我々おっさんにとって、やはり『機動戦士ガンダム』というコンテンツは、大変思い入れのある作品だ。小学生のときにわたしの周りで「ガンプラ」を作っていない奴はいなかったし(たぶん)、もちろん、劇場三部作は映画館へ行って観たけれども、もはやそれは30年以上前の話で、普通のおっさんはとっくにガンダムとは縁のない生活をしているだろうと思う。
 しかし、そんな中でも、未だに「ガノタ(=GUNOTA=ガンオタ=ガンダムオタク)」を名乗るおっさんは数多くいる。わたしはそこまでではないけれど、仕事上必要があって「ガンダム」についてはそれなりに詳しいつもりだ。わたしの場合、実はリアルタイムで観ていた作品は少なく、もちろん一番最初の「機動戦士ガンダム」はTVで観ていたものの、実際のところわたしが観たのはブームがやってきてからの再放送であり、その後の「Z」や「ZZ」などは、社会人になってから、仕事上どうしても必要なために会社のガノタの連中からVHSビデオを借りてみたクチだ。ガンダム用語で言うところの、「強化人間」である。
 わたしの記憶が正しければ、「Z」や「ZZ」は、わたしの家がまだビデオデッキ(しかもβです。うちのデッキは)を買ったばかりで、おまけにまだテープが高くて、放送のあった土曜日の夕方(だったっけ?)は、わたしは塾に通っていて観れなかったのだ。
 そして、わたしが会社の連中から借りたのがVHSビデオということで分かるかもしれないが、わたしが「Z」「ZZ」「逆シャア」「0080」「F91」「0083」「V」「G」「W」「08小隊」を立て続けに観たのは、1995年から1997年にかけての話である。おお、マジか。自分で書いてびっくりした。もう20年前の話じゃん。あの頃が一番楽しかったなあ……。その後の「ターンエー」「SEED」「00」は、リアルタイムで観た。そう、ガノタの方ならもうピンと来ているかもしれないけれど、実はわたし、「X」だけ観てないんす。そして仕事内容も変わった2008年ぐらいかな、その辺からは再びTVも見なくなって、「AGE」「レコンギスタ」「鉄血」も観てない。
 一方で、『機動戦士ガンダムユニコーン』は原作も読んだし、劇場へも観に行って、Blu-rayもすべて持っている。何が言いたいかというと、おっさんファンとしては、やっぱり俗に言う「UCモノ(=宇宙世紀モノ)」は、やっぱり面白いし気になってしまうわけであります。
 そして、今、世のおっさんガンダムファンのハートを鷲掴みにしているのが、安彦良和先生による一番初めの「機動戦士ガンダム」を完全漫画化した作品、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』という作品だ。 わたしはこの漫画を連載開始からずっと読み続け、大変興奮し、もうとっくに連載も終わって完結している作品だが、去年からアニメ化されて2週間の劇場公開の後、Blu-rayが発売になるという、「ユニコーン」と同じ展開を取っている。そしてそのアニメ化された映像は、恐ろしくクオリティが高くて非常に素晴らしい出来となっているのだが、アニメでは、30年以上前のかつての「機動戦士ガンダム」では語られなかった、「1年戦争開戦前」の過去の回想部分に焦点を当てて描かれているのである。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のコミック単行本でいうと、9巻~14巻かな。
 今日から公開されたのは、既にシリーズの第3弾となった『暁の蜂起』というもので、キャスバルがとうとう「シャア」と名乗り、ジオン士官学校に入学してザビ家の4男・ガルマと出会うエピソードである。単行本では10巻のラストから11巻の最後のちょっと前まで、であった。はっきり言って、超・傑作で、凄まじく面白かったのである。

 んん? なんだかよくわからんけど、公式予告は海外向けしかないな……まあいいや。世のガンダム好きならば、上記予告を観て興奮しない人はいないと言っても過言ではないと思う。
 もう、『THE ORIGIN』の連載は完結しているし、コミックスが出たのもずいぶん前なので、いまさらネタバレもないからズバリ書くけれど、キャスバルがシャアと名乗る、身代わり事件は、今回はもう最初の10分で描かれてしまう。なので、今回のメインは、後に「1年戦争」と呼ばれるジオンの独立から連邦との開戦に至る、一番最初のきっかけとなったジオン士官学校の学生による蜂起事件の方である。また、モビルスーツ開発秘話も今回も大きく前進して、とうとう「悪魔の博士」Dr.ミノフスキーも登場するわけで、ガンダムファンならもう、大興奮である。もちろん、わたしはコミックを読んでいるので話は知っているが、それでもとにかく興奮したね。非常にクオリティが高い。すべて30年以上前に描かれたお話をベースとしているのに、完璧につじつまが合って破綻がない。凄いよとにかく。前作『II 哀しみのアルティシア』をここで紹介したときも書いたけれど、この『THE ORIGIN』は30代後半~40代のおっさん世代にぜひ観てもらいたい。かつてガンダムに興奮した人間ならば、絶対に面白いと思うはずだ。
 さて。おそらく、検索でこのBLOGにたどり着いた人が知りたいことを軽く書いておこう。
 ■今回どこまで描かれたか
 前述のように、単行本11巻のラストまでは行かなかった。そのちょっと前の、「暁の蜂起事件」が終息してドズルが戦車でやってきてガルマを抱きしめるところまで、である。ラスト、赤い朝焼けを眺めながらシャアは、「赤いな……実にいい色だ」とつぶやいて今回は終了である。非常にカッコイイ。なので、シャアが士官学校を退学になって、地球に下りるところまでは今回描かれない。
 ■おまけ映像:エンドクレジット後に、3種の映像が入っていた。
 1)テム・レイ&アムロ親子、サイド7に赴任するの巻
 エンドクレジットが終わると、建築中のサイド7にテム・レイが赴任するところが少しだけ描かれている。もちろん、アムロ少年も一緒だ。これは12巻のラスト近くで描かれているシーンだと思う。アムロが「ここが・・・サイド7・・・」とつぶやくあのシーンである。
 2)次の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV 』の予告
 見た限り、次は11巻のラストから12巻にかけてのようだ。そうです。とうとうシャアとララアが地球で出会う話と、月面での人類史上初のモビルスーツ戦ですよ。サブタイトルは『運命の前夜』だそうで、今年の秋公開予定だそうです。予告では「赤い旧ザク」がカッコイイ!!
 3)5作目以降の「ルウム戦役編」の製作決定の巻
 まあ、ファンには嬉しいお知らせですな。このアニメ版の『THE ORIGIN』はどこまで描かれるのか分からなかったけど、これで、ちょっとすっきりしました(ただし、これはBlu-rayに収録されてない!! なんだよもう!!)。
 ■原作との違い(2箇所)
 これまでの『I 青い瞳のキャスバル』『II 哀しみのアルテイシア』が、原作コミックをそのまま、まさに台詞もコマも完全に原作通りだったのに比べて、今回の『III 暁の蜂起』は、初めて(?)原作から変わっているところがあった。しかもかなり重要な改変である。わたしは今日、安彦先生や池田秀一さんたちの舞台挨拶を見たのだが、そこで安彦先生もその点に触れていて、安彦先生としてはこの改変によってもっと分かりやすくなったと思うと仰っていた。わたしも、今回の改変はアリ、だと思った。ポイントとしては2箇所の改変があって、1つ目が、士官学校の生徒に、本物のシャアを知っている奴がいて、そいつが、キャスバルとの入れ替わりを見抜くという流れ。2つ目は、蜂起のきっかけとなったコロニーでの事故の原因が、原作では隕石の衝突だったところ、今回のアニメ版では連邦の戦艦の管制無視による事故、となっていた。その方が一層、連邦憎しの気運が高まるので、より自然になったと思う。

 というわけで、結論。
 本当にこの作品のクオリティは凄いというか、もう凄まじいレベルだと思う。とにかく面白かった。つーかですね、わたしは今、これを書きながら、買ってきたBlu-rayを観てるのですが、これは本当に、傑作ですよ。最高です。次の『IV』でとうとう登場するララアの声は誰がやるんだろうな……まさかの母娘競演(※)かな!? いやー、まだララアは子供だし……超・気になります!! 以上。

 ※かつてのララアを演じたのは藩恵子さん。そして今、セイラさんを演じているのは、実の娘の藩めぐみちゃん。今日も舞台挨拶でお見かけしたが、まあ、かわいい娘さんですな。

↓ まあ、正直わたしはこの通常版で十分なのだが……早く欲しいので劇場で【限定版】を買いました。でも10,000円……たっけえ。。。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN III [Blu-ray]
池田秀一
バンダイビジュアル
2016-06-10