おととい、わたしの身の回りのとある若造が(といっても35歳かな? アイツは)、わたしの会社の執務室でこんなことをわたしに質問した。
 「オレ、やっとマーベルシネマティックユニバースを観る決意したんすけど、どれを観なくていいですか?」
 彼がわたしにそう質問したのは、わたしが周りではMCUが大好きなおっさんとして有名であり、わたしの会社の執務室には仕事にほぼ関係なくMCUのBlu-rayが(既に発売されているものは)全て、ズラリとディスプレイされているためであり、彼もわたしのBlu-rayコレクションを眺めながらそう質問したわけなのだが、わたしはその質問に対して、ここ数年で一番の(かどうかはわからんがとにかく激しい)怒りを感じた。
 第1に、「観なくていい作品」なんてなく、全部観ないとダメだと思うからであり、第2に、その「サボる気満々」の根性が心底気に入らなかったからだ。パワハラであろうとわたしは今後の彼の評価を下げるしかあるまいと思っている。楽をしようとするその根性は、思えば彼の仕事ぶりにも如実に反映されているような気もするし。本当に彼には失望だ。【※初出時から表現を改めました。ちょっと怒りに任せてひどいこと書きすぎたので】
 というわけで。
 昨日からいよいよ公開となった『ANT-MAN AND THE WASP』。
 MCU10周年、記念すべき第20作目に、MCUヒーローの中でも2番目に大好きなANT-MANをもってくるなんて(※1番はやっぱIRONMANかな)、わたしとしてはとてもうれしいのであります。もう昨日は月末で忙しかったけれど、「今日はANT-MANを観るんだ!」というワクワク感で、早朝から超仕事がはかどり、山積みの仕事を片っ端から片づけて、「それじゃ、オレ、ANT-MAN観てくるから、じゃっ!」とシュタッと手をあげて皆に宣言して、16時には颯爽と会社を出たわたしである。
 そしてーーー結論から言うと、『ANT-MAN AND THE WASP』は期待通り、超最高に面白かった。そしてやっぱり思うのは、このわたしが感じる面白さは、MCU全作を観ているからであって、MCU前作の『INFINITY WAR』までの流れを正確に理解しているから、感じられるものではないかと思う。いやあ、本当に楽しくて面白かったすねえ! わたし的には『INFINITY WAR』よりもずっと面白かったすな。ANT-MANはマジ最高だぜ!
 というわけで、以下、思いっきりネタバレに触れると思うので、まだ観ていない人はここらで退場してください。つうか、こんな文章を読んでいる暇があるなら、今すぐ劇場へ行くべきです。あと、わたしはかなり偏見に満ちているので、もうこのBlogではお馴染みな通り、MCUヒーローの中でも完全にトニー派であり、CAPやBPは嫌いなので、CAP派の方は、読まない方がいいと思います。

 というわけで。もう予告が公開されたときからわたしを超ドキドキワクワクさせてくれた『ANT-MAN AND THE WASP』。MCUにおいて、これまでの流れとして前作『INFINITY WAR』では一切登場してこなかったANT-MANが、なんで登場しなかったのか、が語られる本作は、『INFINITY WAR』が超シリアスで、結末的にもこの先どうなるの!? と思わせる超ヤバいエンディングであったのに反して、とても明るく(?)楽しい映画に仕上がっている。
 もう最初に言っておくけれど、『INFINITY WAR』の影響は、本作ではMCU恒例のおまけ映像で明らかになる。その影響は極めて深刻で、えええ!? こ、この先どうなる!? という超ドキドキさせる最高のおまけ映像なので、その点では本作はれっきとしたMCU作品であり、あのおまけ映像は、『INFINITY WAR』を観ていないと全く理解できないだろう。そういう意味でも、MCUには「観なくていい作品」は1本もないと断言できる。当たり前ッショ。ちなみにおまけ映像は一番最後にももうひとつあって、これはギャグ映像なので正直どうでもいいけれど、その後、いっちばん最後に出るメッセージは、ちょっと意味深で、「?」の意味を来年4月公開の通称『AVENGERS4』までドキドキしながら待ちたいと思う。
 で。物語はというと、本作『ANT-MAN AND THE WASP』は、100%確実に、前作『ANT-MAN』及びMCU全作を観ていないと意味不明だ。前作で描かれたことで、本作を観る上でポイントとなるのは「量子世界」についてである。
 1)量子(Quantum)世界
 ごく簡単に言えば、小さくなれる技術の「先」にある、超超超超極小の世界、という理解で十分だろう。本来の物理学的な意味は、はっきり言って全然別なもので、詳しくはWikiでも読んでおいてほしいのだが、本作では「極小のその先」とふんわりした理解で十分だ。ただ、実のところあまりにふわっとしていて、真面目に考えると相当訳が分からないのは事実で、強いて言うと本作では唯一、ちょっとアレかなあ、という弱点であるのも確かだろう。でもいいんだよ、そんなことは。だってこれ、漫画だぜ!? ここを否定してはどうにもならんす。
 2)ジャネット・ヴァン・ダイン博士
 前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ヒロイン・ホープのお母さん。彼女は20世紀にピム博士(=初代ANT-MAN)とともに、THE WASPとして活躍していたが、冷戦期にソヴィエトの発射した核ミサイル(?)を止めるために、量子世界へ足を踏み入れて行方不明になった、という設定である。前作ラストで、2代目ANT-MANであるスコットが量子世界から無事に生還したことで、ジャネットもまた量子世界で生きているのではという希望が灯り、本作ではジャネット博士の救出ミッションが物語の本筋となる。
 3)そもそもANT-MANと「縮小化」の技術って?
 一応説明しておくと、初代ANT-MANであるハンク・ピム博士の発明した「ピム粒子」で物体を縮小できる謎技術で、小さくなるのと反対に巨大化も可能な、「IRONMANスーツよりもすごい技術」を搭載したスーツで戦うヒーロー、それがANT-MANである。ピム博士は元々S.H.I.E.L.Dの男であり、IRONMANのトニー・スタークの父や、CAPの永遠の恋人ペギーとも一緒に働いていたが、「ピム粒子」の秘密がS.H.I.E.L.Dにわたる危険を避けるために、大喧嘩してS.H.I.E.L.Dを退職。S.H.I.E.L.Dには実はヒドラの影響があったのだから、このピム博士の判断は実は大正解であったことは言うまでもないでしょう。なお、ここで言うのもアレですが、原作コミックとMCUは結構いろいろと設定が違うので、別物であると思うべきでしょうな。ちなみに原作においてピム博士はAVENGERS創設メンバーの一人で重要人物でもある。
 とまあ、こういういろいろな背景があるわけで、MCUを観てきていない人にはもうほぼ意味不明であろうと思う。だから言ったでしょ? しつこいけどもう一度言いますよ? MCUは全部観てないと意味ないんだってば!
 で、わたしがなぜ、こんなにも興奮し、ANT-MANが好きかというと、ANT-MANの闘い方が、「頭脳バトル」型だからなんだと思う。MCUヒーローは、わたしとしては頭のイイ人チームと脳筋パワーチームに分けられると思うのだが、CAPやTHORやBPが、力押しで何も考えない(のは言い過ぎか)のに反して、IRONMANやDr.やANT-MANは、明確に頭のイイ人チームで、その考え方や戦い方が、非常にカッコいいのです。とりわけ、その「小さくなれる」という能力をフルに活用したANT-MANの闘いは実にトリッキーで、ビジュアル的にも非常に見ごたえがあるのだ。まあ、ピム博士は天才科学者だし(ただしすぐキレるのはマズいすね笑)、ホープも完璧女子だし、一応スコットだって、実は電子工学の修士号を持つインテリだし、なんつうか、やっぱり物語の主人公が頭がイイと、言動に筋が通っているし、きっちり「自分にできること」を見極め、それを最大限に生かそうと行動するわけで、実に気持ちいいすよね。逆に頭が悪いと、観ていてイライラしてしまうし。BPやHAWKEYEのように、頭も悪いしたいして強くない奴が偉そうにしてると、腹立たしく感じてしまうけれど。
 そういう理由から、わたしはANT-MANが大好きなのだが、『CIVIL WAR』でCAPの味方をした時はマジかよ、何やってんだよ、と思ったものだ。しかし本作で語られたように、まだ2代目スコットは事態をよく理解しておらず、あの有名人CAPに声をかけられたことに興奮して、思わず手助けしてしまったのだという。そして逮捕・勾留され、結局FBIに24時間3年間(?)GPS監視され自宅軟禁となってしまったわけで、スコットは、自分がアホだった、とちゃんと反省しているのだ。まあ、そのために『INFINITY WAR』に登場しなかったという明確な理由も判明したし、ちゃんとピム博士やホープは、黙ってCAP軍に参戦したことを怒っているし、わたしとしてはもう、『CIVIL WAR』の件はおとがめなしである。
 というわけで、以下、各キャラと演じた役者をまとめておこう。
 ◆スコット・ラング:2代目ANT-MAN。もう何度も書いている通り、元々インテリだったが、義憤に駆られてブラック企業の悪事を暴露するために泥棒となって、あえなく逮捕、前科者に。その結果仕事を失い、妻にも去られてしょんぼりしているところを、初代ANT-MANのピム博士のスカウトで2代目ANT-MANを襲名、そして『CIVIL WAR』でうっかりCAP軍として戦ってしまったためにまたも逮捕拘留の憂き目に。本作では、自宅から外に出るとたちまちFBIがやってくるという制約下で、忙しく立ち回る庶民派(?)ヒーロー。冒頭の娘キャシーと遊んでいるシーンは大変良かったすね。キャシーがまあとんでもなく可愛いんすよ……。刑務所仲間の三人が基本ボケ役で、スコットはツッコミ役といっていいのかな。彼らの笑える楽しいやり取りは本作でも健在。今回は、スーツの調子が悪くて、巨大化から戻れなかったり、中途半端に(小学生並み)小さくなったりと、全くもってANT-MANはつらいよ的苦労が大変笑えます。演じたのはもちろんPaul Rudd氏49歳。おっと、ほぼ同級生じゃん! わたしもANT-MANスーツが欲しい! 日本にはこういうおっさんがヒーローになる物語が絶対必要ですよ。
 ◆ホープ・ヴァン・ダイン:ピム博士の娘で、今回いよいよ、満を持してTHE WASPとして大活躍! そのWASPスーツのデザインが本当にカッコ良くて最高でした。スーツの配色や女性らしいラインなど、デザインとして完璧に美しかったすな。MUC初のタイトルロール女性ヒーローとして、今後の活躍も超期待したいけど、あの衝撃のおまけ映像が……どうなるのだろうか、ホントに。演じたのは前作同様Evangeline Lillyさん39歳。前作では、ショートボブで、いかにもなクール美女でしたが、今回は髪がちょっと伸びで、なによりWASPスーツ着用&ヘルメットオフ、の状態で、ひっつめ髪のポニーテールが最強に似合ってましたね。一瞬おっかない顔だけど、やっぱりとても美人ですよ。完璧女子ホープはこのお方じゃないとダメです。
 ◆ハンク・ピム博士:初代ANT-MAN。まあ、ちょっとすぐブチギレるのはマズいとしても、MCU世界ではトニーに並ぶ天才科学者でホープのお父さん。演じたのはもちろんMichael Douglas氏73歳。今回も、前作同様若き頃のピム博士のシーンが結構あって、その驚きのCG?マジックによる若きDouglas氏は、まさしく『BLACK RAIN』や『Basic Instinct』時代の顔で、技術の進歩にはマジ驚愕です。しかし、ホープとすっかり仲良しに戻って、おまけにジャネット救出できて良かったね!
 ◆ジャネット・ヴァン・ダイン:前作でチラリと語られた、ピム博士の妻であり、ホープの母であり、初代THE WASPの元祖完璧女子。演じたのは若き頃、おっそろしく可愛かったMichelle Peifferさん60歳。Tim Burton版CATWOMANことセリーナ・カイルとしてもお馴染み。今回MichelleさんもCGによる若き頃のお顔でも登場。しかしやっぱり60歳でもお美しいですなあ……MCUへようこそ! 大歓迎であります、が、あのエンディングは……ヤバいすねえ! 早く『AVENGERS4』が観たいすな!
 ◆ビル・フォスター博士:S.H.I.E.L.D時代のピム博士の同僚で科学者なんだけど、ピム博士がカッとなってS.H.I.E.L.D退職後、研究を続けてた人で、「ピム粒子」のことも知っている人物。今回30年ぶりにピム博士と再会。原作コミック的には、GIANT-MAN、ゴリアテとなる人ですな。なので、本作でも過去に巨大化したことがあるようで、スコットと巨大化した時の話で盛り上がるシーンも。正直、今回出てくるのはいいとしても、役割的に若干微妙だったかも……という気はする。でも、ひょっとしたらこの人がおまけ映像ののちの世界でカギになるかもな、と今のところは思っておきます。演じたのは、『THE MATRIX』でのモーフィアスでお馴染みLaurence Fishburne氏57歳。わたし的には、とにかくこの人のすきっ歯が毎回気になってしょうがないす。いつもやけに渋くて存在感抜群ですな。
 ◆エイヴァ:今回のVillain(悪役)であるGHOSTとなる、大変気の毒な女子。彼女は、もともと科学者の父の実験ミス(?)で、体を構成する元素が不安定になってしまい、その結果、存在しているようなしてないような、なんでもすり抜けてしまう体質に。いわば『WATCHMEN』のドクター・マンハッタン的な。しかしさらに気の毒なことに、その特異体質を父の勤務していたS.H.I.E.L.Dに目を付けられ、暗殺者として青春を送ってきた。しかしその体にももはや限界の時が来ていて、実にかわいそうな女子であった。そして『CAP:WS』でS.H.I.E.L.Dが崩壊して以降は、父の同僚だったフォスター博士が、「ワイが治しちゃるけん、安心せえ」という言葉の元、フォスター博士とともに、ピム博士の研究ラボを奪おうと画策する。しかしあのラボが縮小してキャリーバックのように持ち運べちゃうってのも最高ですね。この気の毒なエイヴァ=GHOSTを演じたのは、Hanna John-Kamen嬢28歳。『READY PLAYER-1』に出てたらしいけど、ゴメン、覚えてない……忘れたっす。しかし、まあ、さんざん本作を絶賛しておいてアレですが、やっぱりこのGHOSTに関しては、若干イマイチだったかもしれないすね……なんか、もうちょっと物語上での行動に、やりようがあっただろうに……という気がしてならないす。
 ◆ルイス&デイブ&カートの三人組:スコットの泥棒仲間の三馬鹿トリオ。こいつらホント楽しい、ゆかいな仲間ですなあ。しかし彼らは何気に細かいところでいろいろと活躍してくれていて、このANT-MANファミリーには絶対欠かせない、愛すべきバカモンどもですよ。わたしは前作でもあった、ルイスが今までのいきさつを一人で語りまくって、画面ではその時の本人の口とルイスのトークが正確に一致しているあのシーン(意味わかりますよね)が大好きなんすけど、今回も大変良かったですなあ! アレは技術的にもかなり高度で、映画的見ごたえの一つだと思います。演じたのは、リーダー的存在のルイスだけ紹介すると、陽気なメキシカン(両親がメキシコ移民で本人は正当なアメリカ国民)でお馴染みMichael Peña氏42歳ですな。もう今や大人気でそこら中に出てますね。彼は何気に演技派でもあります。彼はTHANOSの選択を生き残れたのでしょうか……。
 ◆キャシー:スコットの愛娘。パパ大好きなかわいい娘っ子ですよ。今回、やたらと、わたしもパパの相棒になりたい、まあ、パパの相棒はホープだけど、わたしだって……! 的なやり取りがあるのは、原作コミック的にはキャシーは後にANT-GIRLとしてYoung Avengersの一員になるから、でしょうな。演じたのは2008年生まれ、現在10歳のAbby Ryder Fortsonちゃん。美人に育つのだぞ……! ところで、メリケン人どもの娘に対する感覚はホント謎だけど、スコットはキャシーのことを「ピーナッツ」と愛を込めて呼び、ジャネット博士はホープのことを「ジェリービーン」と呼びます。ピーナッツ……まあ、食べちゃいたいぐらいに可愛いオレのチビ助、ってことなんでしょうな。ピーナッツ……まあ、可愛いからアリです。

 はーーー。長くなったし、もう書いておきたいことがない……かな。

 というわけで、結論
 MCU第20作目となる記念の作品、『ANT-MAN AND THE WASP』は、わたしの期待通り最強に面白く、陽気で楽しい作品であった。今年観た映画の中で、暫定3位ぐらいすね。実に最高でありました。MCU作品は、それぞれのヒーロー映画でどうもメインテーマが頭に残らないんだけど、このANT-MANは明確に曲が頭に残るのもすごくいいと思う。ああ、音楽を担当しているChristophe Beck氏は、かの『アナ雪』の音楽も担当してるんすね、なーるほど、さもありなんですな。まあ、わたし的に本作最大の見どころは、何といってもTHE WASPのカッコ良さでしょう。美しくカッコ良く若干セクシーで、とにかくデザインが秀逸! 最高でした。そしてこの後、MCUは来年早々の『CAPTAIN MARVEL』を経て、GW辺り公開の『AVENGERS4』へとなだれ込むわけですが、本当に楽しみですなあ!! どうなるんすかねえ……まあ、CAPTAIN MARVELがカギになるんだろうな……それは間違いないだろうけど、わたしとしては、いけいけ僕らのANT-MAN!で活躍を期待したいと思います。そして、くそう、おれもANT-MANスーツが欲しい! 切実に! 以上。

↓ 予習しといた方がイイすかねえ……全然こちらは知識なしっす。つうか、さっさと『AVENGERS4』のタイトルを発表してほしいすね。散々引っ張っておいて、なーんだ、になる可能性もあると思うな……。