わたしが通っている映画館は、家からチャリンコをぶっ飛ばして15分ほどのところにあるTOHOシネマズだが、その前身はヴァージン・シネマズであった。2003年に買収されて、看板がTOHOに変わったわけだが、元々はVirgin Atlantic航空でおなじみのVirginグループから出資を受けた野郎が1997年に作った、現在のシネコン文化の起源と言っていいような映画館である。そして、その親会社が航空会社を運営していたからか、当時から「マイレージ」サービスを行っていて、1本映画を見ると、その上映時間の1分=1マイルに換算し、そのマイルを貯めるといろいろ特典がありますよ、というサービスを実施していた。そしてTOHOに看板が掛け変わった今でもそのサービスは継続されている。
 要するに120分の映画を見ると120マイルもらえるわけで、そのマイルを6000マイル貯めると、「1か月映画見放題パスポート」をくれることになっている。6000マイルというと、つまり120分の映画×50本分、ってことですな。さすがに映画を見まくっているわたしでも、1年でそこまではいかず、マイルの有効期限は2年なのだが、大体、2年に1回、わたしはこのパスポートをゲットしている。それも大抵が秋から年末にかけてで、どのタイミングでパスポートをもらおうかなーというのも、わたし的には2年に1度のお楽しみになっている。
 で。年末もそろそろ近づいており、ちょっと観たい映画が結構ありそうな今のタイミングで、昨日パスポートをゲットしてみた。確か2回前、だから4年ぐらい前にゲットしたときは、デジカメで写真を撮られ、写真入りのパスポートだったのだが、前回、2年前からは写真はなし、の簡単なものになった。
 というわけで、 昨日は、まずすでにこのBlogに記事を書いた『REMEMBER(邦題:手紙は憶えている)』を午前中に観て、午後は本作『JACK REACHER:Never Go Back』を観てきた。
 ちなみに先週訪れた台湾ではとっくに公開中で、↓こんなバスを見かけました。
taiwan102
 こんなラッピングバスがいろんな種類、台北の街を走り回ってます。
 で、本作はLee Child氏による原作小説シリーズがあり、現在21作(?)刊行されているそうだ。しかし、わたしも読んでみたかったものの、大嫌いなクソ講談社が日本語訳をきちんとシリーズすべて出版していないので原作は一切未読である。シリーズを歯抜けでチョイチョイ出すって、どういう神経してるのか……ユーザー無視も甚だしい。ま、要するに売れなかったのであろう。売れなくても全部出せよな講談社。わたしの愛する早川書房なら、絶対そんなことはしないだろうに……。
 なお、映画としては、2作目にあたり、前作は日本では『アウトロー』という微妙な邦題で2013年2月に公開されている。 あれ? そんな前だっけ!? そうか、あれからもう3年半か……。

 さて。物語は大体上記予告の通りである。が、そもそも、ジャック・リーチャーって何者なの? ということが分からないと、ちょっとついて行けないかもしれない。それから、今回の仕事というか行動についても、上記予告では一切説明されていない。なので、そこら辺をごく簡単に解説しておこう。ただし、わたしも原作未読なので、わたしの知識は前作『アウトロー』で知ったこととwikiで読んだことなので、はっきり言ってニワカ知識であることをあらかじめお断りしておく。
 ◆ジャック・リーチャーって何者なの?
 元々はUS-Army所属の軍人である。なのでめっぽう強い。最近流行り(?)の、無口で軍務経験ありの無敵系主人公である。銃火器のエキスパートであり、対人格闘も恐ろしく強い。しかし彼は戦地で敵を相手にドンパチをやっていた男ではなく、Military Police=MP=憲兵隊に所属し、軍内部の犯罪行為を捜査することを仕事としていて、退役した元・少佐(だっけ?)だが、今もなおWashington DCにある陸軍憲兵隊本部では「LEGEND」と呼ばれる凄腕捜査官だったようだ(と本作で説明されていた)。なので、彼はとにかく正義感が強く、悪党をほっとけない性格であり、正義のためなら手段を選ばず悪を罰するが、そこに良心の呵責はないという、ややゆがんだ男、それがジャック・リーチャーである。あれ、軍を辞めた理由は何か説明があったかな……前作で何か説明されてたかもしれないけど、サーセン、憶えてないっす。
 ◆今回は単独捜査じゃない。
 ジャック・リーチャーは、退役後、住所を持たず、私物を持たず、全米各地を放浪するアウトローで携帯ももちろん持っていない。そんな完全一匹狼の男が、今回は団体行動である。どんなお話かというと……とある悪党をとっ捕まえたリーチャーさんは、そのことを古巣の陸軍憲兵隊に報告、その際、報告先の女性少佐(リーチャーの後任)と電話でやり取りするうちに、どうもその女性少尉のことが気に入っちゃったようで、近いうちに飲もうぜ的な展開に。そして何気に嬉しそうに、後任の女性少佐に会いにDCへ。そこでは、いつも電話を取り次いでくれていた若い女性軍曹が何やら緊張している様子。そして、会いに行った女性少佐が逮捕拘留されていることを知る。容疑はスパイ行為。そんな馬鹿なと調べていくと、そこには何やらキナ臭い陰謀があり、ジャックはさっそく女性少佐を脱獄させ、かくして合衆国陸軍から逃亡しながら、悪党を狩る二人旅が始まり、そしておまけに、ジャックの娘かも疑惑の女の子も巻き込まれるように狙われることになり、ついでにその女の子も連れ、奇妙な3人での逃亡&ハントの旅となるのであった……みたいなお話である。
 この、ジャックの娘かもしれない、と思われている女の子が結構ポイントで、うっかり電話したりカードを使ったりして敵に居場所を察知されてしまうアホなミスをやらかす一方で、ジャックも女性少佐も行き詰って、どうしよう? という状況の時に、何気に機転を利かせてピンチを脱することになったり、なかなか重要な活躍をする。
 そして女性少佐の方も、さすがにジャックの後任らしく、よく訓練された軍人であり、本作ではとにかくよく走る。その走るフォームがなかなか美しくて大変よろしい。女の子ともだんだん仲良くなって、潜伏するホテルではジャックを蚊帳の外に女の子とガールズトークで盛り上がるなど、ユーモアシーンも前作には全くなかったところだろう。
 というわけで、本作はどうもジャック・リーチャーの無敵ぶりが薄いというか、調子外れというか、なんとなく角が取れたように思える。そこをどう思うかは人によって違うと思うが、まあ、わたしとしてはこんなジャックはジャックじゃない、というやや冷めた思いを抱いたのは事実だ。しかしそれでも、この3人のチームは疑似家族としてなかなかよく描けていて、ジャックらしくはないけれど応援したくなるところはあり、とくに女性少佐の美しさは際立っていて、まあ、これも悪くないか、と思うに至った。

 で。もはや主役のジャック・リーチャーを演じたTom Cruise氏については説明する必要はなかろう。御年54歳、相当痛そうなアクションシーンも必死で頑張っているさまはやっぱり凄いすね。しかし今回は、車の運転も女性少佐が担当する場面が多く、活躍ぶりは前作比若干控えめかも。
 そして今回わたしが非常にイイと思ったのが、女性少佐を演じたCobie Smulders女史である。彼女は、わたしにとってはMarvelヒーロー映画のエージェント・マリア・ヒル役でおなじみですね。 大変美しく、凛とした佇まいは非常に存在感がありますな。しかし34歳か……言われてみればそのぐらいだろうし、一方でやけに貫禄もあるし、不思議な感じがしますね。元々モデルとして活躍されていた方なので、プロポーションは完璧な美しいお方ですが、ちょっと完璧すぎて、近づけないオーラが沸き上がってますな。
 あと、もう一人、わたしが、この子は可愛い!! と思ったのが、ジャックと女性少佐の電話を取り次いでくれていた、若い女軍曹Sgt.Leachを演じたMadalyn Horcherちゃん21歳である。彼女は女性少佐の忠実な部下で、無罪を信じているため、ジャックに協力して何気にいろいろ情報をくれる重要な役だが、常に合衆国陸軍の迷彩作業服&帽子着用なので、顔のアップなんかはあまりないんだけど、たまーに見せる笑顔が大変かわいく、わたしに強い印象を残した。どうやらTVドラマ中心でまだ映画のキャリアはほとんどないみたいですな。日本語Wikiも記事が存在しないし。 でもこの娘さんは大変イイですね。とても気に入りました。名前を憶えておきたいと思う。
 ラスト。ジャックの娘かも疑惑のために、敵に狙われることになる女の子を演じたのがDanika Yaroshちゃん18歳。最初の登場時は微妙面かと思っていたけれど、活躍するにつれて可愛く見え始める若干のブサワカガールであった。彼女もキャリアはTVドラマ中心みたいですな。しかし、ジャックの娘か? と思わせるような冒頭の鋭い注意力など、キャラとしては非常に立っていました。ラストも結構泣かせましたね。本作では非常に重要な役割を頑張って演じ切っていたと思います。彼女の名前も憶えておきたいですな。
  
 というわけで、結論。
 シリーズ最新作『ジャック・リーチャー:Never Go Back』は、予期せぬ疑似家族を描いたアクション活劇であった。いつもと調子の狂うジャック氏の不器用パパぶりは、まあアリといえばアリだし、こんなのジャックじゃないといえばその通りだろうと思う。しかし……ジャックはある意味ホームレスなわけで、事件解決後はいつも通りクールに去るというわけで、ジャックの全米悪党退治の旅はまだまだ終わらないようです。わたしとしては、本作が面白かったかと聞かれると、正直微妙。悪くないとは思うものの、もっと無口でクールなジャックの方がやっぱり面白いような気がします。実はあまり書くことがないので、テキトーなことを書き連ねてしまいましたとさ。以上。

↓ 1作目は、観ていなくても大丈夫、だとは思う。けど、観てない人は観た方がいいに決まってます。どちらかというと、わたしは1作目の方が好きかな。
アウトロー (字幕版)
トム・クルーズ
2013-11-26