全部終わった後の、おまけ映像である。この作品、最後の最後に、日本人的には観ておくべき映像が流れるので、明るくなるまで席を立ってはいけません。詳しくは後程書きます。
 というわけで、以下、ネタバレがかなりあると思います。

 ちょっといろいろポイントがあるので、めんどくさいから箇条書きでまとめてみよう。
 ◆物語について~「MONARCH:モナーク」ってなんぞ?
 本作の物語は、ほぼ上記予告の通りである。謎の島に棲む怪物を調査しに行く人々の顛末を描く、いわゆる立木ボイスがお似合いのB級映画である。この、日本語公式サイトのイラストなんて実に70~80年代風のモンスター映画を思い起こさせるような、非常に良い出来のイラストだ。なんでこんな、ある意味懐かしのビジュアルか。それは物語の舞台がベトナム戦争から米軍が撤退する1973年を舞台としているからだ。本作は冒頭はどうでもいい太平洋戦争時の米兵と日本兵が、撃墜されたゼロ戦とグラマン(ムスタングだっけ?)から問題の「髑髏島」にパラシュート降下で降りたち、二人が決闘まがいの戦いを繰り広げようとしたところで、いきなり「コング」が現れるとことから始まるのだが(=よって、本作はもうのっけからコングが登場する。じわじわ見せるような演出では全くない)、メインの時制は1973年ごろである。そしてその時期は、まさしくNASAによる人工衛星LANDSATが運用され始めたころで、LANDSATが撮影した、「存在が知られていなかった」南太平洋の島があることが発覚し、とある秘密組織の学者がその調査へ乗り出す。その、秘密組織がMONARCHだ。
 MONARCHと聞いてすぐにピンとくる人は、この映画を観に行くような人でどのぐらいいるのか分からないが、それはまさしく、2014年のGareth Edward監督による『GODZILLA』で登場した、あの組織である。ケン・ワタナベ氏演じる芹沢博士がMONARCHの一員だったか、もうさっぱり覚えていないが、要するに本作は、あの『GODZILLA』と世界観を共通としているのである。
 しかしながら、ここが、物語のポイントの一つであるにもかかわらず、実際のところ本作はそんな豆知識は全く必要ない。
 調査隊が髑髏島へ向かう→ついでにベトナムから帰還する前のヘリ部隊も護衛のために同行→そしてまたも上陸してすぐ、いきなりゴング登場、ほぼ壊滅→そして帰還のための迎えに来る部隊と合流するために島の北側へ向かう→途中でいろんなモンスター登場、バタバタ人が死ぬ→ただし主要キャストは助かる→そして実はコングは人間の味方で(理由は一切説明なし)、怪物たちと戦ってくれる→何とか助かる→終了。
 とまあ、こんな流れで、確かに映像的な見ごたえはあるものの、物語としては実に予想通りの展開で驚きは特になし、であった。もう、細かい突っ込みどころはどうでもいいので指摘しません。
 ◆やけに豪華な役者陣について4人だけ挙げておく
 まず、MONARCHの学者リーダーを演じたのが、John Goodman氏。まあ色々な作品に出演している大ベテランと言っていいだろう。最近ではわたしが酷評せざるを得なかった『10 Clover Field Lane』での若干キモい芝居ぶりが印象的ですが、本作でも世間的に変人と思われている学者役で、非常に存在感ある演技でした。なんでも、かつてMassive Unidentified Terrestrial Organism(=巨大未知生物=MUTO=ムート=「GOZILLA」に出てきたアレ)に襲われたことがあるという設定で(※追記:正確に言うと、『GODZILLA』で描かれた通り、ビキニ環礁での水爆実験は、ゴジラ討伐のためだったという設定があって、その時ゴジラに襲われたことがある、という設定なので、『GODZILLA』に出てきたムートにやられたわけでない、と思う。いずれにせよ、このキャラはゴジラを始めMUTOの存在を信じている)、そんな点もちょっとした『GODZILLA』つながりがあった。ちなみに、ラスト前でとある怪物に頭からガブリとやられて見事殉職。ガブリの演出がとにかくチープ。
 次に、ヘリ部隊の大佐として、いつも通りの怪しい男を演じたのがSamuel L Jackson御大。もうこの人映画に出すぎです……。本作でも相変わらずの御大で、若干狂ってる系軍人で、もちろん彼も見事殉職。あれっ、どういう殉職だったか覚えてないな。コングに思いっ切り踏んづけられるんだったかな?
 そしてMONARCHに雇われた、元イギリス陸軍特殊空挺隊(SAS)の傭兵男を演じたのが、宇宙一のだめんずロキ様でお馴染みのTom Hiddleston氏。ま、確かにイケメンですよ。でも、本作では、ほぼ何もしていないキャラで、何のために出てきたのか全く分からない謎キャラであった。いてもいなくても、物語には全く何の影響もなかったと思う。当然生還。
  最後。紅一点のヒロインで、女性カメラマンを演じたのが、去年アカデミー主演女優賞を獲得したBrle Larson嬢27歳。このヒロインも、事実上空気で、物語上の役割は特になし。一応、歴代キングコング映画と同様に、ヒロインとしてコングと気持ちが通じる的な描写はあります。勿論生還。
 なお、正確に言うと、もう一人中国人女子が出て来るので、紅一点ではないのだが、でもその中国女子も、とてもかわいいのだけれど、これまた全くのお飾りキャラなので、物語には一切関与せず。この時代のアメリカと中国の関係を考えると、ちょうどピンポン外交で関係緩和の方向だったけれど、まだ国交もないはずで、やっぱり不自然かも。ゴリ押しキャスティングでしょうな、きっと。
 とまあ、以上のように、役者陣は大変豪華と言っていいだろう。 他には、まったくどうでもいい、冒頭の日本兵を演じたのは、MIYAVI氏という日本のミュージシャンだそうだ。有名らしいけどわたしは知らないので、紹介は割愛。ちなみに、劇中での役名は、イカリ・グンペイというのだが、これは、Evaの碇シンジ君と、ゲームの世界で有名な、元任天堂の故横井軍平さんから取ったのだそうだ。全くどうでもいいネタですな。
  ◆そして結局一番の見どころは?
 冒頭に書いた通り、わたしとしては一番、おおっ!? と盛り上がったのは、エンドクレジット後のおまけ映像である。事件終結後、イケメン傭兵と美人写真家はMONARCHの本部に移送され尋問を受けるシーンがおまけとしてついているのだが、そこで、MONARCHが追う、コング以外の、かつて地球を支配していた「古生生物」がこの世界に存在することが告げられる。そしてその、「巨大未知生物」の壁画が見せられるのだが……それがまさしく「ゴジラ」「モスラ」「キングギドラ」の図なんですな。ここで、おお!と観客に思わせて、やっと映画は本当に終わる仕掛けになっています。まあ、子供だましと言えばそれまでですが、このおまけ映像だけは、日本人向けサービスだと思っていいと思う。一応、次の作品はゴジラVSキングコングらしいですが、まあ、どうなるんでしょうなあ……。
 ◆その他
 最後に、二つだけ記しておこう。監督に関しては良く知らない人で、Jordan Vogt-Roberts氏という方であった。ま、インディペンデント系で注目された人みたいですな。日本語Wikiはまだないみたい。おおっ!? なんてこった! この人の英語Wikiによれば、この監督の次回作は「メタルギア:ソリッド」となっているじゃないか! へえ~。パンフレットによると、日本のアニメ・ゲームが大好きなクソオタク野郎みたいですね。本作は、登場クリーチャーのデザインだったり、キャラの名前などにいろんな映画やアニメのオマージュ(笑)が詰め込まれているのだが、別にどうでもいいかな。わたしは特に何も感じないすね、そんなのには。
 あともう一つ。
 実はわたしがこの映画で一番評価したいのは、邦題である。いつも私は邦題に難癖をつけるクソオタクなのだが、今回の「髑髏島の巨神」というタイトルは実に素晴らしいと思っている。なんとも70年代なセンスで素晴らしいですよ。ちゃんと原題を踏まえているしね。本作はWarnerの配給だが、近年のWarnerはちゃんと日本を考えている姿勢がたいへん好ましいとわたしは常々思っており、FOXのダメマーケティングに比べると雲泥の差であると申し上げて、本稿を終わりにしたい。

 というわけで、どうでもよくなってきたので結論。
 『KONG:SKULL ISLAND』を観てきたのだが、まあ、なんだこりゃ、である。しかしそれは、予想通りのなんだこりゃ、であって、わたしには文句を言う資格はまったくない。だって、分かってて観に行ったんだから。しかしまあ、かなり中華風でしたな。せっかくの豪華キャストも高品位CGも、あまりに中華風味でわたしの口には合いませんでした。しかし……かつて日本が世界で存在感をぐいぐい上げていた時期に、こんなにもハリウッドに対して関与できただろうか? バブル期にはSONYだけじゃなくいろいろな企業がハリウッドに出資したのに、今やSONY以外に何にも残ってない。なんというか、今の中国は恐ろしいですな、その勢いが。とにかく人口が違いすぎるからなあ……。以上。

↓ さすがにこっちは観に行く気になりません。Matt Damon氏出演のトンデモ・チャイナ・ストーリー。


  

 先週、劇場へ『CRIMSON PEAK』を観に行って、このBlogにも記事を書いたのだが、書き終わって、あれっ!? そういえば、主演の二人、Tom Hiddleston氏とMia Wasicowskaちゃんが一緒に出てる映画があったな、と思い出した。確かヴァンパイアものだったような、うーん、観たような、いや、WOWOWで録って、観たけど最初の30分ぐらいで寝ちゃって、それっきりかも、という事が判明したので、この期にもう一度最初から最後まできちんと観てみることにした。 それが日本では2013年12月に公開された『ONLY LOVERS LEFT ALIVE』という作品である。HDDを漁ってみたら、こんなこともあろうかと、ちゃんとまだ残してあった。さすが、抜かりない男としておなじみのわたしである。と、お約束の自画自賛をかましておこう。

 監督は、Jim Jarmusch。80年代後半から90年代に非常に活躍した男で、もちろん21世紀の今も現役監督して作品を発表しているのだが、ご存知の方も多いように、基本的にこの男の撮る作品は極めてシャレオツなイキフンが随所に漂っており、わたしは彼のすべての映画を見ているわけではないけれど、あまり好きな監督ではない。もちろん、その空気感は好きな人にはたまらん類のものであろうし、わたしも例えば『Night on Earth』(邦題:ナイト・オン・ザ・プラネット)という作品などは結構好きである。当時まだ若かったWinona Ryderちゃんが非常に可愛かったのを思い出す。
 しかし、やっぱり本作『ONLY LOVERS LEFT ALIVE』も、シャレオツ臭が全編から漂う「雰囲気満喫」ムービーであった。この映画、上映時間は122分だが、おそらくわたしなら、100分ほどに凝縮・編集できると思う。なにしろ、それっぽい無用なシーンが多く、雰囲気は抜群だけど、もうちょっと早く物語を進めてくんねーかなー、と思うことしきりである。ただ、繰り返すが、それが悪いというわけでは決してない。本作も、非常に質感高く、役者の演技も上等でなかなか面白かった。
 物語は、どうやら数百年、正確には良くわからないがひょっとしたら1000年以上、生き続けている吸血鬼、ヴァンパイアのお話である。本作に登場する吸血鬼は4人いて、主人公、その妻、二人が信頼するおじいちゃん吸血鬼、それから、妻の妹の若い吸血鬼(数百歳以上なので、あくまで若く「見える」だけ)、の4人である。
 主人公は、デトロイト在住で、音楽を愛し、21世紀の今では人を襲って血を吸う事のリスクを十分承知していて、悪徳医者から血を買って飲んで生活している。その生活スタイルは、とてもひっそりしていて、昼は寝ていて夜活動するわけだけれど、プロとして楽曲制作を自宅で一人でやっているのだが、秘密保持契約を結んだ若い代理人(この人は純粋な人間。主人公が吸血鬼であることは知らない)が、いろいろ代わりにやってくれている状況。ただ、その孤独な生活は、どうやら主人公の精神を苦しめ、実は密かに主人公はもう死にたがっているんじゃないかという事がほのめかされる。
 妻は、タンジールに住んでいて、近くには信頼するおじいちゃん吸血鬼が住んでいて、血はそのおじいちゃんが調達してくるものを分けてもらっている。もちろん、彼女も人を襲うリスクは避けていて、実際のところ、彼女も主人公も、現状では人類にとってほぼ無害と言っていいだろう。そしておじいちゃん吸血鬼は、小説を書いているらしいという事がチラッと描かれる。
 面白いのは、人類史上における偉大な音楽や文学作品は、実は彼らが創造したもので、それを人間に教えて発表させたという設定だ。シェイクスピアやシューベルトの作品は、この主人公やおじいちゃん吸血鬼が生み出したものなんだそうだ。へえ、そりゃ面白いとわたしは思った。それから、もう一つ設定として、ちょっとだけ重要(だけど具体的な説明はほとんどない)なのは、どうも吸血鬼が飲用する「血」は、現代の人間は穢れていて、飲むとマズイらしい。場合によっては、そんな穢れた血を飲むと、体調が悪くなってしまうらしい。一番美味いのはRHマイナスのO型だそうで、その血を調達するのが年々難しくなっているらしいことも描かれる。また、どうやら吸血鬼は、モノに触れるとその来歴などが分かるようで、一種のサイコメトラー的な力も持っているらしいことも描かれる。なので、基本的に外出時は常に手袋を着用している。
 ただ、ちょっと観ていて良く分からなかったのは、この主人公と妻がどうして遠く離れた地に住んでいるのか、ということだ。なんとなくほのめかされるが、どうもピンとこなかった。いずれにせよこの二人は愛し合っていて、日夜iPhoneのFaceTimeで顔を見ながら通話していると。で、主人公がやけに元気がないので、妻がデトロイトにやってくると。で、二人でひっそりとした生活を送ろうとするのだが、そこに、妻の妹がやって来る。問題はこの妹である。極めて天真爛漫なゆとりガールで、もちろん主人公はそんな妹の性格を知っているし、どうやら89年前(?)にもひどい目に遭ったらしく、大嫌いで顔も観たくないと思っていると。妹は、「えー、89年前のこと、まーだ怒ってるの!? 何それウケる―www」と、まったく反省していないとんでもないゆとり吸血鬼である。この構造は、なんだか昭和の男と平成GALの会話のようで、わたしは大いに面白かったし、ゆとりガールに対して大いに腹が立った。そして物語は、主人公がせっかく築き上げた落ち着いた生活を、このお騒がせゆとりガールにぶっ壊されてしまい……というものである。
 
 で。役者陣である。
 まず主人公吸血鬼を演じたのが、『CRIMSON PEAK』の記事でも散々書いた、マイティ・ソーの出来の悪い弟ロキでおなじみのTom Hiddleston氏。今回は、そのたたずまいや表情が非常に吸血鬼っぽくてとても良かった。今回はだめんずではないので、安心してください。
 妻を演じたのは、Tilda Swinton様。現在御年55歳。この人は人外の存在というオーラがとても強い、非常に独特の雰囲気のある方ですね。今回もとても良かった。 たぶん、わたしがこの人を初めて知ったのは、『Constatine』において天使ガブリエルを演じたときだと思う。人じゃないという凄い存在感は、この人ならではのものでありましょう。『The Chronicles of Narnia』の「白い魔女」が一番有名かな。高貴なオーラというか、人外の存在を演じさせたら、この人に勝る役者はそうそういないと思います。
 そしておじいちゃん吸血鬼を演じたのは、Jim Jarmusch作品の常連Sir John Hurt氏。御年75歳。わたしにとってこの人は、『The Elephant Man』のジョン・メリックであり、かの『ALIEN』で一番最初にフェイス・ハガーに寄生されて、チェスト・バスターが胸から飛び出して殉職するケイン役でおなじみだが、もうあれから35年近く経ち、すっかりいい感じのおじいちゃん役が多いですな。イギリスが誇る名優で、去年、ナイトの称号を授かったそうですが、現在がん闘病中だそうです。
 で、問題の天真爛漫ガールを演じたのが、『CRIMSON PEAK』でもヒロインを演じたMia Wasikowskaちゃん。平成生まれの現在26歳。彼女は何気にかなり多くの役をこの5年間に演じているが、一体、本来の彼女の性格はどうなんでしょうな。一度話をしてみたいものである。その機会は永遠に訪れないと思うけど。
 あと、調べてみて今驚いたのだが、主人公の若い代理人を演じたのは、Anton Yelchinじゃないか!! ええと、この人はですね、JJ版の『STARTREK』で、エンタープライズ号の操縦士チェコフを演じてる若者です。それから、『Terminator4』ではカイル・リース役も演ってましたな。あー全然気が付かなった。抜かったわ……。

 というわけで、結論。
 『ONLY LOVERS LEFT ALIVE』という映画は、Jim Jarmusch節の炸裂したシャレオツ映画ではあるけれど、今回はかなり面白いです。この映画も、Tom Hiddleston氏を愛してやまない淑女の皆様におすすめできるし、そうでない普通の映画好きの方にもオススメできると思います。ぜひ、レンタルや配信でご覧ください。以上。
 
↓ この映画、観てないんだよな……早くWOWOWで放送してくれないかなあ……。Mia Wasikowskaちゃん主演のオーストラリア大陸横断(?)ロードムービー。観たい……!!
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2015-12-16

 世の女子の中で、わたしが常々、謎に思っている人々がいる。いわゆる「だめんず」を愛してやまない女子たちだ。「だめんず」とは、ごく簡単に言えば、「ダメ」な男のことで、具体的には、ヒモ体質の働かない男や口先だけの男、あるいは広義ではDV暴力野郎など、わたしに言わせればクズ同然のゲス野郎どものことである。なんでまた、そんなダメ男を好きになるわけ? と真面目に生きる男としてお馴染みのわたしとしては憤懣やるかたないわけだが、 実際に生息するそのような女子を見ると、つまりキミは人を見る目が無いわけですな、と結論付けることにしている。そしてそんな自分が大好きな残念女子なのであろう。なるべく近づかないのが一番だ。ちなみに、さきほどわたしがお世話になっている美しいお姉さまから聞いたところによると、夢を追いかけると言っていつまでもうだつの上がらない野郎もここに含まれ、残念ながら、あんたもその傾向があるじゃないの、と言われてしまった。マジか……。そしてそういう男の世話をしたくなるのは、女子的DNAにプログラミングされているので、ある程度はやむなしだそうだ。なるほど……なんともはや、神様は残酷である。
 で。昨日わたしが観た映画、『CRIMSON PEAK』は、そんな「だめんず」野郎に恋した女子がとんでもない目に遭うホラーテイストあふれる映画であった。

 わたしは、この映画をホラーだと思って、どんな超常現象に襲われるのか楽しみに劇場へ向かったのだが、劇場を出たわたしは、若干ぽかーん、である。昨日は14日、TOHO(トーフォー)の日で1100円で観られるので観に行ったのだが、定価で観ていたら、ちょっといたたまれず、どこかでタバコを吸いながらコーヒーでも飲んで、気持ちを落ち着けてから帰ろうと思ったに違いなかろう。
 物語は、年代がはっきり分からないけれど、おそらくは20世紀初頭ぐらいだと思う。日本的に言えば、おそらくは明治の終わりごろから大正初期ぐらいだと思えばイメージしやすいだろう。主人公の女子は、ちょっとしたお嬢様で、小説家志望の、日本で言えばハイカラガールである。そして彼女にはひとつ特徴があって、ま、視えるんですな。ヤバイものが。そんな霊感ハイカラお嬢様はNYに住んでいるわけだが、以前から、お嬢様は幽霊から「クリムゾン・ピークに気をつけろ……近寄ってはならぬ……」と警告を受けているのだが、何のことかよく分からずにいると。そんな彼女は、ある日、お父様の会社に出資のお願いのためにイギリスからやってきた準男爵様と出会うと。で、典型的だめんずの夢追い人である準男爵は、自分の領地内で粘土採掘事業を進めるための運転資金が欲しいのだが、しっかりしている父はあっさり断る、のだが、とある大事件が起きて、結局、そんなダメ野郎(しかも重度のシスコン野郎)にすっかりFall in Loveで、一緒にイギリスに行ってしまう。そして、そのお屋敷の建つ地が「クリムゾン・ピーク<真紅の山頂>」と呼ばれていることを知り……とまあそんな話で、ともかくお嬢様はひどい目に遭う展開である。冒頭からの雰囲気は、これは『The Shining』的なお話なのかな……? と思って観ていたのだが、結論としては全く違ってました。
 とにかく、この映画は、監督Guillermo del Toroの趣味が全面的に炸裂していて、映像はいつもの通り豪華と言えばいいのか、なんだろう、絢爛? な画を見せてくれるが、登場キャラクターはどうにも変であった。
 霊感ハイカラお嬢様を演じたのは、わたしも大好きな素朴ガール、Mia Wasikowskaちゃん。なんかこの娘さんは、剥きたてのゆで卵のようなつるっとした美しい肌ですね。日本的に言うと、能年玲奈ちゃんに似ているような気がする。1989年生まれのオーストラリア人。『Alice in Wonderland』で世界的に大ブレイク後、順調にキャリアを重ねてますな。日本では今年の夏公開かな、『Alice2』の予告も既に公開されてますね。
 とんでもないシスコンで夢追い人のだめんず準男爵様を演じたのは、これまた宇宙一ダメな弟、ロキを演じたことでお馴染みの、Tom Hiddleston氏。マイティー・ソーの義弟として、宇宙規模のだめんずぶりを発揮した彼であるが、今回の映画もまたひどい。ロキも若干マザコンだったし、今回も重度のシスコンで、なんでこんな男がモテるんだと、わたしとしては理解できないが、世の女子たちは、だがそれがいい、と言うのだろう。あのですね、もうちょっと、男を見る目を養なった方が、幸せになれると思いますよ。と、モテない男を代表して申し上げておこう。まったくもって、ガッデムである。
 で、そのシスコン野郎のお姉さまを優雅に、そして恐ろしく演じているのがJessica Chastainさん。今回はとんでもなくおっかない、サイコ女子を迫力たっぷりに演じてくれたのだが、やっぱりこの人、綺麗ですね。わたしはまた、彼女や弟が、実は人外の存在で……という展開かと思っていたのに、まったくそんなことはなく、その点は非常になーんだ、で終わってしまったような気がする。もうちょっとひねった脚本であればもっと面白かったのにな、と思いました。
 最後。霊感ハイカラお嬢様を密かに愛する純情青年医師を演じたのが、Charlie Hunnam氏。彼は、del Tro監督の前作『Pacific Rim』の主人公パイロットですな。なんか半端なロンゲで、かなりイメージと違うけれど、今回唯一の常識人で、彼もまたとんでもなくひどい目に遭う気の毒なお医者さん役であった。確か設定は眼科医だったかな? でも、その眼科医という設定は一切、どこにも何にも生かされず、それなら普通に外科医とかの方がよほど物語に絡めることができたような気がする。まあ、主人公の霊感ハイカラお嬢様は眼鏡っ子なので、そこだけっすね、接点は。

 というわけで、結論。
 『CRIMSON PEAK』という映画を観に行って、一番なるほど、と思ったのは、Tom Hiddleston氏の女性人気の高さである。30代(と思われる)美人女子の一人鑑賞がすごく多かった。観た劇場が日比谷シャンテだったからかな?? つまりあれか、世にはだめんず愛好女子が多いってことか。まったくもって残念なお知らせである。ええと、映画としては、まあまあです。期待は下回りました。とは言え、Tom Hiddleston氏を愛してやまない淑女の皆さんは、ぜひ劇場へお出かけください。以上。

↓ 確かこの映画では、Tom Hiddleston氏は、かの有名な作家F Scott Fitzgerardを演じてましたね。『The Great Gatsby』とか、『Benjamin Button』の著者ですよ。
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