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 最初に表明しておくが、こう見えてわたしは女性が大好きであります。
 しかし。散々映画や芝居を観たり、漫画や小説を読んだりしているわたしが、気に入ったり、誉めるのは大抵において男であり、その点であらぬ嫌疑を持たれないようにお願いしたいのだが、現状のハリウッドスターの中では、セクシーハゲでおなじみのJason Statham氏はわたしが非常に気に入っている男の一人である。何しろカッコイイ。いや、わたしの審美眼からすると、別にイケメンとはちっとも思わない、つーかむしろ若干ブサメンなのではという気もするが、それでも、この野郎はいつも渋くてイカすのである。
 わたしは、尊敬と愛をこめて、Jason Statham氏を兄貴と呼んでいるが、彼は、常に眉間にしわを寄せ、強面でバッタバッタと悪い奴をぶっ飛ばす役で、たまーに悪役も演じるが、結果的にはいつも同じような役ばかりを選んで演じており、往年のSchwarzenegger御大やStallone隊長のように、何か血迷ってコメディに挑戦するなどといった暴挙は見せず、一貫してStatham兄貴はおっかないおっさんを演じ続けている。今のところは。
 世にセクシーハゲというジャンルを切り拓き、おそらくは、セクシーハゲ世界選手権大会開催の折には、Druce WillisやNicolas Cage、あるいはMark Strongといった、そうそうたるワールドクラスのハゲオヤジどもと熾烈な優勝争いを演じるに違いない逸材であり、髪の心配を常に抱えて不安な思いをしている世の男たちに勇気と希望を与えてくれる星(スター)として輝いていることも間違いない。
 そんなJason Statham兄貴であるが、実にコンスタントに、年に1~3本は確実に主演映画が公開されるのだが、いかんせん、わたしの大好きなB級グルメ作品であるため、公開規模が小さく、やべえ!! 新作来た!! とやおら興奮しても、近所のシネコンでの上映がなく、結果的にWOWOWでの放送待ち、と相成る作品が非常に多いのが残念である。というわけで、先日わたしが観た『HOMEFRONT』という映画も、その予告を観たときは絶対観てえ!! と激しく思ったものの、あっという間に公開終了で見逃してしまっていた作品なのであった。
 
 日本公開が2014年8月で、WOWOWで放送されたのも今年の夏ごろ(?)とずいぶん前なので、超今さらなのだが、先日のHDD大調査によって発掘された一品で、やっべえ、そういや観てねえ!! ということが判明したので、第一優先で観たわけであるが、内容は、ズバリ言うと上記に張り付けた予告で98%ぐらい語られている。
 潜入捜査官として、とある麻薬組織を見事お縄にした兄貴。ただ、最後の捕り物の際に、明確にギャングの親分に裏切り者とバレてしまい、また、親分のバカな息子も、兄貴は助けたかったのにぶっ殺してしまった。まあそれはバカ息子がバカだったから仕方ないのだが、何とも後味の悪い逮捕劇になってしまったと。
 で、物語は(確か)2年後。捜査官を辞め、名前を変え、とある田舎で愛する小学生の娘と平和に暮らす兄貴。しかし閉鎖的な小さい町では、やたらと兄貴は目立つ存在で、娘もクソ不細工なデブガキにいじめを受ける。が、さすが兄貴の娘、きっちり護身術を伝授されており、デブの鼻っ面に見事に正拳をクリーンヒットさせ一発KO。しかし、そこからがマズかった。デブの母親がとんでもないモンスターペアレントで、学校に怒鳴りこみ、そして兄貴にも喧嘩を売って来ることに。が、当然兄貴に勝てるはずもなく、麻薬を密造している自分の兄に、「アイツ、超むかつくんだよ、マジでやっちゃってよ、兄ちゃん」と依頼。その悪党兄は、ぜんぜん気乗りしなかったのだが、ちょっと忍び込んで書類を漁っていたところ、ステイサム兄貴の過去を知ることになってしまい……というお話である。
 まず、この映画の見どころポイント<1>は、冒頭の潜入捜査官時代のステイサム兄貴の髪型だ。な、なんとロン毛wなんですよね。しかも全く似合っていないw。むしろ、若干プレデター的な趣すらある、いわゆる落武者系である。やばしww。わたしとしては、もう本当にこれだけで、この映画は非常に満足である。
 そして、見どころポイント<2>は、何気にいい役者を使っている点である。その、麻薬密造をしている悪党兄を演じているのは、James Francoである。かの『SPIDER-MAN』シリーズでGreen Goblin Jr.としておなじみのイケメンだが、コイツはかなり才能ある野郎で、演技も非常に上質だし、何よりこいつは勉強が大好きらしく、UCLAやニューヨーク大学などを卒業してから、イェール大学の大学院にも通ってるインテリ野郎である。何本か監督したり脚本書いたりもしており、きっと将来もっとすごいことを成し遂げるのではないだろうかとわたしはにらんでいる有望株である。で、コイツの悪い癖(?)とわたしが思うのは、すごいB級作品に突然出ては、これまたひどいブッ飛んだキャラクターをたまーに演じることがあり、今回はドシリアスとはいえ、別にこの役にJames Francoを使う必要ないのでは……と思ってしまうよな、イケメンの無駄遣いである。もうちょっと、役を選んでいいと思うんだこの人は……でもまあ、James Francoの素晴らしいゲス野郎ぶりによって、ステイサム兄貴のカッコ良さがより一層輝いたと思うので、作品にとっては大変良かったと思う。ちなみに、James Francoの彼女的存在として出てくるゲス女を、Winona Ryderが演じており、かつての美少女もずいぶんと……と思わなくもないが、まったくもってこの映画にはもったいないというか、彼女ももう少し仕事を選んでいいと思うんだ……オレ……『Beetlejuice』とか『Edward Scissorhands』のころは大ファンだったんだぜ……。
 最後、見どころポイントというか要チェックポイント<3>ですが、この作品は、Slvester Stallone隊長による脚本であるという事実だ。こちらの動画をご覧いただきたい。

 この動画で語られている通り、Statham兄貴は『EXPENDABLE』シリーズ以降、Stallone隊長に非常に気に入られており、元々自分が主演するつもりで書いた脚本を、Stallone隊長はStatham兄貴に託したわけである。十中八九、こんなやり取りがあったことは間違いなかろう。
 隊長「いやーいい脚本書いちゃったなー」
 兄貴「オッス隊長、なんすかそれ?」
 隊長「おう、Jasonか。まーたオレ、いいの書いちゃったぜ」
 兄貴「オッス、マジすか」
 隊長「おうよ、今回のはよ、すげえ強ええ男が娘守って大暴れよ」
 兄貴「オッス、マジすか」
 隊長「おうよ。でも、今ふと思ったんだけど、娘がいるって、オレが演じるにはちょっと年取りすぎちったかもな」
 兄貴「オッス、マジすか」
 隊長「おうよ。どうすっか、書き直すかな……つかさ、お前、やる?」
 兄貴「オッス、マジすか。ちょっと読ませてもらっていいすか」
 隊長「おうよ、読んでみろや」
 兄貴「オッス、あざっす。つかこれ最高っすね」
 隊長「おうよ、いいだろ?」
 兄貴「オッス、オレ、やらしてもらいます!!」
 隊長「よっしゃ、じゃあ、オレが制作やったるわ」
 みたいな。ちなみに、上の動画でStallone隊長が語っているストーリーと、出来上がった映画は全然別物になっています。その点がわたしは大変笑ってしまいましたとさ。

 というわけで、結論。
 現状のハリウッド映画界において、Jason Stathamという男は非常に稀有な才能を持ったハゲである。やっぱり、80年代アクション映画が大好物なわたしとしては、今後もStatham兄貴を、正当伝承者として応援して行かざるを得まい。 そして、『HOMEFRONT』という映画は近年のStatham兄貴の映画の中でもかなり上位にランクしていい作品だと思います。以上。

↓ Statham兄貴の最高傑作はどれだろうな……ありすぎて難しいけど、やっぱりこれでしょうか……。
トランスポーター [Blu-ray]
ジェイソン・ステイサム
KADOKAWA / 角川書店
2014-06-27

 わたしは電子書籍の購入に際して、『BOOK☆WALKER』という販売サイトを利用しているが、現在、5周年だそうで、大規模なフェアを実施しており、コインバックが50%、つまり、実質半額で電子書籍が買えるので、この機に、読んだことのない作品をせっせと買い続けている。
 しかし、実際の本屋さん店頭ならば、棚をぶらぶら歩くことで未知なる書籍との出会いが生まれるわけだが、やはり電子書籍の場合は、「検索しないと出会えない」という致命的な弱点がある。要するに偶然の出会いが極めて少ないということで、こちらから何らかの能動的なアクションがない限り、未知の本とは出会えない。なので、電子書籍は基本的には新刊だったり、名作的な懐かしモノだったり、そういう、読者が最初から知っている本が売上の上位に来る。結果、売れる本は売れ、売れない本は全く売れないという不自然な2極化が進んでしまう事になる。
 もちろん、そんなことは誰だって分かっているし、本に限らずECすべてにおけるの特徴というか短所であるので、各電子書籍販売サイトは、「おすすめ」をしたり「フェア」を開催したりして、利用者へ向けて「未知なる本との出会い」を演出しようとしてくれているわけだ。とはいえ、「おすすめ」はしょせん統計データに過ぎず、あなたが購入された本を買った別のお客さんは、こんな本も買ってますよ的なおすすめだったり、同じ著者のこの本はどうですか? といったおすすめであるので、そこには人間のハートは存在しない。だから何だと言われると困るのだが、わたしとしてはそんなおすすめには用はない。だいたい、そういうのは「おすすめ」されるまでもない作品ばかりだしね。そういうハートのないおすすめが、現在の世の中には満ち溢れているが、まあ、恐らく人類はそういうおすすめに慣れていくことで、いろいろなものを失っていくんでしょうな。
 ま、そんなことはどうでもいいとして、今回わたしがまとめて全巻買ってみたのが、この作品である。全巻、と言っても4巻で完結しているので、大したことはないのだが、非常に本格的なタイムトラベルSFで、大変面白かった。

 なぜこの作品と出会ったかというと、現在BOOKWALKERで開催されているフェアにおいて、日替わりで版元ごとにさらに半額、という企画の中で、昨日この作品の版元である朝日新聞出版の作品が対象になっていたからだ。なので昨日のわたしは、朝日新聞出版……うーん、オレの欲しい本はあるのかねえ……と一覧で作品を眺めていたところで、この作品に目が留まったというわけである。
 そもそも、朝日新聞出版といえば、かの「朝日ソノラマ」が事業を清算した後にその資産を継承した版元であるので、最初はソノラマの作品を目当てに何かないかなーと探していたのだが、こういうコミックもあるとは知らなかった。決め手は、タイトルと絵柄、そして試し読みで読める冒頭の数ページを読んでみての感触である。うん、なかなか面白そうじゃん。それだけの、いわば衝動買いである。しかし、非常に幸せな偶然の出会いであったとわたしは思っている。面白かった。

 お話は、非常に複雑である。主人公、杉田果子(スギタ・カコ)は中学生。どうやら生まれつき(?)、「扉を開けると、開けた先が、時間と空間を超えた、どこかの時代のどこかに繋がる」という能力を持っているらしい。なので、やばい、遅刻だ! と慌てて自室を出たその先が、3日後だった、というようなこともある。もちろんその能力は常に発揮されるわけではなく、ランダムに発生することもあるようだが、元の時空間に戻ることを強く念じて扉を開くことで、元の時間軸に帰ることはできる。
 また、本人が複数存在する状態も許容されていて、3日後の自分と出会って、あんたさっさと帰りなさいよ、と自分二人で口論になることもあるし、記憶の伝達も可能である。試験の問題を教えるとか、そういう事も出来るのだが、それをやったことで不自然に成績が良くなってしまい、カンニングでもしたのかと不審がられて、以降、自分に対して記憶の伝達はやめるという自分ルールを作っていたりする。
 そんな果子は、ある日、「タラベラー」と名乗る一人の男と出会う。彼は、2446年からやってきたタイムトラベラーで、25世紀にはタイムトラベルはごく普通の技術として確立しているのだという。時間旅行は一般的な娯楽であり、タイムトラベラー、略して「タラベラー」はごく普通の存在で、2007年にやってきた男は、果子もそんなタラベラーだと勘違いして接近したのだが、果子が2007年に生きる「現時人(=その時に生きる人)」だという事が分かって、慌てる。タイムトラベルには、いくつかのルールがあって、現時人との必要以上の接触は禁じられており、その禁忌を犯すと、罰則はあるし、重大な時間干渉をしてしまうと、時が止まって(その状態を「ホールド」という)しまい、元の時軸に戻れなくなるのだ。
 物語は、こんな感じで出会った果子と男が、あることが原因で二人とも時に囚われてしまい、そこからの脱出を試みるというものである。絵柄は大変可愛らしいのだが、非常に設定が細かく緻密で、大変興味深い。例えば、時間はそれ自体に自己修復機能があって、何か歴史を変えるようなことをしてしまうと無理矢理その流れに沿って結果の帳尻を合わせようとしてしまう作用が働くらしい。だから、人の生死はまず動かせない。交通事故にあってしまう人を助けても、別のことが起きてやっぱりその人は死んでしまうとか、そういう事が起こる。なので、「ホールド」が発生してしまうのは非常に大きな時間への干渉をしてしまった時だけなのだが、物語は非常に複雑な道のりを経て、ちょっとした感動的なフィナーレを迎える。わたしは大変気に入った。

 この作品は、もともとは、「ネムキ」という隔月刊の少女漫画雑誌に連載されていたものだそうだが、そんな雑誌があったことすら知らなかった。まあ、出版不況、とくに雑誌の壊滅的な部数減の昨今、既に2013年に休刊になってしまっているようだ。しかし、このような、良作に出会うと、つくづく、もっと売れていればなあと思う。世には、こうした、知る人ぞ知る的な良作がなんと多いことか。そして、そのような良作に巡り合うことがなんと難しいことか。そういった幸せな出会いを作るのは、メーカーたる出版社の役割なのか? それとも小売りたる本屋さんや電子書籍販売サイトの仕事なのか? いや、それとも、ユーザーたる我々のすべきことなのか? 良くわからないけれど、まあ微力ながらわたしも、インターネッツという銀河の片隅で細々と紹介を続けることで、少しは役立ちたいものだと思っている。

 というわけで、結論。
 『時間の歩き方』は、非常に正統派の純SFで、大変楽しめた。ちょっと複雑なので、すらっと読めるものではないかもしれないが、わたしとしては非常に面白いと思った。Webを検索すると、結構レビューが出てくるので、既に、その道では有名な作品みたいですな。おすすめです。なお、BOOKWALKERのフェアは12/13(日)の09:59まで開催中ですよ! 以上。

↓ タイムトラベルもので、わたしが一番好きなのは、なんといってもわたしの愛するStephen Kingのこれですよ。『11/22/63』は、イチイチニーニーロクサン、と読んでください。1963年11月22日、という意味です。ラストは泣ける。素晴らしい作品。James Franco主演でHulu配信限定の映像化も進行中です。
11/22/63 上
スティーヴン キング
文藝春秋
2013-09-13

11/22/63 下
スティーヴン キング
文藝春秋
2013-09-13


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