タグ:スカーレット・ピンパーネル

 今年の春先、わたしは一番応援している宝塚歌劇団星組による『スカーレット・ピンパーネル』を3回観に行ったわけだが、そもそもこの作品に関しては、2009年の初演は映像でしか見ていないものの、2010年の月組による再演は、わたしがヅカを観るようになって2作目に観た作品であり、今年の再々演も、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下:こっちん)が超絶カッコイイ悪者を演じて大興奮したし、要するに非常に好きな作品である。
 しかし、わたしがこの作品で好きなのは、数々の名曲であって、実は、正直に言うと物語的には若干、えーと? と首をひねりたくなる部分があって、お話として面白いかというと、実に微妙である。とりわけ微妙なのが、よりによって主人公のふたりで、主人公のパーシーは、フランス革命政府からすれば、犯罪者の逃亡をほう助する悪党にしか見えないわけだし、そもそも、フランスを経済破たんさせた貴族に対して市民が革命を起こしたわけで、それを、イギリス貴族がしゃしゃり出てきて、フランス貴族を助けるなんてことは断じて許せないわけだ。また、ヒロインのマルグリットも、元は革命の女性闘志だったくせに、よりによってイギリス貴族と結婚して、自分が倒そうとしていた貴族社会にちゃっかり仲間入りするという女子だ。
 まあ、ちょっと敢えて意地悪に書いたけれど、わたしにとっての最大の謎は、パーシーとマルグリットの関係で、パーシーはマルグリットを信用していないように見えるし、マルグリットも、パーシー大好きオーラを出しているわけでもなく、それなのにやっぱりお互い愛してるわ、となるわけで、非常に分かりにくい、と思っていた。
 しかし、繰り返すが、とにかく歌が圧倒的に素晴らしく、カッコイイしちょっと泣けるという、やっぱりミュージカルっていいですなあ、と思わせる魅力にあふれた作品なのである。
 というわけで、以上は前振りである。
 今日、わたしは、現在赤坂ACTシアターにて絶賛公演中のミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』を観てきたのである。主役のパーシーに、劇団四季出身のミュージカルスター石丸幹二氏、そしてヒロインのマルグリットには、宝塚版の初演でパーシーを演じた安蘭けいさん(以下:とうこさん)を迎えての、宝塚版ではありえない男優も交えたミュージカルである。しかも、チケットはD列とあったので、A,B,C,ときて4列目か、やったぜ!と喜んでいたのだが、なんと、現場についてみると、驚きの最前列!であった。どうやらA,B,C列はオーケストラピットで取り外されていたようで、全く予想外、奇跡の最前列での観劇となったのである。
 結論から言うと、最高でした! これは面白い! 歌は、曲は宝塚版そのままなのだが、すべて歌詞は変わっており、お話の流れも若干違っていて、実に興味深かった。そして、パーシーとマルグリットの関係性も、非常に明確になっていて、わたしは非常に楽しめたのである。

 いやーー。ホント、想像よりもずっと面白かった。このBlogはわたしの備忘録という存在意義もあるので、宝塚版とどう違っていたかを少しまとめておこう。
 ◆歌の歌詞がほぼすべて、違う。
 このことについては、わたしは事前に知らなかったのでかなり驚いた。わたしの大好きな、ショーヴランの怒り爆発の歌でおなじみの「鷹のように」も、なんと隼に変わってた! おまけに、パーシーの歌うメインテーマ「ひとかけらの勇気」も、全然歌詞が違う! この白い手袋が血にまみれるまで! と歌う石丸氏は超カッコよかったですなあ! とにかく、すべて歌詞が違うのが一番驚いた点であろう。
 ◆関係性の違いその1:マリーとアルマンの関係
 宝塚版ではラブラブカップルのこの二人だが、なんとこちらのVerでは全く恋愛感情ナシ、つーか、マリーには全く別の婚約者が! ええ! とわたしはこれにも驚いた。おまけに、マリーの性格はそれほど変わりはなかったように思うが、アルマンが、若干ゆとり臭漂う青年にチェンジしていた点も驚いた。お前、ずいぶんキャラ変したな、アルマンよ!
 ◆関係性の違いその2:パーシーとマルグリットの関係
 こちらは、最初に書いた通り宝塚版ではわかりにくさがあったようにわたしには思えるのだが、こちらのVer.の非常に分かりやすく、そもそもマルグリットがショーヴランに協力しているのは、完全に脅迫によるもの、という姿勢が前面に出ていて、主にマルグリットの心理は非常に理解できるものとなっていたように思う。つうか、マルグリットもずいぶんキャラ変していて、宝塚版よりもかなり強気かつアクティブな、より現代的?な人物に変わっていた。ラストは何とマルグリットも剣を取ってチャンバラですよ! そしてパーシーも、正義感とおちゃらけがちょうどいい塩梅で、大変良かったと思う。パーシーがフランス貴族を助けようと思う心情ももっとダイレクトに分かりやすくなっていた。これは面白いというか、大変興味深かったです。
 ◆出てこない人々
 これもわたしは驚いたのだが、宝塚版でのキーキャラであるルイ・シャルル殿下が出てこない! のである。わたしは、ルイ・シャルルが出ないとなると、かなりお話が変わっちゃうんじゃね? と途中からどうなるんだろうとドキドキしながら観ていたわけだが、意外と大丈夫だったのが新鮮である。今考えてみると、「ひとかけらの勇気」がないわけで、あの歌がないとルイ・シャルルも出しにくいわな、とは思う。あと、宝塚版ではちょっとした重要キャラのドゥトゥルネー伯爵も、名前が出てくるだけで登場はしないし、とにかく、感想としては、結構違うんだなー、と当たり前のことを思った。
 では、キャストを簡単にまとめてさっさと終わりにしよう。
 ◆パーシー:演じたのは石丸幹二氏。わたしは今回が初めての生・石丸氏である。いやあ、やっぱり抜群の歌唱力ですなあ! 演技ぶりももう完璧。やっぱり歌が歌えるってのはカッコいいですよ。素晴らしかったです。
 ◆マルグリット:演じたのはとうこさんこと安蘭けいさん。とうこさん、すげえやせたように見えたけれど、大丈夫ですか!? とうこさんってこんなに華奢でちびっ子だったっけ? と心配になるぐらい痩せてたように見えたけど、あれかな、周りの男たちがデカかっただけかな? でもまあ、完全に女性でとてもお綺麗であったのは間違いないし、歌も完璧でしたね。強いマルグリットが大変お似合いでした。やっぱりとてもお綺麗ですよ、このお方は。
 ◆ショーヴラン:演じたのは石井一孝氏。数々のミュージカルに出演されているベテランですが、恥ずかしながらわたしは今日が初めて生で観た。ショーヴランと言えば、宝塚版では柚希礼音さん(以下:ちえちゃん)や龍真咲さんや明日海りおさん、そして我が愛しのこっちんが演じてきた、ソロ曲も多くてある意味おいしい役だが、わたしは今日、最初のころは石井氏の独特の歌い方に、非常に違和感があって、どうなんだこれ……とか大変失礼なことを思っていたのだが、どんどんとその、とにかく特徴的な歌い方がもう耳に残って、最終的には大満足というか大変気に入りました。なんだろう、音を区切るというか、非常に独特な歌い方をする方なんすね。また別の作品でお会いする日を楽しみにしていたいと思います。超汗だくだったのが最前列ではよく見えました。
 ◆ロベスピエール&プリンス・オブ・ウェールズ:この2役を一人で演じたのが上原理生氏。この方もわたしは今日が初めてなのだが、この方は最高ですね! 2幕冒頭のロベスピエール閣下のソロ曲は鳥肌もののカッコ良さだったし、その曲から、まさかの舞台上生着替えでプリンスに早変わりして、30秒前まで怒り狂うロベスピエールだったのに、超笑顔でプリンスに変身して場内爆笑でした。わたしもこらえきれず、声を出して笑ってしまったす。いやー、この方も特徴ある歌い方で、確実に声楽系・オペラ系の修練を積んだ方なんだろうというのがはっきりわかる歌い方でした。お、そうなんだ、藝大の声楽科出身なんすね。さもありなん、ですな。素晴らしいと思います。
 ◆その他
 あと、ピンパーネル団のイケメンたちの中に、わたしの知っている役者が二人出演されていた。まずは藤田玲君。わたしにとっての彼は、「仮面ライダー555」のい北崎くんすね。当時14歳。14年前のことか。歌に演技に、ずっと頑張っていたんでしょうなあ。これからも応援したいと存じます。そしてもう一人は多和田秀弥君。彼は2年前の「手裏剣戦隊ニンニンジャー」のスターニンジャーの彼ですな。君は歌える人だったんだね……知らなかった。どうかこれからも頑張っておくれ。

 おおっと!? まじかよ! 今日、ちえちゃん来てたのか!?

 くそーーー! 最前列という奇跡の席での観劇だったので、開演前と幕間は結構きょろきょろしてたんだけど気が付かなかったなあ……くそう! 抜かった……! 抜かりすぎてた! オレのアホ!

 というわけで、さっさと結論。
 宝塚版を何度も観た『スカーレット・ピンパーネル』の男性キャスト入り版を観てきた。奇跡の最前列は、すさまじい迫力で圧倒されました。最高です。お話も宝塚版よりもストレートに分かりやすくなっていた印象で、歌も歌詞が全部違ったり、キャラの性格変更やそもそも出てこないキャラなど、宝塚版とはいろいろな面で違っていて、実に興味深かった。そして、石丸氏やとうこさん、石井氏、上原氏など、ベテランの皆さんの歌は本当に素晴らしく、ブラボーの一言であります。特に石井氏と上原氏はまた別の作品で会いたいですなあ。つーか、この公演のCDって発売されているのだろうか? ぜひまた、車の中で聞きまくりたいものだが……ちょっと調べてみよっと。要するにですね、最高でした。以上。

↓ 宝塚最新Verの2017星組版。こっちんショーヴランは最高です!
星組宝塚大劇場公演ライブCD『THE SCARLET PIMPERNEL』
宝塚歌劇団
宝塚クリエイティブアーツ
2017-05-31

 はーーーやっぱすげえなあ……
 と、いうのが、昨日3回目の観劇となった、宝塚歌劇・星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』の感想である。そしてもちろん、わたしが「すげえ」というのは、わたしが一番応援している礼真琴さん(以下「こっちん」と略)の歌唱力である。たぶん、まったく宝塚歌劇に興味がない人が聴いても、間違いなく10人中10人が、その歌唱力に凄いと感じるのではなかろうか。
 というわけで、もはや3回目なので、書くことがないのだが、愛するこっちん演じるショーヴラン氏のカッコよくも残念なセリフと、男目線からすれば、ちょっとヒドイよ!と言いたくなるヒロイン・マルグリットの塩対応をいくつかメモして短く終わりにします。

 しかし、やっぱり物語的には結構突っ込みどころが多いんだよな……それでも歌が素晴らしすぎて文句を言うつもりはありません。物語としては、フランス革命期の1794年、ルイ16世とマリー・アントワネットをギロチンで処刑し、ロベスピエール率いるジャコバン党が革命政府として実権を握っていた時代、イギリス貴族のパーシヴァル・ブレイクニー(通称:パーシー)が、「スカーレット・ピンパーネル団」という秘密組織を結成して、フランス貴族がイギリスへ亡命するのを助けるというものである。パーシーは、あえてお気楽でおバカな男であると周りに思わせながら、ひそかにルイ16世の遺児、ルイ・シャルル奪還を目指していた―――というのがメインストーリーで、妻となった元コメディ・フランセーズの女優マルグリットにも正体を隠しながら活動を続けていて、その秘密が夫婦の仲に亀裂をもたらす、が、最終的にはめでたしめでたしとなる宝塚らしいお話だ。
 で、問題のショーヴランという男は、革命政府でロベス・ピエールの手足となって働く公安委員会の将校的な男で、元々は貴族に虐げられていた下層市民出身であり、革命初期は革命の女闘士として名を馳せていたマルグリットと付き合っていた(?)ようで、要するにマルグリットの元カレである。
 そんな3人を軸に物語は展開されるのだが、まあ、とにかくショーヴラン氏が気の毒で……。というわけで、その名言というか残念なセリフを3つ、紹介しよう。なお、わたしの記憶にあるものなので、正確なセリフと微妙に言葉が違うと思います。

 <マルグリットがパーシーと結婚することを知り、若干まじかよ的な気持ちながら、とあるフランス貴族の居場所を教えろ、と脅した後のセリフ>
 マルグリット:もう、あなたには二度と会いたくないわ!
 ショーヴラン:(ニヤリ……)ふん……オレはまた会いたいね……!

 <フランス革命政府全権大使として、イギリスにわたったショーブラン。プリンス・オブ・ウェールズ主催の仮面舞踏会で、マルグリットに出会い、この舞踏会にスカーレット・ピンパーネルが来ているはずだから、オレに代わって情報収集しろ、でないと弟をぶっ殺す、と脅した時のセリフ>
 マルグリット:そんな、わたしにはできないわ!
 ショーヴラン:(お前は女優だろう? というニヤリな顔で)演ずるんだ、あざむけ! 弟のために!!
 マルグリット:あなたは……地獄に落ちているわ!
 ショーヴラン:(クックック……何とでも言うがいい、な表情)

 <ラスト近く、何もかもうまくいかず、ルイ・シャルルの身柄を奪還されてしまったショーヴラン氏。そこにダメ押し的なマルグリットのキッツイ一言>
 マルグリット:わたしが愛したのは、革命の夢!あなたはその一部分でしかないわ!
 (※追記:↑のマルグリットのセリフは1幕のロンドンにやってきたショーヴ氏に言うセリフでした。ラストじゃなくわたしの勘違いす。このセリフの後、ショーヴ氏は「君はどこに」をちくしょーとばかりに熱く歌う)
 ショーヴラン:(わなわな……)このオレを……愛したことはなかったというのか……!?
 マルグリット:(ショーヴランを見ず、くるっと正面(というか客席)を見て)ないわっ!!
 ショーブラン:(ガーン!とショック)……ククク……わっはっは! そうか、ならばその真実の愛とやらを堪能するがいい!!
 
 いやあ、もう、そういわれたら笑って、勝手にしろ、お幸せにな、としか言いようがないすよ、男としては。つらいす(笑。しかし、貴族に対して革命を起こしたくせに、貴族と結婚するマルグリット……これまた男目線からすると……やっぱり理解できないす。

 というわけで、さっさと結論。
 3回目となる『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』だったが、回を重ねるたびに、わが愛しのこっちんはどんどんと凄みを増しているように見える……というのはファン目線の贔屓目だろうか。いいのそれでも。とにかくこっちんは最強に歌がうまく、カッコイイのでありました。そして、ショーヴ氏は何度見ても、気の毒ですw
 わたしの希望としては、こっちんには2024年の、宝塚110周年の時に、星組のTOPスターでいてほしいのだが……仮に5年とか長期政権を築くとしても、2019年ぐらいにTOPになり、2020年もTOPに君臨し、2024年の110周年をTOPで迎え、10年ごとに開催される運動会にも参加してほしいものです。なので、紅子さんにはぜひ、2019年前半まではTOPでいてほしいなあ。勝手な願望、サーセン。以上。

↓ なんかやっぱり読んどいたほうがいいような気がする……原作小説です。
紅はこべ (創元推理文庫 507-1)
バロネス・オルツィ
東京創元社
1970-05

 わたしが宝塚歌劇を見始めるようになって7年が過ぎた。
 その経緯は、このBlog上において何度も書いているので、もう書かないが、わたしをヅカ道へ導いてくれた師匠がいて、大変お美しい方なのだが、 実はわたしは師匠とはこの7年間で1回しか一緒に観に行ったことがない。いつも、チケットを手配してくれるやり取りだけで、お互い会社が別々になってからは、お会いすることすら年に数回になってしまった。
 そんな師匠と2か月ほど前、こんなメッセージのやり取りをした。
【師 匠】そろそろあなたの一番好きな星組ね。来週までに希望日時を連絡なさい。
【わたし】押忍!ごっつあんです!いつも本当に有難うございます!承知つかまつりっす!
  <すぐにわたしのヅカ仲間の娘っ子ども×2&お姉さま×1に連絡し、日時を決定>
【わたし】押忍!いつも大変お世話になっております!それでは5月●日の11時の回でお願いします!
【師 匠】あら、そう、承知したわ。ところであなた、ムラに一人で観に行ってきたのよね?どうだった?
【わたし】押忍!ごっつあんです!最高でした!特に、オレのこっちん(※礼真琴さん。わたしが一番好きな人)の超絶なカッコよさにしびれたっす!最強に歌ウマっすね!
【師 匠】あら、さすがことちゃんね。期待しているわ。じゃああなた、わたし達が行くときもいらっしゃらなくて? チケットが1枚空きそうなの。あなたたちの希望日時より前だけどいかがかしら?
【わたし】押忍!ごっつあんです!もちろん参加させていただきます!
【師 匠】あら、よかった。会うのも久しぶりね。楽しみにしてるわ。
【わたし】押忍!ごっつあんです!オレも楽しみっす!
【師 匠】それではよろしくね。チケットは当日開演15分前に劇場前で。
【わたし】押忍!こっつあんです!よろしくお願いシャス!
 というわけで、3月に兵庫県宝塚市に鎮座する「宝塚大劇場」でのソロ観劇から約2カ月。いよいよ東京へやってきた宝塚歌劇団・星組公演『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』を火曜日の夜、観てきた。2回目となるので、今回は、わたしが一番応援している「こっちん」こと礼真琴さん演じる「ショーヴラン」について思ったことと、宝塚歌劇で頻繁に描かれる、フランス革命の頃の時代背景、それから関係作品について書き留めようと思う。ちょっと、フランスの歴史をおさらいしてみたい、とふと思ったのです。
ScaPim
 まず、今回は上手側ブロックの5列目ということで、非常にいい席だった。おまけに一番左の通路側であり、要するに、銀橋の両サイドにある階段の上手側・真正面というわけで、その位置は主人公がよく歌う場所であるため、もう大興奮の席であった。さすが師匠、半端ないす。ほんとありがたい限りだ。
 で。物語の舞台は、原作小説ではどうやら1792年の話らしいのだが(?)、Wikiによると1789年に端を発したフランス革命において「革命裁判所」が設置されたのは1793年3月であり、「公安委員会」も1793年4月から存在していたそうなので、まあ、その辺りのお話と思っておけばいいだろう。そしてその「革命裁判所」とは、「あらゆる反革命行動、自由、平等、統一の侵害」を裁く法廷であり、「公安委員会」は事実上の革命政府で、人民主権の名の下に権利行使に制限はなく、あらゆる行為は正当化できたそうだ。もちろん、「自由の確立のためには暴力が必要である」として暴力を肯定している。要するに、何でもアリの超ヤバイ存在と言っていいだろう。こういった存在は、現代の民主的な法治国家らしき国に住む我々からすれば、相当胡散臭いというか独裁にしか見えない。我々にお馴染みの独裁者としては、北の将軍様がいるが、まあ比較はできないにしても、とにかくその象徴というかTOPにいたロベスピエール氏が危ないお方ってことは間違いなさそうだ。もちろん、我々の日本だって、昔々は天下を取った奴による事実上の独裁(?)に近い政治形態だったと言えるかもしれないけど。
 本作『THE SCARLET PIMPERNEL』において、我が愛しのこっちんが演じたショーヴランという男は、まさにこの革命政府=公安委員会所属の男で、1幕後半にフランス革命政府全権委任大使としてイギリスへも渡るような存在なので、相当高位にあるのは間違いなかろう。物語としては、その権力を振りかざして主人公を追うわけで、要するに「悪役」である。しかし―――本当にショーヴラン氏は悪い奴なのか? つかむしろ相当かわいそうなんじゃね? と思い、せっせとその件を書こうとしているわたしなのである。

 それでは、以下にフランスの政権の流れをおさらいしてみよう。長いぞ~これは。
 ◆1789年:国王ルイ16世(ブルボン王朝=絶対王政=アンシャン・レジーム)が、三部会を招集。議題は、財政破たん寸前なので増税しますの件。そんな議題に対して、もちろん、唯一の納税者たる第3身分(平民)の怒り爆発、ビビった国王が軍隊出動要請、大暴動へ発展。この辺がまさしく『1789』で描かれたわけで、一部は『ナポレオン』でも描かれているのかな。で、国王、やむなく第3身分が作った国民議会を認定、平民中心で憲法作成に取り掛かるも、まだ主権者は国王であり、そんな平民の主導した法律や憲法なんて認めるか!とか言ってたら、ますます食料すらもなくなってきたパリ市民が大激怒、ベルサイユ宮殿にまで乗り込んできて、マジかよ!とベルサイユを捨てテュイルリー(一応パリ市内)へバックレる。そして一応、「フランス人権宣言」として知られる「人間と市民の権利の宣言」が憲法制定国民議会で採択される。ここでいう「市民」が本作で何度も出てくる「シトワイヤン(Cytoyen)」のこと。英語のCitizenってことかな。意味はちょっと違うけか。
 ◆1790年:この段階ではまだ立憲君主制(=イギリス型の、国王を擁し憲法による統治)を信じる人々が政治を支配。代表選手はミラボー(貴族ではあるけど第3身分代表)やラファイエット(この15年ぐらい前にアメリカに渡り義勇兵としてアメリカ独立戦争に参加。ジョージ・ワシントンとも親しい。アメリカの人権宣言をよく知る人で、第2身分でありながら第3身分の味方。フランス人権宣言の起草者)で、要するに彼らは一応、国王の存在は認めていたってことかな。そしてこの年、ラファイエット氏の発案で、いわゆるトリコロールの三色旗が革命のシンボルになる。
 ◆1791年:貴族は続々とフランスから国外へ亡命。折しもミラボーも亡くなり、いよいよヤバいと不安になったルイ16世は、妻のマリー・アントワネットの実家(=オーストリア・ハプスブルグ家)に逃げようと密かにパリ脱出、しようとしたところ(この時に脱出の手助けをしたのが「ベルばら」でお馴染みのスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルゼン様!)、あっさりパリ市民に見つかり、あんた逃げる気かよ!ふざけんな!と取っ捕まる。
 一方妻の実家(オーストリア)は、うちの国にも革命の嵐が来たら超迷惑だし、万一うちの娘(とその旦那)の地位をどうにかするようなこと考えてんだったら、てめえ、戦争吹っ掛けるぞこの野郎! という脅し(=ピルニッツ宣言)を神聖ローマ帝国及びプロイセンと共同で革命政府に伝達。なお、Wikiによると、まったくのなんちゃって宣言のつもりだったらしいのだが、受け取った革命政府は、やっべえ!最後通牒キタ!とやおら慌てることに。結局、じゃあルイ16世はそのまま生かしといてやらあ、として、立憲君主制を認める「1791年憲法」が成立。
 ◆1792年:事態を読み間違えた革命政府は、うっかり自分からオーストリアに宣戦布告。世にいう「革命戦争」の始まり(1802年まで続くこの長い戦争で、軍人ナポレオンが着々と力をつけていく)。8月にはルイ16世一家を幽閉(=8月10日事件)。また、国内に侵入した敵を押し戻す活躍をした義勇兵の下層民階級(=サン・キュロット)たちの発言力増大。虐げられてきたサン・キュロットたちは、急進思想を応援。その急進思想のTOPランナーがジャコバン派であり、ロベスピエール。そして新しい議会「国民公会」が設置され「第一共和政」が樹立、王政廃止が正式に決定する。ちなみに現在のフランスは「第五共和国」です。もうひとつちなみに、この少し前から、海外のフランス領植民地では人権宣言の影響でムラ―トや黒人奴隷の反乱が相次ぎ大混乱にあった。それが、宝塚的に言うと『カリスタの海に抱かれて』の事件の背景。あ、あの話は正確には革命前夜の事件か。
 ◆1793年:第一共和政政府による革命裁判において、ルイ16世、ギロチンでとうとう処刑される。ついでに王妃マリー・アントワネットも同じく斬首(なお、この時国王死刑に賛成票を投じた人々は、後の王政復古期に粛清対象になって殺される)。パリ市民は浮かれて万歳だが、イギリスやスペインが本気で激怒、フランス侵攻開始。革命政府はヤバい、みなさん、戦いましょう!と兵員募集をするも、無責任な(?)市民は、えーやだよ、と拒否続出、あまつさえ、まだ残存していた王党派と共和派で大喧嘩が勃発、内乱に至ってテロ続発の大混乱。この対立は、基本的にずっと続き、ナポレオン没後の王政復古期(1814年~30年)の動乱として『レ・ミゼラブル』の第2幕でも描かれた。マリウスは共和派の学生さんですな。こういった、国内情勢の不安定さから、ジャコバン派=ロベスピエールは6月に権力を掌握、8月に徴兵制を敷き、独裁政治=恐怖政治=テロリズム、を開始する。Wikiに書いてあって驚いたけど、ロベスピエールさんは、人類史上初のテロリスト(恐怖政治家)だそうです。へえ~。
 
 で、この後の展開はもう駆け足でいいかな。
 この翌年の1794年7月、ロベスピエール氏はあっさり失脚、テルミドール反動と世に知られるクーデターで逮捕、翌日にはギロチンの刃の露と消えたわけですな。しかし、王様を殺し、さらにはそのあとの恐怖政治も倒し、パリ市民はやれやれやっと落ち着いたぜ、となるはずが、当然そんなことにはならない。いわゆる中間層の市民(=ブルジョアジー)に国家を運営するノウハウはないわけで、1795年には国民公会は解散、テルミドール派(=ロベスピエールをぶっ殺した連中)が総裁政府を開き、新しい憲法を制定するが王党派・革命派の争いは収まらないし、外国との戦争も終わらず、ずるずると不安定な国内状況が続く。この国内の動乱を抑えるためにパリに大砲を持ち込んだのが若きナポレオンですな。これはまさしく、柚希礼音さん(通称:ちえちゃん)主演の「ナポレオン」で描かれたアレですな。この功績で一気にナポレオン人気が高まり、1799年のクーデターでまんまとナポレオンが政権奪取に成功、統領政府を樹立し、かくして1804年、皇帝に就任し、第1帝政時代となるわけです。
 その後、皇帝ナポレオンは1814年に失脚し、フランスは、ウィーン会議による周辺諸国からのゴリ押しで再びブルボン家の生き残り、ルイ18世を王に戴き、王政へ逆戻り。これがいわゆる「王政復古」ですな。ちなみにルイ18世は、ギロチンでぶっ殺されたルイ16世の弟です。こいつが情けない奴で、『THE SCARLET PIMPERNEL』にも出てくるキーキャラのルイ・シャルル(=ルイ16世の息子)が幽閉されているときは、自分だけさっさと亡命して何もしなかったし、いやあ、ルイ17世と名乗っていいのはルイ・シャルル王太子殿下だけに決まってるじゃないですか、とか抜かしていて、ルイ・シャルルが死んだと聞くや、オレがルイ18世です、と名乗って、ロシアにバックレる。そしてナポレオンがロシアに攻めてくると聞けばさっさとイギリスに逃げ、そしてナポレオンが失脚したところでまたしゃしゃり出てきて、王様然とし、ナポレオンがエルバ島から復活して100日天下を奪うと、これまたさっさとバックレて逃亡、しかしナポレオンが1815年にワーテルローで完敗すると、再びフランスに戻ってきてちゃっかり王座に就く。なお、こいつはWikiによると、肥満からくる痛風が悪化して1824年に死去。また、これまたWikiによると、宝塚版『ナポレオン』で北翔海莉さん(通称:みっちゃん)が演じて最高にカッコ良かったことでおなじみの、フランス外務大臣タレーランの言葉によると、「ルイ18世はおよそこの世で知る限り、きわめつきの嘘つきである。1814年以来、私が王と初対面の折りに感じた失望は、とても口では言い表せない。……私がルイ18世に見たものは、いつもエゴイズム、鈍感、享楽家、恩知らず、といったところだ」だそうです。
 そしてこのブルボン朝はルイ18世が1824年に死んだあと、弟(=シャルル10世。つまりこいつもルイ16世の弟で、革命時はロンドンに亡命していた→コイツが『1789』の悪役であるアルトワ伯です!)に引き継がれ、こいつがまたも反動的な王政を敷いて、1830年の七月革命でオーストリアに逃亡・亡命し表舞台から退場する。
 変わって王座に就いたオルレアン公ルイ・フィリップは、若き頃は自由主義に傾倒して革命にも参加した男で、自らが王座に座ると絶対王政を排して立憲君主制を敷くことにする。これが7月王政というやつですな。で、フランスでもやっと産業革命がはじまり、一方で帝国主義的な植民地経営もせっせと行って資本主義的発展を見せる。しかし、そうなると今度は労働者階級(=プロレタリアート)が生まれてしまい、ブルジョアどもともども、普通選挙制度を要求し始め、1832年の6月暴動を招く。この6月暴動が、まさしく『レ・ミゼラブル』で描かれるマリウスたちの戦いですな。まあ、暴動を起こした共和派は鎮圧されてしまうけれど、最終的には1848年の2月革命でオルレアン朝も打倒され、第2共和国が樹立、ルイ・ナポレオン(後のナポレオン3世)が大統領に選出される。この後は、1852年にナポレオン3世の即位(しかも国民投票で選ばれた!)による第2帝政がはじまるわけですが、この年代に何か覚えはないですか? そう、ドイツにお住いの美女、エリザベートさんがオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世のもとにに嫁に行ったのが1853年ですな。はーーーやっとここまで来た。
 そして、フランスは1870年の普仏戦争でプロイセンにぼろ負け、パリ陥落&ナポレオン3世は捕虜に、という屈辱を食らい、以降、フランスという国には王様も皇帝も立つことがなくなると。それで第3共和国になるわけですが、これは第2次世界大戦後まで続き、ナチスの敗北でフランスが主権回復、1946年の新憲法公布で第4共和国が成立、そして1958年ドゴールのクーデターで新政府樹立、第5共和国となって現在まで続く、とまあそういうわけですな。

 はーーー疲れた。まとめるとこういうことかな?
 ◆1789年:ルイ16世(ブルボン朝)による絶対王政
 ◆1792年:ロベスピエール率いるジャコバン派による第1共和政樹立
 ◆1793年:ジャコバンの恐怖政治。ルイ16世&マリー・アントワネット斬首
 ◆1794年:テルミドール反動でロベスピエール失脚。総裁政府樹立。
 ◆1799年:ナポレオンのクーデターで統領政府樹立。
 ◆1804年:ナポレオン皇帝に就任、第1帝政の始まり
 ◆1814年:ナポレオン失脚、ルイ18世即位で王政復古
 (◆1815年ナポレオン百日天下で一瞬復帰)
 ◆1824年:ルイ18世死去、弟のシャルル10世即位
 ◆1830年:七月革命ルイ・フィリップが王座に(オルレアン朝・立憲君主制)
 ◆1832年:6月暴動。労働者階級の発生
 ◆1848年:2月革命でオルレアン朝打倒、第2共和政樹立、ルイ・ナポレオン大統領誕生
 ◆1852年:ルイ・ナポレオン、ナポレオン3世として皇帝に。第2帝政始まる
 ◆1870年:普仏戦争でぼろ負け、ナポレオン3世失脚、第3共和政スタート
 ◆1946年:第2次世界大戦終戦後、ドイツ支配からの解放、第4共和政スタート
 ◆1958年:ドゴールのクーデター発生、第5共和政始まる。そして現代まで継続中。
 なんというか……落ち着かない国ですなあ……しかしこれは、何もフランスだけの固有の問題ではない。どの国も多かれ少なかれ、支配者の変遷は経験してきたのが人類の歴史だろう。わたしがここまで延々とフランスの歴史をまとめて、自分で確認してみたかったことは、果たして一体、悪党は誰なんだということである。
 抑圧され、生命を蹂躙されれば、それに抗い、相手を打倒するのが人間の性だ。それは全く当然の成り行きだろう。しかし、問題はその後だ。自分を踏みつけてきた権力を打倒したはいい。けれど、その後どうなるか。どうやらフランスの歴史をたどると、結局自らも打倒され、代わって次の支配者が登場し、それもまた打倒され、と繰り返すことになる。実にむなしいというか悲しい連鎖だ。
 これは、一面では、失敗を学ばないということでもあろう。支配者としての器の問題である。しかし、何でもかんでもTOPにいる者個人に責任を転嫁していいのかという気も、一方ではする。ひどい言い方をすれば、名もなき一般市民の要求は尽きることがなく、ある意味何もしていないくせに文句ばかり言う、それが民衆の姿だと言っても言い過ぎではなかろう。
 そういう観点からすると、わたしは、どうしてもショーヴランという男が、悪党には思えないのだ。本作『THE SCARLET PIMPERNEL』を観ると、マルグリットという女子は、革命の時には付き合ってた元カレであるショーヴランを、ごくあっさり振るわけで、わたしとしては「そりゃあねえよ!」と思ってしまう。これは、わたしがモテないブサメンだから、ではなく、たぶん男なら誰でもそう思うのではなかろうか。また、主人公のイギリス貴族パーシーにしても、やっぱりどうもお気楽すぎて、ひとかけらの勇気をもってフランス貴族を救う、という姿はカッコイイかもしれないが、地元フランス市民からすれば、自分たちを散々搾取していた連中なわけで、外人は引っ込んでろ!と思われたっておかしくない。そして、わたしが大変気の毒に思うショーヴランという男こそ、実に真面目でまっとうに、自分の信じた正義を貫くわけで、その手法が暴力に訴えるものだとしても、その暴力は合法的に許されていたんだから、残念ながら誰も文句は言えないのではなかろうか。彼が追う「スカーレット・ピンパーネル団」こそ、フランス革命政府からすれば犯罪集団なわけで、わたしはショーヴランの行動は、まったく非難されるべきものではないと感じた。だから、もうちょっとパリ市民の心の変化が表現されていればなあ、と言う気がする。パリ市民は、冒頭から基本的には革命を支持してるんだから、彼らの視点からすれば、ショーブランこそ正義、と思っていたかもしれないし。ジャコバン派のやりすぎな行動に市民がだんだん引いていく様は、もっと描く必要があったような気がしてならない。
 ――と、以上が『THE SCARLET PIMPERNEL』という物語に対する、わたしの感想だ。
 まあですね、ここまで延々と書いてきてそれが結論かよ、と思われるかもしれないですが、要するにですねわたしが言いたいのは次のことです。
 ◆ショーヴランは悪くない!君は職務を全うしただけだし、君の信じる道を誠実に生きただけだよ。断じて君は悪党じゃないぞ! そして演じたこっちんは最強に歌ウマであり、本当に素晴らしかった。ムラで観た時と、若干歌い方が変わってたように思います。特に『鷹のように』のサビ部分。ムラの時は、やっぱり基本はちえちゃん風だったすね。今回東京で観たこっちんは、さらに進化してたと思います。
  ◆マルグリット……あなたちょっとヒドイよ!ちくしょう、せいぜい幸せとやらをかみしめるがいい!お幸せに!あばよ! としか、男なら言えないよもう。しかし、演じたあーちゃん(綺咲愛里ちゃん)は相当頑張ったと思います。以前書いた通り、わたしはあーちゃんの、ちょっとギャップのある大人な声が大好きです。ビジュアルも大変可愛いと存じます。
 ◆パーシーは……まあ、紅子(紅ゆずるさん)パーシーはこれでいいんでしょうな。ちょっと軽いのは紅子ならではということで、許します。ほんと。羽を背負った紅子に胸が熱くなりますわ。これからも応援します!

 というわけで、結論。
 いや、もう結論書いちゃったし。とにかくですね、ショーヴランはかなり可哀想で、そしてそんなショーヴランを演じたこっちんは最強に歌も芝居もカッコ良かった。終演後のパレードで、一番最初に歌うこっちんの「ひとかけらの勇気」は最高です。そしてダンスのキレもますます磨きがかかってますな。いやー、TOPに昇る日が何年後かわからないけど、その日が楽しみですな! 以上。

↓ 散々書いたフランス革命についてのわたしの記述は、結構適当です。ちゃんと勉強しようかな……。
フランス革命史〈上〉 (中公文庫)
ジュール ミシュレ
中央公論新社
2006-12





 というわけで、約1年ぶりのムラ遠征である。いまさらもう「ムラ遠征」ってなんぞ? なんて聞かないでいただきたい。東京に住む我々ヅカファンが、兵庫県宝塚市に存在する宝塚歌劇団の本拠地、宝塚大劇場へ公演を観に行くこと、それが「ムラ遠征」である。由来は知らないが、宝塚大劇場周辺をヅカファンは「ムラ」と呼んでいるわけだが、わたしが今回、一人でぶらっとムラ遠征したのは、わたしの愛する星組の2番手(とうとう2番手まで出世!!)スター、礼真琴さん(以下、こっちん、と略)の雄姿と歌声をこの目と耳に焼き付けるためである。5月まで待てば、東京公演が始まるのだが、それまで待てるわけねえだろうが! と半ばキレ気味に、朝6時の新幹線のぞみ号をぶっ飛ばして駆けつけたのである。ホントは昨日の初日に行きたかったけど、無理でした……。なお、もちろんいつも一緒に観劇に行くヅカ友のお姉さんたちも誘ったのだが、誰一人乗ってくれる人がいなかったので、ぼっち観劇&日帰りとなったのだが、ソロでの日帰りムラ巡礼をクリアしたわたしは、そろそろヅカ道の黒帯を取得したと言っていいのかもしれない。ま、まだまだ初段レベルですが、もはや素人じゃねえ、ぐらいすかね。朝6時ののぞみをぶっ飛ばして9時半ぐらい現遅着、そして現地15時ぐらい発で19時半には家に帰り着いた。ふーやれやれ。
 そして、今回の演目は、わたしにとっては大変思い入れのある作品『THE SCARLET PIMPERNEL~スカーレット・ピンパーネル』である。以前もこのBlogで書いた通り、わたしが宝塚歌劇を見るようになってから2本目に観た作品であり(その時は月組の公演)、また、その予習としてDVDで観た星組による初演は、わたしが宝塚歌劇にはまるきっかけとなった柚希礼音 さん(通称:ちえちゃん)が超絶にカッコイイ悪役を演じたことでもわたしにとっては忘れられない作品である。そして、そのちえちゃんが演じた悪役を、わが愛しのこっちんが演じることになり、わたしとしてはもう、まさしく居ても立っても居られないのである。ええと、今までのところで、なんか文句ありますか? ないすね? はい。じゃあ先に進めます。
 ところで。まったく今回の観劇には関係ないのだが、現在、というか主に先週、宝塚歌劇には大きなニュースが重なっていたのである。ズバリ言うと、各組のTOPスターが卒業したり新たにお披露目したりと顔ぶれが大きく変わった(変わる)のだ。
 まず、先週の月組公演を観に行った時も書いた通り、月組に続いて、愛する星組も、去年TOPスター北翔海莉さん(通称:みっちゃん)が惜しまれつつも卒業してしまい、新たなTOPスターとして、わたしも大好きな紅ゆずるさん(通称:紅子)が就任し、まさしく昨日初日を迎えた『スカーレット・ピンパーネル』で大劇場お披露目を果たした。大変めでたく、わたしも2日目の今日、観ることができて、もうとにかく超・感無量である。そしてその紅子と仲良しであったわれらがちえちゃんも、Instagramでその喜びを表明しており、星組イチオシのわたしとしては大変うれしい限りだ。

 そしてその紅子と同期の宙組TOPスター朝夏まなとさん(通称:まぁ様)が、先週わたしとしてはかなり電撃的に、次の公演での卒業を発表されたのだ。折しも先週宝塚大劇場にて、相手役の娘TOPである超美人の実咲凛音さん(通称:みりおん)の卒業を見送ったばかりのまぁ様。まさかこのタイミングで!? というのは激しくびっくりだったし、ならばみりおんもあと1公演残って、同時退団もあり得たのでは……と思った方も多いだろう。わたしもそう思ったが、まぁ様の卒業会見を見て、これで良かったんだな、と考えを改めた。同時だと、サヨナラショーはどうしても自分が主役になってしまうわけで、みりおん単独のサヨナラショーで見送ってあげたい、というまぁ様の気持ちは、尊重して余りあると思う。男前じゃあないですか! いつもは若干俺様キャラのまぁ様。はあ……淋しくなるなあ……。いずれにせよ、まぁ様の卒業はかなり多くの宝塚ファンが驚いた、大きなニュースであったに違いない。
 さらに、先週は雪組でも動きがあった。既に次の公演で卒業を発表している現在のTOPコンビだが、正式に次期TOPコンビとして、望海風斗さん(通称:だいもん)と、今年星組から異動したばかりの真彩希帆ちゃん(通称:まあやちゃん)の二人が発表されたのだ。まあ、だいもんに関しては誰がどう考えてもだいもん以外にTOPに立てる人材はいないと思ってたので驚きはないけれど、まあやちゃんに関しては、TOP娘役になれるよね、大丈夫だよね?と思っていた方が多いのではなかろうか。わたしは星組イチオシとしてまあやちゃんが雪組に異動してしまったことが残念だったけれど、でも、そうか、だいもんの相手になるのか……な? そうだよね? そうだと言ってくれ! とずっと心配だったので、正式発表されて大変うれしく思う。はーーよかったよかった。だいもんは現在の現役ジェンヌの中ではナンバーワンと言ってもいいほどの歌ウマだし、まあやちゃんも可愛くて歌ウマだし、大変お似合いのTOPコンビとなるであろうことは、おそらくヅカファンならば誰しも納得だろうと思う。
 しかし、これで来年からはすっかり様変わりするってことですなあ。。。まあ、経営面から見た場合、まさしくこのような「誰かひとりの人気」に頼ることがなく、きっちりと後進を育てて、常にファンを魅了するのが宝塚歌劇団という組織のすごいところであり、会社としての強さの秘訣、であることは間違いない。普通の会社でも、特定の「デキル」人に仕事が集中して、その人がいなくなったらガタガタになる、なんてのは大変良く見かける光景だが、それじゃあ経営としてはまったくダメなんですよ。
 以上、長~~い前振り終了。
 というわけで、新生・星組の『スカーレット・ピンパーネル』である。

 さて、何から書くかな……まず、観る前にわたしが思っていたことを書いておこう。わたしは、紅子のTOP就任はとてもうれしいし、紅子が大好きではあるのだが……ズバリ言って歌は今一つ、だと思っている。これは誰でもそう思っていると思うけれど、紅子の魅力はその軽妙なキャラと抜群のルックスでありコメディをやらせたら最強キャラではあるのだが、肝心の歌が……ちょっとアレなんすよね……なので、その点がやや心配、というのが一つ目。
 そしてもう一つは、逆に超絶に歌が上手い、愛しのこっちんは、大丈夫だろうか、という心配である。何が心配かというと、こっちんは、現在の各組の2番手スターとしては一番若く、そのプレッシャーがものすごいだろうな、という点と、もう一つは、演じる役が、こっちんが最も尊敬し憧れた先輩であるちえちゃん(礼真琴の「礼」は、柚希礼音さんから一文字もらった、というほど憧れていたそうです)がかつて2番手時代に演じて、もはや伝説と化している役だという点も、おそらくはこっちんのプレッシャーになっているだろう、という点である。
 でもわたしは、紅子にはいつも通りのびのびと楽しく美しく演じてくれればいいと思っていたし、こっちんも、この機会に殻を破って、ショーヴランという役をステップに暴れまくって、こっちんの持ち味である迫力ある歌で新たな伝説を作ってくれ! と思っていた。要するに、ひどく偉そうに心配しつつも、超期待していたのである。
 そして結論から言うと――まさしくわたしの期待は応えられた!と言っていい素晴らしい出来であったのである!!! もうほんと、胸が熱くなるわ……マジで、今日はうれしくて泣けそうになったよ。実のところ、『スカーレット・ピンパーネル』という作品は、冷静に考えると物語としては結構突っ込みどころが多くて、ラストの正体が表される場面は、えええっ!? と若干あんぐりとしてしまうようなお話である。しかし、この作品のわたしにとってのメインは数々の素晴らしい歌と、豪華な衣装に彩られたビジュアル表現にある。とにかく、歌がいい!のが『スカーレット・ピンパーネル』だ。以下、だらだら書いても仕方ないので箇条書きでまとめよう。
 ◆紅ゆずるパーシーは最高だった!
 いやーーー紅子さん! 歌がすごく良かったですよ! もうほんと、失礼な心配をして申し訳ありませんでした! あなたの歌う「ひとかけらの勇気」は素晴らしかったです。わたしは紅子が新人公演で演じた時のパーシーを観てないのだが、今回の紅子パーシーは、普段は軽薄なチャラい貴族、だけど実は熱いハートを持つ正義感、という元々のキャラ通り、実に良かったです。注文を付けるとしたらやっぱりマルグリットとの感情の表現かなあ……実はわたし、いまいちよく分かんないんすよね……パーシーはマルグリットを愛しているのかどうかが。もちろん愛しているんだろうけど、今までの初演でも再演でも、そして今回も、どうもパーシーは明らかに、「マルグリットへの愛」<「正義感」のように見えるのだが、それが正しいのかよく分からないけれど、もうチョイ、パーシーの苦しみ的なものがあってもいいのではかなろうか? なんか、かなりクールなんすよね……。そのあたりが物語全体のあっさり感につながってるような気がしてならないです。まあ、その辺は小池修一郎先生に聞かないと分からないなあ……。
 ◆こっちん! すっげえカッコ良かったぞ!!
 そして悪役たるショーヴランを演じたこっちん、本当に素晴らしい歌でした。ショーヴランはソロ曲も多いし、感情がたぎってましたなあ……ホント素晴らしかったよ。今日は2階のB席だったので表情は双眼鏡でもあまり見えなかったけれど、東京ではいい席でガン見したいすね。きっと東京に来る頃にはさらに完成度は上がってるはずなので、今からとても楽しみだ。しっかし、本当にこっちんの歌声はカッコええですなあ! エンディングの一番最初に下手のセリから登場して歌う「ひとかけらの勇気」も実に良かったです。注文を付けるとしたら、もっともっともっと! 激しく体全体で怒りの感情を爆発させてほしいすね。もう、怒鳴るぐらいで。そもそも、ショーヴランは自分の信念に従って生きている男なので、別に悪党じゃないわけで、言ってみれば非常に不条理な立場なので、そういった不条理に対して怒り狂ってほしいっす。東京で待ってるよ!
 ◆あーちゃん! あなた完全にTOP娘の貫禄出てるじゃないの!
 今回、わたしが一番感じたのは綺咲愛里さん(通称:あーちゃん)の成長かもしれない。歌もいいし、ビジュアルも抜群だし、おまけにすごく貫禄があったぞ! いやホント素晴らしかった。あーちゃんの声って、その可愛らしいアイドル系はルックスからは想像できないような、落ち着いた大人な声なんだよな。ホントに素晴らしくて、あーちゃんと紅子のエンディングでのダンスも大変美しかったと思う。いやあ、以前、幼児体型なんてこと言ってすみませんでした。あーちゃんは今回のような豪華ドレスがすっげえ似合うと思います。男目線ではよく分からないのだが、ひょっとしてメイクが巧いのかな? 抜群の存在感でした。
 ◆かいちゃんロベスピエールとルイ・シャルルせーらちゃんもイイ!
 今回、今までの公演になかったロベスピエールの曲が追加になってて、演じた七海ひろきさん(通称:かいちゃん)の抜群のカッコよさが増量されてました。わたし的には、かいちゃんは宙組時代の『銀英伝』で演じたミッターマイヤー元帥(※ヅカ版銀英伝は序盤の頃の話なのでまだ元帥ではありません)がとても印象に残ってて、星組に来てくれた時はやったー!とうれしかった方ですが、これからも星組の貴重な戦力として紅子とこっちんを支えていただきたいと思う。実に正統派なイケメンなので、今後も頼りにしてますよ!
 そしてもう一人、最後に取り上げるのは101期生とまだ全然若い星蘭ひとみちゃん(通称:せーらちゃん)だ。わたしもせーらちゃんに関しては、母校の後輩ということもあって、我が星組の将来のヒロイン候補としてずっと注目していたのだが、今回はルイ・シャルルに抜擢され、役が付いたのは初めてかな? いつもわたしショーの時にせーらちゃんを探すのがお約束だったのだが、今回は台詞も歌もあって、うれしかったす。そして、やっぱり可愛いですなあ! ビジュアル的にも声も、大変可愛らしいと存じます。いつかTOP娘になれる日を待ってるぜ。応援してます!

 はーーー……疲れた……もう書き忘れたことはないかな、大丈夫かな……もちろん、ピンパーネル団のみんなも良かったし、マリー(アルマンの恋人)を演じた有沙瞳ちゃん(通称:くらっち)も良かった。くらっちは雪組から異動になったばかりで星組初出演だったけれど、とても光ってたよ。
 というわけで、毎度お馴染みの、「今回のイケ台詞」を発表して終わりたいと思います。
 ※イケ台詞=わたしが「かーっ!! カッコええ!!」と思った台詞のこと。
 「(オレを)愛したことはないというのか?」
 「ないわ!!」
 「ふん……せいぜい幸せとやらをかみしめるがいい!!

 今回は、ちょっとうろ覚えなので正確なセリフじゃないかも……。ショーヴランとマルグリットのやり取りですが、かつて愛していたと思っていたマルグリットに、ズバリ言われてほんと気の毒…… この、あーちゃんマルグリットによる「ないわ!!!」が今回わたしは一番グッときました。ちなみに、初演時のちえちゃんショーブランの時は、
 「演じるんだ! そして欺け! 弟のために!!
 という超カッコいいセリフに、わたしはもう大興奮しました。そんなちえちゃんショーヴランに、こっちんショーヴランは引けを取らないカッコ良さだったぜ!

  というわけで、もういいかげん結論。
 1年ぶりのムラ遠征を、単独かつ日帰りで敢行したわたしは、そろそろヅカ道初段に昇格した気分である。そして、待ちに待った紅子のTOPお披露目公演『スカーレット・ピンパーネル』は、期待通り素晴らしい出来であった。紅子、こっちん、あーちゃん。新たな立場で臨んだ初舞台は、とても今の星組を現した作品と言えるだろうと思う。もうすでに東京は2回観に行くことが決まってるので、約2か月後、東京で再び会えることを楽しみに待ちたい。確実に、さらに完成度は増しているだろうと思う。こっちん、もっともっと爆発させるんだ!応援してるぜ!!! 以上。

↓ 実は原作小説があります。今日、キャトルで買おうか20秒ぐらい悩んで買わなかったのだが、やっぱり読んでおくべきかもな……と今更後悔中。ま、いつでも買えるし……って思っちゃったオレのバカ!
紅はこべ (創元推理文庫 507-1)
バロネス・オルツィ
東京創元社
1970-05
 

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