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 昨日は外での打ち合わせが3時間コースを覚悟していたのに、ごくあっさり1時間チョイで終わってしまったため、ちょっと早い時間だけど、暑いし、さっさと帰ろ……と炎天下の中、なるべく日陰を選びながら、なんとなくもう生きる気力も失いかけながらトボトボ歩いていたところ、電撃的に、そういや今日は8月1日、映画がお安く観られるファーストデーじゃねえか、と気が付き、ならば映画を観て帰るか、という気になった。そして一番最初に目に入ったカフェにまずは避難して、そういやあの映画って、先週から公開してんじゃなかったっけ、時間は……とチェックしてみた。
 しかし、驚いたことに、全く上映館がない。アレッ!? おっかしいな? とその映画の公式サイトで上映館を調べたところ、わたしが通うTOHOシネマズでは一切上映しておらず、都内でも6スクリーンしか上映していないことが判明した。マジかよ……と思いつつ、一番近い有楽町の上映時間を調べてみると、1時間後に始まる回があるようなので、すぐさま、有楽町BICカメラの上にある、「角川シネマ有楽町」へ向かうこととした。
 と、いうわけで、わたしが昨日の会社帰りに観た映画は『WIND RIVER』という作品である。US版予告を観たのはかなり前で、WikiによればUS公開は去年の今頃だったらしいから、たぶんもう1年以上前だろう。なかなか日本公開されないので、こりゃあお蔵入りになっちまったかと思ったら、ひょこっと公開されたので、さっそく観てみたわけだが、一言でいうと、物語的には、事件の全貌は結構なーんだ、ではあるのだが、なんというか、主人公の苦悩がやけに胸に染みて、予想外にグッとくるものがあったのである。要するに、わたしとしてはなかなか面白かったと言って差し支えないと思う。うまく言えないのだが……物語というよりも、主人公の心もち、にわたしは大変感じるものがあったのだ。
 というわけで、以下、物語の概要などをメモって行こうと思う。なお、決定的なネタバレも触れる可能性大なので、観ていない人はここで退場してください。これは何も知らないで観る方がいいと思う。
 
 上記は日本版予告だが、相当時系列を無視した編集がなされていることだけはつっこんでおこう。まあ、大体の物語は、上記予告から想像される通りと言ってもよさそうだ。そしてこの予告から、何故わたしがこの映画を観たいと思ったか、もうお分かりですね? そうです。わたしの大好きなMARVEL CINEMATIC UNIVERSの”ホークアイ”でお馴染みのJeremy Renner氏と、ワンダこと”スカーレット・ウィッチ”でお馴染みのElizabeth Olsen嬢が出演するから、である。この二人の共演に、ほほう、コイツは観たいかも……とまずは思ったのであった。
 物語は、冒頭、雪の山を「裸足」で、何かから逃げるように猛ダッシュする女子の様子から始まる。そしてこの女子は翌日には死体となって発見されるのだが、一体彼女に何が起こったのか、という事件捜査ミステリーである。
 しかし、ミステリーと言っても、トリックや叙述ミステリーのような仕掛けはなく、まったくオーソドックスに捜査の模様を追っていくだけなので、そこには別に、な、なんだってーー!? と驚くようなものはない。ある意味淡々と、ジワジワと事実が分かっていく展開なので、ストレスなく物語に身をゆだねることはできる。そこを物足りないと思うかどうかは微妙だが、わたしとしてはいろいろと、この映画を観て初めて知った事実があって、大変興味深かった。ちょっと、わたしが知らなかったことをまとめてみよう。
 その1)極寒の氷点下の元で全力疾走すると死ぬ。
 この死ぬ、は、文字通りの「死」である。本作では氷点下20℃(30℃?)という設定だったが、そのような状況で全力疾走を続けると、肺に取り込まれた冷気が露結し、肺に水が溜まって肺胞が破裂、出血を起こし、「窒息死」するんだそうだ(パンフには肺が凍結すると書かれている)。おっかねえ……壮絶な死因だよな……とわたしは非常に恐怖を感じたすね。そして本作では、その死因が大問題で、死体で発見された女性の死因が、氷点下の中で全力疾走を続けたことによる窒息死であるため、それすなわち「他殺=殺人」ではない、ということになってしまう。そうなるとどうなるか。これが次の知らなかったことその2)だ。
 その2)インディアン保留地での警察権
 雪山での死体発見、ということで、当然捜査が行われるわけだが、他殺(=殺人)ならばFBIが捜査にあたり、殺人でないならインディアン保留地を管轄する専門警察が捜査にあたる、というルールらしい。なので、せっかくやってきたFBI捜査官も、これ以上捜査ができないことになってしまうのだが、女性はレイプされ、ひどい暴行を受けており、許せることじゃあない、けど、地元の保留地警察はまったく人員が足りてないし、そもそも土地は広大かつ峻厳で……と困難に突き当たることとなる。
 その3)ワイオミング州とインディアン保留地
 舞台はワイオミングの険しい山に抱かれた「ウィンド・リバー保留地」である。ちなみにどうやらこの作品は全編ユタ州で撮影されたようだが、それはともかくとして、ワイオミング州はWikiによると全米50州の中でもっとも人口の少ない州だそうで、行ったことがないからわからないけど、未知との遭遇でお馴染みの「デビルズタワー」国定公園やイエローストーン国立公園などのある、大自然の地、のようだ。そしてワイオミング州は「カウボーイ州」としてもお馴染みだそうで、どうやら大自然に加えて白人とインディアン部族のキナ臭い歴史も何となく想像は出来るように思える。そして、冒頭にInspired by True Eventと出るし、エンディングでも字幕で説明されるのだが、インディアン居留区では非常に多くの女性失踪事件が現実に起こっているそうで、それらの多くが未解決なままなのだそうだ。その、失踪の原因はいろいろあるんだろうけど、未解決のまま、な理由は、この映画を観るとよくわかると思う。そこにあるのは、やっぱりどう考えても差別であり、格差であり、インディアンのことはインディアン(保留地警察)に任せとけば? という「無関心」だろう。前述のように他殺でない限りFBIは介入せず、失踪だけでは地元警察が動くしかなく、そして全く手が足りてない、そして広大&峻厳すぎる、という極めて厳しい状況のようだ。なんつうか……わたしはこの映画を観ながら、あまりな扱いを受ける人々に悲しくなっちゃったす……。アメリカ合衆国という国は……ホントに世界の一流国なんすかねえ……。。。
 その4)全く物語に関係ないけど……
 わたしは冒頭の製作会社とかのロゴを観ながら、あ、そういうことか、とひとつひらめいたことがあった。本作は、WEINSTEINの作品で、しかも去年の夏US公開ということは……まさしく去年の秋ごろに発覚した大問題、後にMe Too運動のきっかけ(?)となったワインスタイン・セクハラ問題のせいで、お蔵入りになりかけたのかもな? とどうでもいいことに気づいた。帰ってから調べたところ、本作はUS本国ではまったく売れなかったようで、その点は映画の出来に反して大変残念だったと思う。ちなみに、映画としての評価はRotten Tomatoesによるとかなり高いみたいですな。この高評価は、わたしも同意っす。
 さてと。それでは、登場キャラクターを演じた役者とともにまとめておこうかな。
 ◆コリー:主人公。白人。FWS(合衆国魚類野生生物局)に属し、ウインドリバー保留地での(狼とかピューマ?といった)害獣駆除を受け持つハンターで遺体の第一発見者。凄腕のスナイパー。演じたのはホークアイことJeremy Renner氏。コリーはちょっと複雑なキャラで、白人だけどインディアン女性と結婚し、娘と息子をもうけるが、娘が16歳?だかの時に、失踪、翌日死体で発見されるという悲劇を味わっている。その事件はまったく未解決のまま、なんとか哀しみと折り合いをつけて毎日を過ごしているが、妻とは離婚・別居中(まだ協議中だったかも)。そして今回の事件の被害者の18歳の女子は、娘の友達であり、その両親とも親しく、まったく他人事ではないため、事件捜査に手を貸すことに。Renner氏は、これまでの役柄的にちょっと生意気というか不敵なキャラが多かったので、わたしはあまり好きではないのだが、実のところ芝居的にはかなり上質で、今回も非常に静かで、ハートは熱く滾る男を見事に演じていたと思う。なによりも、娘を亡くした父親同士のふれあいのシーンは、猛烈にグッと来たすね。言葉は少ないけど、その朴訥な慰めはとても感動的だったと思う。お見事でした。
 ◆ジェーン・バナー捜査官:派遣されてきたFBI捜査官。白人。たった一人しか寄越さないFBIもアレだし、ジェーンもまるで薄着でナメた格好でやってくるため、コリーたちはイラッとするが、実際とても正義漢で一生懸命に捜査する女子。演じたのはElizabeth Olsen嬢。足手まといにならないよう頑張るOlsen嬢はなかなか可愛かったですな。
 ◆ベン:地元の保留地警察の署長。インディアン。いい人。演じたのはGraham Greene氏ですよ! わたしはこの方の顔を見て、おっと、この人ってひょっとして……と終わってから調べたところ、まさしく名作『Dances with Wolves』の「蹴る鳥」のあの人ですよ! え、知らない!? うそ! ちゃんと観て! 名作だから! 「蹴る鳥」をこの役にキャスティングしたのはかなりファインプレーだとわたしとしては称賛したいす。
 ◆マーティン:遺体で発見された女子の父親。インディアン。超いかついけど、超優しいお父さん。コリーに慰められ号泣するシーンはマジ泣ける。そしてエンディングでは、娘をなくした絶望で、銃を手に、顔にペインティングして登場するのだが、あの二人のシーンもホントグッと来たっすねえ……。
 「何だその顔」
 「死に化粧さ……」
 「そういうもんなんだ」
 「知らねえ。テキトーにやってみた。教えてくれる人がもういないからな」
 「(亡くなった女子の)弟にやさしくしてやってくれよ(※弟はヤク中で警察にいる)」
 「ああ……このバカげた化粧を落として……迎えに行かなきゃな……」
 台詞は正確じゃないけどこんなやり取りのラストシーンは、大変胸が熱くなったす。演じたGil Birmingham氏は他の映画でも何度か見かけたお顔すね。大変いい芝居でした。
 ◆ナタリー:遺体で発見された女子。インディアン。氷点下の中、裸足で10kmの山を走り切って息絶える。その亡骸は戦う意志の表れで、逃げたんじゃあないと分かるくだりはとても感動的であったと思う。演じたKelsey Asbilleさんはとてもかわいかったすな。生きているシーンはごくわずかだけど、非常に印象に残ったすね。
 ◆マット:ナタリーの彼氏で、山深くの掘削場(?)の警備員。白人。まあ、事件のネタバレをすると、要するにナタリーとイチャついていたところを泥酔した掘削場の作業員たちに見つかり、大喧嘩となって……という痛ましくも単純な話なのだが、わたしとしてはどうしてもこの「掘削場」なるものの意味がよくわからなかった。まず第一に、何を「掘削(?)」してる現場だったのかわからんし、ラスト近くで、作業員?のクソ野郎どもが主張する権利(ここはなんちゃら局の管理地だからお前らに従ういわれはない!とほざいて保留地警察に銃を向ける)も、何のことかさっぱりわからなかった。アレって何だったんだろうか……。で、マットを演じたのはJon Bernthal氏で、この人はTV版のMARVELヒーロー・パニッシャー役でもお馴染みですな。最近売れっ子ですが、彼も生きてるシーンはごくわずかす。
 ◆ピート:掘削場の男の一人で、事件の発端となった泥酔してマット&ナタリーにからんだゲス野郎。何で回りは止めなかったんだよ……。結論から言うとキッチリ死ぬのでざまあとスッキリなのだが、主人公コリーがコイツに下した刑が超ヤバイつうか怖い! まあ、悪党は死ねってことで、わたしとしてはアリです。演じたのはJames Jordan氏。主にTV方面の人みたいすね。知らんので省略。
 とまあ、こんなところか。で、本作の脚本/監督がTaylor Sheridan氏で、『SICARIO』の脚本を書いた人だそうです。お、マジかよ、役者としても結構キャリアがある人なんですな。あ!おまけに今年観た『12 STRONG』にも出演してたんだ! へえ~。48歳か。若いというほど若くないけど、今後も期待したい俊英ってことで、名前を憶えとこうと思います。

 というわけで、もう長いので結論。
 ファーストデーということで、ふと映画を観て帰ろうと思ったわたしが観た作品『WIND RIVER』は、US本国での公開から約1年経っての日本公開となったわけだが、まあ、かなり面白かったというのが結論である。この映画が全然スクリーン数が少ない小規模公開なのはとても残念に思う。夏休みということでお子様映画ばっかりな日本の映画興行だが、なんつうか、もうちょっと大人向けもちゃんと公開してほしいな、と思った。だって映画興行を支えてるのは、もはやシニアのおっさんでしょうに。ちなみにわたしが観た、有楽町の角川シネマは、まあファーストデーだからかもしれないけれど結構お客さんが入っていて、しかも年齢層高めでした。しかしそれにしても……アメリカ合衆国って国はなんつうか……ホントに問題山積なんだなあ……と能天気に思ったす。つうかですね、やっぱり広すぎですよ、あの国は。まったく行き届いてないんだもの。ホント、あの国の田舎には行きたくねえすね。何が起こってもおかしくないな、実際。アメリカ……恐ろしい国……というのが結論かもしれないす。以上。

↓ わたしの2018年ナンバーワン作品は今のところコレですが、何気に、テーマとしては近いものがあるような気がします。どちらも現代アメリカの田舎が抱える問題点、でしょうな……。

 ちょっと前に、予告編をWeb上で観て、おっと、こいつは面白そうだ、と楽しみにしていた映画がある。しかし、どういうわけか公開スクリーン数がやけに少なく、さっき公式サイトで数えたところ、日本全国で50もないようだ。こういう映画は、都内だと確実に混雑するので、そういう時は郊外のシネコンの朝イチの回に限る、というわたしの鉄則が働き、まずは配給のSONY PICTURESに対して軽くチッと舌打ちしてから、今日は朝8時に家を出て、家から15㎞程離れた郊外のシネコンまで車をぶっ飛ばして観てきた。
 その映画のタイトルは『BABY DRIVER』。ビートに乗せたクライムアクションと言っていいだろう。はっきり言ってそこはかとなく漂うシャレオツ感が鼻につくが、物語というよりもキャラクターがとても魅力的で、大変楽しめる映画であった。

 まあ、物語としてはだいたい上記予告のとおりだ。主人公ベイビーは凄腕の「逃がし屋」である。常に音楽を聴く彼は、仕事中もガンガンに音楽をかけまくって車の運転をするのだが、10年前のまだガキの頃、麻薬が積んであった組織のボスの車を、それと知らずに盗んで逃げ回り、車ごと麻薬をお釈迦にしたことがあって、ボスは怒るというより感心し、許してやるも麻薬の代金は返せ、というわけで借金を背負っている。その借金返済のために、ボスが手配する強盗の運転手を務めている(というような過去が、いかにも説明文的なセリフで語られた)というわけだ。そして彼は、上記予告にある通り、幼少期に事故に遭い、両親は死亡、以来耳鳴りがするために常に音楽を聴いている、という設定になっている。彼は現在、里親のおじいちゃん(しゃべれないため手話で会話する)と暮らしており、さっさと逃がし屋稼業もやめたいと思っているのだが、最後の仕事を終え、借金完済、自由の身になったと思いきや、超絶ドライビングテクニックを持つ彼をボスは手放すわけもなく―――てな展開のお話である。
 凄腕の逃がし屋というと、真っ先に思い出すのはRyan Gosling氏主演の「DRIVE」だが、主人公が寡黙でほとんどしゃべらない凄腕運転手、という共通点以外は全然別物であった。なによりも、主人公を含めてキャラクターが本作の方がもっとわかりやすく、役者陣も豪華で、シリアスで暗い雰囲気のお話だった『DRIVE』よりもずっと明るい(?)空気感はあると思う。ラストも、アレは明確なハッピーエンドと言っていいだろうし。
 本作は、その物語というよりもキャラクターがすべてなので、軽くキャラ紹介をしつつ役者のこともまとめておこう。以下、結末に至る完全なネタバレを含むと思うので、気になる人は読まないでください。
 ◆ベイビー:演じたのはAnsel Elgort君23歳。彼の映画デビュー作はリメイク版『Carrie』なんですな。わたしは『Divergent』も観たし『The Fault in our Stars(邦題:きっと星のせいじゃない。US版セカチュー的な難病ものラノベ)』も観たので、良く知った顔であるが、彼はイケメンと言っていいのか実に微妙な感じであろう。Ansel君は、とにかく肌がつるっとしていて、若いというか、まさしくBABYな感じがあふれていて、本作のキャラにぴったりだったと思う。もちろん本作の”ベイビー”という名はあだ名(?)で、本名は一番ラストにチラッと出て来るけど忘れました。作中で何歳という設定であったのか、不明。オープニングアクションの、赤いSUBARU WRXをかっ飛ばすシーンはすごい迫力であった(ま、Ansel君自身が運転しているわけじゃないですが)。本作では、まだまだガキ、ということで、犯罪にはもちろん積極的にかかわりたくないし、殺人なんて、と思ってはいるものの、一目ぼれした女子のためなら犯罪者まっしぐらな道を決断も下すあたりは実にお子様なキャラであろうと思う。いつも人の話を録音していて、その音源からオリジナルの歌を作るのが趣味、というのが変というか面白い。しかし、本作はほぼ全編アトランタで撮影しているようなのだが、アトランタって、一応US国内では大都市だろうに、あんなに簡単に大金強奪の強盗が発生するもんなのかなあ? そのあたりの感覚は正直良く分からんす。つーか、やっぱり銃は規制されるべきでしょうな。まずはそこからUS市民は考えてほしいものだ。
 ◆ドク:組織のボス。演じたのはオスカー俳優Kevin Spacey氏58歳。いつも通りの貫禄たっぷりなボスで、警察すらも子飼いにしているような影響力を持っているらしい。だったら強盗なんてちゃちな犯罪を指揮しなくてもいいのでは……という気もする。いずれにせよ、ベイビーとの約束をあっさり反故にするような冷徹なBADGUYであると同時に、どうもベイビーをホントに可愛がっているかのようなGOODGUY的雰囲気もあって、Kevin氏の持つ、イイ人っぽくて悪い人、あるいは悪い人っぽくていい人、という雰囲気にぴったりであったと思う。
 ◆バッツ:演じたのはこれまたオスカー俳優Jamie Foxx氏49歳。やっぱりこの人の演技は上手いんだよなあ……完全に役者としての格が上というか、まあ貫禄と余裕たっぷりな演技ぶりで、殺人を平気で犯すような、キレててイカレた男として、ベイビー君を威圧しまくっていたと思う。まさかあんな最期を迎えるとは……というある種あっけない退場となる。ラストは彼が最後までベイビー君を追い詰めるような展開かと思ってたら全然違ってました。
 ◆バディ:演じたのはJon Hamm氏46歳。ベイビー君とは何度か仕事をしたことがあるらしく、最初からベイビー君の腕を信頼している男。インテリ風で、結構ベイビー君をかばうような言動もあって、イイ奴かと思ってたら……この恨み晴らさでおくべきかと最期までベイビー君を追う執念を見せる。Hamm氏に関しては、わたしが過去に観た中では、結構多くの作品でちらほら出ていたみたいだけど、ほぼ覚えにない。どうもTVの方の活躍の方が有名みたいすね。おっさんだけどなかなかのイケメンでしょうな。若干、Jean Reno氏風なチョイ悪オヤジ的な風貌です。
 ◆ダーリン:演じたのはEiza González嬢27歳。大変お綺麗なメキシコ美女。歌手活動もされている方のようだが、わたしは全然知らない方であった。本作のダーリンというキャラは、バディの彼女で、常にバディといちゃついている設定で、やっぱりベイビー君の腕を信頼して、時にはベイビー君をちょっとからかうような、セクシーなお姉さん、という感じだったので、この女子もイイ人かと思いきや、いざとなれば警官に向かってバンバン銃を撃つおっかないお姉さんでした。
 ◆グリフ:演じたのはJohn Bernthal氏40歳。この人は、TVの『WALKING DEAD』が一番有名かな。あとNetflixでのマーベルヒーロー『THE PUNISHER』のお方ですな。映画では、結構な数の作品にちらほら出てますね。本作では、ベイビー君が気に入らなくて何かといちゃもんをつけてくる男として出演。あまり大した役ではないです。
 ◆デボラ:演じたのはLily James嬢28歳。ダイナーの制服がウルトラ似合っていて可愛い! ベイビー君との運命的な出会い(?)で事件に巻き込まれていく女子を好演。2015年の『Cinderella』でも大変可愛かったですが、本作のデボラ役も大変良かったと思います。
 とまあ、メインキャストとメインキャラは以上かな。最期に監督のことを書いて終わりにしよう。本作の監督は、何かと話題(?)のEdger Wright氏43歳。わたしは、恥ずかしながらこの監督の作品を一度も観たことがなく、話題となったデビュー作『Shaun of the Dead』も見損なったったままである。わたしにとって彼の名前は、わたしの大好きなMCU作品『ANT-MAN』の監督を途中で降板した男としての方がお馴染みだ。前々から、この監督が撮った作品を観たいと思っていたので、今回ようやくそれが叶ったわけだが……確かに、オープニングアクションが終わったのちの、ベイビー君が軽やかに街をふらふらしながらコーヒーを買って帰る、という5分近い(?)長回し一発撮りは凄かったと思う。わたしはそのシーンを観て、なるほど、Edger Wrightとはこういう腕の立つ監督なんだな、と初めて認識した。ずっと前から、わたしはこの監督がわたしの愛するAnna Kendrickちゃんの元カレだということだけで、大嫌いだったのだが、本作を観て、なるほど、監督としては……認めたくはないが腕は確かなようだな、と思った。本作は、どうも上手く説明できないのだが、ガンガンに響くロックサウンドがキャッチ―なのかな、とにかく、どことなくシャレオツ感があって、本来のわたしなら好きになれないような空気感が若干漂っているのだが、意外とまっとうなエンディングはハッピーエンドと言えるだろうし、なにより、ベイビー君のある意味まっすぐな正義感というか、まっとうな行動に敬意を表して、面白かったと絶賛することとしたい。

 というわけで、結論。
 昨日から公開となった『BABY DRIVER』を観たいと思ったら意外と公開規模が小さく、仕方ないので車をぶっ飛ばして郊外のシネコンへ観に行ってきたのだが、わたしとにとって初めてのEdger Wright監督作品は、積極的に認めたくないけれど、大変面白かった。最初は、きっと『DRIVE』を音楽に合わせて軽くした映画でしょ、とか思っていたのだが、なかなかどうして、キャラクターは大変良く描けているし、ちょいちょい現れる長回しもなかなかお見事で、完成度はかなり高いと思う。というわけで、この映画は大変おススメです。近所で上映していないところも多いと思うけれど、これは劇場で観る価値のある映画だったと思う。以上。

↓ こちらは、とにかく主人公が超寡黙でセリフが超少なく、超COOLです。そして後半かなりのヴァイオレンス展開もあって、初めて観たときは北野武作品に似ていると感じました。こちらも大変面白いです。

 Ben Affleck氏と言えば、一時期の色恋スキャンダルや、出演作の興行的な失敗の影響で、なんとなくダサい男としてお馴染みになってしまったものの、元々は親友Matt Damon氏(2ブロック先の近所に住んでいて、ともに少年時代を過ごしたらしい)とともに脚本を書き上げた『Good Will Hunting』によってアカデミー脚本賞を取った男だし、監督としても腕を磨き続け、ついに『Argo』でアカデミー監督賞を受賞するまでに至ったすごい奴である。
 わたしはその見事に割れた顎と、なんとなく野暮ったいところが逆にイイと思っており、また、彼の監督作品はとても面白いと思っている。 要するに、わたしはBen Affleck氏のファンである。『Batman v Superman』で観せたブルース・ウェインは、歴代バットマン史上最高にカッコイイと思っているぐらいだし、監督としても、ひょっとしたらClint Eastwoodおじいちゃんの後継者になりうる才能があるんじゃねえかしらと密かににらんでいる。
 というわけで、昨日の帰りに観てきた映画は、そのBen Affleck氏主演の『The Accountant』である。今回は監督はしていない、純粋に主演だけである。そしてのっけから結論を言うと、キャラクターは抜群にイイ!と思うものの、物語は若干「?」と思うような流れで、正直観終わった後いろいろ突っ込みを入れたくなる部分はあった。ただ、繰り返すが、キャラクターは抜群にイイ。ごっついライフル(あれはバレットM82か?)でどっかんどっかん撃ちまくるのは大変カッコイイ。これはシリーズ化されてもおかしくないぐらい、キャラが立っていたのは素晴らしかったと思う。 今後、このキャラクターを主人公とした第2弾が作られたら、わたしはたぶん喜んで観に行くと思うな。ズバリ、本作の主人公は、まさしく「バットマン」であった。というわけで、以下、いつも通りネタバレ満載ですので、読む方は自己責任でお願いします。

 ズバリ言うが、観てきた今となっては、上記予告は恐ろしく出来が悪い。まったく上記予告からもたらされる印象と本編が違っていて驚いた。殺し屋は本業じゃねえと思うんだけどな……。ちなみに言うと、本編で「コンサルタント」という言葉は、一度だけ「経営コンサルタント」という言葉が出てきただけ(ただし字幕で。英語表現は聞き取れなかった)で、明確に本作は、「会計士=The Accountant」の物語であった。なので邦題もセンスゼロだと思う。
 そして上記予告の何が問題かというと、主人公の背景が全く触れられていない点だ。というのも、この映画、現在時制の進行と同時に、チョイチョイ主人公の育ちが描かれる。実はそこに一番のポイントがあって、結果的にあまり上手く過去と現在がマッチしていない。さらに、冒頭のアクションシーンも、数年前という過去である。なので、どうも整理されていないというか、若干のごちゃごちゃ感があるのは誰しも感じるのではなかろうか。
 ちょっと説明してみようかな……物語は、3つのストーリーラインからなっている。
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 1)数年前
 冒頭では、数年前に起きたマフィアのアジトに突入する財務省(?警察でないことは確か。でも拳銃持ってたぞ?)の職員が描かれる。そこでは、ずっと追っていたマフィアが、謎の男に皆殺しにあい、あまつさえ、自分もその「謎の男」に銃を突きつけられるも、どうやら「見逃され」て、助かったらしいことが描かれる。
 2)現在時制
 主人公の会計士が、農家夫婦の相談を受けている。どうやら固定資産税が重くてもう破産寸前らしい。そんな相談に、会計士はテキパキとじゃあこうすればいいよとアドバイスをし、あっさり問題解消。夫婦に感謝され別れた後、謎の女性からの電話で、どうやら主人公を何者か(=冒頭で助けられた財務省職員)が追っているようなので、しばらくは堅気の仕事をしなさい、と、指示を受け、大手家電メーカーの会計監査に赴くことにする。そこでは、有能な経理部員の女子が会社の不正を発見したようで、経理担当役員(CFO)はそんな不正なんてないと言い張るも、社長の指示でこれまたテキパキと調査を開始。経理部員の女子が数か月かけて1年分の帳簿をチェックして、不正らしき痕跡を見つけたのに、主人公は1日徹夜してあっさり過去15年分の帳簿を読み解き、証拠を発見する。しかし、せっかく証拠を見つけたのに、社長はもう調査はここまで、と打ち切りを宣言する。どうやらCFOが何者かに殺されたらしい。そして主人公のもとにも殺し屋が襲来。そして、これまたテキパキとあっさり撃退し、殺し屋を返り討ちに。そして、殺す直前に、経理部員の女子まで抹殺対象になっていたことを知り、謎の電話の女性からはほっとけと言われるのに、経理女子を助けに向かう――てな展開。
 3)主人公の過去
  で、チョイチョイ描かれる主人公の過去、である。実は主人公は、高機能自閉症で、とにかくものごとを中断することが非常なストレスらしく、最後までやらないと気が済まないし、落ち着くために常にぶつぶつと、とあるフレーズを口ずさんだり、いわゆるルーティン的な作法がいろいろある少年だった。そして、そんな息子を、優しくない厳しい社会で生きて行けるように、と様々なことを超厳しいスパルタ流で教える父親。そしてそんな主人公を愛する弟、という少年時代が描かれる。父は軍人で、15年で34回転勤したりしていたが、格闘術・銃器などを子供のころから徹底的にたたき込まれていたことが明かされる。まあ、そういうわけで、超絶頭脳(どうもアスペルガー的な記憶力らしい)と、無敵の肉体を持つ男だということが説明される。また、青年期に刑務所に投獄されていたことがあり、そこで裏社会の経理マンのおじいちゃんから、様々なコネクションを教わり、その後を引き継いで現在の悪党専門会計士となったことも描かれる。
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 このように、本筋は2)なのだが、そのために3)を説明しないといけないわけで、ちょっとごちゃごちゃしている印象はある。おまけに、2)の本筋も、事件の真相が実に分かりにくい。いや、単純な話なのだけれど、悪党側のキャラクターの思惑が非常に分かりにくい。
 それでも、ラストはかなり強引(?)に上記3つのストーリーラインは合流し、ははあ、なるほど、という部分も実際あった。特に、予想は出来たけれど、主人公に電話で指示を与える謎の女性の正体が明かされる部分は、非常にイイ出来であるし、財務省職員との関係性がラストで明かされるが、それも非常に良い。また、弟の現在が判明するくだりも悪くない。
 悪くないんだけど……わたしが一番よく分からないのは、現在の弟についてだ。結局、弟は何しに出てきたのか、目的は何だったのか、かなりふわっとしてしまったように思える。おまけに、結局弟は、どこへ行っちゃったんだろうというのも描かれず、 なんとなくエンディングのキレは悪いように思う。確かに、主人公は悪党どもの帳簿屋である一方で、実はバットマン的な正義の男だったというエンディングはとっても良かった。でも弟がなあ……あいつ、結局どうなったんすか? 弟は悪党なんすか? わかんねえっす。
  とまあ、こんな風にちょっと感想も散らかってしまうのだが、実はわたしは、もうそういう細かいことはどうでもいいから、この映画は面白かったの!と申し上げたくなるような、すべて許してもいいポイントがあった。
 そうです。有能な経理女史を演じたのが、わたしが大好きなAnna Kendrickちゃんだったのである。 とても特徴のある顔立ちなので、たぶん好みは分かれると思うけれど、わたしはとても好きです。なんといっても、メリケン人なのにすごい華奢なちびっ子で、それでいて大変素晴らしいBODYをお持ちなのが非常にイイ。今回も、ゴツイAffleck氏とは非常に対照的な体形のAnnaちゃんは大変可愛く、演じ振りも良かったと思う。ちなみに、わたしは本来はAnnaちゃんの歌声が大好きなのだが、勿論本作では歌いません。
 ほかにもキャストはとてもいいすね。まず、財務省局長の渋いハゲオヤジを演じたのが、なんかいつも怒鳴ってるイメージのあるJ.K.Simons氏。今回は怒鳴るシーンはほぼなし。実は主人公と重要なつながりがあって、その秘密が明かされるくだりは大変良かったと思う。そして引退間近で、その役割を若き女性局員に引き継ごうとするのは、なんだか『Dark Knight』のゴードン本部長みたいで実に渋かった。で、その女性局員を演じたのがCynthia Addai-Robinson女史。わたしはこれまでこの人を観たことがあるのかわからないな……主にTVで活躍している女優さんのようだが、芝居ぶりは普通に良かったと思う。ただ、このキャラは、有能なんだかイマイチなんだか、かなり微妙だったのがなあ……。意外とすぐに、謎の男が主人公であることに行きついてしまうのは、かなりあっさりというか、誰でもできたような気もするし、彼女の背景も若干とってつけたような、結構あり得ない過去設定だったようにも感じた。身元を偽ってUS国家公務員になるのは相当難しいと思うな……重罪だし。
 そして、主人公が会計監査に赴く家電メーカーの社長を演じたのが、John Lithgow氏。まあ、大ベテランですな。最近では『Intersteller』で主人公の父親役で出ていたっけ。でも、この社長も、正直良くわからない……株価操作して、不当利益を得ようとしていた点は悪党だったとしても、社長は私欲のためではなくて、単純に大規模な設備投資・開発投資がしたかった(そしてその結果で社会貢献したかった)だけで、正直、別に被害者はいないんだよな……。うーん……なんかイマイチ物語の役割的に良くわからなかったのは残念。あと、主人公の現在の弟を演じたのはJon Bernthal氏。わたしの知らない方だが、この人はTVシリーズの『Daredevil』でパニッシャーを演じているそうですな。まあ、普通にカッコ良かったけれど……いかんせんこの弟の取り扱いが、本作の脚本において一番問題アリだと思う。良くわからないし、結局どうなったのかも良くわからないままなのは残念であった。そう言う点では、脚本はイマイチかもしれない。ちなみに監督は、Gavin O'Connorという人で、わたしは知らない人だった。

 最後に、メモとして本作に出てくる小道具類のことを書いておこう。
 主人公は、悪党どものお抱え会計士としての仕事もしているのだが、その結果、実はスーパー金持ちになっているという設定だ。で、わたしが興奮したのは、報酬をたまに現金ではなくて、何か金以外のモノで受け取ることがあるようで、なんと主人公のアジト兼倉庫には、無造作にRenoirの絵画や、JacksonPllockの作品が飾られているのである。何度もこのBlogで書いている通り、わたしは絵画鑑賞も好きなので、非常に驚き、非常にうらやましく思った。そしてPollockの絵はちょっとしたエピソードの小道具としても使われていて、ラスト、行方をくらませる主人公が、Annaちゃん演じる経理女子にその作品をこっそり贈るところは、とても「この男、やりおるわ……」と思った。デキる男はクールに去るぜ、そして迷惑をかけた女には最高の贈り物を、というわけで、とてもカッコ良かったと思う。それから、上の方にも書いた通り、主人公が使う銃器類もとてもいいものを集めていると思う。とりわけ、でかくてごついライフルをバンバン撃つし、近接戦闘でも、トドメとして必ず頭を撃ち抜く冷酷さも良かった。なんか、『John Wick』的な格闘ガンアクションであった。しかし、あのドでかいライフルで人体を撃ったら、確実に頭なら跡形もなくなるだろうし、手足や体でも確実にちぎれ飛んでR18指定になってしまうだろうな。その辺の描写はちょっとソフトになっていたのがやや残念かも。

 というわけで、まとまらないけどもう結論。
 Ben Affleck氏主演の『The Accountant』を観て思ったのは、これは続編が作られるのか?という予感で、主人公のキャラクターはとても素晴らしく描けていたと思う。非常にカッコイイ。しかしながら、物語的にはちょっと問題アリかも、である。何しろ分かりにくい。とりわけ悪党たちの思惑がイマイチなのが残念である。まあ、物語の第1話ということであれば、仕方ないかな……主人公の過去を観客に伝えるのは、実は一番難しいポイントでもあるので、脚本がもっと美しければ、わたしはこの映画を絶賛していたはずなのだが……。しかしまあ、やっぱりAnna Kendrickちゃんは大変可愛いと存じます。なので、結論としては、本作は「アリ」です。以上。

↓ いわゆる「アンチ・マテリアル・ライフル」。日本語で言うと対物ライフル。トラックや敵の隠れ家をぶっ壊すためのモノですので、人に向けて撃つと人体は確実に破壊されます。たぶん主人公が使っているのはこれだと思うけど、どうかなあ……わからん。

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