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 いよいよ4月26日の公開まで1カ月チョイと迫ってきた『AVENGERS:END GAME』。
 もちろんわたしもとても楽しみにしているわけだが、まあ普通に考えて、『END GAME』の結末は誰だって想像している通り、実は愛の戦士だったTHANOSが敗北、アベンジャーズ大勝利で終わるんだろうと思っている。問題はいかなる犠牲が払われるか、にあるとわたしは考えているが、よもやわたしが最も好きなトニー・スターク=IRONMAN殉職もあり得るのかなあ、とか、まあ、妄想は尽きない状態である。今のところは。おととい公開された最終予告も、なんだかいろいろな「?」があって、きっとこの予告は本編にない、いろんなミスリードな細工をしてんだろうな……とかわたしは思っている。
 しかし、MCUにおいては、『END GAME』を観る前に、絶対に観ておかなくてはならない映画がある。それが昨日から公開になった『CAPTAIN MARVEL』だ。わたしも夕方早めに会社を出て、日比谷TOHOにてIMAX3D版をさっそく観てきた。
 結論から言うと、いろいろ突っ込みたくなる点はあるものの、大変良くできたお話で十分面白かったと思う。わたしは原作コミックの「キャプテン・マーベル」は全く読んでいないので、原作との違いとかそういった点は全く分からない。また、本作は、コミック原作や今までのMCU作品を知らなくとも、ある程度は本作単独で観ても十分面白い映画になっているとは思う。しかし、まあやっぱり、MCUは全て観ていないと、その面白さは堪能できないと思います。この映画はやっぱりコミックとは別物で、あくまでMCUを構成する一つのピースであるということは間違いなさそうだ。
 というわけで、以下、ネタバレ満載となる可能性が高いので、まだ観ていない人はここらで退場してください。こんなBlogをチェックしている暇があったら、今すぐ劇場へGO!でお願いします。

 というわけで、上記予告を観ても、一体どんなお話なのか、正直全く分からないだろう。わたしも全然分からず、まあきっと、明らかに地球人っぽい女性がいかにして「キャプテン・マーベル」となったか、てなお話だろうぐらいしか考えられなかった。
 わたしがこの予告を観て思ったポイントは、1)なんで舞台は1995年と中途半端な「過去」なのか? 2)なんで彼女は「過去」の記憶を喪失しているのか? の2つだ。そしてこの謎は、劇中では、なるほど、そういうことか、と見事に回答が与えられていて、わたしはそこに、「これは面白い」と感じるに至ったのである。というわけで、以下解説? というか思ったことをメモしてみよう。
 1)なんで舞台は1995年なのか?
 ズバリ言うと、これはもう、MCUを観てきた人でないと理解できないと思う。はっきり言って、本作は、単独作品であったなら1995年を舞台とする必要は皆無と言っていいはずだ。2019年の現代であろうと、例えば1960年代であろうと、別に何の問題もなかったはずだ。
 だが、MCUのワンピースであることを前提とすると、本作は1995年である必要があるのだ。そのカギを握っているのが、MCUのキーキャラクター、ニック・フューリーである。
 ニック・フューリーは、明らかに2008年のIRONMAN誕生以前から、地球圏外からの外敵の襲来を知っていた。そしてそういった外敵に備えて、せっせと武器を作り、「特殊な能力を持つ超人」を集めてチームを作る計画(=アベンジャーズ計画)を練っていた。さらに言えば、『INFINITY WAR』において「もしもの事態が起きた時に呼ぶ、最強の助っ人=キャプテン・マーベル」がいることが明確に示されていた。
 これらのことから、ニック・フューリーは、少なくとも2008年よりも前に、キャプテン・マーベルと知り合っていた必要がある。かといって前すぎると、ニック・フューリーも行動力のない子供になってしまう。近すぎては計画を練る時間も取れない。そこで、「ちょうどいいぐらいの過去」として、90年代に本作の舞台は設定されたのだろうと思う。全てはMCUというプロジェクトのためであると言って差し支えないだろう。ついでに、あの「ポケベル」に関しても、そもそも我々が知っているポケベルというものは、受信オンリーの一方通行デバイスだったわけだが、本作のアレは発信も可能な双方向だ。これは……一瞬日本でも発信可能なものがあったような気がするけど……いずれにせよ日本では1995年ぐらいからPHSが登場してポケベルは衰退していくので、まあ、やっぱり時代設定として1995年というのは、まさしく「ちょうどいいぐらいの過去」だったのではなかろうか。
 なお、1995年と言えば、はっきり言っておっさんのわたしには「ついこの前」に感じられるのだが、あの年、世界を変えたと言ってもいいぐらいの大きな発明があった。それは、「Windows95」の発売だ。この発明によって、インターネッツの世界が我々に開かれたと言っても言い過ぎではなかろう。わたしが初めてインターネッツを体験したのはWindows3.1の時代だが、まあとにかくプロバイダも少なく、モデムの設定も厄介で苦労したものだが、Windows95の登場で劇的にインターネッツは進歩し、わたしも自分のPCを初めて買ったのは1996年の初めであったことを覚えている。本作でも、まだ原始的なWebサイトや、ダイヤルアップが切れちゃうとか、当時を知っている我々おっさんには、超あるあるなエピソードが盛り込まれていて、大変愉快だったすね。もちろん、当時のファッションや街の様子や音楽など、そういう点では今現在40代後半以上の人間が、本作を一番楽しめるかもしれないす。
 2)なんで記憶を失っているのか?
 この点が本作で一番のポイントであろう。なので以下はホントにネタバレなんですが……。本作は冒頭、キャプテン・マーベルが「クリー人」であり、「ヴァース」と呼ばれていて、クリー帝国?の母星ハラで暮らしている様子が描写される。そして彼女はヨン・ロッグという「スター・フォース」司令官のもとで戦闘訓練を受けているのだが、なにやら6年前、クリーに来る前のことは忘れているらしい。そしてクリーにおいてはSupreme Intelligenceと呼ばれる超AIが全てを統治しているらしいことが描かれ、そのAIと対話する時には、AIは、対話者が最も尊敬する人物のヴィジョンとして現れるのだが、彼女の場合は、全く記憶にない女性の像となって、AIは彼女に指令やアドバイスを送っている。そしてその謎の女性はヴァースの夢にも現れていて、一体誰なんだ、そして私は……と記憶をめぐるサスペンスが本作のベースとなっている。そしてスター・フォースの一員として、クリーと現在戦争状態にあるスクラル人との戦闘に参加するヴァースだったが、どうやらスクラル人たちもヴァースの記憶を狙っていて……てな展開である。
 ここでポイントとなるのは、クリー人ってなんだ? ということと、スクラル人が欲する「ライトスピード・エンジン」なるものだ。
 まず、クリー人、と聞いてMCUを観てきたわたしが真っ先に思い出すのが『GUARDIANS OF THE GALAXY』だ。あの物語の中での悪役がまさしくクリー人で、なんと、そのものズバリ、『GUARDIANS』の悪役であったロナン・ジ・アキューサーは出てくるし、その部下であるコラスはなんどヴァースの同僚のスター・フォースの副官としてMCUに再登場である。なのでわたしは、あれっ!? クリー人って悪い奴らじゃないの? とか思いながら観ていたのだが、ヴァースはスクラル人との戦闘の後、大破した宇宙船から投げ出され―――地球に墜落、そこから舞台は1995年の地球となるわけだが、結論から言うとわたしの「あれっ!?」は、最終的に「ああ、やっぱりね」という結末に至るわけで、この点でも、MCUを観ていない人には全然通じなかっただろうと思う。
 そしてスクラル人たちが欲している「ライトスピード・エンジン」なる謎テクノロジーだが、思うに、「エンジン」というものは、その機械的な構造はもちろん重要としても、それよりもっと「何をエネルギー源とするか」のほうが重要だろうと思う。わたしも観ていて、ライトスピード……まあきっと光速航行を可能にするテクノロジーなんだろうけど(ついでに言えば、光速航行と来れば当然、相対性理論でいうウラシマ効果、すなわち「時間」が大きな問題となるわけで、わたしは、こりゃあ『END GAME』はやっぱりタイムトラベルが描かれるのか? とか、もう妄想が先走るわけです)、それを可能にするエネルギーって何なんだろうな、とぼんやり考えていた。そしてわたしが「そうきたか!」と恐れ入ったのがまさにそこにあって、なんと、その謎エネルギー源こそが「四次元キューブ」で、まさしくインフィニティ・ストーンの一つである「スペース・ストーン」だったのである。こう繋げたか! とわたしはとても興奮したっすね! つまり本作も、実は「インフィニティ・ストーン」をめぐる戦いだったのだ。
 ただ、わたしは即座に記憶をさかのぼってみたのだが、なんかどうもしっくりこなかったようにも感じたのは事実である。わたしが知っているMCUの歴史によると……
 ◆1940年代:第2次大戦のさなか、秘密結社(?)ハイドラによって、ヨーロッパに秘匿されていた「四次元キューブ」が奪取され(誰が隠していたのか不明)、その謎パワーで謎兵器が量産される。それに対抗すべく、US-ARMYによる「SUPER-SOLDIER」計画が進行、謎血清が開発され、その被験者第一号にスティーブ・ロジャースが選ばれ、かくしてスティーブは「CAPTAIN AMERICA」となってハイドラと戦い、「四次元キューブ」を奪還するも北極の氷に消える。その後、トニー・スタークの父、ハワードが「四次元キューブ」を北極海だかどっかの海底で発見する。そして後にハワードはS.H.I.L.D.設立に尽力する。
 (◆1960年代:冷戦期、S.H.I.L.D.はあくまでUS国益のための組織として活動していた。そしてこの頃、ハワードと同じくS.H.I.L.D.の科学者だったハンク・ピム博士は初代ANT-MANとして活躍)
 (◆1988年:ピーター・クィル少年が宇宙人に誘拐される)
 (◆1991年:ウィンターソルジャーによるハワード暗殺事件勃発)
 (◆2008年:トニー、IRONMANとしてヒーロー活動開始)
 (◆2008年:SUPER-SOLDIER計画を現代によみがえらせようとした実験中にブルース・バナー博士はガンマ線の大量照射を浴びてしまい、HULK誕生)
 (◆2011年:THOR、初めて地球にやってくる)
 (◆2011年:北極で氷漬けになっていたスティーブ=CAPが発見され、蘇生)
 ◆2012年:地球にLOKIが襲来、「四次元キューブ」を奪って大暴れ。ニック・フューリーによって招集された超人たちがAVENGERSを結成し、「四次元キューブ」奪還に成功。その後、「四次元キューブ」はTHOR様がアスガルドに持ち帰り、「オーディンの武器庫」に保管した。
 ◆2017年:アスガルド崩壊の「RAGNAROK事件」勃発。崩壊のさなか、ロキが再び「四次元キューブ」をちゃっかり横領。
 ◆2018年:サノスによる「INFINITY WAR」勃発。LOKIは謎の兄弟愛を発揮してTHOR様を助けるために、「四次元キューブ」をTHANOSに差し出す。以降、「四次元キューブ」はその中に秘めていた「スペース・ストーン」として(スペースは宇宙じゃなくて空間の意味で、物理的空間を制御しどこにでも行ける能力を持っていた)、THANOSの左手に装着されたガントレットに固定されている。
 とまあ、()内は「四次元キューブ」に関係ないことだけど、まあ、だいたいこんな歴史だったはずで、わたしは「四次元キューブ」は、第2次大戦後はずっとS.H.I.L.D.が保管していたのかと思っていた。なので、若干しっくりこなかったのだが、まあ、S.H.I.L.D.は実はハイドラの支配も受けていたわけだし、まさか1980年代から1995年にかけてこんなことが起きていたとは、というのは、興奮に値する物語だったわけですよ。まさしく「そう来たか!」である。この点も、MCUを観てきていないと分からない、けど極めて重要なポイントだったとわたしは感じた。
 というわけで、以下に各キャラと演じた役者をメモして終わりにしちゃいます。
 ◆キャロル・ダンヴァース=ヴァース=キャプテン・マーベル:元々幼少期から、女にゃ無理だ、なんてことを言われ続けてきて、その度に「何クソ!」といろんな無茶をしてきたけれど、鼻血を出してブッ倒れても、何度でも立ち上がる、その「不屈の闘志」がこの人の最大の武器なんでしょうな。その、何度も繰り返し描かれる「立ち上がる」姿がとてもカッコイイ。成人後はUS-AIR FORCE所属の軍人だったが、とある実験に参加したことで運命が変わってしまう。何故クリー人たちに「ヴァース」と呼ばれていたか、そしてなぜ、ニック・フューリーは計画を「アヴェンジャーズ計画」と名付けたか、その理由も脚本的に大変お見事だったすね。つうかですね、この人、もはや無敵なんですけど! この強さはMCU的にはもうTHOR様レベルです。人間じゃなくなっちゃったすね。
 演じたのは栄光のオスカー女優Brie Larsonさん29歳。意外と若いですな。しかし今回、コスチュームに身を包んだ姿は大変カッコ良かった。相当がっちりした体はとても鍛えられていて、美しかったすね。そして、あの宇宙空間用?のマスク・オン!の姿も実に最高でした。あのモヒカン的なマスク着用、からのマスク・オフで髪がはらり、となる姿もとても印象的っすね。『END GAME』での活躍も楽しみであります! もちろん今回のおまけ映像(1)では、ニック・フューリーの遺したあのポケベルの呼びかけに応じて、24年ぶりに地球に帰ってきたキャロルがCAPたちの前に現れるシーンを観ることができます。来たァ!とうれしくなったすね。最高でした。
 あとそうだ、ひとつ、おおっ!? と思ったことがあった。キャロルの少女時代がチラホラと描かれるわけですが、その子供キャロルを演じたのが、わたしが2年前大感動した『gifted』で天才児を見事に演じたMckenna Graceちゃんですよ! ちょっとだけ大人になりつつあって、しかも可愛く成長していてうれしいっす!
 ◆ニック・フューリー:ご存知S.H.I.L.D.の元長官。そして本作の時代ではまだ若手工作員。左目も健在。だけど、左目が潰れてしまう理由が、これはもう笑うべき、だよね? そんな理由だったとは、と笑えるものでした。演じたのは当然Samuel L. Jackson御大70歳なわけですが、本作では全編デジタル若返り処理がされていて、実際凄い技術だと思います。ただ、やっぱり、髪からおでこ、目元、鼻筋は、よーーく見つめると作り物感はあったと思う。つうか、おれも1995年当時と今とでは相当老けてんだろうな……と全くどうでもいいことを感じてしょんぼりっす。ついこの前なんだけどなあ……。。。
 ◆ヨン・ロッグ:クリー人にして「スター・フォース」の指揮官。ヴァースの先生的な存在だが、まあ、観ていればこの人が本当にイイ奴かは、うっすらわかると思います。ただ、残念ながらこのキャラはまるで弱かったす。演じたのはJude Law氏で、やっぱりイケメンですなあ、この人は。コスチューム姿も実にカッコイイすね。
 ◆ロナン・ジ・アキューサー&コラス:『GUARDIANS』での悪役コンビ。『GUARDIANS』では、クリー人テロリスト?みたいな感じだったけれど、本作の時代では、ロナンはクリー軍の攻撃隊長的な役割(?)で、あのお馴染みの宇宙船での爆撃が主任務。そしてコラスは「スター・フォース」の副官として、強いて言うなら正義の味方側、に所属。そもそもわたしは「クリー帝国」というんだから、皇帝がいるんだろうと勝手に思っていたけれど、まさか超AIが支配していたとは驚きです。つうか、AIなんぞが人間を支配しているのか、と思った時点で、クリー帝国にはうさん臭さしか感じなかったすね。それぞれ『GUARDIANS』で演じたLee Pace氏、Djimon Hounsou氏が再登板でありました。
 ◆ウェンディ・ローソン博士=マー・ヴェル:キャロルのUS-AIR FORCE時代の上官で科学者。その発明は、銀河から狙われることになるわけだが、問題は、本当に狙っていたのは誰か、そして、博士は何のためにその発明を成したのか、という理由がポイントとなる。まあこれも、観ていれば途中で気付けると思う。ほぼ冒頭から、キャロルの夢などでちらほら出てくるけれど、わたしは一目で、おおっと、これはAnnete Beningさんじゃないか、久しぶりだなあ! とか思いました。わたしが劇場のスクリーンでAnnetteさんを観るのは、たぶん『AMERICAN BEAUTY』以来じゃなかろうか。18年ぶり?っすね。
 ◆フィル・コールソン:ご存知S.H.I.L.D.諜報員。2012年の『AVENGERS』で殉職(したはずだけどTVでは生きてる設定)したコールソンも、この1995年当時は新人。ワンシーンだけ、後の登用に繋がる判断を見せる。当然、Clark Greggさんがデジタル若返り処理で演じてます。
 ◆タロス:今回の悪役か? と思わせて実は……なスクラル人。変身能力アリ。演じたのは、映画オタにはいろいろな作品で悪いヤツを演じていることでお馴染みのBen Mendelsohn氏49歳。意外と若いんだよな……この人。今回は、S.H.I.L.D.のフューリーの上司ケラーも演じています(正確に言うとケラーに変身したタロス)。
 ◆マリア・ランボー:キャロルの元相棒的女性パイロット。コールサインは「フォトン」。コミック原作的には彼女や彼女の娘には大きな役割があるらしいけど、本作ではとりわけ大きな役割ナシ。ただ、初見の宇宙船(に改造された輸送機)を操縦しちゃうなど、勇気と度胸は一流ですね。演じたのはLashana Lynchさんという全然知らないお方でした。
 ◆グース:基地で飼われていた猫ちゃん。茶トラのカワイイ猫。おそらくは、相当なシーンがフルCGまたはマペットだと思う。まあ、グース、そして戦闘機とくれば当然映画オタとして『TOP GUN』を思い出すわけですが、まさかあのカワイイ猫が……という、この映画一番の驚きと笑いをもたらしてくれたキャラでありましょう。実際コワイっす。つうか、四次元キューブを君は……というおまけ映像(2)は必見でありますね。しかし、猫と暮らしている人なら分かると思うけど、なんで猫って、いきなり、そして結構な頻度で「吐く」んすかね……。うちの猫様も突然吐くからビビるっすわ。しかし、グースちゃんは2019年現在はもう生きていないのでしょうか……『END GAME』にぜひ登場してもらいたいっす!
 とまあ、こんなところかな。

 というわけで、もう書いておきたいことがなくなったので結論。
 MCU最新作にして『END GAME』に直接関係のある重要作品、『CAPTAIN MARVEL』がやっと日本でも公開されたので、その初日にIMAX3D版を観てきたのだが、一言でいうなら、かなり面白かった。そして詳しく言うと、実にMCUな物語で、確かに本作単独で観ても十分面白いだろうけれど、やっぱり、MCU全作をきちんと押さえている方が、より一層面白いと思います。そして、やっぱりCAPTAIN MARVELのスーツもカッコイイですなあ! わたしとしては、マスク・オンの時のモヒカン姿も最高にカッコいいと思うし、マスク・オフの時、髪がはらりと落ちるのも実に良かった。演じたBrieさんもキッチリ体を鍛えていて、実によくお似合いだったすな。つうかですね、何より強いっすよ。宇宙空間でも単独行動できるし、ほぼ無敵な姿は、アフリカのどっかの王国で、世襲で王座を手に入れた弱っちいアイツとは大違いですな。しかしこれで、『END GAME』を見るための準備はすべて完了したわけで、あと1カ月チョイ、心から楽しみにいたしたいと思います! そして、グースよ、まだ生きていてくれ! 消息が超気になるっす! 以上。

↓ くそう、これ、ちょっとほしいかも……。

 「ターザン」と聞いたら、普通はやはり、ジャングルの王者的なイメージを思い浮かべるものだろうか? あるいは雑誌のタイトルを思い出す人もいるだろうし、懐かしのジャンプ漫画「ターちゃん」を思い浮かべる人もいるだろう。いずれにしても、すでにおなじみのキャラクターであろうと思う。
 だがわたしの場合、「ターザン」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、19世紀イギリス貴族だ。なぜならわたしにとっての「ターザン」 は、この映画以外にないからである。 
  この映画『GREYRSTOKE:The Legend of TARZAN, Load of Apes』は、わたしが中学生の時に見た作品で、いまだにVHSとレーザーディスクで持っている大好きな映画である(※もちろん両方とももはや再生機器をもってない)。監督は、『Chariots of Fire』(邦題:炎のランナー)でアカデミー賞を受賞したHugh Hudson氏で、古き良きイギリスを描かせたら最強の映像作家である。もうこのところ全然作品は撮っておらず、現在79歳だそうなので、もう引退しているのかもしれないが、とにかく美しい映像がこの監督の目印であろう。この映画は、それまで、ハリウッド的なアクション・アドベンチャーとしておなじみだったターザンの物語を、その出生から丁寧に描いたもので、非常に泣けるわたしの生涯ベストに入れてもいいぐらい好きな作品である。Blu-yrayが出てるなら買ってもいいな、と思って探したけど、どうやら発売されてないっぽいです。残念。ただ、配信では観られるみたいすね。
  というわけで、わたしが今日見てきた映画は、『The Legend of TARZAN』(邦題:ターザン:REBORN)である。わたしはてっきり、ハリウッド的アクション・アドベンチャーかと思っていたが、非常にうまく、わたし好きな『GREYSTOKE』的な19世紀の雰囲気も取り入れた作品で、大変面白かったのである。映像もいいし役者も抜群で、これはちょっとおススメのような気がします。

 というわけで、まず、「ターザン」について、おそらくは一般的でない、基礎知識をまとめてみよう。
 元々は、Edger Rice Burroughsというアメリカ人の書いた小説が原作である。舞台は19世紀後半(この映画は1881年と冒頭に出ていた)で、イギリスのグレイストーク卿という貴族の夫婦がイギリス領西アフリカへ赴任する際、船員の叛乱にあってアフリカ西海岸に置き去りにされて、そこで生まれた子が、後のターザンなわけだが、彼は、両親をゴリラに殺され、自らも危うく殺されそうになるが、子を亡くしたばかりのメスのゴリラに養育されて育つわけです。
 で、わたしの大好きな映画『GRYEYSTOKE』においては、青年となったターザンと、アフリカにやってきたイギリス人のおっさんが出会い、その両親の住んでいた朽ちた小屋からいろいろ証拠を見つけて、なんてこった、あんたはグレイストーク卿の坊ちゃんなのか!? というわけで、イギリスに連れて帰ると。で、大英博物館(だったっけ?)に展示される剥製用として生け捕りにされて運ばれてきたゴリラが、あろうことかターザンの育ての母であるメスのゴリラで、それを救おうと苦悩し、最後は、やっぱりオレ、アフリカに帰りますわ、と、イギリスで出会った愛するジェーンと別れて森に消える、みたいな展開でした。いや、もう20年以上見返してないから細部は怪しいです。なお、わたしは『GREYSTOKE』が公開された30数年前、ちゃんと原作小説を早川文庫で読んだのだが、その怪しい記憶によれば、原作的には、ターザンとアメリカ人のジェーンが出会うのはアフリカだったと思う。
 いずれにせよ、ターザンとは、本名ジョン・クレイトンといい、イギリス貴族の末裔であり、イギリスへ戻って貴族として暮らすわけで、ジャングル暮らしの未開人では全然なくて、物静かで、たくましく、しかもイケメンで頭もいい、というスーパーカッコいい男なわけです。それだけ覚えておいてくれれば、今日公開になった『The Legend of TARZAN』この映画は十分楽しめます。

 というわけで、わたしはこの映画は、ターザン誕生から描くものなのかな、と勝手に想像して劇場へ向かったわけだが、全然違うもので、すでに、グレイストーク卿ジョン・クレイトンとして、イギリスで貴族として生活しているところから物語は始まった。なので、上に書いた基礎知識がない人は、「?」と思うかもしれない。で。物静かに暮らす彼のもとに、ある日、女王陛下からの使者がやってきて、とある目的のためにもう一度、ベルギー領コンゴへ行ってほしいという依頼をうけて、再び、「懐かしの故郷」たるアフリカへ戻るというのがこの物語の大筋である。
 この背景にあるのは、植民地経営に行き詰ったベルギー王国(これは史実通りなのかわからない)の陰謀であり、要するにグレイストーク卿のアフリカ帰郷は仕組まれた罠だったわけで、まんまと愛するジェーンを攫われ、その奪還がメインストーリーとなる。この、攫われた愛する女を奪還しようとする「野生の白人像」となると、わたしはこの映画を思い出しながら見ていた。
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ダニエル・デイ=ルイス
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2015-12-16

 この『The Last of the Mohicans』という映画も、元々は19世紀初頭のアメリカ文学上の名作小説「モヒカン族の最後」を映画化したもので、やはりとても美しく、非常に心に残っている映画だ。原作小説も大変面白いのだが、映画では、ヒロインが敵の部族に捕らわれ、主人公が拘束される前で連れ去られてしまうシーンで、主人公が絶叫しながら「宣言」するセリフが最高にカッコよくて、わたしは今でもよく覚えている。
 You stay alive, no matter what occurs!!  I will find you. No matter how long it takes, no matter how far, I will find you.
 どんなことがあろうと、絶対に生きろ!! オレが必ずお前を見つける。どんなに時間がかかろうと、どんなに遠くであろうと、絶対に、お前を見つける。
 かーー、ホントにカッコいいセリフですな! 生きてさえいれば、絶対にオレが助けに行く。だからどんなに絶望的でも死ぬな。これは最高の愛の告白だと思いませんか。え、思わない? あ、そうっすか。おかしいな……。まあ、というわけで、本作では、グレイストーク卿が同行のアメリカ人博士(?)と、かつての仲間たち(現地民族の人々や動物たち)とともに、ジェーンを拉致した悪党どもを追い詰めるお話で、実にカッコ良かった。

 なにしろ、役者陣が非常に良い。
 まずは、主人公ターザンこと、グレイストーク卿ジョン・クレイトン役を演じたのが、スウェーデン出身のイケメン野郎Alexander Skarsgard氏39歳である。最近、いわゆる北欧出身の役者のハリウッド進出が目立ちますね。彼はこれまで、結構多くのハリウッド作品に出ていて、一番有名なのは、どうかなあ、『Battleship』かなあ? あの映画では、主人公の、冷静かつ真面目な兄をカッコよく演じてましたね。でも、わたしがこの役者で一番覚えているのは、WOWOWで見たTVシリーズの『Generation Kill』だ。この作品は、アメリカのケーブルテレビ局HBO制作のTVドラマなのだが、イラクに派遣された「今どき」の若い兵士たちの姿を追った作品で、実はあまり戦闘シーンがなく、兵士の日常を追ったちょっと面白い作品なのだが、この中で、小隊のリーダー、通称「アイスマン」と呼ばれる男を演じたのが、まさしくAlexander Skarsgard氏です。とても背が高く、クールなまなざしで、今回のターザンにも非常に通じる物静かな男で、とても印象的でした。まあ、イケメンですな。
 そして、愛するジェーンも大変魅力的だった。今回のジェーンは、アフリカ暮らしをしていてターザンと知り合ったという原作設定を踏襲しているので、アフリカに到着しても生き生きとしてアクティブで、大変かわいかったと思う。演じたのは、Margot Robbie嬢26歳。実はわたしは彼女のことをほとんど観たことがなくて、『The Wolf of Wall Street』ぐらいしか観ていない。けど、この人は、9/10日本公開の『Suicide Squad』で、かのハーレー・クインを演じることで、人気は爆発的に高まることでしょうな。Sexy & Cuteで狂っているキャラを見事に演じているようですね。わたしは昨日も書いたけれど、『Suicide Squad』には全く期待していませんが、ハーレー・クインだけはイイ!! と思うので、観に行って存分にその魅力にやられて来ようと思っています。
 次。グレイストーク卿と行動を共にするアメリカ人を演じたのが、Samuel L. Jackson御大。御大はいつもの御大でした。が、この人はなんかいつも髪型が違うので、いつもの御大なんだけど、妙に別人に見えますね。ホント不思議なおっさんですよ。わたしはこの人が好きなんだか嫌いなんだかよくわからんです。このBlogの『The Hateful Eight』の記事でも書いた通り、ほんとこの人、ミクラスにそっくりですな。知らない人は、リンク先をクリックしてください。で、非常にいやーーな悪党のベルギー人(?)を演じたのがChristoph Waltz氏。彼については……ええと、あまり書くことがないです。
 最後。ターザンに恨みを持つ現地部族の長を演じたのがDjimon Hounsou氏。この人は相当いろいろなところで見かける方ですな。ただ、本作をわたしはかなり誉めているものの、実は一つ、いや実際2つか、ちょっとこれは……と思う所もある。その一つが、彼を筆頭に、現地民族の人々が、到底19世紀アフリカの現地民族には見えないのだ。すげえみんなマッチョだし、歯もきれいだし。確実に文明化された現代人にしか見えない。まあ、英語をしゃべれるのは、英語教育を受けた設定になっているので、そこは5万歩譲ってアリ、だとしても、あの体つきと、とにかくきれいな歯並びはちょっとなあ、と思ってしまった。
 で、もう一つ、わたしがちょっと微妙だと思ったのは、多くの動物たちのCGである。なんというか……本物感は、当然のハリウッド・クオリティなので抜群なのだけれど、どうも……姿かたちが本物っぽくないというか……頭身がちょっと変なのかな? 頭がでかいというか……とにかくよくわからないけれど若干違和感を感じたことは記録に残しておきたい。
 はーー。もうずいぶん長くなってしまった。最後に監督に触れて終わりにしよう。
 本作の監督は、『Harry Potter』シリーズの後ろの4本「不死鳥の騎士団」「謎のプリンス」「死の秘宝1&2」を撮ったDavid Yates氏である。今年の暮れに公開の『Fantastic Beasts and Where to Find Them』 も彼が監督してるはずなので、まあ、よく本作を撮る時間があったなとちょっと驚きだ。本作では、得意のモーションカメラを多用した、ターザンがジャングルを飛び交う流れるような画作りは健在で、らしさ、は十分感じられる。まあ、CGの問題と、ジャングルが明らかにスタジオ撮影っぽくて、そのあたりは、時間と予算の問題なんじゃなかろうか。そういや、もうすぐ公開となる『Jungle Book』はすべて子役の少年以外、背景も動物も全てCGらしいので、その出来栄えも非常に興味がありますな。そちらも楽しみです。

 というわけで、結論。
 『The Legend of TARZAN』(邦題:ターザン:REBORN)を楽しむには、ちょっとした事前知識が必要なのではないかと思うけれど、愛する女性のために命を懸けるカッコいいイケメンを見たい人には大変おススメです。わたしはたまたま、『GREYSTOKE』という映画が大好きだったので、たいへん楽しめました。以上。

↓ 原作は大変面白い文学小説です。電子では「火星シリーズ」しか売ってないんだよな……こちらも久しぶりに読みたいのだが……。
類猿人ターザン (ハヤカワ文庫 SF ハ 10-1 TARZAN BOOKS)
エドガー・ライス・バロウズ
早川書房
1971-08

 

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