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 わたしは恐らく日本語で読めるシェイクスピア作品はほとんど読んでいるはずだが、読み始めたのは大学2年のころ、当時わたしが一番仲の良かった後輩女子が「シェイクスピア研究会」、通称「シェー研」に入っていたためで、シェー研とは要するにシェイクスピア作品を上演する演劇集団だったのだが、今度わたしオフィーリアを演じるんです!絶対観に来てください!と後輩女子が目を輝かせて言うので、ええと、それはつまりハムレットを読んどけ、ってことか、と解釈し、それからシェイクスピア作品を片っ端から読み始め、その面白さに目覚めたのである。
 以前もこのBlogのどこかで触れたような気がするが、わたしがシェークスピア作品で一番好きなのは、おそらくは『ヘンリー4世』だと思う。めっぽう面白い作品で、おそらく、読んだのは上記のきっかけから1年以内の話で、やっぱシェークスピアはすげえ、なんて思っていたのだが、そんな時にとある映画が公開されて、当時少し話題になった。その映画は、当時弱冠29歳の男が撮った『Henry V』、すなわち『ヘンリー5世』という作品である。この映画を撮った29歳の若者、それがSir Kenneth Branagh氏だ(Sirと氏はかぶってるか?)。
 この映画で彼はアカデミー監督賞と主演男優賞にノミネートされ、一躍注目の監督&役者として名を上げたわけであるが、そもそもは王立演劇学校を首席卒業しRoyal Shakespeare Companyで活躍していた、バリバリの舞台人だ。その彼が初めて撮った映画『Heny V』は非常に面白くてわたしも大興奮であった。わたしの記憶だと、確か都内では渋谷のBunkamuraでしか公開されていなくて、2回観に行った覚えがある。わたしが大好きな『ヘンリー4世』では、のちのヘンリー5世となる「ハル王子」はまだやんちゃな小僧なんだけど、第2部ラストの戴冠式で「ヘンリー5世」に即位し、それまでのやんちゃ仲間だった連中ときっぱり縁を切り、有名な酒飲みのおっさん「フォルスタッフ」をも投獄させるというところで終わって非常にカッコよく、その後の続きの話が『ヘンリー5世』で語られるわけだ。なんだか、日本的に言うと「うつけ者」と言われ続けた織田信長が、立派な武者として新たな人生を踏み出す的なカッコ良さがあって、わたしは『ヘンリー4世』が非常に好きだ。続く『ヘンリー5世』は、まさしく信長にとっての桶狭間的な、フランスとの圧倒的な戦力差のある戦闘に勝利するお話で、実に面白いのであります。そして、Kenneth氏の撮った映画版は、演出的にも、主役としての演技においても、極めてハイクオリティでとにかく面白かった。全く現代人の語り手が画面の中で解説、というか狂言回し風に現れて状況をト書き風に説明したり、とても斬新で大興奮したことが懐かしく思い出されるのである。
 というわけで、以上は前振りである。今日、わたしはそのSir Kenneth氏が監督主演した『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』を観てきたのだが、監督デビュー作『Henry V』から28年が経ち、すっかりイギリスの誇る名優&名監督となったSir Kenneth氏の演じるポアロは大変素晴らしく、やっぱりこいつはすげえ男だな、と、なんだか妙な感慨がわいてきて、大変楽しめる一品であったのである。まあ、原作のしっかりある作品で、どうも賛否両論のようだが、わたしは本作の結末は知っていたけれど、間違いなく面白かったと思う。
 というわけで、以下、ネタバレに触れる可能性もあるので気になる人は絶対に読まないでください。まあわたしは知ってても面白かったですが。

 わたしは海外ミステリー好きとして、中学生ぐらいの時からいろいろ小説を読んでいるつもりだが、実は恥ずかしながらAgatha Christie女史の作品は1作しか読んだことがない。その1作が何だったか、実に記憶があいまいで、たしか『ABC殺人事件』だったと思うのだが、なぜ1冊しか読んでないか、の理由は明確に覚えている。それは、兄貴が早川文庫のクリスティー作品をいっぱい持っていて、それをある日勝手に読んで、兄貴の部屋に戻そうとしたときに「てめー勝手に何してんだこの野郎!」と大喧嘩になったのである。なので、以来わたしはクリスティー作品は絶対に読まん!と誓いを立ててしまったんだな。しかし、テレビや映画は別物、と思ったのか、わたしも我ながら良くわからない心理だが、テレビシリーズのポアロやミス・マープルは観ていたし、映画版の『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』はテレビで、『地中海殺人事件』『クリスタル殺人事件』は劇場で観ており、今日、改めて観た最新Verの『オリエント急行』も、たしかラストは……だったよな、と思いながら観ていたのだが、各キャラに関してはすっかり忘れていたものの、ラストはちゃんと記憶通りで、ちょっとだけ安心した。
 本作は、最新Verという事で、衣装も美術セットも極めて金がかかって豪華だし、おそらくはCGもふんだんに使われているであろう画作りで、大変高品位である。その点も見どころであるのは間違いないが、やはり、一番はメインキャスト全員が名の通った一流役者で、その豪華オールスターキャストにあるのではないかと思う。というわけで、以下、各キャラと演じた役者を紹介してみよう。全員、は面倒なので、わたしが、おっ、と思った方だけにします。なお、わたしは原作未読だし、74年版の映画もほぼ忘れかけているので、原作とどう違うかとかそういうことは書けません。あくまで、本作最新Verでのキャラ、です。
 ◆エルキュール・ポワロ:ご存知「灰色の脳細胞」を持つベルギー人の名探偵。演じたのは最初に散々書いた通り、監督でもあるSir Kenneth Branagh氏。わたしはこの映画で初めて知ったのだが、「エルキュール」の綴りは、Hercule、つまりフランス語だからHはサイレントなわけで(ベルギーはフランス語圏でもある)、要するにカタカナ英語で言う「ハーキュリー」、日本語で言う「ヘラクレス」のことなんですな。まったくどうでもいい話ですが、作中で何度か読みを間違えられて、わたしは怪力の英雄じゃありませんよ、なんてシーンがあって、あ、そう言う意味か、とわたしはちょっと自分の無知が恥ずかしくなったす。そして演じたSir Kenneth氏だが、わたしとしては全く堂々たるポアロで、文句の付け所はないように思えた。大変良かったと思うが、どうもあの髭のわざとらしさとかは、鼻に付く方もいらっしゃるようですな。わたしは全然アリだと思います。
 ◆ラチェット:演じたのはわたしがあまり好きでないJohnny Depp氏。ある種のネタばれかもしれないけれどズバリ書きますが、殺されるアメリカ人実業家の役である。そして実は犯罪者の悪党。つまり被害者である彼には、殺される理由が明確にあって、その理由と乗客たちにはどんな関係が……? というのがミソとなっている。Depp氏はまあいつものDepp氏で、とりわけ思うところはなかったす。変にエキセントリックなところはなく、表面的には紳士然としているけれど、その内面はどす黒い、という普通の悪党な感じでした。
 ◆メアリ・デブナム:演じたのは、STAR WARSの新ヒロイン・レイでおなじみのDaisy Ridleyちゃん25歳。可愛い。実に可愛い。この女子は声がちょっと高くて、そしてわたしには気取って聞こえるイギリス英語がなんか妙に可愛い。笑顔もしょんぼり顔もイイすな。演技も、ほぼド素人だった『SW:Ep-VII』からどんどんと良くなっていると思います。この女子はもっとキャリアを伸ばしていけるような気がしますな。役としては、 バクダッドで家庭教師をしていた先生で、ロンドンに帰る途上のイギリス人。本作では、医師の青年と恋愛関係にあるような感じだが、ポアロには平然と関係がないような嘘をつく、若干訳アリ風な女子の役。それが原作通りなのかわかりません。そして彼女とラチェットの間には何の関係もないように思えるが実は……な展開。
 ◆マックイーン:ラチェットの秘書。演じたのは、オラフの中の人、でおなじみのJosh Gad氏。今年の春の大ヒット作品『Beauty and the Beast』のル・フウを演じたことでもお馴染みですな。マックィーンも、ラチェットの秘書として実は帳簿を操作して金を横領していた……という怪しさがある容疑者の一人。
 ◆ハバート夫人:演じたのは30年前は超かわいかったし今もお美しいMichelle Pfeifferさん59歳。わたしにとっては初代CAT WOMANことセリーナ・カイルだが、やっぱりお綺麗ですなあ。笑顔がいいすね、特に。しかし本作ではあまり笑顔はなく、妙に色気のある酔っ払いでおしゃべりな金持ちおばさんというキャラクターで、事件とは無関係のように思えたが、実は悲しく凄惨な過去が……的な展開であります。なお、わたしは終わった後のエンドクレジットで流れる歌がとてもイイな、と思って、誰が歌っている、なんという曲なんだろう、とチェックしていたのだが、曲のタイトルは「Never Forget」、そしてどうも歌っていたのは、まさしくMichelle Pfeiferさん本人だったようです。そうだよ、このお方は歌えるお方だった! お、YouTubeにあるから貼っとこう。

 ◆ドラゴミロフ侯爵夫人:いかにも金持ちで意地悪そうなおばあちゃん。いつも犬と、お付きの侍女的なおばちゃんを連れている。そしてこういう役をやらせたら、この人以上の女優はいない、とわたしが思うJudi Denchおばちゃまが貫禄たっぷりに演じてくれて、大変良かったと思います。御年83歳。ただ、物語的には今回の映画では結構出番は少ないかな……。あ、Denchおばちゃまも『Henry V』に出てたんだ? 覚えてないなあ……やっぱり、わたしとしてはこのお方以上の「M」はいないすね。なぜ『Skyfall』で退場させたんだ……。
 ◆ピラール・エストラパドス:何やら世をはかなみ、いつもお祈りをしている宣教師?の女子。演じたのはスペインが誇る美女Penélope Cruzさん43歳。生きているラチェットを最後に見かけた女。全くラチェットとのかかわりはないように見えたが、実は……な展開。ちなみに、74年の映画版ではかのIngrid Bergman様が演じた役(役名はグレタ・オルソンと原作通りで、今回の方が原作と違うとさっきWikiで知りました。へえ~)で、アカデミー助演女優賞も獲ったんですな。それは知らなかったわ。
 ◆ハードマン:オーストリア人大学教授という偽装でオリエント急行に乗っていたが、実はピンカートン探偵社の探偵で、ラチェットの周辺警護を依頼されていた、が、実は……といういくつも裏のある男。演じたのはわたしの大好きWillem Dafoe氏62歳。本作ではあまり出番なしというべきか? しかしその存在感は非常に大きい感じがした。相変わらず渋くてカッコイイ。
 ◆マスターマン:ラチェットの執事。演じたのは、『Henry V』の中で一人現代人として出てくるあのおじさんでわたし的に忘れられないSir Derek Jacobi氏79歳。Kenneth監督が尊敬し愛してやまないバリバリのシェイクスピア役者ですな。わたし的にはイギリス物、時代物には欠かせないおじさんですよ。残念ながら本作ではあまり目立たない存在でした。が実は彼も……な展開。

 はーー疲れた。もうこの辺にしておこう。要するに、出てくるキャラクターはことごとく、「実は……」という背景があって、そういった過去をポアロが次々に暴き出すものの、じゃあいったい誰が殺人者なんだ? つうか全員に動機があるじゃねえか! という驚きの展開になるわけです。そしてポアロが導き出した、真実は―――という物語なので、さすがにそこまでは書きません。わたしはその答えだけしか覚えてなかったわけですが、それを知っていても全く問題なく楽しめました。なので、まあ、この正月に映画でも観るか、という方にはそれなりにお勧めだと存じます。映像的にも、役者陣の演技的にも、なかなか見ごたえアリ、な作品でありました。

 というわけで、結論。
 誰もが知っている名探偵ポアロ。そんなおなじみのキャラを、イギリスの誇る名監督&名優Sir Kenneth Branagh氏が21世紀最新Verとして映画化したのが『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』であります。公開からもうちょっと経ったけれど、今日やっと観てくることができました。ま、すっげえ、めっちゃおもしれえ! と興奮するほどでは全くないけれど、やっぱり面白かったすね。衣装もセットもCGも豪華だし、役者陣もオールスターキャストで、大変華やか? というか、非常にゴージャスですよ。わたしはアリだと思います。時代背景が良くわからないけど、原作小説が発表されたのが1934年だそうで、まあその辺りのお話なんでしょう。1934年は昭和9年だから、昭和の初期、ってことですな。ちなみに、ラスト、ポアロは「エジプトで事件が起こった」知らせを聞いて、そちらへ駆けつけるべく去っていきます。つまり、この映画が大ヒットするなら、次は「ナイル殺人事件」を映画化する気満々、ってことですな。売れているかどうか調べてみると、現在、全世界興収は3億ドルほどだそうで、十分ヒット作と言えるとは思うけれど、どうかな……まあ、わたしとしてはSir Kenneth版「ナイル」もぜひ観たいと存じます。楽しみっすね。以上。

↓ この映画が大好きでした……Michelle Pfeiferさんの歌う歌がことごとくイイ!
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2017-05-17


 【追記:スター・ウォーズEp:VIIIを観ていない方は絶対に読まない方がいいと思います】

 2015年に開幕した、新たなる『STAR WARS』サーガの三部作。もともとサーガが9部作であることは80年代にとっくにLucas監督が言ってたので、復活に驚きはないのだが、10年ぶりとなる新作『Episode VII』は全世界のファンが待望し、待ちに待っていたというブーストもあって、世界的に大ヒットとなった。そして、監督を務めたJJ Abrams氏は、その期待に十分以上に応えた見事な作品を世に送り出し、ファンとしては大歓喜の夜を迎えたのが2年前の話である。
 JJ監督は、わたしは前々から、ファン心理を非常に「わかっている」男としてわたしは高く評価していたが、『VII』は、たった一つだけ問題点はあるものの、実に見事な作品だったとわたしは思っている。そしてその問題点とは、「謎が謎のまま終わっちゃった」ことである。ただしこの点は、「シリーズ」という観点に立てば、瑕疵とは責められないかもしれない。次へ引っ張るヒキとしてはアリであろうし。しかし、全くヒントナシで、悪く言えば投げっぱなし、風呂敷広げすぎ、ともいえるとわたしは思っていたのである。
 よって、次の『VIII』においては、確実に次の点が問題となるはず、とわたしは考えていた。
 1)レイ、君は何者なんだ?
 2)ルーク、あなたに何が起こったんだ? なぜベンと決別したのか?
 他にも、実際のところ謎はいっぱいあって、スノークって何者なんだ? マズ=カナタはなぜルークのライトサーベルを持っていたのか? FN-2187ことフィンはどうして職場放棄できたのか、とか、さまざまあるのだが、重要なのは、上記の1)2)だけ、であると極言してもいいのではなかろうか。
 というわけで、わたしは、昨日から正式公開となった『STAR WARS Ep:VIII』では、完全なる回答はまた『IX』に持ち越しになるかもしれないけれど、謎1)2)についてはある程度の「な、なんだってーーー!?」という衝撃が用意されているものと期待して、昨日の会社帰りに劇場へ駆けつけたわけである。
 しかし―――。結論を言おう。わたしは今回の『Ep:VIII』が全く面白くなかった。もう、これ、本当に、本物の『VIII』なのか? といまだに信じられない。ファンメイドの偽物を観たのではないか? というぐらいがっかりだ。確かに、レイ・ルーク・ベンの3人をめぐる本筋だけの部分は、大変良かった。けれど、本作は、シリーズ最長の153分の上映時間だが、全く不要な、どうでもいい話に多くの時間を割いていて、いらないシーン・いらないエピソードのオンパレードとしか思えず、わたしなら間違いなく120分以内に収められると思った。まあ、もちろん言うだけ詐欺ですが、以下、今わたしが感じている「コレジャナイ!」感をまとめてみようと思う。以下はもちろんネタバレを気にせず書きなぐる予定なので、まだ見ていない人は絶対に読まないでください。間違いなく、何も知らないで観るべきだと思います。じゃあ書くなって? いや、これ、わたしの備忘録なので、書く必要があるのです。わたしには。

 今思い返してみると、すでに予告からして、『VII』の時のような興奮はないように感じる。『VII』の時は、大気圏内を飛ぶファルコン号だけで大興奮だったのに。まあ、10年待ったのと、2年では期待値が違うのは当然といえば当然か……。今回の予告で、「こ、これは!!」と誰しもがドキドキしたのは、宇宙一の親不孝者でおなじみのベン・ソロことカイロ・レンが、今度は母殺しをするつもりか!? というシーンぐらいだったようにも思う。
 さて。それでは、観終わった今、感じたことを書き始めたいのだが、わたしが一番感じているのは、無駄にキャラクターを増やし過ぎたのがマズかったのだろう、という思いだ。主軸であるレイ・ルーク・ベンの3人に集中して物語を追えばよかったのに……。おまけに、その無駄なキャラたちが、おっそろしく無能で、ズバリ愚かなのである。そんな連中の話なんて、ホントどうでもいいわ……と強く感じた。それ故、ここはいらねえと思うシーンが多かったわけである。
 物語の流れとしては、『Ep:V The Empire Strikes Back』に近いというか、物語の進行が『V』の終わりから始めへと逆にたどったような印象だ。故に、かなり舞台がバラバラで分散している。そして、分散している舞台をつなぐ、シリーズではおなじみの「ワイプ」(?)による場面転換は今回は明確には使用されない。おまけに、I have a bad feeling about this もない。その点も、ファンとしては「わかってない」と言わざるを得ないようにも感じた。JJ監督の『VII』ではそういう「作法」も完璧だったのになあ……。そういう「作法」を無視することと、自由に創作することは、全く別の話で、断じて容認できるものではない、とわたしは思う。というわけで、もう、今回は物語をまとめる気にもなれないので、各キャラクターについて思う事を書いていくこととしたい。
 ◆レイ:主人公の女子。最大の謎である、「レイはいったい何者なのか?」は、今回うっすらと語られるだけで、しかもそれが真実とはまだよくわからず、ぼんやりしたままであった。本当にがっかり。ただ、何者であるかはさておき、ルークとのやり取りやベンとの関係は大変素晴らしく、演じたDaisy Ridleyちゃんも芝居がグッと良くなって、実際可愛かったので許してもいい。しかし、いかんせんレイの出自が謎であるために、いったい何故、ルークが驚愕するほどのフォースを身に着けたのか、全く腑に落ちない。一応今回、ジャクーの名もなき両親に、はした金で売り飛ばされた、的な過去は語られるが、それが本当なら、なんだよ、スカイウォーカーの血筋じゃなかったのか……と 相当わたしとしてはがっかり。しかし、本当にそれでいいのかなあ……。次作では、「な、なんだってーー!?」という驚愕の真実が明かされることを祈ります。
 ◆ルーク:ご存知ジェダイナイト。わたしは今回は、『VII』のラストの、ライトセーバーを差し出すレイのシーンから始まるかと思っていたがまるで違ってました(オープニングに関しては後で触れます)。で、始まって10分ぐらいで、その、手渡すシーンが始まるのだが、なんといきなりポイッとライトセーバーを捨てちゃうルークにまず驚き。そしてどうも、ルークとレイは知らない者同士というかまったく過去につながりがない模様(今のところは、と一応言っておこう)。問題の、ルークに何があったのか? に関しても、正直浅いというか、あまり感動的でなかったのも残念。要するに、強力なフォースを操るベンに期待をしていたけれど、いつのまにか? スノークにそそのかされて? ダークサイドの力を身に付けつつあるベンに、「今、殺るしかない」とまで思い詰めてしまって、けど可愛い甥っ子なので出来ない、なんて躊躇しているうちに反撃されたという、極めて残念なオチであった。でも、それだけじゃあ、辺境の星にひきこもってた理由にならないよ……致命的に浅すぎると思う。しかし、やっぱり演じたMark Hamill氏の「ただものじゃない」鋭い眼光は実にカッコよかったし、ラストのベンとのチャンバラは実に映像的にも素晴らしかった。また、そのファイナルバトルのオチ、実は実態は辺境の星にいるままで、虚像を飛ばしていた、というのも実に見事だったと思う。「フッ……最後のジェダイは俺じゃあない。またな、小僧(ニヤリ)」というラストはしびれるカッコ良さだったすねえ! ちなみに、今回ヨーダおじいちゃんも満を持して登場するが、『Ep:I~III』でのCGでバリバリに動くおじいではなく、『Ep:V~VI』のマペットの、動きのぎこちないおじいだったのが新鮮。ただしその言動は、相変わらず無責任なおじいで、「ジェダイなんてもうぶっ壊しちゃえばいいよ」という無責任発言には、もう唖然というか、ああ、やっぱりこのおじいが銀河の平和を壊した張本人なんだな、と改めてその無能ぶりを知らしめてくれたような気がする。これは悪い意味じゃなく、ジェダイといえども神様ではなく、ただの人間なんだ、という意味では十分アリ、だと思う。
 ◆ベン・ソロ=カイロ・レン:前作『VII』ではとんでもないゆとり小僧で、どうしようもなかった彼が、今回大成長! わたしは今回の彼はとても良かったと思う。周りがみな愚かでどうしようもなかったから相対的にまともに見えただけ、という可能性も捨てきれないが、今回、スノークをぶっ殺して、レイと二人共同で戦うシーンにはもう大興奮であった。あれはカッコよかった! 演じたAdam Driver君も、今回は前回ほど虚弱ではなく、まずまずのいい演技だったと称賛したい。予告でわたしがドキドキした母殺しも、オレにはできない!とトリガーから指を離すシーンも良かったと思う(けど、その後のレイアのアレはナシ。断じてナシ!)。しかし改めて考えると、師匠(ルーク)には殺されそうになり、父親(ハン)には疎まれ、そして頼った師(スノーク)にはある意味道具と利用されただけ、とも言えそうで、同情すべき点はあることはある。なので、最後まで信じてくれたように思える母だけはその手にかけられず、自分を支配しようとした奴らを全員ぶっ殺す!という決意は、ガキ臭さはあっても、男としては十分に共感できた。わたしの目から見ると、完全にベンはレイに惚れてますな。そしてその惚れた女に軽く振られたわけで、もうコイツは完全に、「世界をぶっ壊してやる!」と思ってますよ。ホントにもう、ゆとり乙としか言いようがないけれど、非常に分かりやすくて、極めてアリ! だとわたしは思った。まあ。次作でキチンと改心して、レイに許してもらうことですな。
 ◆レイア:今回のレイアは、非常に良かった点と、唖然とするとんでもない点と、両極端だったように思う。まず、反乱軍のTOPとしての振る舞いは実に良かった。愚かな現場連中とは違って大局を見据えての行動は、TOPとしてあるべき姿であり、演じたCarrie Fisherさんの堂々たる演技も相まって、実に貫禄あるお姿だったと思う。しかし……あの、「宇宙空間に投げ出されても、死なないし、宇宙空間を移動できる」謎の能力は完全に物語をぶち壊すとんでもないシーンだったとしか思えない。アレはもう、断じてナシだ。せっかくその直前は、ベンがトリガーから指を離し、レイアは無事、と思わせておいて、その直後ベンの部下による攻撃で死亡、となる流れは完璧だったのに。Carrieさんが去年、急な心臓発作で亡くなってしまったのは大変痛ましいし哀しい出来事だが、ルーカスフィルムは、次の『IX』には、Carrieさんは登場させないと言明したわけで、わたしは今回の『VIII』で、レイアの出番は終わるのだろう、と思っていた。なので、なるほど、こういう最期を迎えたのか……と非常にしんみり悲しい気分だったのに……なんとあろうことか、突然謎の能力が発揮されて生還、結局本作『VIII』のラストまでレイアは元気にしており、次の『IX』に出てこないことの方が不自然になってしまった。何を考えてあんな脚本としたのか、いまだにわたしにはさっぱり理解できない。断じてナシ、だとわたしは思う。ちなみに、レイアは謎の能力で生還したけれど、一緒に被弾したアクバー提督は残念ながら殉職してしまって超ショックだ。ひどくないすか? アクバー提督……あなたの「It's a Trap!」がまた聞きたかったよ……。
 ◆ホルドー中将:今回の新キャラで、レイアが意識不明状態の時に代わって反乱軍の指揮を執る女性中将。わたしはこのキャラはとても素晴らしく、今後の反乱軍はこのお方が率いるのだろうと確信していた。彼女もまた、無能な現場連中とは違って、正しく大局を見据える、将にふさわしい人物だと思いながら観ていたので、その最後にも大変ショックを受けた。演じたLaura Dernさんも大変良い芝居を見せてくれていたのになあ……なんか、このキャラはCG補正されて(妙に首が長く縦に細長く見える)いるのか、素なのか良くわからなかったけれど、Lauraさんの演技はほぼ完璧だったと思う。この方は、若き頃よりもここ数年の、お母さん的キャラの方が断然イイすねえ。せっかく、Carrieさん亡きあとの反乱軍を率いる絶好のキャラだったのに、なぜあんな最後を……これも脚本的にまったく容認しがたい。断然ナシ! とわたしは断罪したい。
 ◆ポー・ダメロン:今回、筆頭クラスの愚か者。まず、冒頭の宇宙戦闘シーンも良くない。これはポーには全く関係ないことなのだが、なんというか、ディズニーは本当に中国市場を一番大切にしているんだな……という事が物語に関与してしまっていて、ダメになっていくんだなあ……と感じたのが、冒頭の爆撃機の中で、中国人美女?と思われる東洋人が必死の思いで活躍するシーンだ。はっきり言って、『STAR WARS』サーガに、そういった本筋に関係ないキャラクターの描写は全く必要ない。あの一連のシーンは全て不要だ。冒頭の宇宙戦闘シーンは、あくまでも、反乱軍が追い詰められていて、大ピンチな状況にある、けれど、レイアの知略とポーたち現場の勇気で何とか持ちこたえている、そしてそれももはや限界にきており、ルークの参戦が、銀河の希望としてどうしても待ち望まれている、という状況を描くだけでいいのに、ポーの独断専行、からの降格、という脚本的な展開は全く不必要だったとわたしは感じた。愚かすぎるし。無駄だし。ただ、ポーは、ホルドー中将の勇気ある最期を見て、やっと改心し、大局観を抱くようになるわけで、その成長は大いにアリだけど、まあ、時すでに遅しだし、お前の成長に何人の人々の命が費やされたんだ! と思うと、若干腹立たしくさえある。ポーよ、君にはかつてのハン・ソロ的な役割を期待したけれど……まったく期待外れだったよ。ラストのスキー・スピーダーでの謎の特攻作戦も、効果ゼロでまったく無意味だったね。そもそも何がしたかったのかさえ意味不明だし、ああいう場面で、さっそうとX-Wingで救援に駆け付けるのが君の役割だっただろうに。全くもってがっかりである。もちろん、演じたOscar Isaac氏には何の責任もありませんが。
 ◆FN-2187ことフィン:今回全く不要だったキャラの筆頭格。何の意味もない行動ばかりで、わたしなら一切カット、別の任務を与えていたと思う。そもそも、なぜFN-2187だけが命令違反できたのか、という謎も一切触れられず。あまつさえ、完全武装の元上司に勝っちゃうし。あれも全くあり得ないというか、断じてナシ、と断罪したい。今回、最もいらないとわたしが感じたのが、新キャラであるローズとの潜入ミッションで、ローズも謎の助っ人も全く不要だったし、そもそもあの作戦自体が全く不要だったと、見た人なら誰しも感じたのではないだろうか? なお、謎の助っ人を演じたBenicio del Toro氏は、役名をDJというらしいが、本編でちゃんと名乗ってましたっけ? 吃音のあるキャラ付けも不要だし、物語においても全く不要だったとしか言いようがない。わたしは助っ人が「ギャンブラー」でコード破りの達人、と話すマズ・カナタの通信を聞いたとき、おおっと、まさかここでランド・カルリジアン将軍登場か⁉ と超ドキワクしたのに……全然違ってました。またローズを演じたKelly Marie Tran嬢も、全く可愛くないし。彼女は生粋のUS生まれのUS市民だそうだが、まあ、中国配慮キャラと見なさざるを得ないだろう。なんであんな無駄なエピソードを入れる必要があったのか、全く理解に苦しむ。しかも見どころもないしそもそも面白くもないし。とにかく、がっかりだ。フィンは伝説のいらないキャラであるジャージャー並みに、今後語り継がれていくのではなかろうかという気がした今回の『VIII』であった。
 ◆ファースト・オーダーなる無能集団:今回の筆頭アホキャラはハックス将軍だが、まあ、彼は最初から小者として、ベンの引き立て役としての役割しかないので、あれはあれでアリ、ではあると思う。しかし、今回最大のがっかりキャラ、最高指導者スノークには深く失望したと言わざるを得ない。そもそも、前作『VII』において、謎の巨大ホログラムとして登場していたスノークだが、今回、生身の姿が出てきて、普通のキモイおじいちゃんだったらがっかりだな、と思っていた。そして今回、そのがっかりは的中してしまったのだが、がっかりはそのビジュアルだけでなく、全然弱かったことに対してももう、失望を通り越して怒りすら感じたほどであった。ただ、それはわたしが過度の期待をし過ぎていただけのことで、物語として、ベンがスノークをぶっ殺すくだりは大変良かったと思う。ベンの、ごちゃごちゃごちゃごちゃ……みんなうるせーーんだよ!!という怒りは非常に分かりやすく上手に表現できていたし、ベンのキャラクターの引き立て役としては十分以上その役目は果たしてくれたとも思う。しかし、しかしですよ。あの、伝説のジェダイナイト、ルークをして、つかめなかったベンのハートをいともたやすく操っていた黒幕、としてはあまりに弱すぎる。そもそも、スノークはなぜ、フォースを操れたのか、スノークの目論見は何だったのか、どうしてそういう野望を抱くに至ったかは、もはや永遠に謎となってしまったわけで、わたしとしてはこの脚本はナシ、とやっぱり断罪せざるを得ない。軽すぎるし、投げっぱなし過ぎる。これじゃあ、ダメだと思うな……。そもそも、ファースト・オーダーの連中の、逃げる反乱軍をただじっと追いかけるだけ、という作戦自体も、脚本的にもう全然ナシ!だ。あれじゃあ、ドラマが生まれようがないよ。

 はあはあ……なんというか、本当にまだ信じられない。わたしが観たのは、本当の『VIII』だったのだろうか? ファンメイドのインチキ『VIII』だったのではないかといまだに思いたいわたしがいる。要するに、とにかく、「わかってない」。キャラクターも生き生きしてない。脚本が0点であるというのがわたしの結論である。
 そんな脚本を執筆し、監督をしたRian Johnson氏にすべての責任があるとわたしは断罪したいのだが、わたしは氏の作品は過去に『LOOPER』しか観ていないので、何とも言えないけれど……確かに『LOOPER』は面白かった。面白かったけれど、大絶賛というほどではなく、どうしてまた、ルーカスフィルム社長のKathleen Kennedy女史がそこまでほれ込んだのか、実は良くわからない。確かに、本作でも画として、ラストのベンとルークのタイマン勝負は猛烈にカッコ良かった。『LOOPER』でも、ラストの1対1のタイマンはカッコ良かったし、そういう場面に優れた才能を持っていることは明らかだと思う。しかし本作は、端的に言ってキャラが多すぎた。そしてそれらのキャラクターを点でばらばらに動かし過ぎて、全く焦点が合わない、ピンボケ作品になってしまったように感じている。やはり、本作にもJJ氏を脚本面でも参加させるべきだったと思う。今回、製作総指揮という肩書でJJ氏はクレジットされているが、やっぱりシリーズは、完全に全体の物語を統括する存在が必要で、JJ氏はもっと物語に関与すべきだったとわたしは思うのである。次回作の『IX』は、JJ氏が再び監督復帰することがすでに発表されているが、わたしは本作でも、JJ氏が作り上げるべきだったと強く感じた。そう考えると、最大の責任者、Kennedy女史にすべての責任があるというべきだろう。ホント、大いに、心の底から反省してほしい。オレの観たかった『VIII』はコレジャナイ!!!

 というわけで、結論。
 超期待していた、2年ぶりの新作となる『STRA WARS Episode:VII The Last Jedi』を観終わって、わたしが真っ先に思ったのは、「オレが今観終わったこの映画は、本当に、本物のSTAR WARS Ep:VIII」なのか? という信じられない思いで、きわめて深く失望した作品であった。わたしが思う、本作の欠点は、登場人物が多すぎて、しかも物語にほぼ無意味な行動をし、結果的に重要な人物や出来事にフォーカスされず、実に緩慢になってしまっている点で、脚本が全くダメだということである。ただ、本筋部分の進行はかなり見どころがあり、レイ・ルーク・ベンの3人は非常に良かった。とりわけ、前作でまったく共感できなかったベンがとった行動は、ガキ臭いものであっても理解はできるもので、その点は非常に評価したい。しかし結局、多くの謎はほぼ解明されず、実に消化不良でもある。しかし……そう考えると、ホントに『V』、帝国の逆襲は素晴らしかったんだなあとしみじみ思いますな。しかし、今回ロゴを赤くした意味も、ほぼなかったすね。黄色に戻っしてほしいですな。マジで。つうか、もうこの『VIII』も、正史として受け入れざるを得ないわけで、大変悲しいです。わたしはいまだに『III』はナシ、と憤っているが、この『VIII』は、『III』よりさらにナシです。以上。

↓ 今日、そういえばWOWOWで放送される『ROGUE ONE』。こちらも若干問題アリだけど、こちらの方がずっとずっと面白かったすね。

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