今の若者たちは車に興味がないという。実はわたしも10代~20代前半まで、バイク野郎で、車には実際ほぼ興味はなかった。それに、確かに都内に住んでいれば全く車は必要ないのかもしれないとは思う。しかし、わたしは今や車が大好きで、1997年に初めて自分で車を買って以来、途切れることなく車を所有している。それは、要するに、あー、車があればなあ、という事態に意外とよく遭遇するということなのだが、わたしが自分の車を買おうと思ったのは、やはり親の病気・怪我・そして死、であったように思う。免許自体は10代に取得していたわたしであったが、当時の家の車、TOYOTA CROWNはデカくて、とにかく運転しにくくて、いざ「運転をしないといけない事態」に直面した時、これはちょっと……ではすまされない事態が90年代後半からわたしに立て続けに起こったのである。それ故、ちょっと小さくて運転しやすい自分の車を買おう、と思ったのがきっかけである。そして車の便利さに目覚め、ああ、やっぱりバイクより車の方がいいや、つうか圧倒的に楽だし、便利じゃん、とすっかりバイクには乗らなくなってしまったのであった。
 以来、もうすっかりどんな車でも、2トントラックでもハイエースでも、全く気後れ?なく、自在に運転できるようになったわけだが、実はわたしは2001年以降かな、生意気に車を2台所有している。というのも、2000年代から頻繁にチャリンコレースに出場するようになったため、チャリを積んでレース会場まで行くためのワゴン車をも買ったのである。じゃあ、それ1台でいいじゃんと思いますよね? いやいや、そう簡単にはいかないもので、わたしの場合は母も車をよく使うので、母用にはワゴンを普段使わせ、そしてわたし用には別の、ある意味見栄というか……まあ、カッコつけ?の高くてカッチョイイ車を所有するようになったのである。我ながらアホくさいけど、まあ、そういうわけである。
 しかし、その母も後期高齢者となって久しく、ホントに、2年前ぐらいまでは全く問題なかったのにもかかわらず、どういうわけか去年の後半あたりから、近所のスーパーの駐車場で、車体をこすって傷を作ってくることが多くなった。たしかに、近所のスーパーの駐車場は、鉄骨を組んで無理やり2階建てにしたような駐車場で、1区画が狭く、柱も相当建っていて、入れにくいのは間違いない。わたしのメイン車(高くてカッチョイイ方)ではほぼ無理、な区画も少なくない。しかしそれにしても……車の傷が増えていくのと比例して、わたしの不安はどんどん高まっていた。そろそろ、もう、運転やめた方がいいんじゃね?という、世を覆っている高齢者運転NGの気風である。
 だが、母の運転する車の助手席に座って観察するに、人にぶつけそうな気配はなく、まだ問題はなかろうと思えたし、わたしが気になるのは、増えていく車の傷が、車体の左側だけ、に集中している点であった。この点に関して、わたしには一つ、思い当たる節があった。その母に使わせている車は、HONDAのFREED SPIKEという車で、2012年に買った車であるのだが、この車、リアクオーターの窓がなくて、パネルではめ殺されているので、左後方の視界が極端に悪いのである。
FREED
 おまけに、バックモニターも、進路予想線がハンドルに連動しないので、単に後方視界を補助するだけで、ハンドルを切るタイミングがつかみづらいのだった。まあ、わたしはすっかり慣れたし、車庫入れも別に何とも思わなかったものの、いまだに「左からの合流」の際などは数秒全く視界がなくなるので、このHONDA FREED SPIKEという車は、荷室が非常に広くて、チャリを積むには大変重宝した優れた車なのだが、この点だけは、ちょっと嫌だな、とは思っていた。くれぐれも言っておきますが、実際この「左後方視界問題」はすぐ慣れます。SPIKEはとてもいい車であるのは間違いないす。
 しかし。車体左側だけに集中するちょっとした擦り傷が増えていく中、わたしはこの問題をほぼ放置していたのだが、今年に入って、母はなんと家の車庫入れの際に、わたしの高くてカッチョイイ車に、ほんのちょっと、だけど擦ってしまったのだ。
 もう、なんというか、母の運転技術の低下に深く失望する一方である。これはもう、マジで運転させない方がいいんじゃねえのかと、大いに悩んだ。一番上の兄は、別に人にぶつけたわけじゃねーし、とほぼ他人事だし、2番目の兄は、もう運転はやめろ、と言い出す。しかし、実際問題として、母はもう7~8年前か? チャリで転倒して左足大腿骨関節を骨折するという大怪我を負い、人工関節に置換するという、ゾッとするようなサイボーグ手術を受けているため、歩くのがかなりつらい状態であり、約800m先のスーパーへの買い物にも不自由な身だ。おまけにこれで車を取り上げてしまって、引きこもってしまっても困る。2番目の兄貴の運転禁止令も、所詮は他人事としての正論とみなさざるを得ない。
 そうして悩みに悩んで、とは言え先送りにすることもできず、ならば! と、わたしは車を衝動的に買い替えることにした。条件は、
 1)小さいこと。つまり、もう軽自動車で十分じゃい。チャリは、バラせばわたしの高くてカッチョイイ車のトランクに入ることが判明したし。
 2)安全装置がフル装備で最強レベルであること
 3)バックモニターの進路予想線がハンドル連動で、どうせならもう、アラウンドビューモニター的なフル装備であること。
 この条件のもとに、今の軽自動車はどんなのがあるんだ? と探したのだが、当然、最初は、同じHONDAの「N-BOX」でいいんじゃねえかと思っていた。安全装置は、自慢の「HONDA SENSING」搭載だし、何より現在日本で最も売れている車である。しかし、どうも条件3)が満たされていない模様で(これはちゃんとディーラーで聴いたわけではないのでわたしの誤解の可能性アリ)、おまけになんか……色やあまりに四角いスタイルが、どうも気に入らない。おまけに、意外と高いこともわかった。わたしは軽なんて150万も出せば買えるのかと思っていたので、SPIKEを下取りに出せば、100万ぐらいで買えるんでしょ、とか適当に思っていたのだが、どうもそうはいかないことが判明した。
 まあ、値段はこの際どうでもいいとして、アラウンドビューモニターはどうしても欲しい。いい車ねえかなあ、と、次に、アラウンドビューモニターといえばその元祖たる日産はどうなんだよ? とチラッと見てみたが、日産の軽自動車は、株を買い占めた三菱自動車のOEMである(※正確には製造だけ三菱で企画は日産と三菱の合弁会社で、どちらかというと日産からの企画らしい)。やはり、色々調べても、安全装置としてはHONDAの方が良さそうだし、アラウンドビューモニターはあるけれど、ヘッドライトがLEDじゃないとか、なんかどうも、これだ!感がない。
 じゃあ、TOYOTAはどうなんだ? と調べると、これまた子会社であるDAIHATSUのOEM車である……のだが、そのデザインや色、そして安全装置は最新にアップグレードされたばかりらしく、こ、これ、可愛いじゃん!という車に出会った。そしてDAIHATSUのWebサイトによれば、アラウンドビューモニターもオプションであるという。それがこの車である。
pixis
 TOYOTA名「ピクシス ジョイ」、DAIHATSU名「キャスト アクティバ」である。単なる感覚の話なので説明できないのだが、わたしはこの黄色が非常に気に入った。HONDAのN-BOXの黄色は、若干赤みの入った黄色(軽のナンバーの色に近い)でイマイチだと思っていたけど、この黄色は爽やかでかわいいじゃないの! と、ほぼわたしの心の中ではもう、コイツで決まりだぜ!ぐらい盛り上がっていた。ちなみに、もう、買い替えるしかねえ! と発作的に決断して、この車がいいな、と思うまでに要した時間は1時間ほどである。
 なので、この車のことを知って30分後には、さっそく近所のTOYOTAディーラーに赴いてみた。なお、その際はわたしの高くてカッチョイイ車で乗り付けてやったのは言うまでもない。
 で。色々聞いてみると……まず、一番近所のNetz店は、わたしの受けた印象では全く売る気がないようで、展示車もないし試乗車も用意できないという。そしてディーラーマンも、ほぼこの車に詳しくないようだった。お前、試乗もしないで車買う奴いると思ってんの?と思いつつ、カタログだけもらってさっさとNetz店から撤収し、その足で次に近いところにあるカローラ店を訪問してみた。するとそこは非常に丁寧な対応で、試乗車も今はないけど別の店から持ってきますよ、という。じゃあ、よろしくお願いします! ということで、翌週試乗に行ってみて、実際に運転してみると、動力性能は想像の範囲内の軽並みのものであり、ま、買い物車にはこれで十分だろうと判定し、よっしゃ、もう値引きとかつまらんことは言わないから、コイツをもらおうか!という気満々であったのだが……な、なんと! DAIHASTUには設定されているアラウンドビューモニターがTOYOTAでは設定がないらしいことが判明した。おまけにバックモニターの進路予想線も、ハンドル連動じゃないし! マジかよ! それじゃ困る!! おまけにもう一つ困ったのが、今契約しても(わたしはもう、さっさと契約する気まんまんで、実印と印鑑証明も持参していた)、納車は5月ぐらいになるかも、とのことであった。確かにこの車、まったく街で見かけた覚えはない。そんなに売れてねえのか? という気もしたが、逆に街で見かけない車の方がいいので、それはそれでアリ、なのだが、わたしとしては1日も早く欲しい。5月までは到底待ちきれないのが本音であった。
 なので、カローラ店にはとてもよくしてもらったし、非常に気が咎めるのだが……申し訳ない、ナシで! と断り、その足でDAIHATSU店へ行ってみた。なんで最初からDAIHATSU店に行かなかったかというと、単純に近所になく、調べてみると6kmほど離れたところにしかないらしい。これはすげえ遠いとは思わないけど……決して近くはないし、なんとも絶妙に遠い……のである。しかし、もう仕方ない。ので、高い車で乗り付けて、見積もりを依頼し、アラウンドビューモニターもあるし、納車も3月中には大丈夫、というので、よし、じゃあ、買ったるわ、とその場で決断した。
 で、下取りに出すことでお別れするSPIKEをその後に乗って行って査定をしてもらい、契約に至った。なお、DAIHATSUのディーラーマンには非常に物申したいことがいっぱいあったが(何より全然車に詳しくない。わたしよりも。これって話にならねえだろ……)、車種もターボの最高グレードにして、ナビやら何やらつけて、で下取り査定(査定額もカローラ店の方がいい数字だった)額を引いて、トータルで150万ほどでの契約となった。まあ、安くはないすな。でも、つまらん文句はグッと堪えて、それより1日も早く納車しやがれ、というニュアンスを込めて契約翌日には全額振込んだのだが、契約したのが2月17日、そして納車が昨日の3月24日となった。5週間もかかりやがって……。
 というわけで、早速やってきたDAIHATSU謹製「CAST ACTIVA」である。
CAST00
 どうすか。ぱっと見、大変可愛いでしょ。今や軽自動車はほとんどが軽の規格ぎりぎりまでの大きさなので、実はどの軽も、全高がちょっと違うぐらいで、長さと幅は皆同じサイズである。CAST ACTIVAの場合、幅が147.5cm(SPIKE比▲22cm)、全長339.5cm(同▲81.5cm)、高さ163cm(同▲8.5cm)と非常に小柄である。駐車している実車を眺めると、やけに立派な体格だなあ? と思えてしまって、カタログスペック値の実感がわかないのだが、街で走っている姿を見るとやっぱりやけに小さいし、なによりも、家の車庫に入れてみて、今までよりもすげえスペースに余裕が出て驚いたすね。こりゃちびっ子だよ、やっぱり。
 で、さっそく100kmほど都内を走らせてみたところ、ま、全く動力性能には不満ナシである。ただ、アイドリングストップはまだ慣れていないせいか、非常にウザいすね。CASTの場合、ホントにすぐエンジンが止まるので、そのたびにキュルキュル!とセルモーターが回る音も嫌だし、当然エンジン点火時にブルン、とちょっとしたショックも伝わるので、今やどんな車にも装備されているものとはいえ、まあ、1日では慣れないすな。渋滞で止まってるときはいいんだけど、交差点で一時停止する時も静止する直前にエンジンがストンと止まるのはかなりウザいす。
 あと、やっぱりうるせえすね、エンジン音が。わたしの高くてカッチョイイ車は、ホントエンジン回ってんのか?と思うほど静かで、音ではエンジンの存在を感じられないほどだけど、超主張してますよ、CASTのエンジンは。ま、軽はこんなもんでしょうな。首都高を(もちろん制限速度内で)かっ飛ばしてみたけれど、かなり頑張ってる感あふれる音が聞こえるのに、まだスピードは全然出てないじゃん、みたいなのが面白かった。なんか、がんばれ!と思いながら運転するのもとても久しぶりでありました。でも、さすがターボ車なので、うるせえけど意外と飛ばせますね。高速も問題なく、これなら片道150km程度の遠出は全然余裕と見た。燃費もイイようなので、タンクは小さいけど十分だろう。わたしの高くてカッチョイイ車はハイオク指定で満タンにすると8~9000円ぐらいかかるけど、CASTは30リットルしかタンク容量ないし、レギュラー満タンでも5000円もしないのね。これはいいわ。そして、アラウンドビューモニターもやっぱり便利すね。これなら母が擦ることも、完全になくなるかどうかはわからんけど、減ることを祈りたいものです。

 というわけで、結論。
 後期高齢者となって久しい母が、車を擦ってくるようになり、大変、イライラと心配とでわたしには非常なストレスだったわけだが、ならば! と金で解決することにした。そしてほとんど深く考えず、実際のところそのビジュアルにひとめぼれして購入を決定したDAIHATSU謹製CAST ACTIVAには、今のところ大満足であります。来週あたり、どっか遠出でもしてみるか……。なんかもう、この1台で十分じゃね?という気さえしてきたので、わたしの高くてカッチョイイ車は、場合によっては次の車検のタイミングで手放すかもな……。つうかですね、今の軽は大抵そうなんですが、とにかく後部座席が広い! 座って、余裕で足が組める広さって、すごいよなあ……。これはわたしの高くてカッチョイイ車よりも広くて楽ちんだと思う。ま、シートの出来が全然違うけど……。いずれにせよ、CAST ACTIVA、大変気に入りました。以上。

↓ なんでミニカーには黄色がねえんだよ!! と思ったら、どうやら黄色は、安全装置を最新のものに換装した時に新たに設定された新色なんだそうです。