昨日の夜、WOWOWで録画しておいた、とあるホラー映画を観た。その作品は、日本では丁度去年の今頃公開されたもので、予告編から結構怖そう&面白そうな気配は感じていたものの、公開規模が小さくてごくあっさり見逃していたのだが、WOWOWでの放送でやっと観ることができた。
 タイトルは、『It Follows』。そのものズバリ、「それ」が後をついて来る、おっかないお話である。どうやらカンヌ映画祭でワールドプレミア公開されて評価を受け、格付けサイトでの評価も非常に高く、やけに激賞している人も多い作品のようだが、ズバリわたしは、まあ、WOWOWで十分だったな、という評価にとどまった。なんというか……ほぼ説明がなくて、投げっぱなしなんすよねえ……そういう映画って、どうもわたしは好きではないっす。

 まあ、大体物語は上記予告の通りだ。なので、問題は、「It=それ」とは一体何なんだ? という点にあるわけだが、結論から言うと、最後まで結局何なのかは明かされず、ホラーにありがちな、解決したと思ったら解決してねえ!!! というラストでぶった切りで終わってしまい、わたしとしては全くスッキリしない、モヤモヤ感の残る作品であった。
 とういうわけで、まずは、作中で語られる設定と、キャラを軽くまとめてみようと思う。
 ■It(それ)の基本設定――これは上記予告にきちんとまとめられているので、まあその通りなのだが、補足すると……
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 1)性交渉で他人に移すことができる。
 要するに、自分が狙われている場合は、誰かとヤるとそっちに対象が移るみたい。ただし、1回ヤッて対象から外れても、移した相手が死ぬと自分に戻って来る。怖い!
 2)対象者(感染者)以外には見えない。
 どうも、他人に移し、対象から外れても、感染経験がある場合は見えるままのようだが、とにかく普通は見えないので、感染者が何を怖がっているのか、他人にはわからない。怖い!
 3)ゆっくり歩いて来る
 なので、ダッシュで逃げたり、車に乗って逃げることができる。しかし、部屋に閉じこもっていると、いろんな手段で入ってこようとする。怖い!
 4)物理的攻撃は一応有効
 銃で撃ったり、椅子を投げつけるなどの物理攻撃には、一応効果がある。けど、すぐむくりと立ち上がって来るので、時間稼ぎにしかならない。怖い! なお、対象者でなくとも、この辺にいるのかな?と見当を付けて攻撃することもOK。
 5)目的及び完全なる駆除
 不明。どうやれば完全に退治できるのかも不明。
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 とまあこんな感じである。で、キャラクターはというと……
 ◆ジェイ:ヒロイン。女子高生(大学生?)。結構かわいい。妹がいる。彼氏のヒューとCar SEXをしてうつされた。家のプールでぼんやりしたり、海に入ったりと、泳ぎが好きらしい。水着はある意味スクール水着的なまったく色気なしの競泳系水着。演じたのは、Maika Monroeちゃん23歳。この人は、去年の『INDEPENDENCE DAY:Resurgence』でホイットモア元大統領の娘を演じた方ですな。役者以外でも、カイトボードの選手としても活躍してたそうですので、本人も泳ぎは達者なんでしょうな。
 ◆ヒュー:元凶となる第一感染者。実は偽名で、本名はジェフ。なんでも、バーでナンパした女からうつされたらしい。が、どうしてそんなに「It=それ」に詳しいのか、そして今までどうやって逃げていたのか、ほぼ説明なし。演じたのはJake Weary君26歳。うおっと!なんてこった!! コイツの顔、どっかで見たことがあると思ったら、『ZOMBEAVER』に出てきたバカ男じゃないか!! ちなみに今回は、さっさとジェイに移してとんずらをかますヤリ逃げのクソ野郎でした。
 ◆グレッグ:ジェイの向かいの家に住む、雰囲気イケメン。かつて、ジェイと付き合ってたこともあるらしい。中盤で、ジェイ、君の感染はオレが引き受けるぜ、という口実(笑)の下に、ジェイとヤり、無事に自分が感染を引き受けたはいいけれど、ほぼ意味なく見事に死亡し、ジェイに対象は戻る。残念ながらやられキャラ。演じたのは、Daniel Zovatto君26歳。おっと、この人、現在劇場公開中の『Don't Breathe』にも出てるんすね。わたしは観てませんが。
 ◆ポール:ジェイ姉妹と幼馴染の、ぱっと見は全くさえないガリガリ君で、若干Geekめいた青年。ジェイのファーストキスの相手でもあり、ポールはずーーっとジェイが好きだった、みたい。ジェイのとんでもない災難に、ポールは男を見せる!演じたのはKeir Gilchrist君25歳。彼は一番キャリアがあるようですが、わたしが観たことのある映画はないみたいですな……なかなかの好演だったと思います。一番光ってたのではなかろうか。
 ◆ケリー&ヤラ:ジェイの妹とその友達。物語において特別な役割はまったく果たさない。ただ、友達のヤラは、なんか独特の雰囲気のあるオタク少女的なキャラ造形で、彼女がいろいろ調べて事件の真相にたどり着く的な展開を予想しましたが、まったくそんなことにはならず、ほぼ意味のないキャラでした。演じたのはOlivia Luccardiちゃん28歳。アレッ!? 一番年上だな、この人。そして妹のケリーは、ほぼ何もせず。演じたのはLili Sepeちゃん20歳。この人は大変可愛いと思います。この映画を撮影してた当時はたぶん17歳ぐらいで、まだ顔が真ん丸ですが、今はかなりの美女に成長してるみたいですな。子役時代は若干、川島海荷ちゃんに似てる気がします。ちょっと名前は憶えておきたいすね。
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 とまあ、こういう映画であったわけだが、その観客を怖がらせる演出は、確かにお見事であったと思う。とにかく、「It=それ」が、「ぺたり・ぺたり・ぺたり……」と真っ直ぐジェイに向かって歩いて来るさまは超おっかない。しかし、いかんせん妙な間が多いし、時間経過も分かりにくいのが難点と言えば難点かもしれない。
 脚本的にも、ほぼ、核心に迫るような展開はなく、ただ単に逃げ回り、クライマックスは対決をするものの、どうも切れ味の薄いもやもやエンドであったので、もうチョイ緊張感あふれ、ラストはすっきりさせる手もあったように思う。
 なお、監督&脚本のDavid Robert Mitchell氏は、次回作の『Under the Silver Lake』ではAndrew Garfield氏を主演に迎えるなど、メジャー感は若干増したようですな。どんな映画なのか、まだ予告編もないようなのでわからないですが、ジャンル的には「クライム・スリラー」だそうで、ちょっと期待したいところであります。

 というわけで、短いけど結論。
 去年日本で公開されて、結構様々に激賞されている『It Follows』をWOWOWで観てみたところ、まあ正直、こんなもんか、であった。確かに怖い。けど、ちゃんと解決してほしいんだよな……わたしとしては。投げっぱなしは、当然アリだけれど、もうチョイ、ラストバトルできちんと退治したことを印象付けてくれないと、一番最後に実は退治出来てませんでした~というホラーお馴染みのエンディングのショックが薄いと思う。結論としては、WOWOWで十分でした。以上。

↓ 「It」といえば、Stephen Kingが大好きなわたしは当然こちらです。これはTVシリーズだったと思うけど、また映画化されるんじゃなかったっけ。まあ、とにかく原作小説は最高です。
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2016-10-12