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 昨日の夜の21時ころ、ふと、何もやることがなく、かつ、寝るには早いか、という、恐ろしく人生についての絶望を感じるような一瞬を味わってしまったわたしであるが、もういっそこのまま明日が訪れなければいいのに……という悲哀を胸に抱きながらも、まあ、なんか映画でも見るか、とWOWOWで撮り貯めたHDDを捜索してみたところ、とある映画が録画されていて、じゃ、これでも観るか……という気になった。あぶねえ。うっかり黄泉の国への誘惑に負けるところだったぜ。
  観た映画のタイトルは、『Victor Frankenstein』。かの有名な、フランケンシュタイン物で、そのタイトルを観て、わたしは電撃的に、あ、あの映画か、と思い出した。この映画での主役は、ハリー・ポッターでお馴染みのDaniel Radcliffくん。いまや順調におっさん化が進み、非常にこの先の更なるおっさん化が楽しみな逸材であり、わたしは結構彼の演技は高く評価している。そんな彼がフランケンシュタインを演じるのかな? とUS版予告を見て思い、こいつはちょっと気になるなと思っていたのだが、どういうわけか一向に日本で公開されず、今調べたところ、日本ではなんと屈辱?のビデオスルーだったそうだ。というわけで、わたしとしてはWOWOWで放送されることを知って、よーし、WOWOWよ、偉いぞ!と思い、録画をセットしたのである。ま、録画セットしたことは完璧に忘却の彼方に霧散していたけれど。

 探してみたら一応、DVD販売用のFOX公式の字幕入り予告があったので貼っとくか。
 しかし……ホント、なんというか毎回書いているような気がしますが、FOXの予告編のセンスのなさは何なんだろうな……普通の人が上記予告動画を見て、おっとこの映画は見たいぜ、って思いますか? 何が何やら? さっぱりわからないと思うんだけど……ひでえなこれは……。ちなみに下のが字幕なしのUS版公式予告だが……ま、尺が長くなっただけで、あまり変わらないか……つまりFOXジャパンではなくて、そもそものFOX本体がダメってことだな、こりゃ……。

 ま、いいや。ちなみに、US本国でもホントにこの数字?と信じられないほど全く売れず、おそらくは散々な興行で赤字は確実であろうと思われる。何しろこの映画、観た限りではかなりの予算規模であろうことが想像できるほど、相当金を使っているのは間違いないと思う。それでこの成績じゃあ……まずいなこりゃ……と全くの余計なお世話だけれど、実に心配だ。
 物語の舞台は19世紀のロンドン。日本で言うと幕末から明治の世である。もう、この時点で、セットや衣装、美術に金がかかるのは確定的に明らかであろう。そしてこの時代設定および場所設定からして明らかなことは、完全にMary Shelley女史による原作小説『Frankenstein』とは全く別物ということだ。そしてわたしはてっきり、Danielくん自身が怪物を演じるのかしらと勘違いしていたのだが、それもまた、まるで違っていたのである。これは予告をちゃんと見れば分かるので、単にわたしの思い込みであった。
 本作の物語を簡単にまとめてみよう。
 Danielくん演じるイゴールは、サーカスでピエロを担当していた身寄りのない男で、その背中のせむし男ぶりから人間扱いされないような可哀想な奴隷的立場にあった。しかし実は明晰な頭脳と、人体に関する特殊な(?)目をを持っていて、それを見抜いた医師ヴィクター・フランケンシュタイン先生(正確に言うと医学生なので、医者の卵)の手引きで、哀れなサーカスでの生活から脱出することに成功する。そしてそのフランケンシュタイン先生の手で、背中の腫瘍(というより膿疱?)を除去し、姿勢矯正ギプスのようなものを着用して、髭も剃って髪も整え、さらにはちゃんとした服を着ることで、あっさり、ぱっと見では元背むし男とはわからないような、小ざっぱりしたイケメンに変身する。そんな、大恩が出来たフランケンシュタイン先生の研究を、イゴールは助手として手伝い始めるのだが、先生の研究とは、死体を寄せ集めてつなぎ合わせることで、死を超越しようとする背徳的なものであり、ついにその研究は、イゴールの協力のもととうとう現実に―――的な展開である。1994年のKenneth Branagh監督による『Frankenstein』はかなり原作に忠実だったと思うけど、本作はまるで違うお話でした。
 まあ、要するに物語としては原作のフランケンシュタインの話に、SF的な科学的要素をチョイ足ししたような感じで、それなりにはきちんと整っているとは思う。また、美術的な部分でも前述のようにきちんと金がかかっているし、おまけに役者陣もきっちり一流どころを揃えていて、けっして手抜き感は感じられないと言ってもいいだろう。ただなあ……なんというか……B級臭がぷんぷんするのはどうしてなんだろうか……。結局はやっぱり物語なのかなあ……トンデモストーリーであるのは間違いなかろうし。あと、クリーチャーデザインかなあ……人造人間が完成する前に、犬だったか猿だったかで、プロトタイプが作成されるのだが、それが80年代後半の、『THE FLY』的なクリーチャーデザインっぽさがあるんだよなあ……それがなんというか、すげえセンスが古いんすよね……でもあれ、CGだよね? 一部はパペットだったような気もするけど、あの動きはCGだよな……。
 ま、とにかく、結論から言えば、正直イマイチでした。
 ただ、やっぱり役者陣には触れておかないとイカンだろう。実際、主役のDanielくんは大変熱演だったと思う。やっぱりとても上手だと思うな、この人は。若干背が低いかな、という点はまあ、あまり瑕疵にはならないと思う。なんか骨格が骨太で、イギリス人にしてはちょっと珍しいような、顔も体も四角いような特徴あるルックスですな。いや、そうでもないか、若干なで肩?なので、シルエットはTom Cruise氏に似てますね、そういえば。わたしは、Danielくん主演の『Swiss Army Man』がものすごく観たいのだが、これも日本では公開されないのかなあ……ずっと待ってんだけどなあ……くそう。WOWOWで放送されないかなあ……。
 そしてDanielくんを救う医者のマッドサイエンティストであるフランケンシュタイン先生を演じているのが、今やX-MENのヤング・プロフェッサーXでお馴染みのJames McAvoy氏37歳。彼もイギリス(スコットランド)人ですな。彼は今回のような、狂気を目に宿した役が得意のような気がしますね。現在US公開中で結構ヒットしている新作の『SPLIT』の日本公開が待ち遠しいですな。なんでも23人の人格を持つ、多重人格サイコキラー(?)の役だそうで、わたしとしては観るぜリストに入っています。がしかし……監督が珍ムービーを量産することで有名なM Night Shyamalan監督だからな……うかつに期待するとイタイ目に合うから気を付けないとな……。
 あと3人、わたしが知っている役者が出ていたので、取り急ぎ備忘録として手短に紹介しておこう。フランケンシュタイン先生の父親で厳格な貴族のお爺ちゃんを演じたのが、わたしが密かに名作だと思っている『ALIEN3』で、リプリーと一瞬親密になるけど中盤であっさり退場(=エイリアンにブっ殺された)してしまった医師を演じた、Charles Dance氏だ。今はもう70歳だって。『ALIEN3』ももう25年前だから仕方ないか……。目つきが変わってなくて、一発でわかった。そして、フランケンシュタイン先生の怪しげな実験を執拗に調査する警官を演じたのが、TVシリーズ『SHERLOCK』でモリアーティを超にくったらしく演じたAndrew Scott氏。この人も、特徴ある顔なので一発でわかるすね。最後。この人は、わたしは顔は観たことあるけど誰だっけ……と調べないと分からなかったのだが、Danielくん演じる哀れなイゴールと恋におちる可憐な女子を演じたのがJessica Brown-Findlay嬢27歳。だいぶ前にこのBlogで取り上げた『Winter's Tale』のヒロインですな。大変お美しい方です。
 で、さっき、監督は誰なんだ、と調べたら、これまたこのBlogでかなり前に取り上げた『PUSH』を撮ったPaul McGuigan監督だった。あっ! この監督、TVの『SHERLOCK』も監督してるんだ。そうなんだ。へえ~。知らなかった。まあ、残念ながら『PUSH』同様、本作もわたしとしては微妙判定です。サーセン。

 というわけで、結論。
 ふとしたきっかけで観てみた『Victor Frankenstein』という映画は、役者陣はなかなか豪華だし、セットや衣装もきっちり金がかかっており、面白そうじゃん、と期待したのだが、どういうわけか全編に漂うB級感がぬぐい切れず、お話そのものもなかなかのトンデモストーリーで、判定としては微妙、と言わざるを得ない。おっと? 脚本を担当したのはMax Landis氏なんだ!? へえ~! 彼は、映画監督John Landis氏の息子で、わたしが激賞している『Chronicle』もこの人の脚本なのだが……残念ながら今回はイマイチでありました。以上。

↓ くそーーー……とっくに発売になってるじゃんか……観たい……買っちゃおうかしら……。

↓ おまけに予告も付けとこう。傑作の匂いがすげえするんですけど。

 いきなりで大変恐縮ですが、「富士額:フジビタイ」って、分かりますよね?
 ↓こういうの。
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 まあ、この画像は、わたしが「富士額」と聞いて、真っ先に思い浮かぶキャラクターの画像を、ちょっとそのおでこだけを切り取った違法画像なのだが、要するに、額(ひたい)の真ん中に、ちょろっと髪が侵食? していて、その様が富士山みたいだというビジュアルをイメージしていただければ良いだろう。実際、そういう人はいっぱいいる。わたしの高校時代の友人で、柔道部で、3年間ずっと坊主で、その人を思い浮かべると坊主頭しか浮かばない男がいるのだが、彼も、髪の生え際が一直線なんだけど、なぜか中央部分だけちらっと▼になっていて、富士額の人を見かけると、いつもこの古い友人のことを思い出してしまう。残念ながら、わたしの場合は、近年、髪の生え際が後退していく厳しい状況にあり、たんなるM字ハゲになりかかってるだけなんじゃないかという、もはや人生終了にも等しい極めて深刻な疑惑があるが、ま、とにかくこういうおでこの人はいっぱいいるし、江戸時代の浮世絵においては、富士額は美人女子の条件の一つだったそうな。
 
 なんでこんな話をしているかというと、わたしが昨日の夜、ぼんやりと見ていた映画の主人公が、きわめて立派な富士額であり、この俳優を見かけると、いつもわたしは、その高校の時の富士額の友人のことを思い出すからだ。
 というわけで、問題です。↓ この部分だけで、コイツが誰だかわかりますか?
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 これだけで、この人が誰だか分かったら、十分に、人から「映画好き」と呼ばれる資格はあると思う。ヒントは「富士額」と「超・下がり眉」である。この役者は、実際のところBrad Pittによく似ているとわたしは常々思っているが、Brad Pittではない。髪と眉の色が、Brad Pittはもうちょっと明るいと思う。ここまで濃い色で、クドイ顔ではない。




 というわけで、正解は……↓この人ね。
 colin01
 えっ!? 顔全部見てもわからない? だとしたら、あなたは「映画好き」という看板は今日限りで下ろしてもらおう。この男は、Colin Farrellというハリウッド俳優である。なんかいつも困っている富士額野郎として、わたしの中ではおなじみだ。おそらくColin Farrellは、「下がり眉の困った顔選手権・世界大会」が開催されたとしたら、セクシーハゲでおなじみのNicolas Cageと、優勝を争う事になるのではないかと密かににらんでいる。
 というわけで、昨日わたしが観た映画でも、Colin Farrellは非常に困った顔というか、哀しい顔が印象的な演技を披露してくれたのであった。その映画のタイトルは、『Winter's Tale』(邦題:ニューヨーク・冬物語)である。

 この映画は、2014年5月に日本で公開されたもので、わたしも予告編を観てちょっと気になっていたのだが、残念ながら公開規模が小さくて、あっという間に見逃してしまった。で、今年の5月ぐらいだったかにWOWOWで放送されたのを録画しておいたものの、なんとなくHDDに埋もれてしまっていて、観る機会はなかったのだが、実は来月、ちょっとニューヨークに行くことになったので、そういやタイトルにニューヨークと入った映画があったな……とふと思い出し、ああ、そうそうこの映画だ、ということで、観てみるに至ったわけである。
 この映画は、改めて観てみてちょっと驚いたのだが、バリバリのファンタジーであった。そういえば確かに原題は『Winter's Tale』である。そして物語は、Once upon a time....から始まっており、まったくもっておとぎ話めいた雰囲気を持つ不思議な映画であった。

 物語は1895年のNYから始まる。とある夫婦が新天地アメリカに移住してきたのだが、結核にかかっていて入国を拒否される。せっかく夢見たアメリカなのに、強制送還の憂き目にあう若い夫婦は、せめて赤ん坊の我が息子だけでもアメリカに残したい、と、模型の船に赤ん坊を乗せて、帰国してしまう(……ここは突っ込まないでください。わたしも、ええっ!? とびっくりしたけど、ここを否定すると映画は終了です)。で、時は流れ1916年、成長した息子は何とか生き延びており、どうやら泥棒を生業として生きているらしい。そして、どうも所属するギャング団から抜けようとしていて、追われる身らしいという事が描写される。この時点で、観ているときは全く気にならなかったが。改めて考えると主人公は20歳だか21歳だかであるが、演じているのは、Mr.富士額ことColin Farrellである。1976年生まれらしいから、この映画公開時は38歳か? えーと……まあ、細けぇことは気にしないでおこう。
 で、そのギャング団を率いるボスを、Russel Crowが演じている。どうも良くわからないが、ボスは主人公にご執心である。その理由は冒頭ではまだわからない。主人公は逃げ回り、いよいよ万事休す、というところで、非常に美しい、真っ白な馬に出会う。どうやら、乗れ、と言ってるらしい白馬にまたがると、とんでもないジャンプで追っ手を躱し、逃走に成功する。ここでわたしは、あ、この映画はファンタジーなんだ、と気が付いた。何しろ白馬がスーパー大ジャンプをかますときに光の翼が表現されるのだ。なるほど、そういう話なのね、とだんだん分かってきたぞ。
 そして主人公は、とっととNYマンハッタンからおさらばしたいのだが、白馬はとある屋敷の前から動かない。なんだよ、この屋敷に忍び込んでなんか金目のものでも盗んで、路銀の足しにしろとでもいうのか? 白馬の意志を何故かそんな風に解釈した主人公は屋敷に潜入し、物色しようとしたところで、一人の美しい――がしかし、既に死の病に侵されて余命いくばくもない――女子と出会い、恋に落ちる。

 こんな話である。そして物語は後半で、「奇跡」をめぐる天使と悪魔の対立というファンタジックな展開となる。ここは、ちょっと正直分かりにくいのだが、ゲスト出演でちらっと出てくるWil Smithが、「判事」と呼ばれる悪魔(?)を演じていて、その判事のもとにRussel Crowがやって来て、ちょっとした許可を求めシーンがあるのだが、そこは非常に面白かった。ちなみにRussel Crowも魔族らしく、階級的には判事の方が偉いらしいことも描かれる。また、どうやら元天使で、堕天した男なんかもいて、まったくもってライトノベル的なファンタジーだった。

 クライマックスに向けた終盤で、主人公はとある奇跡によって現代の、2014年のNYに送られてしまうのだが、現代に送られた意味が分かる最後のくだりは、ちょっと泣ける。現代パートにしか出てこないJennifer Connellyも非常に良い。この女優は1984年公開の『Once Upon a Time in America』でデビューした別嬪さんだが、歳を重ねて本当に今でもきれいで、わたしは大ファンである。なんとなく、日本人に例えると宮沢りえ的な正統派美人だと思う。旦那はPaul Bettanyで、Ironmanの忠実な執事ジャーヴィスの声を演じ、最新作Age of Ultronでヴィジョンとして生まれ変わったアイツだ。Jennifer Connellyを嫁に持つとはまったくうらやましいというかけしからん野郎である。まあ、そんなことはどうでもいいが、最終的なエンディングもきれいにまとまっており、想像していたのとは全然違っていたが、わたしとしては結構楽しめた作品であった。

 なお、病に侵されているヒロインを演じたのはJessica Brown Findlayという女優で、わたしは全然知らない人だった。が、非常にかわいらしく、また極めて幸薄く、はかなげに演じており、わたしとしてはアリ、である。どうもわたしは、現実世界でも、またフィクションの物語においても、こういう幸の薄い、しょんぼり女子にはどうしても心惹かれてしまうらしい。なんなんでしょう、この謎の心情は。わたし自身にもまったく良くわからないのだが、好きなものは好きなんだからしょうがないっすな。理由はどうでもいいや。
 あと、この作品ではNYのGround Central Stationがちょっとした舞台となる。来月わたしが泊まるのはTimes Squreの近くだが、Ground Central Stationまで歩いて10分ほどなので、ぜひとも現地をも訪れ、しばらくこの映画を思い出しながらぼんやりして来ようと思う。

 というわけで、結論。
 『Winter's Tale』(邦題:ニューヨーク、冬物語)は、わたしとしてはアリです。
 まったくもってファンタジーですので、まあ、細けえことは、どうでもいいんだよ、という広い心で観ていただければ、結構面白いと思います。

 ↓これが原作。ちょっと読んでみたくなってきた。ハヤカワは渋い本を出すなぁ……。お、調べてみたらわたしが愛用している電子書籍サイトBOOK☆WALKERでも売ってるみたいだ。仕方ない……来月買うとするか。
ウィンターズ・テイル(上) (ハヤカワepi文庫)
マーク・ヘルプリン
早川書房
2014-03-20

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